JP2013135482A - 充放電制御装置 - Google Patents

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淳 山崎
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崇 飯田
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Abstract

【課題】電池部の長寿命化を図る。
【解決手段】二次電池から成る電池部31[1]〜31[4]が各々電力変換回路51[1]〜51[4]に接続され、電力変換回路51[1]〜51[4]を介して互いに並列接続される。放電区間において、各電池部31の放電電力は電力変換回路52を介して電力系統10に出力され、充電区間において、電力系統10からの電力にて各電池部31の充電が成される。放電区間においては、電池部31[1]及び31[2]の放電電力(例えば15kW)を電池部31[3]及び31[4]の放電電力(例えば5kW)よりも大きくし、充電区間においては、電池部31[1]及び31[2]の充電電力(例えば15kW)を電池部31[3]及び31[4]の充電電力(例えば5kW)よりも大きくする。
【選択図】図9

Description

本発明は、充放電制御装置に関する。
二次電池から成る電池部を有するシステムにおいて、電池部の長寿命化が求められる。並列接続された複数の電池部がシステムに含まれている場合、複数の電池部が均等に充電及び放電を行うように充放電制御を成し、これによって複数の電池部の寿命の均等化を狙うことが一般的である。尚、放電深度を制御することにより電池部の長寿命化を図った技術も提案されている(下記特許文献1参照)。
特開平10−243572号公報
しかし、この技術は、単一の電池部について長寿命化を狙った技術であり、複数の電池部が組み込まれたシステムに対し、最適な長寿命化方法を提供していない。
そこで本発明は、電池部の寿命増大に寄与する充放電制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る充放電制御装置は、充電及び放電が可能な複数の電池部に接続され、各電池部に充電電力を出力する又は各電池部から放電電力を入力する充放電回路と、前記充放電回路を制御することによって各電池部の充電電力及び放電電力を電池部ごとに制御する充放電制御部と、を備え、前記複数の電池部は前記充放電回路を介して互いに並列接続され、前記充放電制御部は、前記複数の電池部に含まれる2以上の電池部間における残容量の差が増大する区間が各電池部の放電区間に含まれるように、且つ、前記差が減少する区間が各電池部の充電区間に含まれるように、前記充放電回路を制御することを特徴とする。
本発明によれば、電池部の寿命増大に寄与する充放電制御装置を提供することが可能である。
本発明の実施形態に係る電池システムの概略全体構成図である。 図1の電力ブロックの第1及び第2構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る1つの電池ユニットの内部構成図である。 電池状態情報の内容を示す図である。 本発明の第1実施例に係る電池システムの概略全体構成図である。 本発明の第1実施例に係り、基本充放電制御における充放電パターンを示す図である。 基本充放電制御における放電イメージ図である。 本発明の第1実施例に係り、第1特殊充放電制御における充放電パターンを示す図である。 第1特殊充放電制御における放電イメージ図である。 電池部のサイクル劣化特性を示す図である。 本発明の第2実施例に係り、第2特殊充放電制御における充放電パターンを示す図である。 本発明の第3実施例に係る電池システムの概略全体構成図である。 本発明の第3実施例に係り、第3特殊充放電制御における充放電パターンを、各スイッチ及び電力変換回路のオン/オフ状態と共に示した図である。 本発明の実施形態の変形例に係る、複数の電池部のSOCのイメージ図である。 本発明の実施形態の他の変形例に係る、複数の電池部のSOCのイメージ図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
図1は、本発明の実施形態に係る、蓄電池システム又は電力システムとも呼ぶことができる電池システム1の概略全体構成図である。電池システム1は、充放電制御部2及び充放電回路3と、複数の電池ユニットBUから成る電池ブロックBBLとを備え、電力を出力する又は電力の入力を受ける電力ブロック4を更に備えうる。充放電制御部2及び充放電回路3によって充放電制御装置が形成されていると考えても良い。電池ブロックBBLを形成する電池ユニットBUの個数は2以上であれば幾つでも良い。各電池ユニットBUには、二次電池から成る電池部31が設けられている。本実施形態において、放電及び充電とは、特に記述なき限り電池部31の放電及び充電(より詳細には、電池部31内の各二次電池の放電及び充電)を意味する。
充放電回路3は、各電池部31に充電電力を出力する又は各電池部31から放電電力を入力する(即ち、各電池部31から放電電力を受ける)回路であり、電力ブロック4から供給される電力にて各電池部31を充電することができると共に、各電池部31の放電電力を電力ブロック4に対して出力することができる。充放電制御部2は、充放電回路3を制御することで各電池部31の充電及び放電を制御する。この際、充放電制御部2は、後述する電池状態情報を参照しつつ、各電池部31の充電電力及び放電電力を電池部31ごとに個別に制御することができる(詳細な制御方法は後述)。
複数の電池ユニットBUにおける複数の電池部31は、充放電回路3を介して互いに並列接続されており(例えば後述の図5参照)、複数の電池部31の放電電力の合成電力を充放電回路3を介して電力ブロック4に出力することができ、また、充放電回路3を介して電力ブロック4から供給される電力にて複数の電池部31が同時に充電されうる。
