JP2013074032A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐久性を有する固体電解コンデンサを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、多孔質体からなる陽極体の表面に誘電体被膜を形成する工程と、陽極体上にシラン化合物を含有する密着層を形成する工程と、誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程とをこの順に備える。密着層を形成する工程は、陽極体をシランカップリング剤を含有する溶液に浸漬し、陽極体および溶液の少なくともいずれか一方を振動させる工程、および陽極体を溶液中に浸漬し、溶液を加熱する工程の少なくともいずれか一方の工程を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法であって、特に、シランカップリング剤を用いて、高い信頼性を有する固体電解コンデンサを製造する方法に関する。
従来より、コンデンサの小型化と大容量化を図るべく、様々なコンデンサが開発されている。なかでも、小型化に適したコンデンサとして、固体電解コンデンサが広く知られている。固体電解コンデンサは、陽極体と、陽極体上に設けられた誘電体被膜と、誘電体被膜上に設けられた固体電解質層を備えており、小型でありながら大容量であるという優れた性能を有している。
固体電解質層を構成する電解質としては、マンガン酸化物や導電性高分子などが広く用いられており、陽極体の材料としては、タンタル、ニオブ、アルミニウムまたはチタンなどの弁作用金属が広く用いられている。陽極体の材料を弁作用金属とすることにより、化成処理によって陽極体の表面に金属酸化物からなる誘電体被膜を均一に形成することができる。
上述の固体電解コンデンサにおいては、使用時間の長期化などに伴い、固体電解質層と誘電体被膜との密着性が低下する傾向があり、このため、静電容量の低下などの特性低下が問題となっている。この問題を解決する技術として、たとえば、特許文献1には、誘電体被膜と、導電性高分子からなる固体電解質層との間に、シランカップリング剤処理層を介在させて、誘電体被膜と固体電解質層との密着性を向上させる技術が開示されている。
特開2006−140443号公報
しかしながら、本発明者は、上記技術を用いても、密着性を十分に向上させることができない場合があることを種々の検討により知見した。このため、さらなる技術開発が望まれる。
上記事情に鑑み、本発明は、シランカップリング剤を用いて、高い信頼性を有する固体電解コンデンサを製造する、固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、多孔質体からなる陽極体の表面に誘電体被膜を形成する工程と、陽極体上にシラン化合物を含有する密着層を形成する工程と、誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、をこの順に備え、密着層を形成する工程は、陽極体をシランカップリング剤を含有する溶液に浸漬し、陽極体および溶液の少なくともいずれか一方を振動させる工程、および陽極体を上記溶液中に浸漬し、溶液を加熱する工程の少なくともいずれか一方の工程を含む、固体電解コンデンサの製造方法である。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、陽極体は100,000μFV/g以上のCV値を有する焼結体であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、誘電体被膜は金属酸化物からなり、固体電解質層は導電性高分子層からなることが好ましい。
上記固体電解コンデンサにおいて、溶液中におけるシランカップリング剤の濃度は0.1質量%以上であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法は、加熱する工程において、溶液の加熱温度が100℃未満であることが好ましい。
本発明によれば、高い信頼性を有する固体電解コンデンサを製造することができる。
実施の形態1で製造される固体電解コンデンサの一例を概略的に示す断面図である。 図1の固体電解コンデンサの製造方法の一例を示すフローチャートである。 図1の固体電解コンデンサの製造工程を概略的に示す断面図である。 図3(B)における領域Aの概略的な拡大図である。 陽極体を振動させる工程の一例を示す概略的な断面図である。 溶液を振動させる工程の一例を示す概略的な断面図である。 溶液を加熱する工程の一例を示す概略的な断面図である。
本発明者は、高い信頼性と大きい静電容量とを有する固体電解コンデンサを実現すべく、従来よりも粒子の小さい弁作用金属粒子を用いて陽極体を形成し、さらに、誘電体被膜と固体電解質層との間にシラン化合物を含有する密着層を形成することを検討した。これは、粒子の小さい弁作用金属粒子を焼結して陽極体を形成することにより、陽極体の表面積が増大して固体電解コンデンサの静電容量が大きくなるとともに、密着層を形成することにより、固体電解質層の剥離が抑制されて固体電解コンデンサの信頼性が向上することを期待したものである。
