JP2010098163A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】陽極部が金属箔およびその上面に形成された多孔質体層の焼結体よりなる固体電解コンデンサにおいて、その被覆率を向上させる。
【解決手段】陽極部を構成する金属箔2に複数の貫通孔5を設けるとともに、多孔質体層4を形成する金属粒子のメジアン径を貫通孔5の直径よりも大きなものとする。また貫通孔5を多孔質体層4の一部にまで延在させてもよい。これにより、多孔質体層4の形成の際に金属粒子が貫通孔5の内部に流入して貫通孔5を塞ぐことがないようにする。この貫通孔5は固体電解質相を形成する際に、多孔質体層4の微細な孔の底部に残存する空気の逃げ道となる役割を有している。貫通孔5の存在により、陽極部に金属箔2を用いた固体電解コンデンサにおける被覆率を向上させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、陽極体として陽極リードと金属多孔質体層とを有する固体電解コンデンサに関し、とくに、陽極リードとして弁作用金属からなる金属箔を用いた固体電解コンデンサに関する。
タンタル(Ta)などの弁作用金属の粉末の焼結体からなる多孔質体を陽極に用いた固体電解コンデンサとしては、多孔質体を円柱や四角柱などの柱体としたものが一般的である。以下では、このような形状のコンデンサを柱体素子固体電解コンデンサと称する。またこの他の形状として、陽極リードである弁作用金属の金属箔の面上に、同じく弁作用金属の粉末の焼結体からなる多孔質体の層が設けられた、扁平構造の固体電解コンデンサも知られている。以下では、同様にこのような形状のコンデンサを箔形素子固体電解コンデンサと称する。
特許文献1は箔形素子固体電解コンデンサの例であり、金属タンタルからなる金属箔の板状リードの片面にタンタル粉末とバインダからなる層を形成し、焼成して多孔質の焼結体とした固体電解コンデンサ用陽極体が開示されている。なお箔形素子固体電解コンデンサにおいて、焼結体である多孔質体層は金属箔とともに電気的にはコンデンサの陽極の役割を果たすものであるので、弁作用金属からなる金属箔とその面上に形成された多孔質体層とを含めて陽極体と称する。
箔形素子固体電解コンデンサの陽極体は、金属タンタルの箔板の面上に、タンタルの粉末を原料粉末とする焼結体である多孔質体層が形成されたものである。このタンタル粉末の多孔質体層では、その内部に焼結によって生じた微細な孔が複雑に入り組むように形成されており、そのために表面積が非常に大きくなっている。そして、多孔質体層の表面および内部の微細な孔の表面には、酸化タンタル(Ta25)の薄膜である、酸化タンタル皮膜が形成されている。この酸化タンタル皮膜がコンデンサの誘電体となる。箔形素子固体電解コンデンサでは、この酸化タンタル皮膜の面上に、さらに固体電解質層が形成されている。この固体電解質層はコンデンサの陰極の役割を果たすものである。従って箔形素子固体電解コンデンサは、陽極体である金属箔および多孔質体層と、誘電体である酸化タンタル皮膜と、陰極の役割を果たす固体電解質層とを有しており、これら三者がコンデンサとしての基本構成をなしている。
固体電解質層のさらに表面には、グラファイト層および銀ペースト層が順に形成されて陰極部を形成しており、この陰極部の最外層には、外部との電気的接続のための陰極側の端子である、外部陰極端子が固着されている。一方、前記金属タンタルの金属箔の一端には多孔質体層が形成されていない露出面が設けてあって、そこに外部との電気的接続のための陽極側の端子である、外部陽極端子が同様に固定されている。従って金属タンタルの箔である金属箔は、箔形素子固体電解コンデンサの陽極体をなす多孔質体層と外部陽極端子との間を電気的に接続するものであり、柱体素子固体電解コンデンサにおいて陽極リードと称される、柱状焼結体に植立されるタンタルワイヤに相当するものである。
箔形素子固体電解コンデンサでは、柱体素子固体電解コンデンサに比べて陽極体を薄く形成することが容易であり、従ってコンデンサの小形化、薄形化において有利である。また陽極リードである金属箔とその面上に形成された焼結体との接触面積が大きいために、両者の間の接触抵抗が小さくなるという特徴があり、これにより柱体素子固体電解コンデンサと比較してコンデンサとしてのESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)を低下させることが容易であるという利点も有している。
なお、箔形素子固体電解コンデンサにおいては、特許文献2に、金属箔の面上に形成する多孔質体層を互いに粒径の異なる金属粒子からなる2層を積層して構成することにより、陽極体を構成する金属箔と多孔質体層との密着性の向上を図る手段が開示されている。また特許文献3には、陽極体として金属箔の両面に多孔質体層を形成する場合において、金属箔に貫通孔を形成してその内部に多孔質体を充填し、金属箔の両面の間を貫通させることにより、特許文献2の場合と同様に金属箔と多孔質体層との密着性の向上を図る手段が開示されている。
特開昭59−219923号公報 特開2003−338433号公報 特開2006−245149号公報
箔形素子固体電解コンデンサにおける、導電性高分子からなる固体電解質層の形成方法としては、一般に以下の3つが知られている。第1は、陽極体を導電性高分子前駆体溶液と酸化剤溶液とに交互に浸漬して酸化重合反応によって導電性高分子を形成する方法(化学酸化重合)である。第2は、陽極体を導電性高分子前駆体溶液に浸漬し、その状態で、コンデンサ素子表面に正の電圧を印加して、電解酸化重合により導電性高分子を形成する方法(電解重合)である。第3は、導電性高分子を溶液に分散させた導電性高分子溶液に陽極体を浸漬して形成する方法である。ここで導電性高分子前駆体溶液とは導電性高分子の単量体溶液のことであり、固体電解質層を形成する際に、多孔質体層の金属酸化物皮膜の表面で導電性高分子が互いに重合することにより固体電解質層が形成される。
しかしながら、一般に導電性高分子前駆体溶液や導電性高分子溶液はその粘性が比較的高い。このため前記3種類の固体電解質層の形成方法では、多孔質体層の表面および内部の微細な孔の中に空気が満たされている場合はいずれの場合にも浸透性が必ずしも十分ではなく、空気の残留のために多孔質体層の孔の内部にまでこれらの溶液が浸透しないという問題があった。導電性高分子前駆体溶液や導電性高分子溶液が浸透しなかった部分には、実効的な陰極層といえる固体電解質層が形成されず、コンデンサにおける陽極面積に対する陰極面積が低下してしまうこととなる。
この陽極面積に対する陰極面積の比は、固体電解コンデンサにおける被覆率と同じと見なすことができる。ここで被覆率とは以下の方法で測定される量である。まず多孔質体層の表面に金属酸化物皮膜を形成した陽極体を酸性電解質水溶液中に置き、この状態での静電容量(この場合には陰極面積の大きさが陽極面積に一致していると見なすことができ、このときの容量を理論容量と称する)を測定する。次いでこの測定済みの陽極体を用いて箔形素子固体電解コンデンサを作製し、その静電容量を測定する。被覆率とは、この作製したコンデンサの静電容量の値を理論容量で割った比率であり、通常は1以下の値である。被覆率が1よりかなり小さい場合は、多孔質体層の表面の金属酸化物皮膜のうちの相当部分に、固体電解質層が形成されていないことを示している。
