JP5983404B2 - プラスチック製ロッドレンズ、プラスチック製ロッドレンズアレイ、カラーイメージセンサヘッドおよびledプリンタヘッド - Google Patents

プラスチック製ロッドレンズ、プラスチック製ロッドレンズアレイ、カラーイメージセンサヘッドおよびledプリンタヘッド Download PDF

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Description

本発明は、発光ダイオードプリンタ用光伝送体や複写機用光伝送体として好適なプラスチック製ロッドレンズ、およびプラスチック製ロッドレンズアレイ、カラーイメージセンサヘッド及びLEDプリンタヘッドに関する。
本願は、2011年1月6日に、日本に出願された特願2011−001496号及び特願2011−001497号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ロッドレンズは、中心から外周に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布を有する円柱状のレンズである。
このロッドレンズは、複数本を各ロッドレンズの中心軸が互いに略平行になるように1列または2列以上に配列して、2枚の基板間に接着固定してロッドレンズアレイの形態にして用いられることがある。ロッドレンズアレイは、ハンドスキャナ等の各種スキャナや、複写機、ファクシミリ等におけるイメージセンサ用の部品、発光ダイオード(LED)プリンタ等の書き込みデバイスなどの光伝送体として広く用いられている。
ロッドレンズには、ガラス製ロッドレンズとプラスチック製ロッドレンズがあるが、特に原料に重金属を使用する必要がなく、環境負荷が小さいという面から、プラスチック製ロッドレンズが家庭用複合機等の用途に普及している。
ところで、近年、LEDプリンタや複写機等の用途においても、プラスチック製ロッドレンズの需要が高まってきている。しかしながら、LEDプリンタの用途においては、より光量の高いロッドレンズが求められており、また、複写機の用途においては、色収差の小さいロッドレンズが求められている。
これらの要求を満足させるために、プラスチック製ロッドレンズにおいて、従来、検討がなされている。
例えば、特許文献1には、光源としてRGB3原色の光源または白色光源を用いた場合に、明確なカラー画像を少ない光源、小さなスペースで伝達することができるプラスチック製ロッドレンズが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、カラー特性に優れた、すなわち色収差が小さく複写機に適したプラスチック製ロッドレンズが開示されている。
特開平11−352307号公報 国際公開WO2007/011013号公報
しかしながら、近年、LEDプリンタおよび複写機の印刷速度の高速化や機器の小型化が急速に進んできており、これに伴ってロッドレンズの使用環境が高温となり、従来のプラスチック製ロッドレンズでは、使用に耐えなくなってきている。すなわち、従来のプラスチック製ロッドレンズを高温環境下で使用すると、解像度や光量といった光学特性が低下するという問題が生じる。
本発明の第1の課題は、高温環境下でも使用可能な耐熱性の高い透明なプラスチック製ロッドレンズ及びロッドレンズアレイを提供することにある。
また、本発明の第2の課題は、光量が大きくかつ耐熱性に優れ、LEDプリンタ用途に適したプラスチック製ロッドレンズおよびロッドレンズアレイを提供することにある。
また、本発明の第3の課題は、色収差が小さくかつ耐熱性に優れ、複写機用途に適したプラスチック製ロッドレンズおよびロッドレンズアレイを提供することにある。
本発明の第1の発明は、中心から外周に向かうにつれて屈折率nDが減少している半径rの円柱状のロッドレンズであって、
芳香環含有単量体(a)単位と、
炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位および脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位とを
構成単位として含有する重合体混合物(I)から構成され、
重合体混合物(I)が、前記(a)単位と、前記(b)単位および前記(c)単位の少なくとも一種とを構成単位として含有する重合体混合物(II)であり、
重合体混合物(II)が、前記(c)単位を構成単位として含有し、
中心部と外周部の屈折率差が0.02〜0.06であり、
中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が、下記式(1)を満足し、
0.357〔b〕−1.786<〔a〕<65−1.063〔b〕・・・(1)
(ただし、式(1)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。〔b〕は0質量%であってもよい。)
中心から外周に向かって0〜0.5rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の前記(a)単位の含有量〔a〕が10〜60質量%であり、
中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の前記(c)単位の含有量〔c〕が5〜45質量%であり、
ガラス転移温度が100℃以上である透明なプラスチック製ロッドレンズ、このロッドレンズを用いたロッドレンズアレイ、およびこのロッドレンズアレイを用いたカラーイメージセンサヘッドおよびLEDプリンタヘッドに関するものである。
本発明の第2の発明は、
第1の発明において、前記重合体混合物(I)が、前記(a)単位と、前記(b)単位および前記(c)単位の少なくとも一種とを構成単位として含有する重合体混合物(II)であり、
中心部と外周部の屈折率差が0.02〜0.06であり、
中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が、下記式(1)を満足するプラスチック製ロッドレンズ、このロッドレンズを用いたロッドレンズアレイ、およびこのロッドレンズアレイを用いたLEDプリンタヘッドに関するものである。
0.357〔b〕−1.786<〔a〕<65−1.063〔b〕 ・・・(1)
(ただし、式(1)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。)
本発明の第3の発明は、
第1の発明において、前記重合体混合物(I)が、前記(a)単位、前記(b)単位および前記(d)単位を構成単位として含有する重合体混合物(III)であり、
中心から外周に向かって0〜rの範囲における任意の異なる位置αおよびβにおいて、屈折率とアッベ数が下記式(4)を満足し、
|{nα×να/(nα−1)}−{nβ×νβ/(nβ−1)}|<5 ・・・(4)
(ただし、nαおよびnβは、それぞれ位置αおよび位置βにおける屈折率nDを表し、ναおよびνβは、それぞれ位置αおよび位置βにおけるアッベ数を表す。)
中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(III)の構成単位の組成が、下記式(5)を満足するプラスチック製ロッドレンズ、このロッドレンズを用いたロッドレンズアレイ、およびこのロッドレンズアレイを用いたカラーイメージセンサヘッドに関するものである。
0.5〔b〕−10<〔a〕<72.5−1.75〔b〕 ・・・(5)
(ただし、式(5)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。)
上記課題の解決手段として、本発明は以下の態様を包含する。
[1]中心から外周に向かうにつれて屈折率nDが減少している半径rの円柱状のロッドレンズであって、
芳香環含有単量体(a)単位と、
炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位、及び脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位と、
を構成単位として含有する重合体混合物(I)から構成され、
ガラス転移温度が100℃以上である透明なプラスチック製ロッドレンズ。
[2]重合体混合物(I)が、さらにメチルメタクリレート(m)単位を構成単位として含有する前記[1]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
[3]重合体混合物(I)が、前記(a)単位と、前記(b)単位および前記(c)単位の少なくとも一種とを構成単位として含有する重合体混合物(II)であり、
中心部と外周部の屈折率差が0.02〜0.06であり、
中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が、下記式(1)を満足する前記[1]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
0.357〔b〕−1.786<〔a〕<65−1.063〔b〕 ・・・(1)
(ただし、式(1)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。)
[4] 重合体混合物(II)が、さらにメチルメタクリレート(m)単位を構成単位として含有する前記[3]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
[5]前記(a)単位がフェニルメタクリレートであり、前記(b)単位がt−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびイソプロピルメタクリレートから選ばれる少なくとも一種であり、前記(c)単位が2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレートである前記[3]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
[6]中心から外周に向かって0〜0.5rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の前記(a)単位の含有量〔a〕が10〜60質量%であり、
中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の前記(c)単位の含有量〔c〕が5〜45質量%である前記[3]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
[7]中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が下記式(2)を満足する前記[3]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
〔c〕<47.143−0.429〔b〕 ・・・(2)
(ただし、式(2)において、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表し、〔c〕は構成単位(c)の含有量(質量%)を表す。)
[8]
中心から外周に向かって0〜0.8rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が下記式(3)を満足する前記[3]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
〔c〕<21.786−0.357〔b〕 ・・・(3)
(ただし、式(3)において、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表し、〔c〕は構成単位(c)の含有量(質量%)を表す。)
[9]重合体混合物(I)が、前記(a)単位、前記(b)単位および前記(d)単位を構成単位として含有する重合体混合物(III)であり、
中心から外周に向かって0〜rの範囲における任意の異なる位置αおよびβにおいて、屈折率とアッベ数が下記式(4)を満足し、
|{nα×να/(nα−1)}−{nβ×νβ/(nβ−1)}|<5 ・・・(4)
(ただし、nαおよびnβは、それぞれ位置αおよび位置βにおける屈折率nDを表し、ναおよびνβは、それぞれ位置αおよび位置βにおけるアッベ数を表す。)
中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(III)の構成単位の組成が、下記式(5)を満足する前記[1]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
0.5〔b〕−10<〔a〕<72.5−1.75〔b〕 ・・・(5)
(ただし、式(5)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。)
[10]重合体混合物(III)が、さらにメチルメタクリレート(m)単位を構成単位として含有する前記[9]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
[11]前記(a)単位がフェニルメタクリレートであり、前記(b)単位がt−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびイソプロピルメタクリレートから選ばれる少なくとも一種であり、前記(d)単位がトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレートである前記[9]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
[12]中心から外周に向かって0.5r〜rの範囲において、重合体混合物(III)の前記(a)単位の含有量〔a〕が5〜72.5質量%であり、前記(b)単位の含有量〔b〕が2〜36.7質量%である前記[9]に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
[13]前記[1]に記載のプラスチック製ロッドレンズの複数本が、各プラスチック製ロッドレンズの中心軸が互いに略平行となるように配列されたロッドレンズ列を、2枚の基板間に少なくとも1列備えるプラスチック製ロッドレンズアレイ。
[14]前記[3]に記載のプラスチック製ロッドレンズの複数本が、各プラスチック製ロッドレンズの中心軸が互いに略平行となるように配列されたロッドレンズ列を、2枚の基板間に少なくとも1列備えるプラスチック製ロッドレンズアレイ。
[15]前記[9]に記載のプラスチック製ロッドレンズの複数本が、各プラスチック製ロッドレンズの中心軸が互いに略平行となるように配列されたロッドレンズ列を、2枚の基板間に少なくとも1列備えるプラスチック製ロッドレンズアレイ。
[16]前記[13]に記載のプラスチック製ロッドレンズアレイを組み込んで作られたカラーイメージセンサヘッド。
[17]前記[13]に記載のプラスチック製ロッドレンズアレイを組み込んで作られたLEDプリンタヘッド。
[18]前記[14]に記載のプラスチック製ロッドレンズアレイを組み込んで作られたLEDプリンタヘッド。
[19]前記[15]に記載のプラスチック製ロッドレンズアレイを組み込んで作られたカラーイメージセンサヘッド。
本発明のプラスチック製ロッドレンズ、プラスチック製ロッドレンズアレイ、およびこのプラスチック製ロッドレンズを用いたカラーイメージセンサヘッドおよびLEDプリンタヘッドは、透明性に優れ、耐熱性にも優れるため、高温環境下で使用しても光学特性の低下が小さいため、各種の光学用途に好適に用いることができる。
また、本発明のプラスチック製ロッドレンズ、プラスチック製ロッドレンズアレイ、およびこのプラスチック製ロッドレンズを用いたLEDプリンタヘッドは、透明性に優れ、レンズ光量が大きく、また、耐熱性が良好なため高温環境下で使用しても良好な解像度を維持でき、LEDプリンタ用の書き込み部材に好適に用いることができる。
また、本発明のプラスチック製ロッドレンズ、プラスチック製ロッドレンズアレイ、およびこのプラスチック製ロッドレンズを用いたカラーイメージセンサヘッドは、透明性に優れ、色収差が小さく、また、耐熱性が良好なため高温環境下で使用しても良好な解像度を維持でき、複写機用の読み込み部材に好適に用いることができる。
本発明のプラスチック製ロッドレンズの中心軸に垂直な断面の一例を示す断面図である。 プラスチック製ロッドレンズの原糸を製造するための装置の一例を示す概略構成図である。 プラスチック製ロッドレンズの原糸に加熱延伸および緩和処理を施す装置の一例を示す概略構成図である。 本発明のプラスチック製ロッドレンズアレイの一例を示す断面図である。 単量体(b)単位を0%含有する重合体混合物の透明性についての三角相図である。 単量体(b)単位を5%含有する重合体混合物の透明性についての三角相図である。 単量体(b)単位を20%含有する重合体混合物の透明性についての三角相図である。 単量体(b)単位を40%含有する重合体混合物の透明性についての三角相図である。 単量体(b)単位Aを50%含有する重合体混合物の透明性についての三角相図である。 重合体混合物の透明性について、単量体(a)単位と単量体(b)単位の含有量とで整理した図である。 単量体(b)単位を0%含有する重合体混合物のガラス転移温度についての三角相図である。 単量体(b)単位を5%含有する重合体混合物のガラス転移温度についての三角相図である。 単量体(b)単位を20%含有する重合体混合物のガラス転移温度についての三角相図である。 単量体(b)単位40%含有する重合体混合物のガラス転移温度についての三角相図である。 単量体(b)単位を50%含有する重合体混合物のガラス転移温度についての三角相図である。 重合体混合物のガラス転移温度について、単量体(b)単位と単量体(c)単位の含有量とで整理した図である。 各単量体をホモポリマーにした場合の屈折率とアッベ数の関係を示すグラフである。 重合体混合物の透明性について、単量体(a)単位と単量体(b)単位の含有量とで整理した図である。 本発明のLEDプリンタヘッドの構造を示す概略図である。 本発明のカラーイメージセンサヘッドの構造を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[プラスチック製ロッドレンズ]
