JP5963147B2 - 充放電制御装置、充放電制御方法、及び蓄電システム - Google Patents

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Description

本発明は、充放電制御装置等に関する。特に、DCバスの電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、複数の蓄電池の各々から出力させる出力値を制御する充放電制御装置等に関する。
従来、蓄電システムにおいて蓄電池の充電及び放電(以後、充放電ともいう)量を制御する充放電制御装置が開示されている(例えば、特許文献1〜特許文献3)。
国際公開第2011/132311号 特開2008−42999号公報 特開2009−213288号公報
しかしながら、従来技術に係る充放電制御装置では、蓄電池が行う充電及び放電において、無駄な充電及び放電が生じている。
そこで、本発明は、蓄電池が無駄に充電及び放電する電力を抑制することが可能な充放電制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る充放電制御装置は、DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、前記DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれが放電時及び充電時に出力する電流又は電力の大きさである出力値を制御する充放電制御装置であって、前記バス電圧値と前記目標電圧値とに基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれから出力させる出力値を算出するための情報である連携情報を生成する連携部と、前記バス電圧値を前記目標電圧値に保つために前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させる出力値を示す出力目標値を前記連携情報に基づいて算出するストリング出力算出部と、算出された前記出力目標値で示される大きさの電流又は電力である出力を、当該出力目標値に対応する蓄電池から出力させる制御部とを備え、前記連携部は、前記複数の蓄電池において、充電方向に出力する蓄電池と、放電方向に出力する蓄電池とが同時に存在しないように、前記連携情報を生成し、前記連携部は、第1のバス電圧値を取得する第1のバス電圧取得部と、前記目標電圧値と前記第1のバス電圧値との差分に基づいて、当該第1のバス電圧値を当該目標電圧値に近づけるために前記複数の蓄電池から出力させるべき出力の向きを示す充放電方向を算出する充放電方向算出部とを有し、前記ストリング出力算出部は、第2のバス電圧値を取得する第2のバス電圧取得部を有し、前記連携部は、前記充放電方向を前記連携情報として、前記複数の蓄電池の各々に対応する前記ストリング出力算出部に送信し、前記充放電方向算出部は、前記複数の蓄電池の中に、出力の向きが異なる蓄電池が同時に存在しないように、前記充放電方向を算出し、前記ストリング出力算出部は、取得した前記充放電方向、及び、前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分に対応する値に基づいて、前記出力目標値を算出する。
なお、本発明は、このような充放電制御装置として実現できるだけでなく、充放電制御装置に含まれる特徴的な手段をステップとする充放電制御方法として実現したり、そのような特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのはいうまでもない。
さらに、本発明は、このような充放電制御装置の機能の一部又は全てを実現する半導体集積回路(LSI)として実現したり、このような充放電制御装置を含む蓄電システムとして実現したりできる。
以上、本発明によると、蓄電池が無駄に充電及び放電する電力を抑制する充放電制御装置を提供できる。
図1Aは、DCバスの電圧を一定に保つため、関連技術に係る複数のDC/DCコンバータのそれぞれが、対応する蓄電池の充放電を制御する様子を示す図である。 図1Bは、DCバスの電圧を一定に保つため、本発明の一態様に係る複数のDC/DCコンバータのそれぞれが、対応する蓄電池の充放電を制御する様子を示す図である。 図2は、実施の形態1及び2並びにその変形例に係る充放電制御装置を含む、蓄電システムの概要を示す図である。 図3は、実施の形態1及び2並びにその変形例に係る充放電制御装置の構成の一例を示す図である。 図4は、実施の形態1及び2並びにその変形例に係る充放電制御装置の他の構成の一例を示す図である。 図5は、実施の形態1に係る充放電制御装置の機能ブロックを示す図である。 図6は、実施の形態1に係る充放電制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図7は、実施の形態1に係る充放電制御装置のより詳細な機能ブロックを示す図である。 図8は、実施の形態1に係る充放電制御装置が行うより詳細な処理の流れを示すフローチャートである。 図9は、実施の形態2に係る充放電制御装置の機能ブロックを示す図である。 図10は、実施の形態2に係る充放電制御装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。 図11は、実施の形態2の変形例に係る充放電制御装置の機能ブロックを示す図である。 図12は、実施の形態1の変形例に係る充放電制御装置の機能ブロックを示す図である。 図13Aは、実施の形態1の変形例に係る連携部の処理の流れを示すフローチャートである。 図13Bは、実施の形態1の変形例に係るDC/DCコンバータの処理の流れを示すフローチャートである。 図14は、本発明の実施の形態1及び2並びにそれらの変形例に係る充放電制御装置を実現するコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した充放電制御装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
一般に、蓄電池は充放電を繰り返すに従って、劣化していく。
また、充放電システムにおいて蓄電池は、DC/DCコンバータを介してDCバスに接続される。すなわち、例えば、蓄電池から出力された電力は、一旦DC/DCコンバータにより適切な電圧値に昇圧又は降圧された後、DCバスへ出力される。この際、DC/DCコンバータを介することによる電力損失が生じる。
したがって、電力効率の向上、及び蓄電池の長寿命化のためには、できるだけ蓄電池に充放電させる電力を減らすことが好ましい。
特許文献1〜特許文献3において、関連技術に係る複数のDC/DCコンバータは、DCバスの電圧を一定に保つよう、それぞれに接続されている蓄電池に充電及び放電をさせる。この際、(1)複数のDC/DCコンバータ間で、DCバスの電圧を計測するタイミングにズレが生じる場合、及び、(2)DCバスの電圧を計測する電圧センサーの誤差にばらつきが大きい場合などが想定される。こうした場合には、各DC/DCコンバータにおいて算出される、蓄電池に出力させるべき電流値の向きが一致しない場合が生じうる。
