JP2012120372A - バッテリの出力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザの要求に応えつつ、バッテリ全体の寿命低下を抑制する。
【解決手段】車両は、複数の電池モジュール(電池セル)を含んで構成されるバッテリから供給される電力でモータを駆動させて走行する。ECUは、車両要求パワーP<バッテリの定格電力Wstdであると(S10にてNO)、モジュール接続数(モータに接続される電池モジュールの数)Nを最大数Nmaxとしつつ(S11)、バッテリの出力制限を行なう(S12)。一方、車両要求パワーPがバッテリの定格電力Wstdと最大電力Wmaxとの間に含まれる場合(S10にてYESかつS20にてYES)、ECUは、モジュール接続数Nを車両要求パワーPを満たす最小モジュール数N1としつつ(S50)、バッテリの出力制限を緩和する(S70)。
【選択図】図5

Description

本発明は、複数の電池セルを含んで構成されるバッテリの出力制御に関する。
電気自動車やハイブリッド車両などの電力で駆動力を得る車両には、走行用のモータを駆動させるための電力エネルギを蓄える蓄電装置として、複数の電池セル(以下では電池セルを単に「セル」ともいう)を直列に接続して構成されるバッテリを備えるものがある。このような車両においては、通常、バッテリの寿命を確保するために、バッテリの出力制限が行なわれる。
特開2004−364371号公報(特許文献1)には、複数のセルを含んで構成されるバッテリを備えたハイブリッド車両において、エンジンからの排気を浄化する触媒の暖機中にバッテリの出力制限を緩和することで、触媒暖機中の加速要求に対して車両を十分に加速させかつ未浄化の排気が車外に放出されることを抑制している。
特開2004−364371号公報 特開2009−118547号公報 特開2009−106062号公報 特開2009−159726号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、バッテリを構成する全てのセルの出力制限が同時に緩和されるため、全てのセルの寿命が著しく低下するおそれがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ユーザの要求に応えつつ、バッテリ全体の寿命を低下させてしまうことを抑制することである。
この発明に係る出力制御装置は、複数のセルを含んで構成され負荷に電力を供給するバッテリの出力制御装置である。この出力制御装置は、バッテリの出力制限を行なう制限部と、負荷に接続されるセルを切替える切替装置と、切替装置を制御する制御部とを備える。制限部は、所定条件が成立した場合に出力制限を緩和する。制御部は、出力制限の緩和中は複数のセルの全数よりも少ない数のセルを負荷に接続させるように切替装置を制御する。
好ましくは、出力制限の緩和中に負荷に接続されるセルは、優先的に負荷に接続される特定のセルと、選択的に負荷に接続される特定のセル以外のセルとを含む。
好ましくは、制限部は、バッテリの出力制限値を第1値から第1値よりも大きい第2値に増加させることによって出力制限を緩和する。制御部は、出力制限の緩和中、負荷に接続されるセルの数を、負荷に要求されるパワーを第2値で割った比率を複数のセルの全数に乗じた数に応じた数とする。
好ましくは、第1値はバッテリの定格出力であり、第2値はバッテリの最大出力である。
好ましくは、出力制御装置は、バッテリと負荷との間に設けられ、バッテリの電圧をバッテリの電圧以上の電圧に昇圧して負荷に供給するコンバータをさらに備える。バッテリの最大出力は、複数のセルの全数を負荷に接続した状態でコンバータによる最大昇圧を行なった時にバッテリから負荷に出力される電力である。
好ましくは、所定条件は、負荷に要求されるパワーが定格出力よりも大きいという条件を含む。
好ましくは、出力制御装置は、車両に搭載される。負荷は、車両の駆動力を発生する駆動装置を含む。
好ましくは、所定条件は、車両に要求されるパワーがバッテリの定格出力よりも大きいという条件を含む。制限部は、所定条件の不成立時は、バッテリの出力を定格出力未満に制限し、所定条件の成立時はバッテリの出力をバッテリの最大出力未満に制限する。制御部は、所定条件の不成立時は、複数のセルの全数を駆動装置に接続させ、所定条件の成立時は、車両に要求されるパワーが最大出力よりも小さいときは複数のセルの全数よりも少ない数のセルを負荷に接続させ、車両に要求されるパワーが最大出力よりも大きいときは複数のセルの全数を駆動装置に接続させる。
