JP5962344B2 - 制御装置及び画像形成システム - Google Patents

制御装置及び画像形成システム Download PDF

Info

Publication number
JP5962344B2
JP5962344B2 JP2012191974A JP2012191974A JP5962344B2 JP 5962344 B2 JP5962344 B2 JP 5962344B2 JP 2012191974 A JP2012191974 A JP 2012191974A JP 2012191974 A JP2012191974 A JP 2012191974A JP 5962344 B2 JP5962344 B2 JP 5962344B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording unit
disturbance
component
motor
driven object
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012191974A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014048930A (ja
Inventor
健一 家▲崎▼
健一 家▲崎▼
智昭 枦山
智昭 枦山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2012191974A priority Critical patent/JP5962344B2/ja
Publication of JP2014048930A publication Critical patent/JP2014048930A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5962344B2 publication Critical patent/JP5962344B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、被駆動物の運動を制御する制御装置、及び、この制御装置を備えた画像形成システムに関する。
従来、被駆動物の運動を制御する制御装置としては、被駆動物が周辺物に衝突した際の衝突のダメージを抑える保護機能を有した制御装置が知られている。
具体的には、外乱オブザーバにより外乱トルクを推定し、推定された外乱トルクが予め設定されている外乱トルク値を超えると、被駆動物に周辺物との衝突が生じたとして、モータが停止する方向のモータ制御を行う制御装置が知られている(特許文献1参照)。この他、衝突検知に関連する技術としては、外乱推定値を閾値と比較して衝突判定を行う一方、低温環境下では、閾値を上方に修正する技術が知られている(特許文献2参照)。
特開平6−284764号公報 特開平11−15511号公報
ところで、被駆動物の異物(周辺物)との接触(衝突)は、精度良く検知できることが好ましい。しかしながら、外乱オブザーバの出力に基づいて検知を行う場合には、次のような問題がある。即ち、外乱オブザーバの出力には、異物との接触に起因する外乱以外の成分も含まれ、このような成分に影響されて検知精度が劣化するといった問題がある。そして、誤検知が多いと、装置を利用するユーザに不満が及ぶ。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、被駆動物の異物との接触を高精度に検知可能な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の制御装置は、モータとモータにより駆動される被駆動物とを備える駆動系を制御対象として、被駆動物の運動を制御する制御装置であって、演算手段と、計測手段と、逆モデル入力手段と、推定手段と、除去手段と、判定手段と、を備えるものである。
この制御装置における演算手段は、制御対象に入力する操作量を演算し、計測手段は、制御対象の制御量を計測する。一方、逆モデル入力手段は、計測手段による制御量の計測信号を、制御対象の入出力特性を表すモデルの逆モデルに入力する。推定手段は、上記操作量を参照して、逆モデルの出力に含まれる外乱成分を推定する。例えば、推定手段は、逆モデルの出力と操作量との差分を、外乱成分として推定する構成にすることができる。この他、推定手段は、逆モデルの出力を濾波するフィルタ(ローパスフィルタ等)の出力と操作量との差分を、外乱成分として推定する構成にされてもよい。
除去手段は、上記推定手段により推定された外乱成分から、被駆動物の異物との接触以外の外乱に起因する成分を除去し、判定手段は、除去手段による除去後の外乱成分に基づき、被駆動物が異物と接触したか否かを判定する。
例えば、判定手段は、上記除去後の外乱成分が予め定められた閾値より大きい場合に、被駆動物が異物と接触したと判定する構成にすることができる。
本発明の制御装置によれば、上述したように被駆動物の異物との接触有無を、逆モデルの出力から推定された外乱成分から、判定に不要な成分を除去したものに基づき判定する。従って、本発明によれば、被駆動物の異物との接触を高精度に検知することができる。
ところで、除去手段は、被駆動物の異物との接触以外の外乱として、制御対象において生じる摩擦力に起因する成分を外乱成分から除去する構成にすることができる。具体的に言えば、除去手段は、上記摩擦力として、被駆動物の運動に伴って生じる動摩擦力及び制御対象において用いられる潤滑剤による粘性摩擦力の少なくとも一方に起因する成分を外乱成分から除去する構成にすることができる。この制御装置によれば、摩擦力による影響を抑えて、被駆動物の異物との接触を高精度に検知することができる。
また、摩擦力は温度によって変化する。従って、制御装置には、制御対象の雰囲気温度を計測する温度計測手段を設け、除去手段は、温度計測手段により計測された雰囲気温度に基づき、この雰囲気温度で制御対象において生じる摩擦力を推定し、摩擦力に起因する成分を外乱成分から除去する構成にすることができる。この制御装置によれば、温度に起因する摩擦力(動摩擦力及び/又は粘性摩擦力)の変化の影響を抑えて、被駆動物の異物との接触を高精度に検知することができる。
この他、粘性摩擦力は、被駆動物の速度による影響を受ける。従って、除去手段は、被駆動物の速度に応じた摩擦力を推定し、この摩擦力に起因する成分を外乱成分から除去する構成にされてもよい。この制御装置によれば、速度に起因する粘性摩擦力の変化の影響を抑えて、被駆動物の異物との接触を高精度に検知することができる。
また、被駆動物が付属物の消費により重量が変化するものである場合には、重量の変化が動摩擦力に影響を与える。従って、制御装置には、付属物の残存量を推定する残存量推定手段を設け、除去手段は、推定された残存量に基づき、被駆動物の重量に応じた摩擦力を推定し、この摩擦力に起因する成分を除去する構成にされるとよい。この制御装置によれば、重量の変化による動摩擦力の変化の影響を抑えて、被駆動物の異物との接触を高精度に検知することができる。
この他、被駆動物に、ケーブルやチューブ等が接続される場合には、被駆動物の位置変化によってケーブルやチューブの形状変化が生じる際に、被駆動物に作用する外力が変化することがある。
従って、除去手段は、被駆動物の異物との接触以外の外乱として、被駆動物の現在位置と被駆動物の運動方向に応じて変化する外力に起因する成分を除去する構成にされると一層好ましい。このように制御装置を構成すれば、外力の変化の影響を抑えて、被駆動物の異物との接触を高精度に検知することができる。
付言すると、上記外力に起因する成分を除去する場合には、制御装置に、被駆動物の運動方向に対する、被駆動物の位置変化と被駆動物に作用する外力の変化との対応関係を記憶する記憶手段(テーブル等)を設けることができる。そして、除去手段は、この記憶手段を参照して被駆動物の現在位置及び運動方向に応じた外力を推定し、外力に起因する成分を除去する構成にすることができる。
また、上述の制御装置は、モータにより駆動されて変位し、対向するシートに画像を形成する記録ユニットを備える画像形成システムにおける記録ユニットの運動制御に用いることができる。そして、判定手段は、記録ユニットが異物としてのシートに接触したか否かを判定する構成にすることができる。
