JP5976312B2 - ウェーハ保持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェーハ等の板状ワークを保持するウェーハ保持装置に関し、特に洗浄装置に搭載されるウェーハ保持装置に関する。
半導体デバイスの製造工程においては、略円板状のウェーハ表面が格子状の分割予定ラインよって区画されており、分割予定ラインで区画された各領域にIC、LSI等のデバイスが形成される。ダイシング工程では、分割予定ラインに沿ってウェーハが切削され、個々の半導体チップに分割される。このとき、ウェーハ裏面に貼られたダイシングテープ(粘着テープ)までは切断されず、ウェーハはダイシングテープによって円板形状が維持されている。切削後のウェーハは、ダイシングテープごと洗浄装置に搬送されてウェーハ表面に付着した切削屑が洗い流される。
切削装置のチャックテーブルや洗浄装置のスピンナテーブルの上面からウェーハを剥がす際には、静電気の発生によってウェーハが剥離帯電する場合がある。ウェーハの帯電によって放電が生じると、静電破壊によってデバイスが破損するという問題があった。この静電破壊を防止するために、ウェーハのダイシングテープとして導電テープを用いて除電する方法が考案されている(特許文献1参照)。
特開2004−327613号公報
しかしながら、ダイシングテープとして使用される導電テープは、種類が少ないため、適用可能なウェーハが限られてしまっていた。また、導電テープは高価であり、製造コストの面でも不利である。導電テープではウェーハを除電可能であるが、ウェーハ剥離時の静電気の発生を低く抑えることができず、剥離帯電による静電破壊の抑止効果を十分に得ることができなかった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ウェーハの種類に依らず、安価な構成で静電破壊を効果的に抑制することができるウェーハ保持装置を提供することを目的とする。
本発明のウェーハ保持装置は、環状のフレームの内側に粘着テープを介して一体に支持されたウェーハを上面に保持するウェーハ保持装置であって、前記ウェーハを保持する保持面を有し絶縁性材料で形成された保持テーブルと、前記保持テーブルを上面に支持するテーブルベースと、から構成され、前記保持テーブルの前記保持面の外周部の複数箇所に吸引孔が形成され、前記吸引孔は吸引源に連通しており、前記保持面は、前記吸引孔が形成された箇所以外に微細な凹凸が全面に形成され、前記保持面に前記粘着テープを介して前記ウェーハを載置した際には前記粘着テープ及び前記保持面の接触面積を小さくし、前記保持面の前記吸引孔に連通しない複数の溝が、前記保持面の中心位置から径方向外側に延びるように前記保持面表面に形成され、前記保持面に前記粘着テープを介して前記ウェーハを載置した際に前記粘着テープの裏面に付着した水分が前記溝に毛細管現象により吸着される、ことを特徴とする。
この構成によれば、ウェーハが粘着テープを介して保持面の吸引孔で保持され、保持面の吸引孔が形成された箇所以外では微細な凹凸によって粘着テープと保持面との接触面積が小さく抑えられている。剥離帯電は接触面積に比例するため、ウェーハ剥離時の静電気の発生量が少なくなり、ウェーハの静電破壊が効果的に抑制される。また、粘着テープとして導電テープを用いる場合のようにウェーハの種類が限定されることがなく、製造コストを低減できる。また、粘着テープの裏面に付着した水分を保持面の溝に吸着させて、粘着テープの裏面を乾燥できる。
また、本発明の上記ウェーハ保持装置において、前記テーブルベースを回転可能に支持する回転駆動手段と、前記吸引孔と前記吸引源とを接続する配管中の圧力を検出する圧力検出手段と、前記保持テーブルの前記保持面が露呈した状態で前記圧力検出手段によって検出された圧力が所定値以上になった場合に報知をする報知手段とを備える。この構成によれば、保持テーブルによるウェーハの保持に先立って、吸引孔の吸引力の低下を事前にオペレータに報知できる。
また、本発明の上記ウェーハ保持装置において、前記テーブルベースを回転可能に支持する回転駆動手段を備え、前記保持テーブルは、前記保持面の外周を囲繞し2以上の切り欠けを有する外周囲繞部と前記保持テーブルを前記テーブルベースに固定するための押圧固定部材とを有し、前記押圧固定部材は前記外周囲繞部の前記切り欠けに係合し係合箇所でボルトで前記テーブルベースに締結され且つ外周囲繞部の上部を押圧して前記保持テーブルを前記テーブルベースに固定する。この構成によれば、保持テーブルが押圧固定部材を介してボルトでテーブルベースに固定される。金属製のボルトで樹脂製の保持テーブルを直に固定する構成とは異なり、ボルトの締め付けによって保持テーブルが変形することがなく、保持テーブルの回転時や振動時にボルトの緩みが防止される。
