特許文献1の連続押捺装置では、押印操作に連動してスタンプ台が回転印の上下動範囲の外側に離反し、押印後は、スプリングの付勢力により、回転印およびホルダーは上昇位置に自動的に復帰して、印面にインクを供給するので、別途インクの供給動作を行うことなく連続的に押印することができる。しかし、回転印は、ホルダーに対して上方から差し込んだ状態で保持されているだけで、ホルダーとは一体化されていない。そのため、ホルダーによる回転印の保持状態が不安定になりやすく、回転印の姿勢がぐらつきやすい。押印操作時に回転印の姿勢がぐらつくと、押印された印字に濃淡やかすれが生じ、印字品質が低下してしまう。また、ケースで囲まれたコ字状の空間の内部に、ホルダーとスタンプ台を収容し、さらにスタンプ台およびアームの揺動スペースを先の空間内に確保するので、ケースが大型化するのを避けられず、連続押捺装置を収納保管するのに大きなスペースが必要となる。
特許文献2のデータゴム印では、ラック枠と日付繰出機構とが、ネジ軸とナットで一体化されているので、押印操作時に日付繰出機構がぐらつくことはなく、印字品質が低下することはない。しかし、ラック枠と日付繰出機構とは、ネジ軸とナットで締結固定しているので、両者を容易に分離することができない。このため、日付の変更操作を行う場合には、まず、ラック枠および日付繰出機構を下方にスライドさせてスタンプパットを回転させ、この状態をバネの付勢力に抗して保持したまま日付の変更操作を行わなければならず、操作が煩雑であり、日付の変更操作に時間を要する。
本発明の目的は、印判ホルダーに装着した印判を、位置決めした状態でロック保持して、印判をぐら付きのない状態で起立保持でき、従来のこの種の印判スタンドに比べて、押印操作時の印字部による印字品質を向上できる印判スタンドを提供することにある。
本発明の目的は、印判を印判ホルダーから簡便に取り外して、日付の調整等を速やかに行える印判スタンドを提供することにある。
本発明に係る印判スタンドは、スタンド本体20と、印判を起立保持する印判ホルダー21と、印判ホルダー21の下面側に配置されて、印判の印字部3にインクを供給するインクパッド22とを備え、印判を押下げ操作するのに連動して、インクパッド22を退避揺動させて押印を行う。印判ホルダー21を上下が開口する枠体で構成し、その内部に印判を収容する印判保持部23を備える。印判ホルダー21は上下が開口する枠体で構成し、スタンド本体20で昇降スライド自在に案内支持し、かつ、復帰ばね43で上方の待機位置へ向かって復帰付勢する。インクパッド22は、インクを含浸するパッド体51と、パッド体51を支持するパッドホルダー52とを含んで構成する。インクパッド22は、スタンド本体20で揺動軸57を介して揺動可能に支持して、パッド体51を印判の印字部3に密着する補給姿勢と、全体が印判ホルダー21の昇降軌跡の外へ退避する退避姿勢との間を揺動できるようにする。印判ホルダー21とインクパッド22との間に、印判ホルダー21の昇降動作をインクパッド22の揺動動作に変換して、インクパッド22を補給姿勢と退避姿勢とに切換えるカム構造を設ける。印判保持部23には、印判保持部23に差し込まれた印判の外面の下段部を受止める位置決め座28と、位置決め座28で受止められた印判の外面の上段部と係合して印判をロック保持するロック爪31とを設ける。そして、ロック爪31に隣接するスタンド本体20の壁面に、前記ロック爪31をロック解除操作するロック解除体71が設けられていることを特徴とする。
スタンド本体20の対向する内周面に、圧縮コイル形の復帰ばね43を収容する一対のボス44・44と、各ボス44の長手方向に沿って形成されて、印判ホルダー21を昇降スライド自在に案内支持するガイド溝45とを、上向きに開口する状態で設ける。印判ホルダー21の対向周面に、前記復帰ばね43の端部を受止め、かつ前記ガイド溝45でスライド案内される一対のスライドピース33・33を設ける。スタンド本体20には、昇降スライドする印判ホルダー21の上方のスライド限界を規制する規制体85を形成する。印判ホルダー21をスタンド本体20に昇降スライド自在に組付けた状態において、規制体85で印判ホルダー21を受止めて、印判ホルダー21をスタンド本体20に対して分離不能に組付ける。
印判を、外フレーム2と、外フレーム2の外面に露出する複数の日付調整ダイヤル6を備えた日付印で構成する。日付調整ダイヤル6の露出縁と対向する、スタンド本体20の周囲壁に、インクパッド22の出入りを許すパッド窓61を開口する。パッド窓61の上隅部に、パッドホルダー52と一体に設けた揺動軸57を軸支する軸受壁62を、スタンド本体20の周囲壁の外面へ向かって開口する状態で横臥U字状に形成する。パッドホルダー52の揺動軸57を軸受壁62に対して、スタンド本体20の周囲壁の外面の側から差し込み係合することにより、インクパッド22をスタンド本体20に組み付ける形態を採ることができる。
カム構造を、パッドホルダー52に設けた受動ピン64と、印判ホルダー21に設けられて前記受動ピン64を操作する第1カム65と、第1カム65に連続して上向きに延びる保持カム66と、第1カム65の下方に設けられる第2カム67とで構成する。第1カム65で受動ピン64を揺動軸57の回りに押下げ操作することにより、インクパッド22を補給姿勢から退避姿勢に揺動変位できる。退避姿勢に揺動変位した状態の受動ピン64を保持カム66で支持して、インクパッド22を退避姿勢に保持し続けることができる。自重で補給前段姿勢に復帰したインクパッド22の受動ピン64を、第2カム67で揺動軸57の回りに押上げ操作することにより、インクパッド22を補給姿勢に保持できる。
