JP2022154876A - 制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】移動体とのシートとの接触事象を適切に検知可能な技術を提供する。【解決手段】移動体22,41が、モータ51により駆動されて、第一方向に往復動し、第一方向とは交差する第二方向に搬送されるシートを加工するように構成される。コントローラ31が、速度プロファイルに従う移動体の目標速度と計測器により計測される速度との偏差に基づきモータに対する操作量を算出し、操作量に従う電力をモータに供給することにより、移動体が目標速度に従って往復動するように、モータを制御することと、操作量又は偏差が予め設定された閾値を超えたことを条件に、移動体がシートに接触する事象の発生を検知することと、を実行するように構成される。【選択図】図4

Description

本開示は、制御システムに関する。
従来、インクジェットヘッドを主走査方向に往復動させてシートに画像を形成するインクジェットプリンタにおいて、画像領域の間に挟まれた非画像領域では、インクジェットヘッドを搭載するキャリッジの移動速度を高くすることにより、印字処理の高速化を図る技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2005-22115号公報
インクジェットプリンタのように、処理ヘッドを搭載したキャリッジを往復動させながら、キャリッジの移動経路を横断するシートを加工するシステムにおいては、シートの湾曲等が原因で、キャリッジ又は処理ヘッドがシートと接触する接触事象であるジャムが発生する場合がある。
このジャムの検知手法としては、キャリッジの目標速度と、計測器により計測されるキャリッジの実速度との偏差を用いることが考えられる。ジャムが発生する場合には、キャリッジの移動が接触するシートに阻害されるために、キャリッジの速度低下が生じる。従って、偏差を監視することで、ジャムを検知することができる。
しかしながら、偏差に基づく従来の検知手法では、キャリッジが加減速移動している場合に、その検知精度が劣化する。加減速区間では、ジャムが発生していなくとも、目標速度に対する実速度の追従遅れに起因して、偏差が大きくなり易いためである。
そこで、本開示の一側面によれば、移動体を往復動させてシートを加工するシステムにおいて、移動体とのシートとの接触事象を適切に検知可能な技術を提供できることが望ましい。
本開示の一側面によれば、制御システムが提供される。制御システムは、モータと、移動体と、計測器と、コントローラと、を備える。移動体は、モータにより駆動されて、第一方向に往復動するように構成される。
移動体は、移動体の移動経路を横断するように第一方向とは交差する第二方向に搬送されるシートを加工するように構成される。計測器は、移動体の速度を計測するように構成される。コントローラは、速度プロファイルに基づき、モータを制御するように構成される。
本開示の一側面によれば、コントローラは、速度プロファイルに従う移動体の目標速度と計測器により計測される速度との偏差に基づきモータに対する操作量を算出し、操作量に従う電力をモータに供給することにより、移動体が目標速度に従って往復動するように、モータを制御することと、操作量が予め設定された閾値を超えたことを条件に、移動体がシートに接触する事象の発生を検知することと、を実行するように構成され得る。
移動体の加減速時には、目標速度に対する実速度の追従遅れに起因して上記偏差が大きくなりがちである。従って、偏差と閾値との比較に基づいて移動体がシートに接触する事象の発生を検知する場合には、移動体の加減速時に上記事象の検知精度が低下する。誤検知抑制のために閾値を大きくすると、定速時における上記事象の検知感度が低下する。
