JP5327941B2 - ロッドレンズの製造方法及びロッドレンズアレイ - Google Patents
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Description
ロッドレンズは、2本以上を、それらの端面が1次元状又は2次元状の形状を形成するように平行に配置し、接着により一体化して、ロッドレンズアレイの形態にされることがある。ロッドレンズアレイは、ハンドスキャナ等の各種スキャナや、複写機、ファクシミリ等におけるイメージセンサ用の部品として、また発光ダイオード(LED)プリンタの書き込みデバイス等として広く用いられている。
ところで、ロッドレンズにおいては、ロッドレンズアレイ製造時の取り扱い性を向上させるために、機械的強度を高くすることが要求される。その要求に対し、特許文献1には、ロッドレンズを加熱延伸する方法が開示されている。
しかし、加熱延伸されたロッドレンズは高温環境下で使用した際に共役長が変化し、その結果、解像度(MTF:モデレーション・トランスファー・ファンクション)が低下する傾向にあった。
特に、ロッドレンズを、600ドット/インチ(dpi)以上の高解像度のイメージセンサやLEDプリンタに使用する場合には、解像度の低下は深刻になる。
また、本発明の目的は、高温環境下で使用しても共役長の変化が起こりにくい耐熱性を有し、解像度に優れるロッドレンズアレイを提供することにある。
[1]未硬化状物を紡糸してロッドレンズ原糸を得る紡糸工程と、
前記ロッドレンズ原糸を延伸して延伸原糸を得る延伸工程と、
前記延伸原糸を緩和して緩和原糸を得る緩和工程と、
前記緩和原糸を、下記温度T[℃]の水蒸気により1秒以上5秒以内で処理する水蒸気処理工程とを有することを特徴とするロッドレンズの製造方法。
T[℃]:100[℃]〜Tg+30[℃](Tgはロッドレンズ原糸のガラス転移温度である)
[2] [1]に記載のロッドレンズの製造方法により得られたロッドレンズが、一対の基板間に、各ロッドレンズの中心軸が互いに略平行になるように配置され、固定されているロッドレンズアレイ。
本発明のロッドレンズアレイは、高温環境下で使用しても共役長の変化が起こりにくい耐熱性を有し、解像度に優れる。
本発明のロッドレンズの製造方法は、紡糸工程と、延伸工程と、緩和工程と、水蒸気処理工程とを有し、中心から外側に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布を有するロッドレンズを製造する方法である。
紡糸工程は、未硬化状物を紡糸してロッドレンズ原糸を得る工程である。
紡糸工程においてロッドレンズ原糸を製造する際には、中心から外側に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布が生じる方法が採られる。その方法としては、例えば、付加反応法、共重合法、ゲル重合法、単量体揮発法、相互拡散法等のいずれの方法であってもよいが、精度及び生産性の点で相互拡散法が好ましい。
以下、相互拡散法について説明する。
次いで、この糸状体の各層間の屈折率分布が好ましくは連続的になるように、隣接する層同士で物質を相互拡散させる相互拡散処理を施し、その後又は同時に、糸状体を硬化処理して、ロッドレンズ原糸を得る。
ここで、相互拡散処理は、糸状体に窒素雰囲気下、10〜60℃、より好ましくは20〜50℃で数秒〜数分間の熱履歴を与える処理である。
熱硬化開始剤としては、通常、パーオキサイド系又はアゾ系の開始剤が用いられる。
光硬化開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
熱硬化処理は、熱硬化開始剤を含有させた未硬化状物を、一定の温度に制御された加熱炉等の硬化処理部で所定時間熱処理することにより行うことができる。
光硬化処理は、光硬化開始剤を含有させた未硬化状物に周囲から紫外線を照射することにより行うことができる。光硬化処理に用いる光源としては、150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、レーザー光等が挙げられる。
このロッドレンズ原糸の製造装置10は、同心円状複合紡糸ノズル11と、同心円状複合紡糸ノズル11から吐出された糸状体Aを収容する収容体12と、収容体12の同心円状複合紡糸ノズル11側に接続された不活性ガス導入管13と、収容体12の出口12a側に接続された不活性ガス排出管14と、収容体12の長手方向の中央の外側に設けられた第1光照射機15と、収容体12の不活性ガス排出管14側の外側に設けられた第2光照射機16と、収容体12の下流側に配置された引取りローラ17とを具備する。