また、本発明の画像形成システムは、搬送されるシートに画像を形成する画像形成システムに、上述した制御装置に対応する技術的思想を適用したものであり、記録ユニット搬送機構と、制御装置と、を備える。この画像形成システムにおける記録ユニット搬送機構は、シートに画像を形成する記録ユニットと、記録ユニットを駆動するモータと、を備える。この記録ユニット搬送機構では、記録ユニットがモータによって駆動されてシートに対して変位する。一方、制御装置は、記録ユニット搬送機構を制御対象として記録ユニットの運動を制御するものであり、演算手段と、計測手段と、逆モデル入力手段と、推定手段と、除去手段と、判定手段と、を備える。
演算手段は、モータの操作量を演算し、計測手段は、この操作量に対応する制御量として、記録ユニットの運動状態を表す物理量を計測する。逆モデル入力手段は、計測手段による上記物理量の計測信号を、制御対象の入出力特性を表すモデルの逆モデルに入力し、推定手段は、上記操作量を参照して、逆モデルの出力に含まれる外乱成分を推定する。除去手段は、推定手段により推定された外乱成分から、記録ユニットのシートとの接触以外の外乱に起因する成分を除去し、判定手段は、除去後の外乱成分に基づき、記録ユニットがシートと接触したか否かを判定する。
本発明の画像形成システムによれば、上述した制御装置と同様、記録ユニットのシートとの接触を高精度に検知することができ、優れた画像形成システムを提供することができる。付言すると、記録ユニット搬送機構において、記録ユニットが案内部材により案内されて特定方向に変位する場合、除去手段は、記録ユニットのシートとの接触以外の外乱として、記録ユニットが案内部材により案内されて変位する際に記録ユニットに作用する摩擦力に起因する成分を除去する構成にすることができる。
また、記録ユニットが、インク液滴を吐出してシートに画像を形成する記録ユニットであって、インク消費により重量が変化する記録ユニットである場合、画像形成システムには、記録ユニットにおけるインクの残存量を推定する残存量推定手段を設けるとよい。そして、除去手段は、残存量推定手段により推定された残存量に基づき、記録ユニットの重量に応じた動摩擦力を推定し、動摩擦力に起因する成分を除去する構成にされるとよい。この画像形成システムによれば、インク消費による動摩擦力の変化の影響を抑えて、記録ユニットとシートとの接触を高精度に検知することができる。
また、記録ユニットが、当該記録ユニットとインクタンクとを接続するチューブを介して、当該記録ユニットとは独立したインクタンクからインク供給を受けるものである場合、除去手段は、記録ユニットのシートとの接触以外の外乱として、チューブから記録ユニットに作用する外力であって、記録ユニットの現在位置及び変位方向に応じて変化する外力に起因する成分を除去する構成にされるとよい。
インク供給用のチューブについては、その材質や形状のために、変形の態様によって記録ユニットに作用する力が大きく変化する場合がある。従って、チューブから記録ユニットに作用する外力に起因する成分を、推定された外乱成分から除去する画像形成システムによれば、一層高精度に記録ユニットとシートとの接触を検知することができる。
プリンタ装置1の構成を表すブロック図である。 キャリッジ搬送機構40及び用紙搬送機構60に関する説明図である。 キャリッジ搬送機構40の詳細構成を表す上面図である。 CRモータ制御部31の詳細構成を表すブロック図である。 CRモータ制御部31の詳細構成を表すブロック図である。 反力推定値τ1の変動態様を表すグラフである。 ジャムが発生した場合の反力推定値τの変動態様を表すグラフである。 接続物CNの形状変化を表す図(A)及び接続物CNから記録ヘッド21に作用する外力Zの変化の態様を表すグラフ(B)である。 温度Tとグリス粘度Aの対応関係を表すグラフ(A)及びインク残量Rと垂直抗力Nとの対応関係を表すグラフ(B)である。 操作量演算ユニット170が実行するキャリッジ41の搬送制御に関するフローチャートである。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
本実施例のプリンタ装置1は、ジャムの検知機能を有したプリンタ装置であって、インクジェット方式で用紙Qに画像を形成する所謂インクジェットプリンタとして構成されるものである。このプリンタ装置1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、EEPROM15と、ユーザインタフェース17と、接続インタフェース19と、印字制御部20と、モータ制御部30と、を備える。
更に、このプリンタ装置1は、用紙Qに画像を形成するための構成として、記録ヘッド21と、駆動回路23と、を備え、記録ヘッド21を主走査方向に搬送するための構成として、キャリッジ搬送機構40と、CR(キャリッジ)モータ51と、駆動回路53と、を備え、用紙Qを主走査方向とは直交する副走査方向に搬送するための構成として、用紙搬送機構60と、LFモータ71と、駆動回路73と、を備える。
この他、プリンタ装置1は、記録ヘッド21が搭載されるキャリッジ41の位置及び速度を計測可能なエンコーダ55、及び、用紙Qの搬送量及び搬送速度を計測可能なエンコーダ75を備える。更に、キャリッジ41周辺の温度(雰囲気温度)Tを計測する温度センサ81、及び、記録ヘッド21に付属するインクタンク(図示せず)内のインク残量Rを計測する残量センサ85を備える。
詳述すると、CPU11は、ROM12に記録されたプログラムに従う処理を実行することにより、プリンタ装置1を統括制御して、各種機能を実現する。ROM12は、各種プログラムを記憶し、RAM13は、CPU11による処理実行時に、作業用メモリとして使用される。EEPROM15は、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリとして、各種設定情報を記憶する。
ユーザインタフェース17は、プリンタ装置1を利用するユーザに向けて各種情報を表示するためのディスプレイ、及び、ユーザからプリンタ装置1への各種操作情報を受け付けるための操作デバイスを備える。接続インタフェース19は、パーソナルコンピュータ(PC)3とプリンタ装置1とを接続するためのインタフェース(例えばUSBインタフェース)であり、PC3からの印刷命令や印刷対象データを受信可能に構成される。
CPU11は、接続インタフェース19を通じてPC3から印刷命令及び印刷対象データを受信すると、印字制御部20及びモータ制御部30に指令入力することによって、印字制御部20に、記録ヘッド21からのインク液滴の吐出制御を実行させ、モータ制御部30に、CRモータ51及びLFモータ71の制御によるキャリッジ41及び用紙Qの搬送制御を実行させる。これによって、用紙Qに印刷対象データに基づく画像を形成する。
記録ヘッド21は、インク液滴を吐出するためのノズルが複数配列された周知のインクジェットヘッドである。この記録ヘッド21は、駆動回路23により駆動され、ノズル面に対向する用紙Qの領域に、インクタンクから供給されるインクを液滴として吐出する。
印字制御部20は、CPU11からの指令に基づき、用紙Qに印刷対象データに基づく画像が形成されるように、駆動回路23に対して制御信号を入力し、この動作によって、記録ヘッド21によるインク液滴の吐出制御を実現する。
一方、キャリッジ搬送機構40は、図2に示すように、CRモータ51に駆動されて回転するベルト機構43を備え、このベルト機構43により、記録ヘッド21を搭載するキャリッジ41を主走査方向に搬送する。このキャリッジ搬送機構40は、図3に示すように、キャリッジ41、ベルト機構43、及び、ガイドレール450,470を備える。
ベルト機構43は、主走査方向に一列に配置された駆動プーリ431及び従動プーリ433と、駆動プーリ431と従動プーリ433との間に巻回されたベルト435と、を備える。このベルト機構43では、駆動プーリ431がCRモータ51からの動力を受けて回転し、ベルト435及び従動プーリ433が、駆動プーリ431の回転に伴って、従動回転する。キャリッジ41は、このように動作するベルト435に固定される。
また、ガイドレール450は、主走査方向に沿って延設され、主走査方向に垂直な断面がL字形状の部材45により構成される。この他、ガイドレール470は、ガイドレール450とは副走査方向に離れた位置で、ガイドレール450と平行に設けられる。ガイドレール470を構成する部材47は、主走査方向に垂直な断面がL字形状の部材であり、部材45よりも副走査方向上流に設けられる。
ベルト機構43は、この部材47のガイドレール470を構成する部位から副走査方向上流の領域に設置される。また、部材47におけるベルト機構43とガイドレール470との間の領域には、リニアエンコーダを構成するエンコーダスケール551が主走査方向に沿って設けられる。