従って、箔形素子固体電解コンデンサにおいて被覆率が小さい場合には、陽極体を構成する多孔質体層の内部の微細な孔の中に多量の空気が残留していると考えられる。この問題の解決方法としては、例えば導電性高分子前駆体溶液への浸漬工程を真空中で行うことなどが考えられるが、真空中では導電性高分子前駆体溶液が沸騰するなどの問題があるために現実的ではない。本発明の目的は、陽極体を構成する多孔質体層の金属酸化物皮膜を設けた表面に対して固体電解質層を形成する際に、被覆率が大きく低下することを防ぎ、これにより理論容量に近い静電容量を有する、高容量の箔形素子固体電解コンデンサを提供することである。
箔形素子固体電解コンデンサの陽極体において、多孔質体層の内部の微細な孔の中に空気が残留する理由は、陽極体がいずれも弁作用金属からなる金属箔と、焼結体である多孔質体層の2つの素子から構成されることに関係している。多孔質体層の内部に形成された微細な孔の多くは、多孔質体層の内部を曲がりくねりつつ貫通して金属箔の表面に達し、そこで金属箔によって塞がれた有底の構成となっていることが確認されている。このため陽極体を導電性高分子前駆体溶液に浸漬すると、有底の孔を満たしていた空気の一部は逃げることができずに孔の底部に残留してしまい、その部分に導電性高分子前駆体溶液が浸透することができなくなると考えられる。
なおこの被覆率の低下は箔形素子固体電解コンデンサの構造に特有のものであり、柱体素子固体電解コンデンサではほとんど生じることはない。本発明は、多孔質体層の内部に形成された有底の孔に対して空気の逃げ道を形成して空気の残留をなくし、微細な孔の内部まで導電性高分子前駆体溶液の十分な浸透を可能とする手段を提案するものである。そしてこの手段により、柱体素子固体電解コンデンサに匹敵する被覆率を、箔形素子固体電解コンデンサにおいても実現することを目的としている。
多孔質体層の内部の微細な有底の孔に溜まった空気を逃がすためには、この孔を有底の孔ではなく、貫通孔とすればよいと考えられる。本発明では、陽極体を構成する金属箔にその両表面の間を貫通する向きに複数の貫通孔を設け、導電性高分子前駆体溶液への浸漬の際に、この貫通孔によって多孔質体層の内部の微細な孔に残留した空気を逃がすことのできる構成とする。従来の箔形素子固体電解コンデンサにおいて、多孔質体層の内部の微細な孔が有底となっていたのは、金属箔によって孔の底が塞がれた構成となっていたためである。従って、金属箔に十分な数と直径(口径)の貫通孔を設けておけば、多孔質体層の内部の微細な孔は底のない、通気のある孔として機能することとなる。
金属箔に設けた複数の貫通孔は、直径が小さい場合はその形成が困難である。また貫通孔は前記のように多孔質体層の内部の微細な孔に残留した空気を逃がすためのものであるから、導電性高分子前駆体溶液への浸漬の際に十分な速度での空気の移動が可能となるように、ある程度以上の直径が必要である。一方で、金属箔の面上に多孔質体層を形成する際に、それを構成する金属粒子が金属箔に設けた貫通孔の内部に流入して貫通孔を塞いでしまうことがないようにするには、前記金属粒子のメジアン径を貫通孔の直径よりも大きくすることが必要である。ここでメジアン径とは粉体をある粒子径に対する大小によって2つのグループに分けたときに、粒径が大きい側と小さい側とが同じ重量となる場合として定義される平均粒径であり、本発明では金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られるメジアン径を用いている。このとき、金属粒子の中にはその大きさが貫通孔の直径よりも小さい粒子が若干含まれてはいるものの、その割合は多くはないため、殆どの貫通孔には多孔質体層の形成時に金属粒子が流入することなく、空気の逃げ道としての機能を保持することができる。
なお、陽極体として金属箔の面上に多孔質体層を形成する場合には、その片面のみに多孔質体層を形成する場合と、両面に形成する場合とが考えられる。一般に多孔質体層を金属箔の両面に形成すれば、コンデンサの容量を片面のみの場合の約2倍とすることができ、このことは箔形素子固体電解コンデンサの容量の向上において有利である。一方で、この場合には多孔質体層だけではなく、陰極部や外部陰極端子もコンデンサ素子の両側にそれぞれ設ける必要があるために、コンデンサの薄型化の面では逆に不利となる。
本発明において、金属箔に設けられた貫通孔は、この金属箔の両面の間の空気の導通を確保するものである。従って、金属箔の片面に多孔質体層を形成する場合だけではなく、その両面に多孔質体層を形成した場合にも、本発明によれば、金属箔の両側のそれぞれの多孔質体層内部の微細な有底の孔に空気の逃げ道を設けることが可能である。この場合は金属箔を介して両側の多孔質体層の間で相互の空気の導通が確保されることとなり、これにより多孔質体層内部の微細な孔は有底ではなく、貫通孔として作用する。
なお、前記多孔質体層を構成する金属粒子は、一般に微細な金属粒子(一次粒子)がさらに凝集してクラスターを形成した構成となっている(二次粒子)。一次粒子である金属粒子が互いに凝集して二次粒子の形態となると、その後は分散して微細な金属粒子に戻ることはなく、従って多孔質体層の作製の際には、一貫して二次粒子の形態のままで取り扱うこととなる。本発明において、金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られるメジアン径は、金属粒子の二次粒子の粒径である。
さらに、本発明の箔形素子固体電解コンデンサの陽極体の金属箔に設けられる貫通孔が、金属箔の片面もしくは両面に形成される多孔質体層の内部にまで延在する構成であってもよい。また、焼結体である前記多孔質体層が、複数の多孔質体層を積層したものであってもよく、この場合には、金属箔に設けられた貫通孔が、積層された複数の多孔質体層のうち、金属箔の表面に接した内側の多孔質体層の内部に延在する構成であってもよい。
なお、金属粒子のメジアン径が大きい場合には、同体積の金属粒子の表面積の合計が逆に小さくなることから、多孔質体層内部に形成される微細な孔の表面積も小さくなる。従って、同じ体積の箔形素子固体電解コンデンサどうしを比較すると、その容量が小さくなってしまう。また、金属粒子による多孔質体層を焼結により形成する際に、金属粒子どうしの接触面積が小さくなる可能性があり、これによりコンデンサの製品の機械的強度が低下するなどの問題が生じる場合がある。また多孔体質層の厚さを大きくすると一般にコンデンサの容量を増加させることができるが、厚さが大きいとユーザの側から見て柱体素子固体電解コンデンサとの実質的な違いがなくなってしまう。箔形素子固体電解コンデンサはその箔形であるという形状に特徴があるので、多孔体質層の厚さには実質的な上限が存在することとなる。この上限は多孔体質層を構成する金属粒子の粒径の上限を決定する。従って箔形素子固体電解コンデンサに好適に用いられる金属粒子は、そのメジアン径に上限および下限が存在することとなる。
