JP2006313381A - 光伝送体アレイ用光伝送体及びそれらの使用方法 - Google Patents

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Teruhiro Ishimaru
輝太 石丸
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Abstract

【課題】 カラーフィルター機能を有する光伝送体の提供。
【解決手段】 複数個の円形断面の屈折率分布型光伝送体を一列以上平行に配置した光伝送体アレイ用光伝送体であって、該光伝送体の中心を含む領域に波長470nm、525nmおよび650nmの光のうち1または2の波長の光の透過率が5%以下となるように光吸収剤が含有された光伝送体。
前記光伝送体を一列以上平行に配置した光伝送体アレイの一端に白色光源またはRGB3原色のLED光源から出射する光を入射させ、この光伝送体の他端から透過光を出射させる方法。
【選択図】 図3

Description

本発明は特定波長域の光の透過を選択的に阻止する(カラーフィルター機能を有する)プラスチック光伝送体アレイ用光伝送体およびその使用方法に関する。
屈折率分布型光伝送体(以下光伝送体と略して表記する)は微小レンズとして使用されている。またその多数を密接配列して接着一体化してレンズアレイの形態として複写機、ファクシミリ、スキャナ等のラインセンサ部品として、またLEDプリンタの書き込みデバイス等に広く用いられている。
しかし従来の光伝送体及び光伝送体アレイには可視光及び近赤外光領域において特定波長域の光のみの透過を阻止するようなものは知られていない。
一方光伝送体の中心を含む領域に光吸収剤を導入するものとして特許文献1が開示されている。これは、染料濃度が異なる複数の紡糸原液を多層紡糸した屈折率分布型光伝送体であり、染料は光伝送体内部の全体に亘って不均一な濃度で存在している。
特開平4−251805号公報
即ち、この光伝送体は全可視光線及び近赤外光線に対し光伝送体からの出射光の光量分布を均一化することを目的としており、実質的に黒色の染料を用い、その濃度を光伝送体内部で分布をつけ全波長域の光を吸収する構成であって、特定波長域の光の透過を選択的に阻止するものではない。
従ってこの光伝送体は可視光及び近赤外光領域において特定波長域の光のみの透過を阻止するようなものではなく、そのため、光伝送体にカラーフィルター機能を持たせること、即ち、光伝送体を用いてその使用時において望ましい光を選別することはできなかった。
即ち、光伝送体が透過する光の波長域を選択することができず、広い波長域の光を光源として用いる場合に、光伝送体のもつ色収差により、波長域ごとに異なった光学特性を有するという問題がある。またデバイスに組み込んだ際同一のレンズ長のレンズのみを用いた場合は光の波長域毎に異なった共役長を有することとなり、本来の結像特性を発揮できないという問題等を克服できなかった。
本発明の要旨は、複数個の円形断面の屈折率分布型光伝送体を一列以上平行に配置した光伝送体アレイ用光伝送体であって、該光伝送体の中心を含む領域に波長470nm、525nmおよび650nmの光のうち1または2の波長の光の透過率が5%以下となるように光吸収剤が含有された光伝送体である。
更に本発明の要旨は、前記の光伝送体を一列以上平行に配置した光伝送体アレイの一端に白色光源またはRGB3原色のLED光源から出射する光を入射させ、この光伝送体の他端から透過光を出射させる方法である。
本発明において可視光及び近赤外光領域とは400〜750nm程度の波長域をいう。
本発明により可視光及び近赤外光領域の光のうち特定波長域の光のみの透過を阻止する即ちカラーフィルター機能を有する光伝送体及び光伝送体アレイが提供される。そのため、光伝送体が透過する光の波長域を選択することができ、広い波長域の光を光源として用いる場合に、光伝送体のもつ色収差により、波長域ごとに異なった光学特性を有するという問題が解決される。またデバイスに組み込んだ際同一のレンズ長のレンズのみを用いた場合は光の波長域毎に異なった共役長を有することとなり、本来の結像特性を発揮できないという問題が解決される。
以下、本発明の光伝送体及びその製造方法について詳細に説明する。
図1及び図2はそれぞれ本発明の光伝送体(以下適宜レンズともいう)の一例である屈折率分布型レンズの縦断面図、横断面図である。また、図3及び図4は外周部に光吸収剤が存在しない場合の光伝送体の縦断面図、横断面図である。それぞれレンズ素材1は、中心軸4上の屈折率をN、屈折率分布定数をgとすれば、中心軸から半径方向に距離r離れた点での屈折率N(r)がほぼ次式の関係で表される屈折率分布を持つ透明な円柱体である。
