JP2010103489A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】静電容量が高く、かつ等価直列抵抗(ESR)及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサ及びその製造方法を得る。
【解決手段】弁作用金属またはその合金から形成される陽極1と、陽極1の表面に形成される誘電体層2と、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いて誘電体層2を表面処理することにより形成されるカップリング剤層3と、カップリング剤層3の上に形成される導電性高分子層4と、導電性高分子層4の上に形成される陰極層7とを備えることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質として導電性高分子を用いる固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化及び軽量化に伴って、小型でかつ大容量の高周波用コンデンサが求められており、このようなコンデンサとして、タンタル、ニオブ、チタンまたはアルミニウムなどの弁作用金属の焼結体で形成された陽極の表面を酸化して、誘電体層を形成し、この誘電体層の上に固体電解質層を設けた固体電解コンデンサが提案されている。固体電解質層としては、導電性高分子を用いることにより、等価直列抵抗(ESR)の低減が図られている。
しかしながら、無機物から形成される誘電体層と、有機物から形成される導電性高分子層との間で密着性が低下すると、漏れ電流が増大したり、ESRが増大するという問題を生じる。
特許文献1〜3においては、陽極の表面に誘電体層を形成した後、シランカップリング剤により誘電体層の表面を処理し、導電性高分子層を形成することが提案されている。
また、特許文献4においては、誘電体層の表面上に、シランカップリング剤による処理と導電性高分子層の形成とを繰り返して行うことが提案されている。
また、特許文献5においては、誘電体層の上に第1の導電性高分子層を部分的に形成した後、第1の導電性高分子層が形成されていない誘電体層の上にシランカップリング剤処理層を形成し、次に第1の導電性高分子層とシランカップリング剤処理層の上に第2の導電性高分子層を形成することが提案されている。
しかしながら、シランカップリング剤は、基材表面の状態により吸着量と反応量が変化する。具体的には、水酸基の量によりシランカップリング剤の吸着量と反応量が変化する。また、シランカップリング剤は、水による加水分解反応により反応が開始されるため、大気中の水分などの影響を受けやすいという問題がある。
従って、このようなシランカップリング剤を用いずに製造することができる、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサが求められている。
特開平2−74021号公報 特開平4−73924号公報 特開平8−293436号公報 特開平11−329900号公報 特開2006−140443号公報
本発明の目的は、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の局面に従う固体電解コンデンサは、弁作用金属またはその合金から形成される陽極と、陽極の表面に形成される誘電体層と、誘電体層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層と、カップリング剤層の上に形成される導電性高分子層と、導電性高分子層の上に形成される陰極層とを備えることを特徴としている。
本発明の第2の局面に従う固体電解コンデンサは、弁作用金属またはその合金から形成される陽極と、陽極の表面に形成される誘電体層と、誘電体層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第1のカップリング剤層と、第1のカップリング剤層の上に形成される第1の導電性高分子層と、第1の導電性高分子層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第2のカップリング剤層と、第2のカップリング剤層の上に形成される第2の導電性高分子層と、第2の導電性高分子層の上に形成される陰極層とを備えることを特徴としている。
本発明の第3の局面に従う固体電解コンデンサは、弁作用金属またはその合金から形成される陽極と、陽極の表面に形成される誘電体層と、誘電体層の上に部分的に形成される第1の導電性高分子層と、第1の導電性高分子層及び第1の導電性高分子層が形成されていない領域における誘電体層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層と、カップリング剤層の上に形成される第2の導電性高分子層と、第2の導電性高分子層の上に形成される陰極層とを備えることを特徴としている。
