以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に従う電源システム5の構成例を示す回路図である。
図1を参照して、電源システム5は、直流電源10と、電力変換器6と、直流電源20と、電力変換器7とを備える。電源システム5は、直流電源10,20から負荷30への電力供給を制御する。あるいは、電源システム5は、負荷30によって発電された電力によって、バッテリ10,20を充電する。
本実施の形態において、直流電源10および20の各々は、代表的にはリチウムイオン電池やニッケル水素電池のような二次電池で構成される。なお、昇温制御が必要な直流電源であれば、二次電池以外のものについても本発明を適用することができる。
直流電源10および20は、同種および同容量の直流電源(二次電池)によって構成することも可能であり、種類および/または容量が異なる直流電源(二次電池)によって構成することも可能である。直流電源10および直流電源20は、「第1の直流電源」および「第2の直流電源」の一方ずつに対応する。
以下本実施の形態では、直流電源10および20の各々は、二次電池によって構成されるものとして説明する。したがって、以下では直流電源10および20について、単にバッテリ10およびバッテリ20とも称することとする。
電力変換器6は、直流電源10および負荷30の間に接続される。電力変換器7は直流電源20および負荷30の間に接続される。電源システム5において、直流電源10および20は、電力変換器6および7を介して、負荷30に対して並列に接続されていることが理解される。
電力変換器6は、バッテリ10と、負荷30と接続された電源配線PLとの間で双方向のDC/DC変換を実行する。電力変換器7は、バッテリ20と電源配線PLとの間で双方向のDC/DC変換を実行する。以下では、電力変換器6および電力変換器7について、コンバータ6およびコンバータ7とも称する。
コンバータ6および7の各々は、図1の構成例ではいわゆる昇圧チョッパ回路の構成を有する。具体的には、コンバータ6は、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)S1,S2と、リアクトルL1とを有する。スイッチング素子S1およびS2は、電源配線PLおよび接地配線GLの間に直列に接続される。リアクトルL1は、バッテリ10の正極端子と、スイッチング素子S1およびS2の接続ノードとの間に電気的に接続される。
コンバータ7は、スイッチング素子S3,S4と、リアクトルL2とを有する。スイッチング素子S3およびS4は、電源配線PLおよび接地配線GLの間に直列に接続される。リアクトルL2は、バッテリ20の正極端子と、スイッチング素子S3およびS4の接続ノードとの間に電気的に接続される。
本実施の形態において、スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子S1〜S4に対しては、逆並列ダイオードD1〜D4が配置されている。スイッチング素子S1〜S4は、制御装置40からの制御信号SG1〜SG4に応答して、オンオフを制御することが可能である。
昇圧チョッパ回路によって構成されるコンバータ6,7では、所定周期(スイッチング周期)内での上アーム素子(S1,S3)と下アーム素子(S2,S4)とのオン期間比を示すデューティ比に応じて、DC出力が制御される。一般的には、デューティ比を示すDC信号と、所定周波数のキャリア信号との比較に応じて、上アーム素子および下アーム素子が相補にオンオフするように、スイッチング素子S1〜S4は制御される。
昇圧チョッパ回路における電圧変換比(昇圧比)は、低圧側(直流電源側)の電圧Vi、高圧側(負荷側)の電圧VH、および、下アーム素子のデューティ比DTを用いて、下記(1)式で示されることが知られている。なお、デューティ比DTは、下アーム素子のオン期間およびオフ期間の和であるスイッチング周期に対する、下アーム素子のオン期間比で定義される。なお、下アーム素子のオフ期間には、上アーム素子がオンされる。
VH=1/(1−DT)・Vi …(1)
制御装置40は、たとえば、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを有する電子制御ユニット(ECU)によって構成される。制御装置40は、メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なうように構成される。あるいは、制御装置40の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。制御装置40は、「制御手段」に対応する。
制御装置40は、負荷30への出力電圧Voを制御するために、スイッチング素子S1〜S4のオンオフを制御する制御信号SG1〜SG4を生成する。なお、図1では図示を省略しているが、バッテリ10の電圧(V[1]と表記する)および電流(I[1]と表記する)、バッテリ20の電圧(V[2]と表記する)および電流(I[2]と表記する)、ならびに、出力電圧Voの検出器(電圧センサ,電流センサ)が設けられている。さらに、図示を省略しているが、バッテリ10および20の温度(以下、バッテリ温度とも称する)T[1]およびT[2]の検出器(温度センサ)についても配置されている。これらの検出器の出力は、制御装置40へ与えられる。
図2は、負荷30の構成例を示す概略図である。
図2を参照して、負荷30は、たとえば、電動車両の走行用電動機を含むように構成される。負荷30は、インバータ32と、モータジェネレータ35と、動力伝達ギヤ36と、駆動輪37とを含む。
モータジェネレータ35は、車両駆動力を発生するための走行用電動機であり、たとえば複数相の永久磁石型同期電動機で構成される。モータジェネレータ35の出力トルクは、減速機や動力分割機構によって構成される動力伝達ギヤ36を介して、駆動輪37へ伝達される。駆動輪37に伝達されたトルクにより電動車両が走行する。また、モータジェネレータ35は、電動車両の回生制動時には、駆動輪37の回転力によって発電する。この発電電力はインバータ32によってAC/DC変換される。この直流電力は、電源システム5に含まれるバッテリ10,20の充電電力として用いることができる。
なお、モータジェネレータ35の他にエンジン(図示せず)が搭載されたハイブリッド自動車では、このエンジンおよびモータジェネレータ35を協調的に動作させることによって電動車両に必要な車両駆動力が発生される。この際には、エンジンの回転による発電電力を用いてバッテリ10,20を充電することも可能である。このように、電動車両は、走行用電動機を搭載する車両を包括的に示すものであり、エンジンおよび電動機により車両駆動力を発生するハイブリッド自動車と、エンジンを搭載しない電気自動車および燃料電池車との両方を含むものである。
次に、電源システムの制御について説明する。
図3は、図1に示した電源システム5の一般的な制御ブロック図である。
図3を参照して、コンバータ6,7で共通の制御(出力電圧Voの電圧制御)を同時に実行すると、回路が破綻する可能性がある。したがって、コンバータ6,7は、一方のバッテリが電圧源として動作する一方で、他方のバッテリが電流源として動作するように、バッテリ10,20と負荷30との間でDC/DC変換を実行する。
ここでは、バッテリ10が電流源として動作するように、コンバータ6は、バッテリ電流I[1]を電流指令値Ii*に従って制御するものとする。電流が制御されるバッテリ10は、「第1の直流電源」に対応する。また、電流制御を実行するコンバータ6は「第1の電力変換器」に対応する。