N(r)=N(1−gr) ・・・・(2)
本発明はレンズ素材1の中心部付近に可視光線の特定波長域を吸収する光吸収剤がほぼ均一に混在していることを特徴としている。本発明では中心部付近に可視光線及び近赤外光線の特定波長域を吸収する光吸収剤が存在しているために、そこを通過する特定波長域の光は光吸収剤によって吸収され、主にその他の波長の光が光伝送体を通過していく。
本発明において特定波長域は可視光及び近赤外光領域のうちどの波長域に設定してもよく、その使用状況に応じて、光伝送体により透過を阻止したい光の波長域に設定することが好ましい。そうすることによって使用時において望ましくない波長域の光を減衰させることができる。
例えば、広い波長域の光源を使用すると光伝送体の色収差が問題になる場合においては光伝送体の波長特性が劣る領域に設定される。そうすることによって、光伝送体の解像度の低下の原因となる波長域の光を減らすことができ、光伝送体の解像度を向上させることができる。
特定波長域は不連続な複数の領域に設定することもできる。例えば赤と青の光を吸収するように特定波長域を波長400〜500nm及び波長600〜700nmに設定することもできる。
図5は光入射端面から平行光線が入射したところを模式的に示した図である。
1本1本の曲線が光の進行を示している。図面中、太線で示した部分が光伝送体の中心を含む縦断面図である。Y軸は光伝送体の半径方向の距離を表し、0点が中心軸である。Z軸は光伝送体の光入射面からの距離である。本図では光伝送体の長さを11.1mmとしている。
光伝送体に入射した光は図5のように光伝送体中を蛇行しながら進行していく。このため本発明の光伝送体において光吸収剤は中心を含む領域に含まれていればよい。実際の光は光伝送体表面での反射等により複雑な進行をするため光吸収剤の含有領域が広ければ広いほど特定波長域の光が効果的に吸収される。従って、中心を含み、中心から半径の1/3以上までの領域に光吸収剤が存在することが望ましく、光伝送体内部全体に存在することが更に望ましい。
本発明において可視光及び近赤外光領域のうち特定波長域の光を吸収する光吸収剤としては、目的にあった種々の染料、顔料、色素が使用できる。設定する特定波長域により、多種の染料、顔料、色素を混合して用いることもできる。
本発明においては、光吸収剤が光伝送体を構成する組成物中に分散されて存在するのが好ましい。有機高分子体中に染料分子、顔料分子が物理的あるいは化学的親和力の場で分散あるいは結合している状態である。
用いられる光吸収剤の代表的な例として以下のものがあげられる。600〜700nmに吸収のある三菱化学製Diaresin Blue 4Gや同業他社の同等品が挙げられる。550〜650nmに吸収のある日本化薬製Kayaset Blue ACRや同業他社の同等品が挙げられる。その他の波長領域に対して有効な光吸収剤としては、400〜500nmに吸収のあるものとして、日本化薬製Kayasorb Yellow 2G、Orange G、Yellow A−G、Yellow E−Gとそのそれぞれの同業他社の同等品、三井東圧染料のMS Yellow HDー180とその同業他社の同等品があげられる。500〜600nmに吸収のあるものとして、日本化薬製Kayasorb Red G、Red 130、Red B、三菱化学製DiaresinRed Kとその同業他社の同等品及び三井東圧染料MS Magenta HMー1450とその同業他社同等品があげられる。
光伝送体中に含有される光吸収剤の濃度は任意に設定されるが、濃度が低すぎると特定波長域の光を十分に吸収することができず、高すぎると染料の吸収は厳密にいえばブロードなものであるので、特定波長域以外の光まで吸収されてしまうようになる。従って好ましくは0.005〜10重量%、より好ましくは0.005〜0.5重量%の範囲である。
光吸収剤の含有領域中においては光吸収剤が均一に分散していることが好ましい。光吸収剤の濃度が局所的に高いところが存在すると、光吸収剤の凝集により、特定波長域以外の光の吸収損失及び散乱損失が増大する。
本発明の光伝送体が十分な効果を発揮するためには、その特定波長領域の光の透過率が20%以下であるように光吸収剤が含有されていることが望ましい。好ましくは10%更に好ましくは5%以下である。この光の透過率は吸収剤の含有量及び吸収剤の存在する領域によってコントロールできる。
また現在の工業生産技術では光伝送体の全体にわたって屈折率分布が良好なものは知られていない。従って現在の光伝送体は製造時に外周部に屈折率分布の不整な部分が形成される。この外周部付近の屈折率分布の不整な部分はレンズの結像に寄与しない部分であり、この部分は本質的に全波長域におけるレンズ性能を向上する目的で、本発明においても黒色の光吸収剤あるいは拡散剤を導入することが出来る。また、その部分を物理的に削除する事もできる。