まず、本発明の第1の発明について説明する。
本発明の第1の発明は、
中心から外周に向かうにつれて屈折率nDが減少している半径rの円柱状のロッドレンズであって、
芳香環含有単量体(a)単位と、
炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位および脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位とを
構成単位として含有する重合体混合物(I)から構成され、
ガラス転移温度が100℃以上である透明なプラスチック製ロッドレンズである。
重合体混合物(I)は、芳香環含有単量体(a)単位と、炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位および脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位とを構成単位として含有するものである。
ここで、重合体混合物とは、二種以上の重合体の混合物のことである。なお、「重合体混合物」が「特定の単量体単位を構成単位として含有する」とは、「重合体混合物全体としてみた場合」に「特定の単量体単位が重合体を構成する単位として含有されている」ことである。すなわち、特定の単量体単位が、重合体混合物を構成するいずれかの重合体に構成単位として含有されていることである。例えば、「重合体混合物」が、「単量体(a)単位、単量体(b)単位、単量体(c)単位および単量体(d)単位を構成単位として含有する」場合を例にとって説明すると、重合体混合物が、『単量体(a)〜(d)単位の全てを少なくとも有する重合体』と『他の重合体』の混合物である場合でもよいし、また、例えば、重合体混合物が、『単量体(a)単位を少なくとも有する重合体(A)』と『単量体(b)単位を少なくとも有する重合体(B)』と『単量体(c)単位を少なくとも有する重合体(C)』と『単量体(d)単位を少なくとも有する重合体(D)』の混合物である場合でもよいし、これらの場合の中間の場合、例えば、重合体混合物が、『単量体(a)単位を少なくとも有する重合体(A)』と『単量体(b)〜(d)単位を少なくとも有する重合体』の混合物である場合や、『単量体(a)単位および単量体(b)単位を少なくとも有する重合体』と『単量体(c)単位および単量体(d)単位を少なくとも有する重合体』の混合物等である場合や、『単量体(a)単位を少なくとも有する重合体(A)』、『単量体(b)単位を少なくとも有する重合体(B)』と『単量体(c)単位および単量体(d)単位を少なくとも有する重合体』の混合物等である場合であってもよい。
従って、重合体混合物(I)は、<芳香環含有単量体(a)単位>と、<炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位および脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位>とを構成単位として含有するものであるから、重合体混合物(I)としては、例えば、
(1)『<芳香環含有単量体(a)単位>と<炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位および脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位>とを構成単位として少なくとも含有する重合体』と『他の重合体』との混合物や、
(2)『芳香環含有単量体(a)単位を構成単位として少なくとも有する重合体』と『《炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位を構成単位として少なくとも有する重合体》、《フッ素含有単量体(c)単位を構成単位として少なくとも有する重合体》、および《脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位を構成単位として少なくとも有する重合体》から選ばれる少なくとも一種の重合体』との混合物等が挙げられる。
(a)単位は、芳香環含有単量体単位である。
前記(a)単位の原料となる単量体としては、本発明のプラスチックロッドレンズに使用できるものであれば、特に制限されないが、例えば、フェニルアクリレート(n=1.57、ν=38、Tg=114℃)、フェニルメタクリレート(n=1.56、ν=36、Tg=122℃)、ベンジルメタクリレート(n=1.56、ν=38、Tg=59℃)、フェネチルメタクリレート(n=1.53、ν=41、Tg=42℃)、スチレン(n=1.59、ν=34、Tg=98℃)、2−クロルスチレン(n=1.58、ν=37、Tg=120℃)、3−クロルスチレン(n=1.60、ν=36、Tg=85℃)、4−クロルスチレン(n=1.59、ν=37、Tg=121℃)、2−ビニルナフタレン(n=1.66、ν=21、Tg=142℃)等を使用することができる。これらの中でも、他の構成単位の原料である単量体との重合性や、耐熱性向上の観点からフェニルメタクリレートが好ましい。なお、カッコ内の数値はホモポリマーとした際の物性値であり、「n」は屈折率、「ν」はアッベ数、「Tg」はガラス転移温度である。
前記(a)単位の含有量〔a〕は、特に制限されないが、重合体混合物(I)中、5〜72.5質量%含まれることが好ましい。重合体混合物(I)中、〔a〕が5質量%以上の場合に、耐熱性に優れたレンズを得ることができる傾向にある。また、重合体混合物(I)中、〔a〕が72.5質量%以下の場合に透明性に優れたレンズを得ることができる傾向にある。
(b)単位は、炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単位である。
前記(b)単位の原料となる単量体としては、本発明のプラスチックロッドレンズに用いられるものであれば、特に制限されないが、例えば、プロピルメタクリレート(n=1.48、ν=57、Tg=43℃)、イソプロピルメタクリレート(n=1.47、ν=55、Tg=81℃)、イソブチルメタクリレート(n=1.48、ν=47、Tg=64℃)、sec―ブチルメタクリレート(n=1.48、ν=55、Tg=59℃)、t−ブチルアクリレート(n=1.47、ν=56、Tg=42℃)、t−ブチルメタクリレート(n=1.47、ν=60、Tg=107℃)等を使用することができる。これらの中でも、屈折率が低く、耐熱性を向上させる観点からイソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレートが好ましい。なお、カッコ内の数値はホモポリマーとした際の物性値である。
前記(b)単位の含有量〔b〕は、特に制限されないが、屈折率の低い外周寄りに位置する重合体に多く含まれるのが好ましい。すなわち、図1に示すロッドレンズの断面図において、中心から外周に向かって0.5r〜rの範囲(Y,Z)に位置する重合体混合物(I)中、〔b〕は0〜47質量%であることが好ましい。前記範囲に位置する重合体混合物(I)中、〔b〕が0質量%以上の場合に、開口角が大きく、且つ耐熱性に優れたレンズを得ることができる傾向にある。また、前記範囲に位置する重合体混合物(I)中、〔b〕が47質量%以下の場合に透明性に優れたレンズを得ることができる傾向にある。
(c)単位は、フッ素含有単量体単位であり、例えば、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基水素をフッ素で置換した単位である。
前記(c)単位の原料となる単量体としては、本発明のプラスチックロッドレンズに用いられるものであれば、特に制限されないが、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(n=1.42、ν=68、Tg=80℃)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート(n=1.41、ν=70、Tg=79℃)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート(n=1.40、ν=66、Tg=31℃)等を使用することができる。なお、カッコ内の数値はホモポリマーとした際の物性値である。これらの中でも、屈折率が低く、耐熱性を向上させる観点から2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレートが好ましい。
前記(c)単位の含有量〔c〕は、特に制限されないが、屈折率の低い外周寄りに位置する重合体に多く含まれるのが好ましい。すなわち、図1に示すロッドレンズの断面図において、中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲(Z)に位置する重合体混合物(I)中、〔c〕は0〜47質量%含まれることが好ましい。前記範囲に位置する重合体混合物(I)中、〔c〕が0質量%以上の場合に、開口角が大きく、光量の大きいレンズを得ることができる傾向にある。また、前記範囲に位置する重合体混合物(I)中、〔c〕が47質量%以下の場合に耐熱性に優れたレンズを得ることができる傾向にある。
(d)単位は、脂環含有(メタ)アクリレート単位である。
前記(d)単位の原料となる単量体としては、本発明のプラスチックロッドレンズに用いられるものであれば、特に制限されないが、例えば、1−アダマンチルメタクリレート(n=1.53、ν=57、Tg=183℃)、イソボルニルメタクリレート(n=1.53、ν=56、Tg=155℃)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート(n=1.52、ν=55、Tg=150℃)等を使用することができる。これらの中でも、耐熱性向上や他の成分との溶解性の観点から、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレートが好ましい。なお、カッコ内の数値はホモポリマーとした際の物性値である。
前記(d)単位の含有量〔d〕は、特に制限されないが、屈折率の高い中心寄りに位置する重合体に多く含まれるのが好ましい。すなわち、図1に示すロッドレンズの断面図において、中心から外周に向かって0〜0.5rの範囲(X)に位置する重合体混合物(I)中、〔d〕は0〜50質量%含まれることが好ましい。前記範囲に位置する重合体混合物(I)中、〔d〕が0質量%以上の場合に、耐熱性に優れたレンズを得ることができる傾向にある。また、前記範囲に位置する重合体混合物(I)中、〔d〕が50質量%以下の場合に、屈折率差が適度になるため、十分な焦点深度を確保することができる傾向にある。
重合体混合物(I)は、前記(a)〜(d)単位以外にも、必要に応じて他の単量体単位を構成単位として含有してもよい。中でも、重合体混合物(I)は、透明性、屈折率等を調整するという点から、メチルメタクリレート単位(m)を構成単位として含有することが好ましい。
第1の発明のロッドレンズは、半径rの円柱状であり、中心から外周に向かうにつれて屈折率nDが減少している。ロッドレンズの屈折率分布としては、ロッドレンズの中心軸に垂直な断面において、少なくとも中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲における屈折率分布が、下記式(6)で規定される2次曲線分布に近似されることが好ましい。
n(L)=n{1−(g/2)L } ・・・(6)
(式(6)中、nはロッドレンズの中心における屈折率(中心屈折率)であり、Lはロッドレンズの円形断面における中心からの距離(0≦L≦r)であり、gはロッドレンズの屈折率分布定数であり、n(L)はロッドレンズの中心からの距離Lの位置における屈折率である。)
ロッドレンズの半径rは、特に限定されないが、光学系のコンパクト化の観点から、半径rは小さいことが好ましく、ロッドレンズ加工時の取り扱いの観点からは、半径rは大きいことが好ましい。このため、ロッドレンズの半径rは0.1〜0.5mmの範囲とすることが好ましく、0.15〜0.40mmの範囲がより好ましい。
また、ロッドレンズの中心屈折率nは、特に制限されないが、525nmの波長の光において1.45〜1.60であることが、ロッドレンズを構成する材料の選択肢を広くし、良好な屈折率分布を形成しやすくする観点から好ましい。
本発明のロッドレンズは、中心から外周に向かうにつれて屈折率が減少している。第1の発明のロッドレンズの中心と外周部の屈折率差は、特に制限されないが、0.003〜0.06であることが好ましい。この屈折率差が0.003以上の場合に、レンズの開口角が十分大きくなり、高速印刷に必要なレンズ光量を確保できる傾向にある。一方、この屈折率差が0.06以下の場合に、焦点深度が狭くなることに起因するピントズレによる解像度の低下が発生するのを防ぐことができると同時に作動距離を十分確保することができる傾向にあり、光学設計が容易になる。
さらに、ロッドレンズの屈折率分布定数gは、特に限定されるものではないが、光学系のコンパクト化や光学系の作動距離の確保や取扱性の観点から、525nmの波長の光において0.10〜1.50mm−1の範囲であることが好ましく、0.25〜1.00mm−1の範囲であることがより好ましい。屈折率分布定数gが0.10mm−1以上の場合に、光学系の作動距離が短くすることができる傾向にあり、小型化が容易となる。一方、屈折率分布定数gが1.50mm−1以下の場合に、作動距離が適度になり、光学系の設計が容易になる傾向にある。
第1の発明のロッドレンズのガラス転移温度は100℃以上である。ロッドレンズのガラス転移温度が100℃以上の場合に、レンズに十分な耐熱性を付与することができ、高温環境下でレンズを使用しても解像度の低下を抑えることができる。
ロッドレンズのガラス転移温度を100℃以上とするためには、重合体混合物(I)中、前記(a)単位の含有量〔a〕が5〜72.5質量%であることが好ましい。
また、ロッドレンズの中心から外周に向かって0.5r〜rの範囲(Y,Z)に位置する重合体混合物(I)中、前記(b)単位の含有量〔b〕が0〜47質量%であることが好ましい。
また、ロッドレンズの中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲(Z)に位置する重合体混合物(I)中、前記(c)単位の含有量〔c〕が0〜47質量%であることが好ましい。
また、ロッドレンズの中心から外周に向かって0〜0.5rの範囲(X)に位置する重合体混合物(I)中、前記(d)単位の含有量〔d〕が0〜50質量%含まれることが好ましい。
次に、本発明の第2の発明について説明する。
本発明の第2の発明は、
重合体混合物(I)が、前記(a)単位と、前記(b)単位および前記(c)単位の少なくとも一種とを構成単位として含有する重合体混合物(II)であり、
中心部と外周部の屈折率差が0.02〜0.06であり、
中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が、下記式(1)を満足するプラスチック製ロッドレンズである。
0.357〔b〕−1.786<〔a〕<65−1.063〔b〕 ・・・(1)
(ただし、式(1)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。)
重合体混合物(II)は、前記(a)単位と、前記(b)単位および前記(c)単位の少なくとも一種とを構成単位として含有するものであるから、例えば
(1)『<前記(a)単位>と<前記(b)単位および前記(c)単位の少なくとも一種の単量体単位>とを構成単位として少なくとも含有する重合体』と『他の重合体』との混合物や、
(2)『前記(a)単位を構成単位として少なくとも有する重合体』と『《前記(b)単位を構成単位として少なくとも有する重合体》および《前記(c)単位を構成単位として少なくとも有する重合体》の少なくとも一種の重合体』との混合物等、
が挙げられる。
重合体混合物(II)は、前記(a)〜(c)単位以外にも、必要に応じて前記(d)単位、前記(m)単位およびその他の単量体単位を構成単位として含有してもよい。中でも、透明性、屈折率等を調整する点から、前記(m)単位を構成単位として含有することが好ましい。
第2の発明のロッドレンズは、中心と外周部の屈折率差が0.02〜0.06である。この屈折率差が0.02以上の場合に、レンズの開口角が十分大きくなり、高速印刷に必要なレンズ光量を確保できる傾向にある。一方、この屈折率差が0.06以下の場合に、焦点深度が狭くなることに起因するピントズレによる解像度の低下が発生するのを防ぐことができると同時に、作動距離を十分確保することができる傾向にあり、光学設計が容易になる。