これに対し、操作量に基づいて、移動体がシートに接触する事象の発生を検知することによれば、特に移動体が加減速している際に、偏差と閾値との比較に基づいて上記事象の発生を検知する場合と比較して上記追従遅れによる影響を抑えて、高精度又は高感度に上記事象の発生を検知することができる。従って、本開示の一側面によれば、移動体とのシートとの接触事象を適切に検知可能なシステムを提供することができる。
本開示の別側面によれば、コントローラは、速度プロファイルに従う移動体の目標速度と計測器により計測される速度との偏差に基づきモータに対する操作量を算出し、操作量に従う電力をモータに供給することにより、移動体が目標速度に従って往復動するように、モータを制御することと、偏差が予め設定された閾値を超えたことを条件に、移動体がシートに接触する事象の発生を検知することと、を実行するように構成されてもよい。
本開示の別側面によれば、速度プロファイルが、目標速度の高さ及び変化の少なくとも一方が異なる複数の区間における目標速度を定義している場合、閾値は、複数の区間のそれぞれに対して個別に設定されてもよい。コントローラは、複数の区間のそれぞれでは、対応する区間に対して設定された閾値を偏差が超えたことを条件に、事象の発生を検知してもよい。
区間に応じた閾値と偏差との比較に基づいて、移動体がシートに接触する事象の発生を検知することによれば、移動体の加減速時に上記偏差が大きくなることに起因した検知精度及び感度に関する影響を抑えることができ、移動体とのシートとの接触事象を適切に検知可能である。
画像形成システム1の構成を表すブロック図である。 キャリッジ搬送機構及び用紙搬送機構に関する説明図である。 プロセッサが実行する印刷処理を表すフローチャートである。 CRモータ制御部の構成を表すブロック図である。 速度制御器の構成を表すブロック図である。 プロセッサが実行するプロファイル設定処理を表すフローチャートである。 速度プロファイルを示す時間対速度のグラフ(上段)及び閾値変化を示す時間対閾値のグラフ(下段)を示す図である。 プロセッサが実行するジャム検知処理を表すフローチャートである。 プロセッサが実行するジャム関連処理を表すフローチャートである。 第一変形例のジャム検知処理を表すフローチャートである。 第二変形例のジャム検知処理を表すフローチャートである。 第三変形例のジャム検知処理を表すフローチャートである。 エンコーダスケールに付着する汚れに関する説明図である。 第四変形例のジャム検知処理を表すフローチャートである。
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の画像形成システム1は、加工対象のシートである用紙Pに、インク液滴の吐出により画像を形成するインクジェットプリンタである。画像形成システム1は、プロセッサ11と、ROM12と、RAM13と、EEPROM15と、ユーザインタフェース17と、通信インタフェース19と、ASIC20とを備える。ASIC20は、記録制御部21と、CR(キャリッジ)モータ制御部31と、LF(ラインフィード)モータ制御部35とを備える。
画像形成システム1は、用紙Pに画像を形成するための構成として、記録ヘッド22と、駆動回路23とを更に備える。画像形成システム1は、記録ヘッド22を主走査方向に移動させるための構成として、キャリッジ搬送機構40と、CRモータ51と、駆動回路53と、エンコーダ55とを更に備える。キャリッジ搬送機構40は、記録ヘッド22を搭載するキャリッジ41を含む。
画像形成システム1は、用紙Pを主走査方向とは直交する副走査方向に搬送するための構成として、用紙搬送機構60と、LFモータ71と、駆動回路73と、エンコーダ75とを更に備える。
プロセッサ11は、ROM12に記録されたコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、画像形成システム1を統括制御し、各種機能を実現する。ROM12は、各種コンピュータプログラムを記憶する。RAM13は、プロセッサ11による処理実行時に、作業用メモリとして使用される。EEPROM15は、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであり、各種設定情報を記憶する。