一方で、コンバータ7は、バッテリ20が電圧源として動作するように、出力電圧Voを電圧指令値Vo*に従って制御する。電圧が制御されるバッテリ20は、「第2の直流電源」に対応する。また、電圧制御を実行するコンバータ7は「第2の電力変換器」に対応する。
ここで、バッテリ10の電力P[1]、バッテリ20の電力P[2]、負荷30への出力電力Poおよび、電流源における電流指令値Ii*の間には、下記(2)式の関係が成立する。
P[2]=Po−P[1]=Po−V[1]・Ii* …(2)
バッテリ10の電圧V[1]の検出値に応じて、P[1]*=V[1]・Ii*が一定になるように電流指令値Ii*を設定すれば、電流源を構成するバッテリ10の電力P[1]を電力指令値P[1]*に制御できる。
なお、バッテリ20を電流源としバッテリ10を電圧源として制御することも可能である。この場合には、電流源を構成するバッテリ20の電力P[2]について、V[2]・Ii*が一定になるように電流指令値Ii*を設定すれば、バッテリ20の電力P[2]を電力指令値に従って制御できる。
電流制御器41は、バッテリ10の電流I[1]が電流指令値Ii*と一致するように、コンバータ6のデューティ比を制御する。具体的には、電流偏差(Ii*−I[1])が正のときには、電流I[1]を上昇させるために、下アーム素子(S2)のオン期間を長くするようにデューティ比が変化される。反対に、電流偏差(Ii*−I[1])が負のときには、電流I[1]を低下させるために、コンバータ6の上アーム素子(S1)のオン期間が長くなるように、デューティ比が変化される。
電圧制御器42は、出力電圧Voが電圧指令値Vo*と一致するように、コンバータ7のデューティ比を制御する。電圧制御器42は、電圧偏差(Vo*−Vo)が正のときには、出力電圧Voを上昇させるために、コンバータ7の下アーム素子(S4)のオン期間比が長くなるようにデューティ比を変更する。反対に、電圧偏差(Vo*−Vo)が負のときには、出力電圧Voを低下させるために、コンバータ7の上アーム素子(S3)のオン期間比が長くなるようにデューティ比を変更する。
このように、バッテリ10は、コンバータ6によって電流指令値Ii*に従って電流制御される。一方で、バッテリ20は、コンバータ7によって、電圧指令値Vo*に従った電圧制御のために出力が制御される。
図4には、図3に示した制御ブロックによって制御された電源システム5の動作波形例が示される。
図4を参照して、P[1]>0かつP[2]>0であり、バッテリ10および20が放電して、負荷30へ電力を供給している場合の動作波形が示される。すなわち、Po=P[1]+P[2]で示される、出力電力Poは正である。
コンバータ6によって、バッテリ10の電流I[1]が電流指令値Ii*に従って一定に制御されるため、バッテリ10の電力P[1]も一定である。したがって、電圧指令値Vo*が一定の下で負荷30の電力が増加する時刻t1〜t2の期間では、P[1]が一定に維持される一方で、バッテリ20の電力P[2]が増加する。
時刻t2〜t3の期間では、出力電力Poが減少するとともに、電圧指令値Vo*が上昇する。電圧指令値Vo*に従ってコンバータ7によって出力電圧Voが上昇する。さらに、コンバータ6によって電流I[1]が一定に制御されるため電力P[1]が一定である一方で、電力P[2]は徐々に低下する。
このように、電流制御されるバッテリ10は、電流指令値Ii*に従って電力P[1]が制御される。一方で、バッテリ20は、出力電圧Voを確保しながら、負荷30への出力電力Poとバッテリ電力P[1]との差分を供給するためのバッファとして動作することになる。
次に、図5を用いて、バッテリ10,20の特性について説明する。
図5には、横軸にエネルギ、縦軸に電力をプロットした、いわゆるラゴンプロットが示される。
電流が制御されるバッテリ10は、蓄積エネルギが高い、いわゆる高容量型のバッテリで構成されることが好ましい。このようにすると、高容量型のバッテリに蓄積されたエネルギを長時間に亘って使用することができる。これにより、電動車両では、電気エネルギによる走行距離を延ばすことができる。
一方で、バッファとして作用するバッテリ20は、出力パワーが高い、いわゆる高出力型のバッテリで構成されることが好ましい。このようにすると、負荷30が消費する電力と、電流指令値Ii*に従って制御されるバッテリ10の電力との差分を、バッテリ20によって確保することが容易となる。これにより、電動車両では、ユーザのアクセル操作に対応した加速性能を速やかに確保することができる。
一般的に、二次電池の出力パワーおよび蓄積エネルギはトレードオフの関係にあるため、高容量型のバッテリでは高出力を得ることが難しく、高出力型のバッテリでは蓄積エネルギを高めることが難しい。したがって、図1の構成例では、バッテリ10の蓄積エネルギの定格は、バッテリ20の蓄積エネルギの定格より高いことが好ましい。同様に、バッテリ20の出力電力の定格は、バッテリ20の出力電力の定格より高いことが好ましい。
図5の(a)には、バッテリ常温時(非低温時)における、バッテリ10の動作領域110およびバッテリ20の動作領域120が示される。動作領域110は、動作領域120と比較して、出力可能な電力範囲が狭い。一方で、動作領域120は、動作領域110と比較して、蓄積可能なエネルギ範囲が狭い。
負荷30の動作点101では、高パワーが短時間要求される。たとえば、電動車両では、動作点101は、ユーザのアクセル操作による急加速時に対応する。これに対して、
負荷30の動作点102では、比較的低パワーが長時間要求される。たとえば、電動車両では、動作点102は、継続的な高速定常走行に対応する。
動作点101に対しては、主に、バッテリ20からの出力によって対応することができる。一方で、動作点102に対しては、主に、バッテリ10からの出力によって対応することができる。
図5の(b)には、バッテリ低温時における、バッテリ10の動作領域111およびバッテリ20の動作領域121が示される。低温時には、内部抵抗の増大に起因して、バッテリ10,20の出力電力が低下する。この状態では、動作領域111を超えないように、電流指令値Ii*を下げてバッテリ10の出力電力を絞る必要がある。
このように、蓄積エネルギが高いバッテリ10の出力が制限される期間が継続すると、負荷30が要求する電力の供給が難しくなる虞がある。したがって、特許文献1,2にも記載されるように、バッテリ低温時には、バッテリを昇温する必要がある。
バッテリの昇温には、ヒータ等によってバッテリ外部から熱量を与える方式と、バッテリに電流を流すことによって自己発熱させる方式とがある。熱容量が大きいバッテリについては、外部からの熱で昇温するには長時間を要するため、自己発熱による昇温が好ましい。一般的に蓄積エネルギが大きいバッテリは体積が大きくなるため熱容量も大きくなる。したがって、電流制御されるバッテリ10については、通電による自己発熱を用いて昇温することが好ましい。
図6には、バッテリの電気的な等価回路図が示される。
図6を参照して、バッテリ10は、開放電圧Vocを発生する電圧源と、LRC回路とを含む。LRC回路は、直流抵抗11,14と、リアクトル成分13と、キャパシタ成分12とを有する。
直流抵抗11は、主に電気化学反応に対応する内部抵抗である。直流抵抗14は、バッテリ内部での電流通過に伴う内部抵抗である。キャパシタ成分12は、主に、電気化学反応において構成される電気二重層キャパシタに相当する。リアクトル成分13は、電流経路に形成される寄生インダクタンスに相当する。