後述するように、DCバスに対して蓄電池から出力される電流の向きが異なると、必ず無駄な電力が消費されてしまう。しかし、従来技術におけるDC/DCコンバータは、蓄電池に充放電をさせる際の電流の向きについて他のDC/DCコンバータと連携をとる仕組みがない。その結果、複数のDC/DCコンバータが各蓄電池に無駄な充放電をさせるよう蓄電池を制御する場合が生じる。以下、図1A及び図1Bを参照して、具体的に説明する。
図1Aは、DCバスの電圧を一定に保つため、関連技術に係る複数のDC/DCコンバータのそれぞれが、対応する蓄電池の充放電を制御する様子を示す図である。一方、図1Bは、DCバスの電圧を一定に保つため、本発明の一態様に係る複数のDC/DCコンバータのそれぞれが、対応する蓄電池の充放電を制御する様子を示す図である。
図1Aでは、DC/DCコンバータ101が蓄電池94Aに−10kWを出力(すなわち、10kWを充電)させ、DC/DCコンバータ201が蓄電池94Bに20kWを出力(すなわち、20kWを放電)させている。
また、図1Bでは、DC/DCコンバータ101が蓄電池94Aに6kWを出力(すなわち、6kWを放電)させ、DC/DCコンバータ201が蓄電池94Bに4kWを出力(すなわち、4kWを放電)させている。
図1A及び図1Bのどちらの場合も、インバータ84からは10kWの電力が出力される。しかし、仮にDC/DCコンバータ101及びDC/DCコンバータ201における電力変換効率を95%とすると、図1Aの場合、DC/DCコンバータによる電力損失は、(10kW+20kW)×0.05=1.5kWとなる。一方、図1Bの場合、DC/DCコンバータによる電力損失は、(6kW+4kW)×0.05=0.5kWとなる。
以上の考察から、複数のDC/DCコンバータが出力する電流(又は電力)の向きが異なる場合には、向きが一致する場合よりも、より多くの電力が損失することがわかる。さらに、各蓄電池が出力する電流の絶対値も、電流の向きが異なる場合の方が大きくなる。したがって、電流の向きが異なる場合の方が、蓄電池の劣化もより進行する。
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る充放電制御装置は、DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、前記DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれが放電時及び充電時に出力する電流又は電力の大きさである出力値を制御する充放電制御装置であって、前記バス電圧値と前記目標電圧値とに基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれから出力させる出力値を算出するための情報である連携情報を生成する連携部と、前記バス電圧値を前記目標電圧値に保つために前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させる出力値を示す出力目標値を前記連携情報に基づいて算出するストリング出力算出部と、算出された前記出力目標値で示される大きさの電流又は電力である出力を、当該出力目標値に対応する蓄電池から出力させる制御部とを備え、前記連携部は、前記複数の蓄電池において、充電方向に出力する蓄電池と、放電方向に出力する蓄電池とが同時に存在しないように、前記連携情報を生成する。
これによると、充放電制御装置は、複数の蓄電池において、充電方向に出力する蓄電池と、放電方向に出力する蓄電池とが同時に存在することを、連携情報を活用して防止できる。その結果、充放電制御装置が充電及び放電を制御する対象である複数の蓄電池のそれぞれが、DCバスに対して無駄に充電及び放電する電力量を抑制することができる。
例えば、前記連携部は、前記バス電圧値を取得するバス電圧取得部と、前記目標電圧値と前記バス電圧値との差分に基づいて、当該バス電圧値を当該目標電圧値に近づけるために前記複数の蓄電池から出力させるべき総出力値を示す充放電出力値を算出する充放電出力算出部と、算出した前記充放電出力値により示される大きさの出力を前記複数の蓄電池から出力させる際に、当該複数の蓄電池のそれぞれが出力すべき出力値の割合を示す出力比を算出する出力比算出部とを有し、前記出力比算出部は、前記複数の蓄電池において、充電方向に出力する蓄電池と、放電方向に出力する蓄電池とが同時に存在しないように、前記出力比を算出し、前記連携部は、前記充放電出力値と前記出力比とを前記連携情報として生成するとしてもよい。
連携情報として具体的に、充放電出力値と出力比とを使用することにより、複数の蓄電池のそれぞれがDCバスに出力する電流の向きが異符号となることを防止できる。
また、前記出力比算出部は、前記複数の蓄電池それぞれの健康状態及び充電状態の少なくとも一方を示す情報に基づいて、前記出力比を算出するとしてもよい。
これにより、充放電制御装置は、接続された蓄電池の劣化をより抑制することができる。
また、前記連携部は、第1のバス電圧値を取得する第1のバス電圧取得部と、前記目標電圧値と前記第1のバス電圧値との差分に基づいて、当該第1のバス電圧値を当該目標電圧値に近づけるために前記複数の蓄電池から出力させるべき出力の向きを示す充放電方向を算出する充放電方向算出部とを有し、前記ストリング出力算出部は、第2のバス電圧値を取得する第2のバス電圧取得部を有しており、前記連携部は、前記充放電方向を前記連携情報として、前記複数の蓄電池の各々に対応する前記ストリング出力算出部に送信し、前記充放電方向算出部は、前記複数の蓄電池の中に、出力の向きが異なる蓄電池が同時に存在しないように、前記充放電方向を算出し前記ストリング出力算出部は、取得した前記充放電方向、及び、前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分に対応する値に基づいて、前記出力目標値を算出するとしてもよい。
連携情報として具体的に、充電方向を使用することにより、複数の蓄電池のそれぞれがDCバスに出力する向きが異符号となることを防止できる。
また、前記ストリング出力算出部は、前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分を相殺するための出力の方向と、取得した前記充放電方向によって示される方向とが異なる場合には、事前に定められた値以下となるように前記出力目標値を算出し、前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分を相殺するための出力の方向と、取得した前記充放電方向によって示される方向とが一致する場合には、前記差分が大きいほど絶対値がより大きく、かつ、前記充放電方向によって示される方向に流れる出力を示すように前記出力目標値を算出するとしてもよい。
これによると、各DC/DCコンバータが計測したバス電圧に誤差が含まれている場合であっても、制御が不安定になることなく、蓄電池の充放電を適切に制御することができる。
また、前記連携部は、さらに、前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させるべき出力値の範囲を示す制限値を決定する制限値決定部を有し、前記充放電制御装置は、さらに、前記ストリング出力算出部により算出された前記出力目標値が前記制限値によって示される範囲に含まれていない場合には、当該範囲に含まれるように当該出力目標値を補正する制限部を備えるとしてもよい。