即ち、本発明は、金属箔の一方の面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、前記金属箔にはその両面に垂直な方向に貫通する複数の貫通孔が設けられており、前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、いずれも前記多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりも小であることを特徴とする固体電解コンデンサである。
また、本発明は、金属箔の両面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、前記金属箔にはその両面に垂直な方向に貫通する複数の貫通孔が設けられており、前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、いずれも前記多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりも小であることを特徴とする固体電解コンデンサである。
さらに、本発明は、前記多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径が、25μmないし300μmであることを特徴とする固体電解コンデンサである。
さらに、本発明は、金属箔の一方の面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、前記多孔質体層が複数の多孔質体層を積層したものであり、前記複数の多孔質体層のうち、前記金属箔の一面に接触して形成された第1の多孔質体層に、前記金属箔に設けられた複数の貫通孔がそれぞれ延在しており、前記多孔質体層の面上に、さらに金属粒子を有する第2の多孔質体層が形成されてなり、前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、いずれも前記第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりも小であることを特徴とする固体電解コンデンサである。
さらに、本発明は、金属箔の両面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、前記多孔質体層が複数の多孔質体層を積層したものであり、前記複数の多孔質体層のうち、前記金属箔の両面にそれぞれ接触して形成された第1の多孔質体層に、前記金属箔に設けられた複数の貫通孔がそれぞれ延在しており、前記第1のそれぞれの多孔質体層の面上に、さらに金属粒子を有する第2の多孔質体層がそれぞれ形成されてなり、前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、前記第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりもいずれも小であることを特徴とする固体電解コンデンサである。
さらに、本発明は、前記第1および第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子を、レーザー回折・散乱法により測定して得られたそれぞれのメジアン径が、互いに異なることを特徴とする固体電解コンデンサである。
さらに、本発明は、前記第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径が、25μmないし150μmであることを特徴とする固体電解コンデンサである。
以上説明したように、本発明の箔形素子固体電解コンデンサでは、金属箔に貫通孔を形成して陽極体の多孔質体層の内部に空気の逃げ道を形成するとともに、貫通孔の直径を、多孔質体層を形成する金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られるメジアン径よりも小さくなるようにする。これにより多孔質体層の作製の際に、貫通孔の内部に前記金属粒子が流入して貫通孔を塞ぐことを防止する。さらに導電性高分子前駆体溶液への浸漬の際に、前記貫通孔によって多孔質体層の微細な孔の底部に残存する空気の逃げ道を確保することができ、導電性高分子前駆体溶液を金属粉末の焼結体である多孔質体層の内部にまで十分に含浸させることが可能となる。この結果、陽極体の多孔質体層の金属酸化物皮膜の表面において、固体電解質層が形成されない領域が減少することとなり、被覆率の低下の課題を解決して、柱体素子固体電解コンデンサと比べて遜色のない被覆率を箔形素子固体電解コンデンサにおいても実現することができる。
以下に本発明の実施の形態について、図1〜図3をもとに説明する。
図1は、本発明の実施の形態における、箔形素子固体電解コンデンサの素子の例を構成する陽極体の上面図である。ここで金属箔2は弁作用金属からなる箔であり、図1の金属箔2の左端の面上には金属によるリードフレーム1が設けられている。このリードフレーム1は固体電解コンデンサの外部陽極端子に電気的に接続されている。レジスト部3は金属箔2の上面において、金属箔2の左端の領域と右側の領域とを電気的に分離するためのもので、絶縁性樹脂などからなる。レジスト部3は金属箔2の図1における上下の端よりも突出しており、金属箔2の側面にも回り込んでいる。
図1における金属箔2の右側の領域には複数の貫通孔5が設けられている。ここで図1の金属箔2の上面の周辺部分には、貫通孔5が設けられていない領域が枠状に存在するが、この領域は貫通孔5を金属箔2に作製するための技術上の制約によって形成されたものであり、貫通孔5は金属箔2の形成領域の全体にまんべんなく設けられることが望ましい。なお、図1における貫通孔5の本数やその直径は、金属箔2の寸法と比較して正確なものではない。また、貫通孔5が設けられた金属箔2の右側の領域の上面には、図示しないが多孔質体層、陰極部が順に設けられている。
図2は、図1の箔形素子固体電解コンデンサの素子の例の、A−Aにおける断面図である。金属箔2の図2の右側の領域には複数の貫通孔5が設けられており、その上面には多孔質体層4および陰極部6が順に形成されている。多孔質体層4は金属箔2と同種の弁作用金属によるものであり、金属粉末を焼結するなどの方法により作製される。その内部には多くの微細な孔が形成されている。この孔は多孔質体層4を貫通して貫通孔5に達しており、陰極部6を設けない状態では、多孔質体層4および金属箔2の上面と下面とは前記の孔と貫通孔5により空気が導通する状態となっている。ここで多孔質体層4の微細な孔の内面には金属酸化膜である金属酸化物皮膜が形成されており、孔の内部にはさらに固体電解質層が充填される。この多孔質体層4の上面には、グラファイト層や銀ペースト層などの層が順に形成されて陰極部6を形成しており、これらは図示しない外部陰極端子に接続されている。ここでレジスト部3は外部陽極端子に接続されるリードフレーム1と、陰極部6とを電気的に絶縁する役割を有している。
図3は図2における箔形素子固体電解コンデンサの素子の例の組立図であり、多孔質体層4および陰極部6を形成する前の状態を示す斜視図である。図3において、多孔質体層4は金属箔2の複数の貫通孔5が設けられた領域を図3の上方から矢印の向きに覆うように設けられるものであり、多孔質体層4のさらに上方に陰極部6が設けられる。これらが一体となり、コンデンサ素子の表面に配置される外部陽極端子および外部陰極端子がそれぞれリードフレーム1および陰極部6に電気的に接続され、さらに樹脂などによりモールドされて、箔形素子固体電解コンデンサが形成される。なお図1ないし図3に示した固体電解コンデンサの素子の例では、多孔質体層4および陰極部6は複数の貫通孔5を設けた金属箔2の片面にのみ形成されているが、そうではなく、多孔質体層4および陰極部6を金属箔2の両側の面にそれぞれ形成しても構わない。