本発明の光伝送体アレイは特定波長域を異なる波長域に設定した複数種の光伝送体を組み合わせて用いる他は従来公知の方法で製作することができる。光伝送体が一列または複数列で平行に配置されていればアレイの形状、材質などは問わない。複数種の光伝送体の組み合わせの形態はその使用状況に応じて決めることができ、特に限定されるものではないが、通常はそれぞれの種類の光伝送体が均一に分散するように配置される。
本発明の方法において使用する光伝送体の特定波長域は光源から出射する可視光及び近赤外光のうち、一部の波長域に設定される。
光源として白色光源を用い、光伝送体単体もしくは1種類の光伝送体からなる光伝送体アレイを用いる方法において、光伝送体の特定波長域は最適な共役長などの波長特性が極端に異なる波長域の一方に設定することが好ましい。通常の光伝送体においては赤の波長域の光と青の波長域の光で波長特性が大きく異なるので、特定波長域は通常赤の波長域または青の波長域の光に設定される。また、更に光学特性を良好とするためには、透過する波長域をより狭くすることが望ましい。そのために特定波長域を例えば赤から緑、青から緑といったように広く設定することができ、赤と青というように複数設定することもできる。この波長特性は光伝送体の設計や設定される共役長などによって異なるので、特定波長域は実際にはこれらの状況に鑑みて決定されることになる。
光源として白色光源またはRGB3原色のLED光源を用い、特定波長域を異なる領域に設定した複数種の光伝送体またはそれらからなる光伝送体アレイを用いる方法においては、光伝送体アレイ全体として明確な像を狭いスペースで伝送できるように、それぞれの光伝送体の特定波長域を設定することが好ましい。つまり、光伝送体を使用する共役長において、光伝送体それぞれの種類の波長特性が劣る波長域に特定波長域を設定し、それぞれの光伝送体が有する結像特性を発揮させる。それぞれの種類の光伝送体が伝送する波長域は当然狭くなるが、それを数種類用いることにより、結果として広い波長域の光を伝送する。この波長特性は用いられる複数種の光伝送体のそれぞれの設計などにより異なるので、特定波長域は実際にはこれらを考慮して設定される。
この場合それぞれの光伝送体の特定波長域の中心が波長400〜500nm、500〜600nmまたは600〜700nmの領域に設定されることが望ましい。
本発明の光伝送体は例えば次のようにして製造できる。
硬化させた後に得られる硬化物の屈折率がn、n、・・・、n(Nは3以上の整数)であるN個の未硬化状物のうち少なくとも最中心部の層に、特定波長域の光を吸収する光吸収剤を混入させておき、それらの未硬化状物を中心から外周面に向かって順次屈折率が低くなるような配置で、かつ、同心円状に複層積層した未硬化状の積層体(以下適宜「糸状体」と称する)に賦形し、糸状体の各層間の屈折率分布が連続的分布となるように隣接層間の物質の相互拡散処理を行いながら、または相互拡散処理を行った後、糸状体を硬化処理することにより製造される。
得られる光伝送体の屈折率分布を理想的な分布に近づけるために、Nは少なくとも4以上であることが好ましい。また製造の容易さを考慮するとNは6以下程度であることが好ましい。しかしながら高性能の光伝送体を得るためにはNを10以上にすることも可能である。各層の厚みは異なっていてもよく同程度であってもよい。
本発明に用いられる未硬化状物質は、粘度が10〜10ポイズで硬化性のものであることが好ましい。粘度が小さすぎると賦形に際し糸切れが生じるようになり糸状体の形成が困難である。また粘度が大きすぎると賦形時に操作性が不良となり各層の同心円性が損なわれたり、太さ斑の大きな糸状体となりやすいので好ましくない。
この未硬化状物を構成する物質としてはラジカル重合性ビニル単量体または該単量体と該単量体に可溶な重合体とからなる組成物等を用いることができる。
ラジカル重合性ビニル単量体の具体例としてはメチルメタクリレート(MMA,n=1.49)、スチレン(n=1.59)、クロルスチレン(n=1.61)、酢酸ビニル(n=1.47)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート(n=1.37〜1.44)、屈折率1.43〜1.62の(メタ)アクリレート類たとえばエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、フッ素化アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これら未硬化状物から糸状体を形成する際の未硬化状物の粘度調整を容易にするため、及び糸状体の中心から外周へ向かい連続的な屈折率分布を持たせるため、前記の未硬化状物はビニル系単量体と可溶性ポリマーとで構成されていることが好ましい。