これにより、過剰に蓄電池から放電され、又は、蓄電池に充電されることを防止することができる。したがって、蓄電池の劣化をより抑制することができる。
例えば、前記制限値決定部は、前記複数の蓄電池の各々に対応する前記制限値の範囲に含まれる出力値を当該蓄電池に出力させた場合に、当該蓄電池が過放電及び過充電のうち少なくとも一方の状態にならないように、前記制限値の範囲を決定するとしてもよい。
本発明の一態様に係る充放電制御方法は、DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、前記DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれが放電時及び充電時に出力する電流又は電力の大きさである出力値を制御する充放電制御方法であって、前記バス電圧値と前記目標電圧値とに基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれから出力させる出力値を算出するための情報である連携情報を生成する連携ステップと、前記連携情報に基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させる出力値を示す出力目標値を算出するストリング出力算出ステップと、算出された前記出力目標値で示される大きさの電流又は電力である出力を、当該出力目標値に対応する蓄電池から出力させる制御ステップとを含み、前記連携ステップでは、前記複数の蓄電池において、充電方向に出力する蓄電池と、放電方向に出力する蓄電池とが同時に存在しないように、前記連携情報を生成する。
本発明の一態様に係る蓄電システムは、充放電制御装置と、各々がDCバスに接続され、前記充放電制御装置により制御される複数の蓄電池とを備える。
なお、これらの全般的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1に係る充放電制御装置100を含む、蓄電システム90の概要を示す。例えば、蓄電システム90は、需要家ごとに設置される。
図2に示される様に、蓄電システム90は、充放電制御装置100と、蓄電池94Aと、蓄電池94Bとを備える。蓄電池94A及び94Bは、充放電制御装置100を介して、DCバス95にそれぞれ並列に接続されている。
DCバス95には、さらに、PV(Photovoltaic;太陽光発電)システム88が、DC/DCコンバータ86を介して接続されている。また、DCバス95は、インバータ84を介して、系統80及び負荷82と接続されている。負荷82は、例えば、エアーコンディショナー、照明器具などの、家庭用電気器具である。
蓄電池94A及び蓄電池94Bは、PVシステム88によって発電された電力、及び、系統80から購入した電力によって充電される。
また、蓄電池94A及び蓄電池94Bから放電された電力は、負荷82で消費される。また、蓄電池94A及び蓄電池94Bから放電された電力は、系統80への逆潮流により売電されてもよい。なお、本明細書において、蓄電池が正の電流を出力する場合を放電とし、蓄電池が負の電流を出力する場合を充電とする。また、蓄電池は、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ナトリウム・硫黄電池、ニッカド電池等、任意の種類の蓄電池が考えられる。
充放電制御装置100は、DC/DCコンバータ101とDC/DCコンバータ201とを有する。DC/DCコンバータ101及びDC/DCコンバータ201は、それぞれ、蓄電池94A及び蓄電池94Bの充放電を制御する。DC/DCコンバータ101と蓄電池94Aとはストリング92Aを構成する。DC/DCコンバータ201と蓄電池94Bとはストリング92Bを構成する。
なお、PVシステム88は一例であり、例えば風力発電システム、燃料電池システム等、需要家に設置された任意の発電設備をPVシステム88に代わってDCバス95に接続してもよい。また、DCバス95には、PVシステム88等の発電設備、及びDC/DCコンバータ86が接続されていなくてもよい。
また、図2に示される各要素の数は例示である。例えば、蓄電システム90は、蓄電池に接続されたDC/DCコンバータを3台以上備えていてもよい。また、蓄電池は、直列及び並列の任意の構成で接続された1個以上の任意の数の電池パックを有していてもよい。
次に、図3及び図4を参照して、充放電制御装置100の構成の具体例を説明する。
図3は、充放電制御装置100の構成の一例を示す。図3に示される様に、充放電制御装置100は、連携部102を有するDC/DCコンバータ101と、連携部102を有しないDC/DCコンバータ201とを備える。以後、連携部102を有するDC/DCコンバータをマスターとも呼び、連携部102を有しないDC/DCコンバータをスレイブとも呼ぶ。
後述するように、連携部102は、DCバス95のバス電圧を取得する。また、取得したバス電圧と、事前に定められた目標電圧値とに基づいて、DC/DCコンバータ101が蓄電池94Aに出力させる電流の向きと、DC/DCコンバータ201が蓄電池94Bに出力させる電流の向きとが異ならないようにするための連携情報をDC/DCコンバータ201へ送信する。この場合、連携部102は、有線又は無線による任意の通信路を使用して、DC/DCコンバータ201に連携情報を送信することができる。
図4は、充放電制御装置100の構成の他の一例を示す。図4に示される様に、連携部102は、DC/DCコンバータ101及びDC/DCコンバータ201の外部に位置する。この場合、連携部102は、連携情報をDC/DCコンバータ101及びDC/DCコンバータ201へ送信する。この場合、連携部102は、有線又は無線による任意の通信路を使用して、DC/DCコンバータ101及びDC/DCコンバータ201へ連携情報をそれぞれ送信することができる。
次に、図5は、本実施の形態に係る充放電制御装置100の機能ブロックを示す。
充放電制御装置100は、DCバス95の電圧値であるバス電圧(DCバス電圧ともいう)値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、DCバス95に対して並列に接続されている複数の蓄電池の各々が放電時及び充電時に出力する電流値を制御する。
図5に示されるように、充放電制御装置100は、DC/DCコンバータ101とDC/DCコンバータ201とを備える。
DC/DCコンバータ101は、DCバス95及び対応する蓄電池94Aに接続されている。また、DC/DCコンバータ201は、DCバス95及び対応する蓄電池94Bに接続されている。
DC/DCコンバータ101は、連携部102と、ストリング電流算出部108と、制御部110とを有する。また、DC/DCコンバータ201は、ストリング電流算出部208と、制御部210とを有する。
連携部102は、バス電圧値と目標電圧値とに基づいて、複数の蓄電池の各々から出力させるべき電流値を算出するための情報である連携情報を生成する。この際、連携部102は、複数の蓄電池において、充電方向に電流を出力する蓄電池と、放電方向に電流を出力する蓄電池とが同時に存在しないように連携情報を生成する。連携部102によって生成された連携情報は、充放電制御装置100が備える全てのストリング電流算出部へ同報送信される。