特に低温時には、直流抵抗11が増加することによって、バッテリの出力特性が低下する傾向にある。特許文献2に示されるように、バッテリに高周波の交流電流を流すことによって、内部抵抗での発熱によってバッテリを昇温できる。この際の発熱量は、交流電流の振幅に依存する。したがって、交流電流の周波数を、バッテリ10内のLRC回路のインピーダンスが極小となる周波数と対応させて定めることにより、発熱量を高めることができる。この周波数は、バッテリ10の充放電試験等によって予め求めることが可能である。
図7には、特許文献2によるバッテリ昇温制御が比較例として示される。
図7を参照して、特許文献2における昇温制御では、コンバータ(昇圧チョッパ回路)を電圧制御または電流制御するのではなく、上アーム素子(S1)および下アーム素子(S2)を固定されたデューティ(50%)で動作させることによって、高調波の交流電流を発生させる。
したがって、バッテリ10の電流I[1]は、平均値が0の交流電流となるため、負荷30に対して電力を供給することができない。すなわち、バッテリ昇温中は負荷を駆動制御することができないものである。
また、電流I[1]の振幅は、スイッチング周波数および回路定数(特にリアクトルL1)によって決まるため、直接制御することができない。このため、バッテリ昇温のための発熱量を直接制御することができないという問題点がある。
図8は、本発明の実施の形態1に従う電源システムにおけるバッテリ昇温制御時の概略的な電流波形図である。
図8を参照して、本発明の実施の形態1に従う電源システムにおいて、バッテリ昇温制御時には、電流指令値Ii*は、直流電流I1dと、振幅Ipの交流電流Iacとの和で与えられる。交流電流Iacの周波数は、昇温の対象となるバッテリ10の周波数特性に対応して定められる。
直流電流I1dは、バッテリ10から負荷30へ供給される直流電流の平均値に相当する。すなわち、直流電流I1dは、「第1の直流電流」に対応する。以下では、直流電流I1dを「負荷電流I1d」とも称する。交流電流Iacの周波数は、コンバータ6のスイッチング周波数(キャリア周波数)よりも低い。
図8から理解されるように、コンバータ6のスイッチング周波数が交流電流Iacの周波数よりも高いため、バッテリ10に流れる電流I[1]は、完全な矩形波電流が実現できなくても、交流電流Iacと同等の周波数の基本波成分を有するものとなる。これにより、バッテリ10の交流インピーダンスが極小となる周波数の交流電流をバッテリ10に流すことができるので、バッテリ10の自己発熱により内部からバッテリ10が温められる。
図9には、実施の形態1に従う電源システムにおけるコンバータの制御ブロック図が示される。
図9を図2と比較して、電流制御器41への電流指令値Ii*は、負荷電流Id1と、バッテリ昇温のための交流電流Iacとの和で与えられる。すなわちIi*=Id1+Iacである。
電流制御器41は、電流指令値Ii*とバッテリ10の電流I[1]との比較に従って、コンバータ6のデューティ比を制御する。電圧制御器42は、図3に示したのと同様に構成されて、出力電圧Voが電圧指令値Vo*に一致するように、コンバータ7のデューティ比を制御する。
図10は、本発明の実施の形態1による電源システムにおける昇温制御の動作例を説明する概略的な波形図である。
図10を参照して、バッテリ10の電流I[1]については、電流指令値Ii*が示されている。上述のように、Ii*は、負荷電流I1dおよび昇温のための交流電流Iacとの和で示される。
図10の例では、負荷30の起動時(時間軸=0)に、バッテリ温度T[1]が低いため、バッテリ昇温制御がオンされる。このとき、交流電流Iacの振幅Ipが、Ip>0となる。
電流I[1]は、バッテリの出力特性、部品保護あるいは電池定格および電力変換回路(コンバータ)の素子定格等の面から定まる上下限範囲I1max〜I1minの範囲内に収まる必要がある。したがって、電流指令値Ii*についても、I1min<Ii*<I1maxの範囲内に設定される。
このため、電流I[1]に交流電流Iacを重畳するために、負荷30の制御のためにバッテリ10から供給されるべき本来の負荷電流I1*に対して負荷電流I1dを制限する必要が生じるケースがある。図10の時刻taまでの期間では、バッテリ10が低温状態のため、バッテリ出力特性の面から、上下限範囲Imin〜Imaxが抑えられている。このため、交流電流Iacの振幅を確保するために、負荷電流I1dはI1*よりも低く抑えられている。すなわち、比率k(k=I1d/I1*)が、k<1.0に調整される。
バッテリ10の通電によりバッテリ温度T[1]は上昇する。特に、交流電流Iacを重畳させることにより、短い時間でバッテリ温度を上昇することができる。時刻taにおいて、バッテリ温度T[1]が、出力制限を伴う低温状態を脱すると、交流電流Iac=0になる。そして、I1d=I1*となって、バッテリ10から負荷30へ本来されるべき電流が流される。すなわち、Ii*=I1*となる(k=1.0)。
図11には、実施の形態1に従う電源システムにおけるバッテリ10の電流制御の処理を説明するフローチャートが示される。図11に示す制御処理は、バッテリ10の使用時に制御装置40によって所定周期毎に実行される。
図11を参照して、制御装置40は、ステップS100により、バッテリ10に対する電力指令値P[1]*を算出する。すなわち、負荷30の制御のために必要な電力のうちの、バッテリ10の分担量が決められる。電力指令値P[1]*および電圧V[1]から、バッテリ10から供給されるべき本来の直流電流I1*を求めることができる。負荷電流I1*は、負荷30が要求する電力に従う直流電流である。
制御装置40は、ステップS110により、バッテリ温度T[1]を取得する。さらに、制御装置40は、ステップS120により、ステップS110で取得された温度T[1]に基づいて、バッテリ10が低温状態であるかどうかを判定する。
たとえば、ステップS120では、バッテリ温度T[1]が基準温度よりも低いときに、バッテリ10が低温状態であると判定される。このとき、ステップS120はYES判定とされる。これに対して、バッテリ温度T[1]が基準温度よりも高いときには、バッテリ10は非低温状態であると判定される。このとき、ステップS120はNO判定とされる。
ステップS120での基準温度は、固定値であってもよく、電力指令値P[1]*に応じた可変値であってもよい。たとえば、バッテリ10の出力電力に対して、当該電力値を出力するためのバッテリ温度T[1]の下限値を予め定めるマップを予め作成するとともに、ステップS100で求められた電力指令値P[1]*に基づいて、当該マップの参照により求められた下限値を基準温度に設定することも可能である。この場合には、電力指令値P[1]*が高くなると、基準温度も高くなる。
制御装置40は、バッテリ10が低温状態のとき(S120のYES判定時)には、ステップS130に処理を進めて、図10に示した上下限範囲I1max〜I1minの範囲内で電流指令値Ii*が生成されるように、交流電流振幅Ipおよび負荷電流I1dの配分を決定する。
さらに、制御装置40は、ステップS140により、ステップS130で決定した配分に従って、負荷電流I1dに高調波電流Iacを重畳するように電流指令値Ii*を生成する。すなわち、Ii*=I1d+Iacである。
制御装置40は、ステップS140により生成された電流指令値Ii*に従って電流I[1]を制御するように、コンバータ6を制御する。これにより、バッテリ10の昇温制御が実行されるとともに、制限された負荷電流I1dに従った直流電流が負荷30へ供給される(ステップS150)。すなわち、バッテリ10から負荷30へ供給される電力は、ステップS100での電力指令値P[1]*よりも低くなる。
