JP3794828B2 - 光伝送体、光伝送体アレイおよびプレートレンズ - Google Patents

光伝送体、光伝送体アレイおよびプレートレンズ Download PDF

Info

Publication number
JP3794828B2
JP3794828B2 JP20221498A JP20221498A JP3794828B2 JP 3794828 B2 JP3794828 B2 JP 3794828B2 JP 20221498 A JP20221498 A JP 20221498A JP 20221498 A JP20221498 A JP 20221498A JP 3794828 B2 JP3794828 B2 JP 3794828B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical transmission
transmission body
array
optical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP20221498A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000035518A (ja
JP2000035518A5 (ja
Inventor
吉弘 魚津
憲史 ▲廣▼田
敏則 隅
輝太 石丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP20221498A priority Critical patent/JP3794828B2/ja
Publication of JP2000035518A publication Critical patent/JP2000035518A/ja
Publication of JP2000035518A5 publication Critical patent/JP2000035518A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3794828B2 publication Critical patent/JP3794828B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学技術なかでも光伝送技術に属するものであり、特に光伝送体、及び、これを用いた光伝送体アレイ、イメージセンサー、レンズプレート及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部に連続的な屈折率分布を有する光伝送体は既に特公昭47ー816号公報においてガラス製のものが提案されている。また、合成樹脂製のものは特公昭47ー28059号公報において提案されている。その後、様々な手法により得られるガラス製や合成樹脂製の光伝送体が提案されている。この屈折率分布型光伝送体は一般的には、その両端面を伝送体中心軸に垂直な平行平面となるように鏡面研磨して、単体で微小レンズとして使用されている。また、その多数を互いに平行となるようにしてアレイ状に配列し接着一体化してレンズアレイの形態として、複写機、ファクシミリ、スキャナ等のラインセンサと組み合わせて、あるいはLEDプリンタの書き込みデバイス等を構成するのに広く用いられている。また、その多数を互いに平行となるようにして平面状に配列しプレート状のレンズ集合体(レンズプレート)としたものも、2次元の画像情報の読み取り、伝送あるいは表示のための装置の部品として用いられている。また、特定の用途においては、光伝送体の片端面または両端面を若干の曲率を有する球面形状となした上で使用される。
【0003】
画像伝送に用いられる屈折率分布型レンズ及びレンズアレイにおいては高い解像力を持つ光学特性に優れたレンズが求められている。これら高い解像力及び良好な画像コントラストを得る上で、いわゆるフレア光とクロストーク光が問題となる。
【0004】
屈折率分布型レンズでは、一方の端面から入射した光線はレンズ内をサインカーブを描いて進行し他端面から出射して結像するのであるが、一般にレンズ内の屈折率分布は必ずしも理想的な分布に一致しているわけではない。特に外周部付近で理想的分布から外れており、この外周部付近での屈折率分布の歪みとレンズ外周面を通してレンズ内に入る外光に起因してレンズ周辺にフレア光と呼ばれる結像に寄与しないぼやけた光が発生する。このフレア光がレンズの解像力及び画像のコントラストに悪影響を及ぼすのである。
【0005】
上記のようなフレア光の発生を防止するため、従来はレンズアレイに使用する屈折率分布型レンズ素子の外周面を化学的エッチング等により微細な凹凸の粗面となし、これによりレンズ内で最外層に向かう光線を粗面での乱反射で外部へ逃がすとともに外周面に入射する外光を乱反射させてレンズ内への透光を抑制するようにしている。また、レンズ素子同志を結合する接着剤として黒色樹脂を使用している。これらのような対策を講じてもレンズ素子間を結合する接着剤中の黒色顔料が均一分散されずに、隣接するレンズ素子間に局部的に透明な部分ができたり、あるいはレンズアレイ組立時において上記接着剤の粘性が大きいため、接着剤樹脂がレンズ外周面の凹凸に十分になじまず、局部的に樹脂未含浸部を生じ、これに起因して光の漏れが発生して充分な光学性能が得られないという問題点があった。また、粗面としたレンズ外周面は微視的に見て鋭利な凹凸となっているために応力集中を生じやすく更に平均的な凹凸とは別に比較的深いクラックを伴っているために相対的に強度が弱く、レンズアレイの組立時にしばしば破損を生じるという問題があった。
【0006】
合成樹脂製レンズの処理方法としては、特開平6−222218号公報等において、フレア光を生じる原因となる外周部の屈折率分布の不整な部分を溶剤や刃物を用いて削除する方法が提案されている。このように削除する方法は非常に効果的な手法であるが、削除した後のごみの処理や溶剤の回収の問題、あるいは切削刃が非常に寿命が短い等の問題があった。
【0007】
また、特開平1−105202号公報においては、光伝送体の光伝送範囲近傍の光伝送体を構成する組成物中に光吸収剤が存在することを特徴とする光伝送体、光伝送体アレイ、及びその製造方法が提案されている。より詳細には、まず透明な光伝送体を製造し、溶剤に光吸収剤を溶解した溶液中に光伝送体を浸漬し、その外側から光吸収剤を拡散させて光伝送体中に光吸収剤を導入する技術が提案されている。この技術により従来問題となっていた点についてはそれなりの改善がされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
また、特開平9−127353号公報には、光伝送体(レンズ)の外周部に光吸収剤または光散乱剤を添加してフレア光をカットする技術が提案されている。この方法においてはフレア光についてはほぼ解決していると言える。しかし、多数の光伝送体を互いに平行に配列して光伝送体アレイ(レンズアレイ)とした場合に、隣接レンズ間をクロストークする光によりレンズアレイの光学的性能が低下するという問題があった。光吸収剤または光散乱剤の濃度を高めることによりクロストークのレベルは低下するが、この場合レンズアレイの光量が低下するという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以上の如き問題を解決するものとして、
中心から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している円柱状の光伝送体アレイ用光伝送体であって、外周面から中心に向かう100μm以内の部分に光吸収剤がほぼ均一に混在する光吸収剤混在層がN層(N≧2)形成されており、中心から外周部に向ってn層目(n=1,2,・・・・・,N)の光吸収剤混在層内における光吸収剤の濃度をdnとしたとき、dn≧5dn-1であることを特徴とする光伝送体アレイ用光伝送体、
が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、以上の如き問題を解決するものとして、