ユーザインタフェース17は、ユーザにより操作可能な操作部及びユーザに向けて各種情報を表示可能な表示部を備える。通信インタフェース19は、パーソナルコンピュータ等の外部装置と通信可能に構成される。
プロセッサ11は、外部装置から印刷指令を受信する度、詳細を後述する印刷処理(図3参照)を実行する。プロセッサ11は、印刷処理において、記録制御部21に、記録ヘッド22からのインク液滴の吐出制御を実行させ、CRモータ制御部31に、CRモータ51の制御によるキャリッジ41の移動制御を実行させ、LFモータ制御部35に、LFモータ71の制御による用紙Pの搬送制御を実行させる。これによって、用紙Pには、プロセッサ11が外部装置から受信した印刷対象データに基づく画像が形成される。
記録ヘッド22(図1参照)は、用紙Pを印刷加工するための処理ヘッドであり、具体的には、インク液滴を吐出するためのノズルが複数配列されたインクジェットヘッドである。記録ヘッド22は、駆動回路23により駆動され、キャリッジ41の移動経路で、対向する用紙Pに、インク液滴を吐出することにより、用紙Pを印刷加工する。
記録制御部21は、プロセッサ11からの指令に基づき、印刷対象データに基づく画像が用紙Pに形成されるように、駆動回路23に制御信号を入力し、記録ヘッド22によるインク液滴の吐出動作を制御する。
キャリッジ搬送機構40は、図2に示すように、記録ヘッド22を搭載するキャリッジ41と共に、ガイドレール42と、ベルト機構43とを備える。キャリッジ搬送機構40は、CRモータ51に駆動されて、キャリッジ41を主走査方向に往復動させるように構成される。
ガイドレール42は、キャリッジ41の移動を主走査方向に制限するように構成される。ベルト機構43は、駆動プーリ431及び従動プーリ433と、駆動プーリ431と従動プーリ433との間に巻回されたベルト435と、を備える。キャリッジ41は、ベルト435に固定される。
ベルト機構43では、駆動プーリ431がCRモータ51からの動力を受けて回転し、ベルト435及び従動プーリ433が、駆動プーリ431の回転に伴って従動回転する。この回転により、キャリッジ41は、ガイドレール42に沿って主走査方向に移動する。
CRモータ51は、例えば直流モータであり、駆動回路53によって駆動される。駆動回路53は、CRモータ制御部31から入力される制御信号に従う電力をCRモータ51に供給し、具体的には制御信号に従う電圧をCRモータ51に印加し、CRモータ51を駆動する。
CRモータ制御部31は、プロセッサ11からの指令に従って動作し、プロセッサ11から指定された速度プロファイルに従う速度でキャリッジ41が主走査方向に移動するようにCRモータ51を制御する。この際、CRモータ制御部31は、エンコーダ55から入力されるエンコーダ信号に基づき、キャリッジ41の速度をフィードバック制御する。
エンコーダ55は、リニアエンコーダとして構成される。エンコーダ55は、ガイドレール42に沿って設けられるエンコーダスケール55Aと、キャリッジ41に搭載される光学センサ55Bとを備える。
エンコーダ55は、キャリッジ41の主走査方向の変位に応じたパルス信号をエンコーダ信号として出力する。CRモータ制御部31は、このエンコーダ信号に基づき、主走査方向におけるキャリッジ41の位置及び速度を計測し、CRモータ51の制御を通じて、キャリッジ41の主走査方向の移動を制御する。
用紙搬送機構60は、図2に示すように、LFモータ71に駆動されて副走査方向に回転する、主走査方向に平行な軸を有するローラ61を備える。用紙搬送機構60は、トレイから一枚ずつ供給される用紙Pを、ローラ61の回転により副走査方向に搬送し、用紙Pを記録ヘッド22によるインク液滴の吐出位置に供給する。用紙搬送機構60により、用紙Pは、キャリッジ41の主走査方向の移動経路を横断するように副走査方向に段階的に搬送される。