電力ブロック4は、図2(a)に示す如く、充放電回路3を介して各電池部31に充電電力を供給する電力源11及び充放電回路3を介して各電池部31の放電電力を消費する負荷12を含みうる。電力源11は、自然エネルギ(太陽光、風力、水力、地熱等)に基づく発電を行って発電電力を出力する発電ユニットであっても良く、典型的には例えば太陽光発電ユニットである。負荷12は、例えば、電池システム1が導入される工場、店舗、ビル又は一般家屋等における工業機器又は電化製品等である。電力ブロック4は、図2(b)に示す如く、商用交流電源及び電力網に接続される電力系統10であっても良い。
図3を参照して、1つの電池ユニットBUの構成を説明する。図3は、1つの電池ユニットBUの内部構成図である。電池ユニットBUは、符号31〜36によって参照される各部位を備える。電池部31は、1以上の二次電池から成る。電池部31を形成する二次電池は、任意の種類の二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池である。電池部31を形成する二次電池の個数は1でも良いが、本実施形態では、電池部31が直列接続された複数の二次電池から成るものとする。但し、電池部31に含まれる二次電池の一部又は全部は、並列接続された複数の二次電池であっても良い。電池部31において、直列接続された複数の二次電池の内、最も高電位側に位置する二次電池の正極と最も低電位側に位置する二次電池の負極は、電池ユニットBUにおける1対の電力入出力端子PI/O接続され、1対の電力入出力端子PI/Oを介して電池部31の充電及び放電が成される。1対の電力入出力端子PI/Oの内、低電位側の電力入出力端子PI/Oを接地しておくことができる。
電池部31と1対の電力入出力端子PI/Oとの間には、電池部31に流れる電流の値(以下、電池電流値という)を測定する電流センサ33と、セルフコントロールプロテクター等のヒューズ36と、が直列に介在している。電圧センサ34は、電池部31の電圧の値(以下、電池電圧値という)を測定する。電池電圧値は、例えば、電池部31における、最も高電位側に位置する二次電池の正極と、最も低電位側に位置する二次電池の負極との間の電位差である。電池部31の各二次電池の正極及び負極間の電位差が、検出される電池電圧値に含まれていても良い。温度センサ35は、電池部31の温度(以下、電池温度という)を測定する。電池温度は、例えば、電池部31内の複数の二次電池を包むパックの表面温度、又は、電池部31内の特定部位における温度である。
センサ33、34及び35によって測定された電池電流値、電池電圧値及び電池温度はユニット制御部32に送られる。ユニット制御部32は、測定された電池電流値、電池電圧値及び電池温度に基づく電池状態情報を生成し、電池状態情報を充放電制御部2に送信する。電池ユニットBUごとに電池状態情報が生成されて充放電制御部2に送信される。
図4は、1つの電池ユニットBUから送信される電池状態情報の内容を示す図である。1つの電池ユニットBUから送信される電池状態情報は、当該1つの電池ユニットBUにて測定された電池電流値、電池電圧値及び電池温度に基づく情報である。1つの電池ユニットBUについての電池状態情報に、当該1つの電池ユニットについての電池電流値、電池電圧値、電池温度、残容量、SOC(state of charge)、劣化指標及び電池状態フラグ等を含めておくことができる。電池状態フラグは、例えば、電池部31の異常(過充電、過放電、温度異常等)の有無を示すフラグである。尚、残容量、SOC及び劣化指標の導出を充放電制御部2にて行うようしても良い。
残容量は、電池部31が放電可能な電気量であって、その単位はA・h(アンペア・アワー)であり、SOCは残容量を単位%で表現したものである。即ち、SOCは、周知の如く、電池部31の満充電容量FCに対する電池部31の残容量の比である。ユニット制御部32又は充放電制御部2は、センサ33によって測定された電池電流値を積算することにより残容量及びSOCを導出することができ、この導出に際し、必要に応じて電池電圧値及び電池温度を更に参照しても良い。
劣化指標は、電池部31の劣化度合いに依存する任意の指標であり、例えば、SOH(state of charge)を劣化指標として採用することができる。電池部31の初期の満充電容量FCINITに対する、電池部31の現在の満充電容量FCの比をSOHとして定義することができる。ユニット制御部32又は充放電制御部2は、電池電流値及び電池電圧値に基づき、公知の容量学習処理(例えば、特開2002−247773号公報に記載の処理)を用いて、電池部31の現在の満充電容量FC及び劣化指標SOHを算出することができる。電池部31の初期の満充電容量FCINITは、ユニット制御部32及び充放電制御部2にとって既知の、電池部31の定格容量であっても良い。電池部31のSOHの値が小さいほど、当該電池部31の劣化度合いは大きく、電池部31のSOHの値が大きいほど、当該電池部31の劣化度合いは小さい。
電池部31における初期の満充電容量FCINIT及び定格容量は、複数の電池部31間で互いに相違していても構わないが、本実施形態では、説明の便宜上、電池部31における初期の満充電容量FCINIT及び定格容量は、複数の電池部31間で互いに同じであるものとする。
上述の構成を基本とする、電池システム1の具体的な構成例及び動作例などを、以下の複数の実施例の中で説明する。矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である。
<<第1実施例>>
電池システム1の第1実施例を説明する。第1実施例並びに後述の第2及び第3実施例では、電力ブロック4が電力系統10である場合を想定する。更に、第1実施例並びに後述の第2及び第3実施例では、説明の具体化のため、電池ブロックBBLに4つの電池ユニットBUが含まれていることを想定する。また、必要に応じて、電池ブロックBBLに含まれる電池ユニットBUの内、第i番目の電池ユニットBUを符号BU[i]にて参照すると共に、電池ユニットBU[i]における電池部31を符号31[i]にて参照する。iは任意の整数である。
図5は、第1実施例に係る電池システム1である電池システム1aの概略全体構成図である。図5では、便宜上、各電池ユニットBUにおける電池部31以外の部位の図示を省略している(後述の図12等においても同様)。電池ブロックBBL内の複数の電池部31における低電位側の電力入出力端子PI/O(図3参照)を共通して基準電位点に接続しておくことができる。