本発明によれば、ユーザの要求に応えつつ、バッテリ全体の寿命を低下させてしまうことを抑制することができる。
車両の全体ブロック図である。 バッテリおよび切替装置の構成の詳細を示す図である。 ECUの機能ブロック図である。 車両要求パワーPを満たすモジュール接続数Nとモジュール1個あたりの電圧との関係を示す図である。 ECUの処理手順を示すフローチャート(その1)である。 出力制限値Woutおよびモジュール接続数Nの変化を模式的に示した図である。 ECUの処理手順を示すフローチャート(その2)である。 診断装置の処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本実施の形態に従う出力制御装置を備えた車両1の全体ブロック図である。車両1は、電源装置2と、駆動力発生装置3と、電子制御装置(Electronic Control Unit、以下、「ECU」という)100とを含む。
駆動力発生装置3は、インバータ30と、モータジェネレータ(以下、「MG」ともいう)41,42と、エンジン50と、動力分割機構60と、駆動軸70と、車輪80とを備える。車両1は、エンジン50およびMG42の少なくとも一方からの駆動力によって走行するハイブリッド車両である。なお、この発明に従う出力制御装置を適用可能な車両は、以下に示すハイブリッド車両に限定されるものではなく、少なくとも電力を用いて駆動力を得ることが可能な車両全般に適用可能である。
エンジン50は、ECU100からの制御信号S3により制御される。エンジン50が発生する動力は、動力分割機構60によって、駆動軸70(車輪80)へ伝達される経路と、MG41へ伝達される経路とに分割される。動力分割機構60によって分割されたエンジン50の動力を用いてMG41による発電が行なわれる。MG41によって発電された電力は電源装置2およびMG42へ供給される。
MG42は、電源装置2から供給される電力およびMG41により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、MG42の駆動力は、駆動軸70を介して車輪80に伝達される。
インバータ30は、第1インバータ30−1と、第2インバータ30−2とを含む。第1インバータ30−1および第2インバータ30−2は、たとえば、三相分のスイッチング素子を含むブリッジ回路から成る。第1インバータ30−1および第2インバータ30−2は、電源装置2に対して互いに並列に接続される。そして、第1インバータ30−1および第2インバータ30−2は、電源装置2から供給される直流電力を交流電力に変換してそれぞれMG41およびMG42へ出力する。また、第1インバータ30−1および第2インバータ30−2は、それぞれMG41およびMG42が発電する交流電力を直流電力に変換して電源装置2へ出力する。インバータ30は、ECU100からの制御信号S2に応じてスイッチング動作を行なうことにより、MG41およびMG42を駆動する。
電源装置2は、バッテリ10と、切替装置11と、コンバータ20とを含む。
バッテリ10は、複数の電池セルを直列に接続して構成される直流電源である。切替装置11は、バッテリ10に含まれる複数の電池セルのうちの、いずれの電池セルを用いて電力を供給するのかを切り替えるための装置である。
図2は、バッテリ10および切替装置11の構成の詳細を示す図である。
バッテリ10は、Nmax個(Nmaxは2以上の整数)の電池モジュールMが直列接続されて構成される。図2には、Nmax=168とする例が示されている。各電池モジュールMは、1つの電池セルで構成されてもよいし、複数の電池セルで構成されてもよい。
バッテリ10は、各電池モジュールMを個別に交換可能に構成される。本実施の形態では、後述するように、正極線PL1側から数えて第1番目から第Nstd番目(NstdはNmaxよりも小さい自然数)までの電池モジュールMを同時に交換することを想定しているため、これらの電池モジュールMについては一体的に交換可能に構成されていてもよい。なお、図2には、Nstd=76とする例が示されている。
切替装置11は、バッテリ10と負極線NL1との間に設けられる。切替装置11は、第Nstd番目以降の各電池モジュールMにそれぞれ対応する複数のリレーRを備える。複数のリレーRは、対応する電池モジュールMの負極と負極線NL1との間にそれぞれ設けられる。切替装置11は、ECU100からの制御信号S4に応じて、複数のリレーRのうちのいずれか1つのリレーRを閉じ他のリレーRを開くように制御される。これにより、正極線PL1と負極線NL1との間に直列接続される電池モジュールMの数(以下「モジュール接続数N」ともいう)は、Nstd個からNmax個までの間で1個単位で変更可能となる。すなわち、第1番目から第Nstd番目までの合計Nstd個の電池モジュールMについてはバッテリ10の出力に常時用いられるが、第(Nstd+1)番目以降の電池モジュールMについては番号の小さいものがら順番に選択的にバッテリ10の出力に用いられる。