ここに用いうるポリマーとしては、前記のラジカル重合性ビニル単量体から生成するポリマーと相溶性が良いことが必要であり、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA,n=1.49)、ポリメチルメタクリレート系コポリマー(n=1.47〜1.50)、ポリ4ーメチルペンテンー1(n=1.46)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(n=1.46〜1.50)、ポリカーボネート(n=1.50〜1.57)、ポリフッ化ビニリデン(n=1.42)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(n=1.42〜1.46)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(n=1.40〜1.46)、ポリフッ化アルキル(メタ)アクリレートポリマー等が挙げられる。
粘度を調整するため、各層に同一の屈折率を有するポリマーを用いた場合には中心から外周に向かって連続的な屈折率分布を有するプラスチック光伝送体が得られるので好ましい。特に、ポリメチルメタクリレートは透明性に優れ及びそれ自体の屈折率も高いので本発明の屈折率分布型光伝送体を製造するに際して用いるポリマーとしては好適なものである。
前記未硬化状物より形成した糸状体を硬化するには未硬化物中に熱硬化触媒あるいは光硬化触媒を添加しておくことが好ましく、熱硬化触媒としては普通パーオキサイド系又はアゾ系の触媒が用いられる。光硬化触媒としてはベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4'ーイソプロピルー2ーヒドロキシー2ーメチルプロピオフェノン、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
次いで未硬化状物を硬化させるには、硬化部において好ましくは紫外線を周囲から作用させ、熱硬化触媒及び/又は光硬化触媒を含有する糸状体を熱処理ないし光硬化処理を行う。
本発明の製法において、光吸収剤と単量体の分子量の大小関係は特に限定されないが、未硬化状物として前記単量体と重合体との混合物を使用し、光吸収剤として前記染料等を使用する場合は、光吸収剤の方が単量体よりも分子量がはるかに大きいので、未硬化状物中における拡散速度がはるかに遅い。従って光吸収剤を実質的に拡散させることなく、未硬化状物層相互間において単量体を拡散させることができる。
尚、重合硬化に長時間を要する熱重合の場合は、光吸収剤が拡散して、遮光層内の濃度が不均一となる。このため短時間で重合可能な光重合によって硬化させることが望ましい。
ところで光重合法により重合硬化させるためには、未硬化状物層中を光重合用の光を透過させることが必要である。しかしながら、光吸収剤の種類は多くあり、光吸収の波長依存性は様々である。即ち、光伝送体の伝送光を吸収するとともに重合に用いる光をそれと同等以上に吸収する光吸収剤も存在する。従って光重合法により重合硬化処理する場合は、光伝送体の伝送光を吸収するが、重合用の光を吸収せず透過させる特性を有する光吸収剤を用いることが望ましい。
光伝送体の伝送光として実際に用いられる光は通常波長が400〜750nmの可視光から近赤外光の範囲のものである。一方、光重合に用いる光の発光波長は通常300〜370nmの紫外線である。よって400〜750nmの特定波長域の吸光度係数が、300〜370nmにおける吸光度係数の2倍以上である光吸収剤を用いることが好ましい。このような光吸収剤としては前記のものを用いることができる。
このような光吸収剤の代表的な例であるBlue 4G、HDー180及びRed Bの吸収スペクトルを図6、図7及び図8に示す。図6、図7、図8において縦軸は吸光度係数,横軸は光の波長を示し、横軸の左端は300nmを右端は800nmである。それぞれ紫外線域(300〜370nm)の吸収が少なく、そこでの吸光度係数は光伝送体の実使用波長域650あるいは470nmのそれぞれの波長での吸光度係数の1/2以下であることがわかる。このような光吸収剤を使用すると、未硬化状物層中紫外線が透過し、光重合が効率的に進行する。