さらに、第2の発明のロッドレンズの屈折率分布定数gは、特に限定されるものではないが、光学系のコンパクト化や光学系の作動距離の確保や取扱性の観点から、525nmの波長の光においての屈折率分布定数gは0.50〜1.50mm−1の範囲であることが好ましく、0.60〜1.00mm−1の範囲であることがより好ましい。屈折率分布定数gが0.50mm−1以上の場合に、光学系の作動距離が短くなり小型化が容易となる傾向にある。一方、屈折率分布定数gが1.50mm−1以上の場合に、作動距離が適度になり光学系の設計が容易となる傾向にある。
単量体(a)単位は、屈折率の高い中心寄りに位置する重合体混合物に多く含まれることが好ましく、単量体(b)、単量体(c)単位は、屈折率の低い外周寄りに位置する重合体混合物に多く含まれることが好ましい。このような重合体混合物によってレンズが構成されることによって、レンズ中心と外周部の屈折率差が大きくなるため、レンズの開口角が大きくなり、光量の大きなレンズを得ることができる傾向にある。
具体的には、図1に示すロッドレンズ1の断面において、中心Oから外周に向かって0〜0.5rの範囲(X)に位置する重合体混合物(II)中、〔a〕は10〜60質量%であることが好ましく、25〜50質量%であることがより好ましい。前記範囲に位置する重合体混合物(II)中、〔a〕が10質量%以上の場合に、ロッドレンズの中心Oから外周にかけての屈折率差をより大きくできる傾向にあり、レンズ開口角が大きくなるため十分なレンズ光量を維持できる傾向にある。一方、前記範囲に位置する重合体混合物(II)中、〔a〕が60質量%以下の場合に、重合体混合物が白濁しにくい傾向にあり、透明性の優れたレンズが得られる傾向にある。
また中心Oから外周に向かって0.8r〜rの範囲(Z)に位置する重合体混合物(II)中、〔c〕は5〜45質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましい。位置する重合体混合物(II)中、〔c〕が5質量%以上の場合に、ロッドレンズの中心Oから外周にかけての屈折率差をより大きくできる傾向にあり、レンズ開口角が大きくなるため十分なレンズ光量を確保できる傾向にある。一方、前記範囲に位置する重合体混合物(II)中、〔c〕が45質量%以下の場合に、耐熱性が低下することを抑えることができる傾向にある。
また、第2の発明のロッドレンズは、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が、式(1)を満足する。
0.357〔b〕−1.786<〔a〕<65−1.063〔b〕 ・・・(1)
一般に複数種の重合体の混合物は相溶することなく、相分離を起こすため、白濁することが知られている。特に高屈折率、高Tgモノマーを使用した場合はこの傾向が顕著であり、重合体混合物が白濁すると、光の透過光量が少なくなるため、レンズとしての光量は小さくなり、さらに、レンズ内で光が拡散するため解像度が著しく低下してしまう。
しかし、第2の発明のロッドレンズは、該ロッドレンズを構成する重合体混合物(II)が、レンズ中心から外周に向かういずれの位置においても、その組成において式(1)を満足するため、白濁することなく、優れた透明性を発揮することができる。従って、第2の発明のロッドレンズは、光量が大きく解像度低下がない。
表1〜5は、単量体(a)としてフェニルメタクリレート(PhMA)、単量体(b)としてt−ブチルメタクリレート、単量体(c)として2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート(4FM)及び単量体(m)としてメチルメタクリレート(MMA)、また、重合体(M)としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を種々の割合で含む未硬化状物に、光硬化触媒として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部を加えたものを、2KWの高圧水銀灯3本にて硬化せしめ、重合体混合物としたときの透明性、屈折率、ガラス転移点をまとめたものである。
図5〜9は、それぞれ単量体(b)の含有量〔b〕が0%、5%、20%、40%、50%である場合において、構成単位の組成の含有量〔a〕(質量%)、〔c〕(質量%)及び〔m〕(質量%)で、透明性について表1〜5の結果を整理した三角相図である。
図10は、重合体混合物が透明となるときの組成範囲を〔a〕(質量%)及び〔b〕(質量%)によって整理したグラフである。
図10に示すとおり、重合体混合物の組成が(1)式を満たす範囲で、その重合体混合物が透明となることが分かる。また、重合体混合物が透明となる上で、(1)式は、下記式(1’)であることがさらに好ましい。
〔b〕/3≦〔a〕≦60−〔b〕 ・・・(1’)
また、第2の発明のロッドレンズは、中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が下記式(2)を満足する。
〔c〕<47.143−0.429〔b〕 ・・・(2)
(ただし、式(2)において、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表し、〔c〕は構成単位(c)の含有量(質量%)を表す。)
レンズのガラス転移点を高くすることにより耐熱性を改善することができるが、レンズに十分な耐熱性を付与するためには、レンズのガラス転移温度が100℃以上であることが必要である。
ところで、ロッドレンズを構成する重合体混合物において、レンズの中心と外周にかけての屈折率差を大きくするために、単量体(c)単位は、外周寄りに位置する屈折率の低い重合体混合物に多く含まれる。このため、レンズの外周寄りに位置する重合体のガラス転移温度は低い傾向にある。
レンズのガラス転移温度を100℃以上とするためには、必ずしも中心から外周に向かういずれの位置においても重合体混合物のガラス転移温度が100℃以上となる必要はないが、レンズの外周に位置する重合体混合物のガラス転移温度を100℃以上とすることによりレンズに十分な耐熱性を付与することができる。これは、ロッドレンズアレイを作る際に、レンズを基板に固定する接着剤としてホットメルト型接着剤を使用する場合に特に顕著である。ホットメルト型接着剤は高温で流動状態となり、レンズ及び基板に塗布される。このためレンズ外周部のガラス転移温度が低いと、レンズ外周部の屈折率分布が変化し、解像度が低下してしまう。したがって、レンズの外周に位置する重合体混合物のガラス転移温度が100℃以上の場合にレンズに十分な耐熱性を付与することができる。
図11〜15は、単量体(b)単位の含有量〔b〕がそれぞれ0%、5%、20%、40%、50%である場合において、重合体混合物のTgが110℃以上となるとき、100℃以上110℃未満となるとき、および100℃未満となるときについて、構成単位の組成〔a〕(質量%)、〔c〕(質量%)及び〔m〕(質量%)で、表1〜5の結果を整理した三角相図である。
図16は、重合体混合物のTgが110℃以上となるとき、100℃以上110℃未満となるとき、および100℃未満となるときの組成範囲を〔b〕(質量%)及び〔c〕(質量%)によって整理したグラフである。
これより、重合体混合物の組成が、(2)式を満たす範囲で、その重合体混合物のTgが100℃以上となる。
すなわち、中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲(Z)に位置する重合体混合物を、(2)式を満たす組成(質量%)で構成することが好ましく、レンズに耐熱性を付与することができる傾向にある。また、レンズに十分な耐熱性を付与する面から、(2)式は、下記式(2’)であることがさらに好ましい。
〔c〕≦45−0.5〔b〕 ・・・(2’)
また、レンズの中心部分に位置する重合体混合物のガラス転移温度を110℃以上とすることにより、より十分な耐熱性をレンズに付与することができるので特に好ましい。
図16より、重合体混合物の組成が、(3)式を満たす範囲で、その重合体のTgが110℃以上となる。
〔c〕<21.786−0.357〔b〕・・・・(3)
すなわち、中心から外周に向かって0〜0.8rの範囲(X,Y)に位置する重合体混合物を、(3)式を満たす組成(質量%)で構成することが好ましい。また、レンズに十分な耐熱性を付与する面から、(3)式は、下記式(3’)であることがさらに好ましい。
〔c〕≦20−0.333〔b〕 ・・・(3’)
重合体混合物(II)の構成単位が前記式(2)を満足することで、重合体混合物(II)のガラス転移温度は100℃以上となるため、レンズに十分な耐熱性を付与することができ、高温環境下でレンズを使用しても解像度の低下を抑えることができる。
特に、中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲(Z)に位置する重合体混合物を(2)式を少なくとも満たす組成(質量%)で構成することが好ましく、さらに、中心から外周に向かって0から0.8rの範囲(X,Y)に位置する重合体混合物を(3)式を満たす組成(質量%)で構成することが好ましい。
このようにレンズを構成する重合体混合物の組成を適切に選定し、配置することにより、透明性に優れ、且つレンズ中心と外周部の屈折率差が大きいことで、光量の大きなレンズを得ることができ、さらにレンズ全体にわたってガラス転移点が高いため耐熱性に優れ、高温環境下で使用しても解像度低下のないレンズを得ることができる。
次に、本発明の第3の発明について説明する。
本発明の第3の発明は、
前記重合体混合物(I)が、前記(a)単位、前記(b)単位および前記(d)単位を構成単位として含有する重合体混合物(III)であり、
中心から外周に向かって0〜rの範囲における任意の異なる位置αおよびβにおいて、屈折率とアッベ数が下記式(4)を満足し、
|{nα×να/(nα−1)}−{nβ×νβ/(nβ−1)}|<5 ・・・(4)
(ただし、nαおよびnβは、それぞれ位置αおよび位置βにおける屈折率nDを表し、ναおよびνβは、それぞれ位置αおよび位置βにおけるアッベ数を表す。)
中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(III)の構成単位の組成が、下記式(5)を満足するプラスチック製ロッドレンズである。
0.5〔b〕−10<〔a〕<72.5−1.75〔b〕 ・・・(5)
(ただし、式(5)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。)
重合体混合物(III)は、前記(a)単位、前記(b)単位および前記(d)単位を構成単位として含有するものであるから、例えば、
(1)『<前記(a)単位>、<前記(b)単位>および<前記(d)単位>を構成単位として少なくとも含有する重合体』と『他の重合体』との混合物や、
(2)『前記(a)単位を構成単位として少なくとも有する重合体』と『前記(b)単位を構成単位として少なくとも有する重合体』と『前記(d)単位を構成単位として少なくとも有する重合体』との混合物等が挙げられる。
重合体混合物(III)は、前記(a)、(b)、(d)単位以外にも、必要に応じて前記(c)単位、前記(m)単位およびその他の単量体単位を構成単位として含有してもよい。中でも、透明性、屈折率等を調整する点から、前記(m)単位を構成単位として含有することが好ましい。なお、単量体(m)をホモポリマーとした際の屈折率(n)は1.492、アッベ数(ν)は56、Tgは114℃である。上述した単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)、単量体(d)及び単量体(m)をホモポリマーとした際の屈折率とアッベ数の関係を表すと、図17に示すようになる。
第3の発明のロッドレンズは、中心から外周に向かって0〜rの範囲における任意の異なる位置αおよびβにおいて、屈折率とアッベ数が式(4)を満足する。
参考文献(APPLIED OPTICS,Vol.19,No.7,P1052(1980))に記載されているように、下記式(7)式より、ΔPが0になるときロッドレンズの色収差はなくなる。
Figure 0005983404
式(7)中、nはロッドレンズの中心における屈折率(中心屈折率)であり、nはロッドレンズの中心からの距離iの位置における屈折率であり、νはロッドレンズの中心におけるアッベ数であり、νはロッドレンズの中心からの距離iの位置におけるアッベ数であり、PはD線(波長589.3nm)の周期長であり、ΔPはC線(波長656.3nm)とF線(波長486.1nm)の周期長の差である。
従って、ロッドレンズの色収差を小さくするためには、ロッドレンズの中心から外周にかけての屈折率(n)とアッベ数(ν)が、下記式(8)の関係を満足することが好ましい。
1/ν(1−1/n)=K ・・・(8)
(式(8)中、Kは定数である。)
ここで、任意のKの値についての式(8)を図17上に示す。
すなわち、図1に示すようにロッドレンズ1を中心軸に垂直な方向で切断したときの断面の半径をrとしたときに、中心Oから外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても、重合体混合物の屈折率とアッベ数が、式(8)で表されるライン上にのるように設計することが好ましく、重合体の原料として用いられる単量体(a)、単量体(b)及び単量体(d)と、必要に応じて単量体(c)、単量体(m)の配合割合を調整することで、式(8)の関係を満たすロッドレンズを得ることができる。
式(8)の関係を満たすことは、ロッドレンズの中心から外周に向かういずれの位置においてもKの値が等しいことを意味するが、第3の発明のロッドレンズにおいては、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|を5以内に収めること、すなわち(4)式を満足することにより十分色収差を小さくすることができる。
そのためには、中心寄りに位置する重合体混合物に単量体(d)単位が多く配合され、外周寄りに位置する重合体混合物に単量体(a)単位、単量体(b)単位が多く配合されることが好ましい。ここで、単量体(b)の代わりとしてレンズのガラス転移温度が100℃以下とならない範囲で単量体(c)を用いることもできる。
具体的には、図1に示すロッドレンズ1の断面において、レンズの中心Oから外周に向かって0〜0.5rの範囲に位置する重合体混合物(III)中、〔d〕は10〜50質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。またレンズの中心から外周に向かって0〜rの範囲において、〔d〕が徐々に減少することが好ましい。前記範囲に位置する重合体混合物(III)中、〔d〕が10質量%以上の場合に、中心と外周部のアッベ数の差を十分小さくすることができる傾向にあり、また前記範囲に位置する重合体混合物(III)中、〔d〕が50質量%以下の場合に、中心と外周部との屈折率差が適度になる傾向にあり、十分な焦点深度を確保することができる傾向にある。
またレンズの中心から外周に向かって0〜rの範囲において、〔a〕及び〔b〕が徐々に増加するように配合されるようにすることが、色収差の少なく、解像度の高いレンズを得るうえで好ましい。ここで、単量体(b)の代わりとしてレンズのガラス転移温度が100℃以下とならない範囲で単量体(c)を用いることもできる。
また、第3の発明のロッドレンズは、中心屈折率nと、最外部分の屈折率の屈折率差(Δn)が、0.003〜0.02であることが好ましい。屈折率差(Δn)が0.003以上の場合に、レンズの開口角が十分大きくなる傾向にあり、高速読取に必要なレンズ光量を確保できる傾向にある。一方、屈折率差が0.02以下の場合に、十分焦点深度を確保することができる傾向にあり、ピントズレによる解像度の低下が発生するのを防ぐことができると同時に、作動距離を十分確保することができる傾向にあり、光学設計が容易になる。
さらに、第3の発明のロッドレンズの屈折率分布定数gは、特に限定されるものではないが、光学系のコンパクト化や光学系の作動距離の確保や取扱性の観点から、525nmの波長の光において0.10〜1.00mm−1の範囲であることが好ましく、0.25〜0.70mm−1の範囲であることがより好ましい。屈折率分布定数gが0.10mm−1以上の場合に、光学系の作動距離が短くなる傾向にあり、小型化が容易となる。一方、屈折率分布定数gが1.00mm−1以下の場合に、作動距離が適度になり光学系の設計が容易となる傾向にある。
また、第3の発明のロッドレンズは、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(III)の構成単位の組成が、式(5)を満足する。
0.5〔b〕−10<〔a〕<72.5−1.75〔b〕 ・・・(5)
一般に複数種の重合体の混合物は相溶することなく、相分離を起こすため、白濁することが知られている。特に高屈折率モノマーを使用した場合はこの傾向が顕著であり、重合体混合物が白濁すると、光の透過光量が少なくなるため、レンズとしての光量は小さくなり、さらに、レンズ内で光が拡散するため解像度が著しく低下してしまう。
しかし、本発明のロッドレンズは、該ロッドレンズを構成する重合体混合物が、レンズ中心から外周に向かういずれの位置においても、その構成単位の組成において、(5)式を満たすことによって、白濁することなく、優れた透明性を発揮するため、光量が大きく解像度低下のないロッドレンズを得ることができる。