これに対して、制御装置40は、バッテリ10が低温状態ではないとき(S120のNO判定時)には、ステップS160に処理を進めて、電流指令値Ii*=I1*に設定する。これにより、バッテリ昇温制御は行われることなく、ステップS100での電力指令値P[1]*に従った電力が負荷30へ供給される(ステップS170)。
このように、実施の形態1に従う電源システムによれば、バッテリ低温状態において、負荷30への供給電力を制御した上で、振幅が制御された交流電流をバッテリ10に通電することによってバッテリ10を速やかに昇温することができる。すなわち、負荷30を駆動制御している下で、同時にバッテリ10の昇温制御を実行することができる。
特に、図11のステップS130において、負荷電流I1dおよび交流電流Iac(振幅Ip)の配分を調整することによって、負荷30の駆動およびバッテリ10の速やかな昇温のいずれを優先するかを柔軟に制御することができる。
図12には、電流指令値Ii*を決定する制御処理が示される。
図12を参照して、図11に示されたステップS130は、ステップS132,S134,S136により構成される。
制御装置40は、ステップS132により、バッテリ昇温が優先される条件であるかどうかを判断する。ステップS132には、負荷30への要求を示す情報に応じて判定される。ここでは、一例として、図2に示されたように、負荷30が電動車両の走行用電動機を含むケースについて説明する。
電動車両では、アクセルペダルの操作量に現れるユーザからの出力要求に基づいて、バッテリ昇温が優先される条件であるか否かを判断することができる。具体的には、アクセル操作によって車両加速、すなわち、ユーザからの出力要求が高く、走行用電動機によるトルク出力が要求される場合には、バッテリ昇温制御よりも負荷への電力供給を優先することが好ましい。
車両走行時には、イグニッションスイッチのオンから、駐車場を出て広い道路に進入して高速走行を開始するまで、すなわち、電源システム5が起動されてから、ユーザ出力要求が高くなるまでの間には、ある程度の時間を要することが多い。したがって、ユーザからの出力要求が低い場合には、バッテリ昇温制御を優先して、ユーザからの出力要求が高くなった場合に備えることが好ましい。このように、ステップS132の判定は、アクセル操作等に基づくユーザ出力要求(パワー)と閾値との比較に基づいて実行することができる。
また、電動車両では、燃費を優先する走行モード(「エコモード」とも称する)を選択するスイッチや、車両の加速性を優先した走行モード(「パワーモード」とも称する)を選択するスイッチが、ユーザによって操作できる構成も用いられる。
エコモードの選択時には、バッテリの出力特性が悪い低温状態を早期に脱することが好ましいため、バッテリ昇温制御が優先されるべきである。一方で、パワーモードの選択時には、バッテリ昇温制御よりも、走行用電動機によるトルク出力を優先することが好ましい。このように、ステップS132の判定は、ユーザによる電動車両の走行モードの選択に基づいて実行してもよい。その他、ステップS132での判定条件は、カーナビゲーションシステムからの情報など負荷30への要求を示す情報に基づいて、任意に設定することが可能である。
制御装置40は、バッテリ昇温制御が優先される条件が成立しているとき(S132のYES判定時)には、ステップS134に処理を進めて、交流電流Iacの振幅を確保して負荷電流Id1を抑制するように電流指令値Ii*を生成する。たとえば、バッテリ昇温のために予め設定された値に従って交流電流Iacの振幅Ipが設定されるとともに、Id1±IpがI1min〜I1maxの範囲内(図10)となるように、負荷電流I1dが必要に応じて制限される。すなわち、比率kが決められる。
これに対して、バッテリ昇温制御が優先される条件が成立していないとき(S130のNO判定時)には、制御装置40は、ステップS136に処理を進める。ステップS136では、バッテリ昇温制御よりも負荷30への電力供給を優先するように、電流指令値Ii*が生成される。このため、ステップS134で設定される本来のIpでは、Id1±IpがI1min〜I1maxの範囲内(図10)に収まらないときには、振幅Ipが抑制される。
このように、本実施の形態によるバッテリ昇温制御では、電流指令値Ii*に対する負荷電流I1dおよび交流電流Iac(振幅Ip)の配分を調整することによって、負荷30の駆動およびバッテリ10の速やかな昇温のいずれを優先するかを柔軟に制御することができる。
[実施の形態2]
図13は、実施の形態2に従う電源システム5aの構成例を示す回路図である。
図13および図1を比較して、実施の形態2に従う電源システム5aは、実施の形態1に従う電源システム5と比較して、バッテリ昇温制御の対象となるバッテリ10とは異なるバッテリ20に対して、昇温機構90がさらに設けられる点で異なる。コンバータ6および7の構成および制御については、実施の形態1と同様であるので詳細な説明は繰返さない。
昇温機構90は、作動時に、バッテリ20に対して、バッテリ20の外部から熱を与えるように構成される。たとえば、昇温機構90としては、通電によって発熱するヒータや、蒸気加熱のための機構、あるいは、負荷30の運転中に発生した熱を蓄える蓄熱機構によって構成することができる。
図14は、さらなる低温時における電池特性を示す概念図である。
図14には、図5(b)よりもさらにバッテリ温度が低い状態における、バッテリ10の動作領域112およびバッテリ20の動作領域122が示される。この場合には、バッテリ10および20の出力電力が、図5(b)の動作領域111,121よりも低下する。
バッテリ10に対して実施の形態1で説明したバッテリ昇温制御を実行すると、バッテリ20では、出力電圧Voの制御の結果、交流電流Iacと同一周波数で位相が異なる交流電流が流れることが期待される。しかしながら、バッテリ20およびバッテリ10が異なる種類の電池で構成される等によって両者の特性が異なるときには、バッテリ10に交流電流による昇温制御を適用しても、バッテリ20の温度は効率的に上昇しない。
上述のように、実施の形態1で説明した交流電流による自己発熱を用いたバッテリ昇温制御は、高容量型で熱容量が比較的大きいバッテリ(バッテリ10)に適している。したがって、他方のバッテリ(バッテリ20)は、高出力型で熱容量が比較的小さいものであることが多い。このようなバッテリに対しては、昇温機構90によって外部から熱を与える方式を併用することで、昇温に要する時間が短くて済む。これにより、より速やかにバッテリ20の出力特性を回復させることが可能となる。
図15は、実施の形態2に従う電源システムにおける昇温機構の制御処理手順の第1の例を示すフローチャートである。
図15を参照して、制御装置40は、ステップS200により、昇温機構90が設けられたバッテリ20が低温状態であるかどうかを判定する。ステップS200による判定は、ステップS120(図11)による判定と同様に、バッテリ温度T[2]と基準温度との比較に基づいて実行することができる。
制御装置40は、バッテリ20が低温状態である場合(ステップS200のYES判定時)には、ステップS210に処理を進めて、昇温機構90を作動させる。一方で、制御装置40は、バッテリ20が低温状態ではない場合(ステップS200のNO判定時)には、ステップS220に処理を進めて、昇温機構90を非作動とする。
したがって、バッテリ20の低温状態時には、バッテリ温度T[2]が基準温度に達するまで、バッテリ20は、昇温機構90から与えられた熱量によって昇温される。バッテリ20が低温状態を脱すると、昇温機構90が停止されるので、昇温機構90の作動エネルギが消費されることがない。