中心から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している円柱状の光伝送体アレイ用光伝送体であって、外周面から中心に向かう100μm以内の部分に光吸収剤がほぼ均一に混在する光吸収剤混在層がN層(N≧2)形成されており、中心から外周部に向ってn層目(n=1,2,・・・・・,N)の光吸収剤混在層内における特定波長での吸光度をAnとしたとき、An≧5An-1であることを特徴とする光伝送体アレイ用光伝送体、
が提供される。
【0011】
本発明の一態様においては、最も外側の光吸収剤混在層は前記外周面を含む範囲に形成されている。また、本発明の一態様においては、1以外のnについて、n層目の光吸収剤混在層とn−1層目の光吸収剤混在層とが全て隣接している。
【0012】
更に、本発明によれば、以上のような光伝送体を複数互いに平行になるようにし且つ隣接するものどうしが30μm未満の間隔を持つようにして該光伝送体の中心軸の方向を横切る1つの方向に1列に配列してなる光伝送体配列を少なくとも1つ有することを特徴とする光伝送体アレイ、が提供される。
【0013】
更に、本発明によれば、光源と以上のような光伝送体アレイと該光伝送体アレイにより画像が結像されるセンサーとを含むことを特徴とするイメージセンサー、が提供される。
【0015】
更に、本発明によれば、以上のようなレンズプレートと、画像光源と、前記レンズプレートにより前記画像光源の画像が投写されるスクリーンとを含むことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光伝送体、光伝送体アレイ、イメージセンサー、レンズプレートおよび画像形成装置の実施の形態を説明する。
【0017】
図1及び図2は、それぞれ本発明の光伝送体である屈折率分布型レンズの一実施形態の中心軸を含む面での断面図及び中心軸と直交する面での断面図である。光伝送体(屈折率分布型レンズ)1は、中心軸4を対称中心とする実質上円柱形状をなしており、透光性を有する。光伝送体1は、中心軸4上の屈折率をn0 、屈折率分布定数をAとしたとき、中心軸4から半径方向に距離r離れた点での屈折率n(r)が、ほぼ次式
n(r)=n0 (1−Ar2
で表される屈折率分布を持つ。
【0018】
光伝送体1は、外周面から100μm以内の範囲に光吸収剤がほぼ均一に混在している光吸収剤混在層がN層(N≧2)形成されており、中心から外周部に向ってn層目(n=1,2,・・・・・,N)の光吸収剤混在層内における光吸収剤の濃度をdn としたとき、
n >dn-1
である。本実施形態においては、N=2である。図1及び図2において、中心から外周部に向って1層目の光吸収剤混在層が符号2で示されており、2層目の光吸収剤混在層が符号3で示されている。2層目の光吸収剤混在層3は光伝送体1の外周面を含む範囲に形成されており、1層目の光吸収剤混在層2は2層目の光吸収剤混在層3と隣接してすぐ内側に位置している。
【0019】
光伝送体1において、光吸収剤はその外周面から100μm以内の所定厚さ範囲の部分に混在されている。この部分は従来法で製造された場合に屈折率分布が不整な部分を含んでいる。光吸収剤を添加する部分は、外周部の屈折率分布が不整な部分だけでなく、屈折率分布が良好な部分を含んでいても良い。但し、光吸収剤を添加する部分を外周面から100μmを超えて中心側まで広げると、光伝送体内を伝送される光量が著しく低下するため好ましくない。
【0020】
光吸収剤についての前記dn >dn-1 という式を別の表現で表すと、n層目の光吸収剤混在層内における特定波長での吸光度をAn としたとき、
n >An-1
である。ここにおける特定波長とは、光伝送体に添加されている光吸収剤の吸収波長のうちの任意の1つの波長であって、実用的には可視光、近赤外光、近紫外光の波長域に設定される。光吸収剤が複数の種類存在する場合は1つの特定波長における複数の光吸収剤の吸光度の合計についてAn >An-1 が成り立っていれば良い(但し、複数の波長のそれぞれにおいて複数の光吸収剤の吸光度の合計についてAn >An-1 が成り立っていることが好ましい)。この特定波長の光を用いて光伝送体を使用することにより、本発明の効果が発揮される。吸光度の測定方法としては、各光吸収剤混在層を同じ厚さのフィルム状にして分光光度計で測定する方法や、各光吸収剤混在層について同じ重量を量り取って溶媒に溶解し分光光度計で測定する方法などがある。
【0021】
光伝送体1は外周部に光吸収剤が分散されているためにその近傍付近で発生するフレア光は界面反射することなしに光吸収剤によって吸収される。さらに、dn >dn-1 (あるいはAn >An-1 )であり、光吸収剤混在層3における光吸収剤の濃度が高いので、図3に示されているように多数の光伝送体1を互いに平行となるようにして光伝送体の方向と直交する方向にアレイ状(列状)に配列して光伝送体アレイ5とした場合に、隣接光伝送体1間をクロストークする光が大幅に減少するため、光伝送体アレイ5の性能が向上するという特徴がある。また、dn ≦dn-1 (あるいはAn ≦An-1 )である場合に比べて、光伝送体1を伝送される光量を高く維持することができる。つまり、光伝送体1を構成する組成物中に厚み方向に光吸収剤がほぼ均一に混在している層が2層以上形成され、dn >dn-1 (あるいはAn >An-1 )であるために、光伝送体アレイ5のクロストーク光が減少し且つ光伝送体アレイ5の伝送光量の低下は小さい。尚、図3において、光伝送体1どうしを接合する接着剤及び光伝送体1のアレイ状配列の維持のための側板などは、図示を省略されている。
【0022】
光伝送体1は、dn >dn-1 (あるいはAn >An-1 )であることを特徴としているが、光伝送体アレイ5におけるクロストーク光を効果的に減少させ、光量の低下を効果的に防ぐためには、さらに、
n ≧2dn-1 (あるいはAn ≧2An-1
であることが好ましい。また、さらに、
n ≧5dn-1 (あるいはAn ≧5An-1
である場合は、図4に示されているように多数の光伝送体1を互いに平行となるようにして光伝送体の中心軸の方向と直交する方向に平面状に配列してなるレンズプレート6においても、クロストーク光がほとんど観測されなくなるため特に好ましい。即ち、レンズプレート6においては、1本の光伝送体1が他の6本の光伝送体と接しているので、クロストークする光の量が光伝送体アレイ5と比べて多い。そのため、多数の光伝送体1を用いてレンズプレート6を構成する場合には、クロストーク光をより一層効果的に除去するために、dn ≧5dn-1 (あるいはAn ≧5An-1 )とすることが好ましいのである。
【0023】
光伝送体1の光吸収剤混在層2,3のそれぞれの中での光吸収剤の濃度はほぼ均一なものになっている。光伝送体1中を透過する光の分布を図2の断面内でみると、中心部を通過する光の方が周辺部を通過する光より多くなっている。従って、周辺部に行くに従い屈折率分布は悪くなるが実際の通過光の量は少なくなり、中心部に近くなるに従い屈折率分布の理想からのずれは少なくなり且つ通過する光の量は多くなる。このことから、光吸収剤は、屈折率分布が不整な部分(周辺部)に存在する方がフレア光の防止には効果的である。
【0024】
光吸収剤としては、光伝送体1が用いられる光学系で使用される波長の光を吸収し得る種々の染料、顔料、色素が使用できる。光伝送体1での使用波長光を吸収する染料を組み合わせて用いることが特に有効である。光伝送体1を、例えば光伝送体アレイ5としてカラースキャナー等の用途に用いる場合には、RGB各波長の光を吸収する染料を組み合わせて用いることが好ましい。可視光領域のすべての光を吸収することを目的とする場合には、多種の染料、顔料、色素を混合した黒色のものを選択できる。また、カーボンブラック、グラファイトカーボン等の光吸収剤も用いることができる。その他光を吸収する物質であれば特に限定されることはない。本発明においては、光吸収剤が光伝送体1を構成する組成物中に分散されて存在するのが好ましい。これは、有機高分子体中に染料分子、顔料分子が物理的あるいは化学的親和力の場で分散あるいは結合している状態である。
【0025】