印字部3は、外フレーム2で上下スライド可能に支持される印面枠10と、印面枠10の下面に固定されるゴム印字体11とを含んで構成する。印面枠10の下面の隅部12aが、位置決め座28で受止められる下段部を構成し、印面枠10の上端の上縁部13aが、ロック爪31と係合する上段部を構成する。
ロック爪31は、弾性変形可能な弾性腕30を含んで構成する。ロック爪31とロック解除体71との隣接部分に、ロック解除体71の解除操作力をロック爪31に伝える操作面72と受動面73とを設ける。操作面72および受動面73は、ロック解除体71の解除操作方向と交差する傾斜面で形成する。ロック解除体71の解除操作力を、操作面72および受動面73でロック爪31の係合を解除する向きの操作力に変換して、ロック爪31と上段部との係合を解除する。
パッド体51は、インク含浸マット51aと、同マット51aを収容するマット収容体51bとを備える。マット収容体51bをパッドホルダー52に対して、両者の間に設けたパッド装着構造を介して着脱可能に装着する。
パッド装着構造は、パッドホルダー52に形成された雌ねじ体59と、マット収容体51bに形成された雄ねじ体58との螺合構造で構成する。
パッドホルダー52に、マット収容体51bを抱持する一対の抱持腕55・55を設け、両抱持腕55・55の内面に雌ねじ体59を形成する。雄ねじ体58を雌ねじ体59にねじ込み装着した状態において、抱持腕55を拡開状に弾性変形して、抱持腕55の弾性変形力で雄ねじ体58の緩みを規制する。
本発明は、印判の押下げ操作に連動してインクパッド22を退避揺動させて押印を行う印判スタンドにおいて、印判ホルダー21の印判保持部23に、印判の外面の下段部を受止める位置決め座28と、位置決め座28で受止められた印判の外面の上段部と係合して印判をロック保持するロック爪31とを設けた。これによれば、印判を印判保持部23に差し込むだけで、印判を位置決めした状態でロック爪31でロック保持して、印判をぐらつきのない状態で起立保持できる。従って、押印操作時に印判がぐらつくのを防止して、押印された印字に濃淡やかすれが生じて不鮮明になることがなく、印字品質を向上できる。また、ロック爪31をロック解除操作するためのロック解除体71を、ロック爪31と隣接するスタンド本体20の壁面に設けるので、ロック解除体71を操作するだけで、ロック爪31をロック解除して印判を印判ホルダー21から簡便に取り外すことができる。従って、印判スタンドに対する印判の着脱を容易に行って、日付変更を速やかに行なえる。
復帰ばね43を収容する一対のボス44・44とガイド溝45を、スタンド本体20の対向する内周面に設け、ボス44・44に収容した復帰ばね43の端部を、ガイド溝45に沿ってスライドするスライドピース33で受止めるようにした。また、スタンド本体20に形成した規制体85で印判ホルダー21を受止めて、印判ホルダー21をスタンド本体20に対して分離不能に組付けた。これによれば、各ボス44・44に対して、上方から復帰ばね43、次いで印判ホルダー21のスライドピース33を挿入したのち、印判ホルダー21を規制体85で受止めるだけで、印判ホルダー21および復帰ばね43をスタンド本体20に昇降スライド自在に組付けることができる。従って、印判スタンドの組付けを簡略化でき、印判スタンドの製造コストを低減することができる。
日付調整ダイヤル6と対向するスタンド本体20の周囲壁にパッド窓61を開口し、同窓61の上隅部に設けた軸受壁62に対して、パッドホルダー52の揺動軸57をスタンド本体20の外面側から係合して、インクパッド22をスタンド本体20に組み付けるようにした。これによれば、軸受壁62に揺動軸57を差し込み係合するだけでインクパッド22をスタンド本体20に組み付けることができるので、印判スタンドへのインクパッド22の組付けの手間を省いて簡略化することができ、印判スタンドの製造コストをさらに低減できる。また、軸受壁62と揺動軸57との係合状態を解除することにより、インクパッド22をスタンド本体20から取り外すことができるので、インクパッド22にインクを補充する際にスタンド本体20をインクで汚損することなく、インクの補充作業を行うことができる。
カム構造を、パッドホルダー52に設けた受動ピン64と、印判ホルダー21に設けた第1カム65、保持カム66、第2カム67などで構成し、第1カム65で受動ピン64を押下げ操作して、インクパッド22を補給姿勢から退避姿勢に揺動変位したのち、受動ピン64を保持カム66で支持して、インクパッド22を退避姿勢に保持し続けるようにした。また、自重で補給前段姿勢に復帰したインクパッド22の受動ピン64を、第2カム67で揺動軸57の回りに押上げ操作して、インクパッド22を補給姿勢に保持できるようにした。これによれば、インクパッド22を補給姿勢から退避姿勢に揺動させるためのカム構造を、パッドホルダー52および印判ホルダー21に集約して一体化できるので、カム構造を構成する部材を別途設ける必要がない。従って、印判スタンドの部品点数を減らして、印判スタンドの製造コストをさらに低減することができる。また、カム構造をパッドホルダー52および印判ホルダー21と一体的に設けることにより、印判スタンド全体をコンパクトにすることができる。
