JP4570054B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、基板処理装置に関するもので、更に詳細には、例えば液晶ディスプレイ(LCD)基板等の被処理基板の表面に例えばレジスト液等の塗布液を供給して処理を施す基板処理装置に関するものである。
一般に、半導体デバイスの製造工程においては、被処理基板としての液晶ディスプレイ(LCD)基板等(以下に基板という)に塗布液としてのレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて回路パターンを縮小してレジスト膜に転写し、これを現像処理する一連の処理が施されている。
従来、上記塗布・現像処理において、基板にレジスト液等の塗布液を塗布する方法として、基板を略水平に吸着保持するアルミニウム合金製の保持台を高速回転させ、基板の中心部にレジスト液を供給(滴下)し、基板の遠心力により基板全体に塗布せしめ、余分なレジスト液を遠心力で振り切り除去する、いわゆる「スピンコート法」が使用されている。また、基板を収容する蓋付きのカップを基板と同期回転させることにより、気流による悪影響や外部からのパーティクル等の付着を防止している。
しかし、上記保持台をアルミニウム合金材料にて形成すると、保持台からの熱的影響が基板の表面に及ぶことによってレジスト膜の膜厚が局部的に薄くなるというコーティング斑が発生し、最終製品においてLCD画面上にスポット状又は線状に現れる画像欠陥となる「転写跡」が生じて、品質に悪影響を与えるという問題があった。
そこで、この問題を解決するために、保持台を絶縁性の合成樹脂製部材にて形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−254146号公報(特許請求の範囲、図6)
しかしながら、特開平10−254146号公報に記載の技術においては、使用時間と共に合成樹脂製の保持台が帯電して、基板を帯電させ、基板が静電破壊によって損傷するという問題があった。この問題を解決する方法として、イオナイザによってイオン化した気体を基板に照射する方法が考えられるが、レジスト塗布処理においては、溶剤としてシンナーを使用するため、爆発の危険性があり好ましくない。
また、従来の合成樹脂製の保持台は強度が弱いため、特に大型化の傾向にある基板においては、保持台の厚さや径を大きくする必要があり、その分装置の大型化を招く虞があるばかりか、保持台とカップとの間の熱的影響によって上述したようなコーティング斑(転写跡)が発生し、最終製品の品質に悪影響を与えるという問題がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、コーティング斑の発生を防止すると共に、保持台と基板の帯電を抑制する基板処理装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、被処理基板を水平に保持する保持台と、 上記保持台に被処理基板を吸着保持させる吸着手段と、 上記保持台を回転させる回転駆動手段と、 上記保持台に保持された被処理基板に所定の塗布液を供給する塗布液供給手段と、 上記保持台により保持された被処理基板を収容すると共に、保持台と同期して回転可能な下カップと、該下カップを閉塞する蓋体とからなる収容容器と、を具備してなり、 上記保持台を、導電性樹脂材料にて形成すると共に、該導電性樹脂材料の表面抵抗率を、1×10〜1×1012(Ω/sq.)とし、 上記収容容器の下カップにおける上記保持台にて保持される被処理基板の下方に位置する部位を導電性樹脂材料にて形成し、 上記下カップは、保持台及び被処理基板の下方及び側方を包囲するカップ本体と、このカップ本体の底面に止着され、上記被処理基板の下方及び側方を包囲する導電性樹脂製のプレートと、上記カップ本体の底面にねじ部材によって止着される導電性樹脂製のカバーと、を具備してなり、 この際、上記プレートは、内周辺に凹状の内向きフランジを有し、この内向きフランジが上記カップ本体に止着され、 上記カバーは、上記内向きフランジを覆うと共に、プレートの上面と同一面上に位置する凸状の外向きフランジと、この外向きフランジの内周側に延在し、上記ねじ部材によって上記カップ本体に止着されるカバー基部と、を具備する、ことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の基板処理装置において、上記保持台の外周辺部に、外方に向かって下り勾配の傾斜面を形成すると共に、この傾斜面の下端と保持台の外周近傍の下カップにおける肩部との高さを同一にした、ことを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の基板処理装置において、上記保持台は、被処理基板の保持面に同心円状に設けられた複数の環状吸着溝と、これら複数の環状吸着溝を連通させるように上記保持面の中心部から周縁部に非放射状に延在する複数の吸着溝と、吸着手段と連通し、かつ、上記環状吸着溝又は吸着溝において開口する複数の吸引孔と、を具備してなり、上記保持面における上記環状吸着溝間の上面を粗面に形成し、保持面の周縁部を平滑面に形成してなる、ことを特徴とする。