具体的には、本発明者は、100,000μFV/g程度のCV値を有する、タンタル粒子の焼結体からなる陽極体を準備し、シランカップリング剤を用いて密着層を形成して、所謂積層型の固体電解コンデンサを作製した(図1参照。)。しかしながら、上記固体電解コンデンサは、従来の固体電解コンデンサ、すなわち、50,000μFV/g程度のCV値を有する、タンタル粒子の焼結体からなる陽極体と密着層とを備える固体電解コンデンサと比較して、初期の静電容量は高くなるものの、静電容量の低下の程度が速い傾向にあることが確認された。
そこで、本発明者が粒径の異なる数種の弁作用金属粒子を用いて鋭意検討を行ったところ、粒径が小さくなるにつれて、換言すれば、陽極体のCV値が高くなるにつれて、静電容量の低下の程度がより大きくなる傾向にあることが確認された。この傾向から、本発明者は、弁作用金属粒子の粒径が小さくなるにつれて、シランカップリング剤を用いた上記密着層の機能が低下しているものと考察し、当該考察に基づいて鋭意検討を重ねた。そして、弁作用金属粒子の粒径が小さくなるほど焼結体からなる陽極体の内部にシランカップリング剤が浸透し難くなるために、陽極体の表面に十分に密着層を形成することができず、結果的に、固体電解コンデンサの信頼性が低下していることを知見した。
上記知見に基づいて本発明者はさらに鋭意検討を重ね、これにより、粒径が小さい弁作用金属粒子を用いたCV値の高い陽極体であっても、その内部にまで十分にシランカップリング剤を浸透させることができ、もって、所望の密着層が形成された、信頼性の高い固体電解コンデンサを製造する方法の発明を完成するに至った。
以下、図1〜図6を参照しながら、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の実施の形態を説明する。以下の実施の形態は一例であり、本発明の範囲内で種々の実施の形態での実施が可能である。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<実施の形態1>
まず、図1を用いて、本実施の形態の製造方法によって製造される固体電解コンデンサの構成について説明する。
図1は、実施の形態1で製造される固体電解コンデンサの構成の一例を概略的に示す断面図である。図1において、固体電解コンデンサは、陽極リード12が立設された陽極体11の表面に、誘電体被膜13、密着層14、固体電解質層15、およびカーボン層16および銀ペイント層17が順次形成されたコンデンサ素子10を備える。また、陽極リード12の陽極体11から露出する一端は、陽極端子18と電気的に接続されており、銀ペイント層17は、接着層19によって陰極端子20と電気的に接続されている。そして、コンデンサ素子10、陽極端子18の陽極リード12と接続する一端側、および陰極端子20の接着層19と接続する一端側は、外装樹脂21によって封止されている。
次に、図1〜図3を用いて、上記固体電解コンデンサの製造方法の一例について説明する。図2は、図1の固体電解コンデンサの製造方法の一例を示すフローチャートであり、図3は、図1の固体電解コンデンサの製造工程を概略的に示す断面図である。
(陽極体を形成する工程)
まず、図2および図3(A)に示すように、陽極リードが立設された陽極体11を形成する(ステップS1)。図2の陽極体11は、たとえば、以下のように形成することができる。
すなわち、まず、弁作用金属粒子を準備する。次に、棒状体の陽極リード12の一端側が上記粉末に埋め込まれた状態となるように、当該粉末を所望の形状、たとえば直方体形状に成形する。次に、成形された成形体を焼結して、多孔質構造の焼結体からなる陽極体11を形成する。
陽極体のCV値は特に制限されず、通常用いられる50,000μFV/g程度のCV値を有する陽極体を形成してもよく、あるいは、粒径の小さい弁作用金属粒子を用いることによって、100,000μFV/g以上のCV値を有する陽極体を形成してもよい。ただし、粒径の小さい弁作用金属粒子を用いて形成された、高いCV値を有する陽極体を有する固体電解コンデンサほど、本発明の効果をより顕著に発揮することができる点で、100,000μFV/g以上のCV値を有する陽極体を形成することが好ましい。たとえば、1μm以下の粒径の弁作用金属粒子を用いることにより、100,000μFV以上のCV値を有する陽極体を容易に形成することができ、0.5μm以下の粒径であることがより好ましい。なお、弁作用金属としては、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。固体電解コンデンサの漏れ電流をより小さくすることができる点で、Taを用いることがより好ましい。
陽極リード12の材料は特に限定されないが、陽極体11と同一の金属を用いることが製造工程上好ましい。また、陽極リード12の表面を形成する材料が、陽極体11と同一の金属であってもよい。
(誘電体被膜を形成する工程)
次に、図2および図3(B)に示すように、陽極体11の表面に誘電体被膜13を形成する(ステップS2)。誘電体被膜13は、たとえば、以下のように形成することができる。