印面枠10と、印面枠10の下面のゴム印字体11などで印字部3を構成する印判においては、印面枠10の下面の隅部12aを位置決め座28で受止め、印面枠10の上縁部13aにロック爪31を係合させて、印判を印判ホルダー21に固定保持できる。この場合の隅部12aは下段部として機能し、印面枠10の上縁部13aは上段部として機能する。このように、捺印面に最も近い位置に位置する印面枠10の上下端を、位置決め座28とロック爪31とで係合保持すると、印判を印判ホルダー21に対して適正に位置決めした状態で支持し、しかもぐらつくことなく確実に保持することができる。従って、押印操作時に印判がぐらつくのを防止して、押印された印字に濃淡やかすれが生じて不鮮明になることがなく、全体として印字品質をさらに向上できる。また、印面枠10をロック爪31で係合保持するので、例えば印面枠10より上側に設けた係合構造をロック爪31で係合保持する場合に比べて、印判ホルダー21の上下寸法を小さくして、印判スタンドをコンパクト化できる。さらに、既存の日付印などの印判を印判ホルダー21に装着することで、印判の押下げ操作に連動して印字部3の捺印面にインクを自動的に補給することができるので、自立してインクで周囲を汚すことのない、自動印タイプの印判を容易に構成することができる。
ロック爪31を弾性腕30を含んで構成し、ロック解除体71の解除操作力を、傾斜面からなる操作面72および受動面73で、ロック爪31の係合を解除する向きの操作力に変換して、ロック爪31と上縁部13aとの係合を解除するようにした。このように、弾性腕30を備えたロック爪31によれば、弾性腕30を弾性変形させながら印字部3を印判ホルダー21に差し込み装着するだけで、ロック爪31を上段部に係合させることができる。また、必要時にはロック解除体71を操作するだけで、ロック爪31と上段部との係合状態を解除して、印判を印判ホルダー21から簡便に取り外すことができる。従って、印判スタンドに対する印判の着脱をさらに的確に行って、印判の日付変更を速やかに行なえる。
インク含浸マット51aを収容するマット収容体51bをパッドホルダー52に対して、両者の間に設けたパッド装着構造を介して着脱可能に装着すると、パッドホルダー52からマット収容体51bを分離した状態でマット51aにインクを補充し、あるいはマット51aを交換することができる。従って、スタンド本体20やパッドホルダー52をインクで汚損することなく、インク補充あるいはパッド交換の作業を簡便に行うことができる。
パッドホルダー52に形成した雌ねじ体59と、マット収容体51bに形成した雄ねじ体58との螺合構造でパッド装着構造を構成すると、マット収容体51bを締緩操作するだけでパッドホルダー52に対してマット収容体51bを装着あるいは分離することができる。また、ねじ込み量により、パッドホルダー52とマット収容体51bとの相対位置を変更できるので、補給姿勢において、印字部3とインク含浸マット51aとの密着度合を最適にして、ゴム印字体11にインクを均一にしかも適正に供給することができる。
雄ねじ体58を雌ねじ体59にねじ込み装着した状態において、パッドホルダー52に設けた抱持腕55が拡開状に弾性変形して、抱持腕55の弾性変形力で雄ねじ体58の緩みを規制できるようにした。このように、雄ねじ体58の緩みを抱持腕55の弾性力で規制すると、インクパッド22が揺動操作されるときの振動や押印時の衝撃等で、雄ねじ体58と雌ねじ体59との螺合構造が緩んでマット収容体51bが不用意に回転するのを防止できる。マット収容体51bが抱持腕55から脱落することもない。また、別途雄ねじ体58の緩みを規制する構造を設ける必要がないので、インクパッド22の構造を簡素化でき、従って、印判スタンド全体をコンパクトにすることができる。
(実施例) 図1から図12に、本発明に係る印判スタンドを、領収印や受付印に代表される日付印(印判)の印判スタンドに適用した実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において、日付印は、外フレーム2と、外フレーム2の下部に配置される印字部3と、外フレーム2の上部に設けられるグリップ4とを備えている。
図2および図3に示すように、外フレーム2の内部には、印字ユニット5が配置されており、印字ユニット5は、日付調整ダイヤル6と、同ダイヤル6とブリッジ(不図示)に巻掛けられる5本の印字ベルト7などで構成される。印字ベルト7は、日付印に多用されている周知のゴムベルトからなり、その外面には年号と、月、日を印字するための印字ブロックが一定間隔おきに設けられている。日付調整ダイヤル6は外フレーム2の前後面において、その周縁が外フレーム2の外面に露出しており、日付調整ダイヤル6の露出部分を回転操作することにより、印字ベルト7を回転させて年号と、月、日を自在に変更できる。
図2および図4に示すように印字部3は、外フレーム2で上下スライド可能に支持される印面枠10と、印面枠10の下面に固定されるゴム印字体11とを含んで構成される。具体的には、印面枠10は金属板材に板金加工を施して形成され、底枠12と両側枠13・13とで正面視において横臥コ字状に形成されている。底枠12の底面形状は四角形状に形成されており、各枠12・13はそれぞれ断面コ字状に形成されている。ゴム印字体11は、印面台15を介して印面枠10に一体に固定されており、ゴム印字体11および印面台15の平面形状は円形状に形成されている。これにより、底枠12の下面4隅の隅部(下段部)12aは、印面台15で覆われておらず露出している(図4参照)。ゴム印字体11の下面は印面16を構成しており、印面16は、固定印字面と各印字ベルト7の印字ブロックとからなる。印字部3は、外フレーム2を間にして両側枠13・13を貫通するように挿通されたビス17と、ビス17にねじ込まれるナット18により、外フレーム2に対して上下スライドできるように連結されており、ビス17と外フレーム2に設けた長穴(不図示)により、印字部3の引き出し限界が規定されている。ゴム印字体11および印字ベルト7は、非浸透性のゴム素材で形成されている。年号等の変更は、図2に想像線で示すように、印字部3を外フレーム2から下方に引き出した状態で行うことができる。