(1)請求項1記載の発明によれば、被処理基板を水平に保持する保持台を構成する導電性樹脂材料の表面抵抗率を、1×10〜1×1012(Ω/sq.)とすることにより、保持台からの熱的影響が基板の表面に及ぶのを抑制することができると共に、基板の帯電量を低減することができる。したがって、コーティング斑(転写跡)の発生を防止することができると共に、帯電による静電破壊の発生を防止することができる。
(2)請求項1記載の発明によれば、被処理基板を水平に保持する保持台を、導電性樹脂材料にて形成し、収容容器の下カップにおける保持台にて保持される被処理基板の下方に位置する部位を導電性樹脂材料にて形成することにより、保持台と被処理基板の帯電を低減することができると共に、下カップからの熱的影響を抑制することができる。したがって、コーティング斑(転写跡)の発生を防止することができると共に、帯電による静電破壊の発生を防止することができる。
(3)また、請求項1記載の発明によれば、被処理基板の下方及び側方を包囲する導電性樹脂製のプレートをカップ本体に止着する内向きフランジを、導電性樹脂製のカバーによって覆い、かつ、カバーとプレートの上面とを同一面上に位置することにより、更に下カップからの熱的影響を確実に抑制することができる。
(4)請求項2記載の発明によれば、保持台の外周辺部に、外方に向かって下り勾配の傾斜面を形成すると共に、この傾斜面の下端と保持台の外周近傍の下カップにおける肩部との高さを同一にすることにより、上記(2)〜(3)に加えて更に熱的影響によるコーティング斑(転写跡)を防止することができる。
(5)請求項3記載の発明によれば、保持台の保持面における環状吸着溝間の上面を粗面に形成し、保持面の周縁部を平滑面に形成することにより、保持台の保持面と被処理基板との接触面積を少なくし、剥離帯電の発生を低減することができると共に、安定した状態に保持することができる。また、保持台から被処理基板を剥がす際に、少ない力によって容易に剥離することができる。
この発明に係る基板処理装置を適用したレジスト塗布・現像処理システムを示す概略平面図である。 この発明に係る基板処理装置を適用した塗布処理装置の一例を示す概略断面図である。 上記レジスト塗布処理装置のレジスト供給状態を示す概略断面図である。 この発明におけるスピンチャックを示す概略断面図(a)及び(a)のI部の拡大断面図(b)である。 上記スピンチャックの概略平面図(a)及び(a)のII部の拡大図(b)である。 上記スピンチャックの別の形態を示す要部拡大断面図(a)及び(a)の平面図(b)である。 この発明に係る基板処理装置の別の形態を示す要部断面図(a)及び(a)のIII部の拡大断面図(b)である。 この発明におけるスピンチャックの別の形態を示す概略断面図である。
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る基板処理装置をLCD基板のレジスト塗布・現像処理システムにおけるレジスト塗布処理装置に適用した場合について説明する。
上記レジスト塗布・現像処理システムは、図1に示すように、複数の被処理基板であるLCD基板G(以下に基板Gという)を収容するカセットCを載置する搬入出部1と、基板Gにレジスト塗布及び現像を含む一連の処理を施すための複数の処理ユニットを備えた処理部2と、露光装置4との間で基板Gの受け渡しを行うためのインターフェイス部3とを具備しており、処理部2の両端にそれぞれ搬入出部1及びインターフェイス部3が配置されている。なお、図1において、レジスト塗布・現像処理システムの長手方向をX方向、平面視においてX方向と直交する方向をY方向とする。
上記搬入出部1は、カセットCと処理部2との間で基板Gの搬入出を行うための搬送機構5を備えており、この搬入出部1において外部に対するカセットCの搬入出が行われる。また、搬送機構5は搬送アーム5aを有し、カセットCの配列方向であるY方向に沿って設けられた搬送路6上を移動可能であり、搬送アーム5aによりカセットCと処理部2との間で基板Gの搬入出が行われるように構成されている。