表6,7は、単量体(a)としてフェニルメタクリレート(PhMA)、ベンジルメタクリレート(BzMA)、単量体(b)としてt−ブチルメタクリレート(TBMA)、単量体(c)として2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート(4FM)、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート(8FM)、単量体(d)としてトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート(TCDMA)、及び単量体(m)としてメチルメタクリレート(MMA)、また、重合体(M)としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を種々の割合で含む未硬化状物に、光硬化触媒として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部を加えたものを、2KWの高圧水銀灯3本にて紫外線を照射して硬化せしめ、重合体混合物としたときの透明性、屈折率、アッベ数、ガラス転移温度をまとめたものである。
18は、重合体混合物が透明となるときの組成範囲を〔a〕(質量%)及び〔b〕(質量%)によって整理したグラフである。
重合体混合物の組成が(5)式を満たす範囲では、その重合体混合物が相分離することなく混和するため、重合体混合物が透明となることが分かる。また、重合体混合物が透明となる上で、(5)式は、下記式(5’)であることがさらに好ましい。
0.35〔b〕≦〔a〕≦69−1.95〔b〕 ・・・(5’)
また、第3の発明のロッドレンズは、中心から外周に向かって0.5r〜rの範囲(Y、Z)における重合体混合物の構成単位の組成として、〔a〕が5〜72.5質量%であることが好ましく、〔b〕が2〜36.7質量%であることが好ましい。
ロッドレンズのガラス転移点を高くすることにより耐熱性を改善することができるが、レンズに十分な耐熱性を付与するためには、レンズのガラス転移温度を100℃以上であることが必要である。
ところで、ロッドレンズを構成する重合体混合物において、レンズの中心と外周にかけての屈折率差を大きくするために、単量体(c)単位は、外周寄りに位置する屈折率の低い重合体混合物に多く含まれる。このため、レンズの外周寄りに位置する重合体のガラス転移温度は低い傾向にある。
レンズのガラス転移温度を100℃以上とするためには、必ずしも中心から外周に向かういずれの位置においても重合体混合物のガラス転移温度が100℃以上となる必要はないが、レンズの外周に位置する重合体のガラス転移温度を100℃付近とすることによりレンズに十分な耐熱性を付与することができる。これは、ロッドレンズアレイを作る際に、レンズを基板に固定する接着剤としてホットメルト型接着剤を使用する場合に特に顕著である。ホットメルト型接着剤は高温で流動状態となり、レンズ及び基板に塗布される。このためレンズ外周部のガラス転移温度が低いと、レンズ外周部の屈折率分布が変化し、解像度が低下してしまう。したがって、レンズの外周に位置する重合体のガラス転移温度が100℃付近である場合にレンズに十分な耐熱性を付与することができる。
具体的には、図1に示すロッドレンズ1の断面において、中心から外周に向かって0.5r〜rの範囲(Y、Z)に位置する重合体混合物(III)中、〔a〕は5〜72.5質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましく、〔b〕は2〜36.7質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
前記範囲に位置する重合体混合物(III)中、〔a〕が5質量%以上で〔b〕が2質量%以上の場合に、レンズ外周部のガラス転移温度が100℃に近くなり、レンズ全体のガラス転移温度が100℃以上となるため、レンズに十分な耐熱性を付与することができる傾向にあり、また、レンズ外周部の式(8)より求められるKの値が、レンズ中心部のKの値と十分近くなるため色収差の少ないレンズを得ることができる傾向にある。また前記範囲に位置する重合体混合物(III)中、〔a〕が72.5質量%以下で〔b〕が36.7質量%以下の場合に、前記(a)単位と前記(b)単位が混和しやすくなる傾向にあり、重合体混合物が白濁することを抑えることができる傾向にある。
このようにレンズを構成する重合体混合物の組成を適切に選定し、配置することにより、透明性に優れ、且つ色収差が小さく、カラー特性が良好であり、かつ耐熱性に優れ、高温環境下で使用しても良好な解像度を維持できるプラスチック製ロッドレンズを得ることができる。
本発明の第1、第2、第3のロッドレンズは、中心から外周に向かって0.95r〜rの範囲(外周部)に、ロッドレンズを伝送する光の少なくとも一部の光を吸収する吸収剤を含有する吸収層が形成されていることが好ましい。
一般に、ロッドレンズでは、中心から離れるにつれて、屈折率分布が理想分布から外れた不整な部分が形成されやすいが、ロッドレンズの外周部に光吸収層が形成されていれば屈折率分布の不整な部分に起因する光学特性の低下を抑制できる傾向にある。
光吸収層の厚みは5〜100μmが好ましい。光吸収層の厚みがこの範囲である場合に、フレア光やクロストーク光を十分に除去できると共に、十分な透過光量を確保できる傾向にある。
光吸収剤としては、例えばLEDプリンタにおいては光源として400〜900nmの波長の光を出射する光源が用いられるのが一般的であるので、400〜900nmのうち少なくとも一部の波長域の光を吸収する光吸収剤を用いることが好ましい。
このような光吸収剤としては、特に制限されないが、例えば600nm〜近赤外線領域に吸収のある日本化薬株式会社製の「Kayasorb CY−10」及びオリヱント科学工業株式会社製の「VALIFAST BLUE2606」等、600〜700nmに吸収のある三菱化学株式会社製の「Diaresin Blue 4G」等、550〜650nmに吸収のある日本化薬株式会社製の「Kayaset Blue ACR」等、500〜600nmに吸収のある三井化学染料株式会社製の「MS Magenta HM−1450」等、400〜500nmに吸収のある三井化学染料株式会社製の「MS Yellow HD−180」等を例示することができる。また、400〜900nmのうち全波長域の光を吸収する光吸収剤としては、黒色染料等を挙げることができる。
これら光吸収剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[プラスチック製ロッドレンズの製造方法]
次に、本発明のプラスチック製ロッドレンズの製造方法について説明する。
中心から外周に向かうにつれて屈折率が減少しているロッドレンズを製造するための方法としては、例えば付加反応法、共重合法、ゲル重合法、単量体揮発法、相互拡散法等が挙げられ、いずれの方法でもよいが、精度および生産性の点で相互拡散法が好ましい。
以下、相互拡散法について説明する。
まず、硬化後の屈折率nが、n>n>・・・・>n(N≧3)となるN個の未硬化状物を、例えば複合紡糸ノズル等を用いて、中心から外周に向かうにつれて硬化後の屈折率が順次低くなるような配置で、同心円状に積層した未硬化状の積層体(以下、「糸状体」という。)に賦形する。
ついで、この糸状体の各層間の屈折率分布が連続的になるように、隣接する層間同士で物質を相互拡散させる相互拡散処理を行いながら、または相互拡散処理を行った後、糸状体を硬化処理し、ロッドレンズ原糸を得る(紡糸工程)。
ここで、相互拡散処理は、糸状体に窒素雰囲気下、10〜60℃、より好ましくは20〜50℃で数秒〜数分間の熱履歴を与える処理である。
ついで、上記紡糸工程により得られたロッドレンズ原糸を、必要に応じて加熱延伸処理した後、緩和処理を施し、適宜、所定のサイズに切断することにより、本発明のロッドレンズを得る。
未硬化状物としては、ラジカル重合性を有する単量体を含む組成物などを用いることができ、ラジカル重合性を有する単量体としては、先述した単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)、単量体(d)、単量体(m)及びその他の単量体を用いることができる。また、未硬化状物に適度な粘性を付与して、紡糸しやすくなることから、未硬化状物は、単量体に可溶な重合体(可溶性重合体)を含有することが好ましい。
可溶性重合体としては、ポリメチルメタクリレート(n=1.49、Tg=114℃)、ポリメチルメタクリレート共重合体(n=1.47〜1.50)等が挙げられる。これらの中でも、透明性に優れ、それ自体の屈折率が高い観点から、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。なお、カッコ内の数値は物性値である。
未硬化状物から賦形した糸状体を硬化するには、未硬化状物中に熱硬化触媒および/または光硬化触媒を添加し、熱硬化処理および/または光硬化処理を行えばよい。
熱硬化処理は、熱硬化触媒を含有させた未硬化状物を、一定の温度に制御された加熱炉等の硬化処理部で所定時間加熱処理することにより行うことができる。
光硬化処理は、光硬化触媒を含有させた未硬化状物に周囲から紫外線を照射することにより行うことができる。光硬化処理に用いる光源としては、150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、発光ダイオード(LED)及びレーザー光などが挙げられる。
熱硬化触媒としては、パーオキサイド系またはアゾ系の触媒等が用いられる。
光硬化触媒としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
これら熱硬化触媒や光硬化触媒の含有量は、特に制限されないが、未硬化状物100質量部に対して、0.01〜2.00質量部であることが好ましい。
また、糸状体を安定的に製造するには、硬化処理までの重合を防ぐために、未硬化状物中に重合禁止剤を10〜1000ppm添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のキノン化合物、フェノチアジン等のアミン系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系化合物などが挙げられる。
上記紡糸工程は、例えば図2に示すようなプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置を用いて行うことができる。
このプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置10は、同心円状複合紡糸ノズル11と、同心円状複合紡糸ノズル11から吐出された糸状体Eを収容する収容体12と、収容体12の同心円状複合紡糸ノズル11側に接続された不活性ガス導入管13と、収容体12の出口12a側に接続された不活性ガス排出管14と、収容体12の長手方向の中央の外側に設けられた第1光照射機15と、収容体12の不活性ガス排出管14側の外側に設けられた第2光照射機16と、収容体12の下流側に配置された引取りローラ17とを具備する。
収容体12において、同心円状複合紡糸ノズル11から第1光照射機15の光が当る直前までの部分を相互拡散処理部12b、第1光照射機15の光が当る部分を第1硬化処理部12c、第2光照射機16の光が当る部分を第2硬化処理部12dという。
上記製造装置10を用いたロッドレンズ原糸の製造では、不活性ガス導入管13から収容体12内に不活性ガス(例えば窒素ガス)を導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させる。
そのように不活性ガスを流動させた状態で、同心円状複合紡糸ノズル11から未硬化の糸状体Eを吐出し、その糸状体Eを、収容体12内を通過させる。このとき、相互拡散処理部12bでは、糸状体Eを構成する各層間において相互拡散が起こる。第1硬化処理部12cでは、第1光照射機15により糸状体Eに光が照射され、各層間において相互拡散しながら硬化が進行する。第2硬化処理部12dでは、第2光照射機16により糸状体Eに光が照射され、硬化がさらに進行する。
そして、引取りローラ17により引き取ることにより、収容体12からロッドレンズ原糸Fを得る。
紡糸工程によって得られたロッドレンズ原糸Fは、必要に応じて、そのまま連続的に加熱延伸処理に送ってもよいし、一旦ボビン等に巻き取ってから加熱延伸処理に送ってもよいし、所望の長さに切断してもよい。
加熱延伸処理はバッチ方式で行ってもよいし、連続的に行ってもよい。加熱延伸処理と緩和処理は連続的に行ってもよいし、非連続的に行ってもよい。
加熱延伸処理及び緩和処理は、例えば、図3に示すような延伸・緩和処理装置20を用いて行うことができる。
この延伸・緩和処理装置20は、第1ニップローラ21、第2ニップローラ22、第3ニップローラ23、第1ニップローラ21と第2ニップローラ22との間に配置された第1加熱炉24、及び、第2ニップローラ22と第3ニップローラ23との間に配置された第2加熱炉25を具備する。
加熱延伸処理は、上記延伸・緩和処理装置20を用いて行うことができ、硬化して得られたロッドレンズ原糸Fを第1ニップローラ21で第1加熱炉24に供給し、第1加熱炉24を通過したプラスチックロッドレンズ原糸Fを第2ニップローラ22で第1ニップローラ21よりも速い速度で引き取って延伸する方法等により行われる。
加熱延伸処理における第1加熱炉24内の雰囲気の温度はロッドレンズの材質等に応じて適宜設定されるが、ロッドレンズのガラス転移温度(Tg)+20℃以上にすることが好ましい。また、延伸倍率は、所望のロッドレンズ径により適宜決定され、第1ニップローラ21と第2ニップローラ22の周速度比により調節することができる。
緩和処理は、上記延伸・緩和処理装置20を用いて行うことができ、延伸されたロッドレンズ原糸Gを第2ニップローラ22で第2加熱炉25に供給し、第2加熱炉25を通過したプラスチックロッドレンズ原糸Gを第3ニップローラ23で第2ニップローラ22よりも遅い速度で引き取って緩和する方法等が挙げられる。
緩和処理の第2加熱炉25内の雰囲気の温度はロッドレンズの材質等に応じて適宜設定されるが、ロッドレンズのTg以上にすることが好ましい。また、緩和率(緩和処理後の長さ/緩和処理前の長さ)は、所望のロッドレンズ径により適宜決定されるが、99/100〜1/2程度になるようにすることが好ましい。このような緩和率で緩和処理を施せば、ロッドレンズの収縮を抑制することができる。なお、緩和率が小さすぎるとレンズ径の斑が大きくなるため好ましくない。緩和率は、第2ニップローラ22と第3ニップローラ23との周速度比で調節することができる。
上述した方法によれば、複数の重合体が同心円状に重なり重合体混合物となっており、中心から外周に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布を有するロッドレンズが得られる。なお、この重合体混合物は、各層間において重合体を構成する単量体が相互拡散した状態で硬化されている。
ロッドレンズは、各層間で未硬化状物同士が相互拡散した状態で硬化することで得られるため、ロッドレンズの中心屈折率nは、複合紡糸ノズル内で中心に位置するロッドレンズ原液としての未硬化状物の硬化後の屈折率と同じかそれより低くなる。また、ロッドレンズの最外部分の屈折率は、複合紡糸ノズル内で最外部位に位置するロッドレンズ原液としての未硬化状物の硬化後の屈折率と同じかそれより高くなる。
このため、ロッドレンズの中心屈折率と外周部分の屈折率の差は、複合紡糸ノズル内で、中心に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率と、外周部分に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率との差よりも小さくなる傾向がある。
上記理由により、本発明の第1の発明では、ロッドレンズの中心と外周部の屈折率差を0.003〜0.06とするために、複合紡糸ノズル内で、中心に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率と、外周部分に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率の差が0.008〜0.065となるよう設計することが好ましい。
また本発明の第2の発明では、ロッドレンズの中心と外周部の屈折率差を0.02〜0.06とするためには、複合紡糸ノズル内で、中心に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率と、外周部分に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率の差が0.025〜0.065となるよう設計することが好ましい。
また本発明の第3の発明では、ロッドレンズの中心と外周部の屈折率差を0.003〜0.02とするためには、複合紡糸ノズル内で、中心に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率と、外周部分に位置する未硬化状物を単独で硬化させた重合体混合物の屈折率の差が0.008〜0.025となるよう設計することが好ましい。
[プラスチック製ロッドレンズアレイ]
次に、プラスチック製ロッドレンズアレイ(以下、単に「ロッドレンズアレイ」という。)ついて説明する。
本発明のロッドレンズアレイは、上述した本発明のロッドレンズの複数本が、2枚の基板間に、各ロッドレンズの中心軸が互いに略平行方向となるように配列され、固定されたロッドレンズ列を少なくとも1列備える。
ロッドレンズアレイの一例として、図4に示すように、2本以上のロッドレンズ31,31・・・が、2枚の基板32,32間に平行に1列に並べられ、固定されたものが挙げられる。