印判スタンドは、スタンド本体20と、日付印を起立保持する印判ホルダー21と、印判ホルダー21の下面側に配置されて、日付印の印字部3にインクを供給するインクパッド22とを備える。印判ホルダー21は、その内部に印字部3を収容する印判保持部23を備えており、図4および図7に示すように、前後の枠壁24・25と左右の枠壁26・27とで上下が開口する枠体で構成されている。印判保持部23に印字部3を上開口の側から差し込み収容した状態において、前後左右の各枠壁24・25・26・27と印字枠10とは、僅かな隙間を介して隣接している。後枠壁25は、他の枠壁24・26・27よりも上方に延出するように形成されており、印判ホルダー21が上方の待機位置に位置している状態では、後枠壁25の上端部分が、後述するスタンドカバー46の昇降窓47から突出している(図2および図5参照)。印判ホルダー21の内面下部および内面上部には、印字枠10の隅部12aを受止める位置決め座28と、印字枠10の上縁部13aと係合するロック爪31とが設けられている。
具体的には、印判ホルダー21の内面下端の4隅には、図4および図7に示すように、それぞれ位置決め座28が形成してある。印字部3を印判保持部23に収容した状態において、印面枠10の下段部、すなわち底枠12の4つの隅部12aが位置決め座28で受止められる。印判ホルダー21の左右の枠壁26・27の前側左右端には、それぞれロック爪31が設けられている。ロック爪31は弾性腕30を一体に備えており、弾性腕30を弾性変形可能とするために、前枠壁24の左右端寄りおよび左右の枠壁26・27の前端寄りにスリットが形成されている。各ロック爪31は、各弾性腕30の内面よりも対向する弾性腕30に向かって突出するように形成されている。
図5に示すように、ロック爪31は、印字部3の底枠12の隅部12aが位置決め座28で受止められた状態で、印面枠10の上端の上段部、すなわち両側枠13・13の上縁部13aと係合する。印字部3を印判保持部23に対して上方から差し込むと、両側枠13とロック爪31が接触して、両弾性腕30を外側に拡開変形しながら印字部3が印判保持部23に侵入し、隅部12aが位置決め座28で受止められる。同時に、弾性腕30の弾性復元力で両ロック爪31が両側枠13・13の上縁部13aと係合する。これにより、印字部3は位置決め座28とロック爪31とで挟持されて上下に位置決めされる。従って、弾性腕30を弾性変形させながら印字部3を印判ホルダー21に差し込み装着するだけで、日付印をぐらつくことなく起立保持した状態で印判スタンドに装着できる。
印判ホルダー21の対向周面、詳しくは左右枠壁26・27の外面上部には、後述する復帰ばね43の上端部を受止め、かつガイド溝45でスライド案内されるスライドピース33が設けられる。図4、図6および図7に示すように、スライドピース33は、上下に伸びるガイドリブ34とガイドリブ34の上端に形成されるガイド軸35とで構成されている。図7において、符号36は、左右の枠壁26・27に形成された逃げ凹部であり、先に述べた日付印のビス17の頭部およびナット18が、左右の枠壁26・27と干渉するのを避けるために設けられている。
図5、図6および図7に示すように、スタンド本体20は、前後壁38・39と左右壁40・41とで上下が開口する角筒状に形成されている。スタンド本体20の対向する内周面、詳しくはスタンド本体20の左右壁40・41には、圧縮コイル形の復帰ばね43を収容する一対のボス44・44と、各ボス44の上下方向(長手方向)に沿って形成されて、印判ホルダー21を昇降スライド自在に案内支持するガイド溝45とが、上向きに開口する状態で設けられている。ガイド溝45は、スライドピース33を構成するガイドリブ34およびガイド軸35の平面形状に対応する鍵穴状に形成されている。スタンド本体20には、昇降スライドする印判ホルダー21の上方のスライド限界を規制する規制突起(規制体)85が形成されている。詳しくは、規制突起85は、後述するロック解除体71の上端の左右内面に内向きに突出形成されている。印判ホルダー21をスタンド本体20に昇降スライド自在に組付けた状態において、印判ホルダー21は、先の規制体85で受止められて、上方のスライド限界が規定されている。詳しくは、後述するように、ロック爪31に形成した受動面73に連続して受座86を形成し、この受座86を規制突起85で受止めることにより、昇降スライド時の上方のスライド限界を規定している。
スタンド本体20の上開口には、スタンドカバー46が分離不能に装着される。図1および図6に示すように、スタンド本体20の上端周縁には、スタンドカバー46が装着される段部77が形成されており、スタンドカバー46はこの段部77に被さる状態で装着される。図4に示すように、スタンドカバー46は、その上面に日付印および印判ホルダー21の昇降動作を許す昇降窓47が開口されており、その下面の左右にスタンド本体20の固定穴48に挿通される固定軸49が設けられている。スタンドカバー46は、固定軸49と、両者20・46の間に設けられた爪嵌合構造により、スタンド本体20に分離不能に装着される。図1に示すように、爪嵌合構造は、スタンドカバー46の内面に形成された固定爪78と、固定爪78に対応するスタンド本体20の段部77に形成された凹部79とで構成されている。爪嵌合構造は、前側左右の2ヶ所、および後側中央の1ヶ所の計3ヶ所に設けられている。スタンド本体20の前後に爪嵌合構造を設けることにより、スタンドカバー46がスタンド本体20から浮き離れることなく、スタンドカバー46をスタンド本体20に対して強固に装着することができる。