上記処理部2は、基本的にX方向に伸びる基板G搬送用の平行な2列の搬送ラインA、Bを有しており、搬送ラインAに沿って搬入出部1側からインターフェイス部3に向けてスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)11、第1の熱的処理ユニットセクション16、レジスト処理ユニット13及び第2の熱的処理ユニットセクション17が配列されている。また、搬送ラインBに沿ってインターフェイス部3側から搬入出部1に向けて第2の熱的処理ユニットセクション17、現像処理ユニット(DEV)14、i線UV照射ユニット(i−UV)15及び第3の熱的処理ユニット18が配列されている。なお、スクラブ洗浄処理ユニット(SCR)11の上の一部にはエキシマUV照射ユニット(e−UV)12が設けられている。この場合、エキシマUV照射ユニット(e−UV)12はスクラバ洗浄に先立って基板Gの有機物を除去するために設けられている。また、i線UV照射ユニット(i−UV)15は現像の脱色処理を行うために設けられる。
なお、第1の熱的処理ユニットセクション16は、基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)31,32を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)31はスクラブ洗浄処理ユニット(SCR)11側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)32はレジスト処理ユニット13側に設けられている。これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)31,32の間に第1の搬送機構33が設けられている。
また、第2の熱的処理ユニットセクション17は、基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)34,35を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)34はレジスト処理ユニット13側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)35は現像処理ユニット14側に設けられている。これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)34,35の間に第2の搬送機構36が設けられている。
また、第3の熱的処理ユニットセクション18は、基板Gに熱的処理を施す熱的処理ユニットが積層して構成された2つの熱的処理ユニットブロック(TB)37,38を有しており、熱的処理ユニットブロック(TB)37は現像処理ユニット(DEV)14側に設けられ、熱的処理ユニットブロック(TB)38はカセットステーション1側に設けられている。そして、これら2つの熱的処理ユニットブロック(TB)37,38の間に第3の搬送機構39が設けられている。
なお、インターフェイス部3には、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)41と、周辺露光装置(EE)とタイトラ(TITLER)を積層して設けた外部装置ブロック42と、バッファーステージ(BUF)43及び第4の搬送機構44が配設されている。
このように構成されるインターフェイス部3において、第2の搬送機構36によって搬送される基板Gは、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)41へ搬送され、第4の搬送機構44によって外部装置ブロック42の周辺露光装置(EE)に搬送されて、周辺レジスト除去のための露光が行われ、次いで、第4の搬送機構44により露光装置4に搬送されて、基板G上のレジスト膜が露光されて所定のパターンが形成される。場合によっては、バッファーステージ(BUF)43に基板Gを収容してから露光装置4に搬送される。そして、露光終了後、基板Gは第4の搬送機構44により外部装置ブロック42のタイトラ(TITLER)に搬入されて、基板Gに所定の情報が記された後、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)41に載置され、再び処理部2に搬送されるように構成されている。