ストリング電流算出部108及び208のそれぞれは、連携情報に基づいて、対応するストリングから出力すべき電流を算出する。ここで各ストリングは、蓄電池と当該蓄電池の充放電を制御するDC/DCコンバータとを含む。すなわち、ストリング電流算出部は、連携情報に基づいて、複数の蓄電池である蓄電池94A及び94Bのそれぞれに出力させる電流値を示す電流目標値を算出する。ストリング電流算出部によって算出された電流目標値は、当該電流目標値を算出したストリング電流算出部に対応する制御部に送信される。具体的には、ストリング電流算出部108によって算出された電流目標値は、制御部110へ送信される。また、ストリング電流算出部208によって算出された電流目標値は、制御部210へ送信される。
制御部は、電流目標値で示される大きさの電流を、対応する各蓄電池から出力させる。具体的には、制御部110は、ストリング電流算出部108から取得した電流目標値で示される大きさの電流を、蓄電池94Aから出力させる。また、制御部210は、ストリング電流算出部208から取得した電流目標値で示される大きさの電流を、蓄電池94Bから出力させる。
より詳細には、連携部102は、バス電圧取得部104と、連携情報生成部106とを有する。
バス電圧取得部104は、DCバス95のバス電圧を取得する。
連携情報生成部106は、バス電圧取得部104により取得されたバス電圧の値と、事前に定められた目標電圧の値とに基づいて、連携情報を生成する。目標電圧値は、例えば、充放電制御装置100が備えるROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶部(図示なし)に記憶されている。また、充放電制御装置100は、ユーザの操作によって入力された目標電圧値を取得してもよい。なお、連携情報の詳細については、後述する。
制御部110は、PWM(Pulse Width Modulation)信号生成部112と、電流取得部114と、PM(Power Module)116とを有する。また、制御部210は、PWM信号生成部212と、電流取得部214と、PM216とを有する。
PWM信号生成部112及び212は、PMを駆動するためのPWM信号を生成することにより、対応するPMを駆動する回路である。具体的には、PWM信号生成部112及び212は、電流目標値と、当該電流目標値に対応する蓄電池が出力する電流値との偏差に基づくフィードバック制御を行うことにより、出力するパルス信号のデューティー比を決定する。フィードバック制御の一例としては、PI制御又はPID制御等が考えられるが、これに限られない。
電流取得部114及び電流取得部214は、それぞれ蓄電池94A及び蓄電池94Bから電流値を取得し、PWM信号生成部へ出力する。
PM116及び216は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又は、パワーMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)等のパワーモジュールである。
なお、図5は、図3に示すDC/DCコンバータが連携部102を有する充放電制御装置100の構成に対応する機能ブロックであるが、前述のとおり、充放電制御装置100の構成はこれに限られない。例えば、図4に示すように、連携部102とDC/DCコンバータとが別個の装置又はモジュールとして充放電制御装置100に含まれている構成としてもよい。
図6は、本実施の形態に係る充放電制御装置100が行う処理の流れの一例を示す。
まず、バス電圧取得部104がDCバス95のバス電圧を取得する(S102)。
次に、連携情報生成部106が目標電圧値とバス電圧とから連携情報を生成する(S104)。
次に、ストリング電流算出部108及び208のそれぞれは、ストリングごとに電流目標値を算出する(S106)。
最後に、制御部110は、対応する蓄電池から電流目標値によって示される電流を出力させる(S108)。
以上述べたように、本実施の形態に係る充放電制御装置100によると、ストリングごとに出力される電流について、複数の蓄電池から充電方向の電流と放電方向の電流とが同時に出力されることがない。したがって、充放電制御装置100が充電及び放電を制御する対象である複数の蓄電池のそれぞれが、DCバス95に対して無駄に充電及び放電する電力量を抑制することができる。
以下、本実施の形態に係る充放電制御装置について、特に連携部における処理をより具体的に説明する。
図7は、本実施の形態に係る充放電制御装置であり、連携情報として、複数の蓄電池から出力させるべき総電流値を示す充放電電流値と、当該充放電電流値を出力する際の各蓄電池の負担分を示す電流比とを使用する、充放電制御装置100Aの機能ブロックを示す。なお、図5に示す充放電制御装置100と同じ構成について同じ符号を使用し、詳細な説明は省略する。
図7に示される様に、充放電制御装置100Aは、連携部102Aと、ストリング電流算出部108A及び208Aと、制御部110及び210とを備える。連携部102Aと、ストリング電流算出部108Aと、制御部110とは、DC/DCコンバータ101Aを構成する。ストリング電流算出部208Aと、制御部210とは、DC/DCコンバータ201Aを構成する。
連携部102Aは、バス電圧取得部104と連携情報生成部106Aとを有する。
連携情報生成部106Aは、前述した充放電電流値と電流比とを含む連携情報を生成する。より詳細には、連携情報生成部106Aは、充放電電流算出部120と、電流比算出部122とを含む。
充放電電流算出部120は、例えば、目標電圧値とバス電圧値との差分を所定のインピーダンスで割ることにより、バス電圧値を目標電圧値に近づけるために複数の蓄電池から出力させるべき総電流値を示す充放電電流値を算出する。
電流比算出部122は、算出した充放電電流値により示される大きさの電流を複数の蓄電池から出力させる際に、当該複数の蓄電池のそれぞれが出力すべき電流値の割合を示す電流比を算出する。より詳細には、複数の蓄電池において、充電方向に電流を出力する蓄電池と、放電方向に電流を出力する蓄電池とが同時に存在しないように、電流比を算出する。
例えば、電流比算出部122は、複数の蓄電池それぞれの健康状態及び充電状態の少なくとも一方に基づいて、電流比を算出してもよい。ここで、蓄電池の健康状態を示す情報とは、例えばSOH(State Of Health)、蓄電池のサイクル数、及び、蓄電池の運用時間等の値が考えられる。また、蓄電池の充電状態を示す情報とは、例えばSOC(State Of Charge)等の値が考えられる。
具体的には、例えば電流比算出部122は、より健康な蓄電池ほど、より多くの電流を出力するように電流比を決定することが考えられる。例えば、SOHがより大きい電池ほど、より多くの電流を出力するように電流比を決定してもよい。
また、SOCがより大きい蓄電池ほど、より多くの電流を出力するように電流比を決定してもよい。さらにまた、サイクル数がより少なく、かつ、運用時間がより短い蓄電池ほど、より多くの電流を出力するように電流比を決定してもよい。