隣接するロッドレンズ31,31は互いに密着していてもよいし、一定の隙間をおいて配列していてもよい。
また、同種のロッドレンズを2段以上に積み重ねて配列されてなるレンズアレイの場合は、ロッドレンズ間の隙間が最小になるように俵積み状に配列されていることが好ましい。
ロッドレンズアレイ30を構成する基板32は平板状でもよいし、ロッドレンズ31を一定の間隔で配置収納するU字状あるいはV字状等の溝が形成されたものであってもよい。
基板32の材質は特に限定されないが、ロッドレンズアレイを作製する工程での加工が容易な材料であることが好ましい。具体的には、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂などが好ましく、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリイミド系樹脂、液晶ポリマー、エポキシ系樹脂などが特に好ましい。また、基板32の基材、補強材として、繊維や紙を用いてもよいし、基板に離型剤、染料、顔料、帯電防止剤等を添加してもよい。
ロッドレンズ31と基板32との固定には接着剤33が用いられる。接着剤33は、ロッドレンズ31と基板32、あるいはロッドレンズ31,31同士を貼着できる程度の粘着力を有するものであれば特に制限されるものではなく、薄膜状に塗布可能な接着剤や、スプレー式粘着剤、ホットメルト型粘着剤等を用いることができる。
また、基板32やロッドレンズ31への接着剤の塗布方法としては、接着剤の種類に応じて、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法等の公知のコーティング法を用いることができる。
ロッドレンズアレイ30は、レンズ端面へのゴミの付着及び傷つき防止を目的とした表面保護層を備えていてもよい。この表面保護層としては、既存のUV硬化型のハードコート剤を用いてもよいし、レンズ端面にカバーガラスを設置することで実現してもよい。
本発明のロッドレンズアレイは、本発明の第2のロッドレンズを用いる場合には、レンズの光量が大きく、且つ耐熱性に優れる。従って、LEDプリンタ等において、印刷速度の高速化、および機器の小型化による高温環境下でレンズを使用した場合にも、解像度等の光学特性の低下が抑制され、好適に用いることが可能となる。
また本発明のロッドレンズアレイは、本発明の第3のロッドレンズを用いる場合には、色収差が小さく、且つ耐熱性に優れる。従って、複写機等において、読み込み速度の高速化、および機器の小型化による高温環境下でレンズを使用した場合にも、解像度等の光学特性の低下が抑制され、好適に用いることが可能となる。
[LEDプリンタヘッド]
次に、本発明のLEDプリンタヘッドについて図19を用いて説明する。
本発明のLEDプリンタヘッド40は、上述した本発明のロッドレンズアレイ30と発光素子となる発光ダイオード(LED)を多数配列したLEDアレイ43を組み合わせたものであり、このLEDプリントヘッド40は、支持体としてのハウジング41、発光素子アレイの駆動装置を搭載するプリント基板42、露光光を照射するLEDアレイ43、LEDアレイ43からの光を感光体ドラム100の表面に結像させるロッドレンズアレイ30、ロッドレンズレンズアレイ30を支持するとともにLEDアレイ43を外部から遮蔽するロッドレンズアレイホルダー45、ハウジング41をロッドレンズアレイ30方向に付勢する板バネ46を備えている。
ハウジング41は、アルミニウム、SUS等のブロックまたは板金で形成され、プリント基板42及びLEDアレイ43を支持している。またロッドレンズアレイホルダー45は、ハウジング41およびロッドレンズアレイ30を支持し、LEDアレイ43の発光点とロッドレンズアレイ30の焦点とが一致するように構成している。さらにロッドレンズアレイホルダー45はLEDアレイ43を密閉するように配置されている。そのため、LEDアレイ43に外部からゴミが付着することはない。一方、板バネ46は、LEDアレイ43およびロッドレンズアレイ30の位置関係を保持するように、ハウジング41を介してロッドレンズアレイ30方向に付勢している。
このように構成されたLEDプリントヘッド40は、調整ネジ(図示せず)によってセルフォック(登録商標)レンズアレイ24の光軸方向に移動可能に構成され、ロッドレンズアレイ30の結像位置(焦点)が感光体ドラム100表面上に位置するように調整される。
LEDアレイ43は、複数個のLEDチップが基板42に感光体ドラム100の軸線方向と平行に精度よく列状に配置されている。またロッドレンズアレイ30も同様に、ロッドレンズ31が感光体ドラム100の軸線方向と平行に精度よく列状に配置されている。そしてLEDアレイ43からの光が感光体ドラム100表面に結像され、静電潜像を形成する。
[カラーイメージセンサヘッド]
次に、本発明のカラーイメージセンサヘッドについて図20を用いて説明する。
本発明のカラーイメージセンサヘッド50は、上述した本発明のロッドレンズアレイ30とラインイメージセンサ(光電変換素子)51を組み合わせたものであり、稿台54の原稿載置面54a上に載置された原稿Gに光を照射するライン状光源56と、原稿Gからの反射光を集光するロッドレンズアレイ30と、ロッドレンズアレイ30により集光された光を受けるラインイメージセンサ51と、ライン状光源56、ロッドレンズアレイ30およびラインイメージセンサ51を収容する筐体52とを備える。
筐体52は、略直方体形状に形成されており、筐体52の上面には第1凹部52aおよび第2凹部52bが形成され、下面には第3凹部52cが形成されている。筐体52は、樹脂の射出成形により形成される。射出成形により筐体52を形成することにより、筐体52を容易に形成でき、安価とすることができる。第1凹部52a内には、ライン状光源56が斜めに固定されている。ライン状光源56は、照射光の光軸が、ロッドレンズアレイ30の光軸Axと原稿載置面54aとの交点または交点近傍を通るように固定される。
第2凹部52bには、ロッドレンズアレイ30が固定されている。第3凹部52cには、ラインイメージセンサ51を備えた基板57が取り付けられている。基板57は、その上面が第3凹部52cに設けられた段差部52dに当接するように固定されている。
ロッドレンズアレイ30は、そのレンズ配列方向が主走査方向に一致するように画像読取装置200に装着される。ロッドレンズアレイ30は、上方に位置する原稿Gから反射されたライン状の光を受けて、下方に位置する像面、すなわちラインイメージセンサ51の受光面51aに正立等倍像を形成する。画像読取装置200は、駆動機構を用いてカラーイメージセンサヘッド50を副走査方向に走査することにより、原稿Gを読み取ることができるようになっている。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<透明性の評価>
sample No.1〜207の各重合体のフィルムについて、目視により透明性を評価した。
<屈折率、アッベ数および屈折率分布の測定>
カールツァイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて測定した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
SIIナノテクノロジー株式会社製示差熱分析装置(型番:DSC6220C)を用いて、以下の条件でガラス転移温度(Tg)の測定を行った。
・窒素気流下(流量100mL/分)
・測定温度範囲:スタート温度30℃、リミット温度200℃
・昇温速度:10℃/分
なお、評価試料の前処理は、以下のとおりである。
sample No.1〜207の各重合体のフィルムまたはロッドレンズの試料を150℃で5分間溶融させた状態で維持し、ドライアイスで1分間急冷して、残留応力を除去した後、デシケータ内に15分以上放置して、試料に付着した霜を除去した。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、公知の方法で求めた。すなわち、測定により得られたDSC曲線から、ガラス領域におけるベースラインの延長線と、ガラス転移領域付近に現れるDSC曲線の変曲点における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
<共役長TC及び解像度(平均MTF)の測定>
空間周波数12ラインペア/mm(Lp/mm)を有するラインチャートを用いて測定した。
具体的には、光軸に垂直な両端面を研磨したロッドレンズアレイに光源からの光(波長470nm、525nmまたは630nm)を、ラインチャートを通して入射させ、結像面に設置したCCDラインセンサにより格子画像を読み取り、その測定光量の最大値(imax)と最小値(imin)を測定し、下記式(9)によりMTF(モデレーション・トランスファー・ファンクション)を求めた。
MTF(%)={(imax−imin)/(imax+imin)}×100 ・・・(9)
その際、ロッドレンズアレイの入射端とラインチャートとの距離と、ロッドレンズアレイの出射端とCCDラインセンサとの距離を等しくした。そして、ラインチャートとCCDラインセンサをロッドレンズアレイに対し対称的に動かしてMTFを測定し、MTFが最大になるときの、ラインチャートとCCDラインセンサとの距離を共役長TCとした。
次に、ラインチャートとCCDラインセンサとの距離を共役長に保ったまま、ロッドレンズアレイ全幅について走査してMTFを50点測定し、これらの平均値(平均MTF)を求めて、解像度の指標とした。平均MTFの値が大きい程、解像度が優れる。
ここで空間周波数とは、白ラインと黒ラインとの組み合わせを1ラインとし、このラインの組み合わせが1mmの幅の中に何組設けてあるかを示すものである。
<光量の測定>
解像度の測定で用いたラインチャートの代わりに、オパール型拡散板を用いて光量を測定する。
具体的には、光源からの光(波長525nm)を拡散板を通して、ロッドレンズアレイに入射させ、結像面に設置したCCDラインセンサにより光量出力を測定し、測定光量の最大値(imax)を記録する。この際のロッドレンズアレイの入射端と拡散板との距離と、ロッドレンズアレイの出射端とCCDラインセンサとの距離は等しく、拡散板とCCDラインセンサとの距離は共役長である。
次に、拡散板とCCDラインセンサとの距離を共役長に保ったまま、ロッドレンズアレイ全幅について走査して光量出力を50点測定し、これらの平均値(平均光量)を求めた。ここで、一般的に使用されているロッドレンズであるセルフォック(登録商標)レンズアレイSLA12D(日本板硝子社製)の平均光量を100%としたときの、対象レンズの光量百分率(%)を光量の指標とした。光量の値が大きい程、高速での印刷に対応することができる。
<耐熱試験>
温度70℃、湿度90%RHに設定した恒温恒湿器中にロッドレンズアレイを配し、1000時間保持した。試験前後での470nm、525nmまたは630nmの波長における平均MTFの値を求めた。
[重合体混合物(sample No.1〜207)の製造例]
表1〜7に示す単量体および重合体の混合物100質量部に対して、光硬化触媒として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部を混合し、2枚のスライドガラスの間に挟み、2KWの高圧水銀灯3本にて5000mJ/cmの紫外光を8回照射することによって硬化させて、厚さ0.3mmのフィルム状重合体混合物sample No.1〜207(PMMAとその他の重合体の混合物)を得た。
sample No.1〜131について、重合体混合物の透明性、屈折率、ガラス転移温度を評価した結果を表1〜5に示す。この結果のうち、透明性について三角相図で整理した結果を図5〜9に、さらに、芳香環含有単量体(a)の含有量と炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位の含有量とで整理した結果を図10に示す。また、この結果のうち、ガラス転移温度について三角相図で整理した結果を図11〜15に、さらに、炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位の含有量とフッ素含有単量体(c)単位の含有量とで整理した結果を図16に示す。
Figure 0005983404
Figure 0005983404
Figure 0005983404
Figure 0005983404
Figure 0005983404
sample No.132〜207について、重合体混合物の透明性、屈折率、ガラス転移温度、アッベ数を評価した結果を表6〜7に示す。この結果のうち、透明性について芳香環含有単量体(a)の含有量と炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位の含有量とで整理した結果を図18に示す。
Figure 0005983404
Figure 0005983404
[実施例1]
ポリメチルメタクリレート(PMMA)45質量部、メチルメタクリレート(MMA)20質量部、フェニルメタクリレート(PhMA)35質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部、およびハイドロキノン(HQ)0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.5と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.26と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA7.5質量部、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート(4FM)7.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.27と同じ組成である。
PMMA50質量部、MMA10質量部、PhMA10質量部、t−ブチルメタクリレート(TBMA)20質量部、4FM10質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.77と同じ組成である。
PMMA25質量部、PhMA17.5質量部、TBMA40質量部、4FM17.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.99と同じ組成である。
なお、HCPKは光硬化触媒、HQは重合禁止剤である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、クロストーク光やフレア光を抑制する目的で、加熱混練前の第4層形成用原液および第5層形成用原液中に、原液100質量部に対して染料Blue ACR(日本化薬株式会社製)0.57質量部、染料MS Yellow HD−180(三井化学染料株式会社製)およびMS Magenta HM−1450(三井化学染料株式会社製)をそれぞれ0.14質量部、染料Diaresin Blue 4G(三菱化学株式会社製)およびKayasorb CY−10(日本化薬株式会社製)をそれぞれ0.02質量部添加した。
この5種類の原液を、中心から外周に向かって硬化後の屈折率が順次低くなるように配列して、同心円状5層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、糸状体を得た。複合防止ノズルの温度は50℃とした。
各層の吐出比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(第1層目においては半径)の比に換算して、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=24.0/31.1/40.2/2.2/2.5とした。
ここで、第1層は最も内側で、第5層は最も外側である。
次いで、得られた原液から、図2に示すプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置10を用いてロッドレンズ原糸を製造した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ(ニップローラ)17で引き取り(390cm/分)、長さ30cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
続いて、長さ120cm、40Wのケミカルランプ18本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(光照射部)12cの中心上に糸状体Aを通過させて、各層間同士で相互拡散させながら、硬化させた。引き続き、2KWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(光照射部)12dの中心上に糸状体Aを通過させて、さらに硬化させた。なお、相互拡散処理部12bにおける窒素流量は72L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.215mmであった。
