JP2011233739A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡便に導電性高分子層が形成でき、また、低ESRかつ低LCである固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】 弁作用金属多孔質体1表面に誘電体酸化皮膜層2を形成する工程と、導電性高分子懸濁溶液に浸漬し、誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子層3を形成する工程と、導電性高分子層上に陰極層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、誘電体酸化皮膜層上に付着した導電性高分子懸濁溶液が完全に乾燥硬化する前に、導電性高分子懸濁溶液に溶解しない有機物粉末を導電性高分子懸濁溶液表面に付着させる工程と、導電性高分子懸濁溶液を乾燥硬化させ、導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層表面に残った有機物粉末を、有機物粉末のみが溶解する溶媒を用いて取り除く工程を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導電性高分子を用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高速化、デジタル化に伴って固体電解コンデンサの分野においても小型、大容量で高周波領域での等価直列抵抗(以下ESR)の低いコンデンサが強く要求されている。小型、大容量で高周波領域での低ESRのコンデンサとして、電解質に導電率の高いポリピロールやポリチオフェンなどの導電性高分子を用いたアルミニウム及びタンタル固体電解コンデンサが知られている。
従来、固体電解コンデンサの電解質である導電性高分子層は、弁作用金属多孔質体の誘電体酸化皮膜層上で、化学酸化重合法や電解重合法などの重合反応を用いて導電性高分子のモノマーから形成されている。しかし、近年、簡便に導電性高分子層を形成できることから、例えば、特許文献1に記載されているように、弁作用金属多孔質体の誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して形成する工法に大きな関心が持たれている。特許文献1の技術は、弁作用金属の誘電体酸化皮膜層上に、化学酸化重合法により第一の導電性高分子化合物層を形成する工程と、導電性高分子化合物懸濁水溶液に浸漬し、第一の導電性高分子化合物上に第二の導電性高分子化合物層を形成する工程と、第二の導電性高分子化合物上にグラファイト層と銀層からなる陰極層を形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して導電性高分子層を形成した固体電解コンデンサは、簡便に導電性高分子層を形成できるだけではなく、漏れ電流(以下LC)やESRの熱安定性が良いという特徴を持っている。
しかしながら、図4の従来の固体電解コンデンサの内部構造を示す模式部分断面図に示すように、導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して導電性高分子層3を形成した場合、導電性高分子層表面が凹凸のない平滑形状になるため、その直上のグラファイト層4や銀層5との機械的密着性が弱い。そのため、導電性高分子層3とグラファイト層4や銀層5間で界面抵抗が大きく、導電性高分子懸濁溶液を用いて導電性高分子層3を形成した固体電解コンデンサは、ESRが高い問題があった。
導電性高分子層表面を凹凸にする方法は、特許文献2や特許文献3に開示されている。特許文献2に記載の技術は、弁作用金属の誘電体酸化皮膜層上に、導電性高分子化合物層および陰極層をこの順に順次形成してなる固体電解コンデンサにおいて、導電性高分子化合物層表面に、陰極層との密着力強化用の凹凸を設けた固体電解コンデンサに関するものである。導電性高分子層は、化学酸化重合法により形成された第一の導電性化合物上に、導電性粉末を散在または層状となるように配設し、導電性粉末を少なくとも覆う第二の導電性高分子層とからなり、導電性高分子層表面に凹凸が形成されている。
特許文献3に記載の技術は、弁作用金属の誘電体酸化皮膜層上に、導電性高分子化合物層およびグラファイト層(カーボン層ともいう)と銀層からなる陰極層をこの順に順次形成してなる固体電解コンデンサにおいて、導電性高分子層は、陰極層側の表面に凹凸を有し、銀層は、凹凸を被覆するカーボン層の上に球状の銀粒子を主として含有して設けられた第一の銀層と、第一の銀層の上に板状の銀粒子を主として含有して設けられた第二の銀層とを有した固体電解コンデンサに関するものである。
特許第3202668号公報 特許第2765462号公報 特開2009−170897号公報