本発明の第3の局面においては、第2の導電性高分子層の上に形成される第3の導電性高分子層をさらに備え、陰極層が第3の導電性高分子層の上に形成されていてもよい。また、この場合、第2の導電性高分子層と第3の導電性高分子層の間に、ホスホン酸基を有するカップリング剤層を含む第2のカップリング剤層が設けられていてもよい。
本発明の第3の局面においては、誘電体層の上に第1の導電性高分子層が部分的に形成される。例えば、第1の導電性高分子層は、誘電体層の上に島状に分散して形成される。
本発明においては、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いて、カップリング剤層を形成している。ホスホン酸基を有するカップリング剤は、誘電体層の酸化被膜と直接反応するため、誘電体層への反応量を、シランカップリング剤を用いた場合に比べ多くすることができる。反応量を増加させることにより、カップリング剤層の誘電体層への被覆率を増加させることができる。このため、静電容量が高く、ESRと漏れ電流を小さくすることができる。すなわち、吸着量または被覆率が増加するので、誘電体層と導電性高分子層との密着性をより強固にすることができ、誘電体層と導電性高分子層との接触抵抗を低減することができるため、ESRを低減することができる。また、カップリング剤層が、誘電体層を満遍なく覆うことにより、カップリング剤層が誘電体層と導電性電解質層との間において絶縁膜として機能するため、誘電体層の欠陥に起因する漏れ電流を低減することができる。また、カップリング剤層と導電性高分子層は共に有機材料であるので親和性を有しており、導電性電解質層の被覆率を改善することができる。このため、静電容量を増加させることができる。
シランカップリング剤の反応は、水により加水分解されてシラノール(Si−OR→Si−OH)となり、部分的に縮合してオリゴマー状態となる。これに続いて、無機質表面の水酸基に吸着し、無機材料を加熱処理することで脱水縮合反応して強固な化学結合となる。この反応では、水により加水分解反応が開始するため、大気中や溶媒中の水分が入らない雰囲気で作業するか、シランカップリング剤溶液を調製した後すぐに使用する必要がある。これに対し、ホスホン酸基を有するカップリング剤は、はじめから水酸基を有した構造(P−OH)であるため、シランカップリング剤のような加水分解反応を必要としない。このため、大気中や溶媒中の水分の影響をうけない。従って、ホスホン酸基を有するカップリング剤は、保存安定性に優れており、本発明によれば、品質の安定した固体電解コンデンサを製造することができる。
また、本発明におけるカップリング剤は、ホスホン酸基が導電性高分子化合物中に取り込まれ、これによって導電性高分子化合物のドーパントとして機能させることもできる。従って、導電性高分子層の導電性を高めることができ、この点からもESRを低減することができる。
本発明の第1の局面においては、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いて、誘電体層の上にカップリング剤層を形成し、このカップリング剤層の上に導電性高分子層を形成している。このため、カップリング剤層による誘電体層の被覆率を高め、また誘電体層と導電性高分子層との密着性を高めることができる。このため、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサとすることができる。
本発明の第2の局面においては、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いて誘電体層の上に第1のカップリング剤層を形成し、この第1のカップリング剤層の上に第1の導電性高分子層を形成し、この第1の導電性高分子層の上に、再びホスホン酸基を有するカップリング剤を用いて第2のカップリング剤層を形成し、第2のカップリング剤層の上に第2の導電性高分子層を形成している。
本発明の第2の局面においては、第1のカップリング剤層、第1の導電性高分子層、第2のカップリング剤層、及び第2の導電性高分子層を順次形成しているので、カップリング剤層による被覆率を高め、誘電体層と導電性高分子層の間の密着性をさらに高めることができる。このため、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサとすることができる。
本発明の第3の局面においては、誘電体層の上に第1の導電性高分子層を部分的に形成し、第1の導電性高分子層及び第1の導電性高分子層が形成されていない領域における誘電体層を、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いて表面処理することによりカップリング剤層を形成し、このカップリング剤層の上に第2の導電性高分子層を形成している。