電池システム1aに含まれる充放電回路3aは、図1の充放電回路3の例であり、直流から直流への電力変換を行う電力変換回路51[1]〜51[4]と、交流から直流への電力変換及び直流から交流への電力変換を行う電力変換回路52と、を備える。電力変換回路51[1]〜51[4]は、夫々、電池部31[1]〜31[4]に接続される。電力変換回路51[i]及び電池部31[i]間には、図3に示したように、電力入出力端子PI/O、電流センサ33及びヒューズ36が直列に介在していても良い。
充放電制御部2は、各電池ユニットBUからの電池状態情報及び現在時刻を表す時刻情報などに基づき、充放電回路3aに対し、充電制御及び放電制御を成すことができる。
充放電制御部2が充放電回路3aに対して充電制御を成している区間(以下、充電区間ともいう)において、電力変換回路52は、電力系統10から供給される交流電力を直流電力に変換して出力する。充電区間において、電力変換回路51[1]〜51[4]の夫々に関し、電力変換回路51[i]は、電力変換回路52から出力される直流電力を他の直流電力に変換して、該他の直流電力を電池部31[i]への充電電力として電池部31[i]に出力し、これによって電池部31[i]を充電する。充放電制御部2は、電力変換回路51[1]〜51[4]を個別に制御することにより、電力変換回路51[1]〜51[4]から電池部31[1]〜31[4]への充電電力の大きさを個別に制御することができる。
充放電制御部2が充放電回路3aに対して放電制御を成している区間(以下、放電区間ともいう)において、電力変換回路51[1]〜51[4]の夫々に関し、電力変換回路51[i]は、電池部31[i]から出力される直流電力(即ち、電池部31[i]の放電電力)を他の直流電力に変換して、該他の直流電力を電力変換回路52に出力する。放電区間において、電力変換回路52は、電力変換回路51[1]〜51[4]の出力電力を交流電力に変換し、得られた交流電力を電力系統10に出力する。充放電制御部2は、電力変換回路51[1]〜51[4]を個別に制御することにより、電力変換回路51[1]〜51[4]へ出力される電池部31[1]〜31[4]の放電電力の大きさを個別に制御することができる。
充放電制御部2は、充電制御と放電制御を繰り返し実行することができる。図6を参照して、この繰り返しにおける基本充放電制御を説明する。図6において、折れ線300は、基本充放電制御における電池部31[1]〜31[4]の充放電パターンを表している。基本充放電制御又は後述する各特殊充放電制御が成される全区間には、充電制御によって電池部31の充電が成される充電区間P1と、放電制御によって電池部31の放電が成される放電区間P3とが存在し、且つ、充電区間P1と放電区間P3との間には充電制御も放電制御も成されない区間P2が存在し、且つ、放電区間P3の後には充電制御も放電制御も成されない区間P4が存在する。区間P1、P2、P3及びP4によって、充電及び放電に関する1回分のサイクルが形成される。図6では、区間P1を1サイクルの開始区間と捉えているが、区間P1、P2、P3及びP4のどれを1サイクルの開始区間と捉えても良い。このサイクルが次々と繰り返されるように、充放電制御部2は充放電回路3aに対して充電制御と放電制御を繰り返し実行することができる(後述の充放電回路3a以外の、他の充放電回路に対しても同様)。
基本充放電制御及び後述する各特殊充放電制御において、充放電制御部2は、充電区間P1中に各電池部31に対し定電力充電(一定電力による充電)を成すことができ、放電区間P3中には各電池部31に定電力放電(一定電力による放電)を行わせることができる。但し、基本充放電制御及び後述する各特殊充放電制御に関し、充電区間P1の最終部分(例えばSOCが90%以上になる部分)においては、各電池部31の保護等の観点から、各電池部31に対し定電圧充電(一定電圧による充電)を成すようにしても良い。この定電圧充電が行われた場合には、充電区間P1の最終部分において充放電パターンの傾きが緩やかになる(図6において、その状況の図示を割愛)。以下の説明では、便宜上、定電圧充電の存在を無視する。尚、基本充放電制御及び後述する各特殊充放電制御において、区間P2及びP4の内、少なくとも一方を削除するようにしてもよい。
基本充放電制御において、区間P1の開始時点における電池部31[1]〜31[4]のSOCは全て下方側基準SOCであるREFA1であり、充電区間P1の終了時点における電池部31[1]〜31[4]のSOCは全て上方側基準SOCであるREFA2である。自然放電を無視すれば、充電区間P1の終了時点における電池部31[i]のSOCは、放電区間P3の開始時点における電池部31[i]のSOCでもある。REFA1及びREFA2は、“0≦REFA1<REFA2≦1”を満たす任意の所定値であり、ここでは、REFA1=0.4、REFA2=1.0であるとする。基本充放電制御に従った充電制御及び放電制御を行う際、充放電制御部2は、充電区間P1において電池部31[1]〜31[4]に対して共通の大きさを有する充電電力が供給されるように、且つ、放電区間P3において電池部31[1]〜31[4]から共通の大きさを有する放電電力が出力されるように、電力変換回路51[1]〜51[4]を制御する。図7は、基本充放電制御に関し、放電区間P3中において、電池部31[1]〜31[4]の各SOCが50%になっている時点(図6の点301に対応)における放電イメージ図である。
充放電制御部2は、基本充放電制御以外の特殊充放電制御を行うことができる。図8を参照して、第1特殊充放電制御を説明する。図8において、実線による折れ線310は、第1特殊充放電制御における電池部31[1]及び31[2]の充放電パターンを表し、一点鎖線による折れ線320は、第1特殊充放電制御における電池部31[3]及び31[4]の充放電パターンを表している。