なお、図2には、切替装置11をリレーRを用いて構成する例を示した、切替装置11の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、切替装置11を半導体を用いて構成するようにしてもよい。
図1に戻って、コンバータ20は、正極線PL1および負極線NL1を介してバッテリ10に接続される。コンバータ20は、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2と、リアクトルL1とを含む。スイッチング素子Q1,Q2は、主正極線MPLと主負極線MNLとの間に互いに直列に接続される。リアクトルL1は、環状のコア部と、コア部の外周に巻き付けられたコイルとによって構成される。ダイオードD1,D2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2に逆並列に接続される。
コンバータ20は、ECU100からの制御信号S1に応じてスイッチング動作を行なうことによって、バッテリ10の出力電圧をそれ以上の電圧に昇圧して主正極線MPLおよび主負極線MNLの間に出力する。
さらに、車両1は、電流センサ24と、電圧センサ25,26とを備える。電流センサ24は、バッテリ10を流れる電流Ibを検出する。電圧センサ25は、バッテリ10の出力電圧Vbを検出する。電圧センサ26は、コンバータ20の出力電圧VHを検出する。これらの各センサは、検出結果をECU100へ出力する。
ECU100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵し、メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、所定の演算処理を実行するように構成される。
ECU100は、車速、運転者によるアクセル操作量などに基づいて車両1全体に要求される車両要求パワーPを算出し、車両1の実パワーが車両要求パワーPとなるように各制御信号S1,S2,S3,S4を生成し、それぞれコンバータ20、インバータ30、エンジン50、切替装置11へ出力する。
さらに、ECU100は、診断装置300と接続可能に構成される。以下では、診断装置300が車両1の外部に設けられるものとして説明するが、診断装置300は車両1の内部に設けられてもよい。
診断装置300は、診断装置300と車両1とが接続されると、ECU100との通信を行ない、バッテリ10の各電池モジュールMごとに劣化状態を把握して交換の要否を診断する(以下、この診断を「個別モジュール診断」という)。
ところで、車両1においては、バッテリ10の劣化を抑制しその寿命を長期化させるため、バッテリ10の出力が制限される。具体的には、ECU100によって、バッテリ10の温度などに応じてバッテリ10の出力制限値Woutが設定され、バッテリ10の実出力電力Pbが出力制限値Wout未満となるようにコンバータ20やインバータ30が制御される。
しかしながら、車両1の状態によっては、バッテリ10の出力制限によって車両要求パワーPを満たすことができない場合が生じ得る。たとえば、エンジン50の排気を浄化する触媒(図示せず)の暖機中は排気量の増大を抑制するためにエンジン50の出力を制限する必要があるため、バッテリ10の出力制限によってMG42の出力も制限されると車両要求パワーPを満たすことができない場合が生じ得る。
このようにバッテリ10の出力制限によって車両要求パワーPを満たすことができない場合には、バッテリ10の出力制限を一時的に緩和することで車両要求パワーPを満たすことができる。しかしながら、バッテリ10の全ての電池モジュールMの出力制限を同時に緩和させると、全ての電池モジュールMの寿命を低下させてしまうおそれがある。
そこで、本実施の形態に係るECU100は、車両要求パワーPが出力制限値Woutを超える場合、出力制限値Woutを増加させてバッテリ10の出力制限を緩和しつつ、出力制限緩和中のモジュール接続数N(出力制限が緩和される電池モジュールMの数)を最大数Nmaxよりも少ない数とする。