第3の局面においては、誘電体層の上に、第1の導電性高分子層を部分的に形成し、次にカップリング剤層を形成している。カップリング剤層は、第1の導電性高分子層が形成されていない誘電体層の領域の上にも付着するため、第2の導電性高分子層の被覆率を高めることができる。また、誘電体層の欠陥部分にも付着し、誘電体層を修復させることができる。このため、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサとすることができる。
第3の局面においては、第1の導電性高分子層の上にカップリング剤層が形成される。上述のように、本発明におけるカップリング剤は、導電性高分子のドーパントとなるので、カップリング剤層の一部は、第1の導電性高分子層に取り込まれ、第1の導電性高分子層の導電性を向上させることができ、それによってESRをさらに低減することができる。
また、第3の局面においては、第2の導電性高分子層の上に第3の導電性高分子層を形成し、第3の導電性高分子層の上に陰極層を形成してもよい。また、この場合、第2の導電性高分子層と第3の導電性高分子層の間に第2のカップリング剤層を設けてもよい。この第2のカップリング剤層の一部も、第2の導電性高分子層にドーパントとして取り込まれるので、第2の導電性高分子層の導電性を向上させることができ、ESRをさらに低減させることができる。
本発明に用いるカップリング剤としては、以下の一般式で表わされるカップリング剤が挙げられる。
Figure 2010103489
(式中、Rは、炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェニル基、エーテル基、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、アニリン誘導体、ビニル基を有する誘導体、エポキシ基を有する誘導体、スチリル基を有する誘導体、メタクリロキシ基を有する誘導体、アクリロキシ基を有する誘導体、アミノ基を有する誘導体、ウレイド基を有する誘導体、クロロプロピル基を有する誘導体、メルカプト基を有する誘導体、スルフィド基を有する誘導体、またはイソシアネート基を有する誘導体である。)
エポキシ基を有する誘導体としては、例えば、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシプロピル基などが挙げられる。また、アミノ基を有する誘導体としては、N−アミノエチルアミノプロピル基、アミノプロピル基、ジメチルブチリデンプロピルアミン基、N−フェニルアミノプロピル基、N−ビニルベンジルアミノエチルアミノプロピル基などが挙げられる。ウレイド基を有する誘導体としては、例えば、ウレイドプロピル基が挙げられる。メルカプト基を有する誘導体としては、例えば、メチルメルカプトプロピル基が挙げられる。スルフィド基を有する誘導体としては、例えば、テトラスルフィド基が挙げられる。イソシアネート基を有する誘導体としては、例えば、イソシアネートプロピル基が挙げられる。
本発明における導電性高分子層は、化学的酸化重合または電気化学的電解重合により形成することができる。導電性高分子となるモノマーとしては、ピロール、チオフェン、アニリン及びこれらの誘導体が挙げられる。なお、予め重合された導電性高分子の微粒子状の分散溶液または溶媒に可溶な可溶性導電性高分子を用いてもよい。
本発明の製造方法は、本発明の第1の局面の固体電解コンデンサを製造することができる方法であり、弁作用金属またはその合金から形成される陽極の表面に誘電体層を形成する工程と、誘電体層の上にホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層を形成する工程と、カップリング剤層の上に導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明の第2の局面に従う固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属またはその合金から形成される陽極の表面に誘電体層を形成する工程と、誘電体層の上にホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第1のカップリング剤層を形成する工程と、第1のカップリング剤層の上に第1の導電性高分子層を形成する工程と、第1の導電性高分子層の上にホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第2のカップリング剤層を形成する工程と、第2のカップリング剤層の上に第2の導電性高分子層を形成する工程と、第2の導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