特許文献2に記載の技術のように導電性粉末を用いて、導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して形成する導電性高分子層の陰極側表面を凹凸にする場合、誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属多孔質体表面の穴を粉末が塞いでしまうため、弁作用金属多孔質体内部に導電性高分子懸濁溶液が浸透せず、弁作用金属多孔質体内部の誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子層が形成できない。そのため、得られる固体電解コンデンサは容量が小さくなる恐れがあった。
また、誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属多孔質体上に化学酸化重合法及び/又は電解重合法により第一の導電性高分子層を形成し、続いて、導電性粉末を散在または層状となるように配設し、その後、導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して導電性高分子層を形成した場合、弁作用金属多孔質体内部に導電性高分子懸濁溶液が浸透せず、第一の導電性高分子層と第二の導電性高分子層の繋がりが悪く、ESRが高くなる恐れがあった。
特許文献3に記載の技術によれば、導電性高分子層は、化学酸化重合法により形成された第一の導電性化合物上に、電解重合法により形成された第二の導電性高分子層とからなり、ブラスト法により第二の導電性高分子層表面に凹凸が形成されている。加工面にガラス、合成樹脂、固体金属、鉱物性又は植物性の研磨材を高速度で吹き付けるブラスト法を用いて導電性高分子層表面を凹凸にした場合、ブラスト法による衝撃により、導電性高分子層表面のみならず誘電体酸化皮膜層に欠陥ができ、得られる固体電解コンデンサのLCが大きくなる恐れがあった。
本発明の課題は、簡便に導電性高分子層が形成でき、また、低ESRかつ低LCとなる固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は弁作用金属多孔質体の表面に誘電体酸化皮膜層を形成する工程と、前記誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子層を形成する工程と、前記導電性高分子層上に陰極層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、前記導電性高分子層を形成する工程が、前記誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子懸濁溶液を付着させる工程と、前記誘電体酸化皮膜層上に付着した前記導電性高分子懸濁溶液が完全に乾燥硬化する前に、前記導電性高分子懸濁溶液に溶解しない有機物粉末を前記導電性高分子懸濁溶液表面に付着させる工程と、前記導電性高分子懸濁溶液を乾燥硬化させ、導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層表面に残った前記有機物粉末を、前記有機物粉末のみが溶解する溶媒を用いて取り除き前記導電性高分子層表面に凹部を設ける工程を含むことを特徴とする。
また、前記誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子懸濁溶液付着させる工程の前に、前記誘電体酸化皮膜層上に化学酸化重合法及び/又は電解重合法により第一の導電性高分子層を形成しても良い。
また、前記導電性高分子懸濁溶液は、ピロール、チオフェン、アニリンおよびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含むことが好ましく、前記導電性高分子懸濁溶液は、ポリ酸を少なくとも1種類以上含むことが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサは弁作用金属多孔質体の表面に誘電体酸化被膜層、導電性高分子層、陰極層が順次形成された固体電解コンデンサにおいて、前記導電性高分子層の表面に半球状の凹部を有することを特徴とする。
また、前記導電性高分子層の厚みが1〜50μmであり、前記誘電体酸化皮膜層表面から前記導電性高分子層表面に設ける凹部の最底部までの厚みが0.5μm以上であることが好ましい。さらに、前記陰極層は、グラファイト層及び/又は、銀層よりなることが好ましい。
本発明によれば、誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子懸濁溶液を付着させ、誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層表面に陰極層との密着力強化用の凹部を設ける工程を含む固体電解コンデンサの製造方法および導電性高分子層の表面に半球状の凹部を有する固体電解コンデンサにより、簡便に導電性高分子層が形成でき、また、低ESRかつ低LCである固体電解コンデンサが得られる。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法(実施例1)により作製した固体電解コンデンサの模式部分断面図。 本発明の固体電解コンデンサの製造方法(実施例2)により作製した固体電解コンデンサの模式部分断面図。 固体電解コンデンサの模式断面図。 従来の固体電解コンデンサの模式部分断面図。