すなわち、まず、アジピン酸アンモニウム水溶液、リン酸水溶液、硝酸水溶液などの化成処理液に陽極体11を浸漬し、該陽極体11に電圧を印加する。これにより、陽極体11の表面部分を構成する弁作用金属が酸化物へと変化して、陽極体11を構成する金属の酸化物からなる誘電体被膜13が形成される。図4は図3(B)における領域Aの概略的な拡大図であるが、図4に示すように、誘電体被膜13は多孔質構造の焼結体からなる陽極体11の表面全体を被覆している。具体的には、陽極体11がTa、Nb、Alからなる場合、第1誘電体被膜13aはそれぞれ、酸化タンタル(Ta25)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化アルミニウム(Al23)からなる。
(密着層を形成する工程)
次に、図2および図3(C)に示すように、誘電体被膜13上にシラン化合物を含有する密着層14を形成する(ステップS3)。密着層14は、たとえば、本工程において、図5に示すような陽極体を振動させる工程を含むことによって形成することができる。以下に、図5を参照しながら陽極体を振動させる工程について説明する。
図5は、陽極体を振動させる工程の一例を示す概略的な断面図である。図5において、浴槽22は、シランカップリング剤を含有する溶液23を収容する。浴槽22の上方には、陽極体11を保持可能な保持部24が配置されており、保持部24は、制御部25による制御によって、陽極体11の保持、放棄が可能であり、また、図中上下方向に対し、保持した陽極体11を振動させることができる。なお、図5では、保持部24が陽極リード12の一端を狭持することによって陽極体11を保持している場合を例示している。
図5を参照し、まず、浴槽22内にシランカップリング剤を含有する溶液23を収容する。シランカップリング剤は、重合することによって誘電体被膜13上に誘電性の膜を形成し、誘電体被膜13と固体電解質層15との密着性を向上させるものであれば特に限定されない。具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニル(β−メトキシシラン)、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。
溶液中の上記シランカップリング剤の濃度は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。0.1質量%以上の場合、密着層15の形成効率を十分に保つことができ、50質量%以下の場合、溶液23の粘度が過剰に大きくなるのを抑制することができる。また、溶液中のシランカップリング剤の濃度は、10質量%以下であることがさらに好ましい。なお、溶液に用いる溶媒は、水であることが好ましい。
次に、制御部25が保持部24に保持された陽極体11を溶液23に浸漬し、さらに、浸漬された陽極体11を振動させる。陽極体11は多孔質構造であるため、その内部の深部にまで溶液23が浸透し難い場合がある。特に、陽極体11を粒径の小さな弁作用金属を用いて形成した場合には、溶液23はより浸透し難くなる。これに対し、本工程によれば、溶液23内に浸漬された陽極体11を振動させるため、陽極体11の脱気が効率的に進み、さらに、振動により溶液23が陽極体11の内部に浸透し易くなる。これにより、結果的に、陽極体11の内部にまで十分に溶液23を浸透させることができる。
そして、溶液23が十分に浸透した陽極体11を浴槽22から引き上げ、溶媒である水を蒸発させることにより、誘電体被膜13上に付着したシランカップリング剤が重合して、誘電体被膜13上にシラン化合物を含有する密着層14が形成される。上述のように、シランカップリング剤を含有する溶液23は、陽極体11の内部にまで十分に浸透しているため、陽極体11の内部においても十分に密着層14を形成させることができる。なお、シラン化合物を含有する密着層14とは、シランカップリング剤が重合してなるダイマー以上の高分子であるシラン化合物からなる層をいう。
上記陽極体を振動させる工程において、振動の振動数(Hz)、振動幅(mm)は、陽極体11に過剰な付加がかからない程度の振動であればよい。具体的には、振動数は500Hz未満であることが好ましい。500Hz未満とすることにより、陽極体11に過剰な付加がかかることによる損傷などを抑制することができる。また、振動数は10Hz以上であることが好ましい。10Hz以上とすることにより、陽極体11の内部深くまで溶液23が十分に浸透することができる。また、振動幅は陽極体11の寸法にもよるが、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。0.1mm以上とすることにより、溶液23の十分な浸透が可能となり、10mm以下とすることにより、陽極体11に過剰な付加がかかることによる損傷などを抑制することができる。
以上図5を用いて、陽極体11を図中上下方向に振動させる場合について説明したが、陽極体11は図中左右方向に振動させてもよく、また、溶液23内で回転するように振動させてもよい。さらには、これらの動きを組み合わせた振動であってもよい。さらには、陽極体11を振動させるとともに、あるいは、陽極体11を振動させる代わりに、溶液23を振動させてもよい。