第1の例では、バッテリ10については、バッテリ20の昇温制御(図15)とは独立に、実施の形態1で説明したバッテリ昇温制御が実行される。
図16には、実施の形態2に従う電源システムにおける昇温機構の制御処理手順の第2の例が示される。第2の例では、バッテリ10および20の昇温制御が連動される。図16に示したフローチャートは、特に、電源システム5aの起動時に適用される。
図16を参照して、制御装置40は、図15と同様のステップS200〜S220により、バッテリ20が低温状態であるかどうかに応じて、昇温機構90の作動/非作動を制御する。
さらに、制御装置40は、昇温機構90によるバッテリ20の昇温が完了するまでの間(S200のYES判定時)には、ステップS210に続くステップS215により、バッテリ10からの電力供給を待機する。すなわち、バッテリ20からの出力電力がある程度確保できるようになるまでは、バッテリ10の昇温制御および負荷30への電力供給を行わない。上述のように、バッテリ20の熱容量が比較的小さいことを想定しているため、この待機期間は、それ程長くはならない。
制御装置40は、昇温機構90によるバッテリ20の昇温が完了すると(S210のYES判定時)には、ステップS220に続くステップS230により、バッテリ10および20から電力供給を実行する。これにより、バッテリ10については、実施の形態1と同様に、負荷電流の供給を伴うバッテリ昇温制御が実行される。バッテリ20については、昇温が完了しているため、図5(a)の動作領域120が確保されている。したがって、バッテリ10の電力配分が昇温制御を優先しても、負荷30への供給電力を確保できるようになることが理解される。
このように、実施の形態2による電源システムによれば、実施の形態1による電源システムの効果に加えて、昇温機構90によってバッテリ20を昇温できることにより、低温時における負荷30への供給電力の確保が容易となる。
[実施の形態3]
図17は、本発明の実施の形態3に従う電源システムの構成例を示す回路図である。
図17および図1の比較から理解されるように、実施の形態3に従う電源システム5bは、実施の形態1に従う電源システム5と比較して、バッテリ20に対応するコンバータ7の配置が省略されている点が異なる。すなわち、バッテリ20は、電圧変換機能を有する電力変換器(コンバータ)を介することなく、負荷30と電気的に接続される。バッテリ10に対応して設けられたコンバータ6の構成および動作は、実施の形態1と同様なので詳細な説明は繰返さない。
実施の形態3に従う電源システム5bでは、バッテリ20の電圧は、電力変換器(コンバータ)を介することなく、電源配線PLに直接供給される。したがって、出力電圧Voは、バッテリ電圧V[2]によってクランプされることになる。この状態で、コンバータ6は、バッテリ10の電流I[1]を制御する。具体的には、実施の形態1と同様に、負荷電流に昇温制御のための交流電流が重畳された電流指令値Ii*に従って、電流I[1]が制御される。
一方、バッテリ20の電流I[2]は、負荷30の電流(直流電流)から電流I[1]を差引いたものとなる。したがって、電流指令値Ii*に重畳された交流電流Iacと同じ周波数で位相が異なる交流成分が、電流I[2]には含まれる。このため、バッテリ20の交流インピーダンスが極小となる周波数に合わせて交流電流Iacを設定することにより、コンバータ6によって、バッテリ20の昇温制御を実行することも可能である。特に、バッテリ10および20の周波数特性が同一である場合には、コンバータ6の電流制御によるバッテリ昇温制御によって、バッテリ10および20を同時に昇温することも可能である。
このように、実施の形態3による電源システムにおいても、実施の形態1と同様にコンバータの電流指令値Ii*を設定することによって、負荷30を駆動制御するとともに、同時にバッテリ10および/または20の昇温制御を実行することができる。このように、負荷30に対して並列に接続された複数のバッテリの各々に対して電力変換器(コンバータ)を設けなくても、本発明によるバッテリ昇温制御は実現できることが理解される。また、コンバータが配置されないバッテリ20に対しては、実施の形態2と同様に、昇温機構90を配置することも可能である。
[実施の形態4]
実施の形態4では、電力変換器(コンバータ)の他の構成例について説明する。
図18は、本発明の実施の形態4に従う電源システム5cの構成を示すブロック図である。
図18を参照して、実施の形態4に従う電源システムで5cは、バッテリ10,20と、コンバータ50と、制御装置40とを備える。実施の形態1と比較して、実施の形態4に従う電源システム5cは、コンバータ6および7に代えて、コンバータ50が設けられた構成を有する。コンバータ50は、バッテリ10,20と、負荷30との間に接続される。コンバータ50は、負荷30と接続された電源配線PL上の直流電圧(出力電圧Vo)を電圧指令値に従って制御する。
コンバータ50は、スイッチング素子S5〜S8と、リアクトルL3,L4とを含む。スイッチング素子S5〜S8に対しては、逆並列ダイオードD5〜D8が配置されている。スイッチング素子S5〜S8は、制御装置40からの制御信号SG5〜SG8に応答して、オンオフを制御される。
スイッチング素子S5は、電源配線PLおよびノードN1の間に電気的に接続される。リアクトルL4は、ノードN1とバッテリ20の正極端子との間に接続される。スイッチング素子S6はノードN1およびN2の間に電気的に接続される。リアクトルL3はノードN2とバッテリ10の正極端子との間に接続される。スイッチング素子S7は、ノードN2およびN3の間に電気的に接続される。スイッチング素子S8は、ノードN3および接地配線GLの間に電気的に接続される。接地配線GLは、負荷30および、バッテリ10の負極端子と電気的に接続される。
図18から理解されるように、コンバータ50は、バッテリ10およびバッテリ20の各々に対応して昇圧チョッパ回路を備えた構成となっている。すなわち、バッテリ10に対しては、スイッチング素子S5,S6を上アーム素子とする一方で、スイッチング素子S7,S8を下アーム素子とする電流双方向の第1の昇圧チョッパ回路が構成される。
同様に、バッテリ20に対しては、スイッチング素子S5,S8を上アーム素子とする一方で、スイッチング素子S6,S7を下アーム素子とする電流双方向の第2の昇圧チョッパ回路が構成される。そして、第1の昇圧チョッパ回路によってバッテリ10および電源配線PLの間に形成される電力変換経路と、第2の昇圧チョッパ回路によってバッテリ20および電源配線PLの間に形成される電力変換経路との両方に、スイッチング素子S5〜S8が含まれる。
以下に詳細に説明するように、コンバータ50は、負荷30に対してバッテリ10および20を並列に接続してDC/DC変換を実行するモード(以下、「パラレル接続モード」とも称する)と、負荷30に対してバッテリ10および20を直列に接続してDC/DC変換を実行するモード(以下、「シリーズ接続モード」とも称する)とを切換可能に構成されている。特に、コンバータ50は、スイッチング素子S5〜S8の制御によって、パラレル接続モードおよびシリーズ接続モードを切替えて動作することが可能である。
(パラレル接続モードでの回路動作)
コンバータ50のパラレル接続モードでの回路動作について説明する。
図19および図20に示されるように、スイッチング素子S8またはS6をオンすることによって、バッテリ10および20を電源配線PLに対して並列に接続することができる。ここで、並列接続モードでは、バッテリ10の電圧V[1]とバッテリ20の電圧V[2]との高低に応じて等価回路が異なってくる。