本発明の光伝送体は例えば図9の糸状体成形装置を用いて製造することができる。図9は糸状体成形装置を図式的に示す工程図であり、相互拡散部12及び硬化処理部13の部分だけを縦断面図で示してある。図中の記号10は同心円状複合ノズル、11は押し出された未硬化の糸状体、12は糸状体の各層の単量体を相互に拡散させて屈折率分布を与えるための相互拡散部、13は未硬化状物を硬化させるための硬化処理部、14は引き取りローラー、15は製造された光伝送体、16は巻き取り部、17は不活性ガス導入口、18は不活性ガス排出口である。糸状体11から遊離する揮発性物質を相互拡散部12及び硬化処理部13から除去するため、不活性ガス導入口17から不活性ガス例えば窒素ガスが導入される。
光重合に用いる光源としては150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、レーザー光等が挙げられる。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。尚、実施例及び比較例において屈折率分布及びレンズ性能(MTF)の測定は下記の方法により行った。
(1)屈折率分布の測定
カールツアイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて公知の方法により測定した。
(2)レンズ性能(MTF)の測定
光伝送体の解像度を示すMTFは、空間周波数6ラインペア/mm(Lp/mm)を有する格子22、光軸に垂直な両端面を研磨した単レンズあるいは光伝送体を複数本並べたアレイ23、及び光源19を図10に示すように配列し、結像面に設置したCCDラインセンサー24により格子画像を読みとり、その測定光量の最大値(iMAX)と最小値(iMIN)を図11に示すごとく測定し、次式により求めた。
Figure 2006313381
ここで空間周波数とは、図11の格子に示すごとく、白ラインと黒ラインとの組み合わせを1ラインとし、このラインの組み合わせが1mmの幅の中に何組設けてあるかを示すものである。
比較例1
PMMA(〔η〕=0.40,MEK中,25℃にて測定、以下実施例、比較例中において同様のものを用いる。)50重量部、ベンジルメタクリレート(BZMA)36重量部、MMA14重量部、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部及びハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液とした。
PMMA51重量部、MMA49重量部、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液とした。
PMMA48重量部、MMA37重量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート(8FM)15重量部、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液とした。
ポPMMA45重量部、MMA25重量部、8FM30重量部、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液とした。
PMMA42重量部、MMA15重量部、8FM43重量部、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液とした。
これらの5種類の原液を同心円状5層複合ノズルを用い中心から順次未硬化物の屈折率が低くなるように配列し同時に押し出した。
複合紡糸ノズルの温度は42℃であった。押し出し時の粘度は第1層の成分が5.8×10ポイズ、第2層が4.9×10ポイズ、第3層が4.7×10ポイズ、第4層が3.9×10ポイズ、第5層が4.5×10ポイズであった。第1層から第5層の吐出比は半径の比で35/38/20/6/1であった。
ついで長さ55cmの各層相互拡散処理部を通しその後長さ120cm、40Wのケミカルランプ12本を円状に等間隔に配設された光照射部の中心にストランドファイバを通過させて、170cm/minの速度でニップローラーで引き取った。
得られた光伝送体は半径が0.3mmであり、屈折率分布は中心部が1.512、外周部が1.468であった。光伝送体の屈折率分布を表1に示した。この光伝送体の両端面を研磨してレンズ長4.2mmとし、6Lp/mmの格子を用いてこの単レンズの特性を測定したところ、表2の結果を得た。
更にこの光伝送体複数本を用い、側板にはフェノール樹脂(厚さ1.2mm)2枚を用い、接着剤にはカーボンブラックを2wt%添加したエピフォーム(ソマール社製)を用い、側板の間に光伝送体を1列に配列し接着剤を充填し、接着剤を硬化し、その後両端面を切断して研磨し、レンズ長4.2mmのレンズアレイを製作した。6Lp/mmの格子を用いてこのレンズアレイの特性を測定したところ、表3、表4の結果を得た。