また、充電時と放電時で電流比を変えてもよい。具体的には、SOCがより大きい蓄電池ほど、より多くの電流を放電できるように電流比を決定してもよい。さらにまた、SOCがより低い蓄電池ほど、より多くの電流を充電できるように電流比を決定してもよい。
なお、電流比算出部122は、事前に定められた値(例えば、蓄電池94A:蓄電池94B=1:1など)を使用して電流比を算出してもよい。
連携部102Aは、こうして充放電電流算出部120によって算出された充放電電流値と、電流比算出部122によって算出された電流比とを連携情報として生成する。
ストリング電流算出部108A及び208Aは、取得した充放電電流値と電流比とから、自身が制御する蓄電池に出力させるべき電流値を示す目標電流値を算出する。
例えば、電流比が蓄電池94A:蓄電池94B=1:2となる電流を出力させるべきことを表し、充放電電流値が12[A]である場合、ストリング電流算出部108Aが算出する電流目標値は4[A]となる。また、ストリング電流算出部208Aが算出する電流目標値は8[A]となる。
図8は、充放電制御装置100Aが行う処理の流れを示すフローチャートである。
バス電圧取得部104がバス電圧を取得後(S102)、充放電電流算出部120は、充放電電流値を算出する(S202)。
次に、電流比算出部122は、充放電電流値によって示される電流を蓄電池全体で負担する場合における、各蓄電池が出力すべき電流値(すなわち、ストリング毎の電流値)の割合を示す電流比を算出する(S204)。ここで、電流比算出部122は、各蓄電池が出力すべき電流値の中に、異符号の電流値が同時に存在しないように電流比を算出する。言いかえると、充放電制御装置100Aが制御する複数の蓄電池のうちに、充電をする蓄電池と放電をする蓄電池とが同時に存在しないように電流比を算出する。
次に、ストリング電流算出部108A及び208Aは、それぞれ対応するストリングごとに電流目標値を算出する(S106)。
最後に、制御部110及び制御部210は、それぞれ対応する蓄電池から電流目標値によって示される電流を出力させる(S108)。
以上述べたように、本実施の形態に係る充放電制御装置100Aによると、複数の蓄電池において、充電方向に電流を出力する蓄電池と、放電方向に電流を出力する蓄電池とが同時に存在することを、連携情報を活用して防止できる。その結果、充放電制御装置100Aが充電及び放電を制御する対象である複数の蓄電池のそれぞれが、DCバス95に対して無駄に充電及び放電する電力量を抑制することができる。
(実施の形態2)
次に、連携情報として、複数の蓄電池から出力させるべき電流の向きを示す充放電方向を使用する場合の実施の形態について説明する。
図9は、実施の形態2に係る充放電制御装置の機能ブロックを示す。
図9に示される様に、充放電制御装置100Bは、連携部102BとDC/DCコンバータ101B及び201Bを備える。
DC/DCコンバータ101B及び102Bは、連携部102Bから取得した充放電方向と、自身が取得したDCバス95のバス電圧と、事前に定められた目標電圧とに基づいて、ストリングごとの電流目標値を算出する。
より詳細には、連携部102Bは、バス電圧取得部104と連携情報生成部106Bとを有し、連携情報生成部106Bは、充放電方向算出部124を含む。
バス電圧取得部104は、DCバス95のバス電圧を取得する。本実施の形態においては、後述するようにストリング電流算出部の各々も独自にバス電圧を取得する。したがって、区別のため、バス電圧取得部104が取得するバス電圧の値を第1のバス電圧値と呼ぶ。
充放電方向算出部124は、目標電圧値と第1のバス電圧値との差分に基づいて、当該第1のバス電圧値を当該目標電圧値に近づけるために複数の蓄電池から出力させるべき電流の向きを示す充放電方向を算出する。このとき、充放電方向算出部124は、複数の蓄電池それぞれから出力させるべき電流の向きの中に、正負が異なる電流の向きが同時に存在しないように、充放電方向を算出する。
充放電方向としては、例えば「充電」及び「放電」、「正」及び「負」、並びに、「0」及び「1」など、蓄電池が充電及び放電のうちいずれを行うべきかを示す情報であれば、任意の値を使用してもよい。充放電方向算出部124は、例えば、目標電圧値から第1のバス電圧値を引いた差分が0以上であれば、蓄電池に不足分の電流を放電させる必要がある。したがって、充放電方向として「放電」を示す情報を、全てのストリング電流算出部に対して送信する。逆に、目標電圧値から第1のバス電圧値を引いた差分が0未満であれば、蓄電池に余剰電流を吸収させる必要がある。したがって、充放電方向として「充電」を示す情報を、全てのストリング電流算出部に対して送信する。
連携情報生成部106Bは、充放電方向算出部124によって算出された充放電方向を連携情報として、複数の蓄電池の各々に対応するDC/DCコンバータが有するストリング電流算出部に送信する。
DC/DCコンバータ101B及び201Bは、それぞれ、ストリング電流算出部108B及び208Bを有する。
ストリング電流算出部108B及び208Bは、それぞれ、DCバス95のバス電圧を取得するバス電圧取得部109及び209を含む。なお、バス電圧取得部104、バス電圧取得部109及びバス電圧取得部209は、それぞれ、異なる電圧センサーにより測定されたDCバス95のバス電圧を取得してもよい。以後、説明のため、バス電圧取得部109及びバス電圧取得部209のそれぞれにより取得されるバス電圧の値を総称して、第2のバス電圧値と呼ぶ。また、バス電圧取得部104を第1のバス電圧取得部とも呼び、バス電圧取得部109とバス電圧取得部209とを総称して第2のバス電圧取得部とも呼ぶ。
ストリング電流算出部108B及び208Bのそれぞれは、取得した充放電方向、及び、第2のバス電圧値と目標電圧値との差分に対応する値に基づいて、電流目標値を算出する。
より詳細には、ストリング電流算出部108B及び208Bのそれぞれは、自身が取得した第2のバス電圧値と目標電圧値との差分を相殺するための電流の方向と、取得した充放電方向によって示される方向とが異なる場合には、事前に定められた値以下となるように電流目標値を算出する。一方、自身が取得した第2のバス電圧値と目標電圧値との差分を相殺するための電流の方向と、取得した充放電方向によって示される方向とが一致する場合には、差分が大きいほど絶対値がより大きく、かつ、充放電方向によって示される方向に流れる電流を示すように電流目標値を算出する。
具体的には、ストリング電流算出部108B及び208Bのそれぞれは、自身が取得したバス電圧と目標電圧とが一致するように、例えばPI制御などのフィードバック制御により電流目標値を決定する。
その際、第1のバス電圧取得部と第2の電圧取得部とでバス電圧を取得するタイミングが異なると、取得されるバス電圧値も異なりうる。また、バス電圧の取得に使用される電圧センサーの誤差によっても、各バス電圧取得部によってバス電圧値が異なりうる。
したがって、例えば、連携部102Bにおいて、蓄電池に充電させるべきと判断した場合であっても、あるストリング電流算出部において行われるフィードバック制御の結果、蓄電池に放電させるべきと判断する場合も考えられる。