図1〜図3に示した本発明の箔形素子固体電解コンデンサの素子の作製工程は以下のようなものである。まず、タンタルなどの弁作用金属からなる金属箔を用意し、その一部領域に金属箔の表面に対して垂直な向きに複数の貫通孔を形成する。貫通孔はその断面が略円形であって、各貫通孔の直径が、その表面に形成される多孔質体層を構成する金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定されたメジアン径よりも小であることを特徴とする。これらの貫通孔は、レーザー照射、精密金型によるプレス、もしくは化学的な腐食反応を用いて金属成分を溶かし出すことによって形成することができる。このように加工された金属箔に対して、有機樹脂を塗布乾燥することによりその一部にレジスト部を形成する。
次いで、複数の貫通孔が設けられた金属箔の表面に、金属箔と同種の弁作用金属による金属粒子からなる粉体を用いてその積層体である多孔質体層を形成する。金属粉末を印刷法、滴下法、浸漬法、堆積法などの手段を用いて金属箔の一方の面に積層して積層体となし、これを焼成して焼結体を形成し、多孔質体層とする。ここで積層体の形成時に使用する金属粒子の粒径が金属箔の貫通孔よりも小さい場合は、この金属粒子が貫通孔の中に流入して貫通孔を塞いでしまう。従って貫通孔の直径を金属粒子(二次粒子)の粒径よりも小さくし、言い換えれば金属粒子のレーザー回折・散乱法により測定されたメジアン径よりも小さくすることが、金属箔の貫通孔を金属粒子が塞ぐことにならないための条件である。なお、この多孔質体層はレジスト部によって遮られるために、リードフレームが設けられる領域に直接に接することはない。
ここで多孔質体層を構成する焼結体には、当初の金属粒子どうしの隙間が元となって多数の微細な孔が形成されており、これらの孔は多孔質体層を貫通して金属箔の表面にまで達している。ここで、金属箔に形成された貫通孔はこれらの微細な孔と導通しており、金属箔のうち、多孔質体層の形成されていない面と多孔質体層の表面とは、空気の出入りが可能である。次いで陽極体を電解水溶液中に浸漬して電圧を印加することによって陽極酸化を実施し、多孔質体層の微細な孔の内面や金属箔の貫通孔の側面に金属酸化物皮膜を形成する。さらに、陽極体を導電性高分子前駆体溶液と酸化剤溶液とに交互に浸漬し、酸化重合反応によって多孔質体層の微細な孔の内部に固体電解質層を形成する。この際に、微細な孔の底部に溜まった空気を金属箔の貫通孔を通じて陽極体の外部に逃がすことができるので、微細な孔や貫通孔の内部に固体電解質層を隙間なく充填させて、固体電解コンデンサの被覆率の低下を防ぐことが可能である。なお固体電解質層の形成のためには、上記の化学酸化重合による方法以外に、電解重合による方法や、分散させた導電性高分子溶液を用いる方法を実施しても構わない。
その後、弁作用金属による多孔質体層の表面にグラファイトおよび銀の各層を順に形成し、陰極部を形成する。また陰極部の表面に導電性接着剤を介して外部陰極端子を接続するとともに、レジスト部により区画された金属箔の端部に溶接などによりリードフレームを形成する。このリードフレームに導電性接着剤などを用いて外部陽極端子を接続する。最後にトランスファーモールド技術などによって外装樹脂を形成し、箔形素子固体電解コンデンサとする。
ここで、金属粒子から形成される多孔質体層を、金属箔の片面のみではなく、その両面に形成してもよい。その場合には、金属箔の両面に形成された多孔質体層の両側が、内部の微細な孔と中央の金属箔に設けられた複数の貫通孔によって互いに導通された状態となる。従って陽極酸化による微細な孔の側面への金属酸化物皮膜の形成や、その後の浸漬による固体電解質層の形成においても、貫通孔などを介して多孔質体層の微細な孔の底部に溜まった空気を陽極体の外部に押し出すことができる。従って、多孔質体層を金属箔の片面のみに形成した場合と同様に、固体電解コンデンサの被覆率の低下を防ぐことが可能である。
さらに、金属箔の面上に複数層の多孔質体層を設ける構成として、金属箔に形成する貫通孔を金属箔に近い多孔質体層の内部にまで延在させるようにしてもよい。この場合には最初は金属箔に貫通孔を設けずに、まず金属箔の面上に焼結によって第1の多孔質体層を設け、その後に金属箔と多孔質体層の両方を貫通するように、前記と同じ方法によって複数の貫通孔を形成する。次いで貫通孔を設けた多孔質体層の表面に、さらに第2の多孔質体層を形成する。この際に、貫通孔を設けた第1の多孔質体層の表面に後から形成した第2の多孔質体層では、多孔質体層が片面に1層のみの前記の場合と同様に、金属粒子の粒径にやはり制限を設ける必要がある。粒径の制限によって後から形成した第2の多孔質体層の金属粒子が貫通孔内に流入することが防止されるため、金属酸化物皮膜や固体電解質層を形成する際に、多孔質体層の微細な孔の底部に溜まった空気を、同様に陽極体の外部に押し出すことができる。従ってやはり固体電解コンデンサの被覆率の低下を防ぐことが可能である。
なお第1の多孔質体層は、まず貫通孔のない金属箔の面上に金属粒子の層を形成した後に焼結して固化し、その後に金属箔とともに双方を貫く貫通孔を形成している。従って第1の多孔質体層を構成する金属粒子の粒径の下限にはとくに制限がなく、貫通孔の直径よりもメジアン径が小さな金属粒子を用いて構成してもよい。第1の多孔質体層は焼結により固化しているため、貫通孔が設けられてもそれを構成する金属粒子が貫通孔内に流入することはない。また第1および第2の多孔質体層を構成する金属粒子のメジアン径がそれぞれ異なっていても構わない。
さらにこの場合は金属箔の両面に第1の多孔質体層をそれぞれ設け、それらを全て貫通するように複数の貫通孔を形成して、両面の第1の多孔質体層の各々の面上に、さらに同様に粒径を制限した金属粒子からなる第2の多孔質体層をそれぞれ設ける構成としてもよい。以上記した多孔質体層を複数層の構成とする場合には、金属箔のみに貫通孔を設けた場合に比較して、多孔質体層の内部に形成された微細な孔が貫通孔に達する可能性が若干ではあるがさらに大きくなると考えられる。このため、固体電解コンデンサの被覆率は貫通孔を金属箔のみに設けた場合よりも、さらに向上することとなる。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
幅5.0mm、長さ8.0mm、厚さ20μmの弁作用金属であるタンタル金属箔を用意し、そのうち幅5.0mm、長さ5.0mmの領域に、最大出力300WのYAGレーザーの第3高調波(355nm)によるUV(紫外線)レーザー光の連続照射により貫通孔を形成した。このとき形成した貫通孔の直径は平均20μmであり、設けた貫通孔の本数を2,500本としたため、貫通孔の本数の密度は10,000本/cm2であった。この貫通孔の直径の平均値は、単位面積当たりの発光量が一定の光照射テーブル上にタンタル金属箔を置き、貫通孔を介して漏れ出る光量と形成した貫通孔の本数から算出したものである。また同じ形状であるが、貫通孔を設けていない金属箔を用意した。これらの金属箔の一方の面の端部近傍の長さ3.0mmの領域に、幅1.0mmで絶縁性樹脂であるエポキシ樹脂によるレジスト部を設けて熱硬化させ、金属箔の一部が分離された形状とした。このレジスト部により分離された金属箔の領域には前記貫通孔が設けられていない。