上記のように第2の局面の固体電解コンデンサを製造することができる方法によれば、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明の第3の局面に従う固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属またはその合金から形成される陽極の表面に誘電体層を形成する工程と、誘電体層の上に第1の導電性高分子層を形成する工程と、第1の導電性高分子層及び第1の導電性高分子層が形成されていない領域における誘電体層の上に、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層を形成する工程と、カップリング剤層の上に第2の導電性高分子層を形成する工程と、第2の導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えている。
上記第3の局面の固体電解コンデンサを製造することができる方法によれば、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサを製造することができる。
第3の局面において、第2の導電性高分子層の上に第3の導電性高分子層を形成する場合、その製造方法は、弁作用金属またはその合金から形成される陽極の表面に誘電体層を形成する工程と、誘導体層の上に第1の導電性高分子層を部分的に形成する工程と、第1の導電性高分子層及び第1の導電性高分子層が形成されていない領域における誘電体層の上に、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層を形成する工程と、カップリング剤層の上に第2の導電性高分子層を形成する工程と、第2の導電性高分子層の上に第3の導電性高分子層を形成する工程と、第3の導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えている。
また、第2の導電性高分子層と第3の導電性高分子層の間に、第2のカップリング剤層を設ける場合、その製造方法は、弁作用金属またはその合金から形成される陽極の表面に誘電体層を形成する工程と、誘電体層の上に第1の導電性高分子層を部分的に形成する工程と、第1の導電性高分子層及び第1の導電性高分子層が形成されていない領域における誘電体層の上に、ホスホン酸基を有するカップリング剤層を含む第1のカップリング剤層を形成する工程と、第1のカップリング剤層の上に第2の導電性高分子層を形成する工程と、第2の導電性高分子層の上に、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第2のカップリング剤層を形成する工程と第2のカップリング剤層の上に第3の導電性高分子層を形成する工程と、第3の導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えている。
本発明によれば、静電容量が高く、かつESR及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサとすることができる。
本発明の第1の局面に従う実施例1の固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 本発明の第2の局面に従う実施例2の固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 本発明の第3の局面に従う実施例3の固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 本発明の第3の局面に従う実施例4の固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 本発明の第3の局面に従う実施例5の固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 比較例1の固体電解コンデンサを示す模式的断面図。 本発明の第1の局面に従う実施例1の固体電解コンデンサの要部断面図。 本発明の第3の局面に従う実施例3の固体電解コンデンサの要部断面図。
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜2及び比較例1〜3>
(実施例1)
図1は、本実施例の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。略直方体形状を有する陽極1には、陽極リード8の一部が埋め込まれている。陽極1の表面には、誘電体層2が形成されている。陽極1は、弁作用金属またはその合金からなる粉末を焼結した多孔質体から形成されている。なお、具体的には、図7に示すように多孔質体の陽極1は、多数の粉末を互いに間隔を空けて焼結することにより、成型されたものであり、陽極1を構成する粉末の表面に、誘電体層2が形成されている。
誘電体層2の表面を、ホスホン酸基を有するカップリング剤で表面処理することにより、カップリング剤層3が形成されている。
カップリング剤層3の上には、第1の導電性高分子層4aが形成されている。第1の導電性高分子層4aも、陽極1の内部のカップリング剤層3の上に形成されている。本実施例において、第1の導電性高分子層4aは、化学的酸化重合により形成されている。