図19(a)に示されるように、V[2]>V[1]のときは、スイッチング素子S8をオンすることにより、スイッチング素子S6,S7を介して、バッテリ10および20が並列に接続される。このときの等価回路が図19(b)に示される。
図19(b)を参照して、バッテリ10および電源配線PLの間では、スイッチング素子S7のオンオフ制御によって、下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。同様に、バッテリ20および電源配線PLの間では、スイッチング素子S6,S7を共通にオンオフ制御することによって、昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。なお、スイッチング素子S5は、負荷30からの回生を制御するスイッチとして動作する。
一方、図20(a)に示されるように、V[1]>V[2]のときには、スイッチング素子S6をオンすることにより、スイッチング素子S7,S8を介して、バッテリ10および20が並列に接続される。このときの等価回路が図20(b)に示される。
図20(b)を参照して、バッテリ20および電源配線PLの間では、スイッチング素子S7のオンオフ制御によって、下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。同様に、バッテリ10および電源配線PLの間では、スイッチング素子S7,S8を共通にオンオフ制御することによって、昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。なお、スイッチング素子S5は、負荷30からの回生を制御するスイッチとして動作する。
次に、図21および図22を用いて、コンバータ50のパラレル接続モードにおける昇圧動作について詳細に説明する。
図21には、パラレル接続モードにおけるバッテリ10に対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。
図21(a)を参照して、スイッチング素子S7,S8のペアをオンし、スイッチング素子S5,S6のペアをオフすることによって、リアクトルL3にエネルギを蓄積するための電流経路150が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アーム素子をオンした状態が形成される。
これに対して、図21(b)を参照して、スイッチング素子S7,S8のペアをオフするとともに、スイッチング素子S5,S6のペアをオンすることによって、リアクトルL3の蓄積エネルギをバッテリ10のエネルギとともに出力するための電流経路151が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態が形成される。
スイッチング素子S7,S8のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S5,S6の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S5,S6のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S7,S8の少なくとも一方がオフされている第2の期間とを交互に繰返すことにより、図21(a)の電流経路150および図21(b)の電流経路151が交互に形成される。
この結果、スイッチング素子S5,S6のペアを等価的に上アーム素子とし、スイッチング素子S7,S8のペアを等価的に下アーム素子とする昇圧チョッパ回路が、バッテリ10に対して構成される。図21に示されるDC/DC変換動作では、バッテリ20への電流流通経路がないため、バッテリ10および20は互いに非干渉である。すなわち、バッテリ10および20に対する電力の入出力を独立に制御することが可能である。
このようなDC/DC変換において、バッテリ10の電圧V[1]と、電源配線PLの出力電圧Voとの間には、下記(3)式に示す関係が成立する。(3)式では、スイッチング素子S7,S8のペアがオンされる第1の期間のデューティ比をDaとする。
Vo=1/(1−Da)・V[1] …(3)
図22には、パラレル接続モードにおけるバッテリ20に対するDC/DC変換(昇圧動作)が示される。
図22(a)を参照して、スイッチング素子S6,S7のペアをオンし、スイッチング素子S5,S8のペアをオフすることによって、リアクトルL4にエネルギを蓄積するための電流経路160が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の下アーム素子をオンした状態が形成される。
これに対して、図22(b)を参照して、スイッチング素子S6,S7のペアをオフするとともに、スイッチング素子S5,S8のペアをオンすることによって、リアクトルL4の蓄積エネルギをバッテリ20のエネルギとともに出力するための電流経路161が形成される。これにより、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態が形成される。
スイッチング素子S6,S7のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S5,S8の少なくとも一方がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S5,S8のペアがオンされる一方で、スイッチング素子S6,S7の少なくとも一方がオフされている第2の期間とを交互に繰返すことにより、図22(a)の電流経路160および図23(b)の電流経路161が交互に形成される。
この結果、スイッチング素子S5,S8のペアを等価的に上アーム素子とし、スイッチング素子S6,S7のペアを等価的に下アーム素子とする昇圧チョッパ回路が、バッテリ20に対して構成される。図22に示されるDC/DC変換動作では、バッテリ10を含む電流経路がないため、バッテリ10および20は互いに非干渉である。すなわち、バッテリ10および20に対する電力の入出力を独立に制御することが可能である。
このようなDC/DC変換において、バッテリ20の電圧V[2]と、電源配線PLの出力電圧Voとの間には、下記(4)式に示す関係が成立する。(4)式では、スイッチング素子S6,S7のペアがオンされる第1の期間のデューティ比をDbとする。
Vo=1/(1−Db)・V[2] …(4)
(シリーズ接続モードでの回路動作)
次に、図23および図24を用いて、コンバータ50のシリーズ接続モードでの回路動作について説明する。
図23(a)に示されるように、スイッチング素子S7をオン固定することによって、バッテリ10および20を電源配線PLに対して直列に接続することができる。このときの等価回路が図23(b)に示される。
図23(b)を参照して、シリーズ接続モードでは、直列接続されたバッテリ10および20と電源配線PLとの間では、スイッチング素子S6,S8を共通にオンオフ制御することによって、昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオン期間およびオフ期間を交互に形成できる。なお、スイッチング素子S5は、スイッチング素子S6,S8のオフ期間にオンされることによって、負荷30からの回生を制御するスイッチとして動作する。また、オン固定されたスイッチング素子S7により、リアクトルL3をスイッチング素子S8と接続する配線15が等価的に形成される。
次に、図24を用いて、シリーズ接続モードにおけるDC/DC変換(昇圧動作)を説明する。