光伝送体1の光吸収剤混在層2,3に含有される光吸収剤の濃度は好ましくは0.001〜10重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。濃度が低すぎるとフレア光防止の効果やクロストーク光防止の効果が低い。
【0026】
光伝送体アレイ5は光伝送体1を用いて従来公知の方法で作製することができる。光伝送体1が図3に示すように1列に配列され、あるいはそれを複数列用いて各列が互いに平行となるように配置されていれば、アレイの形状、材質等は問わない。光伝送体アレイ5においては光伝送体1の配列間隔が30μm以上である場合はクロストーク光が非常に少なくなるため特に好ましい。ここで、光伝送体1の配列間隔とは、光伝送体1のある列において隣接する光伝送体どうしの中心間距離の平均値から光伝送体1の半径の平均値の2倍を減じた値である(配列間隔は列同士の間の間隔を言うものではない)。但し、隣接する光伝送体1どうしが密着するような場合を含めて、配列間隔が30μm未満である場合においても、クロストーク光のレベル自体は低い。
【0027】
また、dn ≧2dn-1 (あるいはAn ≧2An-1 )である光伝送体1を用いた光伝送体アレイ5は、クロストーク光をさらに効果的にカットでき性能低下を一層抑制できるため、光伝送体1を30μm未満の配列間隔で配列した場合でも、クロストーク光のレベルを一層低くすることができる。特に、隣接する光伝送体1どうしが密着した光伝送体アレイにおいてもクロストーク光による性能低下が抑制されるので、性能を低下させることなく、光伝送体1の寸法精度が良い場合には容易に配列精度をきわめて良好にすることができるという密着型の光伝送体アレイの利点を、十分に発揮させることができる。
【0028】
本発明のイメージセンサーは、図5に示されているように、前記の光伝送体アレイ5および受光センサー32を有する。読み取り原稿33を照明するための光源31を配置するのが好ましい。読み取り原稿33を矢印方向に搬送しながら、光源31により照明された読み取り原稿33の画像を光伝送体アレイ5により受光センサー32上に結像させて、読み取る。本発明のイメージセンサーは、光伝送体アレイ5の各光伝送体に混入してある光吸収剤の吸収波長にあわせた波長の光を用いてモノクロイメージセンサーとしても良いし、光伝送体に混入してある光吸収剤がRGB3原色を吸収するものである場合は、カラーイメージセンサーとしても良い。
【0029】
カラーイメージセンサーとする場合は、光源31としては、RGB3原色のLED光源または白色光源を用いることが好ましい。また、受光センサー32はRGB3原色のLED光源を用いる場合はモノクロ用受光センサー、3原色用受光センサーのいずれを用いることも可能である。白色光源を用いる場合は3原色用の受光センサーを用いることができる。
【0030】
本発明のイメージセンサーはフレア光、クロストーク光の影響が少なく良好な画像読み取りが可能である。
【0031】
次に、レンズプレート6について説明する。レンズプレート6は、dN ≧5dN-1 (あるいはAN ≧5AN-1 )である光伝送体1を密着させて平面状に配列してなるものである。
【0032】
従来のレンズプレートにおいては、1本の光伝送体が他の6本の光伝送体と接するためクロストーク光が多く、クロストーク光により光伝送体からゴーストと呼ばれるぼやけた光が出射されて2次元画像表示性能に悪影響を及ぼしていた。しかし、本発明のレンズプレート6は、dn ≧5dn-1 (あるいはAn ≧5An-1 )である光伝送体1を用いているために、光伝送体1を密着させて平面状に配列しているにもかかわらず、クロストーク光による性能の低下が殆ど無く、表示画面として用いた場合に鮮明な表示画像を形成することができる。本発明のレンズプレート6は、2次元の画像の表示や読み取り、伝送等の用途に好ましく使用することができる。
【0033】
レンズプレート6は次のようにして作製することができる。即ち、多数の光伝送体を互いに平行になるようにして俵積み状に最密充填で密着配列する。光伝送体間の隙間に黒色の光吸収剤等を添加した接着剤を注入して光伝送体どうしを接着固定する。接着固定された光伝送体の集合体を光伝送体の中心軸と垂直に切断し、端面を鏡面に研磨して、図4に示されているような所定の厚さのレンズプレート6を得る。
【0034】
本発明の2次元画像形成装置は、図6に示されているように、レンズプレート6を用いることを特徴としている。即ち、この画像形成装置は、2次元の表示画像を形成する画像光源としてのディスプレイ35とレンズプレート6とディスプレイ35の画像が投写されるスクリーン36とからなり、ディスプレイ35の表示画像の正立実像をスクリーン36上に表示するように配置されたものである。正立実像は拡大、等倍、縮小のいずれでも良く、目的に応じて選択すればよい。正立実像の拡大または縮小を行う場合には、レンズプレートとスクリーンとの間に拡大または縮小用のレンズを配置する。また、ディスプレイ35、スクリーン36は公知の任意のものを用いることができる。本発明の2次元画像形成装置はクロストーク光による影響が非常に少ないため鮮明な画像を形成することができる。
【0035】
以上、光吸収剤混在層の層数Nが2の場合について説明したが、Nが3以上の場合であっても同様にして本発明の実施をすることが可能である。例えば、N=3の場合、本発明の光伝送体は、[3層目の光吸収剤混在層の光吸収剤濃度d3 (又は吸光度A3 )]>[2層目の光吸収剤混在層の光吸収剤濃度d2 (又は吸光度A2 )]を満たし、且つ[2層目の光吸収剤混在層の光吸収剤濃度d2 (又は吸光度A2 )]>[1層目の光吸収剤混在層の光吸収剤濃度d1 (又は吸光度A1 )]を満たす。光伝送体をレンズプレートに用いる場合には、本発明の光伝送体は、d3 >5d2 且つd2 >5d1 (またはA3 >5A2 且つA2 >5A1 )を満たすことが好ましい。
【0036】
本発明の光伝送体1は次のようにして製造することができる。未硬化状態での粘度が103 〜108 ポイズなる物質であり、該物質を硬化した硬化物の屈折率nd がnd1>nd2>・・・・>ndX(X≧3)なるX個の未硬化状物を、この順に中心部から外周部へと積層する際に、中心部から少なくともX番目とX−1番目の未硬化状物に光吸収剤を混入させておき、それらの未硬化状物を中心から外周面に向かって順次屈折率が低くなるような配置で、かつ、同心円状に複層積層した未硬化状の積層体(以下適宜「糸状体」と称する)に賦形し、糸状体の各層間の屈折率分布が連続的分布となるように隣接層間の物質の相互拡散処理を行いながら、または相互拡散処理を行った後、糸状体を硬化処理することにより製造される。得られる光伝送体の屈折率分布を理想的な分布に近づけるために、Xは4〜6の範囲であることが望ましい。
【0037】
本発明に用いられる未硬化状物質は、粘度が103 〜108 ポイズで硬化性のものであることが好ましい。粘度が小さすぎると賦形に際し糸切れが生じるようになり糸状物の形成が困難である。また粘度が大きすぎると賦形時に操作性が不良となり各層の同心円性が損なわれたり、太さ斑の大きな糸状体となりやすいので好ましくない。
【0038】
この未硬化状物を構成する物質としてはラジカル重合性ビニル単量体または該単量体と該単量体に可溶な重合体とよりなる組成物などを用いることができる。
【0039】
ラジカル重合性ビニル単量体の具体例としてはメチルメタクリレート(nd =1.49)、スチレン(nd =1.59)、クロルスチレン(nd =1.61)、酢酸ビニル(nd =1.47)、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート(nd =1.37〜1.44)、屈折率1.43〜1.62の(メタ)アクリレート類たとえばエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などの他のジエチレングリコールビスアリルカーボネート、フッ素化アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0040】