第1の導電性高分子層4aの上には、第2の導電性高分子層4bが形成されている。第2の導電性高分子層4bは、陽極1を構成する粉末の隙間を埋めるように形成されている。第2の導電性高分子層4bは、本実施例において、電気化学的電解重合により形成されている。
第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bから、導電性高分子層4が構成されている。
陽極1の外周部の第2の導電性高分子層4bの上には、カーボン層5が形成されている。カーボン層5は、カーボンペーストを塗布し乾燥することにより形成されている。
カーボン層5の上には、銀層6が形成されている。銀層6は、銀ペーストを塗布し、乾燥することにより形成されている。カーボン層5と銀層6から陰極層7が構成されている。
以上のようにしてコンデンサ素子10が形成される。コンデンサ素子10に、陽極端子及び陰極端子を接続し、陽極端子及び陰極端子の端部が露出するように樹脂外装体をモールド成形し、固体電解コンデンサが作製される。陰極端子は銀層6に導電性接着層を介して接続され、陽極端子は陽極リード8に溶接などにより接続される。
本実施例の固体電解コンデンサは、より具体的には、以下のようにして作製した。
陽極1は、2.3mm×1.8mm×1.0mmの直方体の形状を有しており、側面(2.3mm×1.0mm)に陽極リード8が埋設されている。陽極1及び陽極リード8は、タンタル(Ta)から形成されており、陽極1は、タンタルの粉末を焼結した多孔質体から形成されている。
陽極1を、65℃のリン酸水溶液中で定電圧10Vを印加して10時間電解酸化することにより、陽極1の表面に誘電体層2を形成した。
次に、誘電体層2を形成した陽極1を、ホスホン酸基を有するカップリング剤であるオクタドデシルホスホン酸を0.5mM(ミリモル/リットル)の濃度で含む25℃のイソプロピルアルコール溶液中に1時間浸漬した後取り出し、イソプロピルアルコールで洗浄し、その後60℃で10分間乾燥した。これにより、誘電体層2の上に、カップリング剤層3を形成した。カップリング剤層3の膜厚は、約2nmであった。
次に、ピロール3.0M(モル/リットル)を含むエタノール溶液に5分間浸漬し、次に過硫酸アンモニウム0.1M及びアルキルナフタレンスルホン酸0.1Mを含む水溶液に25℃で5分間浸漬して、誘電体層2の上に、第1の導電性高分子層4aを形成した。次に、ピロール0.2M及びアルキルナフタレンスルホン酸0.2Mを含む25℃の水溶液中に、第1の導電性高分子層4aを形成した陽極1を浸漬し、第1の導電性高分子層4aをアノードとして、0.5mAの電流を3時間通電することにより、第2の導電性高分子層4bを形成した。
次に、陽極1の外周部の第2の導電性高分子層4bの上に、カーボンペーストを塗布した後乾燥し、カーボン層5を形成した。カーボン層5の上に、銀ペーストを塗布して乾燥し、銀層6を形成した。
さらに、陽極リード8に陽極端子を溶接し、銀層6の上に導電性接着層を介して陰極端子を接続し、エポキシ樹脂でトランスファー成形により陽極端子及び陰極端子の端部が露出するようにコンデンサ素子10を被覆して、固体電解コンデンサA1を作製した。
(実施例2)
図2は、本実施例の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。図2に示すように、本実施例の固体電解コンデンサにおいては、陽極1に誘電体層2を形成した後、実施例1と同様にして、第1のカップリング剤層3aを形成している。第1のカップリング剤層3aを形成した後、実施例1と同様にして、第1の導電性高分子層4aを形成している。
第1の導電性高分子層4aを形成した後、実施例1と同様に、オクタドデシルホスホン酸を0.5mM含む25℃のイソプロピルアルコール溶液に1時間浸漬した後、イソプロピルアルコールで洗浄し、その後60℃で10分間乾燥させることにより、第2のカップリング剤層3bを形成した。
第2のカップリング剤層3bを形成した後、実施例1と同様にして、第2の導電性高分子層4bを形成した。
第2の導電性高分子層4bを形成した後、実施例1と同様にして、陰極層7を形成し、陽極端子及び陰極端子を接続して、樹脂外装体を形成し、固体電解コンデンサA2を作製した。
(比較例1)
図6は、比較例1の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。
図6に示すように、比較例1においては、陽極1に誘電体層2を形成した後、その上に第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bを形成している。従って、カップリング剤層を形成していない。
それ以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC1を作製した。
(比較例2)