たとえば、図6に示すように、浴槽22を支持する支持部27を駆動する駆動部26の制御によって、浴槽22を図中上下方向、左右方向などに振動させることによって、溶液23を陽極体11に対して振動させることができる。ただし、この場合、溶液23が浴槽22からこぼれるのを制御する必要があるため、陽極体11を振動させる上述の方法のほうが制御が容易となる。
また、密着層14は、たとえば、本工程において、図7に示すような溶液を加熱する工程を含むことによって形成することができる。以下に、図7を参照しながら陽極体を加熱する工程について説明する。
図7は、溶液を加熱する工程の一例を示す概略的な断面図である。図7において、浴槽22は、シランカップリング剤を含有する溶液23を収容する。さらに、浴槽22内には、溶液23を加熱するための加熱体28が配置されている。なお、図7において、陽極体11を保持する保持部は省略している。
図7を参照し、まず、浴槽22内にシランカップリング剤を含有する溶液23を収容する。シランカップリング剤の種類、その濃度および溶媒については上述と同様であるため、その説明は繰り返さない。
次に、陽極体11を溶液23に浸漬し、さらに、加熱体28が溶液23を加熱する。なお、加熱体28によって加熱された溶液23に陽極体11を浸漬してもよい。本工程によれば、溶液23が加熱されることによってその粘度が低下するため、溶液23が陽極体11の内部に浸透し易くなる。これにより、結果的に、陽極体11の内部にまで十分に溶液23を浸透させることができる。
そして、溶液23が十分に浸透した陽極体11を浴槽22から引き上げ、溶媒である水を蒸発させることにより、誘電体被膜13に付着したシランカップリング剤が重合して、誘電体被膜13上にシラン化合物を含有する密着層14が形成される。上述のように、シランカップリング剤を含有する溶液23は、陽極体11の内部にまで十分に浸透しているため、陽極体11の内部においても十分に密着層14を形成させることができる。
上記加熱する工程において、加熱温度は100℃未満であることが好ましい。溶液23の溶媒が水であるため、100℃以上で加熱することによって溶媒が蒸発して溶液23の組成、特性が変化するのを抑制するためである。また、加熱温度は95℃未満であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましい。この場合、溶媒の蒸発をより効果的に抑制することができる。
以上図7を用いて、溶液23を加熱する工程について説明したが、上述の陽極体11および/または溶液23を振動させる工程と、溶液23を加熱する工程とを組み合わせてもよい。すなわち、加熱される溶液23に陽極体11を浸漬して、陽極体11および/または溶液23を振動させてもよい。この場合、陽極体11の内部により効果的に溶液23を浸透させることができる。また、より素早く陽極体11の内部に溶液23を浸透させることができるため、製造タクトを縮小することができる。
以上詳述したように、本工程により、陽極体11の内部にまで密着層14を形成することができる。なお、本工程後、重合しなかったシランカップリング剤を除去するために、陽極体11を水などで洗浄後乾燥させてもよい。本工程によって形成される密着層14は、陽極体11の表面に形成される誘電体被膜13の全面を覆う必要はなく、たとえば、誘電体被膜13上に点在していてもよい。
(固体電解質層を形成する工程)
次に、図2および図3(D)に示すように、誘電体被膜13および密着層14上に固体電解質層15を形成する(ステップS4)。固体電解質層15は、二酸化マンガン、TCNQ錯塩(7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン)、導電性高分子などである。ここでは、プレコート層を形成した上で、導電性高分子からなる固体電解質層15を形成する方法の一例について説明する。
すなわち、まず、誘電体被膜13が形成された陽極体11上に導電性のプレコート層(不図示)を形成する。プレコート層の形成は必須ではないが、誘電体被膜13上に導電性のプレコート層を形成することにより、誘電体被膜13上およびプレコート層上に、電解重合法によって導電性高分子からなる固体電解質層15を容易に形成することができる。導電性高分子からなる固体電解質層15は、電解重合法、化学重合法のいずれの方法によっても形成することができるが、電解重合法によって形成される固体電解質層15はその構造が緻密であり、また、均質であるため好ましい。
上記プレコート層は、たとえば、化学重合法によって容易に形成することができる。なお、この場合、プレコート層は導電性高分子より構成されることになる。化学重合法によれば、高分子の前駆体(たとえば、前駆体モノマー)、ドーパント、酸化剤を含有する重合液に陽極体11を浸漬して引上げることによって、陽極体11の表面に導電性高分子を成長させることができる。重合液は上記の全ての物質を含有する一液であってもよく、二液であってもよい。たとえば、前駆体を含有する第1重合液と、ドーパントおよび酸化剤を含有する第2重合液とからなる二液で化学重合を行なう場合には、陽極体11を各重合液に順に浸漬すればよい。なお、プレコート層は誘電体被膜13の全面を被覆してもよく、誘電体被膜13を部分的に被覆するように、たとえば、誘電体被膜13の表面上に点在してもよい。