印判ホルダー21の前後方向の中央位置は、スタンド本体20の前後方向中央よりも前側に偏寄させた状態で設けてある(図1参照)。これは後述するインクパッド22の姿勢を切換えるカム構造を印判スタンドの背面側に配置したからである。このため、印判ホルダー21の印判保持部23に装着した日付印の前後方向の中央位置が目視で確認できるように、図3および図7に示すように、スタンド本体20の左右壁40・41の下端に、縦長リブ状の指標80がそれぞれ形成されている。なお、指標80は縦長リブ状である必要はなく、例えば、左右壁40・41に形成した溝、あるいは塗装であってもよい。
ここで、スタンド本体20、印判ホルダー21、復帰ばね43およびスタンドカバー46を組付ける手順を説明する。まず、スタンド本体20の各ボス44に形成されたガイド溝45に上方からそれぞれ復帰ばね43を挿入する。次いで、各復帰ばね43の上端に印判ホルダー21のガイド軸35を当てがい、復帰ばね43を圧縮しながらガイド溝45にスライドピース33を挿入し、印判ホルダー21が規制突起85を乗り越えるように、印判ホルダー21を下方に移動させる。印判ホルダー21が規制突起85を乗り越えると、印判ホルダー21は復帰ばね46の付勢力を受けて上方へスライド移動する。この状態において、印判ホルダー21の受座86を、先の規制突起85で受止めることにより、印判ホルダー21の上方移動を規制することができ、さらに、印判ホルダー21をスタンド本体20に対して分離不能に組付けることができる。最後に、スタンド本体20の上方から、固定軸49を固定穴48に挿入しながら、スタンドカバー46をスタンド本体20の段部77に被せ、固定爪78と凹部79とを嵌合させることにより、これらスタンド本体20、印判ホルダー21、復帰ばね43およびスタンドカバー46を一体に組付けることができる。
上記のように構成された、スタンド本体20、印判ホルダー21、復帰ばね43およびスタンドカバー46によれば、各ボス44に上方から復帰ばね43、次いで印判ホルダー21のスライドピース33を挿入したのち、印判ホルダー21を規制突起85で受止めるだけで、印判ホルダー21および復帰ばね43をスタンド本体20に昇降スライド自在に組付けることができる。従って、印判スタンドの組付けを簡略化でき、印判スタンドの製造コストを低減することができる。加えて、スタンドカバー46でスタンド本体20の上開口を塞ぐので、スタンド本体20の内部構造を覆い隠して、印判スタンドの外観をすっきりとした印象にすることができる。また、印判スタンドが落下衝撃を受けて、規制突起85による上方への移動規制が解除された場合でも、スタンドカバー46でスライドピース33を受止めて、スタンド本体20と印判ホルダー21とが分離するのを防止できる。
印判ホルダー21は、復帰ばね43で常に上方の待機位置(図3に示す状態)へ向かって押し上げ付勢されており、復帰ばね43の付勢力に抗して日付印を押下げ操作することにより、印判ホルダー21を下方の押印位置(図1に示す状態)まで下降操作できる。また、下降操作された印判ホルダー21は、押下げ操作力を解除することにより、復帰ばね43の付勢力で待機位置に自動的に復帰する。日付印を印判ホルダー21に装着した待機位置(図3に示す位置)においては、受座86は規制突起85で受止められておらず、両者85・86は離れた状態にある。これは、印判ホルダー21に装着した日付印が、インクパッド22を僅かに退避姿勢側へ揺動させ、カム機構で印判ホルダー21が下降操作されるためである。
図4および図5に示すように、インクパッド22は、パッド体51と、パッド体51を支持するパッドホルダー52とを含んで構成されている。具体的には、パッド体51は、インクが含浸させてあるインク含浸マット51aと、同マット51aを収容するマット収容体51bとを備えている。マット収容体51bはカップ状に形成されており、カップ内にインク含浸マット51aが収容されている。マット収容体51bはパッド装着構造でパッドホルダー52に着脱自在に装着されている。パッドホルダー52は、断面L字状のブロックからなるホルダー基部54と、ホルダー基部54の前側に形成される左右一対の抱持腕55・55と、一対の抱持腕55・55の左右縁から後方に向かって伸びる一対の支持腕56・56とが一体に形成されている。支持腕56の後方上端には、スタンド本体20で支持される揺動軸57が外側に向かって突出形成されている。
パッド装着構造は、マット収容体51bの側に形成される雄ねじ体58と、抱持腕55の側に形成される雌ねじ体59とで構成する。雄ねじ体58は、マット収容体51bと一体に形成された丸筒軸51cと、該丸筒軸51cの外周面に形成されたねじ山とで構成されており、雌ねじ体59は、C字状の一対の抱持腕55の内周面に形成されたねじ穴で構成されている。マット収容体51bは、雄ねじ体58を雌ねじ体59にねじ込むことによりパッドホルダー52に装着でき、雄ねじ体58を緩め操作することによりパッドホルダー52から分離できる。雄ねじ体58の下側には、螺合構造の締緩操作を容易にするための操作つまみ60が、雄ねじ体58と一体に形成されている。このように、マット収容体51bをパッドホルダー52に対して、パッド装着構造を介して着脱可能に装着すると、パッドホルダー52からマット収容体51bを分離した状態でマット51aにインクを補充し、あるいはマット51aを交換することができるので、印判スタンドをインクで汚損することなく、インク補充あるいはパッド交換の作業を簡便に行うことができる。加えて、雄ねじ体58と雌ねじ体59との螺合構造でパッド装着構造を構成すると、マット収容体51bを締緩操作するだけでパッドホルダー52に対してマット収容体51bを装着あるいは分離することができる。また、ねじ込み量により、パッドホルダー52とマット収容体51bとの相対位置を変更できるので、補給姿勢において、印字部3とインク含浸マット51aとの密着度合を最適にして、印面16にインクを均一にしかも適正に供給することができる。上記のマット収容体51bの着脱作業は、後述するカム機構で退避姿勢に変位させた状態で行う。