以下、本発明の固体電解コンデンサおよびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、導電性高分子層の表面に陰極層との密着力強化用の凹部を設ける工程を含む以外は、基本的には従来の固体電解コンデンサの構成とほぼ同様である。即ち、形状、材質等も公知のものが採用でき、特に制限はない。
弁作用金属多孔質体は、弁作用を有する金属微粒子からなる焼結体、弁作用金属の板、箔もしくは線をエッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成される。弁作用金属には、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムまたはこれらの合金などが挙げられ、タンタル、アルミニウム、ニオブから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
誘電体酸化皮膜層は、弁作用金属体の表面を電解酸化させて形成した膜であり弁作用金属多孔質体内部の空孔部にも形成される。誘電体酸化皮膜層の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整できる。
次に、導電性高分子層の形成について説明する。導電性高分子層表面に陰極層との密着力強化用の凹部を設ける工程は、誘電体酸化皮膜層上に付着した導電性高分子懸濁溶液が完全に乾燥硬化する前に、導電性高分子懸濁溶液に溶解しない有機物粉末を導電性高分子懸濁溶液表面に付着させる工程と、導電性高分子懸濁溶液を乾燥硬化させ、導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層表面に残った有機物粉末を、有機物粉末のみが溶解する溶媒を用いて取り除く工程からなるため、誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属多孔質体表面の穴が目詰まりすることなく、弁作用金属多孔質体内部に導電性高分子懸濁溶液が浸透する。また導電性高分子層の表面の凹部は有機物粉末が溶解された跡となるため半球状の凹部となる。
そのため、弁作用金属多孔質体内部の誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子層が形成できるので、得られる固体電解コンデンサは十分な容量,低ESRを有する。誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子懸濁溶液に浸漬することにより導電性高分子層を形成する工程の前に、誘電体酸化皮膜層上に化学酸化重合法及び/又は電解重合法により第一の導電性高分子層を設けた場合においても、誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属多孔質体表面の穴が目詰まりすることなく、弁作用金属多孔質体内部に導電性高分子懸濁溶液が浸透するため、第一の導電性高分子層と、導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して形成する第二の導電性高分子層との繋がりが良く、得られる固体電解コンデンサは十分な容量、低ESRを有する。
また、上記凹部を設ける工程では、誘電体酸化皮膜層に機械的応力が伝わらないため、誘電体酸化皮膜層に欠陥ができず、得られる固体電解コンデンサは低LCとなる。
導電性高分子懸濁溶液の溶媒は水、アルコール、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコールなどの極性有機溶媒、水と極性有機溶媒の混合溶媒が好ましいが、導電性高分子懸濁溶液の乾燥工程に出てくる溶媒蒸気の排気設備設置の簡易さ、環境負荷の低さ、除去の容易さの観点から水であることが特に好ましい。
有機物粉末のみが溶解する溶媒は、導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して形成する導電性高分子層が溶解しなければ特には制限がない。溶媒の除去の容易さの観点からアルコールであることが特に好ましい。
本発明の導電性高分子層表面に前記陰極層との密着力強化用の凹部を設ける工程に用いられる有機物粉末としては、導電性高分子懸濁溶液の溶媒に溶解せず、導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して形成する導電性高分子層が溶解しない溶媒に溶解すれば特に制限がない。導電性高分子懸濁溶液の溶媒として好ましい水に溶解せず、有機物粉末のみが溶解する溶媒として好ましいアルコールに溶解する、例えば、イソフタル酸、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,12−ドデカンジアミンなどが特に好ましい。有機物粉末は市販のものをそのまま使用した。