LFモータ71は、例えば直流モータであり、駆動回路73によって駆動される。駆動回路73は、LFモータ制御部35から入力される制御信号に従って、LFモータ71を駆動する。
LFモータ制御部35は、プロセッサ11からの指令に従って、駆動回路73に対する制御信号を生成し、LFモータ71を制御する。LFモータ制御部35は、LFモータ71、ローラ61又はこれらの間の伝達系、に設けられたロータリエンコーダとしてのエンコーダ75からの出力信号に基づいたフィードバック制御により、用紙Pの搬送制御を行う。
続いて、プロセッサ11が印刷指令を受信する度に実行する印刷処理の詳細を、図3を用いて説明する。プロセッサ11は、印刷処理を開始すると、ページ毎に、ページ印刷処理(S110-S170)を実行する。
プロセッサ11は、S110において給紙処理を実行する。給紙処理において、プロセッサ11は、用紙Pが給紙トレイ(図示せず)から一枚分離されて、記録ヘッド22によるインク液滴の吐出位置まで副走査方向に搬送されるように、LFモータ制御部35に、LFモータ71を制御させる。プロセッサ11は更に、CRモータ制御部31によるCRモータ51の制御を通じて、ホームポジションに位置するキャリッジ41を、初期位置に配置する(S120)。
その後、プロセッサ11は、キャリッジ41の移動開始地点から目標停止地点までの目標速度Vrを定義する速度プロファイルをCRモータ制御部31に設定する(S130)。更に、プロセッサ11は、主走査方向印刷を実行する(S140)。
S140において、プロセッサ11は、S130で設定された速度プロファイルに従うCRモータ51の制御を実行するようにCRモータ制御部31に指令する。プロセッサ11は更に、用紙Pに形成されるべき1パス分の画像を表す画像データを、記録制御部21に入力し、この画像データに基づいて、記録ヘッド22によるインク液滴の吐出動作を制御するように記録制御部21に指令する。
用紙Pに形成されるべき1パス分の画像は、キャリッジ41が折返し地点から折返し地点まで主走査方向に移動する過程でのインク液滴の吐出動作により用紙Pに形成されるべき画像のことである。
この指令によりCRモータ制御部31は、キャリッジ41が移動開始地点から目標停止地点に対応する次の折返し地点まで上記設定された速度プロファイルに従う速度軌跡で移動するように、CRモータ51を制御する。
具体的には、CRモータ制御部31は、速度プロファイルに基づいて、キャリッジ41の速度をフィードバック制御する。CRモータ制御部31は、速度プロファイルに従う目標速度Vrと、エンコーダ信号に基づき計測されたキャリッジ41の速度Vとの偏差E=Vr-Vを算出する。
CRモータ制御部31は、偏差Eに基づき、更には目標速度Vrの時間微分に基づき、CRモータ51に対する操作量Uを算出し、対応する制御信号を駆動回路53に入力する。操作量Uは、CRモータ51に印加すべき駆動電力、具体的には、CRモータ51に印加すべき駆動電圧を表す値である。
記録制御部21は、上記画像データに対応する画像を形成するためのインク液滴の吐出動作が、キャリッジ41の移動に合わせて、記録ヘッド22により実行されるように、記録ヘッド22を制御する。S140における主走査方向印刷の実行により、用紙Pには、上記画像データに基づく1パス分の画像が形成される。
S140における主走査方向印刷が終了すると、プロセッサ11は、用紙Pの1ページ分の印刷処理が完了したかを判断する(S150)。完了していないと判断すると(S150でNo)、プロセッサ11は、用紙Pを1パス分の画像の副走査方向の幅に対応した所定距離だけ副走査方向に搬送するように、LFモータ制御部35にLFモータ71を制御させる(S160)。
S160の処理実行後、プロセッサ11は、次の主走査方向印刷で用いる速度プロファイルを設定する(S130)。速度プロファイルの設定後、プロセッサ11は、主走査方向印刷を実行することにより(S140)、直前のS160の処理によって所定距離副走査方向に送り出された用紙Pに1パス分の画像を形成する。