次いで金属箔のうち、前記レジスト部が設けられた側の領域に、金属箔と同じタンタルの粉末からなる金属粒子の層を印刷法により作製して焼結することにより、金属粒子による多孔質体層を形成した。この金属粉末はタンタルの二次粒子からなるものであり、金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定されたメジアン径を平均粒径として、10μm、20μm、25μm、30μm、50μmの5種類とした。またそのCV積(1g当たりの容量:Capacitanceと電圧:Voltageの積。単位はCV/g)は、いずれの場合も約30,000CV/gであった。貫通孔を有し、あるいは貫通孔が設けられていない金属箔の一方の面上に、これらの金属粒子による層をそれぞれ厚さ100μmで形成し、焼結して多孔質体層とした。さらに多孔質体層の表面に、10Vの電圧を印加して陽極酸化により金属酸化物皮膜を形成するとともに、前記レジスト部により分離された金属箔の端部領域に幅0.8mmのアルミニウムのリードフレームを溶接により接合し、固体電解コンデンサの陽極部の素子を作製した。この素子を酸性電解質水溶液中に置いて静電容量を測定し、洗浄して乾燥させた。
同様に、金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定されたメジアン径を平均粒径として、100μm、200μm、250μm、300μm、500μmの5種類のタンタル粉末からなる金属粒子の層を印刷法により作製して焼結することにより、金属による多孔質体層をそれぞれ形成した。ここで一般に金属粒子からなる多孔体質層の厚さの下限はその層を構成する金属粒子の粒径の2倍程度であり、それより薄い金属粒子の層を形成することは困難である。このことから、前記粒径の金属粒子の層の厚さはいずれも100μmよりも厚くして、それぞれ順に200μm、250μm、300μm、500μm、1000μmの5種類とした。
さらにこれらの素子の多孔質体層に金属酸化物皮膜を形成し、次いで化学酸化重合の方法によって、多孔質体層を導電性高分子前駆体溶液と酸化剤溶液とに交互に浸漬し、酸化重合反応によって多孔質体層の微細な孔の内部に固体電解質層を形成させた後に乾燥させた。さらに多孔質体層の上面に、グラファイトペーストおよび銀ペーストをそれぞれ順番に塗布して焼結することにより、10μm厚さのグラファイト層、15μmの銀ペースト層をそれぞれ形成して陰極部とした。ここで作製したコンデンサの素子の高さは使用した各素子や作製した各層の高さの合計であり、多孔質体層の厚さが100μmの場合は145μmであった。最後に外部陽極端子および外部陰極端子を備え、絶縁層としてエポキシ樹脂の層を有する基板を用意した。そこに銀ペーストによる導電性接着剤を用いてコンデンサ素子を固定して、陽極部および陰極部からの電気的な接続を行った。さらにトランスファーモールド技術によってエポキシ樹脂によるコンデンサ素子の封止を行い、箔形素子固体電解コンデンサを作製した。
以上の方法により作製した箔形素子固体電解コンデンサの作製条件は、比較例1が直径が平均20μmの2,500本の貫通孔を有する前記金属箔を用い、平均粒径が10μmの金属粉末により厚さ100μmの多孔質体層を形成したものである。また比較例2が同じ金属箔を用いて同じ厚さの多孔質体層での平均粒径を20μmとしたもの、実施例1が同じく25μmとしたもの、実施例2が同じく30μmとしたもの、実施例3が同じく50μmとしたものである。また実施例4は多孔体質層の厚さを200μmとして平均粒径を100μmとしたものであり、さらに実施例5が厚さ300μmで平均粒径を150μmとしたもの、実施例6が厚さ500μmで平均粒径を250μmとしたもの、実施例7が厚さ600μmで平均粒径を300μmとしたもの、比較例3が厚さ1000μmで平均粒径を500μmとしたものである。また比較例4として貫通孔を設けていない金属箔を用い、多孔質体層での平均粒径を25μmとしたものを作製した。
これら11種類の各実施例、比較例においてそれぞれ10個の試料を作製した。作製した各試料についてそれぞれ静電容量を測定し、先に測定した固体電解質層の形成前の静電容量(理論容量)との比率を求め、被覆率を得た。各実施例、比較例における10個の試料の理論容量、静電容量および被覆率の値の各々の平均値をそれぞれ表1に示す。なお理論容量、静電容量の値はそれぞれ120Hzの交流電流を印加して測定したものである。
(実施例8〜14、比較例5〜8)
前記実施例1〜7、比較例1〜4で用いたものと全く同じ材質および寸法であって、同じく直径が平均20μmの2,500本の貫通孔を設けたタンタル金属箔を用意し、これをもとに固体電解コンデンサの素子を作製し、エポキシ樹脂による封止を行ってその被覆率を算出した。前記実施例および比較例の場合との構成上の違いは、金属箔の片面のみではなく、その両面の面上にそれぞれレジスト部および多孔質体層を設けていることである。なお、作製の途中で各試料の理論容量の測定を行っている。
ここで、多孔質体層を形成するタンタル金属粉末の平均粒径(10μm〜500μmの範囲の計10種類)および多孔質体層の1層の厚さ(100μm〜1000μm範囲の計6種類)やCV積(約30,000CV/g)、リードフレームの材質や寸法形状、金属酸化物皮膜形成の際の印加電圧や固体電解質層の形成方法、および陰極部を構成するグラファイト層や銀ペースト層の各層の厚さ(それぞれ10μm、15μm)の各条件は、前記実施例および比較例の場合と同様である。ただし陰極部は金属箔の両側の多孔質体層の面上にそれぞれ設けられており、従って1個のコンデンサ素子に2層ずつ存在する。作製したコンデンサ素子の高さは使用した各素子や作製した各層の高さの合計であり、多孔質体層と陰極部が2層ずつ存在することから1層の多孔質体層の厚さが100μmの場合は270μmであった。最後に基板との電気的接続や固定やエポキシ樹脂による封止を行い、箔形素子固体電解コンデンサを作製した。なお陰極層が金属箔の両側に存在するために、外部陰極端子はコンデンサの両側に2箇所設けられている。
以上の方法により作製した箔形素子固体電解コンデンサは、比較例5が貫通孔を有する金属箔を用い、厚さ100μmの多孔質体層での平均粒径を10μmとしたもの、比較例6が同じ金属箔を用いて同じ厚さの多孔質体層での平均粒径を20μmとしたもの、実施例8が同じく25μmとしたもの、実施例9が同じく30μmとしたもの、実施例10が同じく50μmとしたものである。また実施例11は多孔体質層の厚さを200μmとして平均粒径を100μmとしたものであり、さらに実施例12が厚さ300μmで平均粒径を150μmとしたもの、実施例13が厚さ500μmで平均粒径を250μmとしたもの、実施例14が厚さ600μmで平均粒径を300μmとしたもの、比較例7が厚さ1000μmで平均粒径を500μmとしたものである。また比較例8として貫通孔を設けていない金属箔を用い、多孔質体層での平均粒径を25μmとしたものを作製した。