このように、連携部102Bが算出した充放電方向と、各ストリングに対応するストリング電流算出部がフィードバック制御により算出した電流目標値の方向とが一致しない場合には、連携部102Bによる判断が優先される。したがって、各ストリング電流算出部は、自身が算出した電流目標値の方向が、取得した充放電方向と一致しない場合には、電流目標値として例えば0を出力する。さらに、例えばPI制御におけるI成分に誤差が含まれているおそれがあるため、I成分を0にリセットしてもよい。
図10は、本実施の形態に係る充放電制御装置100Bが行う処理の流れを示す。
まず、バス電圧取得部104が第1のバス電圧の値を取得する(S102)。
次に、充放電方向算出部124が充放電方向を算出する(S212)。
次に、各DC/DCコンバータが有するバス電圧取得部が、DCバス95のバス電圧値である第2のバス電圧値を取得する(S214)。
その後、ストリング電流算出部108B及び208Bのそれぞれは、自身が取得した第2のバス電圧値を目標電圧に一致させるために必要な電流の向きを確認する。これは、例えば、目標電圧の値と第2のバス電圧値との差分を計算することにより確認することができる。その後、各ストリング電流算出部は、算出した電流目標値によって示される電流の向きと、連携部102Bから取得した充放電方向によって示される電流の向きとが一致するか否かを判定する(S216)。
ここで、電流の向きが一致する場合には(S216でYes)、各ストリング電流算出部は、PI制御等のフィードバック制御により、第2のバス電圧値と目標電圧の値とが一致するように、電流目標値を算出し、出力する(S218)。一方、電流の向きが一致しない場合には(S216でNo)、差分の履歴を示すI成分をリセットし、電流目標値に0をセットする(S220)。なお、ステップS220において、0の代わりに、0近傍の値である事前に定められた値以下の値を電流目標値として使用してもよい。
最後に、各DC/DCコンバータが有する制御部は、電流目標値によって示される電流を対応する蓄電池から出力させる(S108)。
以上述べたように、本実施の形態に係る充放電制御装置100Bによると、連携部102Bは、各DC/DCコンバータに、共通の充電方向を通知することにより、各DC/DCコンバータが蓄電池に無駄な充電及び放電をさせることを抑制できる。
(変形例)
次に、図11〜図13Bを参照し、上記実施の形態1及び2の変形例について説明する。この変形例においては、ストリング電流算出部によって一旦算出された電流目標値にリミッターを適用することにより、蓄電池の過放電及び過充電を防止する。
図11は、実施の形態2の変形例に係る充放電制御装置100Cの機能ブロックを示す。
図11に示される様に、充放電制御装置100Cは、連携部102Cと、DC/DCコンバータ101Cと、DC/DCコンバータ201Cとを備える。
連携部102Cが有する連携情報生成部106Cは、充放電方向算出部124に加えて、さらに制限値決定部126を含む。
制限値決定部126は、複数の蓄電池のそれぞれに出力させるべき電流値の範囲を示す制限値を決定する。具体的には、制限値決定部126は、複数の蓄電池の各々に対応する制限値の範囲に含まれる電流値を当該蓄電池に出力させた場合に、当該蓄電池が過放電及び過充電のうち少なくとも一方の状態にならないように、制限値の範囲を決定する。
また、DC/DCコンバータ101C及び201Cは、DC/DCコンバータ101B及び201Bと比較して、さらに、制限部130及び230をそれぞれ有している。図11に示されるように、制限部130及び230は、それぞれストリング電流算出部108C及び208Cの後段に接続される。なお、本変形例において、ストリング電流算出部108C及び208Cは、外部のバス電圧取得部からバス電圧を取得している。しかし、図9に示されるストリング電流算出部108B及び208Bのように、バス電圧取得部を内部に有してもよい。
制限部130及び230は、対応するストリング電流算出部により算出された電流目標値が、制限値決定部126により決定された制限値によって示される範囲に含まれていない場合には、当該範囲に含まれるように電流目標値を補正する。その際には、例えば、蓄電池のSOC等の情報を参照してもよい。例えば、蓄電池のSOCを取得し、当該蓄電池に電流目標値を出力させることが過充電又は過放電等、当該蓄電池の劣化を著しく進行させる原因となることが予想される場合には、電流目標値の絶対値がより小さくなるように補正することが考えられる。また、制限値決定部126は蓄電池のSOHを参照し、SOHが小さい蓄電池ほど、制限値の上限及び下限がより小さくなるように、蓄電池ごとに制限値を決定してもよい。
次に、図12は、実施の形態1の変形例に係る充放電制御装置100Dの機能ブロックを示す。なお、図11と同じ構成要素については、同一の符号をつけ、詳細な説明は省略する。
図12に示される様に、充放電制御装置100Dは、DC/DCコンバータ101Dと、DC/DCコンバータ201Dとを備える。
DC/DCコンバータ101Dは、連携部102Dと、ストリング電流算出部108Dと、制限部130と、制御部110とを有する。また、DC/DCコンバータ201Dは、ストリング電流算出部208Dと、制限部230と、制御部210とを有する。なお、ストリング電流算出部108D及び208Dは、それぞれ、図7に示されるストリング電流算出部108A及び208Aと同一の構成要素であるとする。
図7に示される充放電制御装置100Aが有する連携部102Aと比較して、連携部102Dは、さらに、制限値決定部126を含む。充放電電流算出部120と、電流比算出部122と、制限値決定部126とは、連携情報生成部106Dを構成する。
ストリング電流算出部108D及び208Dのそれぞれは、連携部102Dから取得した充放電電流値と電流比とに基づいて、電流目標値を算出する。算出された電流目標値は、制限部130及び230が取得する。
制限部130及び制限部230のそれぞれは、制限値決定部126から取得した制限値の範囲内に電流目標値が含まれていない場合には、制限値の範囲内に含まれるように電流目標値を補正する。
図13Aは、実施の形態1の変形例に係る連携部102Dの処理の流れを示すフローチャートである。また、図13Bは、実施の形態1の変形例に係るDC/DCコンバータ101D及び201Dの処理の流れを示すフローチャートである。
まず、図13Aを参照して、バス電圧取得部104は、所定周期ごとに(S302)DCバス95のバス電圧値を取得する(S304)。
次に、充放電電流算出部120は、DCバス95のバス電圧を目標電圧値に保つために、全ての蓄電池(すなわち、全てのストリング)に出力させるべき充放電電流の値を算出する。また、電流比算出部122は、各蓄電池に出力させるべき電流値の比を算出する。さらに、制限値決定部126は、制限値を決定する(S306)。
次に、連携部102Dは、充放電電流値と電流比とをストリング電流算出部108D及び208Dに送信する。また、制限値を制限部130及び230に送信する(S308)。
その後、充放電制御装置100Dの動作が停止するまで、連携部102Dは、ステップS302からステップS308の処理を繰り返す。
次に、図13Bを参照して、DC/DCコンバータ101D及び201Dは、それぞれストリング電流算出部108D及び208Dに対して、事前に定められた初期値を電流比として使用するよう設定する(S312)。同様に、事前に定められた初期値を制限値の上限値として使用するよう設定する。ここでは、蓄電池に充電する向きの電流値に対する上限値の設定(S314)と、蓄電池に放電する向きの電流値に対する上限値の設定(S316)とを個別に行ってもよい。