これら未硬化状物から糸状体を形成する際の未硬化状物の粘度調整を容易にするため、及び糸状体の中心から外周へ向かい連続的な屈折率分布を持たせるため、前記の未硬化状物はビニル系単量体と可溶性ポリマーとで構成されていることが好ましい。
【0041】
ここに用い得るポリマーとしては、前記のラジカル重合性ビニル単量体から生成するポリマーと相溶性が良いことが必要であり、例えばポリメチルメタクリレート(nd =1.49)、ポリメチルメタクリレート系コポリマー(nd =1.47〜1.50)、ポリ4ーメチルペンテンー1(nd =1.46)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(nd =1.46〜1.50)、ポリカーボネート(nd =1.50〜1.57)、ポリフッ化ビニリデン(nd =1.42)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(nd =1.42〜1.46)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(nd =1.40〜1.46)、ポリフッ化アルキル(メタ)アクリレートポリマー等が挙げられる。
【0042】
粘度を調整するため、各層に同一の屈折率を有するポリマーを用いた場合には中心から外周部に向かって連続的な屈折率分布を有するプラスチック光伝送体が得られるので好ましい。特に、ポリメチルメタクリレートは透明性に優れ及びそれ自体の屈折率も高いので本発明の屈折率分布型光伝送体を作成するに際して用いるポリマーとしては好適なものである。
【0043】
前記未硬化状物より形成した糸状物を硬化するには未硬化状物中に熱硬化触媒あるいは光硬化触媒を添加しておくことが好ましく、熱硬化触媒としては普通パーオキサイド系又はアゾ系の触媒が用いられる。光硬化触媒としてはベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4'ー イソプロピルー2ー ヒドロキシー2ー メチルプロピオフェノン、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2-ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
【0044】
次いで未硬化状物を硬化させるには、硬化部において好ましくは紫外線を周囲から作用させ、熱硬化触媒及び/又は光硬化触媒を含有する糸状物を熱処理ないし光硬化処理を行う。
【0045】
本発明の光伝送体1は例えば図7に示される糸状体成形装置を用いて製造することができる。図7は糸状体成形装置の模式的構成図であり、相互拡散部12及び硬化処理部13の部分だけを縦断面図で示してある。図7において、符号10は同心円状複合ノズル、11は押し出された未硬化の糸状体、12は糸状体の各層の単量体を相互に拡散させて屈折率分布を与えるための相互拡散部、13は未硬化状物を硬化させるための硬化処理部、14は引き取りローラー、15は製造された光伝送体、16は巻き取り部、17は不活性ガス導入口、18は不活性ガス排出口である。糸状体11から遊離する揮発性物質を相互拡散部12及び硬化処理部13から除去するため、不活性ガス導入口17から不活性ガス例えば窒素ガスが導入される。
【0046】
光重合に用いる光源としては150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、レーザー光等が挙げられる。
【0047】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
【0048】
尚、実施例及び比較例において、屈折率分布及びレンズ性能(MTF)の測定は下記の方法により行った。
【0049】
屈折率分布の測定
カールツアイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて公知の方法により測定した。
【0050】
レンズ性能(MTF)の測定
光伝送体の解像度を示すMTFは、図8に示すように、光源19、フィルター20、拡散板21、空間周波数4(または6)[ラインペア/mm:Lp/mm]を有する格子22、中心軸に垂直な両端面を研磨した光伝送体を複数本並べた光伝送体アレイ23、及びCCDラインセンサー24を配置し、格子22を光伝送体アレイ23の結像面に設置したCCDラインセンサー24に結像させて格子画像を読みとり、その測定光量の最大値(iMAX )と最小値(iMIN )とを測定し、次式
MTF[%]={(iMAX −iMIN )/(iMAX +iMIN )}×100
により求めた。
【0051】
ここで空間周波数とは、図8の格子22に示すごとく、白ラインと黒ラインとの組み合わせを1ラインとし、このラインの組み合わせが1mmの幅の中に何組設けてあるかを示すものである。
【0052】
実施例1
ポリメチルメタクリレート(〔η〕=0.40,MEK中,25℃にて測定:以下、ポリメチルメタクリレートの〔η〕は全て同じ)52重量部、ベンジルメタクリレート35重量部、メチルメタクリレート13重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部及びハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第1層形成用原液とした、ポリメチルメタクリレート48重量部、ベンジルメタクリレート10重量部、メチルメタクリレート35重量部、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレート7重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第2層形成用原液とした、ポリメチルメタクリレート47重量部、メチルメタクリレート30重量部、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレート23重量部、1ーヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部を70℃に加熱混練して第3層形成用原液とした、ポリメチルメタクリレート40重量部、メチルメタクリレート18重量部、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレート42重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部、日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.06重量部を70℃に加熱混練して第4層形成用原液とした、ポリメチルメタクリレート37重量部、メチルメタクリレート4重量部、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレート59重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25重量部、ハイドロキノン0.1重量部、日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.40重量部を70℃に加熱混練して第5層形成用原液とした、この5種類の原液を同心円状5層複合ノズルを用い中心から順次未硬化物の屈折率が低くなるように配列し同時に押し出した。
【0053】
複合紡糸ノズルの温度は50℃、各層の吐出比は半径方向寸法の比で35/38/20/6/1であった。
ついで長さ55cmの各層相互拡散処理部12を通しその後長さ120cm、40Wのケミカルランプ12本を円状に等間隔に配設した光照射硬化処理部13の中心にストランドファイバを通過させて120cm/minの速度でニップローラー14で引き取った。
【0054】
得られた光伝送体は半径(r0 )が0.47mmであり、屈折率分布は中心部が1.512、外周部が1.468であった。光伝送体の外周面から33μmの厚さの部分に染色層(光吸収剤混在層)が形成されており、特に外周面から5μmまでの部分に染料濃度が高い層が形成されていた。各層内における染料の濃度はほぼ均一であった。各層の吸光度を測定したところ、A2 はA1 の約6倍であった(使用光の波長570nm:以下において同じ)。