なお表中波長470nm、525nm、650nmと記載する光は、それぞれその波長をピーク波長とする光を表す。
また3色のLEDとは、これらの3種の光を発するLEDである。
以下本文中の表記もこれに従う。
比較例2
比較例1の原液中に表1に記載のように光吸収剤を混入し、光重合強度を変更した以外は比較例1と同様の操作を行いレンズを賦形した。レンズの屈折率分布は比較例1と同じであった。レンズの光吸収剤含有領域を表2に示した。
屈折率分布が不整な領域に可視光及び近赤外光領域のうち全波長域の光を吸収する光吸収剤を導入したため、レンズ性能が全波長域で向上した。
比較例1と同様の条件でレンズ及びレンズアレイの特性を測定したところ、表2、表3、表4の結果を得た。
実施例1、2、4〜6、参考例3、7
比較例1の原液中に表1に記載のように光吸収剤を混入し、光重合強度を変更した以外は比較例1と同様の操作を行いレンズを賦形した。レンズの屈折率分布は比較例1と同じであった。レンズの光吸収剤含有領域を表2に示した。
比較例1と同様の条件でレンズ及びレンズアレイの特性を測定したところ、表2、表3、表4の結果を得た。
表4から明らかなようにこれらの光伝送体アレイは比較例1の光伝送体アレイと比較して、最適共役長におけるそれぞれの波長の光に対するMTF及び3色のLEDを同一光量値で同時に点灯した場合のMTFが向上している。
実施例8及び9
比較例2の原液中に表1に記載のように光吸収剤を混入し、光重合強度を変更した以外は比較例1と同様の操作を行いレンズを賦形した。レンズの屈折率分布は比較例1と同じであった。レンズの光吸収剤含有領域を表2に示した。
比較例1と同様の条件でレンズ及びレンズアレイの特性を測定したところ、表2、表3、表4の結果を得た。
表4から明らかなようにこれらの光伝送体アレイは比較例2の光伝送体アレイと比較して、最適共役長におけるそれぞれの波長の光に対するMTF及び3色のLEDを同一光量値で同時に点灯した場合のMTFが向上している。

Figure 2006313381
Figure 2006313381
Figure 2006313381

Figure 2006313381
本発明により可視光及び近赤外光領域の光のうち特定波長域の光のみの透過を阻止する即ちカラーフィルター機能を有する光伝送体及び光伝送体アレイが提供される。そのため、光伝送体が透過する光の波長域を選択することができ、広い波長域の光を光源として用いる場合に、光伝送体のもつ色収差により、波長域ごとに異なった光学特性を有するという問題が解決される。またデバイスに組み込んだ際同一のレンズ長のレンズのみを用いた場合は光の波長域毎に異なった共役長を有することとなり、本来の結像特性を発揮できないという問題が解決される。
また本発明の光伝送体を用いて、短共役長、低色収差の光伝送体アレイが提供される。
さらに明確な像を狭いスペースで伝達する方法が提供される。
また、本発明の製法によれば、本発明の光伝送体を容易に製作することができる。
本発明の光伝送体の縦断面図である。 本発明の光伝送体の横断面図である。 本発明の光伝送体の縦断面図である。 本発明の光伝送体の横断面図である。 光伝送体中の光の進行の様子を示す図である 本発明で用いるBlue 4Gの吸収特性を示す図である。 本発明で用いるHDー180の吸収特性を示す図である。 本発明で用いるRed Gの吸収特性を示す図である。 本発明の光伝送体を製造するための製造装置の概略図である。 光伝送体の解像度(MTF)測定装置の概略を示す図である。 CCDセンサーにより解像度を測定した図である。
符号の説明
1 レンズ素材
2 特定波長域を吸収する光吸収剤を含有している層
3 光吸収剤の存在しない最外周部
10 同心円状複合ノズル
11 未硬化の糸状体
12 相互拡散部
13 硬化処理部
15 光伝送体

Claims (2)

  1. 複数個の円形断面の屈折率分布型光伝送体を一列以上平行に配置した光伝送体アレイ用光伝送体であって、該光伝送体の中心を含む領域に波長470nm、525nmおよび650nmの光のうち1または2の波長の光の透過率が5%以下となるように光吸収剤が含有された光伝送体。
  2. 請求項1記載の光伝送体を一列以上平行に配置した光伝送体アレイの一端に白色光源またはRGB3原色のLED光源から出射する光を入射させ、この光伝送体の他端から透過光を出射させる方法。

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