以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
第一実施形態の開閉装置はデスクとして構成したものであり、図1に示すように、このデスク1は本体部10に開閉部材としての引出し3を取り付けたものとなっている。本体部10は天板11と脚12とによって構成されており、引出し3は、この天板11の下方に取り付けられることで内部に収納空間Sを形成している。さらに、この引出し3は本体部10との間で協働して作動するラッチ構成部7を備えている。
ここで、本実施形態においては、デスク1が脚12を介して床面に設置された状態を基準として、上下方向を定義する。また、このデスク1を使用する使用者が着座する位置を前方向、これと反対となる方向を後ろ方向と定義し、これらと直交する方向を左右方向、より具体的には使用者から見て左側を左方向、右側を右方向と定義する。また、左右方向は天板11の巾方向とも称する。
デスク1は、図2に示すように、天板11の下面11aに一対のガイドレール2(2A,2B)を天板11の巾方向に離間させて取り付けており、これらのガイドレール2A,2Bによって、引出し3の巾方向両端に位置する枠構成体としての側枠部4(4A,4B)をそれぞれ支持することで、協働して引出し3を支持するようになっている。ここでいう枠構成体とは開閉部材を構造体として構成するために不可欠な構成要素を指すものであり、本実施形態における引出し3の側枠部4もこれに該当するものである。ガイドレール2A,2Bは、それぞれ天板11の奥行き方向に延在させつつ、平行になるように取り付けられており、互いに左右対称となる形状として、内側に向けて開口された略内向きチャネル状に形成されている。こうすることで、図3に示すように、ガイドレール2A,2Bに沿って、引出し3を前方向に引き出して内部の収納空間Sを開放させたり、後ろ方向に押し込んで収納空間Sを閉止させたりすることができるようになっている。
ガイドレール2(2A)は、図4に示すような形状で、金属板の折曲げを主体として製作している。大きくは、それぞれ略平板状に形成された上板部21、側板部22、及び、底板部23とから構成されており、これらによって上述した略内向きチャネル状の形態となっている。そして、天板11の下面11a(図1参照)に上板部21の上面21aを当接させつつ、取付具27を用いて、天板11に取り付けることが可能となっている。
上板部21の後方には、上方に突出するフック状の取付部24〜24が形成されるとともに、前方にも取付部25が形成されている。また、取付部25の近傍には、2つの取付孔26a,26bが、前後方向に離間して形成されている。さらに、上板部21の前部には後に詳述するラッチ受部81が形成されている。
上板部21とほとんど同じ巾で連続しつつ垂下するように側板22部が形成されており、この側板部22と連続して底板部23が形成されている。底板部23は上板部21とほぼ平行となるように形成されているものの、巾寸法が上板部21よりも小さくなるようにしている。さらには、内側の位置に上方に向けて折り曲げられた折り曲げ部23aが形成されている。
ガイドレール2を天板11の下面11a(図1参照)に取り付けるために用いる取付具27は、上記取付孔26a,26bに対応する形状で上方に突出させた係合部27a,27bを備え、これらを平板部27cでつないだ形状としている
ガイドレール2を天板11(図1参照)に取り付ける際には、天板11の下面11a(図1参照)に形成された係合孔(図示せず)にフック状の取付部24〜24,25をそれぞれ挿入して前方向にスライドさせることで係合状態としつつ、取付具27の係合部27a,27bを取付孔26a,26bを介して天板11の別の係合孔に係合させる。こうすることでガイドレール2が天板11に対して位置ズレすることなく、取付部24〜24,25が下面11aの係合孔との係合状態を保つことが可能となるため、これらによってガイドレール2を支持することが可能となる。
このようにガイドレール2を取り付けた場合には、ガイドレール2の底板部23によって、引出し3(図1参照)の重量を支持することが可能となるとともに、側板部22と折り曲げ部23aとの間で、側方への引出し3の移動を規制することも可能となる。
引出し3は、図5に示すように4つの部品から構成されており、主構成体5と、枠構成体としての一対の側枠部4(4A,4B)と、ラッチ操作を行うための操作片6とからなる。