【0055】
この光伝送体複数本を用い、両側板としてフェノール樹脂板(厚さ1.2mm)2枚を用い、接着剤としてカーボンブラックを2wt%添加したエピフォーム(ソマール社製)を用い、側板の間に光伝送体を1列に平行に密着させて配列し接着剤を充填し、接着剤を硬化させ、その後両端面を切断して研磨し、レンズ長6.6mmのレンズアレイ(光伝送体アレイ)を制作した。この光伝送体アレイは570nmにおけるフレア光、クロストーク光が少なく、4Lp/mmの格子22を用いてこのレンズアレイの特性を測定したところ、570nmの波長の光に対する共役長は14.4mmであり共役長におけるMTFは78%であった。
【0056】
この光伝送体アレイを用いて570nmの発光波長を有するLEDを光源とし、CCDを受光センサーとしたイメージスキャナを組み立てた。このイメージスキャナはフレア光、クロストーク光による影響が非常に少なく解像度が高く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することができた。
【0057】
実施例2、参照例1、2
第4層,第5層への日本化薬(株)製染料Blue ACRの添加量を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして光伝送体を得た。
【0058】
これらの光伝送体を用いて、実施例1と同様にして光伝送体アレイを得た。これらの光伝送体アレイを実施例1と同様に評価したところ表1に示すような性能であった。尚、各例において各層の吸光度を測定したところ、参照例1ではA はA の約1.5倍であり、参照例2ではA はA の約2倍であり、実施例ではA はA の約5倍であった。
【0059】
【表1】
Figure 0003794828
これらの光伝送体アレイを用いて実施例1と同様にイメージスキャナを組み立てた。これらのイメージスキャナはフレア光、クロストーク光による影響が非常に少なく解像度が高く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することができた。
【0060】
実施例3
染料の種類と添加量以外の第1層〜第5層形成用の原液組成を実施例1と同様とし、更に第3層形成用の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.006重量部、三井東圧染料(株)製染料MS Yellow HD−180 0.006重量部、及び三井東圧染料(株)製染料MS Magenta HM−1450 0.006重量部、第4層形成用の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.12重量部、三井東圧染料(株)製染料MS Yellow HD−180 0.10重量部、及び三井東圧染料(株)製染料MS Magenta HM−1450 0.08重量部、第5層形成用の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.30重量部、三井東圧染料(株)製染料MS Yellow HD−180 0.20重量部、及び三井東圧染料(株)製染料MS Magenta HM−1450 0.18重量部、を添加して実施例1と同様にして70℃にて加熱混練し、第3,4,5層形成用の原液とした。複合紡糸ノズルの温度を42℃とし、各層の吐出比は半径方向寸法の比で35/38/20/6/1とした。
【0061】
実施例1に対して紫外線光量を1.80倍とし、引き取り速度を270cm/minとし、その他の条件は実施例1と同様にして光伝送体を得た。
【0062】
得られた光伝送体は半径(r0 )が0.295mmであり、屈折率分布は中心部が1.512、外周部が1.468であった。光伝送体の外周部から80μmの厚さの部分に染色層が形成されており、外周面から3μmまでの部分に染料濃度が最も高い層、そして、外周面から3〜21μmの部分、外周面から21〜80μmの部分の順に染料濃度が低くなるように層が形成されていた。各層内における染料の濃度はほぼ均一であった。各層の吸光度を測定したところ、A2 はA1 の約15倍、A3 はA2 の約2倍であった。
【0063】
レンズ長4.1mmとした点を除き、実施例1と同様にしてレンズアレイを製作した。この光伝送体アレイはRGB各波長におけるフレア光、クロストーク光が少なかった。6Lp/mmの格子を用いてこのレンズアレイの特性を測定したところ、525nmの波長の光に対する共役長は9.9mmであり共役長におけるMTFは89%であった。
【0064】
この光伝送体アレイを用いて470nm,525nm,630nmの発光波長を有するLEDを光源とし、CCDを受光センサーとしたカラーイメージスキャナを組み立てた。このカラーイメージスキャナはフレア光、クロストーク光による影響が非常に少なく解像度が高く、カラー画像をクリアに読みとることができた。
【0065】
比較例1
染料を添加しないで第4,5層形成用原液を作製し、紫外線照射光量を0.9倍とした以外は実施例1と同様にして光伝送体を得た。
【0066】
得られた光伝送体は半径(r0 )が0.47mmであり、屈折率分布は中心部が1.512、外周部が1.468であった。
【0067】
実施例1と同様にしてレンズアレイを製作した。4Lp/mmの格子を用いてこのレンズアレイの特性を測定したところ、570nmの波長の光に対する共役長は14.4mmであり共役長におけるMTFは65%であった。
【0068】
実施例1と同様にして組み立てたイメージスキャナはフレア光とクロストーク光による影響で解像度が低く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することが困難であった。
【0069】
比較例2
第1層〜第5層形成用の原液を比較例1と同様とし、更に4,5層目の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR(0.06重量部)を用い、実施例1と同様にして70℃にて加熱混練し、4,5層目の原液とした。また、紫外線照射量を1.1倍とし、それ以外の条件は実施例1と同様にして光伝送体を得た。
【0070】
この光伝送体の半径は0.47mmであり、屈折率分布は中心部が1.512、外周部が1.468であった。光伝送体の外周面から33μmの厚さの部分に染色層が形成されており、染色層内での染料の濃度はほぼ均一であった。
【0071】
実施例1と同様にしてレンズアレイを製作した。4Lp/mmの格子を用いてこのレンズアレイの特性を測定したところ、比較例1のものと比べてフレア光が減少したためにMTFが若干上昇し、570nmの波長の光に対する共役長は14.4mmであり共役長におけるMTFは73%であった。
【0072】
実施例1と同様にして組み立てたイメージスキャナはクロストーク光による影響で解像度が若干低く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することが困難であった。
【0073】
比較例3
第1層〜第5層形成用の原液を比較例1と同様とし、更に4,5層目の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.40重量部を用い、実施例1と同様にして70℃にて加熱混練し、4,5層目の原液とした。また、紫外線照射量を1.6倍とし、それ以外の条件は実施例1と同様にして光伝送体を得た。
【0074】
この光伝送体の半径は0.47mmであり、屈折率分布は中心部が1.512、外周部が1.468であった。光伝送体の外周部から33μmの厚さの部分に染色層が形成されており、染色層内での染料の濃度はほぼ均一であった。
【0075】
実施例1と同様にしてレンズアレイを製作した。4Lp/mmの格子を用いてこのレンズアレイの特性を測定したところ、フレア光、クロストーク光がともに減少したためにMTFは上昇し、570nmの波長の光に対する共役長は14.4mmであり共役長におけるMTFは80%であった。