第1特殊充放電制御において、充電区間P1の開始時点における電池部31[1]及び31[2]のSOCは下方側基準SOCであるREFB1であり、充電区間P1の終了時点における電池部31[1]及び31[2]のSOCは上方側基準SOCであるREFB2である。第1特殊充放電制御において、充電区間P1の開始時点における電池部31[3]及び31[4]のSOCは下方側基準SOCであるREFC1であり、充電区間P1の終了時点における電池部31[3]及び31[4]のSOCは上方側基準SOCであるREFC2である。REFB1、REFB2、REFC1及びREFC2は、“0≦REFB1<REFB2≦1”、 “0≦REFC1<REFC2≦1”及び“REFB1<REFC1”を満たす任意の所定値であり、ここでは、REFB1=0.1、REFC1=0.7、REFB2=REFC2=1.0であるとする。
第1特殊充放電制御に従った充電制御及び放電制御を行う際、充放電制御部2は、充電区間P1において電池部31[1]及び31[2]が充電電力PIN310にて充電が行われると共に電池部31[3]及び31[4]が充電電力PIN320にて充電が行われるように、且つ、放電区間P3において電池部31[1]及び31[2]から放電電力POUT310が出力されると共に電池部31[3]及び31[4]から放電電力POUT320が出力されるように、電力変換回路51[1]〜51[4]を制御する。ここで、“PIN310>PIN320”及び“POUT310>POUT320”が成立する。図9は、第1特殊充放電制御に関し、放電区間P3中において、電池部31[1]及び31[2]の各SOCが25%になり且つ電池部31[3]及び31[4]の各SOCが75%になっている時点(図8の点311及び321に対応)における放電イメージ図である。
今、説明の簡略化上、各電力変換回路の電力変換効率が100%であると仮定する。そして、充電区間P1において電池部31[1]〜31[4]に対し計40kW(キロワット)の充電電力が供給され、放電区間P3において電池部31[1]〜31[4]から計40kWの放電電力が出力されることを想定する。そうすると、基本充放電制御では、放電区間P3において図7に示す如く電池部31[1]〜31[4]の夫々から10kWの放電電力が出力され、充電区間P1において電池部31[1]〜31[4]の夫々に10kWの充電電力が供給される。
これに対し、第1特殊充放電制御では、放電区間P3において図9に示す如く電池部31[1]、31[2]、31[3]及び31[4]から夫々15kW、15kW、5kW及び5kWの放電電力が出力される一方、充電区間P1において電池部31[1]、31[2]、31[3]及び31[4]に夫々15kW、15kW、5kW及び5kWの充電電力が供給される。
第1特殊充放電制御において、充放電制御部2は、自身が設定することができるREFB1、REFB2、REFC1及びREFC2の値に基づき、区間P1及びP3における各電池部31の充電電力及び放電電力の大きさを決定することができる。即ち例えば、充放電制御部2は、比“(REFB2−REFB1):(REFC2−REFC1)=(1.0−0.1):(1.0−0.7)=3:1”が比“PIN310:PIN320”及び比“POUT310:POUT320”と一致するように上記決定を成せば良い。このような決定を成すことで、図8の充放電パターン310及び320による充電制御及び放電制御を実現することができる。基本充放電制御を行った場合と第1特殊充放電制御を行った場合との間で、電池部31[1]〜31[4]全体における残容量、放電電力量及び充電電力量に差は無く、電池部31[1]〜31[4]の平均SOCにも差は無い(換言すれば、それらの差が生じないように充放電制御部2が充放電回路3aを制御する)。
次に、図10を参照して、第1特殊充放電制御の有益性を説明する。図10には、電池部31のサイクル劣化特性が示されている。図10における曲線J5kW、J10kW及びJ15kWは、電池部31のSOCとサイクル劣化進行度との関係を表している。但し、サイクル劣化進行度曲線J5kW、J10kW、J15kWは、夫々、電池部31の充電又は放電電力が5kWであるときの当該関係、電池部31の充電又は放電電力が10kWであるときの当該関係、電池部31の充電又は放電電力が15kWであるときの当該関係を表している。
サイクル劣化進行度とは、電池部31において或る一定条件下で充電と放電を繰り返したときに生じる電池部31の劣化の進行度合いを表す。サイクル劣化進行度が大きいほど、電池部31の劣化の進行度合いが大きいものとする。電池部31の劣化の進行は電池部31のSOHの低下に相当する。例えば、電池部31のSOHが100%である状態を起点とし、サイクル劣化進行度が1である条件下でQサイクル分の充電処理及び放電処理が電池部31に成されたとき(Qは整数)、電池部31のSOHが90%になったとする。そうすると、電池部31のSOHが100%である状態を起点とし、サイクル劣化進行度が2である条件下でQサイクル分の充電処理及び放電処理を電池部31に成すと、電池部31のSOHは100%から80%に減少することが想定され、サイクル劣化進行度が3である条件下でQサイクル分の充電処理及び放電処理を電池部31に成すと、電池部31のSOHは100%から70%に減少することが想定される。ここでは、電池部31のSOCが100%であるときに、電池部31において5kWの電力による充電と5kWの電力による放電を或る一定条件下で繰り返す状態を基準状態として考え、基準状態におけるサイクル劣化進行度を1にて正規化する。
電池部31のサイクル劣化特性は、第1〜第3劣化特性を有する。第1劣化特性は、充電電力及び放電電力が一定であるという条件下において、電池部31のSOCが大きいほどサイクル劣化進行度が大きくなるという劣化特性である。第2劣化特性は、電池部31のSOCが一定であるという条件下において、充電電力及び放電電力が大きいほどサイクル劣化進行度が大きくなるという劣化特性である。これは例えば、SOC=50%であって且つ充電及び放電電力が10kWであるときのサイクル劣化進行度が、SOC=50%であって且つ充電及び放電電力が5kWであるときのサイクル劣化進行度よりも大きいことに相当する