有機物粉末を、誘電体酸化皮膜層上に付着した導電性高分子懸濁溶液が完全に乾燥硬化する前に、導電性高分子懸濁溶液表面に付着させる方法には特に制限はないが、例えば、有機物粉末を大気中に飛散させ、その大気中を導電性高分子懸濁溶液が完全に乾燥硬化する前の弁作用金属多孔質体を通過させる方法が挙げられる。
導電性高分子層は厚みが厚すぎるとESRが高くなる。また、薄すぎるとESRの熱安定性が悪くなる。そのため、導電性高分子層の厚みは1〜50μmであることが好ましい。低ESRの観点から1〜20μmであることが特には好ましい。ここで厚みとは、弁作用金属多孔質体外表面の誘電体酸化皮膜層表面から導電性高分子層表面までの平均厚さとする。
また、導電性高分子層の厚みが薄すぎると、陰極層のグラファイト粒子や銀粒子が誘電体酸化皮膜層まで到達しLCが高くなってしまう。そのため、誘電体酸化皮膜層表面から導電性高分子層表面に設ける凹部の最底部までの厚みが0.5μm以上であることがLCの観点から好ましい。
本発明の導電性高分子懸濁溶液に用いられる導電性高分子はピロール、チオフェン、フラン及びこれらの誘導体のポリマーが好ましいが、導電性及び耐熱性の観点から3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマーであることが特に好ましい。
導電性高分子懸濁溶液の導電性高分子のドーパントとして、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸などのポリ酸を1種類以上含むことが好ましいが、導電性高分子粒子の溶液への分散性及び導電性の観点からポリスチレンスルホン酸が特に好ましい。
導電性高分子層上に形成する陰極層については、従来の技術が採用できる。即ち、グラファイト層、銀層を導電性高分子層上に形成して陰極層とすることができるが、特に限定はされない。
以下に、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。尚、導電性高分子懸濁液はここでは市販のPEDOT−PSS溶液を用いた。
(実施例1)
図1に本発明の実施例1の固体電解コンデンサの製造方法により作製した固体電解コンデンサの模式部分断面図を示す。また、図3に固体電解コンデンサの模式断面図を示す。
弁作用金属多孔質体1にタンタル微粉末の焼結体を選択した。図3に示すように、本発明の実施例1に係る固体電解コンデンサは、陽極側電極としての弁作用金属多孔質体1と、この弁作用金属多孔質体1の表面を陽極酸化して得た誘電体酸化皮膜層2と、固体電解質として導電性高分子層3と、グラファイト層4及び/又は銀層5からなる陰極層、導電接着剤6および外部電極7、外装樹脂9から構成されている。
固体電解コンデンサを製造する方法は、タンタル微粉末の焼結体(縦4.5mm、横3.6mm、厚さ0.9mm)を、リン酸水溶液中、10Vで陽極酸化し、タンタル微粉末表面全体が誘電体酸化皮膜層2で被覆されたペレットを得た。次に、ポリスチレンスルホン酸を含む導電性高分子懸濁水溶液にペレットを浸漬・引き上げた後、25℃、60%R.H.の雰囲気下で30分間乾燥を行い、ペレットに付着した導電性高分子懸濁水溶液を半乾燥状態とした。その半乾燥状態のペレットを、微細なイソフタル酸粉末(粒子径0.5μm〜1μm)が飛散しているケース内(微粒子の大気濃度範囲を0.001〜0.017g/Lに設定)を通過させ、ペレット上の導電性高分子懸濁水溶液表面にイソフタル酸粉末を付着させた。次に、そのイソフタル酸粉末を付着させたペレットを、125℃、1時間で乾燥硬化させて導電性高分子層3を形成した。導電性高分子層3を完全に乾燥硬化した後、ペレットをエタノールに30分間浸漬させ、導電性高分子層3表面からイソフタル酸粉末を溶解・除去し、導電性高分子層3表面に陰極層との密着力強化用の凹部を設けた。形成した導電性高分子層の厚みは1μm、ペレット表面から導電性高分子層表面に設けた凹部の最底部までの厚みは0.5μmであった。
続いて、導電性高分子層3の上にグラファイト層4と銀層5からなる陰極層、導電接着剤6および外部電極7、外装樹脂9を順番に形成し、固体電解コンデンサを製造した。製作個数は100とした。
製造した固体電解コンデンサは、120Hzの周波数で容量を、100kHzの周波数でESRを、2.5V印加後30秒後のLCを測定した。測定結果を表1に示した。測定値は100個の平均値で示した。
(実施例2)
図2に本発明の実施例2の固体電解コンデンサの製造方法により作製した固体電解コンデンサの模式部分断面図を示す。
化学酸化重合法により第一の導電性高分子層3Aを形成した後、導電性高分子懸濁水溶液を塗布・乾燥して導電性高分子層を形成した以外には、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