収容体12において、同心円状複合紡糸ノズル11から第1光照射機15の光が当る直前までの部分を相互拡散処理部12b、第1光照射機15の光が当る部分を第1硬化処理部12c、第2光照射機16の光が当る部分を第2硬化処理部12dという。
そのように不活性ガスを流動させた状態で、同心円状複合紡糸ノズル11から未硬化の糸状体Aを吐出し、その糸状体Aを、収容体12内を通過させる。このとき、糸状体Aを構成する各層間で相互拡散処理部12bにて相互拡散を起こさせ、第1硬化処理部12cにて第1光照射機15により糸状体Aに光を照射し、第2硬化処理部12dにて第2光照射機16により糸状体Aに光を照射して硬化する。
そして、引取りローラ17により引き取ることにより、収容体12からロッドレンズ原糸Bを得る。
延伸工程は、前記ロッドレンズ原糸を延伸して延伸原糸を得る工程である。
ロッドレンズ原糸の延伸は公知の方法により行うことができ、例えば、図2に示すような延伸・緩和処理装置を用いて行うことができる。
この延伸・緩和処理装置20は、第1ニップローラ21、第2ニップローラ22、第3ニップローラ23、第1ニップローラ21と第2ニップローラ22との間に配置された第1加熱炉24、及び、第2ニップローラ22と第3ニップローラ23との間に配置された第2加熱炉25を具備する。
延伸・緩和処理装置20を用いた延伸工程では、紡糸工程により得たロッドレンズ原糸Bを第1ニップローラ21で第1加熱炉24に供給し、第1加熱炉24を通過したロッドレンズ原糸Bを第2ニップローラ22で第1ニップローラ21よりも速い速度で引き取って延伸する方法等が挙げられる。
本発明におけるTgは以下の測定方法(DSC法)で求める。
1.サンプルを200℃で5分間、溶融させた状態で維持し、ドライアイスで1分間急冷して、残留応力を除去する。
2.サンプルを減圧したデシケータ内に15分以上放置して、サンプルに付着した霜を除去する。
3.示差熱分析装置を用いて、以下の条件で測定を行う。
・窒素気流下(流量100ml/分)
・測定温度範囲 スタート温度10℃、リミット温度200℃
・昇温速度 10℃/分
緩和工程は、延伸原糸を緩和して緩和原糸を得る工程である。
緩和は、公知の方法、例えば、延伸原糸を加熱しながら2つのニップローラで移送し、上流側のニップローラの回転数より下流側のニップローラの回転数を小さくすることにより行うことができる。具体的には、図2に示すような延伸・緩和処理装置を用いて行うことができる。
延伸・緩和処理装置20を用いた緩和工程では、例えば、延伸原糸Cを第2ニップローラ22で第2加熱炉25に供給し、第2加熱炉25を通過したロッドレンズを第3ニップローラ23で第2ニップローラ22よりも遅い速度で引き取って緩和する方法等が挙げられる。
緩和工程における雰囲気温度(緩和温度)は、ロッドレンズの材質等に応じて適宜選択されるが、得られるロッドレンズを使用したロッドレンズアレイの光学特性を考慮すると、Tg以上、Tg+60℃以下が好ましく、Tg以上、延伸温度−5℃以下がより好ましい。
また、緩和倍率は所望のロッドレンズ径により適宜選択されるが、0.5倍以上1倍未満が好ましく、0.6〜0.9倍がより好ましい。緩和倍率は、例えば、延伸・緩和処理装置20を用いた場合には、第2ニップローラ22と第3ニップローラ23の速度比により調節できる。
水蒸気処理工程は、緩和原糸を、下記温度Tの水蒸気により1秒以上5秒以内で処理する工程である。水蒸気は、空気などよりも比熱が高く、効率的にロッドレンズを加熱することができる。本願出願人は、ロッドレンズの生産に水蒸気処理を用いることにより、従来の熱風を用いる方法などと比較して、処理時間が短くできることを見出した。
T[℃]:100[℃]〜Tg+30[℃](Tgはガラス転移温度である)
このような温度で水蒸気処理を行うことにより、高温環境下でもロッドレンズの共役長変化が起こりにくくなり、ロッドレンズアレイの耐熱性を向上させることができる。より好ましくは、水蒸気処理の温度は100[℃]〜Tg+30[℃]であり、さらに好ましくは、水蒸気処理の温度は110[℃]〜Tg+25[℃]である。なお、水蒸気処理の温度がTg+30℃を超えると、ロッドレンズが変形することがある。
水蒸気処理の際には、緩和原糸に張力をかけないことが好ましい。例えば、延伸、緩和工程後、インラインで連続的に水蒸気処理を行うことが好ましい。
水蒸気処理の方法は、ロッドレンズを均一に熱処理できる方法であれば特に制限されるものではなく、例えば、緩和原糸を水蒸気中に通過させる方法、緩和原糸に水蒸気を吹き付ける方法などが挙げられる。なお、本発明の水蒸気処理は、水蒸気を100℃以下で安定して工程内に導入することが難しいために、Tgが70℃以下であるロッドレンズに対して水蒸気処理を行うことが好ましい。