第3劣化特性は、電池部31のSOCが一定であるという条件下において、充電電力及び放電電力が大きいほど、サイクル劣化進行度曲線の傾きが大きくなるという劣化特性である。これは例えば、SOC=50%であるときの曲線J10kWの傾きが、SOC=50%であるときの曲線J5kWの傾きよりも大きいことに相当する。但し、第3劣化特性は、所定のSOCの数値範囲においてしか成り立たないこともある(SOCの値によっては、第3劣化特性は成り立たないこともある)。即ち例えば、第3劣化特性は、電池部31のSOCが10%以上且つ90%以下である場合にのみ成り立ち、電池部31のSOCが10%未満又は90%超である場合には成り立たないといったこともある。また、電池部31を構成する二次電池の種類によっては、サイクル劣化進行度曲線は、横軸及び縦軸にSOC及びサイクル劣化進行度をとったグラフ上において直線を成すこともありうる。よって、電池部31のSOCが一定であるという条件下において、充電電力及び放電電力の増大に伴いサイクル劣化進行度曲線又は直線の傾き(即ち、SOCの変化率に対するサイクル劣化進行度の変化率)が増大する箇所が、サイクル劣化進行度曲線又は直線に認められれば、電池部31のサイクル劣化特性は第3劣化特性を有していると考えても良い。
図10において、点301’は、図6の点301及び図7の各電池部31の状況に対応するサイクル劣化進行度を指し、点311’は、図8の点311及び図9の電池部31[1]及び31[2]の状況に対応するサイクル劣化進行度を指し、点321’は、図8の点321及び図9の電池部31[3]及び31[4]の状況に対応するサイクル劣化進行度を指している。図10の例において、点301’に対応する、充電電力及び放電電力が10kWであって且つSOC=50%であるときのサイクル劣化進行度は、1.28であり、点311’に対応する、充電電力及び放電電力が15kWであって且つSOC=25%であるときのサイクル劣化進行度は、1.61であり、点321’に対応する、充電電力及び放電電力が5kWであって且つSOC=75%であるときのサイクル劣化進行度は、0.78である。
そうすると、基本充放電制御の実行過程において、電池部31[1]〜31[4]の平均SOCが50%であるときの全体劣化進行度(即ち図7の状況における全体劣化進行度)は、“1.28×4=5.12”より5.12である。全体劣化進行度は、電池部31[1]〜31[4]のサイクル劣化進行度の合計値である。一方、第1特殊充放電制御の実行過程において、電池部31[1]〜31[4]の平均SOCが50%であるときの全体劣化進行度(即ち図9の状況における全体劣化進行度)は、“(1.61×2)+(0.78×2)=4.78”より4.78である。即ち、基本充放電制御との比較において、第1特殊充放電制御では全体劣化進行度が約6.6%改善している。電池部31[1]〜31[4]の平均SOCが50%以外のときにおいても同様の改善効果が得られる。
このような改善効果を得るために、第1特殊充放電制御及び後述の他の特殊充放電制御では、以下のような制御を成しているといえる。
任意の特殊充放電制御において、充放電制御部2は、電池ブロックBBL内の複数の電池部31を第1電池群と第2電池群に分類する。便宜上、第1電池群に分類された電池部31を第1対象電池部と呼び、第2電池群に分類された電池部31を第2対象電池部と呼ぶ。そうすると、充放電制御部2は、各電池部31を第1及び第2対象電池部に分類する分類機能若しくは分類部、又は、複数の電池部31の中から第1及び第2対象電池部を選択及び設定する選択設定機能若しくは選択設定部を持っていると言える。第1実施例において、電池部31[1]及び31[2]は第1対象電池部であり、電池部31[3]及び31[4]は第2対象電池部である。
任意の特殊充放電制御において、充放電制御部2は、放電区間P3に、第1対象電池部の放電電力が第2対象電池部の放電電力よりも大きくなる放電アンバランス区間を含め、充電区間P1に、第1対象電池部の充電電力が第2対象電池部の充電電力よりも大きくなる充電アンバランス区間を含める。結果、放電アンバランス区間では、時間の進行と共に、第1対象電池部の残容量及びSOCと第2対象電池部の残容量及びSOCとの差が増大してゆき、充電アンバランス区間では、時間の進行と共に、第1対象電池部の残容量及びSOCと第2対象電池部の残容量及びSOCとの差が減少してゆく。本実施例では、充電区間P1の全体を充電アンバランス区間にすることができ、放電区間P3の全体を放電アンバランス区間にすることができるが、充電区間P1の一部が充電アンバランス区間であっても良いし、放電区間P3の一部が放電アンバランス区間であっても良い。
放電制御部2は、放電アンバランス区間において、第1対象電池部の残容量及びSOC(例えば0.25)が第2対象電池部の残容量及びSOC(例えば0.75)よりも低いとき、第1対象電池部の放電電力(例えば15kW)が第2対象電池部の放電電力(例えば5kW)よりも大きくなるように充放電回路3(第1実施例において3a)を制御する。充放電制御部2は、充電アンバランス区間において、第1対象電池部の残容量及びSOC(例えば0.25)が第2対象電池部の残容量及びSOC(例えば0.75)よりも低いとき、第1対象電池部の充電電力(例えば15kW)が第2対象電池部の充電電力(例えば5kW)よりも大きくなるように充放電回路3(第1実施例において3a)を制御する。
このような放電及び充電アンバランス区間を設けることにより、電池ブロックBBL全体のSOCを基本充放電制御の実行時におけるそれと一致させた状態で、全体劣化進行度を低く抑えることができ、電池ブロックBBL全体の寿命を増大させることができる。
例えば、充放電制御部2は、時刻情報を用いて区間P1〜P4間の切り替えを行うことができる。即ち例えば、1サイクルが24時間で形成されるようにし、当日の午前1時から午前5時までの区間、当日の午前5時から正午までの区間、当日の正午から午後4時までの区間、当日の午後4時から翌日の午前1時までの区間を、夫々、区間P1、P2、P3、P4に割り当てるにしても良い。この際、充放電制御部2は、電気代について所謂深夜料金が適用される時間帯に区間P1を設ける、一日において需用電力が比較的大きくなる時間帯に区間P3に設けるといったことができる。
<<第2実施例>>
電池システム1の第2実施例を説明する。第2実施例及び後述の第3実施例は、上述の第1実施例を基礎とする実施例であり、第2及び第3実施例において特に述べない事項に関しては、矛盾無き限り、第1実施例の記載が第2及び第3実施例にも適用される。