キャリッジ41は、下面部に、ガイドレール450,470の形状に対応する主走査方向の溝(図示せず)を備え、上面部に、エンコーダスケール551の形状に対応する主走査方向の溝410を備える。溝410には、エンコーダスケール551を読取可能な光学センサ553が搭載され、このキャリッジ41には、用紙Qに対してインク液滴を吐出可能に、記録ヘッド21が搭載される。
キャリッジ41は、下面部の溝(図示せず)にガイドレール450,470が配置されるように、ガイドレール450,470上に載置される。この載置によって、キャリッジ41は、CRモータ51が回転すると、ベルト435の回転に連動して、案内部材としてのガイドレール450,470に案内され、主走査方向に移動する。また、記録ヘッド21は、このキャリッジ41の移動に伴って、主走査方向に搬送される。
エンコーダ55は、キャリッジ41の溝410に配置された上記エンコーダスケール551と上記光学センサ553とを備えるものであり、これらの要素によりキャリッジ41の位置及び速度を計測可能なリニアエンコーダとして構成される。エンコーダ55は、周知のリニアエンコーダと同様に、エンコーダスケール551において等間隔に設けられた目盛りを光学センサ553で光学的に読み取る。
即ち、エンコーダ55は、キャリッジ41が主走査方向に移動すると、部材47に固定されたエンコーダスケール551と、キャリッジ41と共に移動する光学センサ553との相対位置が変化する現象を利用して、光学センサ553でエンコーダスケール551の目盛り(スリット等)を読み取り、エンコーダ信号として、キャリッジ41の主走査方向の変位に応じたパルス信号を出力する。本実施例では、このエンコーダ55の出力信号(エンコーダ信号)に基づき、主走査方向におけるキャリッジ41の位置及び速度(間接的には記録へッド21の位置及び速度)が計測される。
この他、モータ制御部30(図1参照)は、CRモータ51の制御により、キャリッジ41の主走査方向への搬送制御を行うCRモータ制御部31を備える。このCRモータ制御部31は、CPU11からの指令に従って、駆動回路53に対する入力信号としてのPWM信号を生成し、直流モータで構成されるCRモータ51を制御する。この際、CRモータ制御部31は、エンコーダ55の出力信号に基づいたフィードバック制御により、キャリッジ41の速度を制御する。また、駆動回路53は、CRモータ制御部31から入力されるPWM信号に従う駆動電流でCRモータ51を駆動する。
また、用紙搬送機構60は、図2に示すように、LFモータ71に駆動されて副走査方向に回転する、主走査方向に平行な軸を有する少なくとも一つのローラ61を備える。用紙搬送機構60は、トレイから供給された用紙Qを、ローラ61の回転により副走査方向に搬送し、用紙Qを記録ヘッド21によるインク液滴の吐出位置に送出する。
モータ制御部30(図1参照)は、LFモータ71の制御により、用紙Qの副走査方向への搬送制御を行うLFモータ制御部35を備える。このLFモータ制御部35は、CPU11からの指令に従って、駆動回路73に対する入力信号としてのPWM信号を生成し、直流モータで構成されるLFモータ71を制御する。この際、LFモータ制御部35は、LFモータ71、ローラ61又はこれらの間の伝達系、に設けられたロータリエンコーダとしてのエンコーダ75からの出力信号に基づいたフィードバック制御により、用紙Qの搬送制御を行う。また、駆動回路73は、LFモータ制御部35から入力されるPWM信号に従ってLFモータ71を駆動する。
プリンタ装置1が備えるCPU11は、接続インタフェース19を通じて印刷指令及び印刷対象データが入力されると、上記印字制御部20を動作させて、印刷対象データに基づく画像を用紙Qに形成させるためのインク液滴の吐出動作を記録ヘッド21に実行させると共に、CRモータ制御部31を動作させて、キャリッジ41を主走査方向に移動させ、更に、キャリッジ41が、主走査方向の折返し地点に到達する度に、LFモータ制御部35を動作させて、用紙Qを所定量副走査方向に送出することにより、用紙Qに対して段階的に画像を形成し、印刷対象データに基づく画像を形成する。
続いて、CRモータ制御部31の構成を、図4を用いて説明する。本実施例のCRモータ制御部31は、図4に示すように、エンコーダ信号処理ユニット110と、外乱オブザーバ130と、判定用反力推定ユニット140と、ジャム判定ユニット160と、操作量演算ユニット170と、PWM信号生成回路190と、を備える。尚、CRモータ制御部31は、ハードウェア又はマイクロコンピュータによるソフトウェアの実行により実現される。
エンコーダ信号処理ユニット110は、エンコーダ55の出力信号に基づき、キャリッジ41の位置及び速度を計測するものである。周知のようにキャリッジ41の速度計測は、上記出力信号としてエンコーダ55から出力されるパルス信号のパルスエッジ間隔(時間間隔)を計測することにより実現できる。また、キャリッジ41の位置計測については、所定の原点位置にキャリッジ41を配置してからのエンコーダ55からの入力パルス数をカウントすることにより計測することができる。具体的には、キャリッジ41が正方向に変位している場合にはパルス入力毎に1加算し、キャリッジ41が負方向に変位している場合にはパルス入力毎に1減算するように、入力パルス数をカウントすることによりキャリッジ41の位置を計測することができる。周知のように、エンコーダ55からは、A相信号及びB相信号が出力される。キャリッジ41の変位方向については、これらA相信号及びB相信号の位相差により特定することができる。
また、外乱オブザーバ130は、エンコーダ信号処理ユニット110により計測されたキャリッジ41の速度Vと、操作量演算ユニット170から出力されるCRモータ51に対する操作量Uと、に基づき、キャリッジ41の搬送方向に対応するCRモータ51の回転方向とは反対方向に作用する力である反力を推定し、その反力推定値τ1を、判定用反力推定ユニット140に入力する。
判定用反力推定ユニット140は、この外乱オブザーバ130で推定された反力推定値τ1からジャムの発生有無の判定に不要な成分を除去し、除去後の反力推定値τをジャム判定ユニット160に入力する。
ジャム判定ユニット160は、この判定用反力推定ユニット140から入力される反力推定値τに基づき、キャリッジ41と用紙Qとが接触する事象であるジャムが発生したか否かを判定する。そして、ジャムが発生していると判定した場合には、そのことを表すフラグF=1を操作量演算ユニット170に入力し、ジャムが発生していないと判定した場合には、そのことを表すフラグF=0を操作量演算ユニット170に入力する。以下では、ジャムの発生有無の判定を、簡易に「ジャム判定」とも表現する。
操作量演算ユニット170は、このジャム判定ユニット160から入力されるフラグFと、エンコーダ信号処理ユニット110により計測されたキャリッジ41の速度Vと、に基づいて、CRモータ51に対する操作量Uを演算し、その操作量Uを、PWM信号生成回路190に入力する。本実施例では、操作量Uとして、CRモータ51に対する電流指令値を算出し、これをPWM信号生成回路190に入力する。
PWM信号生成回路190は、この操作量演算ユニット170から入力される操作量Uに対応した駆動電流でCRモータ51が駆動されるようなPWM信号を生成し、これを駆動回路53に入力する。
続いては、図5を用いて、CRモータ制御部31の詳細構成を更に説明する。外乱オブザーバ130では、入力ユニット131が、エンコーダ信号処理ユニット110による速度Vの計測信号(例えば計測された速度Vの時系列データ)を、制御対象の逆モデルP-1に入力する。ここで言う制御対象の逆モデルP-1は、CRモータ51に対する操作量Uと制御対象の制御量(キャリッジ41の速度V)との入出力特性モデルP=V/U、換言すれば操作量Uから制御量Vへの数学モデルである伝達関数P=V/Uの逆モデルP-1のことである。以下で表現する「制御対象」は、操作量Uにより制御量Vを実現する駆動系のことを言う。この駆動系には、少なくともPWM信号生成回路190、CRモータ51及びキャリッジ搬送機構40が含まれる。
外乱オブザーバ130では、減算器133が、この逆モデルP-1の出力U*と、操作量演算ユニット170から出力されるCRモータ51に対する操作量Uとの差分(U−U*)を表す信号(差分信号)を生成し、この差分信号をローパスフィルタ135に入力する。差分(U−U*)は、逆モデルP-1の出力U*に含まれる外乱成分に対応し、モータ駆動により制御対象に作用した力に対する反力の大きさを表す。