【0076】
実施例1と同様にして組み立てたイメージスキャナはクロストーク光による影響がほとんど無く解像度が高く画像をクリアに伝送することができた。しかし、レンズの透過光量が少ないため、読み取り速度を遅くする必要があり、読み取りの高速化には不利であることがわかった。
【0077】
実施例4〜5、参照例3〜4
実施例1〜2、参照例1〜2の光伝送体を複数本を用い、断面U字型の複数の溝が互いに平行に等間隔に設けられたフェノール樹脂基板2枚を用いて、これら基板の間に前記溝に対応して光伝送体を互いに平行になるように40μmの間隔(光伝送体の中心間距離は980μm)で1列に配列した以外は実施例1と同様にして光伝送体アレイを作製した。
【0078】
これらの光伝送体アレイを用いて実施例1と同様に組み立てたイメージスキャナはフレア光の影響が非常に少なく、クロストーク光による影響がほとんど無く解像度が高く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することができた。
【0079】
実施例6〜7、参照例5〜6
光伝送体を20μmの間隔(光伝送体の中心間距離は960μm)で配列した
以外は実施例4〜5、参照例3〜4と同様にして光伝送体アレイを作製した。
【0080】
これらの光伝送体アレイを用いて実施例1と同様に組み立てたイメージスキャナはフレア光の影響が非常に少なく、クロストーク光による影響が極めて少なく解像度が高く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することができた。
【0081】
比較例4
比較例1の光伝送体を複数本を用いた以外は実施例6と同様にして光伝送体アレイを作製した。
【0082】
この光伝送体アレイを用いて実施例1と同様に組み立てたイメージスキャナはフレア光による影響で解像度が低く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することが困難であった。
【0083】
比較例5
比較例2の光伝送体を複数本を用いた以外は実施例10と同様にして光伝送体アレイを作製した。
【0084】
この光伝送体アレイを用いて実施例1と同様に組み立てたイメージスキャナはクロストーク光による影響で解像度が低く、光伝送体アレイは画像をクリアに伝送することが困難であった。
【0085】
実施例8
染料の種類と添加量以外の第1層〜第5層形成用の原液の組成を実施例1と同様とし、第4層の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.06重量部、三井東圧染料(株)製染料MS Yellow HD−180 0.04重量部、及び三井東圧染料(株)製染料MS Magenta HM−1450 0.04重量部、第5層の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR0.50重量部、三井東圧染料(株)製染料MS Yellow HD−180 0.22重量部、及び三井東圧染料(株)製染料MS Magenta HM−1450 0.14重量部、を添加して実施例1と同様にして70℃にて加熱混練し、第4,5層形成用の原液とした。
【0086】
実施例1に対して紫外線光量を1.30倍とし、それ以外の条件は実施例1と同様にして光伝送体を得た。吸光度は、A2 がA1 の約6倍であった。
【0087】
得られた光伝送体を一定の長さに切断し平行に俵積み状に配列して密着最密充填にして2次元平面状にし、平面状に配列した光伝送体どうしの隙間にカーボンブラック2wt%添加したエピフォーム(ソマール社製)を充填し、接着剤を硬化させ、その後両端面を切断して研磨し、レンズ長6.6mm、縦210mm、横300mmのレンズプレートを作製した。
【0088】
このレンズプレートを、A4サイズのディスプレイと、A4サイズの拡散板を用いたスクリーンとの間に配置し、ディスプレイの画像の正立等倍実像をスクリーン上に表示するような2次元画像形成装置を作製した。この画像形成装置を用いてスクリーン上にディスプレイに表示されているカラー画像を映し出したところフレア光やクロストーク光による影響が非常に少ない、鮮明なカラー画像を形成することができた。
【0089】
実施例9
染料の種類と添加量以外の第1層〜第5層形成用の原液の組成を実施例1と同様とし、第4層の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.06重量部、第5層の原液中に日本化薬(株)製染料Blue ACR 0.50重量部、三井東圧染料(株)製染料MS Yellow HD−180 0.22重量部、及び三井東圧染料(株)製染料MS Magenta HM−1450 0.14重量部、を添加して実施例1と同様にして70℃にて加熱混練し、第4,5層形成用の原液とした。
【0090】
実施例1に対して紫外線光量を1.10倍とし、それ以外の条件は実施例1と同様にして光伝送体を得た。吸光度は、A2 がA1 の約14倍であった。
【0091】
得られた光伝送体を用いて実施例14と同様にして、レンズ長5.5mm、縦210mm、横300mmのレンズプレートを作製した。
【0092】
このレンズプレートを、A4サイズのディスプレイと、縦300mm、横430mmの拡散板を用いたスクリーンとの間に配置し、更にレンズプレートとスクリーンとの間に拡大用のレンズを配置して、ディスプレイの画像の正立拡大実像をスクリーン上に表示するような2次元画像形成装置を作製した。この画像形成装置を用いてスクリーン上にディスプレイに表示されているカラー画像を映し出したところフレア光やクロストーク光による影響が非常に少ない、鮮明なカラー画像を形成することができた。
【0093】
比較例6
比較例1の光伝送体を用いて実施例14と同様にして、レンズ長6.6mm、縦210mm、横300mmのレンズプレートを作製し、実施例14と同様の2次元画像形成装置を作製した。この画像形成装置を用いてスクリーン上にディスプレイに表示されているカラー画像を映し出したところフレア光とクロストーク光による影響で、画像のぼけが見られ、表示が非常に不鮮明であった。
【0094】
【発明の効果】
本発明の光伝送体は、外周面から中心に向かう100μm以内の部分に光吸収剤がほぼ均一に混在する層が2層以上形成されており、外側の光吸収剤混在層ほど光吸収剤の濃度や特定波長での吸光度が高くなっているため、光伝送体アレイとした場合に透過光量を多くとることができ、且つ隣接レンズ間のクロストーク光が少なく、光学性能は高い。さらに、本発明の光伝送体アレイを用いて作製したイメージセンサーはクロストーク光による読み取り画像の乱れが少ないため高性能の読み取りが可能である。また、本発明のレンズプレートはクロストーク光、フレア光の影響が少ないため2次元の画像を鮮明に伝送できる。本発明の2次元画像形成装置はディスプレイ上の表示画像をスクリーン上に鮮明に映し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光伝送体の断面図である。
【図2】本発明の光伝送体の断面図である。
【図3】本発明の光伝送体アレイの模式的斜視図である。
【図4】本発明のレンズプレートの模式的斜視図である。
【図5】本発明のイメージセンサーの模式的構成図である。
【図6】本発明の画像形成装置の模式的構成図である。
【図7】本発明の光伝送体を製造するための製造装置の模式的構成図である。
【図8】光伝送体の解像度(MTF)測定装置の模式的構成図である。
【符号の簡単な説明】
1 光伝送体
2 光吸収剤混在層
3 光吸収剤混在層
4 中心軸
5 光伝送体アレイ
6 レンズプレート
10 同心円状複合ノズル
11 未硬化の糸状体
12 相互拡散部
13 硬化処理部
14 引き取りローラー
15 光伝送体
16 巻き取り部
17 不活性ガス導入口
18 不活性ガス排出口
19 光源
20 フィルター
21 拡散板
22 格子
23 光伝送体アレイ
24 CCDラインセンサー
31 光源
32 受光センサー
33 読み取り原稿
35 ディスプレイ
36 スクリーン