第1実施例に示した第1特殊充放電制御では、電池部31[1]及び31[2]が電池部31[3]及び31[4]よりも劣化が早く進み、電池ブロックBBL全体の寿命増大にとって不都合が生じうる。そこで、第2実施例では、複数の電池部31の劣化度合いを均等化する方法を説明する。第2実施例に係る特殊充放電制御を第2特殊充放電制御と呼ぶ。第2実施例に係る電池システム1の構成は、図5の電池システム1aのそれと同じである。
図11を参照して、第2特殊充放電制御を説明する。図11において、実線による折れ線330は、第2特殊充放電制御における電池部31[1]及び31[2]の充放電パターンを表し、一点鎖線による折れ線340は、第2特殊充放電制御における電池部31[3]及び31[4]の充放電パターンを表している。
第2実施例では、1つのサイクルの開始区間を区間P3であると捉える。そうすると、奇数回目のサイクルにおいて電池部31[1]〜31[4]に対する充電制御及び放電制御は上述の第1特殊充放電制御のそれらと同じである。但し、遇数回目のサイクルにおいて、電池部31[1]及び31[2]に対する充電制御及び放電制御と、電池部31[4]及び31[4]に対する充電制御及び放電制御とが、奇数回目のサイクルを基準として逆にされる。
即ち、充放電制御部2は、奇数回目のサイクルにおいて、電池部31[1]及び31[2]を第1対象電池部に設定する一方で電池部31[3]及び31[4]を第2対象電池部に設定し、遇数回目のサイクルにおいて、電池部31[3]及び31[4]を第1対象電池部に設定する一方で電池部31[1]及び31[2]を第2対象電池部に設定する。第2特殊充放電制御においても、第1特殊充放電制御と同様、充電区間P1の開始時点及び終了時点における第1対象電池部のSOCは夫々REFB1及びREFB2であり、充電区間P1の開始時点及び終了時点における第2対象電池部のSOCは夫々REFC1及びREFC2である。このように、第1及び第2対象電池部に設定される電池部31を電池部31[1]〜31[4]の中で切り替えることにより、複数の電池部31の劣化度合いを均等化することが可能となる。この切り替えを成す切り替え制御部(不図示)が充放電制御部2に内在していると考えても良い。
充放電制御部2は、上記切り替えを時間経過に応じて成すようにしても良い。図11に示す例では、電池部31[1]及び31[2]が第1対象電池部に設定され且つ電池部31[3]及び31[4]が第2対象電池部に設定される第1状態と、電池部31[1]及び31[2]が第2対象電池部に設定され且つ電池部31[3]及び31[4]が第1対象電池部に設定される第2状態とが、1サイクル分の時間経過ごとに交互に現われているが、第1及び第2状態が複数サイクル分の時間経過ごとに交互に現われても良い。
或いは、図11に示す例とは異なるが、充放電制御部2は、各電池部31の劣化度合いに応じて上記切り替えを成しても良い。具体的には例えば、充放電制御部2は、各電池ユニットBUから送信されてくる電池状態情報より劣化指標を抽出し、劣化指標によって表される各電池部31の劣化度合いに基づき、劣化度合いが比較的小さい電池部31が第1対象電池部に設定されるように且つ劣化度合いが比較的大きい電池部31が第2対象電池部に設定されるように、上記切り替えを成すようにしても良い(換言すれば、各電池部31を第1又第2対象電池部に分類及び設定するようにしてもよい)。例えば、電池部31[2]及び31[3]の劣化度合いが電池部31[1]及び31[4]の劣化度合いよりも小さいとき、充放電制御部2は、電池部31[2]及び31[3]を第1対象電池部に設定すると共に電池部31[1]及び31[4]を第2対象電池部に設定してもよい。これにより、複数の電池部31間で劣化度合いにばらつきがあったとしても、充電処理及び放電処理の過程の中で、複数の電池部31の劣化度合いを均等化することが可能となる。例えば、複数の電池部31の内、一部の電池部31のみを新品の電池部31に交換した場合などにおいて、劣化度合いのばらつきが生じうる。
<<第3実施例>>
電池システム1の第3実施例を説明する。図12は、第3実施例に係る電池システム1である電池システム1bの概略全体構成図である。電池システム1bに含まれる充放電回路3bは、図1の充放電回路3の例であり、上述の電力変換回路52と、電力変換回路52と電池部31[1]〜31[4]との間に直列に介在するスイッチSW[1]〜SW[4]と、を備える。スイッチSW[1]〜SW[4]は、例えば、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子、又は、機械式スイッチから成る。充放電制御部2は、スイッチSW[1]〜SW[4]を個別にオン又はオフすることができる。スイッチSW[i]は電池部31[i]に対応するスイッチである。スイッチSW[i]がオンのとき、電池部31[i]は、スイッチSW[1]〜SW[4]と電力変換回路52との間の共通配線53に接続され、スイッチSW[i]がオフのとき、電池部31[i]は共通配線53に非接続となる。
充放電制御部2は、各電池ユニットBUからの電池状態情報及び現在時刻を表す時刻情報などに基づき、充放電回路3bに対し、充電制御及び放電制御を成すことができる。
充放電制御部2が充放電回路3bに対して充電制御を成している区間(即ち充電区間P1)において、電力変換回路52は、電力系統10から供給される交流電力を直流電力に変換して出力する。充電区間において、スイッチSW[i]がオンとされているとき、電力変換回路52から出力される直流電力が充電電力としてスイッチSW[i]を介して電池部31[i]に供給される。充電区間において、複数のスイッチSW[1]〜SW[4]の内の複数のスイッチがオンとされているとき、電力変換回路52から出力される直流電力は、オンとなっている複数のスイッチに接続された複数の電池部31に分配され、当該複数の電池部31の充電が成される。
充放電制御部2が充放電回路3bに対して放電制御を成す区間(即ち放電区間P3)では、充放電制御部2がスイッチSW[1]〜SW[4]の内の1以上のスイッチをオンにする。これにより、オンにされたスイッチに接続されている電池部31より放電電力が電力変換回路52に与えられ、電力変換回路52は、該放電電力を交流電力に変換して該交流電力を電力系統10に対して出力する。