図3は、バッテリ10の出力制限および電池モジュールMの接続に関する部分のECU100の機能ブロック図である。図3に示した各機能ブロックは、ハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
ECU100は、判定部110、接続制御部120、出力制限部130を備える。
判定部110は、車両要求パワーPと定格電力Wstdとの比較、および車両要求パワーPと最大電力Wmaxとの比較を行なう。ここで、定格電力Wstdとは、モジュール接続数Nを最大数Nmaxとした状態におけるバッテリ10の定格出力(単位はワット)である。最大電力Wmaxとは、バッテリ10の最大出力、すなわちモジュール接続数Nを最大数Nmaxとした状態でコンバータ20による最大昇圧を行なった場合のバッテリ10の出力電力(単位はワット)である。
接続制御部120は、判定部110による判定結果に応じて、モジュール接続数Nを可変制御する。
接続制御部120は、第1接続制御部120A、第2接続制御部120Bを含む。
第1接続制御部120Aは、車両要求パワーPが定格電力Wstdよりも小さい場合、または、車両要求パワーPが最大電力Wmaxよりも大きい場合、モジュール接続数N=最大数Nmaxとする制御信号S4を生成し、切替装置11に出力する。
第2接続制御部120Bは、車両要求パワーPが定格電力Wstdと最大電力Wmaxとの間に含まれる場合、車両要求パワーPを満たす最小モジュール数N1を算出する。
以下に、最小モジュール数N1の算出手法の一具体例を示す。Nmax=168、168個分の電池モジュールMの出力電圧=201.6V、コンバータ20の最大昇圧電圧VHmax=500V、定格電力Wstd=18kW、最大電力Wmax=40kW、車両要求パワーP=20kWの場合を想定する。この場合、車両要求パワーP=20kWを満たすためにはコンバータ20の出力電圧VHを(20kW/40kW)×500V=250Vに昇圧する必要がある。最大昇圧時(すなわち最大緩和時)の1個あたりの電池モジュールMの電圧は500V/168個=2.98Vであるから、車両要求パワーP=20kWを満たす最小モジュール数N1は、250V/2.98V=83.9個、つまり84個となる。言い換えれば、最小モジュール数N1は、車両要求パワーP=20kWを最大電力Wmax=40kWで割った比率(=P/Wmax)を、最大数Nmax=168に乗じた数である。
ちなみに、定格電力Wstd=18kWを満たすためにはコンバータ20の出力電圧VHを(18kW/40kW)×500V=225Vに昇圧する必要があるため、定格電力Wstd=18kWを満たす最大緩和時の最小モジュール数は225V/2.98V=75.6個、つまり76個となる。したがって、定格電力Wstd=18kWである場合、コンバータ20に常時接続されるモジュール数Nstd=76とすることができる。上述の図2には、この例のようにNstd=76とする場合が示されている。
そして、第2接続制御部120Bは、モジュール接続数N=最小モジュール数N1とする制御信号S4を生成し、切替装置11に出力する。
さらに、第2接続制御部120Bは、バッテリ10の使用状態(温度などの使用環境や総放電量などの使用履歴)に基づいて、出力制限が緩和されるモジュール数を追加する必要があるか否か(モジュール接続数Nを最小モジュール数N1よりも増やす必要があるか否か)を判定する。そして、第2接続制御部120Bは、出力制限が緩和されるモジュール数を追加する必要がある場合、モジュール接続数N=最小モジュール数N1+追加モジュール数ΔNとする。
図4は、車両要求パワーPを満たすモジュール接続数Nとモジュール1個あたりの電圧との関係を示す図である。モジュール接続数NをN1〜Nmaxの間に設定すれば車両要求パワーPを満たすことが可能であるが、N=N1の場合、モジュール1個あたりの電圧が最も高い電圧V1となるため、各電池モジュールMの負担が大きくなり劣化しやすい。一方、N=N1+ΔNの場合、モジュール1個あたりの電圧が電圧V1よりも低い電圧V2となるため、各電池モジュールMの負担が軽減され劣化が抑制される。なお、N=Nmaxとするとモジュール1個あたりの電圧が最も低い電圧V3となるが出力制限の緩和対象が全モジュールとなってしまうため、第2接続制御部120Bは、N=Nmaxとなることを回避すべく追加モジュール数ΔNを0<ΔN<Nmax−N1の範囲で設定する。
図3に戻って、出力制限部130について説明する。出力制限部130は、バッテリ10の出力制限値Woutを設定し、バッテリ10の実出力電力Pbが出力制限値Woutを超えないようにコンバータ20やインバータ30を制御する。