本発明によれば、ウェーハの種類に依らず、安価な構成で静電破壊を効果的に抑制することができる。
本実施の形態に係る洗浄装置の斜視図である。 本実施の形態に係るテーブルユニットの斜視図である。 本実施の形態に係るテーブルユニットの断面図である。 本実施の形態に係る洗浄装置による洗浄処理の説明図である。
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る洗浄装置の斜視図である。なお、以下においては、ウェーハ保持装置が搭載されたスピンナ式の洗浄装置について説明するが、この構成に限定されない。本実施の形態に係るウェーハ保持装置は、ウェーハを保持する機能を有すればよく、例えば、切削装置や研削装置等の加工装置に搭載されてもよい。なお、図1では説明の便宜上、フレームクランプを省略している。
図1に示すように、洗浄装置1は、ウェーハ保持装置2に保持されたウェーハWに対して洗浄水を噴射することで、ウェーハW表面を洗浄するように構成されている。ウェーハWは、略円板状に形成されており、表面にIC、LSI等のデバイス91が形成されている。また、ウェーハWは、絶縁性の粘着テープ92を介して環状フレーム93に支持された状態で洗浄装置1に搬入される。なお、ウェーハWは、シリコンウェーハやガリウムヒソ等の半導体ウェーハに限定されるものではなく、セラミックやサファイア系の無機材料基板等や、ウェーハ保持装置2に保持可能なその他の部材でもよい。
洗浄装置1は、水平設置されたベース板3上に支持されている。洗浄装置1のケーシング4は、円筒状の周壁部41の下部開口に円形基台42を設けた有底筒状に形成されている。ケーシング4は、円形基台42の下面に設けた複数(本実施の形態では3本)の脚部43を介してベース板3の上方に位置付けられている。ケーシング4内には、ウェーハ保持装置2のテーブルユニット21が収容されている。また、ケーシング4内には、テーブルユニット21の上方に洗浄水ノズル51及びエアノズル52が設けられている。
テーブルユニット21は、ウェーハWを保持する保持テーブル71をテーブルベース72上に取り付けて形成される。保持テーブル71は、合成樹脂等により略円板状に形成されている。保持テーブル71の中央にはウェーハWを吸着保持する保持面711が設けられ、保持面711の周囲には保持面711よりも低く形成された外周部(外周囲繞部)712が設けられている。保持面711には、粘着テープ92を介してウェーハWの外周側を吸着するように複数の吸引孔713が形成されている。各吸引孔713は、スリット状に形成されており、配管を通じて吸引源22に接続されている(図3参照)。
外周部712の外縁部は、四方に位置する4箇所が径方向内側に切り欠かれている。この切り欠けには、テーブルベース72にネジ止めされた押圧固定部材73が係合されている。保持テーブル71は、外周部712の切り欠けに係合した押圧固定部材73を介してテーブルベース72に固定される。なお、外周部712の4箇所が切り欠かれて押圧固定部材73に固定される構成としたが、この構成に限定されない。外周部712の2箇所以上が切り欠かれて押圧固定部材73に固定される構成であればよい。また、保持テーブル71の詳細については後述する。
テーブルベース72は、金属等により保持テーブル71よりも大径の略円板状に形成されている。テーブルベース72の下面中心には、回転軸24の上端部が固定されている。回転軸24は、円形基台42の中心開口を貫通して上下方向に延在しており、下端部にモータ25(回転駆動手段)が連結されている。モータ25は、ベース板3上に配置された昇降機構26に支持されている。テーブルユニット21は、モータ25よって回転軸24を介してケーシング4内で高速回転され、昇降機構26によってモータ25及び回転軸24と一体的に昇降移動される。
テーブルベース72の周囲には、環状フレーム93を保持するフレームクランプ74が設けられている(図4参照)。フレームクランプ74は、テーブルベース72から四方に延びる支持板741に振り子状に支持されている。フレームクランプ74は、テーブルユニット21の回転時に生じる遠心力で跳ね上げられて、支持板741との間にウェーハW周囲の環状フレーム93をクランプする。
洗浄水ノズル51及びエアノズル52は、テーブルユニット21の上方を水平方向に延在し、ケーシング4内に設けられたノズル基部53に旋回可能に支持されている。洗浄水ノズル51及びエアノズル52は、いずれも下方に向けて先端が屈曲しており、屈曲した先端にノズルヘッド54、55が取り付けられている。洗浄水ノズル51には、給水源56から配管を介して洗浄水が供給され、ノズルヘッド54からウェーハWに向けて洗浄水が噴射される。なお、洗浄水としては、純水又は静電気防止のためにCOが混入された純水が使用されてもよい。
エアノズル52には、エア源57から配管を介して乾燥エアが供給され、ノズルヘッド55からウェーハWに向けて乾燥エアが噴射される。この場合、洗浄水ノズル51及びエアノズル52がノズル基部53を中心としてウェーハWの上方で旋回され、ウェーハWの全面に洗浄水及び乾燥エアが噴き付けられる。この洗浄水及び乾燥エアの噴射により、洗浄水及び乾燥エアとウェーハW表面との摩擦で静電気が発生する場合がある。
このウェーハWの静電気を除電するために、ケーシング4の上方には洗浄後のウェーハWに対してイオン化エアを噴射するイオン化エアノズル81が設けられている。イオン化エアノズル81は、ケーシング4の上方を水平方向に延在し、ケーシング4外に設けられたノズル基部82に旋回可能に支持されている。イオン化エアノズル81には、エア源57から配管を介して乾燥エアが供給される。この乾燥エアは、配管途中に設けられたイオン化生成部83でイオン化される。洗浄後のウェーハWに対してイオン化エアが噴き付けられることで、ウェーハW表面に生じた静電気が除去される。
このように構成された洗浄装置1においては、テーブルユニット21の下降によってケーシング4内にウェーハWが取り込まれる。次に、テーブルユニット21が高速回転され、洗浄水ノズル51からウェーハWに向けて洗浄水が噴射され、続いてエアノズル52からウェーハWに向けて乾燥エアが噴射される。そして、テーブルユニット21の上昇によってケーシング4外にウェーハWが位置付けられて、イオン化エアノズル81からウェーハWに向けてイオン化エアが噴射される。
洗浄後のウェーハWは、イオン化エアの吹き付けによって、洗浄時に生じた静電気が除去される。ところで、洗浄装置1からのウェーハWの搬出時には、保持テーブル71の保持面711からウェーハWを剥離させる必要があるが、この剥離時にはウェーハWが剥離帯電する場合がある。本実施の形態に係る洗浄装置1では、以降で詳細に説明するが、保持テーブル71の保持面711とウェーハWの粘着テープ92との接触面積を小さくすることで、ウェーハW剥離時の静電気の発生量を少なくしている。
以下、図2及び図3を参照して、テーブルユニットについて詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係るテーブルユニットの斜視図である。図3は、本実施の形態に係るテーブルユニットの断面図である。なお、図2及び図3では説明の便宜上、フレームクランプを省略している。
図2及び図3に示すように、テーブルユニット21は、円板状の保持テーブル71を円板状のテーブルベース72に重ね合わせて構成される。保持テーブル71は、合成樹脂等の絶縁性材料で、保持面711の周囲に保持面711よりも低い外周部712を設けて段状に形成されている。保持面711の外周側には、周方向における等間隔の4箇所に一対の吸引孔713が設けられている。各吸引孔713は、保持面711の径方向に直交する方向に延びるスリット状に形成され、粘着テープ92を介してウェーハWの外周側の4箇所を吸引保持する。
また、保持面711には、中心位置から径方向外側に延びる複数の直線溝(溝)714が形成されている。直線溝714は、吸引孔713に連ならないように、吸引孔713を避けて延在している。直線溝714は、ウェーハWが保持面711に吸着された状態で、粘着テープ92の裏面の水分を毛細管現象で吸着するように形成されている。したがって、粘着テープ92の裏面に残った水分を直線溝714に吸着させることで、エアノズル52からの乾燥エアでは乾燥できないウェーハWの裏面側を乾燥させている。