上記レジスト処理ユニット13は、この発明に係るレジスト塗布処理装置20と、このレジスト塗布処理装置20によって基板G上に形成されたレジスト膜を減圧容器(図示せず)内で減圧乾燥する減圧乾燥処理装置(VD)21と、レジスト処理装置20によってレジスト膜(塗布膜)が塗布された基板Gを減圧乾燥処理装置(VD)21と、基板Gの周縁部のレジストを除去するエッジリムーバ(ER)100とを具備している。レジスト処理ユニット13において、レジスト塗布処理装置20でレジストが塗布された基板Gは、一対の搬送アーム(図示せず)により減圧乾燥処理装置21に搬入され、この減圧乾燥処理装置21で乾燥処理されるようになっている。
レジスト塗布処理装置20は、図2及び図3に示すように、基板Gを吸着保持する水平回転及び昇降可能な保持台であるスピンチャック50と、このスピンチャック50及びスピンチャック50によって保持された基板Gを包囲し、上端部が開口する有底円筒状の水平回転可能な例えばアルミニウム合金材料によって形成される下カップ60aと、この下カップ60aの上端開口部を閉塞する昇降可能な蓋体61からなる収容容器である回転カップ60と、下カップ60aの外周を包囲するように固定配置されるドレンカップ62と、ドレンカップ62の外方に配設され、処理時に基板Gの中心部上方に移動可能な塗布液供給手段であるレジスト供給ノズル70と、このレジスト供給ノズル70に隣接して設けられ、処理時のレジスト液供給(吐出)前に基板Gの表面中央部に溶剤(シンナー)を供給(吐出)するシンナー供給ノズル71とで主に構成されている。
上記スピンチャック50は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリアセタール樹脂(POM)等のベースポリマーに炭素材料を均一に分散させた導電性樹脂材料にて形成されている。この場合、スピンチャック50の直径は、例えば700〜1,200mmに形成されている。なお、スピンチャック50を導電性(PPS)にて形成した場合、スピンチャック50を構成する導電性樹脂材料の表面抵抗率は、1×10〜1×10(Ω/sq.)とし、曲げ弾性率は9,000(MPa)とすることができる。
このように、スピンチャック50を構成する導電性樹脂材料の表面抵抗率を、1×10〜1×10(Ω/sq.)、曲げ弾性率を9,000(MPa)に設定することにより、スピンチャック50及び基板Gの帯電量を低減させることができると共に、スピンチャック50自体に剛性を持たせることができる。
また、スピンチャック50は、図4及び図5に示すように、基板Gの保持面80に同心円状に設けられた複数の環状吸着溝81と、これら複数の環状吸着溝81を連通させるように保持面の中心部から周縁部に非放射状に延在する複数の吸着溝82と、図示しない吸着手段と連通し、かつ、環状吸着溝81又は吸着溝82において開口(図5では環状吸着溝81に開口)する複数の吸引孔83と、を具備している。この場合、環状吸着溝81の幅aは、0.5mmに形成され、吸着溝82の幅cは、0.5mmに形成され、環状吸着溝81及び吸着溝82の深さbは、0.3mmに形成されている。
上記のように、基板Gの保持面80に、同心円状に設けられた複数の環状吸着溝81と、これら複数の環状吸着溝81を連通させるように保持面の中心部から周縁部に非放射状に延在する複数の吸着溝82と、吸着手段と連通し、かつ、環状吸着溝81又は吸着溝82において開口する複数の吸引孔83とを設けることにより、基板Gを所定の回転数で回転させた際においても基板Gが離脱しないような十分な吸着力を確保しつつ、基板Gに放射状のコーティング斑(転写跡)が発生することを防止することができる。
なお、この場合、図6に示すように、スピンチャック50の保持面における上記環状吸着溝81間の上面80aを、例えば同心円状の凹凸細条84によって粗面に形成し、保持面80の周縁部80bを平滑面に形成してもよい。このように、スピンチャック50の保持面における環状吸着溝81間の上面80aを粗面に形成し、保持面80の周縁部80bを平滑面に形成することにより、スピンチャック50の保持面80と基板Gとの接触面積を少なくし、剥離帯電の発生を低減することができると共に、安定した状態に保持することができる。また、スピンチャック50から基板Gを剥がす際に、少ない力によって容易に剥離することができる。なお、スピンチャック50の上面80aは必ずしも凹凸細条80bによって粗面にする必要はなく、凹凸細条80b以外、例えば散点状凹凸模様やクロス状凹凸模様等によって粗面にしてもよい。