実施例1において、ホスホン酸基を有するカップリング剤に代えて、シランカップリング剤を用いた。シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−803」、信越化学社製シランカップリング剤)を用いた。3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを0.1M含む25℃の水溶液に10分間浸漬させた後、130℃で30分間乾燥させて、純水で洗浄し、再び100℃で乾燥させることにより、カップリング剤層を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC2を作製した。
(比較例3)
実施例2において、ホスホン酸基を有するカップリング剤に代えて、比較例2と同様のシランカップリング剤を用いてカップリング剤層3a及びカップリング剤層3bを形成する以外は、実施例2と同様にして固体電解コンデンサC3を作製した。
〔固体電解コンデンサの特性の評価〕
得られた各固体電解コンデンサA1〜A2,C1〜C3について、静電容量、ESR、及び漏れ電流を測定した。
静電容量は、LCRメータ(インダクタンス−キャパシタンス−レジスタンス測定装置)を用いて、周波数120Hzで測定した。ESRは、LCRメータを用いて、周波数100kHzで測定した。漏れ電流は、定格電圧を印加して30秒後の値を漏れ電流とした。
測定結果を表1に示す。なお、表1に示す値は、比較例1を基準とした相対値である。
Figure 2010103489
本発明の第1の局面に従う実施例1の固体電解コンデンサA1、及び本発明の第2の局面に従う実施例2の固体電解コンデンサA2のいずれも、比較例1の固体電解コンデンサC1に比べ、静電容量が高く、ESR及び漏れ電流が小さくなっている。本発明に従い、カップリング剤層を形成することにより、導電性高分子層の被覆率が改善され、静電容量が増加すると考えられる。
また、誘電体層に対する導電性高分子層の密着性がより強固になるため、誘電体層と導電性高分子層の接触抵抗が低減し、ESRが低減すると考えられる。また、誘電体層と導電性高分子層の間にカップリング剤層を設けることにより、カップリング剤層が絶縁膜として機能し、誘電体層の欠陥に起因する漏れ電流を低減することができると考えられる。
また、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いた実施例1の固体電解コンデンサA1と、シランカップリング剤を用いた比較例2の固体電解コンデンサC2と比較すると、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いることにより、ESR及び漏れ電流を低減できることがわかる。これは、ホスホン酸基を有するカップリング剤の方が、シランカップリング剤に比べて、誘電体層への吸着率または被覆率を高めることができるためであると考えられる。
実施例2の固体電解コンデンサA2と比較例3の固体電解コンデンサC3を比較しても、同様にホスホン酸基を有するカップリング剤を用いた実施例2の固体電解コンデンサA2において、ESR及び漏れ電流が低減されている。これは、ホスホン酸基を有するカップリング剤の方がシランカップリング剤に比べて、誘電体層に対する吸着量または被覆率が高いためであると考えられる。
<実施例3〜5及び比較例4〜6>
(実施例3)
図3は、本実施例の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。
本実施例においては、図3に示すように、誘電体層2の上に、第1の導電性高分子層4aを部分的に形成し、第1の導電性高分子層4aを形成した後、カップリング剤層3を形成し、カップリング剤層3を形成した後、第2の導電性高分子層4bを形成している。
陽極1に誘電体層2を形成した後、実施例1と同様にして、第1の導電性高分子層4aを形成した。但し、第1の導電性高分子層4aを形成する際には、ピロール溶液への浸漬時間を1分間とし、過硫酸アンモニウム及びアルキルナフタレンスルホン酸水溶液への浸漬時間を1分間とすることにより、第1の導電性高分子層4aを島状になるように部分的に形成した。次に、第1の導電性高分子層4aを形成した後、実施例1と同様にして、カップリング剤層3を形成した。カップリング剤層3は、第1の導電性高分子層4a及び第1の導電性高分子層4aが形成されていない領域の誘電体層2の上に形成された。
次に、実施例1と同様にして、第2の導電性高分子層4bを形成した。
その後、実施例1と同様にして、陰極層7を形成し、陽極端子及び陰極端子を接続して、樹脂外装体を形成して、固体電解コンデンサA3を作製した。
図8は、多孔質体である陽極1を構成する粉末の表面の誘電体層2の上に形成された第1の導電性高分子層4aを示す模式的断面図である。図8に示すように、第1の導電性高分子層4aは、誘電体層2の上に島状となるように部分的に形成されている。また、カップリング剤層3は、第1の導電性高分子層4a及び第1の導電性高分子層4aが形成されていない領域の誘電体層2上に形成されている。さらに、カップリング剤層3上に第2の導電性高分子層4bが形成されている。