次に、プレコート層上に導電性高分子からなる固体電解質層15を形成する。上述のように、プレコート層が存在することにより、誘電体被膜13上およびプレコート層上に、電解重合法を用いて、緻密で均質な固体電解質層15を容易に形成することができる。電解重合法によれば、高分子の前駆体およびドーパントを含有する電解液に陽極体11を浸漬し、この電解液に電流を流すことによって、誘電体被膜13上およびプレコート層上に導電性高分子からなる固体電解質層15を均質に形成することができる。
本一例において、プレコート層を構成する導電性高分子、および固体電解質層15を構成する導電性高分子は、同一であっても異なっていてもよい。上記導電性高分子の前駆体としては、たとえば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、N−メチルピロール、N,N−ジメチルアニリン、N−アルキルアニリンなどを用いることができる。
また、ドーパントは、特に限定されず、たとえば、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、多環芳香族スルホン酸などのスルホン酸化合物、硝酸、硫酸などを用いることができる。また、酸化剤は、前駆体を重合させることができればよく、たとえば、硫酸、過酸化水素、鉄(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウム(IV)、マンガン(VII)、亜鉛(II)などを用いることができる。なお、これらの金属と塩を構成した芳香族スルホン酸金属塩は、酸化剤としての機能に加え、ドーパントとしての機能を有する。また、重合液および電解液の溶媒は特に限定されず、水、超純水などの水系溶媒、有機溶媒などの非水系溶媒などを用いることができる。
本工程により、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ならびにポリフランおよびその誘導体に導電性が付与された、いずれかの導電性高分子からなる固体電解質層15を形成することができる。なお、化学重合法を用いて、導電性高分子からなる固体電解質層15を形成してもいいことはいうまでもない。
本実施の形態において、誘電体被膜13上には密着層14が形成されており、また、陽極体11の内部に位置する誘電体被膜13上にも密着層14が形成されているため、誘電体被膜13と固体電解質層15との密着性は、陽極体11の内部においても密着層14によって十分に高められる。特に、本実施の形態のように、固体電解質層15が導電性高分子からなる場合、無機物からなる誘電体被膜13と有機物からなる固体電解質層15との密着性は低くなる傾向にある。したがって、この場合、密着層14による効果はより顕著となる。
(陰極引出層を形成する工程)
次に、図2および図3(E)に示すように、固体電解質層15上にカーボン層16および銀ペイント層17からなる陰極引出層を形成する(ステップS5)。陰極引出層は、たとえば、以下のように形成することができる。
すなわち、まず、固体電解質層15が形成された陽極体11を、グラファイトなどのカーボン粒子を分散させた分散液に浸漬し、その後乾燥処理する。これにより、固体電解質層15上にカーボン層16が形成される。次に、カーボン層16が形成された陽極体11を、銀粒子を分散させた分散液に浸漬し、その後乾燥処理する。これにより、カーボン層16上に銀ペイント層17が形成される。本工程により、陰極引出層が形成され、ステップS1〜S5により、コンデンサ素子10が形成される。
(コンデンサ素子を封止する工程)
次に、図1および図2に示すように、コンデンサ素子10を封止して、固体電解コンデンサを作製する(ステップS6)。封止の方法は特に限定されないが、たとえば、以下の方法がある。
すなわち、まず、陽極端子18を陽極リード12の露出している一端に接続し、銀ペイント層17上に接着層19を形成して陰極端子20の一端を接続する。次に、陽極端子18および陰極端子20の各他端が露出するように、コンデンサ素子10を外装樹脂21によって封止する。次に、露出している陽極端子18および陰極端子20を外装樹脂21に沿うように折り曲げてエージング処理することにより、図1に示す固体電解コンデンサが製造される。
陽極端子18および陰極端子20は、導電性を有していればよく、たとえば、銅などの金属を用いることができる。接着層19は、導電性と接着性を有していればよく、たとえば銀をフィラーとして含む銀接着剤を用いることができる。外装樹脂21の材料は特に限定されず、たとえばエポキシ樹脂などの公知の樹脂を用いることができる。
以上、詳述した実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法によれば、誘電体被膜13上に、シラン化合物からなる密着層14が形成される。特に、密着層14を形成する工程において、シランカップリング剤を含有する溶液23に陽極体11を浸漬して相対的に振動させる、および/または溶液23を加熱させることにより、多孔質構造を有する陽極体11の細孔の内部にまで溶液23を浸透させることができる。あるいは、溶液23を加熱することにより、多孔質構造を有する陽極体11の細孔の内部にまで溶液23を浸透させることができる。