また、上記スピンチャック50は、鉛直方向に延在する回転軸51がスプライン軸受け52によって鉛直方向に摺動すなわち昇降自在に支承され、下端部が昇降手段である昇降シリンダ53に連結されて昇降可能に形成されている。この場合、回転軸51は、固定カラー54の内周面にベアリング55aを介して回転可能に装着される回転内筒56の内周面に嵌着されるスプライン軸受け52に摺動可能に連結されている。スプライン軸受け52には、従動プーリ57aが装着されており、従動プーリ57aには、回転手段である駆動モータ58の駆動軸58aに装着された駆動プーリ58bとの間にタイミングベルト59aが掛け渡されている。したがって、駆動モータ58の駆動によってタイミングベルト59aを介して回転軸51が回転してスピンチャック50が水平回転される。また、回転軸51の下部側は、図示しない筒体内に配設されており、筒体内において回転軸51は、バキュームシール部51aを介して昇降シリンダ53に連結されている。
なお、スピンチャック50は回転軸51及び装置ケーシング(図示せず)を介して装置外部に接地(アース)されている。
下カップ60は、上記固定カラー54の外周面にベアリング55bを介して装着される回転外筒68を介して取り付けられており、下カップ60の底部60aとスピンチャック50の下面との間には、シール用のOリング63が介在されてスピンチャック50が下降してOリング63に密接した状態で気密が保持されるようになっている。この下カップ60は、例えばアルミニウム合金製部材によって形成されている。また、回転外筒68に装着される従動プーリ57bと上記駆動モータ58に装着される駆動プーリ58bに掛け渡されるタイミングベルト59bによって駆動モータ58からの駆動が下カップ60に伝達されて下カップ60が水平回転されるように構成されている。この場合、従動プーリ57bの直径は、回転軸51に装着された従動プーリ57aの直径と同一に形成され、同一の駆動モータ58にタイミングベルト59a,59bが掛け渡されているので、下カップ60とスピンチャック50とは同期回転する。なお、固定カラー54と回転内筒56及び回転外筒68との対向面にはラビリンスシール64が介在されて、回転時に下部の駆動系から回転カップ内に下部の駆動系から回転カップ内にゴミが侵入するのを防止している。
上記蓋体61は、中央上部に昇降軸65が突設されており、この昇降軸65を回転自在に支持する昇降アーム66を介して蓋体昇降機構67に連結されている。このように構成することにより、蓋体昇降機構67の駆動により、昇降アーム66を介して昇降軸65が昇降して蓋体61が下カップ60の上端開口部を開閉することができる。
また、上記レジスト供給ノズル70とシンナー供給ノズル71は、ドレンカップ62の外方に配設されるノズル移動機構73によって駆動されるノズルアーム72によって基板Gの中心部上方位置とドレンカップ62の外方の待機位置に移動可能に形成されている。
なお、上記昇降シリンダ53、駆動モータ58、蓋体昇降機構67及びノズル移動機構71は、それぞれ制御手段例えば中央演算処理装置90(以下にCPU90という)に電気的に接続されており、CPU90からの制御信号に基づいて駆動制御されるようになっている。
次に、レジスト塗布処理装置20の動作態様について、図2及び図3を参照して説明する。まず、図3に示すように、蓋体61が上昇し、スピンチャック50が下降した状態で待機する。この状態で、搬送アーム(図示せず)により基板Gがスピンチャック50の上方に搬入し、スピンチャック50が上昇して搬送アームから基板G受け取る。その後、搬送アームはスピンチャック50の上方から下カップ60の外方へ退避する。次に、スピンチャック50が下降して下カップ60内に位置する。次に、ノズル移動機構73が駆動して、シンナー供給ノズル71が基板Gの中心部上方に移動する一方、駆動モータ58が駆動してスピンチャック50と共に基板Gを回転させながらシンナー供給ノズル71から基板Gの中心部にシンナーが供給(吐出)されて、基板Gの表面のレジスト液に対する濡れ性を向上させる。その後に基板Gを一旦停止させ、レジスト供給ノズル70から基板Gの中心部にレジスト液を供給(吐出)した後、レジスト供給ノズル70及びシンナー供給ノズル71が下カップ60の外方の待機位置に退避する。これと同時に蓋体61が下降して下カップ60を閉塞した状態で、駆動モータ58が駆動してスピンチャック50と回転カップ60Aが同期回転して、基板Gの表面全面にレジスト液が拡散されて、レジスト膜が形成される。レジスト膜が形成された後、蓋体61が上昇すると共に、スピンチャック50が上昇して、下カップ60の内方側に移動してきた搬送アームに基板Gが受け渡される。基板Gを受け取った搬送アームは減圧乾燥処理装置21に搬送されて乾燥処理される。