次いで、得られたロッドレンズ原糸を166mmの長さに切断し、ロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.215mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.513、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.85mm−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.025であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.445mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.5mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像に変化はなかった。
[実施例2]
PMMA45質量部、MMA10質量部、PhMA45質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.2と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30質量部、PhMA25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.23と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA7.5質量部、4FM7.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.27と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA25質量部、PhMA10質量部、TBMA5質量部、4FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.57と同じ組成である。
PMMA40質量部、PhMA10質量部、TBMA20質量部、4FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.83と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を288cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.250mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.250mm、Tgは108℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.520、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.91mm−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.039であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.515mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.3mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は非常に良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下も非常に小さく、耐熱性が非常に良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像にほぼ変化はなかった。
[実施例3]
PMMA45質量部、PhMA60質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.11と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.5と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA7.5質量部、4FM7.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.27と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、4FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.25と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA20質量部、4FM35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.4と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を200cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは105℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.527、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.88mm−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.053であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.4mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は極めて良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下は小さく、耐熱性が良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像にあまり変化はなかった。
[実施例4]
PMMA40質量部、PhMA60質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.11と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.5と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA50質量部、4FM5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.28と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、4FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.25と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA20質量部、4FM35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.4と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは106℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.527、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.88mm−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.054であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.4mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量が極めて良好であり、また耐熱試験後の解像度の低下は小さく、耐熱性が良好であった。結果を表10に示す。また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られ、また耐熱試験後も印字画像にあまり変化はなかった。
[参考例1]
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA35質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.5と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30質量部、PhMA25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.23と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA40質量部、PhMA15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.26と同じ組成である。
PMMA50質量部、MMA10質量部、PhMA20質量部、TBMA20質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.76と同じ組成である。
PMMA45質量部、PhMA15質量部、TBMA40質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.98と同じ組成である。
各層の原液の組成を表8に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を165cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.330mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.330mm、Tgは114℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.513、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.44mm−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.016であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.675mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.5mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量はSLA12Dと同程度であり、また耐熱試験後の解像度の低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ、光量が少ないためノイズがあったが、耐熱試験前後で印字画像に変化はなかった。
[比較例1]
PMMA45質量部、MMA10質量部、PhMA45質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.2と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30質量部、PhMA25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.23と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA20質量部、PhMA17.5質量部、4FM17.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.6と同じ組成である。
PMMA20質量部、PhMA30質量部、TBMA5質量部、4FM45質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.47と同じ組成である。
PMMA30質量部、PhMA10質量部、TBMA20質量部、4FM40質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.84と同じ組成である。
各層の原液の組成を表9に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を200cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは99.0℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.518、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.79mm−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.043であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が4.7mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、光量は非常に良好であったが、耐熱試験後の解像度の低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ鮮明な画像が得られたが、耐熱試験後の印字画像は不鮮明であった。
[比較例2]
PMMA35質量部、PhMA65質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.31と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA10質量部、PhMA45質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.2と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA5質量部、PhMA30質量部、TBMA20質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.71と同じ組成である。
PMMA35質量部、PhMA25質量部、TBMA40質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.105と同じ組成である。
PMMA30質量部、MMA10質量部、PhMA10質量部、TBMA50質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.127と同じ組成である。
各層の原液の組成を表9に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、引取り速度を200cm/分とした以外は、実施例1と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは114℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.530、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.77mm−1であり、レンズ中心と外周部の屈折率差は0.041であった。ロッドレンズは白濁しており、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が5.0mm)。
作製したロッドレンズアレイの525nmの波長における、光量と耐熱試験前後での平均MTFを測定したところ、レンズが白濁しているため光量が極めて小さかった。また拡散光の影響で解像度が非常に低かった。耐熱試験前後での解像度の低下は少なかった。結果を表10に示す。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてLEDプリンタヘッドを作製し、印字を行ったところ、白濁しているため光量が極めて不十分であり、また、耐熱試験前であっても解像度が極めて低いため、レンズとしての機能を果たさなかった。
Figure 0005983404
Figure 0005983404
Figure 0005983404
[実施例6]
PMMA46質量部、MMA24質量部、TCDMA30質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)0.25質量部、およびハイドロキノン(HQ)0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.132と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA30.6質量部、PhMA3質量部、TCDMA16.4質量部、TBMA5質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.133と同じ組成である。
PMMA48質量部、MMA36.2質量部、PhMA5.8質量部、TBMA10質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.134と同じ組成である。
PMMA44.8質量部、MMA13.9質量部、PhMA12.1質量部、TBMA14.2質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.135と同じ組成である。
PMMA40.3質量部、MMA3.4質量部、PhMA15.9質量部、TBMA10.4質量部、8FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.136と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