プロセッサ11は、用紙Pの1ページ分の印刷処理が完了したと判断するまで、S130-S160の処理を繰返し実行する。このようにして、用紙Pには、キャリッジ41の往復動、インク液滴の吐出、及び、用紙Pの搬送を伴いながら、1ページ分の画像が印刷される。プロセッサ11は、用紙Pの1ページ分の印刷が完了したと判断すると(S150でYes)、S170の処理を実行する。
S170において、プロセッサ11は、印刷された用紙Pについての排紙処理を実行する。排紙処理では、ASIC20を通じたLFモータ71の制御により、印刷された用紙Pが図示しない排紙トレイに排出される。
プロセッサ11は更に、印刷対象データが次ページのページ画像データを有するかを判断し(S180)、次ページのページ画像データを有すると判断すると(S180でYes)、次ページに関するページ印刷処理(S110-S170)を実行する。
このようにして、プロセッサ11は、印刷対象データに基づく画像を、ページ毎に用紙Pに形成し、全ページに関するページ印刷処理が完了すると(S180でNo)、印刷処理を終了する。
続いて、CRモータ制御部31の詳細構成を、図4及び図5を用いて説明する。図4に示すようにCRモータ制御部31は、信号処理回路110と、指令生成器120と、速度制御器130と、ジャム検知器140とを備える。
信号処理回路110は、エンコーダ55からのエンコーダ信号に基づき、主走査方向におけるキャリッジ41の位置X及び速度Vを計測するように構成される。指令生成器120は、プロセッサ11から設定された速度プロファイルに従って、主走査方向印刷に伴うキャリッジ41の移動制御開始時から、各時点の目標速度Vrである速度指令値Vr、速度指令値Vrの一階時間微分に対応する加速度指令値Ar、速度指令値Vrの二階時間微分に対応する躍度指令値Yrを速度制御器130に入力するように構成される。
一例によれば、プロセッサ11は、指令生成器120に対して、速度プロファイルだけではなく、目標速度Vrに対応する目標加速度Arを定義する加速度プロファイル、及び、目標速度Vrに対応する目標躍度Yrを定義する躍度プロファイルを設定することができる。
速度制御器130は、速度指令値Vr、加速度指令値Ar、及び躍度指令値Yrと、信号処理回路110から入力される計測された速度Vと、に基づいて、CRモータ51に対する操作量Uとして、CRモータ51に印加すべき駆動電圧を表す電圧指令値を算出し、対応する制御信号を駆動回路53に入力する。
図5に示す速度制御器130は、減算器210と、ゲインアンプ220と、加算器230,240,250と、外乱オブザーバ290と、を備える。減算器210は、速度指令値Vrと計測されたキャリッジ41の速度Vとの偏差E=Vr-Vを出力する。偏差Eは、ゲインアンプ220においてゲインKvだけ増幅された後、ゲインアンプ220から出力される。
ゲインアンプ220の出力Kv・Eは、加算器230,240を通って、加速度指令値Ar及び躍度指令値Yrが加算された操作量(Kv・E+Ar+Yr)に変換される。更に、操作量(Kv・E+Ar+Yr)は、加算器250において、外乱オブザーバ290で算出された外乱推定値dと加算される。加算後の操作量(Kv・E+Ar+Yr+d)が、速度制御器130から操作量Uとして出力される。
外乱オブザーバ290は、操作量Uから速度Vへの伝達関数の逆モデルを用いて算出される、計測された速度Vに対応する操作量Uと、速度制御器130の出力である操作量Uとの差U-Uとして、外乱推定値d=U-Uを算出し、加算器250に入力する。
このように速度制御器130は、速度プロファイルに従うキャリッジ41の移動を実現するために、偏差E、加速度指令値Ar、躍度指令値Yr、及び外乱を考慮した操作量Uを算出し、駆動回路53を通じて、対応する駆動電圧でCRモータ51を駆動する。