図24(a)を参照して、バッテリ10,20を直列接続するためにスイッチング素子S7がオン固定される一方で、スイッチング素子S6,S8のペアがオンし、スイッチング素子S5がオフされる。これにより、リアクトルL3,L4にエネルギを蓄積するための電流経路170,171が形成される。この結果、直列接続されたバッテリ10,20に対して、昇圧チョッパ回路の下アーム素子をオンした状態が形成される。
これに対して、図24(b)を参照して、スイッチング素子S7をオン固定したままで、図24(a)とは反対に、スイッチング素子S6,S8のペアがオフし、スイッチング素子S5がオンされる。これにより、電流経路172が形成される。電流経路172により、直列接続されたバッテリ10,20からのエネルギと、リアクトルL3,L4に蓄積されたエネルギとの和が電源配線PLへ出力される。この結果、直列接続されたバッテリ10,20に対して、昇圧チョッパ回路の上アーム素子をオンした状態が形成される。
スイッチング素子S7がオン固定された下で、スイッチング素子S6,S8のペアがオンされる一方でスイッチング素子S5がオフされている第1の期間と、スイッチング素子S5がオンされる一方でスイッチング素子S6,S8がオフされている第2の期間とを交互に繰返すことにより、図24(a)の電流経路170,171および図24(b)の電流経路172が交互に形成される。
シリーズ接続モードのDC/DC変換では、バッテリ10の電圧V[1]、バッテリ20の電圧V[2]、および、電源配線PLの出力電圧Voの間には、下記(5)式に示す関係が成立する。(5)式では、スイッチング素子S6,S8のペアがオンされる第1の期間のデューティ比をDcとする。
Vo=1/(1−Dc)・(V[1]+V[2]) …(5)
ただし、V[1]およびV[2]が異なるときや、リアクトルL3,L4のインダクタンスが異なるときには、図24(a)の動作終了時におけるリアクトルL3,L4の電流値がそれぞれ異なる。したがって、図24(b)の動作への移行直後には、リアクトルL3の電流の方が大きいときには電流経路173を介して差分の電流が流れる。一方、リアクトルL4の電流の方が大きいときには電流経路174を介して、差分の電流が流れる。
このように、コンバータ50は、複数のスイッチング素子S1〜S4の制御によって、2つの直流電源(バッテリ)10,20を並列接続するモードと直列接続するモードとを使い分けることができる。この結果、負荷電力への対応性(消費電力の供給および発電電力の受入)および電力管理性が向上するパラレル接続モードと、効率および蓄積エネルギの活用性に優れたシリーズ接続モードおよびを使い分けることによって、2つのバッテリ10,20を有効に使用することができる。
コンバータ50がパラレル接続モードで動作すると、実施の形態1(図1)と同様に、バッテリ10および電源配線PLの間で双方向のDC/DC変換を実行する電力変換器(図1のコンバータ6)と、バッテリ20および電源配線PLの間で双方向のDC/DC変換を実行する電力変換器(図1のコンバータ7)とが配置された構成が、コンバータ50によって実現される。すなわち、コンバータ50は、「第3の電力変換器」に対応する。
したがって、以下では、実施の形態4に従う電源システム5cにおいて、実施の形態1と同様のバッテリ昇温制御が適用されたパラレル接続モードでの制御について説明する。
(パラレル接続モードでのバッテリ昇温制御)
コンバータ50のパラレル接続モードにおけるバッテリ昇温制御について説明する。以下に説明する制御動作は、制御装置40によるハードウェア処理および/またはソフトウェア処理によって実現される。
図25には、パラレル接続モードにおける負荷側から見た等価回路が示される。
図25を参照して、パラレル接続モードでは、バッテリ10と負荷30との間でDC/DC変換を実行する電源PS1と、バッテリ20と負荷30との間でDC/DC変換を実行する電源PS2とは、負荷30に対して並列に電力を授受する。電源PS1は、図21に示したDC/DC変換動作を実行する昇圧チョッパ回路に相当する。同様に、電源PS1は、図22に示したDC/DC変換動作を実行する昇圧チョッパ回路に相当する。
電源PS1は、バッテリ10の電圧V[1]および出力電圧Voの間で、式(3)に示した電圧変換比によるDC/DC変換機能を有する。同様に、電源PS2はバッテリ10の電圧V[2]および出力電圧Voの間で、式(4)に示した電圧変換比によるDC/DC変換機能を有する。
パラレル接続モードでは、両方の電源で共通の制御(出力電圧Voの電圧制御)を同時に実行すると、負荷側で、電源PS1およびPS2が並列接続される形になるため、回路が破綻する可能性がある。したがって、電源PS1および電源PS2の一方の電源が、出力電圧Voを制御する電圧源として動作する。そして、電源PS1および電源PS2の他方の電源は、当該電源の電流を電流指令値に制御する電流源として動作する。各電源PS1,PS2での電圧変換比は、電圧源または電流源として動作するように制御される。たとえば、実施の形態1と同様に、バッテリ10の電流を制御するように、電源PS1を電流源とし電源PS2を電圧源として制御する。
図26にはバッテリ10に対応する電源PS1の具体的な制御動作例を説明するための波形図が示される。
図26を参照して、電源PS1でのデューティ比Da(式(3)参照)は、電流源として動作するための電流フィードバック制御(図28)によって算出される。なお、図26中では、デューティ比Daを示す電圧信号を、同一の符号Daで示している。
電源PS1の制御パルス信号SDaは、デューティ比Daと、周期的なキャリア信号25との比較に基づくパルス幅変調(PWM)制御によって生成される。一般的に、キャリア信号25には、三角波あるいはのこぎり波が用いられる。キャリア信号25の周期は、各スイッチング素子のスイッチング周波数に相当し、キャリア信号25の振幅は、Da=1.0に対応する電圧に設定される。
制御パルス信号SDaは、デューティ比Daを示す電圧が、キャリア信号25の電圧よりも高いときに論理ハイレベル(以下、Hレベル)に設定される一方で、キャリア信号25の電圧よりも低いときに論理ローレベル(以下、Lレベル)に設定される。制御パルス信号SDaの周期(Hレベル期間+Lレベル期間)に対するHレベル期間の比、すなわち、制御パルス信号SDaのデューティ比は、Daと同等である。
制御パルス信号/SDaは、制御パルス信号SDaの反転信号である。デューティ比Daが高くなると、制御パルス信号SDaのデューティ比が高くなる。反対に、デューティ比Daが低くなると、制御パルス信号SDaのデューティ比が低くなる。
制御パルス信号SDaは、図21に示した昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオンオフを制御する信号に対応する。すなわち、制御パルス信号SDaのHレベル期間で下アーム素子がオンされる一方で、Lレベル期間で下アーム素子がオフされる。一方、制御パルス信号/SDaは、図21に示した昇圧チョッパ回路の上アーム素子のオンオフを制御する信号に対応する。図26に示した電源PS1に対する制御動作は、図3に示した電流制御器41による制御動作に相当する。
図27にはバッテリ20に対応する電源PS2の具体的な制御動作例を説明するための波形図が示される。
図27を参照して、電源PS2においても、電源PS1と同様のPWM制御によって、デューティ比Db(式(4)参照)に基づいて、制御パルス信号SDbおよび、その反転信号/SDbが生成される。制御パルス信号SDbのデューティ比はDbと同等であり、制御パルス信号/SDbのデューティは(1.0−Db)と同等である。すなわち、デューティ比Dbが高くなると、制御パルス信号SDbのHレベル期間が長くなる。反対に、デューティ比Dbが低くなると、制御パルス信号SDbのLレベル期間が長くなる。