弁作用金属多孔質体1にタンタル微粉末の焼結体を選択した。タンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、10Vで陽極酸化し、タンタル微粉末表面全体が誘電体酸化皮膜層2で被覆されたペレットを得た。次に、酸化剤である20質量%のp−トルエンスルホン酸第二鉄エタノール溶液にこの誘電体酸化皮膜層2で被覆されたペレットを10分間浸漬し、60℃で30分乾燥させた後、3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液に10分間浸漬して室温で30分間保持して3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。これら酸化剤の充填および乾燥、3,4−エチレンジオキシチオフェンの充填を行う一連の重合操作を5回繰り返して、導電性ポリエチレンジオキシチオフェン層からなる化学重合からなる第一の導電性高分子層3Aを形成した。
次に、ポリスチレンスルホン酸を含む導電性高分子懸濁水溶液にペレットを浸漬・引き上げた後、25℃、60%R.H.の雰囲気下で30分間乾燥を行い、ペレットに付着した導電性高分子懸濁水溶液を半乾燥状態とした。その半乾燥状態のペレットを、微細なイソフタル酸粉末が飛散しているケース内を通過させ、ペレット上の導電性高分子懸濁水溶液表面にイソフタル酸粉末を付着させた。次に、そのイソフタル酸粉末を付着させたペレットを、125℃、1時間で乾燥硬化させて導電性高分子層3を形成した。導電性高分子層3を完全に乾燥硬化した後、ペレットをエタノールに30分間浸漬させ、導電性高分子層3表面からイソフタル酸粉末を溶解・除去し、導電性高分子層3表面に陰極層との密着力強化用の凹部を設けた。形成した導電性高分子層3の厚みは1μm,ペレット表面から導電性高分子層3表面に設けた凹部の最底部までの厚みは0.5μmであった。
続いて、導電性高分子層3の上にグラファイト層4と銀層5からなる陰極層、導電接着剤6および外部電極7、外装樹脂9を順番に形成し、固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様にして、120Hzの周波数で容量を、100kHzの周波数でESRを、2.5V印加後30秒後のLCを測定した。
(実施例3)
導電性高分子層3の厚みを50μm,ペレット表面から導電性高分子層3表面に設けた凹部の最底部までの厚みを10μmにした以外には、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。導電性高分子層の厚みのコントロールは、使用する導電性高分子懸濁水溶液の濃度、付着量を計算し、調整を行った。また、導電性高分子層3表面に設けた凹部の最底部までの厚みのコントロールは、使用するイソフタル酸粉末の粒子径を40μm〜55μmに変更して調整を行った。実施例1と同様にして、120Hzの周波数で容量を、100kHzの周波数でESRを、2.5V印加後30秒後のLCを測定した。
(実施例4)
導電性高分子層3の厚みを20μm,ペレット表面から導電性高分子層3表面に設けた凹部の最底部までの厚みを10μmにした以外には、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。導電性高分子層の厚みのコントロールは、使用する導電性高分子懸濁水溶液の濃度、付着量を計算し、調整を行った。また、導電性高分子層3表面に設けた凹部の最底部までの厚みのコントロールは、使用するイソフタル酸粉末の粒子径を10μm〜15μmに変更して調整を行った。実施例1と同様にして、120Hzの周波数で容量を、100kHzの周波数でESRを、2.5V印加後30秒後のLCを測定した。
(実施例5)
導電性高分子層3の上に銀層5からなる陰極層を形成した以外には、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。形成した導電性高分子層3の厚みは1μm,ペレット表面から導電性高分子層3表面に設けた凹部の最底部までの厚みは0.5μmであった。実施例1と同様にして、120Hzの周波数で容量を、100kHzの周波数でESRを、2.5V印加後30秒後のLCを測定した。
(比較例1)
導電性高分子層3表面に前記陰極層との密着力強化用の凹部を設ける工程を行わない以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。形成した導電性高分子層3の厚みは1μmであった。実施例1と同様にして、120Hzの周波数で容量を、100kHzの周波数でESRを、2.5V印加後30秒後のLCを測定した。
(比較例2)
導電性高分子層表面に前記陰極層との密着力強化用の凹部を設ける工程を行わない以外は、実施例2と同様にして固体電解コンデンサを製造した。形成した導電性高分子層の厚みは1μmであった。実施例1と同様にして、120Hzの周波数で容量を、100kHzの周波数でESRを、2.5V印加後30秒後のLCを測定した。