たとえば、従来のようにシランカップリング剤を含有する溶液に陽極体を浸漬させるだけでは、溶液の粘度、陽極体の細孔の寸法、誘電体被膜と溶液とのぬれ性などの関係により、溶液が陽極体の内部深くにまで浸透できない場合があった。これは、陽極体の原料となる弁作用金属粒子の粒径が小さくなるほど顕著になることを本発明者は知見している。
これに対し、本実施の形態1では、上述のように、溶液23を陽極体11の内部深くにまで浸透させることができるため、密着層をより均一に誘電体被膜13上に形成することができる。したがって、固体電解質層15の剥離を効率的に抑制することができ、結果的に、固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。特に、100,000μFV/g以上のCV値を有する、弁作用金属粒子の焼結体からなる陽極体を作製した場合には、従来の製造方法では実質的に困難であった、静電容量の増大と信頼性の向上とが両立された固体電解コンデンサの製造が可能となる。
<実施の形態2>
本実施の形態では、プレコート層を形成した後に、密着層14を形成する点で実施の形態1と相違しているのみであるため、その相違する点についてのみ説明する。
すなわち、誘電体被膜13が形成された陽極体11に対し、化学重合法によってプレコート層を形成する。本実施の形態では、プレコート層は誘電体被膜13の全面を被覆するのではなく、部分的に被覆する構成を有する。したがって、次に、プレコート層を形成した後に密着層14を形成した場合であっても、密着層14は、プレコート層上のみならず、プレコート層に被覆されていない誘電体被膜13上に形成されることができる。
本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、溶液23を陽極体11の内部深くにまで浸透させることができるため、密着層14をより均一に誘電体被膜13上に形成することができる。したがって、固体電解質層15の剥離を効率的に抑制することができ、結果的に、固体電解コンデンサの信頼性を向上させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<検討1>
(実施例1)
まず、タンタル粉末を準備し、棒状体のタンタルからなる陽極リードの長手方向の一端側をタンタル粉末に埋め込んだ状態で、タンタル粉末を直方体に成形した。そして、この成形体を焼結して、陽極リードの一端が埋設された多孔質構造の陽極体を形成した。形成された陽極体のCV値は、100,000μFV/gであった。
次に、陽極体を0.02質量%のリン酸水溶液に浸漬して、陽極リードを介して陽極体に20Vの電圧を5時間印加することにより、陽極体の表面にTa25からなる誘電体被膜を形成した。
次に、水にシランカップリング剤としてのγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加して、シランカップリング剤の濃度が5質量%となる水溶液を調製した。次に、該水溶液に上記陽極体を浸漬し、陽極体を振動数10Hz、振動幅3mmで10分間水溶液の表面に対して上下方向に振動させた。なお、このときの水溶液の温度は室温(25℃)であった。そして、水溶液から陽極体を引き上げて室温で静置させることにより水を蒸発させてシラン化合物からなる密着層を形成した。
次に、化学重合法を用いて、上記誘電体被膜上に導電性のプレコート層を形成した。具体的には、まず、重合液として、ピロールを3mol/lの濃度で含むエタノール溶液と、過硫酸アンモニウムおよびパラトルエンスルホン酸を含有する水溶液とを準備した。そして、このエタノール溶液および水溶液に順に陽極体を浸漬して引き上げ、これを室温で放置することにより、ポリピロールからなるプレコート層を形成した。
次に、電解重合法を用いて、上記誘電体被膜およびプレコート層上に固体電解質層を形成した。具体的には、まず、電解液として、3mol/lのピロールおよびアルキルナフタレンスルホン酸を含む水溶液を準備した。そして、該水溶液を電解重合用装置の電解槽内に満たし、その水溶液に陽極体を浸漬して、プレコート層に0.5mAの電流を3時間通電することにより、誘電体被膜上にポリピロールからなる固体電解質層を形成した。
次に、固体電解質層上に、グラファイト粒子懸濁液を塗布して大気中で乾燥させることによりカーボン層を形成し、さらに、カーボン層上に銀粒子を含む溶液を塗布して大気中で乾燥させることにより銀ペイント層を形成した。以上により、コンデンサ素子が作製された。
次に、コンデンサ素子において、陽極リードに金属からなる陽極端子を溶接し、銀ペイント層に銀接着剤を塗布して接着層を形成し、接着層に金属からなる陰極端子の一端を接着させた。さらに、陽極端子および陰極端子の一部が露出するように、コンデンサ素子をエポキシ樹脂からなる外装樹脂で封止した。そして、外装樹脂から露出する陽極端子および陰極端子を外装樹脂に沿うように折り曲げた後、エージング処理を行い、10個の固体電解コンデンサを作製した。なお、本実施例において、10個の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例2)
陽極体の振動数を10Hzとして密着層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例3)