第3実施例に係る充放電制御部2は、充電制御及び放電制御を含む第3特殊充放電制御を成すことができる。図13を参照して、第3特殊充放電制御を説明する。図13において、実線による折れ線410は、第3特殊充放電制御における電池部31[1]及び31[2]の充放電パターンを表し、一点鎖線による折れ線420は、第3特殊充放電制御における電池部31[3]及び31[4]の充放電パターンを表している。第3実施例において、電池部31[1]及び31[2]は第1対象電池部に設定されており、電池部31[3]及び31[4]は第2対象電池部に設定されている。充電区間P1の開始時点における第1及び第2対象電池部のSOCは夫々REFB1及びREFC1であり、充電区間P1の終了時点における第1及び第2対象電池部のSOCは夫々REFB2及びREFC2である。
図13に示す如く、充放電制御部2の制御の下、電力変換回路52における動作は、区間P1及びP3においてオンとなり、区間P2及びP4においてオフとなる。即ち、電力変換回路52は、区間P1及びP3においては充電制御及び放電制御を成すための電力変換を実行するが、区間P2及びP4においては当該電力変換を実行しない。従って、区間P2及びP4において、スイッチSW[1]〜SW[4]はオンであっても良いし、オフであっても良い。
第3特殊充放電制御において、充放電制御部2は、図13に示す如く充電区間P1を前半側の区間P1aと後半側の区間P1bに分割する。充放電制御部2は、区間P1aにおいて、第1対象電池部に対応するスイッチ(即ちSW[1]及びSW[2])をオンとする一方で第2対象電池部に対応するスイッチ(即ちSW[3]及びSW[4])をオフとし、区間P1bにおいては、第1及び第2対象電池部に対応するスイッチ(即ちSW[1]〜SW[4])を全てオンとする。これにより、区間P1aにおいては、第1対象電池部としての電池部31[1]及び31[2]のみが充電され、区間P1bにおいては、第1及び第2対象電池部としての電池部31[1]〜31[4]が充電される。
充電区間P1と同様に、第3特殊充放電制御において、充放電制御部2は、放電区間P3を前半側の区間P3aと後半側の区間P3bに分割する。充放電制御部2は、区間P3aにおいて、第1及び第2対象電池部に対応するスイッチ(即ちSW[1]〜SW[4])を全てオンとし、区間P3bにおいては、第1対象電池部に対応するスイッチ(即ちSW[1]及びSW[2])をオンとする一方で第2対象電池部に対応するスイッチ(即ちSW[3]及びSW[4])をオフとする。これにより、区間P3aにおいては、電池部31[1]〜31[4]からの放電電力が電力変換回路52を介して電力系統10に出力され、区間P3bにおいては、電池部31[1]及び31[2]からの放電電力のみが電力変換回路52を介して電力系統10に出力される。
電池部31[1]〜31[4]のSOC及び特性が均等であって且つ充電区間P1における電力変換回路52の出力電力値が一定値CONSTであるならば、区間P1aにおいて電池部31[1]及び31[2]のみが夫々CONST/2の電力にて充電され、区間P1bにおいては電池部31[1]〜31[4]が夫々CONST/4の電力にて充電される。区間P1aは、上述の充電アンバランス区間の例であり、充電アンバランス区間について上述した事項が区間P1aにも当てはまる。即ち、区間P1aにおいて、第1対象電池部の充電電力は第2対象電池部の充電電力(ゼロ)よりも大きく、結果、区間P1aにおいて、第1対象電池部の残容量及びSOCと第2対象電池部の残容量及びSOCとの差は減少してゆく。
同様に、電池部31[1]〜31[4]のSOC及び特性が均等であって且つ放電区間P3に電力変換回路52に入力されるべき放電電力の合計値が一定値CONSTであるならば、区間P3aにおいて、電池部31[1]〜31[4]の夫々からCONST/4の放電電力が出力され、区間P3bにおいては、電池部31[1]及び31[2]のみから夫々CONST/2の放電電力が出力される。区間P3bは、上述の放電アンバランス区間の例であり、放電アンバランス区間について上述した事項が区間P3bにも当てはまる。即ち、区間P3bにおいて、第1対象電池部の放電電力は第2対象電池部の放電電力(ゼロ)よりも大きく、結果、区間P3bにおいて、第1対象電池部の残容量及びSOCと第2対象電池部の残容量及びSOCとの差は増大してゆく。
区間P1a及びP3bを設けることで上述の第1特殊充放電制御と同様の作用及び効果を得ることができる。また、基本充放電制御を行った場合と第3特殊充放電制御を行った場合との間で、電池部31[1]〜31[4]全体における残容量、放電電力量及び充電電力量に差は無く、電池部31[1]〜31[4]の平均SOCにも差は無い(換言すれば、それらの差が生じないように充放電制御部2が充放電回路3bを制御する)。即ち、第3特殊充放電制御によっても、電池ブロックBBL全体のSOCを基本充放電制御の実行時におけるそれと一致させた状態で、全体劣化進行度を低く抑えることができ、電池ブロックBBL全体の寿命を増大させることができる。但し、図12の構成では、図5の構成と違って、SOCが互いに相違する電池部31を同時に放電させることができないので、電池ブロックBBL全体の最大出力電力は比較的小さくなる。故に、電池ブロックBBL全体の最大出力電力が多く求められる場合には、図5の構成を採用した方が望ましい。
第3特殊充放電制御において、第2実施例で上述した、第1及び第2対象電池部の設定及び切り替えを行うようにしても良く、これによって、複数の電池部31の劣化度合いを均等化することができる。即ち例えば、第3特殊充放電制御を実行する充放電制御部2は、奇数回目のサイクルにおいて、電池部31[1]及び31[2]を第1対象電池部に設定する一方で電池部31[3]及び31[4]を第2対象電池部に設定し、遇数回目のサイクルにおいて、電池部31[3]及び31[4]を第1対象電池部に設定する一方で電池部31[1]及び31[2]を第2対象電池部に設定するようにしてもよい。このような設定を成す充放電制御部2は、第1及び第2対象電池部に設定される電池部31を電池部31[1]〜31[4]の中で切り替えていると言える。第3特殊充放電制御を実行する充放電制御部2は、この切り替えを、第2実施例で述べたように、時間経過に応じて成しても良いし、各電池部31の劣化度合いに応じて成しても良く、第2実施例の記載事項を第3実施例にも適用可能である。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈7を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、第1及び第2対象電池部の個数が夫々2になっているが、第1対象電池部の個数は1つでありうるし、3以上であっても良く、同様に、第2対象電池部の個数は1つでありうるし、3以上であっても良い。