Figure 2011233739
表1に示したように、本発明による固体電解コンデンサは、従来の方法により製造した固体電解コンデンサに比べて、ESR特性が良好な結果であった。容量、LC特性は従来の方法と同等である。本発明による効果は明らかである。
以上説明したように、導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して形成する導電性高分子層表面に、前記陰極層との密着力強化用の凹部を設けることにより、導電性高分子層と、その直上のグラファイト層や銀層との機械的密着性を強め、ESRを低くすることができる。
導電性高分子懸濁溶液を塗布・乾燥して形成する導電性高分子層表面に、前記陰極層との密着力強化用の凹部を設ける工程として、本発明の製造方法である、誘電体酸化皮膜層上に付着した導電性高分子懸濁溶液が完全に乾燥硬化する前に、導電性高分子懸濁溶液に溶解しない有機物粉末を導電性高分子懸濁溶液表面に付着させる工程と、導電性高分子懸濁溶液を乾燥硬化させ、導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層表面に残った有機物粉末を、有機物粉末のみが溶解する溶媒を用いて取り除く工程とすることで、弁作用金属多孔質体内部に導電性高分子懸濁溶液が浸透するので、容量が十分に大きく、ESRを低くすることができる。
また、本発明の製造方法では、機械的応力が誘電体酸化皮膜層に及ばないため、誘電体酸化皮膜層に欠陥ができず、LCが低い。このため、本発明による固体電解コンデンサは、簡便に導電性高分子層が形成でき、また、低ESRかつ低LCである。
以上の構成にすることにより、簡便に導電性高分子層が形成でき、また、低ESRである固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することができる。
1 弁作用金属多孔質体
2 誘電体酸化皮膜層
3 導電性高分子層
3A 第一の導電性高分子層
4 グラファイト層
5 銀層
6 導電接着剤
7 外部電極
8 弁作用金属リード
9 外装樹脂

Claims (7)

  1. 弁作用金属多孔質体の表面に誘電体酸化皮膜層を形成する工程と、前記誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子層を形成する工程と、前記導電性高分子層上に陰極層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、前記導電性高分子層を形成する工程が、前記誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子懸濁溶液を付着させる工程と、前記誘電体酸化皮膜層上に付着した前記導電性高分子懸濁溶液が完全に乾燥硬化する前に、前記導電性高分子懸濁溶液に溶解しない有機物粉末を前記導電性高分子懸濁溶液表面に付着させる工程と、前記導電性高分子懸濁溶液を乾燥硬化させ、導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層表面に残った前記有機物粉末を、前記有機物粉末のみが溶解する溶媒を用いて取り除き前記導電性高分子層表面に凹部を設ける工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子懸濁溶液を付着させる工程の前に、前記誘電体酸化皮膜層上に化学酸化重合法及び/又は電解重合法により第一の導電性高分子層を形成することを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記導電性高分子懸濁溶液は、ピロール、チオフェン、アニリンおよびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記導電性高分子懸濁溶液は、ポリ酸を少なくとも1種類以上含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 弁作用金属多孔質体の表面に誘電体酸化被膜層、導電性高分子層、陰極層が順次形成された固体電解コンデンサにおいて、前記導電性高分子層の表面に半球状の凹部を有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
  6. 前記導電性高分子層の厚みが1〜50μmであり、前記誘電体酸化皮膜層表面から前記導電性高分子層表面に設ける凹部の最底部までの厚みが0.5μm以上であることを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記陰極層は、グラファイト層及び/又は、銀層よりなることを特徴とする請求項5または6に記載の固体電解コンデンサ。
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