保持面711からのウェーハW剥離後に直線溝714に残った水分は、テーブルユニット21の高速回転により保持面711から吹き飛ばされる。すなわち、直線溝714の水分は、遠心力の作用により直線溝714の延在方向に沿って移動し、保持テーブル71の外側に飛散される。この場合、エアノズル52から乾燥エアを保持テーブル71に噴き付けてもよい。なお、径方向に延びる直線溝714によって粘着テープ92の裏面の水分を吸着する構成としたが、この構成に限定されない。毛細管現象によって粘着テープ92の裏面から水分を吸着可能な溝であればよく、例えば、周方向に延在する環状溝でもよい。
保持面711の全面は、吸引孔713及び直線溝714を除いて、サンドブラストや粗研削等により微細な凹凸が形成された粗面となっている。この微細な凹凸によって、保持面711と粘着テープ92との接触面積が小さく抑えられている。すなわち、ウェーハWは、保持面711との接触面積を少なくした状態で、保持面711の四方に設けたスリット状の吸引孔713でのみ吸着される。したがって、接触面積に比例して大きくなるウェーハW剥離時の静電気の発生量を最低限に抑えることができる。
保持テーブル71の中心位置には、裏面から下方に突出する位置決め用の中心凸部715(図3に記載)が設けられている。テーブルベース72の回転中心位置には、保持テーブル71の中心凸部715に対応するように中心凹部721が形成されている。保持テーブル71は、テーブルベース72の中心凹部721に中心凸部715を係合した状態でテーブルベース72に支持される。この構成により、保持テーブル71の中心とテーブルベース72の回転中心が位置合わせされ、テーブルベース72に対する保持テーブル71の回転時のブレが抑制される。
また、保持テーブル71の外周部712は、吸引孔713の径方向外側に位置する4箇所が上面視矩形状に切り欠かれている。保持テーブル71は、外周部712の4つの切り欠け716に係合した押圧固定部材73を介してテーブルベース72に固定されている。押圧固定部材73は、中間部分を側面視凹状に屈曲させた長尺の金属板であり、凹状部分731が切り欠け716に係合するように形成されている。各押圧固定部材73の凹状部分731には、ボルト75用の一対の通し孔が形成されている。一対のボルト75が通し孔を通じてテーブルベース72のネジ孔に締め込まれることで、押圧固定部材73がテーブルベース72に固定される。
このとき、保持テーブル71の外周部712が、押圧固定部材73の両端部732によってテーブルベース72に強く押し付けられ、保持テーブル71の上下方向のガタ付きが防止される。また、凹状部分731と切り欠け716との係合によって保持テーブル71が周方向で規制されるため、保持テーブル71の周方向のガタ付きが防止される。さらに、押圧固定部材73及びボルト75が金属製であるため、樹脂製の保持テーブル71を直にネジ止めする場合とは異なり、ボルト75の座面によって締め付け箇所が変形することがない。よって、保持テーブル71の回転や振動によるボルト75の緩みを防止できる。
保持テーブル71内の流路717は、配管を介して吸引源22に接続されている。配管の途中部分には、圧力センサ(圧力検出手段)27が設けられており、管路内の圧力の大きさが検出される。圧力センサ27は報知部(報知手段)28に接続されており、圧力センサ27の検出結果は報知部28に出力される。報知部28は、ウェーハWの非載置状態で管路内の圧力(負圧)の大きさが所定値以上になった場合に、管路内の詰まりをオペレータに報知する。所定値とは、管路内の圧力異常を判定するための閾値であり、予め測定されたものである。なお、報知部28による報知方向は特に限定されず、例えば音声報知でもよいし、発光報知でもよい。
報知部28によって管路内の詰まりが報知されるため、保持テーブル71の吸引力の低下を事前にオペレータに認識させることができる。よって、吸引孔713の吸引力が低下した状態でウェーハWの洗浄が行わることが防止され、保持テーブル71の回転中に保持面711からウェーハWが外れることがない。
上記したようにテーブルユニット21は、金属製のテーブルベース72上面に絶縁材料の保持テーブル71が積層されている。ここで、保持テーブル71の保持面711に半導体であるウェーハWが保持されると、ウェーハW及びテーブルベース72を一対の平行板とする平行コンデンサと略同じ構成となる。平行コンデンサは、平行板の間隔が大きいほど容量が小さくなって平板に電荷が溜まり難い。したがって、テーブルユニット21では絶縁体としての保持テーブル71の厚みを大きくして、ウェーハWとテーブルベース72との間隔を広げている。これにより、ウェーハWの洗浄時に、洗浄水や乾燥エアとウェーハWとの摩擦による摩擦帯電が抑えられている。