陽極体の振動数を100Hzとして密着層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例4)
陽極体の振動数を500Hzとして密着層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例1)
溶液を振動させずに密着層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
(参考例1)
タンタル粉末を用いてCV値が50,000μFV/gの陽極体を形成し、溶液を振動させずに密着層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
(LIFE試験)
製造された各固体電解コンデンサを用いてLIFE試験を行った。具体的には、各固体電解コンデンサの初期(使用時間0時間)の静電容量を測定した後、105℃の恒温器内に投入し、恒温器内において、各固体電解コンデンサに定格電圧を印加し続けた。そして、印加時間500時間経過後の各固体電解コンデンサの静電容量を測定し、その変化の程度を観察した。静電容量の測定方法は以下の通りである。
すなわち、各固体電解コンデンサからそれぞれ5個ずつを選択した。選択した各固体電解コンデンサについて、4端子測定用のLCRメータを用いて、周波数120Hzにおける静電容量(μF)を測定した。そして、印加時間(h)0時間における固体電解コンデンサの静電容量をC、印加時間500時間経過時における固体電解コンデンサの静電容量をCとし、下記式(1)に基づいて静電容量変化率ΔC/C(%)を算出した。
ΔC/C(%)=(C−C)/C×100・・・式(1)
Figure 2013074032
(評価)
各結果を表1に示す。なお、各数値は各実施例、比較例および参考例における固体電解コンデンサの平均値を示す。表1を参照し、密着層を形成する際に溶液を振動させなかった場合(比較例1)、LIFE試験後の静電容量が大きく低下していることが分かった。これに対し、溶液を振動させた場合(実施例1〜4)、静電容量の低下を抑制でき、もって固体電解コンデンサの信頼性が向上していることがわかった。これは、溶液を陽極体の内部にまで十分に浸透させることができたために、固体電解質層の剥離が抑制されたためと理解される。
また、実施例1〜4を比較することにより、振動数が10Hz〜100Hzの場合に、静電容量の低下をより効率的に抑制でできることがわかった。また、振動数を500Hzとした場合、静電容量の低下が抑制された固体電解コンデンサもあったものの、振動中に陽極体が損傷してしまったために、漏れ電流量が増大してしまったものが多かった。たとえば、実施例2の固体電解コンデンサの初期の漏れ電流量が最大で80.6μAであるのに対し、実施例4の固体電解コンデンサの初期の漏れ電流量は、最大で1236μAであった。したがって、振動数を500Hz以上とする場合には、振動工程において十分な注意が必要であるために、歩留まりの向上、製造効率の観点からは、振動数を500Hz未満とすることが好ましいことがわかった。
また、参考例1を参照すると、500時間のLIFE試験経過後では、静電容量の大きな低下は見られなかった。これは、タンタル粉末の粒径が大きいために陽極体の細孔が実施例の陽極体の細孔よりも大きくなり、溶液が陽極体の内部に浸透し易くなり、結果的に、仕様に耐え得る十分な密着層を形成することができたものと考えられる。しかしながら、タンタル粉末の粒径が大きい場合であっても、複雑で不均質な構造を有し得る陽極体の内部深くに溶液が浸透できない可能性は残っている。たとえば、溶液の濃度の違い、陽極体のロットの違いなどにより、所望の特性の固体電解コンデンサの製造歩留まりが低下する場合が考えられる。したがって、粒径の比較的大きな弁作用金属粒子からなる陽極体、換言すれば、50,000μFV/g以上100,000μFV未満のCV値を有する陽極体の場合であっても、溶液と陽極体とを相対的に振動させることによる効果はあると理解される。
<検討2>
(実施例5)
タンタル粉末を用いてCV値が150,000μFV/gの陽極体を形成した以外は、実施例2と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
(実施例6)
タンタル粉末を用いてCV値が150,000μFV/gの陽極体を形成した以外は、実施例3と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
(比較例2)
タンタル粉末を用いてCV値が150,000μFV/gの陽極体を形成した以外は、比較例1と同様の方法により10個の固体電解コンデンサを作製した。
Figure 2013074032
(評価)
製造された各固体電解コンデンサを用いて上述と同様のLIFE試験を行った結果を表2に示す。なお、各数値は各実施例および比較例における固体電解コンデンサの平均値を示す。表2を参照し、密着層を形成する際に溶液を振動させなかった場合(比較例2)、LIFE試験後の静電容量が大きく低下していることが分かった。これに対し、溶液を振動させた場合(実施例5および6)、静電容量の低下を抑制できることがわかった。