上記製造方法により得られたロッドレンズは、中心から外側に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布を有する円柱状のレンズである。
ロッドレンズの屈折率分布としては、ロッドレンズの中心軸に垂直な断面において、ロッドレンズの半径rとしたとき、少なくとも中心から外側に向かう0.3r〜0.7rの範囲における屈折率分布が、下記式(1)で規定される2次曲線分布に近似されることが好ましい。
n(L)=n0{1−(g2/2)L2} (1)
式(1)中、n0はロッドレンズの中心軸における屈折率(中心屈折率)、Lはロッドレンズの中心軸からの距離(0≦L≦r)、gはロッドレンズの屈折率分布定数、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における近似屈折率である。
ロッドレンズの屈折率分布定数gも特に限定されるものではないが、光学系のコンパクト化や光学系の作動距離の確保や取り扱い性の観点から、0.5〜1.5mm−1の範囲であることが好ましく、0.5〜1.0mm−1の範囲であることがより好ましい。
光吸収層の厚みは3μm以上50μm以下が好ましい。光吸収層の厚みをこの範囲にすれば、フレア光やクロストーク光を十分に除去できると共に、十分な透過光量を確保できる。
このような光吸収剤としては、例えば、600nm〜近赤外線領域に吸収のある日本化薬製Kayasorb CY−10等、600〜700nmに吸収のある三菱化学製Diaresin Blue 4G等、550〜650nmに吸収のある日本化薬製Kayaset Blue ACR等、500〜600nmに吸収のある三井東圧染料MS Magenta HM−1450等、400〜500nmに吸収のある三井東圧染料MS Yellow HD−180等を例示することができる。また、400〜900nmのうち全波長域の光を吸収する光吸収剤としては、黒色染料等を挙げることができる。これら光吸収剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
光吸収剤の光吸収層における含有量は、0.001〜10質量%が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。
本発明のロッドレンズアレイは、上記ロッドレンズの製造方法で得られたロッドレンズが、一対の基板間に、各ロッドレンズの中心軸が互いに略平行になるように配置され、固定されているものである。
ロッドレンズアレイの一例として、図3に示すように、2本以上のロッドレンズ31,31・・・が、2枚の基板32,32間に平行に1列に並べられ、固定されたものが挙げられる。
隣接するロッドレンズ31,31同士は互いに密着していてもよいし、一定の隙間を空けて配置されていてもよい。
基板32の材質は特に限定されないが、ロッドレンズアレイを作製する工程での加工が容易な材料であることが好ましい。具体的には、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリイミド系樹脂、液晶ポリマー、エポキシ系樹脂がより好ましい。また、基板32の基材、補強材として、繊維や紙を用いてもよいし、基板32に離型剤、染料、顔料等を添加してもよい。
接着剤33は、ロッドレンズ31と基板32あるいはロッドレンズ31,31同士を接着できる程度の接着力を有するものであれば特に制限されるものではなく、薄膜状に塗布可能な接着剤や、スプレー式粘着剤、ホットメルト型粘着剤等を用いることができる。
ロッドレンズ31や基板32への接着剤の塗布方法としては、接着剤の種類に応じて、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法等の公知のコーティング法を適用できる。
また、以下の例では、ロッドレンズ又はロッドレンズアレイについて、以下のように物性を測定した。熱収縮率、共役長及び平均MTFの測定結果については表1に示す。
<ガラス転移温度(Tg)>
1.ロッドレンズの中心部分近傍を構成する未硬化状物を重合させたものをサンプルとして用い、このサンプルを200℃で5分間、溶融させた状態で維持し、ドライアイスで1分間急冷して、残留応力を除去した。
2.サンプルを減圧したデシケータ内に15分以上放置して、サンプルに付着した霜を除去した。
3.示差熱分析装置を用いて、以下の条件で測定を行った。
・窒素気流下(流量100ml/分)
・測定温度範囲 スタート温度10℃、リミット温度200℃