出力制限部130は、第1出力制限部130A、第2出力制限部130Bを含む。
第1出力制限部130Aは、車両要求パワーPが定格電力Wstdよりも小さい場合、出力制限値Wout=定格電力Wstdとする。これにより実出力電力Pbが定格電力Wstd未満に制限される。
第2出力制限部130Bは、車両要求パワーPが定格電力Wstdよりも大きい場合(Wstd<P<Wmax、P>Wmaxのいずれの場合も含む)、出力制限値Wout=最大電力Wmax(>Wstd)とし、出力制限値Wout=定格電力Wstdの場合に比べてバッテリ10の出力制限を緩和する。この出力制限緩和の際、定格電力Wstd<車両要求パワーP<最大電力Wmaxであれば、第2接続制御部120Bによってモジュール接続数Nが最大数Nmaxよりも少ない数とされている。すなわち、出力制限が緩和される電池モジュールMの数が、車両要求パワーPを満たす最小モジュール数N1に応じた数(N1、N1+ΔNのいずれか)とされる。したがって、車両要求パワーPを満たしつつ、全ての電池モジュールMの出力制限を同時に緩和させることを回避することができる。この点が本実施の形態の最も特徴的な点である。
そして、第1出力制限部130Aおよび第2出力制限部130Bは、実出力電力Pbが出力制限値Wout未満となるように制御信号S1,S2を生成し、コンバータ20やインバータ30に出力する。なお、第1出力制限部130Aおよび第2出力制限部130Bは、出力制限値Woutをバッテリ10の温度に応じて補正するようにしてもよい。
図5は、上述の機能を実現するためのECU100の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、車両1の走行中に所定サイクルで繰り返し実行される。なお、図5に示すフローチャートを、車両1の走行中かつエンジン50の出力を制限する必要がある場合(たとえば触媒暖機中)に実行するようにしてもよい。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10にて、ECU100は、車両要求パワーPが定格電力Wstdよりも大きいか否かを判断する。車両要求パワーP<定格電力Wstdであると(S10にてNO)、モジュール接続数N=Nmaxとすればバッテリ10の出力制限の緩和およびコンバータ20による昇圧は不要であるため、ECU100は、S11にてモジュール接続数N=最大数Nmaxとするとともに、S12にて出力制限値Wout=定格電力Wstdとしてバッテリ10の出力制限を行なう。
一方、車両要求パワーP>定格電力Wstdであると(S10にてYES)、処理はS20に移される。
S20にて、ECU100は、車両要求パワーPが最大電力Wmaxよりも小さいか否かを判断する。
そして、車両要求パワーP<最大電力Wmaxであると(S20にてYES)、モジュール接続数Nが最大数Nmaxよりも少なくてもバッテリ10の出力制限の緩和およびコンバータ20による昇圧によってユーザの要求に応えることが可能であるため、ECU100は、S30にて、車両要求パワーPを満たす最小モジュール数N1(Nstd<N1<Nmax)を算出する。最小モジュール数N1の算出手法については既に説明したため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
さらに、S40にて、ECU100は、バッテリ10の使用状態に基づいて、出力制限が緩和されるモジュール数を追加する必要があるか否かを判定する。
出力制限が緩和されるモジュール数を追加する必要がない場合、ECU100は、S50にて、モジュール接続数N=最小モジュール数N1とする。
一方、出力制限が緩和されるモジュール数を追加する必要がある場合、ECU100は、S60にて、モジュール接続数N=最小モジュール数N1+追加モジュール数ΔN(0<ΔN<Nmax−N1)とする。追加モジュール数ΔNの設定手法については既に説明したため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
S70にて、ECU100は、出力制限値Wout=最大電力Wmax(>定格電力Wstd)としてバッテリ10の出力制限を緩和する。
なお、車両要求パワーP>最大電力Wmaxであると(S20にてNO)、バッテリ10の最大出力を引き出すために、ECU100は、S21にてモジュール接続数N=最大数Nmaxとし、S22にて出力制限値Wout=最大電力Wmax(>定格電力Wstd)としてバッテリ10の出力制限を緩和する。この際、不足するパワー(=P−Wmax)をエンジン50でアシストするようにしてもよい。