また、表1と表2とを比較し、タンタル粉末の粒径が小さくなることにより、すなわち、陽極体のCV値が大きくなるにつれて静電容量の変化率が増大しており、また、振動による変化率の低下の効果も大きいことがわかった。したがって、CV値が100,000μFV/g以下の陽極体を用いた場合、陽極体と溶液とを相対的に振動させることによる効果がより顕著になることがわかった。
<検討3>
(実施例7)
密着層を形成する工程において、溶液を振動させる代わりに、溶液を50℃に加熱して10分間浸漬させた以外は、実施例1と同様の方法により固体電解コンデンサを作製した。
(実施例8)
溶液の温度を90℃に加熱した以外は、実施例7と同様の方法により固体電解コンデンサを作製した。
(実施例9)
溶液の温度を95℃に加熱した以外は、実施例7と同様の方法により固体電解コンデンサを作製した。
(実施例10)
タンタル粉末を用いてCV値が150,000μFV/gの陽極体を形成した以外は、実施例7と同様の方法により固体電解コンデンサを作製した。
(実施例11)
タンタル粉末を用いてCV値が150,000μFV/gの陽極体を形成した以外は、実施例8と同様の方法により固体電解コンデンサを作製した。
Figure 2013074032
(評価)
製造された各固体電解コンデンサを用いて上述と同様のLIFE試験を行った結果を表3に示す。なお、各数値は各実施例および比較例における固体電解コンデンサの平均値を示し、比較を容易とするために、比較例1および2の結果も併せて示す。表3を参照し、溶液を加熱することにより、静電容量の低下を抑制でき、もって固体電解コンデンサの信頼性が向上していることがわかった。
また、溶液を95℃に加熱した場合、静電容量の低下が抑制された固体電解コンデンサもあったものの、そのばらつきが大きくなる傾向にあった。これは、水の沸点は100℃であるものの、95℃に加熱することによって、シランカップリング剤を含有する水が徐々に蒸発し始めたために、溶液の組成が不安定になったためと考えられる。したがって、溶液を95℃以上に加熱する場合には、加熱工程において十分な注意が必要であるために、歩留まりの向上、製造効率の観点からは、加熱温度を95℃未満とすることが好ましいことがわかった。
<検討4>
(実施例12)
密着層を形成する工程において、溶液を加熱するとともに、陽極体を振動数10Hz、振動幅3mmで10分間水溶液の表面に対して上下方向に振動させた以外は、実施例7と同様の方法により、固体電解コンデンサを作製した。
(実施例13)
タンタル粉末を用いてCV値が150,000μFV/gの陽極体を形成した以外は、実施例12と同様の方法により、固体電解コンデンサを作製した。
Figure 2013074032
(評価)
製造された各固体電解コンデンサを用いて上述と同様のLIFE試験を行った結果を表4に示す。なお、各数値は各実施例および比較例における固体電解コンデンサの平均値を示す。表4を参照し、密着層を形成する工程において、溶液を加熱しながら溶液と陽極体とを相対的に振動させることにより、さらに、固体電解コンデンサの静電容量の変化率を低減できることがわかった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、多孔質構造の陽極体を有する固体電解コンデンサの製造方法に広く利用することができる可能性がある。
10 コンデンサ素子、11 陽極体、12 陽極リード、13 誘電体被膜、14 密着層、15 固体電解質層、16 カーボン層、17 銀ペイント層、18 陽極端子、19 接着層、20 陰極端子、21 外層樹脂。

Claims (5)

  1. 多孔質体からなる陽極体の表面に誘電体被膜を形成する工程と、
    前記陽極体上にシラン化合物を含有する密着層を形成する工程と、
    前記誘電体被膜上に固体電解質層を形成する工程と、をこの順に備え、
    前記密着層を形成する工程は、前記陽極体をシランカップリング剤を含有する溶液に浸漬し、前記陽極体および前記溶液の少なくともいずれか一方を振動させる工程、および前記陽極体を前記溶液中に浸漬し、前記溶液を加熱する工程の少なくともいずれか一方の工程を含む、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記陽極体は100,000μFV/g以上のCV値を有する焼結体である、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記誘電体被膜は金属酸化物からなり、前記固体電解質層は導電性高分子層からなる、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記溶液中における前記シランカップリング剤の濃度は0.1質量%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記加熱する工程において、前記溶液の加熱温度は100℃未満である、請求項1から4のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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