この他、ジャム検知器140は、速度制御器130により算出される偏差E及び操作量Uに基づいて、記録ヘッド22が用紙Pに接触する事象である用紙ジャム(以下、単にジャムという)の発生を検知するように構成される。
続いて、プロセッサ11が、S130において実行するプロファイル設定処理の詳細を、図6を用いて説明する。プロセッサ11は、プロファイル設定処理を実行することにより、次の主走査方向印刷で用いる速度プロファイルを設定すると共に、ジャム検知用の閾値群Thを設定する。
プロファイル設定処理を開始すると、プロセッサ11は、次の主走査方向印刷におけるキャリッジ41の移動開始地点から目標停止地点までの移動経路のうち、記録ヘッド22によるインク液滴の吐出動作が実行されるインク吐出区間を判別する(S210)。
プロセッサ11は更に、インク吐出区間の終点から目標停止地点までの距離が、高速移動に必要な所定距離以上あるかを判断する(S220)。所定距離以上あると判断すると(S220でYes)、プロセッサ11は、図7上段に示す形状の速度プロファイルを生成し、生成した速度プロファイルをCRモータ制御部31に設定する(S230)。S230において生成される速度プロファイル(以下、第一の速度プロファイルとも言う)は、次の特徴を有する、高速移動有りの速度プロファイルである。
・キャリッジ41を移動開始地点から第一速度Vr1まで加速させる加速区間を含む。加速区間の終点は、インク吐出区間の始点より手前である。
・キャリッジ41の第一速度Vr1への加速終了時点からキャリッジ41がインク吐出区間の終点に到達するまでは、キャリッジ41を、第一速度Vr1で定速移動させる第一定速区間を含む。
・キャリッジ41がインク吐出区間の終点を通過した直後から、キャリッジ41を第一速度Vr1より高い予め定められた第二速度Vr2まで加速させる再加速区間を含む。
・キャリッジ41の第二速度への加速終了時点からキャリッジ41が目標停止地点より減速に必要な距離手前の減速開始地点に到達するまでは、キャリッジ41を、第二速度Vr2で定速移動させる第二定速区間を含む。
・キャリッジ41が減速開始地点に到達した直後から、キャリッジ41を目標停止地点に向けて減速及び停止させる減速区間を含む。
続くS240において、プロセッサ11は、S230で設定した速度プロファイルに応じたジャム検知用の操作量Uの閾値群Thをジャム検知器140に対して設定する。具体的には、閾値群Thとして、速度プロファイルにおける目標速度Vrの高さ及び変化の少なくとも一方が異なる複数の区間について区間毎の閾値を設定する。
すなわち、プロセッサ11は、加速区間での閾値Th1、第一定速区間での閾値Th2、再加速区間での閾値Th3、第二定速区間での閾値Th4、及び、減速区間での閾値Th5を設定する。
キャリッジ41の運動方程式は、次のように表される。次式におけるdv/dtは、vの時間微分を表し、vは、キャリッジ41の速度を表し、mは、質量を表し、cは、粘性摩擦係数を表し、fは、クーロン摩擦を表す。
Figure 2022154876000002
キャリッジ41に作用するCRモータ51の力fは、CRモータ51の駆動電圧に比例する。
このことから、キャリッジ41を定速移動させる区間では、目標速度Vrに対応した粘性摩擦、及びクーロン摩擦に打ち勝つための駆動電圧を印加する必要があり、キャリッジ41を加減速させる区間では、更に、加減速に必要な力をキャリッジ41に加えるための駆動電圧を追加的に印加する必要があることが理解できる。
操作量Uは、この原理に従って、速度制御器130により増減するように計算される。キャリッジ41の主走査方向への移動中にジャムが発生すると、用紙Pとキャリッジ41又は記録ヘッド22との接触により、操作量Uは上昇する方向に変化する。本実施形態では、このジャムに起因する操作量Uの上昇に基づいてジャムを検知するために、上述のように、区間毎に個別の閾値Th1-Th5を設定する。