次に、ストリング電流算出部108D及び208Dは、事前に定められた周期Aごとに(S318)、連携部102Dから充放電電流の値を取得する(S320)。
また、ストリング電流算出部108D及び208Dは、事前に定められた周期Bごとに(S322)、連携部102Dからストリングごとの電流比を取得する(S324)。また、連携部102Dからストリングごとの制限値を取得する(S326)。
その後、事前に定められた周期Cごとに(S328)、ストリング電流算出部108D及び208Dは、蓄電池に出力させるべき目標電流値をストリングごとに算出する(S330)。さらに、算出された目標電流値に対し、ストリングごとに制限値による制限処理を施す(S332)。
その後、制限処理が施された目標電流値を取得した制御部110及び210のそれぞれは、電池の電流値を取得し(S334)、PMを駆動するためのPWM信号(PWM指令値)を生成し(S336)、対応するPMに送信する(S338)。
以後、充放電制御装置100Dの動作が停止するまで、ステップS318〜ステップS338までの処理が繰り返される。
なお、実施の形態1及び2並びにその変形例にいて、DC/DCコンバータのマスターとスレイブとを入れ替えてもよい。例えば、再度図3を参照して、DC/DCコンバータ101をスレイブとし、DC/DCコンバータ201をマスターとしてもよい。
なお、実施の形態1及び2並びにその変形例において、充放電制御装置は、蓄電池が出力する電流値を制御するものとして説明した。しかし、充放電制御装置は、蓄電池が出力する電力値を制御してもよい。すなわち、実施の形態1及び2並びにその変形例に係る充放電制御装置は、DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれが放電時及び充電時に出力する電流又は電力の大きさである出力値を制御してもよい。
この場合、本明細書及び図面の記載において、適宜以下の読み替えを行う。すなわち、「電流値」を「電流又は電力の大きさである出力値」と読み替えることができる。また、「電流」を「電流又は電力である出力」と読み替えることができる。また、電流目標値を、出力目標値と読み替えることができる。また、充放電電流値を、充放電出力値と読み替えることができる。また、ストリング電流算出部を、ストリング出力算出部と読み替えることができる。また、充放電電流算出部を、充放電出力算出部と読み替えることができる。また、電流比を出力比と読み替えることができる。また、電流比算出部を、出力比算出部と読み替えることができる。
なお、実施の形態1及び2並びにその変形例で説明した充放電制御装置は、コンピュータにより実現することも可能である。図14は、充放電制御装置100、100A、100B、100C、及び100Dを実現するコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
充放電制御装置は、コンピュータ34と、コンピュータ34に指示を与えるためのキーボード36及びマウス38と、コンピュータ34の演算結果等の情報を提示するためのディスプレイ32と、コンピュータ34で実行されるプログラムを読み取るためのCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)装置40及び通信モデム52とを含む。
充放電制御装置が行う処理であるプログラムは、コンピュータ34で読取可能な媒体であるCD−ROM42に記憶され、CD−ROM装置40で読み取られる。又は、コンピュータネットワークを通じて通信モデム52で読み取られる。
コンピュータ34は、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)46と、RAM(Random Access Memory)48と、ハードディスク50と、通信モデム52と、バス54とを含む。
CPU44は、CD−ROM装置40又は通信モデム52を介して読み取られたプログラムを実行する。ROM46は、コンピュータ34の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。RAM48は、プログラム実行時のパラメタなどのデータを記憶する。ハードディスク50は、プログラムやデータなどを記憶する。通信モデム52は、コンピュータネットワークを介して他のコンピュータとの通信を行う。バス54は、CPU44、ROM46、RAM48、ハードディスク50、通信モデム52、ディスプレイ32、キーボード36、マウス38及びCD−ROM装置40を相互に接続する。
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよい。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、前記DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれが放電時及び充電時に出力する電流値を制御する充放電制御方法であって、前記バス電圧値と前記目標電圧値とに基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれから出力させる電流値を算出するための情報である連携情報を生成する連携ステップと、前記連携情報に基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させる電流値を示す電流目標値を算出するストリング電流算出ステップと、算出された前記電流目標値で示される大きさの電流を、当該電流目標値に対応する蓄電池から出力させる制御ステップとを含み、前記連携ステップでは、前記複数の蓄電池において、充電方向に電流を出力する蓄電池と、放電方向に電流を出力する蓄電池とが同時に存在しないように前記連携情報を生成する充放電制御方法を実行させる。
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、USBメモリ、SDカードなどのメモリカード、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
また、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記記録媒体に記録して移送することにより、又は上記プログラム又は上記デジタル信号を、上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
さらに、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明は、充放電制御装置に適用できる。特に、DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれの出力を制御する充放電制御装置に適用できる。
32 ディスプレイ
34 コンピュータ
36 キーボード
38 マウス
40 CD−ROM装置
42 CD−ROM
44 CPU
46 ROM
48 RAM
50 ハードディスク
52 通信モデム
54 バス
80 系統
82 負荷