主構成体5は、金属の折り曲げ加工を主体に形成したものであり、大きくは後板部51,底板部52,前板部53が連続した形状とされている。また、前板部53にはさらにカバー部54が連続するように形成されており、このカバー部54は、下側を開放された略チャネル状に形成されることで、その内部に操作片6を収容することが可能となっている。底板部52には、幅方向に亘って段差状の折り曲げ部55を形成しており、上下方向への撓みに対する強度を向上させるようにしている。
操作片6も、折り曲げ加工を主体に形成したものであり、上面部61と前面部62とが略直交するように形成されるとともに、前面部62の下端と連続して、前下方に向けて傾斜しつつ延在する操作部63が形成されている。操作部63は、上面部61及び前面部62に対してやや巾寸法を小さく設定されている。
側枠部4A,4B(4)は、互いに左右対称の形状としつつ、全体を樹脂一体成形によって形成したものである。以下においては、後述するラッチ片71以外の部位を、主要部4Mとして区別して称するが、これらは共に側枠部4として一体に成形されたものである。
側枠部4における主要部4Mは、引出し3全体の厚みに略対応する厚みを備えており、軽量化のために、適宜内部に空洞を設けつつリブによって補強した構成としている。さらに、この側枠部4の主要部4Mは、内側に開放された後溝部41,底溝部42,前溝部43と、内部空間44とを備えている。後溝部41,底溝部42は各々主構成体5の後板部51,底板部52に対応した形状となっており、前溝部43とこれに繋がる内部空間44とは、主構成体5の前板部53とカバー部54に対応した形状となっている。
引出し3の組立てを行う場合には、主構成体5のカバー部54の内部に操作片6を収容させた状態とした上で、左右より挟み込むようにして側枠部4A,4B(4)を嵌め込んでいく。この際、側枠部4に形成された後溝部41には後板部51が、底溝部42には底板部52が、前溝部43とこれに繋がる内部空間44には、前板部53とカバー部54と操作片6の側端64とがそれぞれ収まるようになっている。溝部41〜43内にも適宜補強のためのリブ49が設けられているが、主構成体5の幅方向端部近傍には、リブ49と対応する位置に切欠き部57(図8,9参照)が設けられており、干渉することがないようになっている。嵌め込みに当たっては、主構成体5の巾方向端部の数カ所に形成された係合孔56〜56に、側枠部4に形成された弾性爪48〜48(図8,9参照)が係合する構成となっているために、容易に分解が不能となるとともに引出し3として組立てられた状態を安定して維持することが可能となっている。また、主構成体5及び操作片6として、巾寸法の異なるものを使用すれば、同一の側枠部4を使用して巾寸法の異なる引出し3を種々容易に製作することが可能となっている。
上記のような本実施形態における開閉部材としての引出し3の構成を、図8及び図9に示す部分拡大斜視図を用いてさらに説明を加える。
引出し3の組立てに際しては、上述したように主構成体5のカバー部54の内部に操作片6を収容させた状態とする。図9に示すように、カバー部54に対して、操作片6の上面部61は前後方向を小さく形成されているとともに、巾方向を大きく形成されている。そのため、図8のようにカバー部54の内部に収容した状態では、側端64が突出するとともに、カバー部54の内部で手前側に隙間が形成される。また、カバー部54の下方より操作部63が突出した状態となり、上記カバー部54内部の手前側の隙間の範囲で、操作部63を操作することが可能となっている。
さらに、この操作片5は、側枠部4の嵌め込みを行った際には、側端64の内側、より具体的には、上面部61と前面部62との接続部分の内側が、側枠部4の内部空間44の中で上方に向けて凸となるように形成された回転支持部45に当接するようになっている。さらには、側端64の内面、より具体的には、上面部61の内面が、ラッチ片71の先端に形成された後述の係り合い部74に当接するようになっている。すなわち、操作片5は、カバー部54によって位置規制されるとともに、上記回転支持部45と係り合い部74によっても支持されることになる。
前述のラッチ片71は、詳細には、次のようにして主要部4Mと一体に形成され、主要部4Mとともに側枠部4を構成している。側枠部4はその表面の一部である前方側の上面46に略矩形状に開口部47が形成されており、その開口部47の内側壁と連続するように、ラッチ片71は一端に形成された基端部73を介して片持ち状に設けられている。ラッチ片71は上面46に沿って前方に向かって延在するように形成されるとともに、一部が上面46より上方向に突出するツメ部72となっている。