Claims (4)

  1. 中心から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している円柱状の光伝送体アレイ用光伝送体であって、外周面から中心に向かう100μm以内の部分に光吸収剤がほぼ均一に混在する光吸収剤混在層がN層(N≧2)形成されており、中心から外周部に向ってn層目(n=1,2,・・・・・,N)の光吸収剤混在層内における光吸収剤の濃度をdnとしたとき、dn≧5dn-1であることを特徴とする光伝送体アレイ用光伝送体。
  2. 中心から外周部に向かって屈折率が連続的に減少している円柱状の光伝送体アレイ用光伝送体であって、外周面から中心に向かう100μm以内の部分に光吸収剤がほぼ均一に混在する光吸収剤混在層がN層(N≧2)形成されており、中心から外周部に向ってn層目(n=1,2,・・・・・,N)の光吸収剤混在層内における特定波長での吸光度をAnとしたとき、An≧5An-1であることを特徴とする光伝送体アレイ用光伝送体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光伝送体を複数互いに平行になるようにし且つ隣接するものどうしが30μm未満の間隔を持つようにして該光伝送体の中心軸の方向を横切る1つの方向に1列に配列してなる光伝送体配列を少なくとも1つ有することを特徴とする光伝送体アレイ。
  4. 請求項1または2に記載の光伝送体を複数互いに平行になるようにして密着させて該光伝送体の中心軸の方向を横切る方向に平面状に配列してなることを特徴とするレンズプレート。
JP20221498A 1998-07-16 1998-07-16 光伝送体、光伝送体アレイおよびプレートレンズ Expired - Fee Related JP3794828B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20221498A JP3794828B2 (ja) 1998-07-16 1998-07-16 光伝送体、光伝送体アレイおよびプレートレンズ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20221498A JP3794828B2 (ja) 1998-07-16 1998-07-16 光伝送体、光伝送体アレイおよびプレートレンズ