84 インバータ
86、101、101A、101B、101C、101D、201、201A、201B、201C、201D DC/DCコンバータ
88 PVシステム
90 蓄電システム
92A、92B ストリング
94A、94B 蓄電池
95 DCバス
100、100A、100B、100C、100D 充放電制御装置
102、102A、102B、102C、102D 連携部
104、109、209 バス電圧取得部
106、106A、106B、106C、106D 連携情報生成部
108、108A、108B、108C、108D、208、208A、208B、208C、208D ストリング電流算出部(ストリング出力算出部)
110、210 制御部
112、212 PWM信号生成部
114、214 電流取得部
116、216 PM
120 充放電電流算出部(充放電出力算出部)
122 電流比算出部(出力比算出部)
124 充放電方向算出部
126 制限値決定部
130、230 制限部

Claims (6)

  1. DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、前記DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれが放電時及び充電時に出力する電流又は電力の大きさである出力値を制御する充放電制御装置であって、
    前記バス電圧値と前記目標電圧値とに基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれから出力させる出力値を算出するための情報である連携情報を生成する連携部と、
    前記バス電圧値を前記目標電圧値に保つために前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させる出力値を示す出力目標値を前記連携情報に基づいて算出するストリング出力算出部と、
    算出された前記出力目標値で示される大きさの電流又は電力である出力を、当該出力目標値に対応する蓄電池から出力させる制御部とを備え、
    前記連携部は、前記複数の蓄電池において、充電方向に出力する蓄電池と、放電方向に出力する蓄電池とが同時に存在しないように、前記連携情報を生成し、
    前記連携部は、
    第1のバス電圧値を取得する第1のバス電圧取得部と、
    前記目標電圧値と前記第1のバス電圧値との差分に基づいて、当該第1のバス電圧値を当該目標電圧値に近づけるために前記複数の蓄電池から出力させるべき出力の向きを示す充放電方向を算出する充放電方向算出部とを有し、
    前記ストリング出力算出部は、第2のバス電圧値を取得する第2のバス電圧取得部を有し、
    前記連携部は、前記充放電方向を前記連携情報として、前記複数の蓄電池の各々に対応する前記ストリング出力算出部に送信し、
    前記充放電方向算出部は、前記複数の蓄電池の中に、出力の向きが異なる蓄電池が同時に存在しないように、前記充放電方向を算出し、
    前記ストリング出力算出部は、取得した前記充放電方向、及び、前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分に対応する値に基づいて、前記出力目標値を算出する
    充放電制御装置。
  2. 前記ストリング出力算出部は、
    前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分を相殺するための出力の方向と、取得した前記充放電方向によって示される方向とが異なる場合には、事前に定められた値以下となるように前記出力目標値を算出し、
    前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分を相殺するための出力の方向と、取得した前記充放電方向によって示される方向とが一致する場合には、前記差分が大きいほど絶対値がより大きく、かつ、前記充放電方向によって示される方向に流れる出力を示すように前記出力目標値を算出する
    請求項1に記載の充放電制御装置。
  3. 前記連携部は、さらに、前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させるべき出力値の範囲を示す制限値を決定する制限値決定部を有し、
    前記充放電制御装置は、さらに、前記ストリング出力算出部により算出された前記出力目標値が前記制限値によって示される範囲に含まれていない場合には、当該範囲に含まれるように当該出力目標値を補正する制限部を備える
    請求項1又は2に記載の充放電制御装置。
  4. 前記制限値決定部は、前記複数の蓄電池の各々に対応する前記制限値の範囲に含まれる出力値を当該蓄電池に出力させた場合に、当該蓄電池が過放電及び過充電のうち少なくとも一方の状態にならないように、前記制限値の範囲を決定する
    請求項3に記載の充放電制御装置。
  5. DCバスの電圧値であるバス電圧値が事前に定められた目標電圧値に保たれるよう、前記DCバスに対して並列に接続されている複数の蓄電池のそれぞれが放電時及び充電時に出力する電流又は電力の大きさである出力値を制御する充放電制御方法であって、
    前記バス電圧値と前記目標電圧値とに基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれから出力させる出力値を算出するための情報である連携情報を生成する連携ステップと、
    前記連携情報に基づいて、前記複数の蓄電池のそれぞれに出力させる出力値を示す出力目標値を算出するストリング出力算出ステップと、
    算出された前記出力目標値で示される大きさの電流又は電力である出力を、当該出力目標値に対応する蓄電池から出力させる制御ステップとを含み、
    前記連携ステップでは、前記複数の蓄電池において、充電方向に出力する蓄電池と、放電方向に出力する蓄電池とが同時に存在しないように、前記連携情報を生成し、
    前記連携ステップは、
    第1のバス電圧値を取得する第1のバス電圧取得ステップと、
    前記目標電圧値と前記第1のバス電圧値との差分に基づいて、当該第1のバス電圧値を当該目標電圧値に近づけるために前記複数の蓄電池から出力させるべき出力の向きを示す充放電方向を算出する充放電方向算出ステップとを含み、
    前記ストリング出力算出ステップは、第2のバス電圧値を取得する第2のバス電圧取得ステップを含み、
    前記充放電方向算出ステップでは、前記複数の蓄電池の中に、出力の向きが異なる蓄電池が同時に存在しないように、前記充放電方向を前記連携情報として算出し、
    前記ストリング出力算出ステップでは、前記連携情報として算出された前記充放電方向、及び、前記第2のバス電圧値と前記目標電圧値との差分に対応する値に基づいて、前記出力目標値を算出する
    充放電制御方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の充放電制御装置と、
    各々がDCバスに接続され、前記充放電制御装置により制御される複数の蓄電池とを備える
    蓄電システム。
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