図6は、ECU100によって制御される出力制限値Woutおよびモジュール接続数Nの変化を模式的に示した図である。
車両要求パワーPが定格電力Wstdよりも小さい期間(時刻t1前、時刻t2後)は、モジュール接続数N=最大数Nmaxとすればバッテリ10の出力制限の緩和およびコンバータ20による昇圧が不要であるため、出力制限値Wout=定格電力Wstd、モジュール接続数N=最大数Nmaxとされる。
車両要求パワーPが定格電力Wstdよりも大きい期間(時刻t1〜t2)は、仮に出力制限値Wout=定格電力Wstdに維持するとP−Wstdに相当する電力エネルギが不足するため、出力制限値Wout=最大電力Wmax(>定格電力Wstd)としてバッテリ10の出力制限を緩和する。この出力制限の緩和により、実出力電力Pbを車両要求パワーPに追従させることができ、車両要求パワーPを満たすことができる。
この出力制限の緩和中、モジュール接続数Nは、最大数Nmaxではなく、車両要求パワーPに応じた最小モジュール数N1(あるいはN1+ΔN)とされる。つまり、第1番目から第N1番目までのN1個の電池モジュールMの出力制限は緩和されるが、第(N1+1)番目から第Nmax番目までの(Nmax−N1)個の電池モジュールMについてはコンバータ20との接続が遮断され出力制限の緩和対象とはならない。これにより、全ての電池モジュールMの出力制限を同時に緩和させることを回避することができる。そのため、バッテリ10の全体の寿命を低下させてしまうことを抑制することができ、最終的には車両1の燃費低下を抑制できる。
さらに、本実施の形態においては、出力制限の緩和時に、第1番目から第Nstd番目までの電池モジュールMが優先的にコンバータ20に接続され、第(Nstd+1)番目以降の電池モジュールMについては番号の小さいものがら順番に車両要求パワーPに応じて選択的にコンバータ20に接続される。つまり、第1番目から第Nstd番目までの特定の電池モジュールMの出力制限緩和が優先的に行なわれ、残りの電池モジュールMの出力制限緩和は番号の小さいものがら順番に選択的に行われる。このように、出力制限が緩和される電池モジュールMに優先順位が設定されるため、劣化している電池モジュールMを特定し易くなる。そのため、バッテリ10が劣化した場合であっても、全モジュールを交換するのではなく、劣化した電池モジュール単位で交換することを容易に実現することが可能となる。
以下、電池モジュールMの交換例について説明する。
図7は、バッテリ10の劣化判定を行う場合のECU100の処理手順を示すフローチャートである。
S100にて、ECU100は、バッテリ10の使用状態(温度、使用時間、電流、電圧、電力など)をメモリに記憶する。
S101にて、ECU100は、メモリに記憶されたバッテリ10の使用状態の履歴に基づいて、劣化評価値fを算出する。
S102にて、ECU100は、劣化評価値fが予め定められたしきい値A0を超えたか否かを判断する。f<A0であると(S102にてNO)、この処理は終了される。
f>A0であると(S102にてYES)、処理はS103に移される。
S103にて、ECU100は、バッテリ10が劣化していると判定する。S104にて、ECU100は、インフォメーションパネル(図示せず)などの画面に、第1番目から第Nstd番目までの電池モジュールMを全て交換するように促すメッセージを表示させる。ユーザは、このメッセージに基づいて、劣化が最も進んでいる第1番目から第Nstd番目までの電池モジュールMを優先的に交換することが可能となる。
図8は、診断装置300が個別モジュール診断を行なう場合の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、診断装置300とECU100とが通信可能な状態になった場合に開始される。
S150にて、診断装置300は、個別モジュール診断を行なって、各電池モジュールMごとに劣化状態(寿命)を診断する。
S151にて、診断装置300は、個別モジュール診断の結果に基づいて、交換が必要な電池モジュールMを特定するメッセージをインフォメーションパネル(図示せず)などの画面に表示させる。ユーザは、このメッセージに基づいて、第(Nstd+1)番目以降の電池モジュールMについても、どの電池モジュールMを交換すべきかを特定することができるので、必要最小限のモジュールの交換が可能となる。