これら11種類の各実施例、比較例においてそれぞれ10個の試料を作製し、各試料についてそれぞれ同様に静電容量を測定して理論容量との比率を求めて被覆率を得た。各実施例、比較例における10個の試料の理論容量、静電容量および被覆率の値の各々の平均値をそれぞれ表1に示す。
(実施例15〜20、比較例9〜12)
前記実施例1〜7、比較例1〜4で用いたものと全く同じ材質および寸法で、貫通孔のないタンタル金属箔を用意し、これをもとに固体電解コンデンサの素子を作製し、エポキシ樹脂による封止を行ってその被覆率を算出した。前記の場合との構成上の違いは、多孔質体層を金属箔の片面のみの2層構成として、そのうち金属箔に面している側の層(第1の多孔質体層)に金属箔から延在する貫通孔を設けていることである。この構成とするために金属箔には当初は貫通孔を設けずに、その片面に第1の多孔質体層を設けた後で、多孔質体層を含めて金属箔を貫く貫通孔を形成することとした。ここで第1、第2の多孔質体層の合計の厚さを前記各実施例、従来例の場合と同じ100μm〜1000μm範囲の計6種類としており、第1、第2の多孔質体層の各層の厚さは同じで、それぞれ合計の厚さの半分である。金属箔の外形寸法、多孔質体層のCV積、金属酸化物皮膜形成の際の印加電圧や固体電解質層の形成方法、リードフレームやグラファイト層、銀ペースト層の厚さ、エポキシ樹脂による封止方法などは前記各実施例および比較例の場合と同様である。なお作製の途中で各試料の理論容量の測定を行っている。
各実施例および比較例の固体電解コンデンサ素子の作製方法は以下の通りである。まず貫通孔を設けていない金属箔の片面にレジスト部を設け、次いで5.0mm×5.0mmの領域に、タンタル金属粉末による所定の厚さの第1の多孔質体層を焼結により形成した。このときの金属粉末の平均粒径は10μm〜250μmの範囲の9種類とした。次いで金属箔のうち幅5.0mm、長さ5.0mmの領域に、前記と同様の方法にて直径が平均20μmの貫通孔を2,500本設けた。このときの貫通孔の密度は10,000本/cm2であった。次いで貫通孔が形成された第1の多孔質体層の上面に、第1の層と同じ粒径、同じ厚さの第2の多孔質体層をさらに設けてそれぞれ焼結を行った。その後の一連の箔形素子固体電解コンデンサの作製手順および評価方法は、全て前記各実施例、従来例の場合と同一である。また作製したコンデンサ素子の高さも同様であり、第1、第2の多孔質体層の各層の厚さが50μmの場合は145μmであった。
以上の方法により作製した箔形素子固体電解コンデンサは、比較例9が金属箔および厚さ50μmの第1の多孔質体層に貫通孔を形成し、その上面に同じ厚さの第2の多孔質体層を形成して、2層の多孔質体層での平均粒径をそれぞれ10μmとしたものである。また比較例10が比較例9と同じ厚さの多孔体質層を形成して各々の平均粒径を20μmとしたもの、実施例15が同じく25μmとしたものである。また実施例16は各層の多孔体質層の厚さをそれぞれ60μmとして平均粒径を30μmとしたものであり、さらに実施例17が各層の厚さが100μmで平均粒径を50μmとしたもの、実施例18が各層の厚さが200μmで平均粒径を100μmとしたもの、実施例19が各層の厚さが250μmで平均粒径を125μmとしたもの、実施例20が各層の厚さが300μmで平均粒径を150μmとしたもの、比較例11が各層の厚さが500μmで平均粒径を250μmとしたものである。
また比較例12として貫通孔を設けていない金属箔を用い、多孔質体層の各層の厚さが100μmで平均粒径を25μmとしたものを作製した。なおこの比較例12は金属箔の片面に設けられた多孔質体層がそれぞれ2層の複層構造となっている他は、前記比較例4の場合と同じ形状である。これら10種類の各実施例、比較例においてそれぞれ10個の試料を作製し、各試料についてそれぞれ同様に静電容量を測定して理論容量との比率を求めて被覆率を得た。各実施例、比較例における10個の試料の理論容量、静電容量および被覆率の値の各々の平均値をそれぞれ表1に示す。
(実施例21〜26、比較例13〜16)
前記実施例8〜14、比較例5〜8と同じく金属箔の両側に多孔質体層を形成するとともに、金属箔の表裏両面の多孔質体層をそれぞれ2層構成として、各多孔質体層のうちの内側の2層(第1の多孔質体層)にまで貫通孔が延在するようにした。従って金属箔に設けられた貫通孔は、両面の内側の2層の多孔質体層と金属箔の計3層をそれぞれ貫く構成である。金属箔および第1の多孔質体層に貫通孔を形成する手順、貫通孔を形成する領域、形成した貫通孔の直径および密度に関しては、前記実施例15〜20および比較例9〜12における方法と同じである。また2層構成の第1、第2の多孔質体層の合計の厚さも前記の各実施例、従来例の場合と同じであり、100μm〜1000μm範囲の計6種類である。また第1、第2の多孔質体層の各層の厚さも同じであり、それぞれ合計の厚さの半分である。
ここで金属箔の外形寸法、多孔質体層のCV積、金属酸化物皮膜形成の際の印加電圧や固体電解質層の形成方法、リードフレームやグラファイト層、銀ペースト層の厚さや寸法、エポキシ樹脂による封止方法などの各条件は、前記実施例8〜14、比較例5〜8の場合と同様である。また多孔質体層を形成するタンタル金属粉末の平均粒径の条件は、10μm〜250μmの範囲の9種類である。ここで前記実施例15〜20および比較例9〜12の場合と同様に、陰極部は金属箔の両側の多孔質体層の面上にそれぞれ1層ずつ設けられている。作製したコンデンサ素子の高さは使用した各素子や作製した各層の高さの合計であり、第1、第2の多孔質体層の各層の厚さが50μmの場合は270μmであった。最後に基板との電気的接続や固定、およびエポキシ樹脂による封止を行い、箔形素子固体電解コンデンサを作製した。なお外部陰極端子はコンデンサの両側に2箇所設けられている。
以上の方法により作製した箔形素子固体電解コンデンサは、比較例13が金属箔およびその両側に設けられた厚さ50μmの第1の多孔質体層に貫通孔を形成し、その両面にそれぞれ同じ厚さの第2の多孔質体層を形成して、4層の多孔質体層での平均粒径を10μmとしたものである。また比較例14が比較例13とそれぞれ同じ厚さの4層の多孔体質層を形成して各々の平均粒径を20μmとしたもの、実施例21が同じく25μmとしたものである。また実施例22は各層の多孔体質層の厚さをそれぞれ60μmとして平均粒径を30μmとしたものであり、さらに実施例23が各層の厚さが100μmで平均粒径を50μmとしたもの、実施例24が各層の厚さが200μmで平均粒径を100μmとしたもの、実施例25が各層の厚さが250μmで平均粒径を125μmとしたもの、実施例26が各層の厚さが300μmで平均粒径を150μmとしたもの、比較例15が各層の厚さが500μmで平均粒径を250μmとしたものである。
また比較例16として貫通孔を設けていない金属箔を用い、多孔質体層の各層の厚さが100μmで平均粒径を25μmとしたものを作製した。なおこの比較例16は金属箔の両面に設けられた多孔質体層がそれぞれ2層の複層構造となっている他は、前記比較例8の場合と同じ形状である。これら10種類の各実施例、比較例においてそれぞれ10個の試料を作製し、各試料についてそれぞれ同様に静電容量を測定して理論容量との比率を求めて被覆率を得た。各実施例、比較例における10個の試料の理論容量、静電容量および被覆率の値の各々の平均値をそれぞれ表1に示す。