図7下段に示すグラフは、図7上段に示される速度プロファイルに対応する各区間の閾値Th1-Th5を説明するグラフである。上述の原理から理解できるように、図7上段に示される速度プロファイルが設定される場合には、図7下段に示すように、再加速区間の閾値Th3が、全区間の中で最も高く設定され、続いて加速区間の閾値Th1が高く設定される。キャリッジ41が定速移動する第一及び第二定速区間については、目標速度Vrが高く粘性摩擦の高い第二定速区間の閾値Th4が第一定速区間の閾値Th2より高く設定される。
これらの閾値Th1-Th5は、例えば、ジャムが発生していない場合の各区間の操作量Uに所定量を加算する手法により予め定められ、ROM12又はEEPROM15に記録される。経時変化を考慮して、閾値Th1-Th5は、用紙Pが存在しないと推定される画像形成システム1の起動時に、キャリッジ41を上記速度プロファイルに従って移動させることにより得られた操作量Uに基づいて更新されてもよい。
S220おいて、インク吐出区間の終点から目標停止地点までの距離が、高速移動に必要な所定距離未満であると判断すると(S220でNo)、プロセッサ11は、高速移動のない速度プロファイルを生成し、生成した速度プロファイルをCRモータ制御部31に設定する(S250)。S250において生成される速度プロファイル(以下、第二の速度プロファイルとも言う)は、具体的に次の特徴を有する。
・キャリッジ41を移動開始地点から第一速度Vr1まで加速させる加速区間を含む。加速区間の終点は、インク吐出区間の始点より手前である。
・キャリッジ41の第一速度Vr1への加速終了時点から、キャリッジ41が目標停止地点より減速に必要な距離手前の減速開始地点に到達するまでは、キャリッジ41を、第一速度Vr1で定速移動させる定速区間を含む。
・キャリッジ41が減速開始地点に到達した直後から、キャリッジ41を目標停止地点に向けて減速及び停止させる減速区間を含む。
続くS260において、プロセッサ11は、S250で設定した速度プロファイルに応じたジャム検知用の操作量Uの閾値群Thをジャム検知器140に対して設定する。すなわち、プロセッサ11は、加速区間での閾値Th1、定速区間での閾値Th2、及び減速区間での閾値Th6を設定する。加速区間及び定速区間での閾値Th1,Th2は、第一の速度プロファイルに対応する閾値Th1,Th2と同一値であり得る。
このようにして、プロセッサ11は、S130で速度プロファイルを設定すると共に閾値群Thを設定し、設定した速度プロファイルに基づいて、主走査方向印刷(S140)を実行する。この主走査方向印刷によるキャリッジ41の移動時、ジャム検知器140は、図8に示すジャム検知処理を繰返し実行する。
ジャム検知処理において、ジャム検知器140は、キャリッジ41の現在の移動区間に応じた閾値Thxを、閾値群Thの中から選択する(S310)。移動区間の判別は、速度プロファイルに基づく制御を開始してからの経過時間に基づいて判別される。
ジャム検知器140は、キャリッジ41が加速区間にある場合、閾値Th1を設定し、キャリッジ41が第一定速区間にある場合、閾値Th2を設定する。同様に、ジャム検知器140は、キャリッジ41が再加速区間、第二定速区間、及び減速区間にある場合、それぞれ対応する閾値Th3,Th4,Th5を設定する。
更にジャム検知器140は、偏差Eに関する閾値Texとして、キャリッジ41の現在の移動区間に応じた閾値を選択する(S320,S330,S335)。ジャム検知器140は、キャリッジ41の移動区間が定速区間であるか否かを判断する(S320)。速度プロファイルが、第一の速度プロファイルであるときの定速区間は、第一定速区間及び第二定速区間である。
ジャム検知器140は、キャリッジ41の移動区間が定速区間であると判断すると(S320でYes)、閾値Texとして、予め定められた第一の閾値Te1を選択する(S330)。