以上のように、保持面711にウェーハWが保持された洗浄時においては、保持テーブル71の厚みによって絶縁間隔が広げられることで、摩擦帯電が抑えられている。また、ウェーハWの洗浄後においては、イオン化エアノズル81によるイオン化エアの噴射により洗浄後のウェーハWに発生する静電気が除電される。さらに、保持面711からウェーハWが剥離される剥離時においては、粘着テープ92と保持面711との接触面積を小さくすることで、剥離帯電が抑えられている。よって、ウェーハWにおける静電気の発生量が少なくなり、デバイス91の静電破壊が効果的に抑制される。
なお、上記した直線溝714による水分除去構成及び報知部28による報知構成は、剥離帯電の抑制構造に特化した構成になっている。すなわち、保持テーブル71の保持面711は、剥離帯電を抑制するために吸着面積が小さくなっており、ポーラス状には形成されていない。本実施の形態では、ポーラス状の保持面とは異なり、粘着テープ92の裏面に付着した水分が吸引除去されず、また部分的な詰まりによって吸引孔713の吸引力が低下する場合がある。そこで、直線溝714の毛細管現象によって粘着テープ92の裏面に付着した水分を除去し、報知部28によって吸引力の低下を監視してオペレータに報知している。
図4を参照して、洗浄装置による洗浄処理について説明する。図4は、本実施の形態に係る洗浄装置による洗浄処理の説明図である。なお、ウェーハWの洗浄前においては、ウェーハWの非載置状態で吸引源22が駆動され、圧力センサ27による管路内の圧力検出によって吸引力の低下が判定される。管路内の圧力の大きさが所定値以上の場合には、報知部28によって管路内の詰まりがオペレータに報知される。一方、管路内の圧力の大きさが所定値よりも小さい場合には、保持面711にウェーハWが載置される。
図4Aに示すように、ケーシング4の上側の搬入位置において、複数の吸引孔713によってウェーハWが保持テーブル71の保持面711に保持される。このとき、保持面711には全体的に微細な凹凸が形成されているため、保持面711と粘着テープ92の裏面との接触面積が小さく抑えられている。保持面711にウェーハWが保持されると、テーブルベース72が下動してケーシング4内の洗浄位置までウェーハWが移動される。
図4Bに示すように、洗浄位置ではテーブルベース72が高速回転し、フレームクランプ74によって環状フレーム93がクランプされる。このとき、ウェーハWの上方で洗浄水ノズル51が水平方向に旋回して、洗浄水ノズル51からウェーハWに向けて洗浄水が噴射される。図4Cに示すように、洗浄水ノズル51からの洗浄水の噴射が停止されると、ウェーハWの上方でエアノズル52が水平方向に旋回して、エアノズル52からウェーハWに向けて乾燥エアが噴射される。
上記したように、保持面711にウェーハWが保持された状態では、ウェーハWとテーブルベース72との間に絶縁性の保持テーブル71が挟まれた平行コンデンサが形成される。この平行コンデンサでは、ウェーハWとテーブルベース72との絶縁間隔が広いため、洗浄時においては洗浄水や乾燥エア等の摩擦よるウェーハWの摩擦帯電が抑制される。ウェーハWの洗浄が終了すると、テーブルベース72が上動して再び搬入位置までウェーハWが移動される。
図4Dに示すように、搬入位置ではウェーハWの上方でイオン化エアノズル81が水平方向に旋回して、イオン化エアノズル81からウェーハWに向けてイオン化エアが噴射される。イオン化エアの噴き付けによって、ウェーハWに僅かに帯電した静電気が除電される。
図4Eに示すように、洗浄後のウェーハWは、搬送機構85によって保持面711から取り上げられる(剥離される)。ウェーハW剥離時においては、粘着テープ92の裏面と保持面711との接触面積が小さいため、接触面積に比例して帯電量が大きくなる剥離帯電が抑制される。また、粘着テープ92の裏面側の水分は、毛細管現象によって保持面711に設けられた直線溝714に吸着される。この構成により、乾燥エアが届かない粘着テープ92の裏面から水分が除去される。保持面711からウェーハWが剥離されると、テーブルベース72が下動して再び洗浄位置に移動される。
そして、図4Fに示すように、テーブルベース72が高速回転して、毛細管現象によって保持面711の直線溝714に付着した水分が吹き飛ばされる。