S152にて、診断装置300は、継続使用する電池モジュールMを、番号の小さいものから順に、番号の小さい位置に移し、残りの空いた位置に新設モジュールを設置することを促すメッセージをインフォメーションパネル(図示せず)などの画面に表示させる。ユーザは、このメッセージに基づいて、継続使用する電池モジュールMを、出力制限が優先的に緩和される位置(番号の小さい位置)に配置することができる。そのため、無駄な電池モジュール交換が排除される。
以上のように、本実施の形態に従うECU100は、バッテリ10の出力制限を緩和する際、可能な限り、モジュール接続数Nを最大数Nmaxよりも少ない最小モジュール数N1とする。これにより、全ての電池モジュールMの出力制限を同時に緩和させることを回避することができる。そのため、バッテリ10の全体の寿命を低下させてしまうことを抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 電源装置、3 駆動力発生装置、10 バッテリ、11 切替装置、20 コンバータ、24 電流センサ、25,26 電圧センサ、30 インバータ、30−1 第1インバータ、30−2 第2インバータ、50 エンジン、60 動力分割機構、70 駆動軸、80 車輪、100 ECU、110 判定部、120 接続制御部、120A 第1接続制御部、120B 第2接続制御部、130 出力制限部、130A 第1出力制限部、130B 第2出力制限部、300 診断装置、D1,D2 ダイオード、L1 リアクトル、M 電池モジュール、MNL 主負極線、MPL 主正極線、NL1 負極線、PL1 正極線、Q1,Q2 スイッチング素子、R リレー。

Claims (8)

  1. 複数のセルを含んで構成され負荷に電力を供給するバッテリの出力制御装置であって、
    前記バッテリの出力制限を行なう制限部と、
    前記負荷に接続されるセルを切替える切替装置と、
    前記切替装置を制御する制御部とを備え、
    前記制限部は、所定条件が成立した場合に前記出力制限を緩和し、
    前記制御部は、前記出力制限の緩和中は前記複数のセルの全数よりも少ない数のセルを前記負荷に接続させるように前記切替装置を制御する、バッテリの出力制御装置。
  2. 前記出力制限の緩和中に前記負荷に接続されるセルは、優先的に前記負荷に接続される特定のセルと、選択的に前記負荷に接続される前記特定のセル以外のセルとを含む、請求項1に記載のバッテリの出力制御装置。
  3. 前記制限部は、前記バッテリの出力制限値を第1値から前記第1値よりも大きい第2値に増加させることによって前記出力制限を緩和し、
    前記制御部は、前記出力制限の緩和中、前記負荷に接続されるセルの数を、前記負荷に要求されるパワーを前記第2値で割った比率を前記複数のセルの全数に乗じた数に応じた数とする、請求項2に記載のバッテリの出力制御装置。
  4. 前記第1値は前記バッテリの定格出力であり、前記第2値は前記バッテリの最大出力である、請求項3に記載のバッテリの出力制御装置。
  5. 前記出力制御装置は、前記バッテリと前記負荷との間に設けられ、前記バッテリの電圧を前記バッテリの電圧以上の電圧に昇圧して前記負荷に供給するコンバータをさらに備え、
    前記バッテリの最大出力は、前記複数のセルの全数を前記負荷に接続した状態で前記コンバータによる最大昇圧を行なった時に前記バッテリから前記負荷に出力される電力である、請求項4に記載のバッテリの出力制御装置。
  6. 前記所定条件は、前記負荷に要求されるパワーが前記定格出力よりも大きいという条件を含む、請求項4に記載のバッテリの出力制御装置。
  7. 前記出力制御装置は、車両に搭載され、
    前記負荷は、前記車両の駆動力を発生する駆動装置を含む、請求項1に記載のバッテリの出力制御装置。
  8. 前記所定条件は、前記車両に要求されるパワーが前記バッテリの定格出力よりも大きいという条件を含み、
    前記制限部は、前記所定条件の不成立時は前記バッテリの出力を前記定格出力未満に制限し、前記所定条件の成立時は前記バッテリの出力を前記バッテリの最大出力未満に制限し、
    前記制御部は、
    前記所定条件の不成立時は、前記複数のセルの全数を前記駆動装置に接続させ、
    前記所定条件の成立時は、前記車両に要求されるパワーが前記最大出力よりも小さいときは前記複数のセルの全数よりも少ない数のセルを前記駆動装置に接続させ、前記車両に要求されるパワーが前記最大出力よりも大きいときは前記複数のセルの全数を前記駆動装置に接続させる、請求項7に記載のバッテリの出力制御装置。
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