以下、上記と同様の動作を繰り返して、複数の基板Gは順次レジスト膜が形成される。この際、処理回数が増えることによりスピンチャック50が帯電するが、スピンチャック50は導電性樹脂材料にて形成されているので、スピンチャック50の電荷をアースに逃がして帯電を抑制することができる。
上記実施形態では、下カップ60がアルミニウム合金製部材によって形成される場合について説明したが、下カップ60におけるスピンチャック50にて保持される基板Gの下方に位置する部位を、上記スピンチャック50と同様の導電性樹脂材料にて形成する方が好ましい。
すなわち、図7に示すように、下カップ60を、スピンチャック50及び基板Gの下方及び側方を包囲するカップ本体85と、このカップ本体85の底面に第1のねじ部材である第1の固定ねじ86によって止着され、基板Gの下方及び側方を包囲する導電性樹脂製のプレート87と、第1の固定ねじ86を覆うと共に、カップ本体85の底面に第2のねじ部材である第2の固定ねじ89によって止着される導電性樹脂製のカバー88とで構成する。
この際、プレート87は、内周辺に凹状の内向きフランジ87aを有し、この内向きフランジ87aに設けられた段付き孔87b内を貫通する第1の固定ねじ86をカップ本体85にねじ結合してプレート87を止着する。このとき、第1の固定ねじ86の頭部86aは、段付き孔87bの大径部内に収容されて内向きフランジ87aの表面から突出しない状態になっている。
また、カバー88は、内向きフランジ87a及び第1の固定ねじ86を覆うと共に、プレート87の上面と同一面上に位置する凸状の外向きフランジ88aと、この外向きフランジ88aの内周側に延在し、第2のねじ部材である第2の固定ねじ89によってカップ本体85に止着されるカバー基部88bとを具備している。
上記のように構成することにより、第1の固定ねじ86を露出させることなく、下カップ60におけるスピンチャック50にて保持される基板Gの下方に位置する部位を導電性樹脂材料にて形成することができる。したがって、基板Gの下方を導電性樹脂材料のスピンチャック50と下カップ60とで統一するので、熱的影響によってコーティング斑(転写跡)を抑制することができる。
また、スピンチャック50の外周辺部には、外方に向かって下り勾配の傾斜面50aが形成されており、この傾斜面50aの下端と下カップ60におけるスピンチャック50の外周近傍の肩部60bとの高さが同一に形成されている。このように、スピンチャック50の外周辺部に形成された下り勾配の傾斜面50aの下端と下カップ60におけるスピンチャック50の外周近傍の肩部60bとの高さを同一に形成することにより、スピンチャック50と下カップ60との段差によって生じる熱的影響を抑制することができると共に、コーティング斑(転写跡)を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、スピンチャック50が導電性PPSにて形成される場合について説明したが、このスピンチャック50に代えて、図8に示すような導電性POM製のチャック上部体501と金属板例えばアルミニウム合金製のチャック下部体502とを例えば接着剤や固定ねじ等の固定手段によって貼着してなるスピンチャック50Aを用いてもよい。
この場合、スピンチャック50Aの直径Dは、スピンチャック50と同様に700〜1,200mmであり、チャック上部体501の厚みT1は4mm、チャック下部体502の厚みT2は3.5mmに形成されている。このように、スピンチャック50Aの寸法を設定した理由は、直径が700〜1,200mmで、厚みが5〜8mmのスピンチャックを作製すると、従来のPPS製のスピンチャックや導電性POM製のスピンチャックでは、曲げ弾性率が小さいため、撓みが生じて基板を安定した状態で保持できないからである。かかる問題を解決するために、この発明では、上記のように、スピンチャック50Aの直径Dを、700〜1,200mmにし、チャック上部体501の厚みT1を4mm、チャック下部体502の厚みT2を3.5mmに形成することにより、基板Gの帯電防止と剛性の向上を図っている。
次に、この発明におけるスピンチャックの材質を変えて、基板帯電量を測定する実験について説明する。
実験に当って、表1に示す特性を有する試料すなわち比較例1{ポリフェニレンサルファイド(PPS)}、実施例1{導電性ポリアセタール樹脂(POM)}、実施例2{導電性PPS}と、比較例2{アルミニウム合金}を用意する。
Figure 0004570054
上記試料すなわち比較例1,2、実施例1,2の厚さ,吸着形状,吸引方式,チャック−カップ間のギャップ及びチャック吸引力を略同じ条件にして、複数回処理を行って、各処理毎の基板帯電量(kV)とチャック帯電量(kV)の平均値を調べたところ、表2に示すような結果が得られた。