[注釈2]
上述の実施形態では、4つの電池部31を、2つの第1対象電池部と2つの第2対象電池部とに分類しているが、複数の電池部31の分類方法はこれに限定されない。例えば、充放電制御部2は、4つの電池部31を4つに分類し、即ち第1〜第4対象電池部に分類し、第1〜第4対象電池部における充電電力及び放電電力が互いに相違するように、又は、第1〜第4対象電池部の内の少なくとも2つの対象電池部間において充電電力及び放電電力が互いに相違するように、充電制御及び放電制御を成しても良い(図14参照)。或いは例えば、電池ブロックBBLに6つの電池部31が含まれている場合、充放電制御部2は、6つの電池部31を3つに分類し、即ち第1〜第3対象電池部に分類し、第1〜第3対象電池部における充電電力及び放電電力が互いに相違するように、又は、第1〜第3対象電池部の内の少なくとも2つの対象電池部間において充電電力及び放電電力が互いに相違するように、充電制御及び放電制御を成しても良い(図15参照)。図15において、システム1cは電池システム1の例であり、回路3cは充放電回路3の例である。
[注釈3]
図10に示すサイクル劣化特性は例示に過ぎず、図10のサイクル劣化特性と異なるサイクル劣化特性を持った電池部31に対しても本発明は適用可能である。この際、電池部31のサイクル劣化特性は上述の第1〜第3劣化特性を有していると良く、特に、第3劣化特性を有していると良い。
[注釈4]
特殊充放電制御を用いた場合、基準充放電制御を用いた場合と比べて、SOCが低くなる電池部31が存在するため、電池ブロックBBL全体の最大出力電力及び大電力放電の継続可能時間が低下する可能性がある。よって、電池システム1に要求される、電池ブロックBBL全体の最大出力電力及び大電力放電の継続可能時間を考慮して、充放電制御部2は各電池部31に対する放電パターンを決定すると良く、その決定内容にSOCの下限値を含めておくと良い。
[注釈5]
上述の実施形態では、SOHを劣化指標として用いているが、電池部31の劣化度合いを評価するための劣化指標として、SOH以外の指標を用いても良い。例えば、電池部31[i]において充電又は放電が行われた総時間、電池部31[i]に対して行われた充電及び放電のサイクルの回数を、電池部31[i]の劣化指標として用いても良い。電池ブロックBBL内の一部の電池部31のみが新品の電池部31と交換されうる状況をも考慮すれば、上記総時間や上記回数は複数の電池部31間で相違しうる。
[注釈6]
上述したように、各電池部31の残容量、SOC及び劣化指標の導出を充放電制御部2にて行うようしても良い。電池部31の残容量、SOC及び劣化指標の導出を行うユニット制御部32(図3参照)が充放電制御部2に存在していても良い。
[注釈7]
充放電制御部2を、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。ソフトウェアを用いて実現される機能をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。具体的には例えば、充放電制御部2にCPU(Central Processing Unit)を設けておき、図示されないフラッシュメモリに格納されたプログラムを当該CPUに実行させることで、必要な機能を実現することができる。
1、1a、1b、1c 電池システム
2 充放電制御部
3、3a、3b、3c 充放電回路
4 電力ブロック
10 電力系統
31、31[i] 電池部
51[i] 電力変換回路
52 電力変換回路
BU、BU[i] 電池ユニット

Claims (5)

  1. 充放電制御装置であって、
    充電及び放電が可能な複数の電池部に接続され、各電池部に充電電力を出力する又は各電池部から放電電力を入力する充放電回路と、
    前記充放電回路を制御することによって各電池部の充電電力及び放電電力を電池部ごとに制御する充放電制御部と、を備え、前記複数の電池部は前記充放電回路を介して互いに並列接続され、
    前記充放電制御部は、前記複数の電池部に含まれる2以上の電池部間における残容量の差が増大する区間が各電池部の放電区間に含まれるように、且つ、前記差が減少する区間が各電池部の充電区間に含まれるように、前記充放電回路を制御する
    ことを特徴とする充放電制御装置。
  2. 前記2以上の電池部は、第1及び第2対象電池部を含み、
    前記充放電制御部は、前記放電区間に含まれる前記区間において、前記第1対象電池部の放電電力を前記第2対象電池部の放電電力より大きくすることで前記差を増大させ、前記充電区間に含まれる前記区間において、前記第1対象電池部の充電電力を前記第2対象電池部より充電電力を大きくすることで前記差を減少させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
  3. 前記充放電制御部は、前記複数の電池部の中から前記第1及び第2対象電池部を選択及び設定し、前記第1及び第2対象電池部に設定される電池部を前記複数の電池部の中で切り替える
    ことを特徴とする請求項2に記載の充放電制御装置。
  4. 前記充放電制御部は、時間経過に応じて又は各電池部の劣化度合いに応じて前記切り替えを行う
    ことを特徴とする請求項3に記載の充放電制御装置。
  5. 前記充放電制御部は、劣化度合いが比較的小さい電池部が前記第1対象電池部に設定されるように且つ劣化度合いが比較的大きい電池部が前記第2対象電池部に設定されるように、各電池部の劣化度合いに応じて前記切り替えを行う
    ことを特徴とする請求項4に記載の充放電制御装置。
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