制御パルス信号SDbは、図22に示した昇圧チョッパ回路の下アーム素子のオンオフを制御する信号に対応する。制御パルス信号/SDbは、図22に示した昇圧チョッパ回路の上アーム素子のオンオフを制御する信号に対応する。
なお、デューティ比Dbは、電源PS2が電圧源として動作するための電圧フィードバック制御(図29)によって算出される。図27に示した電源PS2についての制御動作は、図3の電圧制御器42による制御動作に相当する。
図28には、電流源として動作する電源の制御ブロックの構成例が示される。
図28を参照して、図9(実施の形態1)と同様に、電流制御器41に対して与えられる電流指令値Ii*は、負荷30への供給電流(直流平均値)に相当するId1と、バッテリ昇温のための交流電流Iacの和で与えられる。すなわちIi*=Id1+Iacである。
電流制御器41は、電流指令値Ii*とバッテリ10の電流I[1]との偏差に基づいて、図26で説明したPWM制御によって、制御パルス信号SDaを生成する。伝達関数Hv1は、電流源として動作する電源PS1(図21の昇圧チョッパ回路)の伝達関数に相当する。
電圧制御器42は、電圧指令値Vo*と出力電圧Voとの偏差に基づいて、図27で説明したPWM制御によって、制御パルス信号SDbを生成する。伝達関数Hv2は、電圧源として動作する電源PS2(図22の昇圧チョッパ回路)の伝達関数に相当する。
図30には、パラレル接続モードにおける各スイッチング素子の制御信号の設定が示される。
図30を参照して、スイッチング素子S5〜S8のオンオフをそれぞれ制御するための制御信号SG5〜SG8は、電源PS1の電流制御のための制御パルス信号(SGa,/SGa)と、電源PS2の電圧制御のための制御信号パルス(SGb,/SGb)とに基づいて設定される。具体的には、制御信号SG5〜SG8は、制御パルス信号間の論理演算に基づいて(より特定的には、論理和をとる態様)で設定される。
スイッチング素子S5は、図21および図22の昇圧チョッパ回路の各々で上アーム素子を形成する。したがって、スイッチング素子S5のオンオフを制御する制御信号SG5は、制御パルス信号/SDaおよび/SDbの論理和によって生成される。
この結果、スイッチング素子S5は、バッテリ10を制御するための図21の昇圧チョッパ回路の上アーム素子および、バッテリ20を制御するための図22の昇圧チョッパ回路の上アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
スイッチング素子S6は、図21の昇圧チョッパ回路では上アーム素子を形成し、図22の昇圧チョッパ回路では下アーム素子を形成する。したがって、スイッチング素子S6のオンオフを制御する制御信号SG6は、制御パルス信号/SDaおよびSDbの論理和によって生成される。これにより、スイッチング素子S6は、図21の昇圧チョッパ回路の上アーム素子および、図22の昇圧チョッパ回路の下アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
同様にして、スイッチング素子S7の制御信号SG7は、制御パルス信号SDaおよびSDbの論理和によって生成される。これにより、スイッチング素子S7は、図21の昇圧チョッパ回路の下アーム素子および、図22の昇圧チョッパ回路の下アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
また、スイッチング素子S8の制御信号SG8は、制御パルス信号SDaおよび/SDbの論理和によって生成される。これにより、スイッチング素子S8は、図21の昇圧チョッパ回路の下アーム素子および、図22の昇圧チョッパ回路の上アーム素子の両方の機能を実現するように、オンオフ制御される。
パラレル接続モードでは、制御信号SG6およびSG8が相補のレベルに設定されているので、スイッチング素子S6およびS8は相補的にオンオフされる。これにより、図19に示したV[2]>V[1]のときの動作と、図20に示したV[1]>V[2]の動作とが、自然に切替えられる。さらに、各動作において、スイッチング素子S5,S7が相補にオンオフされることにより、電源PS1,PS2のそれぞれにおいて、デューティ比Da,Dbに従ったDC/DC変換が実行できる。
図31には、コンバータ50のパラレル接続モードでの制御動作例が示される。
図31を参照して、バッテリ10の電流に基づいて算出されたデューティ比Daと、キャリア信号25との電圧比較に基づいて、制御パルス信号SDaが生成される。同様に、バッテリ20の電圧に基づいて算出されたデューティ比Dbと、キャリア信号25との比較に基づいて制御パルス信号SDbが求められる。制御パルス信号/SDa,/SDbは、制御パルス信号SDa,SDbの反転信号である。
制御信号SG1〜SG4は、図30に示した論理演算に従って、制御パルス信号SDa(/SDa)およびSDb(/SDb)の論理演算に基づいて設定される。制御信号SG1〜SG4に基づいてスイッチング素子S1〜S4をオンオフすることにより、電流I[1]を電流指令値Ii*に従って制御するとともに、出力電圧Voを電圧指令値Vo*に従って制御することができる。
なお、図25〜図31で説明したのとは反対に、バッテリ20の電流を制御するように、電源PS1を電圧源とし電源PS2を電流源として制御することも可能である。この場合には、バッテリ20がバッテリ昇温制御の対象となる。
以上説明したように、実施の形態4に従う電源システム5cにおいても、コンバータ50をパラレル動作モードで動作させる際に、バッテリ10またはバッテリ20の電流制御における電流指令値Ii*を実施の形態1と同様に設定することにより、実施の形態1と同様のバッテリ昇温制御を実現できる。すなわち、コンバータ50のパラレル動作モードにおいて、交流電流を重畳することによる負荷の駆動を伴うバッテリ昇温制御が可能となる。
なお、電圧制御されるバッテリ(図18ではバッテリ20)に対して、実施の形態2で説明した昇温機構90を配置することも可能である。
実施の形態4において、コンバータ50の構成は、図18の例示に限定されるものではない。すなわち、電力変換器に含まれる複数のスイッチング素子の少なくとも一部が、第1の直流電源に対する電力変換経路と、第2の直流電源に対する電力変換経路との両方に含まれるように配置されるとともに、パラレル接続モードによる動作が可能な構成であれば、同様のバッテリ昇温制御を同様に適用することが可能である。
なお、実施の形態1〜4では、負荷30に対して2個の直流電源(バッテリ10,20)が並列に接続された構成を説明したが、本発明の適用はこのような構成に限定されるものではない。すなわち、3個以上の直流電源(バッテリ)が並列接続された構成においても、そのうちの2個の直流電源(バッテリ)の間に、実施の形態1〜4に従う構成を適用することができる。
また、電力変換器(コンバータ)の構成についても、実施の形態1〜4で説明したものに限定されるものではない。すなわち、負荷電流I1dに対して交流電流Iacが重畳された電流指令値Ii*に従って直流電源(バッテリ)の電流を制御可能であれば、電力変換回路(コンバータ)の回路構成は任意とすることができる。
さらに、負荷30は、直流電圧Voによって動作する機器であれば、任意の機器によって構成できる点について確認的に記載する。すなわち、本実施の形態では、電動車両の走行用電動機を含むように負荷30が構成される例を説明したが、本発明の適用はこのような場合に限定されるものではない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。