ローパスフィルタ135は、カットオフ周波数ω1の1次ローパスフィルタとして構成され、入力された差分信号を濾波して、その濾波信号である高周波成分減衰後の差分信号を、判定用反力推定ユニット140に入力する。
付言すると、差分(U−U*)は、操作量Uが電流指令値である関係上、単位をアンペアとするものであるが、アンペアとトルク(反力)との間には比例関係が成立する。このため、差分(U−U*)は、反力推定値τ1を表すものとして取り扱うことができる。即ち、外乱オブザーバ130は、差分信号をローパスフィルタ135により濾波したものを、反力推定値τ1(外乱成分の大きさ)を表す信号として、判定用反力推定ユニット140に入力する。
判定用反力推定ユニット140は、外乱オブザーバ130からの入力信号が表す反力推定値τ1から、ジャム判定に不要な外乱成分として、キャリッジ41の位置X及びキャリッジ41の変位方向に応じて変化する外力Zに対応する成分を減算により除去し、反力推定値τ2(=τ1−Z)を算出する。
更に、判定用反力推定ユニット140は、反力推定値τ2からジャム判定に不要な外乱成分として、キャリッジ41に作用する粘性摩擦力DVに対応する成分を減算により除去し、反力推定値τ3(=τ2−DV)を算出する。更に、この反力推定値τ3から、ジャム判定に不要な外乱成分として、キャリッジ41に作用する動摩擦力μNに対応する成分を減算により除去し、ジャム判定用の反力推定値τ(=τ3−μN)を算出する。そして、この反力推定値τをジャム判定ユニット160に入力する。更なる詳細については後述する。
ジャム判定ユニット160は、このようにして判定用反力推定ユニット140から入力される反力推定値τを、予め設定された閾値Hと比較し、反力推定値τの絶対値|τ|が閾値H以上であるときには、フラグF=1を出力し、絶対値|τ|が閾値H未満であるときには、フラグF=0を出力する。このようにして、ジャム判定ユニット160は、ジャムの発生有無を判定し、発生していると判定した場合には、フラグF=1を出力し、そうでない場合には、フラグF=0を出力する。
この他、操作量演算ユニット170は、フラグF=0である通常時には、CPU11から設定された速度プロファイルに基づく現時刻での目標速度Vrと、エンコーダ信号処理ユニット110により計測された速度Vと、に基づいて、キャリッジ41が目標速度Vrに追従するような操作量Uを演算し、この操作量UをPWM信号生成回路190に入力する。速度プロファイルは、制御開始時からの各時刻における目標速度Vrの軌跡を表すものである。
例えば、操作量演算ユニット170は、速度プロファイルから特定される現時刻の目標速度Vrから上記計測された速度Vを減算し、その差分(Vr−V)を出力する減算器171と、減算器171の出力(Vr−V)にゲインKpを作用させて操作量U=Kp(Vr−V)を出力する比例制御器173としての機能を有した構成にされる。この機能は、ハードウェア又はマイクロコンピュータによるソフトウェアの実行により実現される。
一方、フラグF=1が入力されると、操作量演算ユニット170は、ジャムが発生したとみなして、CRモータ51及びキャリッジ41を停止させるための操作量Uを演算し、これをPWM信号生成回路190に入力する停止処理を実行する。
本実施例のCRモータ制御部31では、このような構成により、キャリッジ41の速度フィードバック制御が行われると共に、外乱オブザーバ130を用いたジャム判定及び、この判定結果に基づいたCRモータ51及びキャリッジ41の停止処理が行われる。
ここで、ローパスフィルタ135のカットオフ周波数ω1について言及する。本実施例の外乱オブザーバ130は、ジャム判定を目的とするものである。このため、設計段階では、ローパスフィルタ135のカットオフ周波数ω1として、制御誤差を抑える目的で設置される従来の外乱オブザーバのローパスフィルタよりも低めの周波数が設定される。
従来の外乱オブザーバに対しては、外乱による制御誤差を抑えるために、制御対象の機械的特性による差分信号(U−U*)の振動成分を減衰させないようなカットオフ周波数を設定していた。
これに対し、外乱オブザーバ130のローパスフィルタ135には、制御対象の機械的特性による振動成分が減衰するようなカットオフ周波数ω1を設定する。具体的には、この振動成分の周波数である振動周波数ωr未満のカットオフ周波数ω1を設定する。本実施例によれば、このような設定により、振動成分に起因したジャムの誤判定(ジャム判定の誤り)を抑える。
仮に、カットオフ周波数ω1として従来の周波数を設定することで、上記振動成分がローパスフィルタ135により十分減衰されない場合には、加速に伴って振動成分が大きく現れた際に、ジャムが発生していないのにも拘らず、反力推定値τが閾値Hを超えてしまう。そして、この事象により、ジャム判定ユニット160においてジャムの誤判定が生じ、操作量演算ユニット170においてCRモータ51及びキャリッジ41の停止処理が行われてしまう。
図6(A)示すグラフは、キャリッジ41を停止状態から一定速度Vcまで加速制御後、キャリッジ41を一定速度Vcに速度制御した場合に得られる反力推定値τ1であって、ローパスフィルタ135のカットオフ周波数ω1を、制御対象の機械的特性に応じた振動成分の周波数である振動周波数ωr未満としたときの反力推定値τ1を、横軸を時間、縦軸を反力推定値τ1として表したグラフである。一方、図6(B)は、図6(A)と同様の制御を行った場合に得られる反力推定値τ1であって、ローパスフィルタ135のカットオフ周波数ω1を、振動周波数ωrより大きい値に設定したときの反力推定値τ1を、横軸を時間、縦軸を反力推定値τ1として表したグラフを示す。
このように、ローパスフィルタ135のカットオフ周波数ω1を振動周波数ωrより大きい値に設定すると、反力推定値τ1に振動成分が大きく現れることから、ジャム判定ユニット160においてジャムの誤判定が生じやすい。このような誤判定については、閾値Hを大きくすることで抑えることができるが、このような方法で誤判定を抑えようとすると、ジャムが発生した際に、高感度に、これを検知することが難しくなる。
このため、本実施例によれば、ローパスフィルタ135のカットオフ周波数ω1として、振動周波数ωrより小さい値を設定することにより、ジャム判定ユニット160によるジャムの誤判定を抑えつつ、高感度にジャム発生を検知できるようにしている。
尚、振動周波数ωrについては、プリンタ装置1を試験動作させて、その際に得られる減算器133の出力信号を周波数解析し、この周波数スペクトルのピークを検出することにより得ることができる。カットオフ周波数ω1については、小さい値を設定する程、ジャムの誤判定が生じにくくなるが、カットオフ周波数ω1を小さく設定し過ぎると、用紙Qとキャリッジ41とが接触し始めてからジャム判定ユニット160によりジャムが発生したと判定されるまでの時間が長くなり、好ましくない。
そこで、プリンタ装置1の設計に際しては、用紙Qとキャリッジ41とが接触し始めてからジャム判定ユニット160によりジャムが発生したと判定されるまでの時間の許容値Tjamを定め、この許容値Tjamに基づいて、カットオフ周波数ω1を、2π/Tjamより大きい値に定めると良い。尚、ここでは「カットオフ周波数」ω1と表現しているが、ω1は、角周波数を表すものであることを念のため言及しておく。
図7(A)に示すように、カットオフ周波数ω1を、2π/Tjamより大きい値に設定すると、用紙Qとキャリッジ41とが接触し始めてから時間Tjam以内に、この接触の影響が明確に反力推定値τに現れ、適切な閾値Hの設定により、時間Tjamで、ジャムの発生有無を高精度に判定することができる。
一方、図7(B)に示すように、カットオフ周波数ω1を、2π/Tjamより小さい値に設定すれば、用紙Qとキャリッジ41とが接触し始めてから時間Tjam以内においては、接触による影響が反力推定値τに十分に表れず、反力推定値τの上昇がジャムの発生によるものであるか否かを高精度に判定することが難しい。即ち、カットオフ周波数ω1を、2π/Tjamより小さい値に設定した場合には、時間Tjam内では、接触による影響が反力推定値τに十分反映されないため、閾値Hの調整によっても、ジャム判定の高精度化に限度がある。
従って、カットオフ周波数ω1は、振動周波数ωr未満で2π/Tjamより大きい値に設定するのが好ましい。閾値Hについては、カットオフ周波数ω1を、2π/Tjamより大きい値に設定しつつ、ローパスフィルタ135に、このカットオフ周波数ω1を設定したときに、用紙Qとキャリッジ41とが接触し始めてから時間Tjamで、一定以上の確率で到達する反力推定値τの最小値付近を設定すればよい。
続いて、判定用反力推定ユニット140の詳細構成について図5を用いて説明する。判定用反力推定ユニット140は、キャリッジ41の位置X及び変位方向に応じて変化する外力Zに対応する成分を、反力推定値τ1から除去するための構成として、反力テーブルTBLと、外力推定ユニット141と、減算器142とを備える。
図8(A)に示すように、キャリッジ41に搭載される記録ヘッド21には、これを駆動するための信号線等のケーブルが接続されるが、この接続物CNについては、キャリッジ41及び記録ヘッド21の主走査方向への移動に伴って形状変化する。そして、この形状変化によって、接続物CNから記録ヘッド21及びキャリッジ41に作用する力である外力Zが変化する。
本実施例によれば、このような性質を示す外力Zに起因する成分を、反力テーブルTBLと外力推定ユニット141と減算器142と、を用いて反力推定値τ1から除去するのである。
反力テーブルTBLは、キャリッジ41の変位方向毎に、キャリッジ41の位置と、その位置で作用する外力Zとの対応関係を示す構成にされる。具体的に、反力テーブルTBLは、主走査方向に往復運動するキャリッジ41の変位方向の夫々(往路及び復路の夫々)について、エンコーダ信号処理ユニット110により計測される位置Xの単位毎に、反力推定値τ1から減算すべき外力Zを記憶した構成にすることができる。図8(B)には、キャリッジ41が変位し接続物CNが形状変化する場合の外力Zの変化例を、キャリッジ41の位置Xを横軸、外力Zを縦軸としたグラフにより示す。
この反力テーブルTBLに登録すべき外力Zは、例えば、駆動プーリ431とCRモータ51との連結を解いた状態で、キャリッジ搬送機構40を傾け、キャリッジ41を、往路及び復路方向に、自由落下させたときの加速度を計測することにより求めることができる。キャリッジ41の位置Xを横軸とし加速度を縦軸としたグラフに、往路及び復路の夫々において各位置で計測された加速度をプロットし、往路と復路とで加速度に差がある位置Xを、外力Zが働いている位置であると特定し、その加速度の差に対応する外力Zを反力テーブルTBLに登録するといった具合である。
往路においてのみ外力Zが作用し、復路においては外力Zが作用しないとみなすことのできる環境では、復路の加速度よりも往路の加速度のほうが小さい領域についての上記加速度の差を、その位置Xでの外力Zと取り扱って、往路における位置Xと外力Zとの対応関係を反力テーブルTBLに登録することができる。即ち、往路における各位置Xにおける外力Zのみを反力テーブルTBLに登録し、復路についての反力テーブルを登録しない手法を採用することができる。
外力推定ユニット141は、上記構成にされた反力テーブルTBLを参照して、この反力テーブルTBLに登録されている外力Zであって、エンコーダ信号処理ユニット110により計測されたキャリッジ41の位置X及びキャリッジ41の変位方向に対応した外力Zを特定し、この外力Zを減算器142に入力する。上記手法を採用した場合には、往路に関してのみ、反力テーブルTBLに従う外力Zを減算器142に入力し、復路に関しては、外力Z=0を減算器142に入力することができる。
減算器142は、この外力推定ユニット141から入力される外力Zを、反力推定値τ1から減算することによって、外力Zの成分を除去してなる反力推定値τ2(=τ1−Z)を出力する。
また、判定用反力推定ユニット140は、粘性摩擦力DVに対応する成分を、反力推定値τ1から除去するための構成として、乗算器143と、減算器144と、粘性係数演算ユニット145と、を備える。乗算器143は、エンコーダ信号処理ユニット110により計測されたキャリッジ41の速度VをD倍して、減算器144に入力する。これにより、乗算器143は、速度Vに粘性係数Dを作用させてなる粘性摩擦力DVを、減算器144に入力する。この粘性係数Dは、キャリッジ41とガイドレール450,470との間に設けられる潤滑剤としてのグリスの粘度Aに対応したものである。グリス粘度Aと粘性係数Dとの間には比例関係が成立する。従って、粘性係数Dは、粘度Aに係数Kを作用させた値KAとして得られる。
減算器144は、この乗算器143から入力される粘性摩擦力DVを、反力推定値τ2から減算することによって、粘性摩擦力成分を除去してなる反力推定値τ3(=τ2−DV)を出力する。一方、粘性係数演算ユニット145は、乗算器143で用いられる粘性係数Dを、温度センサ81により計測された温度Tに応じた値に更新するものである。
図9(A)に示すように、粘性係数Dと比例関係にあるグリス粘度Aは、温度Tが上昇するにつれて低下する。よって、粘性係数Dも温度Tが上昇するにつれて低下する。粘性係数演算ユニット145には、このような温度Tとグリス粘度Aとの対応関係を表すテーブル又は関数が登録されており、粘性係数演算ユニット145は、この対応関係に従って、温度センサ81が示すキャリッジ41周辺の雰囲気温度Tに対応するグリス粘度Aを特定し、このグリス粘度Aに上記係数Kを作用させて、現在の温度Tに対応する粘性係数Dを算出し、これを乗算器143に設定する。乗算器143はこのように設定された粘性係数Dを用いて、粘性摩擦力DVを出力する。
また、判定用反力推定ユニット140は、動摩擦力μNに対応する成分を、反力推定値τ1から除去するための構成として、動摩擦係数演算ユニット146と、抗力演算ユニット147と、動摩擦力演算ユニット148と、切替ユニット149と、減算器150と、を備える。
動摩擦係数演算ユニット146は、ガイドレール450,470からキャリッジ41に作用する動摩擦力に対応する動摩擦係数μを、温度センサ81により計測された温度Tに基づき更新するものである。動摩擦係数μは、粘性係数Dと同様、温度Tが上昇するにつれて、低下する性質を示す。動摩擦係数演算ユニット146には、このような温度Tと動摩擦係数μとの対応関係を表すテーブル又は関数が登録される。動摩擦係数演算ユニット146は、この対応関係に従って、温度センサ81が示すキャリッジ41周辺の雰囲気温度Tに対応する動摩擦係数μを特定し、これを動摩擦力演算ユニット148に入力する。
一方、抗力演算ユニット147は、インクタンクを内蔵する記録ヘッド21を搭載したキャリッジ41に働く垂直抗力Nを、残量センサ85により計測されたインク残量Rに基づき更新するものである。インク残量Rとインク重量との間には比例関係が成立する。このため、インク残量Rであるときのインク重量は、インク残量R=100%であるときのインク重量がβであるとすると、βRで表すことができる。但し、ここではインク残量Rが、0から1までの範囲の値0≦R≦1を採るものとする。一方、記録ヘッド21を搭載したキャリッジ41は、インクタンクが空であるときにも、一定の重量W0を有する。従って、インク残量Rであるときの垂直抗力Nは、図9(B)に示すように、N=W0+βRで表現することができる。
抗力演算ユニット147は、上記関係式に従って、インク残量Rに対応する垂直抗力Nを算出し、これを動摩擦力演算ユニット148に入力する。そして、動摩擦力演算ユニット148は、動摩擦係数演算ユニット146から入力される動摩擦係数μと抗力演算ユニット147から入力される垂直抗力Nとを乗算することにより、キャリッジ41に作用する動摩擦力μNを演算し、この動摩擦力μNを、切替ユニット149に入力する。
切替ユニット149は、エンコーダ信号処理ユニット110により計測された速度Vに基づき、この速度Vがゼロ(V=0)であるとき、又は、動摩擦力演算ユニット148から入力される動摩擦力μNに基づき、反力推定値τ3がμN以下(τ3≦μN)であるときには、反力推定値τがゼロとなるような値を減算器150に入力し、それ以外の場合(V>0且つτ3>μNである場合)に限って、動摩擦力演算ユニット148から入力された動摩擦力μNを減算器150に入力する。
キャリッジ41が静止している状態では、反力推定値τ1に動摩擦力成分は含まれない。また、動摩擦力は、キャリッジ41の搬送方向とは逆方向に働くものであるので、反力推定値τ3から動摩擦力成分を減算した値が負値となるのは不自然である。このような理由により、切替ユニット149は、上述した一定の条件を満足したときに限って、動摩擦力演算ユニット148から入力された動摩擦力μNを減算器150に入力する。
また、減算器150は、切替ユニット149からの入力を、反力推定値τ3から減算することによって、動摩擦力成分を除去してなる反力推定値τ(τ=0又はτ=τ3−μN>0)を出力する。
そして、ジャム判定ユニット160は、このようにして判定用反力推定ユニット140から入力される反力推定値τと閾値Hとを比較して、上述したようにジャム判定を行う。
以上にジャム判定の技術について説明したが、操作量演算ユニット170は、このジャム判定ユニット160から入力されるフラグFに基づき、図10に示すように、操作量Uの出力を切り替える。
即ち、操作量演算ユニット170は、CPU11からの指令に基づき、CRモータ51の制御、換言すれば、キャリッジ41の搬送制御を開始すると、ジャム判定ユニット160から入力されるフラグFが値ゼロから値1に切り替わるまでは、速度プロファイルに基づくキャリッジ41の速度制御を行う(S110〜S150)。
具体的には、速度プロファイルに基づく現時刻での目標速度Vrと、エンコーダ信号処理ユニット110により計測された速度Vと、に基づいて、キャリッジ41が目標速度Vrに追従するような操作量Uを演算する(S110)。
また、ジャム判定ユニット160から入力されるフラグFが値ゼロである場合には(S130でNo)、S110で算出した操作量UをPWM信号生成回路190に入力し、この操作量Uに対応する駆動電流でCRモータ51が駆動されて、キャリッジ41が搬送されるようにする(S140)。
その後、キャリッジ41の搬送制御の終了条件が満足されたか否かを判断し(S150)、終了条件が満足されていないと判断した場合には(S150でNo)、S110に移行する。このようにして、操作量演算ユニット170は、終了条件が満足されたと判断するか(S150でYes)、ジャム判定ユニット160から入力されるフラグFが値ゼロから値1に切り替わるまで(S130でYes)、S110〜S150の処理を繰り返し実行する。そして、終了条件が満足されると(S150)、キャリッジ41の搬送制御を終了する。
S150では、例えば、速度プロファイルに基づく制御終了時刻に達すると、終了条件が満足されたとして、キャリッジ41の搬送制御を終了することができる。この他、一定時間キャリッジ41が停止したことを条件に、キャリッジ41の搬送制御を終了することも可能である。
一方、操作量演算ユニット170は、ジャム判定ユニット160から入力されるフラグFが値ゼロから値1に切り替わると、ジャムが発生したことを検知して(S130でYes)、CRモータ51及びキャリッジ41の停止処理を実行しつつ(S160)、CPU11に対し、ジャムが発生した旨のエラー通知を行う(S170)。CPU11は、このエラー通知を受けて、ユーザインタフェース17のディスプレイを通じたメッセージ表示やブザー音の出力によるエラー通知をユーザに向けて行うことができる。
この他、上記停止処理は、S110で演算された操作量Uを用いずに、操作量U=ゼロをPWM信号生成回路190に入力する処理にて実現することができる。別例として、停止処理では、CRモータ51が減速及び停止するように、操作量Uを搬送方向に対してマイナス出力してもよい。
操作量演算ユニット170は、このような停止処理(S160)及びエラー通知(S170)をキャリッジ41が停止するまで継続的に実行し、キャリッジ41が停止したと判断すると(S180でYes)、キャリッジ41の搬送制御を終了する。
以上、本実施例のプリンタ装置1について説明したが、本実施例によれば、逆モデルの出力U*と操作量Uとの差分(U−U*)に基づくジャム判定を行うが、この差分信号を、制御対象の機械的特性による振動成分を減衰させることが可能な周波数ωr未満のカットオフ周波数ω1を有するローパスフィルタ135に入力して、そのフィルタ通過後の信号(濾波信号)に基づくジャム判定を行う。
従って、本実施例によれば、制御対象の機械的特性によって生じる振動成分が原因で、ジャムの誤判定が生じるのを抑え、ジャム判定を高精度且つ高感度に行うことができる。
また、本実施例によれば、操作量Uと逆モデルの出力U*との差分(U−U*)をローパスフィルタ135で濾波して得られる反力推定値τ1(外乱成分)から、更にジャム判定に不要な成分を除去し、当該除去後の反力推定値τに基づき、ジャム判定を行うようにした。従って、一層高精度にジャム判定を行うことができる。
特に、本実施例によれば、温度Tに起因する動摩擦係数μの変化及びインク残量Rに起因する記録ヘッド21の重量の変化(キャリッジ41に作用する抗力Nの変化)を加味して、反力推定値τ1から制御対象に作用する動摩擦力μNの成分を除去するようにした。
更に、温度Tに起因する粘性係数Dの変化を加味して、計測されたキャリッジ41の速度Vに基づき、反力推定値τ1から制御対象に作用する粘性摩擦力DVの成分を除去するようにした。
この他、本実施例によれば、記録ヘッド21に接続されるケーブルの形状変化により記録ヘッド21及びキャリッジ41に作用する外力の変化を加味して、反力推定値τ1から制御対象に作用する外力であって位置及び変位方向に依存する外力Zの成分を除去するようにした。従って、本実施例によれば、このような摩擦力DV,μNや外力Zの変動による影響を抑えて、高精度にジャム判定を行うことができる。
また、本実施例によれば、迅速且つ高精度にジャムを検知することができ、ジャムを検知すると、キャリッジ41を停止させるので、ユーザがジャムを解消するための用紙Qの除去作業に手間を要したり、ジャムの進行により記録ヘッド21のノズル面が傷ついてしまったりするのを抑制することができる。
以上に、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、インクタンクが記録ヘッド21に搭載されたプリンタ装置1について説明したが、本発明は、インクタンクが記録ヘッド21とは離れて独立して設けられ、チューブを介して記録ヘッド21にインクを供給するプリンタ装置にも適用することができる。即ち、本発明は、インクタンクが、キャリッジ41に搬送されることなく、固定配置され、記録ヘッド21が、自己に接続されたチューブを介して、インクタンクからインク供給を受けるプリンタ装置にも適用することができる。
このようにチューブが記録ヘッド21に接続されたプリンタ装置によれば、図9(A)においてケーブルを例に挙げて説明したように、キャリッジ41及び記録ヘッド21の移動に伴って、接続物CNとしてのチューブが形状変化し、これに伴って、チューブから記録ユニットに作用する外力Zが変化する。そして、反力推定値τ1には、この外力Zに起因する成分として、キャリッジ41の位置及び変位方向に応じた成分が含まれる結果となる。
従って、このプリンタ装置においても、上記実施例と同様に、反力テーブルTBLを用いて、外力Zを推定し、反力推定値τ1から外力Zの成分を除去するように、判定用反力推定ユニット140を構成すれば、高精度にジャム判定を行うことができる。但し、このプリンタ装置では、インクタンクが記録ヘッド21及びキャリッジ41に搭載されていない関係上、インク残量Rの変化による抗力Nの変化は生じない。従って、反力推定値τ1から動摩擦力μNに起因する成分を除去する際には、抗力Nが一定であるものとみなして、この成分を除去することができる。
尚、インク供給用のチューブについては、その材質や形状のために、変形の態様によって記録ヘッド21に作用する力が大きく変化するものが多い。従って、上述のように判定用反力推定ユニット140を構成すれば、一層高精度にジャムの発生を検知することができる。
また、本発明は、その適用をインクジェットプリンタに限定されるものではなく、モータにより物体の運動を制御する制御装置であって、物体が異物に接触する可能性のある種々の制御装置に適用することができる。この他、本発明は、フィードバック制御系だけでなく、フィードフォワード制御系等にも適用可能であるし、速度制御系だけでなく、位置制御系等にも適用することができる。また、外力Zに対応する成分、粘性摩擦力DVに対応する成分及び動摩擦力μNに対応する成分の除去は、上記実施例のようにローパスフィルタ135の下流において実行してもよいが、これらの除去は、ローパスフィルタ135の上流において実行することも可能である。また、外力Zに対応する成分、粘性摩擦力DVに対応する成分及び動摩擦力μNに対応する成分すべてを除去しなくてもよく、いずれか一つの成分を除去するように、プリンタ装置1は構成され得る。
[対応関係]
用語間の対応関係は、次の通りである。操作量演算ユニット170は、演算手段の一例に対応し、エンコーダ55及びエンコーダ信号処理ユニット110は、計測手段の一例に対応する。また、入力ユニット131は、逆モデル入力手段の一例に対応し、減算器133及びローパスフィルタ135は、推定手段の一例に対応する。そして、判定用反力推定ユニット140は、除去手段の一例に対応する。