(実施例4)
図4は、本実施例の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。
本実施例においては、図4に示すように、誘電体層2の上に、第1の導電性高分子層4aを部分的に形成し、第2の導電性高分子層4aを形成した後、カップリング剤層3を形成している。カップリング剤層3を形成した後、第2の導電性高分子層4bを形成し、第2の導電性高分子層4bを形成した後、その上に第3の導電性高分子層4cを形成している。
陽極1に誘電体層2を形成した後、実施例1と同様にして、第1の導電性高分子層4aを形成した。但し、ピロール溶液に浸漬する時間を、1分間とし、過硫酸アンモニウム及びアルキルナフタレンスルホン酸水溶液に浸漬する時間を1分とし、第1の導電性高分子層4aが島状になるように部分的に形成した。
次に、カップリング剤層3を、実施例1と同様にして第1の導電性高分子層4a及び第1の導電性高分子層4aが形成されていない領域の誘電体層2の上に形成した。
次に、第1の導電性高分子層4aと同様にして、カップリング剤層3の上に第2の導電性高分子層4bを形成した。従って、第1の導電性高分子層4a及び第2の導電性高分子層4bは、化学重合法により形成した。
次に、実施例1における第2の導電性高分子層4bと同様にして、第2の導電性高分子層4bの上に第3の導電性高分子層4cを形成した。従って、第3の導電性高分子層4cは、電解重合法により形成した。
その後、実施例1と同様にして、陰極層7を第3の導電性高分子層4cの上に形成し、陽極端子及び陰極端子を接続して、樹脂外装体を形成して、固体電解コンデンサA4を作製した。
(実施例5)
図5は、本実施例の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。
本実施例においては、図5に示すように、誘電体層2の上に、第1の導電性高分子層4aを部分的に形成し、第1の導電性高分子層4aを形成した後、第1のカップリング剤層3aを形成している。その後、第1のカップリング剤層3aの上に、第2の導電性高分子層4bを形成している。その後、第2の導電性高分子層4bの上に、第2のカップリング剤層3bを形成している。その後、第2のカップリング剤層3bの上に、第3の導電性高分子層4cを形成している。
陽極1に誘電体層2を形成した後、実施例4と同様にして、第1の導電性高分子層4aを島状となるように部分的に形成した。次に、第1の導電性高分子層4aを形成した後、実施例4と同様にして、第1のカップリング剤3aを形成した。第1のカップリング剤層3aは、第1の導電性高分子層4a及び第1の導電性高分子層4aが形成されていない領域の誘電体層2の上に形成されている。
次に、実施例4と同様にして、第2の導電性高分子層4bを第1のカップリング剤層3aの上に形成した。
次に、第2の導電性高分子層4bの上に、第1のカップリング剤層3aと同様にして、第2のカップリング剤層3bを形成した。
第2のカップリング剤層3bの上に、実施例4と同様にして、第3の導電性高分子層4cを形成した。
その後、実施例1と同様にして、陰極層7を形成し、陽極端子及び陰極端子を接続して、樹脂外装体を形成して、固体電解コンデンサA5を作製した。
(比較例4)
実施例3において、ホスホン酸基を有するカップリング剤に代えて、比較例2と同様のシランカップリング剤を用いて、カップリング剤層3を形成する以外は、実施例3と同様にして固体電解コンデンサC4を作製した。
(比較例5)
実施例4において、ホスホン酸基を有するカップリング剤に代えて、比較例2と同様のシランカップリング剤を用いて、カップリング剤層3を形成する以外は、実施例4と同様にして固体電解コンデンサC5を作製した。
(比較例6)
実施例5において、ホスホン酸基を有するカップリング剤に代えて、比較例2と同様のシランカップリング剤を用いて、カップリング剤層3を形成する以外は、実施例5と同様にして固体電解コンデンサC6を作製した。
〔固体電解コンデンサの特性の評価〕
得られた各固体電解コンデンサA3〜A5,及びC4〜C6について、上記と同様にして、静電容量、ESR、及び漏れ電流を測定した。
測定結果を表2に示す。なお、表2に示す値は、比較例4を基準とした相対値である。
Figure 2010103489
本発明の第3の局面に従う実施例3〜5の固体電解コンデンサA3〜A5は、それぞれ対応する比較例4〜6の固体電解コンデンサC4〜C6に比べ、静電容量が高く、ESR及び漏れ電流が小さくなっている。
従って、本発明に従い、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いることにより、ESR及び漏れ電流を低減できることが分かる。
実施例3の固体電解コンデンサA3と実施例4の固体電解コンデンサA4の比較から明らかなように、第1の導電性高分子層4aを化学重合法により形成した後、カップリング剤層を形成し、このカップリング剤層の上に第2の導電性高分子層4bを化学重合法により形成することにより、漏れ電流をさらに低減できることが分かる。
また、実施例4の固体電解コンデンサA4と実施例5の固体電解コンデンサA5の比較から明らかなように、第2の導電性高分子層4bと第3の導電性高分子層4cの間に第2のカップリング剤層3bを形成することにより、さらに漏れ電流を低減することができ、静電容量を高めることができることが分かる。
1…陽極
2…誘電体層
3…カップリング剤層
3a…第1のカップリング剤層
3b…第2のカップリング剤層
4…導電性高分子層
4a…第1の導電性高分子層
4b…第2の導電性高分子層
5…カーボン層
6…銀層
7…陰極層
8…陽極リード

Claims (7)

  1. 弁作用金属またはその合金から形成される陽極と、
    前記陽極の表面に形成される誘電体層と、
    前記誘電体層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層と、
    前記カップリング剤層の上に形成される導電性高分子層と、
    前記導電性高分子層の上に形成される陰極層とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 弁作用金属またはその合金から形成される陽極と、
    前記陽極の表面に形成される誘電体層と、
    前記誘電体層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第1のカップリング剤層と、
    前記第1のカップリング剤層の上に形成される第1の導電性高分子層と、
    前記第1の導電性高分子層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第2のカップリング剤層と、
    前記第2のカップリング剤層の上に形成される第2の導電性高分子層と、
    前記第2の導電性高分子層の上に形成される陰極層とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  3. 弁作用金属またはその合金から形成される陽極と、
    前記陽極の表面に形成される誘電体層と、
    前記誘電体層の上に部分的に形成される第1の導電性高分子層と、
    前記第1の導電性高分子層及び前記第1の導電性高分子層が形成されていない領域における前記誘電体層の上に形成される、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層と、
    前記カップリング剤層の上に形成される第2の導電性高分子層と、
    前記第2の導電性高分子層の上に形成される陰極層とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  4. 前記第2の導電性高分子層の上に形成される第3の導電性高分子層をさらに備え、前記陰極層が前記第3の導電性高分子層の上に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記第2の導電性高分子層と前記第3の導電性高分子層の間に、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含む第2のカップリング剤層が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記カップリング剤が、以下の一般式で表わされることを特徴する請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
    Figure 2010103489
    (式中、Rは、炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、フェニル基、エーテル基、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、アニリン誘導体、ビニル基を有する誘導体、エポキシ基を有する誘導体、スチリル基を有する誘導体、メタクリロキシ基を有する誘導体、アクリロキシ基を有する誘導体、アミノ基を有する誘導体、ウレイド基を有する誘導体、クロロプロピル基を有する誘導体、メルカプト基を有する誘導体、スルフィド基を有する誘導体、またはイソシアネート基を有する誘導体である。)
  7. 弁作用金属またはその合金から形成される陽極の表面に誘電体層を形成する工程と、
    前記誘導体層の上に、ホスホン酸基を有するカップリング剤を含むカップリング剤層を形成する工程と、
    前記カップリング剤層の上に導電性高分子層を形成する工程と、
    前記導電性高分子層の上に陰極層を形成する工程とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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