以上のように、本実施の形態に係るウェーハ保持装置2によれば、ウェーハWが粘着テープ92を介して保持面711の吸引孔713で保持され、保持面711の吸引孔713が形成された箇所以外では微細な凹凸によって粘着テープ92と保持面711との接触面積が小さく抑えられている。このため、接触面積に比例する剥離帯電の帯電量が少なくなり、ウェーハWの静電破壊が効果的に抑制される。また、粘着テープ92として導電テープを用いる場合のように、ウェーハWの種類が限定されることがなく、製造コストを低減できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、本実施の形態に係るウェーハ保持装置2では、吸引孔713をスリット状に形成したが、この構成に限定されない。吸引孔713は、粘着テープ92を吸引可能な形状であればよく、孔形状は特に限定されない。
また、本実施の形態に係るウェーハ保持装置2では、保持面711に対して全体的に微細な凹凸が形成される構成としたが、この構成に限定されない。微細な凹凸は、粘着テープ92と保持面711との接触面積を減らせればよく、例えば、保持面711に対して部分的に形成される構成でもよい。
また、本実施の形態に係るウェーハ保持装置2では、押圧固定部材73が凹形状を形成するように屈曲された金属板で構成されたが、この構成に限定されない。押圧固定部材73は、保持テーブル71の切り欠け716に係合して、ボルト75の締め付けにより保持テーブル71をテーブルベース72に固定する構成であればよい。
以上説明したように、本発明は、ウェーハの種類に依らず、安価な構成で静電破壊を効果的に抑制することができるという効果を有し、特に、洗浄装置に搭載されるウェーハ保持装置に有用である。
1 洗浄装置
2 ウェーハ保持装置
21 テーブルユニット
27 圧力センサ(圧力検出手段)
28 報知部(報知手段)
51 洗浄水ノズル
52 エアノズル
71 保持テーブル
72 テーブルベース
73 押圧固定部材
75 ボルト
91 デバイス
92 粘着テープ
93 環状フレーム
711 保持面
712 外周部(外周囲繞部)
713 吸引孔
714 直線溝(溝)
716 切り欠け

Claims (3)

  1. 環状のフレームの内側に粘着テープを介して一体に支持されたウェーハを上面に保持するウェーハ保持装置であって、
    前記ウェーハを保持する保持面を有し絶縁性材料で形成された保持テーブルと、前記保持テーブルを上面に支持するテーブルベースと、から構成され、
    前記保持テーブルの前記保持面の外周部の複数箇所に吸引孔が形成され、前記吸引孔は吸引源に連通しており、
    前記保持面は、前記吸引孔が形成された箇所以外に微細な凹凸が全面に形成され、前記保持面に前記粘着テープを介して前記ウェーハを載置した際には前記粘着テープ及び前記保持面の接触面積を小さくし、
    前記保持面の前記吸引孔に連通しない複数の溝が、前記保持面の中心位置から径方向外側に延びるように前記保持面表面に形成され、前記保持面に前記粘着テープを介して前記ウェーハを載置した際に前記粘着テープの裏面に付着した水分が前記溝に毛細管現象により吸着される、ことを特徴とするウェーハ保持装置。
  2. 前記テーブルベースを回転可能に支持する回転駆動手段と、前記吸引孔と前記吸引源とを接続する配管中の圧力を検出する圧力検出手段と、前記保持テーブルの前記保持面が露呈した状態で前記圧力検出手段によって検出された圧力が所定値以上になった場合に報知をする報知手段とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハ保持装置。
  3. 前記テーブルベースを回転可能に支持する回転駆動手段を備え、
    前記保持テーブルは、前記保持面の外周を囲繞し2以上の切り欠けを有する外周囲繞部と前記保持テーブルを前記テーブルベースに固定するための押圧固定部材とを有し、
    前記押圧固定部材は前記外周囲繞部の前記切り欠けに係合し係合箇所でボルトで前記テーブルベースに締結され且つ外周囲繞部の上部を押圧して前記保持テーブルを前記テーブルベースに固定する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウェーハ保持装置。
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