この他、ジャム判定ユニット160は、判定手段の一例に対応し、温度センサ81は、温度計測手段の一例に対応し、残量センサ85は、残存量推定手段の一例に対応する。また、CRモータ51とキャリッジ搬送機構40との組合せは、記録ユニット搬送機構の一例に対応する。
1…プリンタ装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、15…EEPROM、17…ユーザインタフェース、19…接続インタフェース、20…印字制御部、21…記録ヘッド、30…モータ制御部、31…CRモータ制御部、35…LFモータ制御部、40…キャリッジ搬送機構、41…キャリッジ、43…ベルト機構、51…CRモータ、23,53,73…駆動回路、55,75…エンコーダ、60…用紙搬送機構、61…ローラ、71…LFモータ、81…温度センサ、85…残量センサ、110…エンコーダ信号処理ユニット、130…外乱オブザーバ、131…入力ユニット、133,142,144,150,171…減算器、135…ローパスフィルタ、140…判定用反力推定ユニット、141…外力推定ユニット、143…乗算器、145…粘性係数演算ユニット、146…動摩擦係数演算ユニット、147…抗力演算ユニット、148…動摩擦力演算ユニット、149…切替ユニット、160…ジャム判定ユニット、170…操作量演算ユニット、173…比例制御器、190…PWM信号生成回路、410…溝、431…駆動プーリ、433…従動プーリ、435…ベルト、450,470…ガイドレール、551…エンコーダスケール、553…光学センサ、TBL…反力テーブル、CN…接続物

Claims (13)

  1. モータと前記モータにより駆動される被駆動物であって付属物の消費により重量が変化する被駆動物を備える駆動系を制御対象として、前記被駆動物の運動を制御する制御装置であって、
    前記制御対象に入力する操作量を演算する演算手段と、
    前記制御対象の制御量を計測する計測手段と、
    前記計測手段による前記制御量の計測信号を、前記制御対象の入出力特性を表すモデルの逆モデルに入力する逆モデル入力手段と、
    前記操作量を参照して前記逆モデルの出力に含まれる外乱成分を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された前記外乱成分から、前記被駆動物の異物との接触以外の外乱に起因する成分として、前記制御対象において生じる摩擦力に起因する成分を除去する除去手段と、
    前記除去手段による除去後の前記外乱成分に基づき、前記被駆動物が異物と接触したか否かを判定する判定手段と、
    前記付属物の残存量を推定する残存量推定手段と、
    を備え
    前記除去手段は、前記摩擦力として、前記被駆動物の運動に伴って生じる動摩擦力に起因する成分を除去する構成にされ、前記推定手段により推定された前記残存量に基づき、前記被駆動物の重量に応じた前記動摩擦力を推定すること
    を特徴とする制御装置。
  2. 前記除去手段は、前記摩擦力として、前記制御対象において用いられる潤滑剤による粘性摩擦力、に起因する成分を更に除去すること
    を特徴とする請求項1記載の制御装置。
  3. 前記制御対象の雰囲気温度を計測する温度計測手段
    を備え、
    前記除去手段は、前記温度計測手段により計測された前記雰囲気温度に基づき、この雰囲気温度で前記制御対象において生じる前記摩擦力を推定し、前記摩擦力に起因する成分を前記外乱成分から除去すること
    を特徴とする請求項又は請求項記載の制御装置。
  4. 前記除去手段は、前記被駆動物の速度に応じた前記粘性摩擦力を推定し、前記粘性摩擦力に起因する成分を前記外乱成分から除去すること
    を特徴とする請求項記載の制御装置。
  5. 前記制御対象の雰囲気温度を計測する温度計測手段
    を備え、
    前記除去手段は、前記温度計測手段により計測された前記雰囲気温度に基づき、当該雰囲気温度での前記動摩擦力及び当該雰囲気温度での前記被駆動物の速度に応じた前記粘性摩擦力を推定し、前記摩擦力及び前記粘性摩擦力に起因する成分を除去すること
    を特徴とする請求項記載の制御装置。
  6. モータと前記モータにより駆動される被駆動物とを備える駆動系を制御対象として、前記被駆動物の運動を制御する制御装置であって、
    前記制御対象に入力する操作量を演算する演算手段と、
    前記制御対象の制御量を計測する計測手段と、
    前記計測手段による前記制御量の計測信号を、前記制御対象の入出力特性を表すモデルの逆モデルに入力する逆モデル入力手段と、
    前記操作量を参照して前記逆モデルの出力に含まれる外乱成分を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された前記外乱成分から、前記被駆動物の異物との接触以外の外乱に起因する成分を除去する除去手段と、
    前記除去手段による除去後の前記外乱成分に基づき、前記被駆動物が異物と接触したか否かを判定する判定手段と、
    を備え、
    前記除去手段は、前記被駆動物の異物との接触以外の外乱として、前記被駆動物との接続物から前記被駆動物に作用する外力であって、前記被駆動物の位置及び運動方向に応じて変化する外力に起因する成分を除去すること
    を特徴とする制御装置。
  7. 前記被駆動物の運動方向に対する、前記被駆動物の位置変化と前記被駆動物に作用する前記外力の変化との対応関係を記憶する記憶手段
    を備え、
    前記除去手段は、前記記憶手段を参照して前記被駆動物の現在位置及び運動方向に応じた前記外力を推定し、前記外力に起因する成分を除去すること
    を特徴とする請求項記載の制御装置。
  8. 前記除去手段は、前記被駆動物の異物との接触以外の外乱に起因する成分として、前記制御対象において生じる摩擦力に起因する成分を更に除去すること
    を特徴とする請求項6又は請求項7記載の制御装置。
  9. 前記制御対象は、前記被駆動物として、前記モータにより駆動されて変位し、対向するシートに画像を形成する記録ユニットを備えるものであり、
    前記判定手段は、前記被駆動物としての前記記録ユニットが前記異物としての前記シートに接触したか否かを判定する手段であること
    を特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項記載の制御装置。
  10. 前記推定手段は、前記逆モデルの出力と前記操作量との差分を、前記外乱成分として推定すること
    を特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項記載の制御装置。
  11. 搬送されるシートに画像を形成する画像形成システムであって、
    インク液滴を吐出して前記シートに画像を形成する記録ユニットであってインク消費により重量が変化する記録ユニット前記記録ユニットを駆動するモータとを備え、前記記録ユニットが前記モータによって駆動されて前記シートに対して変位する記録ユニット搬送機構と、
    前記記録ユニット搬送機構を制御対象として前記記録ユニットの運動を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記モータの操作量を演算する制御入力演算手段と、
    前記記録ユニットの運動状態を表す物理量を計測する計測手段と、
    前記計測手段による前記物理量の計測信号を、前記制御対象の入出力特性を表すモデルの逆モデルに入力する逆モデル入力手段と、
    前記操作量を参照して前記逆モデルの出力に含まれる外乱成分を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された前記外乱成分から、前記記録ユニットの前記シートとの接触以外の外乱に起因する成分として、前記記録ユニットの運動に伴って生じる動摩擦力に起因する成分を除去する除去手段と、
    前記除去手段による除去後の前記外乱成分に基づき、前記記録ユニットが前記シートと接触したか否かを判定する判定手段と、
    前記記録ユニットにおけるインクの残存量を推定する残存量推定手段と、
    を備え
    前記除去手段は、前記残存量推定手段により推定された前記残存量に基づき、前記記録ユニットの重量に応じた前記動摩擦力を推定し、前記動摩擦力に起因する成分を除去すること
    を特徴とする画像形成システム。
  12. 搬送されるシートに画像を形成する画像形成システムであって、
    前記シートに画像を形成する記録ユニットと前記記録ユニットを駆動するモータとを備え、前記記録ユニットが前記モータによって駆動されて前記シートに対して変位する記録ユニット搬送機構と、