この5種類の原液を、中心から外周に向かって硬化後の屈折率が順次低くなるように配列して、同心円状5層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、糸状体を得た。複合防止ノズルの温度は50℃とした。
各層の吐出比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(第1層目においては半径)の比に換算して、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=24.0/31.1/32.2/10.2/2.5とした。
ここで、第1層は最も内側で、第5層は最も外側である。
次いで、得られた原液から、図2に示すプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置10を用いてロッドレンズ原糸を製造した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ(ニップローラ)17で引き取り(200cm/分)、長さ30cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
続いて、長さ120cm、40Wのケミカルランプ18本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(光照射部)12cの中心上に糸状体Aを通過させて、各層間同士で相互拡散させながら、硬化させた。引き続き、2KWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(光照射部)12dの中心上に糸状体Aを通過させて、さらに硬化させた。なお、相互拡散処理部12bにおける窒素流量は72L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.30mmであった。
次いで、得られたロッドレンズ原糸を166mmの長さに切断し、ロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは105℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.496、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.52mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で4.7であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.61mm(隣接レンズ間の隙間10μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほぼ同じで低色収差レンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さく、耐熱性が非常に良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はほぼなかった。
[実施例7]
PMMA43質量部、MMA22質量部、PhMA5質量部、TCDMA30質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.137と同じ組成である。
PMMA43質量部、MMA19.2質量部、PhMA6.3質量部、TCDMA26.5質量部、TBMA5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.138と同じ組成である。
PMMA43質量部、MMA17.2質量部、PhMA8質量部、TCDMA21質量部、TBMA10.8質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.139と同じ組成である。
PMMA47質量部、MMA24.7質量部、PhMA9.9質量部、TCDMA6.6質量部、TBMA11.8質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.140と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA18.5質量部、PhMA14.5質量部、TBMA7質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.141と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、各層の吐出比を、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=24.0/31.1/40.2/2.2/2.5とした以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このプラスチックロッドレンズ原糸を、135℃の雰囲気下で3.15倍に延伸し、115℃の雰囲気下で緩和率が500/700になるよう緩和処理を行った。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.20mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.503、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.68mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で2.8であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.41mm(隣接レンズ間の隙間10μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が5.5mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほぼ同じで低色収差レンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さく、耐熱性が非常に良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はほぼなかった。
[実施例8]
PMMA44質量部、MMA15質量部、PhMA7.5質量部、TCDMA30質量部、TBMA3.5質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.142と同じ組成である。
PMMA44質量部、MMA17質量部、PhMA8質量部、TCDMA25.5質量部、TBMA5.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.143と同じ組成である。
PMMA44.5質量部、MMA17.7質量部、PhMA8.8質量部、TCDMA18.5質量部、TBMA10.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.144と同じ組成である。
PMMA45.8質量部、MMA17質量部、PhMA9.7質量部、TCDMA11.5質量部、TBMA16質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.145と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA5質量部、PhMA15質量部、TCDMA2質量部、TBMA20質量部、4FM13質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.146と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、各層の吐出比を、第1層目/第2層目/第3層目/第4層目/第5層目=16.0/11.1/60.2/10.2/2.5とした以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このプラスチックロッドレンズ原糸を、135℃の雰囲気下で2.02倍に延伸し、115℃の雰囲気下で緩和率が500/700になるよう緩和処理を行った。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.25mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.503、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.25mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で0.3であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.515mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が16.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが同じで無色収差レンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はなかった。
[参考例2]
PMMA40質量部、MMA10質量部、PhMA20質量部、TCDMA20質量部、TBMA10質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.200と同じ組成である。
PMMA44質量部、MMA15質量部、PhMA7.5質量部、TCDMA30質量部、TBMA3.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はSampleNo.142と同じ組成である。
PMMA44.5質量部、MMA17.7質量部、PhMA8.8質量部、TCDMA18.5質量部、TBMA10.5質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.144と同じ組成である。
PMMA45.8質量部、MMA17質量部、PhMA9.7質量部、TCDMA11.5質量部、TBMA16質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.145と同じ組成である。
PMMA45.5質量部、MMA7.5質量部、PhMA10.5質量部、TCDMA6.5質量部、TBMA30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.152と同じ組成である。
各層の原液の組成を表11に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは110.0℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.506、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.45mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で10.5であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが大きく異なり、色収差の大きなレンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下はほとんどなく、耐熱性が極めて良好であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみがあり、不鮮明な画像が得られた。また原稿が浮いた状態で読取りを行ったところ、原稿が浮いていない状態で読取られた画像とほぼ同じ画像が得られた。また耐熱試験前後で読取り画像に変化はなかった。
[比較例3]
PMMA46質量部、MMA24質量部、TCDMA30質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.132と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA29質量部、BzMA5質量部、TCDMA15質量部、8FM6質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.188と同じ組成である。
PMMA49質量部、MMA37質量部、BzMA6質量部、8FM8質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.189と同じ組成である。
PMMA47質量部、MMA23質量部、BzMA10質量部、8FM20質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.190と同じ組成である。
PMMA39質量部、MMA3質量部、BzMA17質量部、8FM41質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.191と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたことと、第1硬化処理部(光照射部)の40Wのケミカルランプを半数の9本にしたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.30mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.30mm、Tgは92℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.497、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.49mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で1.9であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほとんど同じで低色収差レンズとなっていたが、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。しかし耐熱試験後に読取りを行ったところ読取り画像は不鮮明であった。
[比較例4]
PMMA43質量部、MMA10質量部、PhMA4質量部、TCDMA12質量部、TBMA11質量部、4FM20質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.192と同じ組成である。
PMMA43質量部、MMA7質量部、PhMA5質量部、TCDMA10質量部、TBMA10質量部、4FM25質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.193と同じ組成である。
PMMA42質量部、MMA17質量部、PhMA6質量部、TCDMA5質量部、4FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.194と同じ組成である。
PMMA44質量部、MMA11質量部、PhMA7質量部、TCDMA3質量部、4FM35質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.195と同じ組成である。
PMMA40質量部、MMA5質量部、PhMA10質量部、4FM45質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.196と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、比較例3と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは95℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.482、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.21mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で4.6であった。レンズは透明体であり、ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が20.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほとんど同じで低色収差レンズとなっていたが、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみのない鮮明な画像が得られ、原稿が浮いた状態でも鮮明な画像が得られた。しかし耐熱試験後に読取りを行ったところ読取り画像は不鮮明であった。
[比較例5]
PMMA43質量部、MMA22質量部、PhMA5質量部、TCDMA30質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.137と同じ組成である。
PMMA44.5質量部、MMA17.7質量部、PhMA8.8質量部、TCDMA18.5質量部、TBMA10.5質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.144と同じ組成である。