雄ねじ体58を雌ねじ体59にねじ込むだけでは、振動や押印時の衝撃等により螺合構造が緩みパッドホルダー52とマット収容体51bとの相対位置が変化したり、両者58・59の螺合状態が解除されてパッドホルダー52からマット収容体51bが脱落するおそれがある。そこで、本実施例では螺合構造の緩みを阻止するために、一対の抱持腕55・55の弾性復元力を利用して、雄ねじ体58の緩みを規制している。具体的には、雌ねじ体59を構成する一対の抱持腕55・55の内周面は、平面視において後半部は真円状に形成されており、前半部は抱持腕55の遊端側の先端を後半部に近接させて、左右方向に長軸を有する楕円形状に形成されている。このように、一対の抱持腕55の前半部の内周面を左右方向に長軸を有する楕円形状に形成すると、左右一対の抱持腕55・55が拡開変形する状態で雄ねじ体58が螺合装着されることになる。これにより、一対の抱持腕55・55の弾性復元力で、丸筒軸51cを挟持できる。従って、インクパッド22が揺動操作されるときの振動や押印時の衝撃等で、雄ねじ体58と雌ねじ体59との螺合構造が緩んでマット収容体51bが不用意に回転するのを防止できる。マット収容体51bが抱持腕55から脱落することもない。また、別途雄ねじ体58の緩みを規制する構造を設ける必要がないので、インクパッド22の構造を簡素化でき、従って、印判スタンド全体をコンパクトにすることができる。
インクパッド22は、スタンド本体20で揺動軸57を介して揺動可能に支持することにより、図5に示すパッド体51のインク含浸マット51aが印字部3の印面16に密着する補給姿勢と、図1に示すインクパッド22の全体が印判ホルダー21の昇降軌跡の外へ退避する退避姿勢との間を揺動できるようになっている。具体的には、図1、図5および図9に示すように、日付調整ダイヤル6の露出縁と対向するスタンド本体20の周囲壁である後壁39の下半部には、インクパッド22の出入りを許すパッド窓61が開口されている。パッド窓61の左右の上隅部には、パッドホルダー52の揺動軸57を軸支する軸受壁62が、スタンド本体20の後壁39の外面へ向かって開口する状態で横臥U字状に形成されている。インクパッド22は、後壁39の内面と軸受壁62とで揺動軸57が回動可能に軸支されることにより、パッド窓61を介して補給姿勢と退避姿勢との間を揺動できる。インクパッド22は、パッドホルダー52の揺動軸57を軸受壁62に対して、スタンド本体20の後壁39の外面の側から、一対の支持腕56を近接する向きに撓ませた状態で差し込み係合することにより、スタンド本体20に組み付けることができる。従って、軸受壁62に揺動軸57を差し込み係合するだけでインクパッド22をスタンド本体20に組み付けることができ、印判スタンドの組付けを簡略化することができる。なお、先に説明したインク補充あるいはパッド交換の作業は、両支持腕56・56を指先で左右方向から挟み込んで弾性変形させて、軸受壁62と揺動軸57との係合状態を解除し、インクパッド22をスタンド本体20から取り外した状態で行うことができる。この場合でも、インクパッド22にインクを補充する際にスタンド本体20をインクで汚損することなく、インクの補充作業を行うことができる。
印判ホルダー21とインクパッド22との間に、印判ホルダー21の昇降動作をインクパッド22の揺動動作に変換して、インクパッド22を補給姿勢と、退避姿勢とに切換えるカム構造が設けられている。図1、図5および図8に示すように、カム構造は、パッドホルダー52に設けた受動ピン64と、印判ホルダー21に設けられて受動ピン64を操作する第1カム65と、第1カム65に連続して上向きに延びる保持カム66と、第1カム65の下方に設けられる第2カム67とで構成されている。具体的には、受動ピン64は、揺動軸57よりも前側上方の支持腕56に一体に形成されている。印判ホルダー21の後枠壁25の下端左右には、それぞれカム突起68が後方に突出するように設けられており、カム突起68の上側の後枠壁25には切欠き69が形成されている。切欠き69の上側面が第1カム65として機能しており、第1カム65に連続する後枠壁25の外面が保持カム66として機能している。また、カム突起68の上面および前側に向かって上り傾斜する切欠き69の下側面が、第2カム67として機能する。
ここで、印判ホルダー21の昇降動作をカム構造で揺動動作に変換して、インクパッド22の姿勢を切換える際の動作を説明する。日付印を装着した印判ホルダー21が待機位置にあるとき、インクパッド22は、その受動ピン64が第2カムの傾斜面で押上げられて補給姿勢になっており、この状態のパッド体51のインク含浸マット51aは、印面16に密着してインクを供給している。