ツメ部72には、基端部73より前方に向かって上方に傾斜したテーパ面72aが形成されるとともに、テーパ面72aと連続する前方には、下方に向かって切り落とされた面として係止部72bが形成されている。また、ラッチ片71の先端には係止部72bと連続しつつ前方に向かう平面として前述の係り合い部74が形成されている。ラッチ片71は、基端部73が上下方向に弾性変形するように撓み変形を行うことにより、上下に動作可能となっている。
このようにラッチ片71が形成された側枠部4に対して、主構成体5及び操作片6を組み込んだ状態を図7に示す。係り合い部74に対しては、操作片6の側端64のみが係り合い、主構成体5のカバー部54は干渉しないようになっているために、操作片6の動作によって係り合い部74に操作力を伝達することができるようになっている。また、操作片6の操作部63は側枠部4間に亘って設けられることで、ほぼ引出し3の巾方向全体に亘って設けられることになり、巾方向のいずれの箇所を持っても操作が可能となっている。さらには、引出し3の両端には、互いに左右対称となる形状で、側枠部4とガイドレール2とが設けられていることから、ラッチ構成部7は両端にそれぞれ構成されるとともに、一個の操作片6を動作させるのみで、左右のラッチ片71を同時に操作させることも可能となっている。
上記ラッチ片71と対応して、ガイドレール2の上板部21には前述したラッチ受部81が形成されている。ラッチ受部81は、矩形状の開口部82とこの前方に連続して形成された凹部83より構成されている。上記開口部82の内側面の一部を構成する凹部83の端面は係止面83aとして、ラッチ片71側の係止部72bと係わり合うことができるようになっている。
凹部83は、上板部21の一部を下方に向かって凸状に変形させることによって形成したものであり、こうすることで上板部71の下面に対して係止面83aの位置を若干下方にして、ラッチ片71の係止部72bが引っ掛かりやすくなるようにしている。また、凹部83の前方をテーパ状にして緩やかに変形させているために、これに対応して上板部71の下面の凸形状も緩やかに変形しており、これと当接するラッチ片71のテーパ面72aが滑らかに摺動可能となるようにしている。
また、係止面83aは、ラッチ片71の基端部73よりも上方になるように位置関係を設定している。そのため、ラッチ片71が突出したままの状態で引出し3を引き出す方向に力が作用した場合、係止部72bが係止面83aと当接することで、基端部73にはラッチ片71を上方に起き上がらせる向きのモーメントが作用する。従って、ラッチ片71を引き込ませる係止解除に係る操作を行わない限り、ラッチ片71が係止面83aに引っ掛かった状態をより適切に維持することができ、不用意に引出しが飛び出すことを防止することが可能となっている。
引出し3の側枠部4をガイドレール2に支持させた状態で、引出し3を奥側に押し込んでいくと、図6に示すように、ラッチ片71とラッチ受部81とが対応した対置においてラッチ片71が上方に飛び出し、係止部72bが係止面83aに当接して係合することにより両者で係止状態を形成することができるようになっている。こうすることで、ラッチ片71とラッチ受部81とはラッチ構成部7を形成して、協働して天板11(図1参照)に対して引出し3を係止状態とすることが可能となっている。
この係止状態に至る直前の状態においては、ラッチ片71は上板部21の内面に当接して内方に押し込まれることになる。この時、ラッチ片71の基端部73(図7参照)が撓み変形することで、ラッチ片71は内部空間44(図8参照)に円滑に引きこまれることになる。さらに、撓み変形した基端部73の復元力が、ラッチ片71を上方に向かって進出させようとする付勢力として働き、ラッチ片71とラッチ受部81とが対応する位置関係となった場合に、ラッチ片71を円滑に進出させることができるようになっている。すなわち、この基端部73は、ラッチ片71が上下方向に進退可能となるように弾性的に支持する支持手段として機能するとともに、上面46よりラッチ片71を進出させるための付勢手段としても機能している。
上記のように、本実施形態においては、ラッチ受部81をガイドレール2の上板部21に開口部82を設けることによって簡便に形成しているが、ラッチ片71の係止部72bと協働して係止状態を形成する係止面83aが得られる限り、フック状の別部材を固定して設けるなど、種々様々な形態でラッチ受部81を構成することが可能である。
本実施形態において、係止状態となる際のラッチ片71とラッチ受部81との係合深さは、一対一の相互位置関係のみによって規定され、これが設けられた側枠部4とガイドレール2のみによって決定されることになる。具体的には、ガイドレール2の内部によって側枠部4を上下方向に支持しつつ、上下方向にできた隙間の範囲でラッチ片71が上下方向に進出して、ラッチ受部81に係合するように構成しているため、双方の上下方向における寸法誤差から生じる相対位置のバラツキと、それぞれの部材に対するラッチ片71又はラッチ受部81の位置精度バラツキによる影響を受けることになる。そのため、係合深さからすると、わずか2つの部品における製作精度のみを問題とすれば良いのであり、同じデスク1を多数製作する場合でも、極めて高精度に係合深さを適切に維持することが可能となり、個体差を無くして歩留まりを向上させることが可能となっている。
また、ラッチ片71は側枠部4の主要部4Mとともに一体成形しており、ラッチ受部81もガイドレール2の上板部21に直接形成していることから、より位置精度を向上させて、係合深さを一定に保ち、個体間差を小さくすることを容易にしている。
ここで、図7におけるX−X部の断面矢視図を図10に示す。
上述したように、主構成体5は後板部51(図5参照)、底板部52、前板部53及びカバー部54が連続した構成となっており、側枠部4に形成された溝部41(図5参照)及び溝部42,43並びに内部空間44に収められるようにして、側枠部4との間で組立てがなされる。この際、カバー部54の内部には操作片6を収容した状態としておく。上述したように、操作片6は、カバー部54の内部によって支持されるとともに、回転支持部45と係り合い部71によって支持されることになる。
回転支持部45は、上方に突出するとともにやや前方にも突出した形状となっていることから、主として操作片6の上面部61と前面部62との間の交点部分に当接するようになっている。
次に、図7におけるY−Y部の断面矢視図を図11に示す。
この断面は、ラッチ片71の中心を通る平面によって切断したものであり、操作片6の側端64における位置に該当する。この断面を採る位置においては、主構成体5(図10参照)は存在しておらず、操作片6のみがラッチ片71に対して係わり合うようになっている。
すなわち、図10におけるカバー部54の内部で、且つ、側枠部4の内部空間44において、操作片6は操作部63を手前側に引き寄せることによって、回動支持部45を起点として回動することが可能となっており、こうした場合には、図10で示す操作片6の側端64が作用端としてラッチ片71の先端の係り合い部74に操作力を伝達することができるようになっている。
このように操作片6の操作を行った場合には、操作片6の回動とともに、図12に示すように基端部73が上下方向に弾性変形するように撓み変形することで、ラッチ片71を側枠部4の内方に引き込み、ツメ部72を側枠部4の上面46より内側に引き込むことができるようになっている。こうすることで、既に係止状態にあった場合には、ガイドレール2のラッチ受部81(図6参照)よりラッチ片71を離間させて、係止状態を解除することが可能となっている。この操作に当たっては、操作片6を介した操作力が、ラッチ片71の先端側に伝達されることで、ラッチ片71の引き込みがなされるため、小さな操作力で確実にラッチ片71の引き込みを可能として、より安定したラッチ片71の進出動作を行うことが可能となっている。また、操作片6の作用端側といえる側端64の近傍においては、側枠部4の内部空間44が小さくなるように設定されており、この範囲内に限定してのみ操作片6が回動するようにしているために、必要以上にラッチ片71の動作を大きくして基端部73の塑性変形が生じないようにも配慮している。
また、操作片6の操作を終えた場合には、基端部73の復元力がラッチ片71を上方に進出させるための付勢力として作用して、図11のようにラッチ片71が上面46より突出した状態となるとともに、これに伴って操作片6が係り合い部74を介して回動されて元の位置に戻ることになる。この際、ラッチ片71に対して、ガイドレール2のラッチ受部81(図6参照)が対応する位置にある場合には、両者を係合させて係止状態とすることが可能となっている。
以上のように、本実施形態の開閉装置としてのデスク1は、本体部10と、本体部10に対して移動可能に支持された開閉部材としての引出し3を備えるものであり、引出しの少なくとも一部を構成する枠構成体としての側枠部4が、側枠部4の主要部4Mに対してラッチ片71を連設された形態で一体成形され、引出し3がラッチ片71と係り合う位置に操作片6を備えるとともに、本体部10がラッチ片71と対向する位置にラッチ受部81を備えており、ラッチ受部81にラッチ片71が係合することで本体部10に対して引出し3が係止状態となり、操作片6の操作によりラッチ片71の一部が弾性変形することでラッチ受部81よりラッチ片71が離間して係止状態が解除されるように構成したものである。
このように構成しているため、少ない部品点数で、ラッチ片71を引出し3に支持させつつラッチ受部81に対して進退する構造を実現することができ、製造コストの低減が可能となる。また、部品点数が少ないことから、動作安定性を向上させることも可能となり、長期間の使用においても本体部10に対する引出し3の係止及び係止解除といったラッチ動作をより安定して行うことも可能となっている。
また、ラッチ片71が引出し3に対して、引出し3の開閉方向と交差する上方向に進退可能に構成されているため、より円滑にラッチ片71の動作を行わせて、係止と係止解除といったラッチ動作を安定して行うことが可能となっている。
また、側枠部4の主要部4Mの表面の一部である上面46に開口された開口部47の内部で、上面46に沿って延出されるようにラッチ片71が配されているとともに、ラッチ片71のうち少なくとも一部が開口部47より外方に突出するツメ部72として形成されており、このツメ部72の一部にテーパ面72aが形成されるとともに、ラッチ受部81と係り合うための係止部72bも形成されるように構成しているため、ラッチ動作をさらに円滑に行わせることが可能となり、特段の操作を必要とすることなく、引出し3を閉止するのみで係止状態とすることが可能となっている。
また、ラッチ片71が、その一端に設定された基端部73によって片持ち状に支持された形態で側枠部4の主要部4Mに一体で設けられており、係止状態の解除の際には、上記ラッチ片71の一部として基端部73が弾性変形するように構成しているため、ラッチ片71の支持とラッチ片71を進退可能にする構造とを簡便に実現することが可能となっている。
また、ラッチ片71の先端部に係り合い部74が形成されるとともに、係り合い部74に対向するように操作片6が配置されており、操作片6の作用端64が係り合い部74に係り合いつつラッチ片71を側枠部4の主要部4Mの内方に引き込み得るように構成しているため、操作片6に与える僅かな操作力で効率よくラッチ片71を動作させ、確実に係止状態の解除を行うことが可能となる。
また、操作片6が、側枠部4によって回動自在に支持されており、操作片6を回動させることによって、ラッチ片71の引き込み動作を行うように構成しているため、操作片6の支持とラッチ片71を引き込むための動作とを、簡単な構成で実現することができ、部品点数をさらに削減して製造コストを低減するとともに、動作信頼性を向上させることも可能となっている。
また、側枠部4が引出し3の両端に設けられているとともに、それぞれの側枠部4が備えるラッチ片71が協働して引出し3を本体部10に対して係止状態とするように構成しているため、簡単な構成でありながら、より安定して引出し3を係止状態とすることが可能となっている。
また、引出し3の両端に側枠部4に亘って操作片6が配置されており、操作片6の操作によって両端の側枠部4におけるラッチ片71を同時に操作するように構成しているため、操作片6の操作性を向上させるとともに、係止解除を効率よく行うことも可能となっている。
また、側枠部4が樹脂によって形成されているとともに、引出し3の主要部分となる主構成体5に対して嵌め込むのみで引出し3として一体化がなされるように構成しているため、簡単の構成としながら、より組立を容易に行うことができるようになり、製造コストをさらに低減することが可能となっている。
<第二実施形態>
この第二実施形態の開閉装置も上述の第一実施形態と同様、デスクとして構成したものである。そして、第一実施形態のデスクに対して、図13に示す開閉部材としての引出し203のみを変更したものである。そのため、第一実施形態と同じ箇所には同じ符号を用いて説明を省略する。
この引出し203も、巾方向両端に位置する側枠部204(204A,204B)と、これらにより挟み込まれる主構成体205とを備えており、この内部で収納空間Sを形成できるようになっている。そして、上記側枠部204(204A,204B)を、図2に示すよう天板11の下面11aに設けた一対のガイドレール2(2A,2B)により支持させることで、収納空間Sの開放及び閉止を行う動作が可能となっている。さらに、この実施形態における引出し203は、図13に示すように施錠手段209を備えており、これを用いて引出し203を施錠することが可能となっている点で、第一実施形態と大きく異なっている。
引出し203は、図13及び図14に示すように、主構成体205と、枠構成体としての一対の側枠部204(204A,204B)と、ラッチ操作を行うための操作片206と、ラッチ操作のロックを行うための施錠手段209とから構成されている。
主構成体205は、第一実施形態における主構成5(図5参照)と、略同一の形状に金属の折曲げ加工によって形成されている。但し、前板部253の正面右側寄りの位置には、施錠手段209を取り付けるための矩形状の取付孔253aが3箇所に設けられている。
操作片206も、第一実施形態における操作片6(図5参照)と同様、折り曲げ加工を主体に形成している。第一実施形態のものとは、前面部262より前下方に延在させる操作部263が側面視略チャネル状になっており、細かな形状が異なっているが、側枠部204内に嵌め込まれる上面部61及び前面部62が略直交するように連続して設けられているなど、基本的な形状と機能は第一実施形態のものとほとんど変わることがない。但し、操作部263の正面右側が切欠かれることで、開口部206aが形成されており、その内部に配される施錠手段209と干渉することがないようになっている。
側枠部204A,204B(204)は、第一実施形態における側枠部4A,4B(4)(図5参照)と略同一の形状に樹脂一体成形によって形成したものであり、第一実施形態と同様、ラッチ片271が主要部204Mに連設された形状となっている。第一実施形態のものとは細かな形状が異なっているものの、主構成体205と操作片206とを左右より挟み込むようにして嵌め込むことが可能であるとともに、操作片206を操作することで側枠部204の前方の上面246よりラッチ片271を内側に引き込み可能になっており、基本的な機能は全く同一となっている。ラッチ片271の周囲には、上面246より高さ方向に若干突出させつつ上面246と平行に突出面246aが形成されており、ガイドレール2(図2参照)に取り付けて引き出した際に、その上板部21(図2参照)の下面には上記突出面246aが専ら当接して摺動することで、上面246全体に摺動痕が付くことを防止可能としている。なお、ラッチ片271は、突出面246aよりも十分に突出するようにしているため、引出しを係止するための機能が損なわれることもない。
施錠手段209は、略直方体状の錠本体部291と、これに組み込まれた回転円筒部292と、錠本体部291の上方より側方に向けて延在するスライド片293とを備えている。また、錠本体部291の上方および正面から見て左側方には、複数の矩形状の取付片294〜294が裏面側に張り出すように形成されており、上述の主構成体205に設けられている取付孔253a〜253aに差し込んで、主構成体205によって支持させることができるようになっている。回転円筒部292は、いわゆるシリンダ錠として構成しており、表面の露出面に形成された鍵穴に適合する鍵を挿入させた状態で約180°の回転が可能となっている。そして、回転円筒部292の回転によって、スライド片293を延在方向、すなわち図中の左右方向に直線的に動作させることが可能となっている。具体的には、回転円筒部292を右回りに回転させることで、錠本体部291よりスライド片293を図中右方向に進出させた施錠位置とするとともに、回転円筒部292を左回りに回転させることで、スライド片293を図中左方向に退避させた解錠位置にすることができるようになっている。
上記のような引出し203も、基本的構成は第一実施形態と同様であり、施錠手段209が設けられている点が異なっているに過ぎないため、第一実施形態と全く同様に組立を行うことができる。
具体的には、まず施錠手段209の取付片294〜294を、取付孔253a〜253aに差し込むことで、施錠手段209を主構成体205によって支持させた状態とする。さらに、主構成体205のカバー部254内に操作片206を収容させる。この状態で、図15に示すように、主構成体205の幅方向外側より側枠部204を嵌め込む。この際、主構成体205とともに操作片206の端部264も側枠部204の内部空間244に収容され、操作片206は所定角度範囲内で回動自在に支持されるととともに、ラッチ片271の先端の係り合い部274と係合して、回動と共にラッチ片271の引き込みが可能となる。
また、側枠部204を取り付けることで、側枠部204の内側側面が、施錠手段209における錠本体部291の側面291aに当接するようにしている。こうすることで、上記取付片294〜294と側面291aによって錠本体部291の位置決めを行うことができ、こうすることで特別な固定手段を用いることなく、側枠部204を嵌め込むのみで施錠手段209を固定することができるようになっている。
また、上記の側枠部204を取り付けた際には、図16に示すように、施錠手段209のスライド片293の先端293aが、側枠部204の内部に形成された係合空間249に係合する。そして、上記のように回転円筒部292を回転させることで、スライド片293を幅方向に移動させることが可能となっている。
スライド片293が図中右方向に進出させた施錠位置においては、スライド片293の先端293aは、ラッチ片271先端に形成された係り合い部274の下方に到達するようになっている。こうすることで、係り合い部274の下面がスライド片293に干渉して、ラッチ片271の引き込みを不能にして、係止状態の解除が不能、すなわち施錠状態とすることが可能となっている。他方、スライド片293を図中左方向に退避させた解錠位置においては、スライド片293の先端293aは係合空間249内に留まりつつも、ラッチ片271先端の係り合い部274の下方より抜かれた状態となる。こうすることで、係り合い部274の下面がスライド片293に干渉することなく、ラッチ片271の引き込みが可能となり、操作片206の動作によって係止状態を解除することができる、すなわち解錠状態とすることが可能となっている。
以上のように構成した第二実施形態における開閉装置としてのデスク201は、上記第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、本実施形態のデスク201は、錠本体部291とこの本体部291より進退可能なスライド片293とを具備する施錠手段209を開閉部材としての引出し203に設けており、施錠手段209を施錠状態とすることでスライド片293がラッチ片271の動作を規制して係止状態の解除を不能とし、施錠手段209を解錠状態とすることでスライド片271によるラッチ片271の動作の規制を解いて係止状態の解除を可能とするように構成したものである。
このように構成しているため、引出し203側のみに施錠手段209を追加するのみで、天板11側に何らの加工を施すことなく、簡便に施解錠の機能を追加することが可能となっている。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態で示したガイドレール2は、様々な形状に変更することができ、図17に示すような形状にすることで本体に対する取り付け構造を変更することも可能である。図17に示すガイドレール302は、上板部21の前方にフック状の係合片324,325が設けられている。このうち、内側に位置する係合片324は、上板部21より僅かに上方に突出しつつ、側方に向かって円弧状に折れ曲がった形状となっている。外側に位置する係合片325は、上板部21より僅かに上方に突出してから、側方に向いて略直角に折れ曲がった形状となっており、係合片324よりも側方への張り出しが長くなるように形成されている。また、上板部21の後方には、矩形状の係合孔326が設けられている。天板311にも、これらと対応する矩形状の取付孔311a,311b,311cが形成されている。ガイドレール302の天板311への取り付けに当たっては、まず係合片324,325を取付孔311a,311bにそれぞれ挿入して、側方にスライドさせて引っ掛けた係合状態とする。そして、保持部材327の差込部327bを、取り付け孔311aと係合片324との隙間に緊密に挿入し、平板部327aのみが外部に表れた状態とする。差込部327bは、係合爪部を備えており弾性で拡開するため、これを閉じない限り外れることはない。こうすることで、保持部材327を意図的に取り外さない限り、係合片324,325のスライドが不能となり取付孔311a,311bより外れることはなくなる。また、ガイドレール302の後方側においては、係合孔326と取付孔311cとを重ねあわせた状態で保持部材328の差込部328bを挿入し、平板部328aのみが外部に表れた状態とする。この保持部材328の差込部328bも係合爪部を備えており、差し込まれた際の抜止めとして機能して、ガイドレール302の後方を支持することが可能となる。
また、上述の実施形態においては、開閉装置としてデスク1(201)を構成することを前提としつつ、ガイドレール2に直接、ラッチ受部81を形成していたが、天板11の下面にラッチ受部81を形成して、これに対してラッチ片71を進退可能とするのみでも同様の効果を得ることが可能となる。この場合においても、ラッチ片71とラッチ受部81との係合深さは、一対一における相互位置関係のみで規定することができるため、従来に比べて少ない部品点数で相対位置を決定することができ、係合深さをほぼ一定にして、ラッチ動作の安定化を図ることが可能となる。
また、上述の実施形態では、枠構成体として側枠部4(204)を用いていたが、上下方向にラッチ片71(271)を進退可能に構成する限り、前枠部や後枠部として構成することも可能である。
また、上述の実施形態においては、ラッチ片71(271)を上方向に進出させるための付勢手段として、基端部73の弾性変形力を利用していたが、これに変えてバネ等の別部材による弾性手段を用いることも可能である。
また、上述の実施形態における引出し3(203)を天板11下方で左右に配したり、上下方向に多段で配したりする構成等も種々実施することが可能である。
また、上述の実施形態においては、引出し3(203)に対して上方向にラッチ片71(271)が進出する構成としていたが、図18に示すように、引出し403の側方にラッチ片471が進出する構成とすることも可能である。図18(a)は、引出し403の側面を示す模式図であり、図18(b)は引出し403の平面を示す模式図である。この図で示すように、枠構成体としての側枠部404の表面の一部である側面446に開口部447を設け、この開口部447の内部にラッチ片471が基端部473を介して片持ち状に連接された形態で樹脂一体成形している。ラッチ片471の先端には係り合い部474が設けられており、この係り合い部474はテーパ面として形成している。また、側枠部404に対して直交する方向に操作片406が設けられており、端部の軸部466を介して側枠部404に対して回転自在に軸支されている。操作片406は平板状の操作部463を備えるとともに、係り合い部474と係り合うための突出部として作用端464を備えている。このように構成することで、操作片406を回動させることで、作用端464が係り合い部474に作用してラッチ片471を側面446より内方に引き込むことが可能となる。こうした場合でも、上述した実施形態と同様、簡単な構成でラッチ動作を行わせることが可能となる。
また、上述の実施形態では、開閉装置としてデスク1(201)を構成し、開閉部材として引出し3(203)を構成していたが、図19のようなキャビネット型の収納装置501として構成することも可能である。この場合においては、本体部としての筐体510の一面が開口されており、この開口に一端を軸支された開閉部材としての開き戸503を設けており、開き戸503を開くことで内部の収納空間Sを開放することが可能となっている。このものにおいても、上述の実施形態と同様、開き戸503の中心を構成する主構成体505に対して、上下方向両端に樹脂一体成形の枠構成体504,504を設け、この枠構成体504よりラッチ片571が、開き戸503の開閉方向に直交する方向として上側または下側に突出するように構成している。開き戸503には操作片506も設けており、これを操作することで、ラッチ片571を引き込むことが可能になっている。
さらに、図19の収納装置を基にして、図20のような収納装置601として構成することも可能である。この場合においても、本体部としての筐体610の一面が開口されており、この開口に一端を軸支された開閉部材としての開き戸603を設けている。このものにおいても、開き戸603の中心を構成する主構成体605に対して、上下方向両端に樹脂一体成形の枠構成体604,604を設け、この枠構成体604よりラッチ片671が、開き戸603の開閉方向に直交する方向として側面側に突出するように構成している。この場合にも、開き戸603には操作片606も設けており、これを操作することで、ラッチ片671を引き込むことが可能になっている。
また、図21のような収納装置701として構成することも可能である。この場合においても、本体部としての筐体710の一面が開口されており、この開口に対して左右にスライド自在となるように開閉部材としての引き戸703を設けている。このものにおいても、引き戸703の中心を構成する主構成体705に対して、上下方向両端に樹脂一体成形の枠構成体704,704を設け、この枠構成体704よりラッチ片771が、引き戸703の開閉方向に直交する方向として上側または下側に突出するように構成している。この場合にも、開き戸703には操作片706も設けており、これを操作することで、ラッチ片771を引き込むことが可能になっている。
また、図22のような収納装置801として構成することも可能である。この場合においても、本体部としての筐体810の一面が開口されており、この開口に対して軸部分を規制しつつ、回動とスライドとが可能となるように開閉部材としての折れ戸803を設けている。このものにおいても、折れ戸803の中心を構成する主構成体805に対して、上下方向両端に樹脂一体成形の枠構成体804,804を設け、この枠構成体804よりラッチ片871が、折れ戸803の開閉方向に直交する方向として上側または下側に突出するように構成している。この場合にも、折れ戸803には操作片806も設けており、これを操作することで、ラッチ片871を引き込むことが可能になっている。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。