Figure 2010098163
表1は前記の通り金属箔に貫通孔を設けた上で、多孔質体層を構成する金属粉末の平均粒径を変えて、各々の条件での箔形素子固体電解コンデンサの被覆率を求めて示したものである。その作製条件は、多孔質体層を金属箔の片面に設けた場合、金属箔の両面に設けた場合、多孔質体層を2層構造として金属箔の片面に設け、内側の多孔質体層にも貫通孔を設けた場合、同じく2層構造の多孔質体層を金属箔の両面に設けた場合の4種類である。なお表1の比較例4、8、12、16は金属箔や多孔質体層に貫通孔を設けない場合であって、従来の固体電解コンデンサの場合に相当する。前記比較例4、8、12、16では被覆率はいずれも80〜81%であり、これにより金属箔に貫通孔を設けない場合は80%程度が箔形素子固体電解コンデンサの被覆率の上限であることが分かる。なお実施例1〜7、比較例1〜4では多孔質体層は1層のみであるが、実施例8〜20、比較例5〜12では2層、実施例21〜26、比較例13〜16では4層存在するため、素子高さの値はそれぞれ1層のみの場合よりも大きくなっている。
なお判定の項目には、従来の被覆率の上限であった80%よりも被覆率が有意に向上した場合に「○」、そうでない場合には「×」を記した。具体的には10%以上の向上率である、被覆率が88%以上となった場合を「○」とした。結果として本願発明の条件によって固体電解コンデンサを作製した、実施例1〜26の場合にはいずれも被覆率が95%もしくはそれ以上であり、「○」の判定となった。なお多孔体質層の厚さが大きい比較例3、7、11、15の場合にはいずれも被覆率が94%程度であり、この数値のみから判断すると十分に良好な値が得られている。しかしこの場合は箔形素子固体電解コンデンサの素子高さが大きく、多孔体質層を金属箔の片側に設けたもので1mm以上、両側に設けたものでは2mm以上となっている。素子高さがここまで大きいと柱体素子固体電解コンデンサと比較しての使用上の利点が得られないので、この場合は判定を「△」とした。
ここで表1の実施例1〜7、比較例1〜4に着目すると、比較例4の金属箔に貫通孔を設けない場合の被覆率は80%である。一方、金属箔に貫通孔を設けても、多孔質体層の平均粒径が貫通孔の直径よりも小さいかあるいは同程度である比較例1、2の場合には、被覆率は81〜84%であった。つまりこの場合には被覆率が比較例4よりも多少は向上するものの、大きく改善することはなかった。これは、多孔質体層の作製時にそれを構成するタンタル金属粉末が金属箔に設けた貫通孔内に流入して、貫通孔の内部を充填してしまうためであると考えられる。本発明では多孔質体層を構成する金属粒子の平均粒径をそのメジアン径により定義しているために、貫通孔の直径と金属粒子の平均粒径が同じ場合には貫通孔の直径よりも粒径の小さな金属粒子が相当程度存在して、これが貫通孔内部に流入するものと考えられる。金属箔に設けた貫通孔が充填されると実質的に比較例4の場合との違いが小さくなるため、被覆率の改善も小さくなる。
しかし、金属粒子の平均粒径が金属箔の貫通孔の直径を上回る場合にはこの貫通孔の充填は生じず、貫通孔は多孔質体層内部の微細な孔に対する空気の逃げ道としての役割を果たすものと考えられる。この貫通孔により、微細な孔の内部でも導電性高分子前駆体溶液などの十分な浸透が可能となって、孔の奥にまで固体電解質層が形成されるようにして、固体電解コンデンサとしての被覆率を大きく向上させることができる。表1の実施例1〜7ではいずれもその被覆率は95%以上であり、比較例4の場合に比べて20%程度も被覆率が向上した。これにより、金属箔に貫通孔を設けることは、箔形素子固体電解コンデンサの被覆率の改善において、有効な手段であることが分かる。
また多孔質体層を構成する金属粒子の平均粒径には前記貫通孔の直径に関係する下限があるものの、粒径を大きくしても被覆率は大きいままであり、この観点からの上限はとくに存在しない。しかしながら構成粒子の粒径が大きい多孔体質層は厚くしなければならないため、素子高さが小さいという箔形素子固体電解コンデンサの利点が失われてしまう。比較例3は金属粒子のメジアン径を500μmと極度に大きくした場合である。この場合は被覆率などの電気的特性の面では良好であるものの、素子高さが大きくなるため、この点での柱体素子固体電解コンデンサに対する優位性が小さくなる。従って多孔質体層を1層とした場合の構成粒子として使用可能な金属粒子のメジアン径の上限は、表1によれば比較例3より小さな値である、実施例7の場合の300μm程度となると考えられる。
なお、比較例1、2および実施例1〜3を見ると、多孔質体層の厚さが同じであれば、それを構成する金属粒子の平均粒径が大きくなるにつれて、その理論容量は少しずつ低下することが分かる。この傾向は実施例4〜7や比較例3など、多孔質体層を厚くした場合でも固体電解コンデンサの単位厚さ当たりの理論容量を考えれば同様である。また多孔質体層を金属箔の両側に設けたり、多孔質体層を2層構成とした他の実施例、比較例の条件の場合にも同様である。これは金属粒子の平均粒径が大きくなるに伴い、その微細な孔を含めた多孔質体層における表面積が小さくなるためであると考えられる。しかしながら、実施例1〜7の中で平均粒径が最大の300μmである実施例7の場合においても、その静電容量の実測値は比較例1、2、4のいずれをも上回っている。従って金属箔に貫通孔を設けるという本発明の構成が、被覆率の改善だけではなく、同じ体積の箔形素子固体電解コンデンサの静電容量の向上においても有効であるといえる。
次に、表1の実施例8〜14、比較例5〜8について検討する。これらは箔形素子固体電解コンデンサにおいて、貫通孔を設けた金属箔の両面に多層質体層を設けたものであり、金属箔の両面に形成した多孔質体層が2箇所の陰極部との間にそれぞれ静電容量を有する構成である。そのためコンデンサ素子の素子高さは実施例1〜7、比較例1〜4の場合の2倍弱まで大きくなっており、またその容量も2倍弱まで向上している。この場合も表1の実施例8〜14ではいずれも被覆率が95%以上であって、比較例8の場合に比べて20%程度も向上した。従って金属箔に貫通孔を設けることは、多孔質体層を金属箔の両側に設ける箔形素子固体電解コンデンサの場合にも、その被覆率の改善やそれによる静電容量の向上において、やはり有効な手段であることが分かる。なお、比較例7は比較例3と同じく金属粒子のメジアン径を500μmと極度に大きくした場合である。この場合にも素子高さの問題を考慮すると、構成粒子として使用できる金属粒子のメジアン径の上限は、表1によれば実施例14の場合の300μm程度となると考えられる。