    前記記録ユニット搬送機構を制御対象として前記記録ユニットの運動を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記モータの操作量を演算する制御入力演算手段と、
    前記記録ユニットの運動状態を表す物理量を計測する計測手段と、
    前記計測手段による前記物理量の計測信号を、前記制御対象の入出力特性を表すモデルの逆モデルに入力する逆モデル入力手段と、
    前記操作量を参照して前記逆モデルの出力に含まれる外乱成分を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された前記外乱成分から、前記記録ユニットの前記シートとの接触以外の外乱に起因する成分を除去する除去手段と、
    前記除去手段による除去後の前記外乱成分に基づき、前記記録ユニットが前記シートと接触したか否かを判定する判定手段と、
    を備え、
    前記記録ユニットは、インク液滴を吐出して前記シートに画像を形成する記録ユニットであって、独立したインクタンクからのインク供給を、当該記録ユニットと前記インクタンクとを接続するチューブを介して受けるものであり、
    前記除去手段は、前記記録ユニットの前記シートとの接触以外の外乱として、前記チューブから前記記録ユニットに作用する外力であって、前記記録ユニットの位置及び変位方向に応じて変化する外力に起因する成分を除去すること
    を特徴とする画像形成システム。
  13. 前記記録ユニット搬送機構は、前記記録ユニットが案内部材により案内されて特定方向に変位する機構であり、
    前記除去手段は、前記記録ユニットの前記シートとの接触以外の外乱として、前記記録ユニットが前記案内部材により案内されて変位する際に前記記録ユニットに作用する摩擦力に起因する成分を更に除去すること
    を特徴とする請求項12記載の画像形成システム。
JP2012191974A 2012-08-31 2012-08-31 制御装置及び画像形成システム Active JP5962344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012191974A JP5962344B2 (ja) 2012-08-31 2012-08-31 制御装置及び画像形成システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012191974A JP5962344B2 (ja) 2012-08-31 2012-08-31 制御装置及び画像形成システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014048930A JP2014048930A (ja) 2014-03-17
JP5962344B2 true JP5962344B2 (ja) 2016-08-03

Family

ID=50608526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012191974A Active JP5962344B2 (ja) 2012-08-31 2012-08-31 制御装置及び画像形成システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5962344B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6936617B2 (ja) * 2017-04-28 2021-09-15 キヤノン株式会社 記録装置
JP7222205B2 (ja) * 2018-09-05 2023-02-15 富士電機株式会社 機械診断装置及び機械診断プログラム

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2749724B2 (ja) * 1991-01-16 1998-05-13 ファナック株式会社 推定外乱による衝突検出方法
JP2871993B2 (ja) * 1993-03-31 1999-03-17 日本電気株式会社 サーボモータの位置制御装置
JPH0866893A (ja) * 1994-08-24 1996-03-12 Fanuc Ltd 衝突検出方法
JPH1115511A (ja) * 1997-06-20 1999-01-22 Fanuc Ltd ロボットの衝突検知方式
JPH1131014A (ja) * 1997-07-14 1999-02-02 Sumitomo Heavy Ind Ltd 位置制御方式及び速度制御方式
JP2001051721A (ja) * 1999-08-17 2001-02-23 Yaskawa Electric Corp 衝突検出装置
JP4453526B2 (ja) * 2004-11-19 2010-04-21 株式会社安川電機 サーボ制御装置
JP2007283561A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Canon Inc 記録装置及びキャリッジ駆動制御方法
JP4816754B2 (ja) * 2009-03-31 2011-11-16 ブラザー工業株式会社 モータ制御装置及び画像形成システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014048930A (ja) 2014-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4683097B2 (ja) 電子機器
JP5928255B2 (ja) 制御装置及び画像形成システム
CN102285223B (zh) 电子设备
JP6019945B2 (ja) 制御装置及び画像形成システム
JP5962344B2 (ja) 制御装置及び画像形成システム
US10427437B2 (en) Ink-jet printer
JP5381056B2 (ja) 異常検出方法、物理量制御方法、異常検出システム、物理量制御システムおよびインクジェット記録装置
JP4687809B2 (ja) モータ制御装置
JP5195687B2 (ja) モータ制御装置及び画像形成装置
JP2018030296A (ja) 記録装置
US9527324B2 (en) Control device, control method, and storage medium
JP2018161882A (ja) 記録装置
JP6177016B2 (ja) 駆動装置および記録装置
US7896565B2 (en) Printing apparatus, method for coping with stick-slip, program product, and printing system
JP2007196556A (ja) キャリッジ駆動装置及び記録装置
JP6213108B2 (ja) シート搬送装置及び画像形成システム
JP2022154876A (ja) 制御システム
JP6107324B2 (ja) 画像形成システム
JP2007245476A (ja) 印刷装置、スティックスリップ対応方法、プログラム、及び印刷システム
JP7334400B2 (ja) 記録装置
JP2006248104A (ja) モータの制御方法、モータの制御装置、及びインクジェットプリンタ
JP2022164432A (ja) 記録装置及び制御方法
JP4635771B2 (ja) 印刷装置、スティックスリップ対応方法、プログラム、および印刷システム
JP2018187803A (ja) 記録装置
JP2007276138A (ja) 駆動モータの制御装置、被駆動部材の駆動装置、インクジェットプリンタおよび被駆動部材の駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150312

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160506

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160613

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5962344

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150