・昇温速度 10℃/分
カールツァイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて測定した。
空間周波数12ラインペア/mm(すなわち600dpi)を有する格子パターンを用いて測定した。具体的には、光軸に垂直な両端面を研磨したロッドレンズアレイに光源からの光(波長525nm)を、格子パターンを通して入射させ、結像面に設置したCCDラインセンサにより格子画像を読み取り、その測定光量の最大値(imax)と最小値(imin)を測定し、下記式(2)によりMTF(モデレーション・トランスファー・ファンクション)を求めた。
MTF(%)={(imax−imin)/(imax+imin)}×100 (2)
その際、格子パターンとロッドレンズアレイの入射端との距離と、ロッドレンズアレイの出射端とCCDラインセンサとの距離を等しくした。そして、格子パターンとCCDラインセンサをロッドレンズアレイに対し対称的に動かしてMTFを測定し、MTFが最良になるときの、格子パターンとCCDラインセンサとの距離を共役長とした。
格子パターンとCCDラインセンサとの距離を共役長で固定して、ロッドレンズアレイ全幅について走査してMTFを50点測定し、これらを平均して平均MTFを求めた。平均MTFの値は解像度の指標になり、平均MTFの値が大きい程、解像度が優れる。
ここで、空間周波数とは、白ラインと黒ラインとの組み合わせを1ラインとした際に、このラインの組み合わせが1mmの幅の中に形成される数である。
表1における評価の欄では、平均MTF[%]が70%以上のものを◎、65〜70%のものを○、65%以下のものを×と示す。
<耐熱試験>
60℃に設定した恒温恒湿機中(相対湿度90%)にロッドレンズアレイを1000時間放置した。耐熱試験後での共役長、平均MTFを求めた。
表1における評価の欄では、試験後の共役長[mm] の変化が±0.1mm以内のものを◎、±0.2mm〜±0.3mmのものを○、±0.4mm以上のものを×と示す。また、試験後の平均MTF[%]が60%以上のものを◎、50〜60%のものを○、50%以下のものを×と示す。
上記の全評価の結果最も多かった評価を総合評価とする。
尚、いずれの評価において一つでも×が存在する場合、条件適用不可として総合評価を×とする。
ポリメチルメタクリレート(PMMA、〔η〕=0.40、メチルエチルケトン中、25℃にて測定)46質量部、下記式(3)で表されるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル−8−メタクリレート(TCDMA)30質量部、メチルメタクリレート(MMA)24質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部及びハイドロキノン(HQ)0.1質量部を70℃で加熱混練して第1層形成用原液を得た。
PMMA45質量部、TCDMA16.4質量部、ベンジルメタクリレート(BzMA)5質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート(8FM)5質量部、MMA28.6質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部及びHQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第2層形成用原液を得た。
PMMA48質量部、BzMA6.8質量部、8FM10質量部、MMA35.2質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第3層形成用原液を得た。
PMMA44.8質量部、BzMA13.1質量部、8FM29.2質量部、MMA12.9質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第4層形成用原液を得た。
PMMA40.3質量部、BzMA16.9質量部、8FM40.4質量部、MMA2.4質量、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第5層形成用原液を得た。
また、第5層形成用原液中に、原液全体に対して、Blue ACRを0.57質量%、MS Yellow HD−180及びMS Magenta HM−1450をそれぞれ0.143質量%、Diaresin Blue 4G及びKayasorb CY−10をそれぞれ0.011質量%添加した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ17で引き取り(200cm/分)ながら、長さ30cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