押印操作時には、まずグリップ4を掴んで押印すべき紙面位置にスタンド本体20を載置する。このとき、後述する前面開口75あるいはパッド窓61から印判スタンド下側の紙面を確認することができるので、正確に位置合わせすることができる。この状態から、グリップ4を復帰ばね43の付勢力に抗して押下げると、印判ホルダー21の下降に伴い、受動ピン64が第1カム65で押下げ操作されて、インクパッド22は揺動軸57を回動中心として、パッド体51が印面16から離れながら、退避姿勢方向(反時計回り)に揺動する。インクパッド22の退避姿勢への変位は、受動ピン64が第1カム65と保持カム66との接続部分を乗り越えるまで継続され(図11(a))、インクパッド22は、パッド窓61を介してスタンド本体20の外部へ食み出しながら揺動操作される。受動ピン64が第1カム65と保持カム66との接続部分を乗り越えると(図11(b))、インクパッド22は、印判ホルダー21の昇降軌跡の外へ退避し、退避姿勢への変位は完了する。インクパッド22が退避姿勢の状態では、インクパッド22の重心位置は、揺動軸57よりもスタンド本体20の外側(右側)に位置しているので、インクパッド22には、その自重により揺動軸57回りに補給姿勢へ復帰する方向(時計回り)への回転モーメントが発生する。しかし、インクパッド22の退避姿勢への変位が完了した以降は、受動ピン64が保持カム66で受止め支持されるので、インクパッド22は退避姿勢を保持し続ける。グリップ4をさらに押下げ操作して押印位置まで操作することにより(図11(c))、印面16を紙面に密着させて押印することができる。
押印終了後、グリップ4の押下げ操作力を解除すると、印判ホルダー21は、復帰ばね43の付勢力で上方へ押し上げられる。印判ホルダー21の上昇時には、受動ピン64が保持カム66で支持されている状態では、インクパッド22は退避位置に保持されている(図12(a))。さらに印判ホルダー21が上昇して保持カム66による受動ピン64の支持が外れると、インクパッド22は、先に説明した自重による回転モーメントで、揺動軸57の直下にインクパッド22の重心位置が位置する補給前段姿勢に回転し、受動ピン64は切欠き69内に収容される(図12(b))。この状態から印判ホルダー21がさらに上昇することにより、受動ピン64は第2カム67の傾斜面で押上げ操作されて、インクパッド22は補給姿勢へと変位し、印面16にインクを供給する。変位が完了すると同時に、スライドピース33がスタンドカバー46で受止められて印判ホルダー21は待機位置に保持される(図12(c))。
インクパッド22が退避姿勢から補給姿勢へと変位する際、通常は、インクパッド22は自重により補給前段姿勢に回転する。しかし、例えば揺動軸57あるいは軸受壁62に埃等が膠着すると、揺動軸57と軸受壁62との接触抵抗が増加し、インクパッド22が自重により補給前段姿勢に回転しないおそれがある。しかし、本実施例では、保持カム66で位置保持されている受動ピン64の下側より後方にまでカム突起68を突出させ、その上面基端部側に第2カム67を形成しているので、カム突起68の上面の第2カム67で強制的に受動ピン64を補給姿勢方向(時計回り)に押上げ操作でき、インクパッド22を確実に補給姿勢に揺動変位させることができる。
上記のように、カム構造を、パッドホルダー52に形成した受動ピン64と、印判ホルダー21に形成した第1カム65、保持カム66、第2カム67などで構成すると、インクパッド22を補給姿勢から退避姿勢に揺動させるためのカム構造を、パッドホルダー52および印判ホルダー21に集約して一体化できるので、カム構造を構成する部材を別途設ける必要がない。従って、印判スタンドの部品点数を減らすことができ、印判スタンドの製造コストをさらに低減することができる。また、カム構造を構成する部材を一体的に設けることにより、印判スタンド全体をコンパクトにすることができる。
日付印の日付変更操作を行う場合には、印面16に露出する印字ベルト7の印字ブロックを確認する必要があり、日付印を印判スタンドに装着したままの状態では、日付変更操作ができない。従って、印字部3を印判ホルダー21の印判保持部23から取り外して、日付印と印判スタンドとを分離する必要がある。このため、印判ホルダー21のロック爪31をロック解除操作するロック解除体71が、ロック爪31と隣接するスタンド本体20の前壁38に設けられている。図5、図7および図10に示すように、ロック解除体71は、前壁38の上半壁と一体形成した弾性変形可能な板状体からなり、先の規制突起85はロック解除体71の上端の左右内面に形成されている。ロック解除体71に形成された規制突起85の外隅部には、ロック爪31を変形操作する一対の操作面72がそれぞれ形成されており、操作面72に隣接するロック爪31の弾性腕30には、先に説明した受座86と連続し、操作面72と面接触状に当接する受動面73が形成されている。操作面72と受動面73は、ロック解除体71の解除操作力の方向に対して45度傾く傾斜面で形成されている。これら操作面72と受動面73とにより、図10に示すように、ロック解除体71の解除操作力を、操作面72と受動面73を介してロック爪31に作用させ、ロック爪31を外側方へ押しのけるようにして弾性腕30を弾性変形させることができる。これにより、ロック爪31と上縁部13aとの係合を解除することができる。従って、印判保持部23における位置決め保持が解除され、印字部3を印判ホルダー21から取り外すことができ、日付印と印判スタンドとを分離することができる。図1に示すように、ロック解除体71の上端は、スタンドカバー46の内部に位置させてあり、これにより、ロック解除体71が前側へ向かって弾性変形するのを規制している。ロック解除体71の下側には、押印操作時の押印位置を確認するための前面開口75が設けてある。
上記のように、操作面72および受動面73でロック解除体71の操作力が作用する方向を変換した状態でロック爪31を解除操作するので、スタンド本体20の前壁38に設けたロック解除体71で、印判ホルダー21の左右の枠壁26・27に設けたロック爪31を操作して、ロック爪31と上縁部13aとの係合を解除することができる。これにより、ロック爪31とロック解除体71とを、印判スタンドの異なる面に配置することができるので、印判スタンド全体をコンパクトにすることができる。