さらに、表1の実施例15〜20、比較例9〜12および実施例21〜26、比較例13〜16について検討する。これらは箔形素子固体電解コンデンサにおいて、多孔質体層を2層構造とした上で、そのうち金属箔に近い側の多孔質体層にも金属箔の貫通孔を延在させた構成としたものである。ここで実施例15〜20、比較例9〜12は多孔質体層を金属箔の片側のみに設けた場合、実施例21〜26、比較例13〜16は金属箔の両側に設けた場合である。ここで表1の実施例15〜26ではいずれも被覆率が96%以上であって、比較例12、16の場合と比べてやはり20%程度向上している。従って金属箔に貫通孔を設けることは、多孔質体層を2層構成とした箔形素子固体電解コンデンサの場合にも、その被覆率の改善やそれによる静電容量の向上において、同様に有効な手段であることが分かる。ここで比較例11、15は前記と同様に金属粒子のメジアン径を250μmと大きくした場合である。この場合にも素子高さの問題を考慮すると、構成粒子として使用できる金属粒子のメジアン径の上限は、表1によれば実施例20、26の場合の300μm程度となると考えられる。
なお、多孔質体層の1層の厚さが50μm(即ち電極箔の片側の多孔質体層の厚さの合計が100μm)である実施例15、21の場合を前記実施例1〜3、8〜10と比較すると、若干ではあるが被覆率がさらに向上していることが分かる。この被覆率のさらなる向上は、金属箔に設けられた貫通孔をさらに多孔質体層の内部に延在させたことにより、多孔質体層と接する領域の貫通孔の面積が増加して、多孔質体層内部の微細な孔からの空気の逃げ道としての貫通孔の役割がさらに強化されたためと考えられる。この被覆率のさらなる向上は、箔形素子固体電解コンデンサの静電容量の向上にも寄与している。
以上、表1に示した本発明における箔形素子固体電解コンデンサの各実施例における高い被覆率の値は、柱体素子固体電解コンデンサにも匹敵、もしくは上回るものである。従って、薄型の素子が形成可能という特徴を有する箔形素子固体電解コンデンサにおいても、柱体素子固体電解コンデンサと同等以上の高い被覆率や、それによる静電容量の向上を実現することができる。また、表1に示した各実施例、比較例では、多孔質体層の微細な孔の内部に固体電解質層を形成する方法として化学酸化重合による方法を実施したが、それ以外の電解重合による方法や、導電性高分子溶液に陽極体を浸漬する方法を行ってもよい。いずれの方法により固体電解質層を形成した場合にも、表1の各実施例の場合と同様に、高い被覆率を実現した箔形素子固体電解コンデンサを作製することが可能である。
以上説明したように、本発明に係る箔形素子固体電解コンデンサにおいては、その陽極部を構成する金属箔に複数の貫通孔を設けるとともに、多孔質体層を形成する金属粒子の平均粒径(メジアン径)を前記貫通孔の直径よりも大きなものとする。また前記貫通孔を多孔質体層の一部にまで延在させてもよい。これにより、同じ寸法のコンデンサ素子を用いた場合と比べてその被覆率を大きく向上させることができ、またそれにより静電容量を増加させることも可能である。また、上記説明は、本発明の実施の形態に係る場合の効果について説明するためのものであって、これによって特許請求の範囲に記載の発明を限定し、あるいは請求の範囲を減縮するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
本発明の実施の形態における、箔形素子固体電解コンデンサの素子の例を構成する陽極体の上面図。 図1の箔形素子固体電解コンデンサの素子の例の、A−Aにおける断面図。 図2の箔形素子固体電解コンデンサの素子の例の組立図。
符号の説明
1 リードフレーム
2 金属箔
3 レジスト部
4 多孔質体層
5 貫通孔
6 陰極部

Claims (7)

  1. 金属箔の一方の面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、
    前記金属箔にはその両面に垂直な方向に貫通する複数の貫通孔が設けられており、前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、いずれも前記多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりも小であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 金属箔の両面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、
    前記金属箔にはその両面に垂直な方向に貫通する複数の貫通孔が設けられており、前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、いずれも前記多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりも小であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  3. 前記多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径が、25μmないし300μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 金属箔の一方の面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、
    前記多孔質体層が複数の多孔質体層を積層したものであり、前記複数の多孔質体層のうち、前記金属箔の一面に接触して形成された第1の多孔質体層に、前記金属箔に設けられた複数の貫通孔がそれぞれ延在しており、前記多孔質体層の面上に、さらに金属粒子を有する第2の多孔質体層が形成されてなり、
    前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、いずれも前記第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりも小であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  5. 金属箔の両面に、金属粒子を焼結してなる多孔質体層を設けて陽極体とした固体電解コンデンサであって、
    前記多孔質体層が複数の多孔質体層を積層したものであり、前記複数の多孔質体層のうち、前記金属箔の両面にそれぞれ接触して形成された第1の多孔質体層に、前記金属箔に設けられた複数の貫通孔がそれぞれ延在しており、前記第1のそれぞれの多孔質体層の面上に、さらに金属粒子を有する第2の多孔質体層がそれぞれ形成されてなり、
    前記各貫通孔の断面が略円形であって、前記各貫通孔の直径が、前記第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径よりもいずれも小であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  6. 前記第1および第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子を、レーザー回折・散乱法により測定して得られたそれぞれのメジアン径が、互いに異なることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記第2の多孔質体層に用いられる前記金属粒子をレーザー回折・散乱法により測定して得られたメジアン径が、25μmないし150μmであることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
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