PMMA30質量部、PhMA10質量部、TCDMA20質量部、TBMA40質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.207と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA18.5質量部、PhMA14.5質量部、TBMA7質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.141と同じ組成である。
PMMA44.8質量部、MMA13.9質量部、PhMA12.1質量部、TBMA14.2質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.135と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは106℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.502、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.50mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で2.9であった。レンズは白濁しており、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcがほとんど同じで低色収差レンズとなっていたが、レンズが白濁しているため、解像度が低かった。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さかった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみは少ないが、レンズが白濁しているため、解像度が悪く、不鮮明な画像しか得られなかった。
[比較例6]
PMMA48質量部、MMA36.2質量部、PhMA5.8質量部、TBMAI0質量部、HCPK0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.134と同じ組成である。
PMMA45質量部、MMA18.5質量部、PhMA14.5質量部、TBMA7質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.141と同じ組成である。
PMMA44.8質量部、MMA13.9質量部、PhMA12.1質量部、TBMA14.2質量部、8FM15質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.135と同じ組成である。
PMMA40.3質量部、MMA3.4質量部、PhMA15.9質量部、TBMA10.4量部、8FM30質量部、HCPK0.25質量部、およびHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.136と同じ組成である。
PMMA40質量部、MMA5質量部、PhMA10質量部、4FM45質量部、HCPK0.25質量部、及びHQ0.1質量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液(未硬化状物)とした。この組成はsample No.196と同じ組成である。
各層の原液の組成を表12に示す。
なお、第4層形成用原液および第5層形成用原液中には、実施例1と同じ染料を同じ量添加した。
上述した組成で調製した各層の原液を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてロッドレンズ原糸を製造し、これを切断して長さ166mm、半径0.300mmのロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.300mm、Tgは95℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.492、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.53mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で8.0であった。ロッドレンズは透明であり、ロッドレンズの外周部には染色層が形成されていた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.615mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が8.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが大きく異なり、色収差の大きなレンズとなっていた。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下が極めて大きく、耐熱性が不良であった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみがあり、不鮮明な画像が得られた。また原稿が浮いた状態で読取りを行ったところ、原稿が浮いていない状態で読取られた画像とほぼ同じ画像が得られた。また耐熱試験後に読取りを行ったところさらに不鮮明な画像が得られた。
[比較例7]
PMMA35重量部、TCDMA50重量部、MMA15重量部、HCPK0.2重量部、HQ0.1重量部を70℃に加熱混練して第1層形成用(中心部)原液とした。また、PMMA37重量部、MMA13重量部、TBMA50重量部、HCPK0.2重量部、HQ0.1重量部を70℃に加熱混練して第2層形成用(周辺部)原液とした。
この2種類の原液を、同心円状2層複合紡糸ノズルから同時に押し出し、糸状体を得た。複合防止ノズルの温度は60℃とした。
各層の吐出比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(第1層目においては半径)の比に換算して、第1層目/第2層目=1/1とした。ここで、第1層は内側で、第2層は外側である。
次いで、得られた原液から、図2に示すプラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置10を用いてロッドレンズ原糸を製造した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ(ニップローラ)17で引き取り(50cm/分)、長さ60cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
続いて、長さ120cm、40Wのケミカルランプ12本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第1硬化処理部(光照射部)12cの中心上に糸状体Aを通過させて、各層間同士で相互拡散させながら、硬化させた。引き続き、2KWの高圧水銀灯3本が中心軸の周囲に等間隔に配設された第2硬化処理部(光照射部)12dの中心上に糸状体Aを通過させて、さらに硬化させた。なお、相互拡散処理部12bにおける窒素流量は72L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.40mmであった。
次いで、得られたロッドレンズ原糸を166mmの長さに切断し、ロッドレンズを得た。
このようにして得られたロッドレンズの半径rは0.40mm、Tgは110℃であった。また、ロッドレンズの中心屈折率nは525nmの波長において1.504、中心から外周に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が前記式(6)に近似され、525nmの波長において屈折率分布定数gは0.46mm−1であった。また、中心から外周に向かって0〜rの範囲において、任意の二点α、β間のKの値の差|Kα−Kβ|は最大で6.6であった。レンズは白濁していた。
得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.815mm(隣接レンズ間の隙間15μm)の2列のロッドレンズアレイを作製した(レンズ長が9.0mm)。
表13に示すように、このようにして得られたロッドレンズアレイは、波長470nm、525nm、630nmでの共役長Tcが大きく異なり、色収差の大きなレンズとなっていた。またレンズが白濁しているため、画像が歪んでおり、解像度が極めて低かった。また、波長470nm、525nm、630nmにおける耐熱試験後の平均MTFの低下は非常に小さかった。
また、作製したロッドレンズアレイを用いてカラーイメージセンサヘッドを作製し、読取りを行ったところ色のにじみがあり、またレンズが白濁しているため解像度が極めて低く、画像が歪んであり、極めて不鮮明な画像しか得られず、レンズとしての機能を果たさなかった。
Figure 0005983404
Figure 0005983404
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本発明のロッドレンズは、光量が大きく、色収差が小さく、さらに耐熱性にも優れているため、例えば、複写機やLEDプリンタに好適に用いられる。
1:プラスチック製ロッドレンズ、O:中心、10:プラスチック製ロッドレンズ原糸の製造装置、11:同心円状複合紡糸ノズル、12:収容体、13:不活性ガス導入管、14:不活性ガス排出管、15:第1光照射機、16:第2光照射機、17:引取りローラ、20:延伸・緩和処理装置、21:第1ニップローラ、22:第2ニップローラ、23:第3ニップローラ、24:第1加熱炉、25:第2加熱炉、30:プラスチック製ロッドレンズアレイ、31:プラスチック製ロッドレンズ、32:基板、33:接着剤、40:LEDプリンタヘッド、41:ハウジング、42:プリント基板、43:LEDアレイ、45:ロッドレンズアレイホルダー、46:板バネ、50:カラーイメージセンサヘッド、51:ラインイメージセンサ(光電変換素子)、52:筐体、52a:第1凹部、52b:第2凹部、52c:第3凹部、52d:段差部、54:稿台、54a:原稿載置面、56:ライン状光源、100:感光体ドラム、200:画像読取装置、A:ロッドレンズアレイの光軸、G:原稿。

Claims (12)

  1. 中心から外周に向かうにつれて屈折率nDが減少している半径rの円柱状のロッドレンズであって、
    芳香環含有単量体(a)単位と、
    炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位、及び脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位と、
    を構成単位として含有する重合体混合物(I)から構成され、
    重合体混合物(I)が、前記(a)単位と、前記(b)単位および前記(c)単位の少なくとも一種とを構成単位として含有する重合体混合物(II)であり、
    重合体混合物(II)が、前記(c)単位を構成単位として含有し、
    中心部と外周部の屈折率差が0.02〜0.06であり、
    中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が、下記式(1)を満足し、
    0.357〔b〕−1.786<〔a〕<65−1.063〔b〕・・・(1)
    (ただし、式(1)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。〔b〕は0質量%であってもよい。
    中心から外周に向かって0〜0.5rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の前記(a)単位の含有量〔a〕が10〜60質量%であり、
    中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の前記(c)単位の含有量〔c〕が5〜45質量%であり、
    ガラス転移温度が100℃以上である透明なプラスチック製ロッドレンズ。
  2. 重合体混合物(II)が、さらにメチルメタクリレート(m)単位を構成単位として含有する請求項に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
  3. 前記(a)単位がフェニルメタクリレートであり、前記(b)単位がt−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびイソプロピルメタクリレートから選ばれる少なくとも一種であり、前記(c)単位が2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレートである請求項1または2に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
  4. 中心から外周に向かって0.8r〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が下記式(2)を満足する請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
    〔c〕<47.143−0.429〔b〕 ・・・(2)
    (ただし、式(2)において、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表し、〔c〕は構成単位(c)の含有量(質量%)を表す。)
  5. 中心から外周に向かって0〜0.8rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(II)の構成単位の組成が下記式(3)を満足する請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
    〔c〕<21.786−0.357〔b〕 ・・・(3)
    (ただし、式(3)において、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表し、〔c〕は構成単位(c)の含有量(質量%)を表す。)
  6. 中心から外周に向かうにつれて屈折率n D が減少している半径rの円柱状のロッドレンズであって、
    芳香環含有単量体(a)単位と、
    炭素数が3以上の分岐炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(b)単位、フッ素含有単量体(c)単位、及び脂環含有(メタ)アクリレート(d)単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位と、
    を構成単位として含有する重合体混合物(I)から構成され、
    重合体混合物(I)が、前記(a)単位、前記(b)単位および前記(d)単位を構成単位として含有する重合体混合物(III)であり、
    中心から外周に向かって0〜rの範囲における任意の異なる位置αおよびβにおいて、屈折率とアッベ数が下記式(4)を満足し、
    |{nα×να/(nα−1)}−{nβ×νβ/(nβ−1)}|<5 ・・・(4)
    (ただし、nαおよびnβは、それぞれ位置αおよび位置βにおける屈折率nDを表し、ναおよびνβは、それぞれ位置αおよび位置βにおけるアッベ数を表す。)
    中心から外周に向かって0〜rの範囲において、いずれの位置においても重合体混合物(III)の構成単位の組成が、下記式(5)を満足し、ガラス転移温度が100℃以上である透明なプラスチック製ロッドレンズ。
    0.5〔b〕−10<〔a〕<72.5−1.75〔b〕 ・・・(5)
    (ただし、式(5)において、〔a〕は構成単位(a)の含有量(質量%)を表し、〔b〕は構成単位(b)の含有量(質量%)を表す。)
  7. 重合体混合物(III)が、さらにメチルメタクリレート(m)単位を構成単位として含有する請求項に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
  8. 前記(a)単位がフェニルメタクリレートであり、前記(b)単位がt−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびイソプロピルメタクリレートから選ばれる少なくとも一種であり、前記(d)単位がトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレートである請求項6または7に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
  9. 中心から外周に向かって0.5r〜rの範囲において、重合体混合物(III)の前記(a)単位の含有量〔a〕が5〜72.5質量%であり、前記(b)単位の含有量〔b〕が2〜36.7質量%である請求項6〜8のいずれか一項に記載のプラスチック製ロッドレンズ。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のプラスチック製ロッドレンズの複数本が、各プラスチック製ロッドレンズの中心軸が互いに略平行となるように配列されたロッドレンズ列を、2枚の基板間に少なくとも1列備えるプラスチック製ロッドレンズアレイ。
  11. 請求項10に記載のプラスチック製ロッドレンズアレイを組み込んで作られたカラーイメージセンサヘッド。
  12. 請求項10に記載のプラスチック製ロッドレンズアレイを組み込んで作られたLEDプリンタヘッド。
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