続いて、中心軸の周囲に長さ60cm、20Wのケミカルランプ18本が上下2段に連続して等間隔に配設された第1硬化処理部12c(第1光照射部)の中心に、糸状体Aを通過させて硬化させた。更に、中心軸の周囲に2.0KW高圧水銀灯3本が等間隔に配設された第2硬化処理部12d(第2光照射部)の中心に、糸状体Aを通過させて、完全硬化させた。相互拡散処理部12bにおける窒素流量は40L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.30mmであり、Tgは100℃であった。
次いで、図2に示す延伸・緩和処理装置20を用い、紡糸工程から連続的に、得られたロッドレンズ原糸Bを、第1加熱炉24にて145℃の雰囲気下で5.5倍に延伸(第2ニップローラ22の速度1091cm/分)し、第2加熱炉25にて123℃の雰囲気下で緩和率が45%になるように緩和(第3ニップローラ23の速度600cm/分)した。次いで、切断工程にて、166mmの長さに切断して、長さ166mmの緩和原糸を多数得た。
また、得られた緩和原糸には、外周面から中心部に向かって約5μmの厚さの、染料がほぼ均一に混在する層が形成されていた。
また、得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.36mm(隣接レンズ間の隙間20μm)の1列のロッドレンズアレイを作製した(共役長が10.0mm)。作製したロッドレンズアレイの525nmにおける初期性能と耐熱試験後の共役長、平均MTFを測定した。その結果を表1に示す。
実施例1で得られた緩和原糸を、120℃に設定した水蒸気中に無張力下で通過させて、3秒間水蒸気処理してロッドレンズを得た。 また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1で得られた緩和原糸を、125℃に設定した水蒸気中に無張力下で通過させて、3秒間水蒸気処理してロッドレンズを得た。 また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1で得られた緩和原糸を、125℃に設定した熱風乾燥機中(相対湿度30%以下)、無張力下で3秒間熱処理した。 また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1で得られた緩和原糸を、70℃に設定した熱風乾燥機中(相対湿度30%以下)、無張力下で24時間熱処理した。 また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1で得られた緩和原糸を、125℃に設定した水蒸気中に無張力下で通過させて、10秒間水蒸気処理してロッドレンズを得た。 しかし、ロッドレンズの変形が発生し評価不可能であった。
これに対し、125℃の熱風により処理して得たロッドレンズを用いた比較例1のロッドレンズアレイでは、ロッドレンズの共役長変化が大きく、平均MTF値も低かった。
70℃の熱風により処理して得たロッドレンズを用いた比較例2のロッドレンズアレイは、熱処理に要した時間が長かったにも関わらず共役長変化が大きく、平均MTF値も低かった。
125℃の水蒸気による処理時間を10秒にして得たロッドレンズはロッドレンズの変形が大きく評価不可能であった。
なお、本発明を説明するために詳細な例示を行ったが、本発明はこれら記載に限定されるものではなく、当業者が容易に想達できる範囲で種々の変更等が加えられても構わない。
11 同心円状複合紡糸ノズル
12 収容体
13 不活性ガス導入管
14 不活性ガス排出管
15 第1光照射機
16 第2光照射機
17 引取りローラ
20 延伸・緩和処理装置
21 第1ニップローラ
22 第2ニップローラ
23 第3ニップローラ
24 第1加熱炉
25 第2加熱炉
30 ロッドレンズアレイ
31 ロッドレンズ
32 基板
33 接着剤
Claims (1)
- 未硬化状物を紡糸してロッドレンズ原糸を得る紡糸工程と、
前記ロッドレンズ原糸を延伸して延伸原糸を得る延伸工程と、
前記延伸原糸を緩和して緩和原糸を得る緩和工程と、
前記緩和原糸を、下記温度T[℃]の水蒸気により1秒以上5秒以内で処理する水蒸気
処理工程と、を有することを特徴とするロッドレンズの製造方法。
T[℃]:100[℃]〜Tg+30[℃](Tgは前記ロッドレンズ原糸のガラス転
移温度である)
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