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000035518A JP2000035518A (ja) 2000-02-02
JP2000035518A5 JP2000035518A5 (ja) 2004-11-11
JP3794828B2 true JP3794828B2 (ja) 2006-07-12

Family

ID=16453861

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20221498A Expired - Fee Related JP3794828B2 (ja) 1998-07-16 1998-07-16 光伝送体、光伝送体アレイおよびプレートレンズ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3794828B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4169238B2 (ja) * 2000-06-30 2008-10-22 株式会社リコー 二次元拡大縮小光学デバイスおよびその製造方法
JP2004341510A (ja) * 2003-04-23 2004-12-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチックロッドレンズの製造方法及び未硬化粘性材料の供給方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000035518A (ja) 2000-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5417554B1 (ja) ロッドレンズアレイおよびそれを用いたイメージセンサヘッド
US7777964B2 (en) Plastic rod lens, rod lens array, rod lens plate, image sensor and printer
JP2000035519A (ja) 光伝送体、光伝送体アレイ及びイメージセンサー
JP3794828B2 (ja) 光伝送体、光伝送体アレイおよびプレートレンズ
JP4087503B2 (ja) 光伝送体、光伝送体アレイ、光伝送体アレイの使用方法及びカラーイメージセンサ
JP4323121B2 (ja) プラスチックロッドレンズ、レンズアレイ、並びにイメージセンサ
JP2005164703A (ja) ロッドレンズおよびロッドレンズアレイ
JP3850941B2 (ja) 光伝送体アレイ
JP3771636B2 (ja) 光伝送体及びその製造方法
JPH10221558A (ja) 光伝送体、その製法、アレイ及びそれらの使用方法
JP2001337244A (ja) プラスチック光伝送体及びその製法並びにプラスチック光伝送体アレイ
JP2000035517A (ja) 光伝送体、光伝送体アレイ、イメージセンサー、レンズプレートおよび画像形成装置
JP4323100B2 (ja) プラスチックロッドレンズ及びロッドレンズアレイ
JP5063399B2 (ja) プラスチックロッドレンズ、ロッドレンズアレイ、ロッドレンズプレート、イメージセンサ及びプリンタ
JP2013101233A (ja) 屈折率分布型レンズおよびその製造方法、屈折率分布型レンズアレイおよびその製造方法
JP4160982B2 (ja) 光伝送体の製造方法
JP2003114306A (ja) ロッドレンズ、レンズアレイ、並びにledプリンタ
Uozu et al. Improvement of Chromatic Aberration of the Plastic Rod‐Lens Array, 2
JP3945849B2 (ja) 光伝送体、光伝送体アレイ、それらの使用方法及びカラーイメージセンサー
JP2006309255A (ja) 光伝送体、光伝送体アレイおよびレンズプレート
JP2006313381A (ja) 光伝送体アレイ用光伝送体及びそれらの使用方法
JP2012078656A (ja) プラスチック製ロッドレンズ、およびプラスチック製ロッドレンズアレイ
JP3986638B2 (ja) 光伝送体
JP5858282B2 (ja) ロッドレンズおよびロッドレンズの製造方法
JP2004264862A (ja) 光伝送体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060403

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060411

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090421

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100421

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110421

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110421

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120421

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120421

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120421

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130421

Year of fee payment: 7

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130421

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130421

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140421

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees