JP5981125B2 - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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本発明は、ブレーキ液圧制御装置に関し、特に、ブレーキ液の切替通路を形成すると共にブレーキ液を一時的に蓄積するリザーバが設けられてなる油圧ユニットを備えるブレーキ液圧制御装置に関する。
従来、ブレーキ液圧制御装置に設けられたリザーバは、油圧ユニットを構成する油圧ブロックに形成されたシリンダと、シリンダの内部を軸線方向に往復移動可能であり液圧室と気体室をそれぞれ区画するピストンと、気体室に位置し前記ピストンに対し気体室の側から前記液圧室の側に向かう力を与える皿バネと、シリンダの開口部にピストンと皿バネをシリンダ内に封鎖するように設けられたカバー部材とを具備してなる。(例えば、特許文献1参照。)
特開2010−52519
しかし、上述のようなリザーバを組み立てる場合、シリンダにピストン、皿バネの順に挿入し、最後にカバー部材をシリンダの開口部に固定するものであるが、皿バネが軸方向中心に位置していなかったり、更に軸方向に傾いて取り付いていたりする可能性がある。もし、皿バネが軸方向中心に位置していなかったり、軸方向に傾いて取り付いていたりした場合、ピストンの往復動運動が斜めになったり、往復動運動の量が少なくなったりしてリザーバの応答性が悪くなり、更に皿バネがシリンダに引っかかってしまった場合には、ピストンが動かなくなりリザーバが機能しなくなる恐れがあるという問題があった。
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、バネ部材をカバー部材によってシリンダ内に封鎖しても、バネ部材が軸方向中心に確実に位置し、軸方向に傾いて取り付くことのない信頼性の高いリザーバを有するブレーキ液圧制御装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載した発明が構成される。
本願の第1の発明は、
ブレーキ液の切替通路を形成すると共にブレーキ液を一時的に蓄積するリザーバが設けられてなる油圧ユニットと、前記油圧ユニットの通路の切り替えをする電磁切替弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、
前記リザーバは、前記油圧ユニットを構成する油圧ブロックに形成されたシリンダと、前記シリンダの内部を軸線方向に往復移動可能であり液圧室と気体室をそれぞれ区画するピストンと、前記気体室に位置し前記ピストンに対し前記気体室の側から前記液圧室の側に向かう力を与える板状バネ部材と、前記シリンダの開口部を塞ぐカバー部材とを具備してなり、前記板状バネ部材と前記カバー部材は隣接部の一部を一体化してなることを特徴とするブレーキ液圧制御装置である。
この構成によれば、板状バネ部材はリザーバを組み立てる以前にカバー部材に一体化しておくので、位置決めが確実にできると共に、板状バネがシリンダ内で傾いた状態でカバー部材をシリンダ開口部に取り付けることがなく信頼性の高いリザーバを有するブレーキ液圧制御装置を提供できる。
本願第2の発明は、
前記カバー部材は略円形の板状で内面側の外周の縁部に突出部を有し、前記突出部の内周に前記板状バネ部材が嵌合することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置である。
この構成によれば、カバー部材の軸方向中心と、板状バネ部材の軸方向中心を合わせやすく更に信頼性の高いリザーバを有するブレーキ液圧制御装置を提供できる。
本願第3の発明は、
前記カバー部材は略円形の板状で内面側のオフセットされた位置に凸部を有し、前記凸部に板状バネ部材が嵌合することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ液圧制御装置である。
この構成によれば、カバー部材と板状バネ部材が軸方向中心からオフセットされた位置で嵌合するので、板状バネ部材が非対称の形状でも位置あわせが容易で、仮に嵌合が不十分でもカバー部材と板状バネ部材が回転してしまうことがなく信頼性の高いリザーバを有するブレーキ液圧制御装置を提供できる。
本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置の構成例を示す構成図である。 本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置に用いられる第一実施例に係るリザーバの縦断面図である。 本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置に用いられる第一実施例に係り図2で組み込まれた板状バネ部材とカバー部材を一体化した斜視図である。 本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置に用いられる第二実施例に係るリザーバの縦断面図である。 本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置に用いられる第二実施例に係り図4で組み込まれた板状バネ部材とカバー部材を一体化した斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるブレーキ液圧制御装置1の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
図1には、いわゆる還流型のアンチロックブレーキ制御機能を備えた自動四輪車用のブレーキ液圧制御装置1における配管系統を中心にした一構成例が示されている。同図においては、図面を簡潔にして、理解を容易にする観点から、車両前輪の右側車輪40aと後輪の左側車輪40bに係るブレーキ液圧制御系が示されたものとなっている。
かかるブレーキ液圧制御装置1は、ブレーキ操作子としてのブレーキペダル20の踏み込みを、その踏み込み量に応じた油圧に変換するブレーキマスタシリンダ30と、ブレーキマスタシリンダ30からの油圧に応じて車輪40a,40bへそれぞれブレーキ力を与えるホイールシリンダ41a,41bとを有し、このブレーキマスタシリンダ30とホイールシリンダ41a,41bの間に次述するように配管、電磁切換弁等が設けられたものとなっている。
なお、図示されない車両前輪の左側車輪と後輪の右側車輪に係るブレーキ液圧制御系は、図1に示された車両前輪の右側車輪40aと後輪の左側車輪40bに係るブレーキ液圧制御系と基本的に同様に構成されるものであり、次述する車両前輪の右側車輪40aと後輪の左側車輪40bに係るブレーキ液圧制御系の説明を以て図示されない車両前輪の左側車輪と後輪の右側車輪に係るブレーキ液圧制御系の説明に代えることとする。
ブレーキマスタシリンダ30とブレーキペダル20の間には、ブレーキペダル20の踏み込み力を増圧するためのブースタ31が設けられている。
そして、ブレーキマスタシリンダ30とホイールシリンダ41aは、主油圧管50aによって、また、ブレーキマスタシリンダ30とホイールシリンダ41bは,主油圧管50bによって、それぞれ接続されており、それぞれの配管途中の適宜な位置には、通常開成状態とされる第1の電磁切換弁60a,60bがそれぞれ設けられている。
また、第1の電磁切換弁60aとホイールシリンダ41aの間の主油圧管50aの適宜な位置には、リザーバ接続用油圧管51aが接続されており、その配管途中には、通常閉成状態とされる第2の電磁切換弁61aが設けられ、リザーバ接続用油圧管51aの他端はリザーバ70aに接続されている。
同様にして、第1の電磁切換弁60bとホイールシリンダ41bの間の主油圧管50bの適宜な位置には、リザーバ接続用油圧管51bが接続されており、その配管途中には、通常閉成状態とされる第2の電磁切換弁61bが設けられている。そして、リザーバ接続用油圧管51bの他端は、先のリザーバ接続用油圧管51aに、第2の電磁切換弁61aの出口側に位置する適宜な部位で接続されてリザーバ接続用油圧管51aを介してリザーバ70aに連通するようになっている。
そして、リザーバ接続用油圧管51aには、第2の電磁切換弁61a,61bとリザーバ70aの間の適宜な位置に、ブレーキマスタシリンダ30と連通する戻し用油圧管52が接続されている。この戻し用油圧管52には、適宜な位置にブレーキマスタシリンダ30側から順に第1の戻し路用逆止弁80、油圧ポンプ装置90のプランジャ91a及び第2の戻し路用逆止弁81が配設されている。
油圧ポンプ装置90は、リザーバ70aのブレーキ液を吸い上げてブレーキマスタシリンダ30へ還流させるためのもので、駆動モータ92と、このモータ92の出力軸に固着された固定カムによって往復動される2つのプランジャ91a,91bから概略構成されたプランジャ型のポンプとなっているものである。なお、他方のプランジャ91bは、図示を省略された車両前輪の左側車輪と後輪の右側車輪に係るブレーキ液圧制御系において同様に用いられるものとなっている。
上述の第1の電磁切換弁60a,60b、第2の電磁切換弁61a,61b及び駆動モータ92は、電子制御ユニット10によって、それぞれの動作制御が行われるようになっている。また、電子制御ユニット10には、ブレーキペダル20の作動の有無を検出するペダル作動スイッチ21のオン・オン信号や図示されない車輪速度検出センサなどの検出信号が入力され、必要な動作制御処理に供されるようになっている。
上述した構成におけるブレーキ液圧制御装置の基本的な動作は、この種の公知・周知のブレーキ液圧制御装置と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略するが、全体的な動作を以下に概略的に説明することとする。
例えば、ブレーキを作用させるため、ブレーキペダル20が操作されると、ペダル作動スイッチ21により、その操作に応じた検出信号が電子制御ユニット10に入力される。同時に、ブレーキマスタシリンダ30からは、ブレーキペダル20の操作に応じた油圧のブレーキ液がホイールシリンダ41a,41bに供給され、ホイールシリンダ41a,41bにおいてブレーキ力が発生し、車輪40a,40bにブレーキが作用するようになっている。
そして、電子制御ユニット10において、アンチロックブレーキ制御が必要であると判断されると、第1の電磁切換弁60a,60bが励磁されて、主油圧管50a,50bは非連通状態とされ、ホイールシリンダ41a,41bの油圧が一定に保持される。そして、さらに電子制御ユニット10において、ブレーキを弛めるべきであると判断されると、第2の電磁切換弁61a,61bが励磁される。その結果、ホイールシリンダ41a,41bのブレーキ液が第2の電磁切換弁61a,61bを介してリザーバ70aへ排出され、ブレーキが弛められるようになっている。
同時に、駆動モータ92が駆動回路を介して電子制御ユニット10により駆動され、リザーバ70aに貯留されたブレーキ液が油圧ポンプ装置90によって吸い上げられて、ブレーキマスタシリンダ30に還流されることとなる。
かかる構成において、特に、図1において、二点鎖線で囲まれた部分は、外観形状がほぼ直方体状に形成された油圧ブロック12(図2参照)に、上述の電磁切換弁等が組み込まれた油圧ユニット11となっている。
以下、かかる油圧ユニット11に設けられた本発明の実施の形態におけるリザーバ70aの構成について、図2乃至図5を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、リザーバ70aと、図示を省略した他方のブレーキ系統におけるリザーバとを区別する必要のない場合においては、リザーバ70と称することとする。
まず、油圧ユニット11を構成する油圧ブロック12は、例えば、アルミ等の金属材からなるブロック状の部材が用いられており、上述の第1の電磁切換弁60a,60b、第2の電磁切換弁61a,61b等が組み込まれると共に、内部には、主油圧管50a,50b等のブレーキ液が流通する管としての機能を果たす通路(図示せず)が形成されたものとなっている。
図2は、本発明の実施の形態における第一実施例に係るリザーバ70の縦断面図である。
リザーバ70は、油圧ブロック12に形成されたシリンダ71と、リザーバ接続用油圧管51aから供給された油をシリンダ71に蓄積し密閉するピストン72と、ピストン72にかかる液圧に作用しピストン72の移動により油の蓄積容積を変動せしめる板状バネ73と、板状バネ73の一端を固定すると共にシリンダ71の開口部を塞ぐカバー74からなる。
ピストン72にはシリンダ71との密閉手段としてその外周に円周溝が形成され、その円周溝には0−リング75が配置されている。また、カバー74はシリンダ71の開口部に圧入するか、開口部に配置した後に油圧ブロック12をカシメることにより固定しても良い。
図3は、本発明の実施の形態における第一実施例に係り図2で組み込まれた板状バネ73とカバー74を一体化した斜視図である。カバー74は略円形の板状で、その片面の外周縁部には突出部110があり、円形の板状バネ73の円形リング100が嵌合する座101が形成されている。そして板状バネ73は、円形リング100と、シリンダ71内のピストン72と対向する押し圧部102と、円形リング100と押し圧部102を連結すると共に圧縮方向の力に対向するバネ力を有する3つのバネ部103を有する。図3のようにカバー74と板状バネ73は事前に板状バネ73の円形リング100をカバー74の外周縁部の突出部110の内周に嵌合し座101に一体化しておき図2のようにシリンダ71内に配置される。
なお、板バネ73の円形リング100をカバー74の外周縁部の突出部110の内周に一体化する方法は、嵌合する方法以外に、例えば溶接、接着、溶着等の方法が考えられる。
図4は、本発明の実施の形態における第二実施例に係るリザーバ70の縦断面図である。
リザーバ70は、油圧ブロック12に形成されたシリンダ71と、リザーバ接続用油圧管51aから供給された油をシリンダ71に蓄積し密閉するピストン72と、ピストン72にかかる液圧に作用しピストン72の移動により油の蓄積容積を変動せしめる板状バネ76と、板状バネ73の一端を固定すると共にシリンダ71の開口部を塞ぐカバー74からなる。
ピストン72にはシリンダ71との密閉手段としてその外周に円周溝が形成され、その円周溝には0−リング75が配置されている。また、カバー74はシリンダ71の開口部に圧入するか、開口部に配置した後に油圧ブロック12をカシメることにより固定しても良い。
図5は、本発明の実施の形態における第二実施例に係り図4で組み込まれた板状バネ76とカバー74を一体化した斜視図である。カバー74は略円形の板状で、その片面には外周縁部に突出部110があり、略円形の板状バネ76の円形状板104が配置される座101が形成されている。そして板状バネ76は、円形状板104と、円形状板104から折り返され舌形状をしており、シリンダ71内のピストン72に対し圧縮方向に対向するバネ力を有する舌形バネ106と、舌形バネ106の先端部に形成されピストン72と対向する押し圧部105からなる。そして、図5のようにカバー74と板状バネ76は事前にカバー74の座101にはその中央からオフセットされた位置に板状バネ76側に凸部107を有し円形状板104に設けられた穴部108に嵌合されるとともに、板状バネ76の一部が切り欠かれた円形リング109をカバー74の外周縁部の突出部110の内周に配置して一体化しておき図4のようにシリンダ71内に配置される。
なお、板状バネ76側の凸部107と円形状板104に設けられた穴部108を固定する方法は、嵌合する方法以外に、例えば溶接、接着、溶着等の方法が考えられる。
以上、本発明によれば、板状バネはリザーバを組み立てる以前にカバーに嵌合等によって一体化しておくので、位置決めが確実にできると共に、板状バネがシリンダ内で傾いた状態でカバー部材をシリンダ開口部に取り付けることがなく信頼性の高いリザーバを有するブレーキ液圧制御装置を提供できる。さらにカバー部材の軸方向中心と、板状バネ部材の軸方向中心を合わせやすい。また、カバー部材と板状バネ部材が軸方向中心からオフセットされた位置で嵌合すれば、板状バネ部材が非対称の形状でも位置あわせが容易で、仮に嵌合が不十分でもカバー部材と板状バネ部材が回転してしまうことがなく信頼性の高いリザーバを有するブレーキ液圧制御装置を提供できる。
1 ブレーキ液圧制御装置
10 電子制御ユニット
11 油圧ユニット
12 油圧ブロック
20 ブレーキペダル
30 マスタシリンダ
31 ブースタ
40a、40b 車輪
41a、41b ホイールシリンダ
50a、50b 主油圧管
51a、51b リザーバ接続用油圧管
52 戻し用油圧管
60a、60b 第1の電磁切替弁
61a、61b 第2の電磁切替弁
70 リザーバ
71 シリンダ
72a、72b ピストン
73 板状バネ
74a、74b カバー
75 O−リング
76 板状バネ
80 第1の戻し路用逆止弁
81 第2の戻し路用逆止弁
90 油圧ポンプ装置
91a、91b プランジャ
92 駆動モータ
100 円形リング
101 座
102 押し圧部
103 バネ部
104 円形状板
105 押し圧部
106 舌形バネ
107 凸部
108 穴部
109 円形リング
110 突出部

Claims (2)

  1. ブレーキ液の切替通路を形成すると共にブレーキ液を一時的に蓄積するリザーバが設けられてなる油圧ユニットと、前記油圧ユニットの通路の切り替えをする電磁切替弁を駆動制御する電子制御ユニットとを少なくとも備えるブレーキ液圧制御装置において、
    前記リザーバは、前記油圧ユニットを構成する油圧ブロックに形成されたシリンダと、前記シリンダの内部を軸線方向に往復移動可能であり液圧室と気体室をそれぞれ区画するピストンと、前記気体室に位置し前記ピストンに対し前記気体室の側から前記液圧室の側に向かう力を与える板状バネ部材と、前記シリンダの開口部を塞ぐカバー部材とを具備してなり、
    前記板状バネ部材と前記カバー部材は隣接部の一部を一体化してなり、
    前記板状バネ部材は、円形リングと、前記シリンダ内のピストンと対向する一体の押し圧部と、前記円形リングと前記一体の押し圧部を連結すると共に圧縮方向の力に対向するバネ力を有する3つのバネ部と、を有する、
    ことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 前記カバー部材は略円形の板状で内面側の外周の縁部に突出部を有し、前記突出部の内周に前記板状バネ部材の円形リングが嵌合することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
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