Figure 0004570054
上記実験の結果、比較例1の材質は絶縁材料であるが、処理回数と共に増加しており、なおも増加の傾向にあることが判った。また、比較例2の材質は導電性のアルミニウム合金であるため、基板帯電量は−7.16kVであった。これに対して、実施例1では基板帯電量は許容範囲内の−2.08kVであり、実施例2では基板帯電量は更に少ない−0.67kVであった。
また、比較例1のものは曲げ弾性率が3,300(MPa)で強度が不足するため、スピンチャックの保持面が撓んでしまい、基板を安定した状態に保持できない。これに対して、実施例1のものは、導電性POM製チャック上部体501とアルミニウム合金製チャック下部体502を貼着したものであり、また、実施例2のものは曲げ弾性率が9,000(MPa)であるため、保持面が撓むことがなく、大型の基板であっても安定した状態で保持できることが判った。
また、スピンチャックの材質を上記実施例と同様に導電性樹脂材料にして、表面抵抗率を1×10(Ω/sq.)と1×1012(Ω/sq.)とした場合について同様の実験を行ったところ、基板帯電量は、−2.94(kV)、+2.96(kV)であり、許容範囲内の±3.00(kV)以下にできることが判った。
G 基板
50,50A スピンチャック(保持台)
50a 傾斜面
58 駆動モータ(回転駆動手段)
60A 回転カップ(収容容器)
60 下カップ
60b 肩部
61 蓋体
70 レジス供給ノズル(塗布液供給手段)
80 保持面
80a 上面
80b 周縁部
81 環状吸着溝
82 吸着溝
83 吸引孔
84 凹凸細条
85 カップ本体
86 第1の固定ねじ
87 プレート
87a 内向きフランジ
88 カバー
88a 外向きフランジ
88b カバー基部
89 第2の固定ねじ(ねじ部材)
501 導電性POM製チャック上部体
502 アルミニウム合金製チャック下部体

Claims (3)

  1. 被処理基板を水平に保持する保持台と、
    上記保持台に被処理基板を吸着保持させる吸着手段と、
    上記保持台を回転させる回転駆動手段と、
    上記保持台に保持された被処理基板に所定の塗布液を供給する塗布液供給手段と、
    上記保持台により保持された被処理基板を収容すると共に、保持台と同期して回転可能な下カップと、該下カップを閉塞する蓋体とからなる収容容器と、を具備してなり、
    上記保持台を、導電性樹脂材料にて形成すると共に、該導電性樹脂材料の表面抵抗率を、1×10〜1×1012(Ω/sq.)とし、
    上記収容容器の下カップにおける上記保持台にて保持される被処理基板の下方に位置する部位を導電性樹脂材料にて形成し、
    上記下カップは、保持台及び被処理基板の下方及び側方を包囲するカップ本体と、このカップ本体の底面に止着され、上記被処理基板の下方及び側方を包囲する導電性樹脂製のプレートと、上記カップ本体の底面にねじ部材によって止着される導電性樹脂製のカバーと、を具備してなり、
    この際、上記プレートは、内周辺に凹状の内向きフランジを有し、この内向きフランジが上記カップ本体に止着され、
    上記カバーは、上記内向きフランジを覆うと共に、プレートの上面と同一面上に位置する凸状の外向きフランジと、この外向きフランジの内周側に延在し、上記ねじ部材によって上記カップ本体に止着されるカバー基部と、を具備する、ことを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1記載の基板処理装置において、
    上記保持台の外周辺部に、外方に向かって下り勾配の傾斜面を形成すると共に、この傾斜面の下端と保持台の外周近傍の下カップにおける肩部との高さを同一にした、ことを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1に記載の基板処理装置において、
    上記保持台は、被処理基板の保持面に同心円状に設けられた複数の環状吸着溝と、これら複数の環状吸着溝を連通させるように上記保持面の中心部から周縁部に非放射状に延在する複数の吸着溝と、吸着手段と連通し、かつ、上記環状吸着溝又は吸着溝において開口する複数の吸引孔と、を具備してなり、
    上記保持面における上記環状吸着溝間の上面を粗面に形成し、保持面の周縁部を平滑面に形成してなる、ことを特徴とする基板処理装置。
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