図13は、ロック爪31を印判ホルダー21の前枠壁24側に設け、ロック解除体71をロック爪31に隣接するスタンド本体20の左右壁40・41に設けた実施例を示す。印判ホルダー21の前枠壁24の左右端には、それぞれロック爪31が設けられている。ロック爪31は弾性腕30を一体に備えており、弾性腕30を弾性変形可能とするために、前枠壁24の左右端寄りおよび左右の枠壁26・27の前端寄りにスリットが形成されている。各ロック爪31は、各弾性腕30の内面よりも後枠壁25に向かって突出するように形成されている。
ロック解除体71は、左右壁40・41の前側上半部に、上側の先端部が弾性変形可能な板状体で形成されている。各ロック解除体71の上端には、ロック爪31に向かって伸びる解除腕82が一体に形成されており、解除腕82の先端部に操作面72が形成されている。本実施例では、解除腕82の先端部分が規制突起(規制体)85として機能する。操作面72に隣接するロック爪31の弾性腕30には、操作面72と面接触状に当接する受動面73が形成されている。操作面72と受動面73は、ロック解除体71の解除操作力の方向に対して45度傾く傾斜面で形成されている。これら操作面72と受動面73とにより、ロック解除体71の解除操作力を、操作面72と受動面73を介してロック爪31に作用させ、ロック爪31を前側へ押しのけるようにして弾性腕30を弾性変形させることができる。これにより、ロック爪31と上縁部13aとの係合を解除することができる。他は図1から図12で説明した印判スタンドの構造と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。この実施例から理解できるように、ロック爪31は、印判ホルダー21の前枠壁24と後枠壁25と左右の枠壁26・27の任意の位置に設けることができ、ロック解除体71はロック爪31の配置位置に対応するスタンド本体20の周囲壁38〜41に設けてあればよい。
上記の各実施例における印判スタンドによれば、印判スタンドに日付印を差し込むだけで日付印の全体を起立保持でき、ロック爪31をロック解除体71でロック解除操作するだけで、印判スタンドから日付印を取り外すことができる。従って、印判スタンドに対する日付印の着脱をワンタッチで行うことができる。また、既存の日付印に加工を施すこともなく、印判ホルダー21に日付印を着脱できるので、既存の日付印を利用しながら、日付印の押下げ操作に連動して印字部3の印面16にインクを自動的に補給することができる「自動印タイプ」の日付印にすることができる。
加えて、印面16にインクを補給するためのスタンプ台を廃することができ、また、日付印を印判スタンドに起立保持させた状態で、机上などに保管することができる。さらに、スタンプ台を廃することにより、スタンプ台に無造作に置かれた日付印が転倒するなどして、スタンプ台周囲の机面がインクで汚損されるのを解消できる。
以上のように、印判ホルダー21の印判保持部23に、日付印の外面の下段部を受止める位置決め座28と、位置決め座28で受止められた日付印の外面の上段部と係合して印判をロック保持するロック爪31とを設けた。これによれば、日付印を印判保持部23に差し込むだけで、日付印を位置決めした状態でロック爪31でロック保持して、日付印をぐらつきのない状態で起立保持できる。従って、押印操作時に日付印がぐらつくのを防止して、押印された印字に濃淡やかすれが生じて不鮮明になることがなく、印字品質を向上できる。また、ロック爪31をロック解除操作するためのロック解除体71を、ロック爪31と隣接するスタンド本体20の壁面に設けるので、ロック解除体71を操作するだけで、ロック爪31をロック解除して日付印を印判ホルダー21から簡便に取り外すことができる。従って、印判スタンドに対する日付印の着脱を容易に行って、日付変更を速やかに行なえる。
また、印面枠10と、印面枠10の下面のゴム印字体11などで印字部3を構成する日付印において、印面枠10の下面の隅部12aを位置決め座28で受止め、印面枠10の上縁部13aにロック爪31を係合させて、日付印を印判ホルダー21に固定保持できる。このように、印面(捺印面)16に最も近い位置に位置する印面枠10の上下端を、位置決め座28とロック爪31とで係合保持すると、日付印を印判ホルダー21に対して適正に位置決めした状態で支持し、しかもぐらつくことなく確実に保持することができる。従って、押印操作時に日付印がぐらつくのを防止して、押印された印字に濃淡やかすれが生じて不鮮明になることがなく、全体として印字品質をさらに向上できる。また、印面枠10をロック爪31で係合保持するので、例えば印面枠10より上側に設けた係合構造をロック爪31で係合保持する場合に比べて、印判ホルダー21の上下寸法を小さくして、印判スタンドをコンパクト化できる。さらに、既存の日付印を印判ホルダー21に装着することで、日付印の押下げ操作に連動して印字部3の印面16にインクを自動的に補給することができるので、自立してインクで周囲を汚すことのない、自動印タイプの日付印を容易に構成することができる。
上記の実施例では、印判は日付印で構成したが、番号印やロットナンバー印であってもよく、印面を構成するゴムは非浸透性に限らず、浸透性のゴムを用いてもよい。カップ固定構造は、螺合構造のほかに、一方にバヨネット壁を形成し、他方に突起を形成したバヨネット構造であってもよい。下段部は上段部より下方に設けてあればよく、位置決め座28は下段部の位置に対応する位置に設けてあればよい。規制体85は、ロック解除体71に形成する必要はなく、スタンド本体20の周囲壁38〜41の内面に設けてあればよい。