ジャム検知器140は、キャリッジ41の移動区間が非定速区間であると判断すると(S320でNo)、閾値Texとして、予め定められた第一の閾値Te1より大きい第二の閾値Te2を選択する(S335)。
定速区間及び非定速区間のそれぞれに対応する第一の閾値Te1及び第二の閾値Te2は、予め設計者により定められ、ROM12又はEEPROM15に格納され得る。第一の閾値Te1及び第二の閾値Te2は、用紙Pが存在しないと推定される画像形成システム1の起動時に、キャリッジ41を移動させることにより得られた偏差Eの変動幅に基づいて更新されてもよい。
閾値Texの選択後、ジャム検知器140は、速度制御器130により算出された偏差Eの絶対値が、閾値Texより大きいかを判断する(S340)。偏差Eの絶対値が閾値Tex以下であると判断すると(S340でNo)、ジャム検知器140は、ジャムが発生していないとみなして、ジャム検知処理を終了する。
一方、偏差Eの絶対値が閾値Texより大きいと判断すると(S340でYes)、ジャム検知器140は、キャリッジ41の現在の移動区間が非定速区間であるかを判断する(S350)。非定速区間は、加速区間、減速区間、及び再加速区間に対応する。
キャリッジ41の移動区間が非定速区間ではなく定速区間であると判断すると(S350でNo)、ジャム検知器140は、ジャムが発生したことを検知し、ジャム発生をプロセッサ11に対して通知する(S370)。
この他、ジャム検知器140は、キャリッジ41の移動区間が非定速区間であると判断すると(S350でYes)、速度制御器130から出力される操作量Uが、閾値Thxより大きいか否かを判断する(S360)。操作量Uが閾値Thx以下であると判断すると(S360でNo)、ジャム検知器140は、ジャムが発生していないとみなして、ジャム検知処理を終了する。
操作量Uが閾値Thxより大きいと判断すると(S360でYes)、ジャム検知器140は、ジャムが発生したことを検知し、ジャム発生をプロセッサ11に対して通知する(S370)。その後、ジャム検知処理を終了する。
このようにして、ジャム検知器140は、定速区間では、偏差E及び操作量Uのうちの、偏差Eのみに基づいてジャムを検知し、非定速区間では、偏差E及び操作量Uの両者に基づいてジャムを検知する。
別例として、ジャム検知器140は、S350の処理を実行しなくてもよい。すなわち、キャリッジ41が非定速区間にあるときだけでなく、定速区間にあるときにも、S360の処理が実行されてもよい。この場合、ジャム検知器140は、定速区間及び非定速区間のいずれにおいても、偏差E及び操作量Uの両者に基づいてジャムを検知する。S350の処理が実行される例では、第一定速区間及び第二定速区間の閾値Th2,Th4は、実質活用されないので、設定されなくてもよい。
続いて、プロセッサ11が、ジャム発生の通知に基づいて実行するジャム関連処理の詳細を、図9を用いて説明する。プロセッサ11は、キャリッジ41の移動制御の開始と共に、図9に示すジャム関連処理を実行する。
ジャム関連処理を開始すると、プロセッサ11は、ジャム発生の通知を受け取るまで待機し、ジャム発生の通知を受け取ると(S410でYes)、ジャムに対処するための特定制御の実行を、CRモータ制御部31に対して指令する(S420)。
第一例によれば、特定制御は、キャリッジ41を減速させるようにCRモータ51を制御することであり得る。第二例によれば、特定制御は、CRモータ51を停止させる制御であり得る。第三例によれば、特定制御は、CRモータ51を逆回転させて、キャリッジ41を現在位置から所定距離手前まで後退させる制御であり得る。
S420の処理実行後、プロセッサ11は、ユーザインタフェース17を通じて、ユーザにジャムの発生を報知するためのエラー表示及びエラー通知音の出力を行う(S430)。その後、ジャム関連処理を終了する。
以上に説明した本実施形態の画像形成システム1によれば、キャリッジ41の加減速時に、偏差Eと閾値Texとの比較だけではなく、操作量Uと閾値Thxとの比較に基づいて、ジャムを検知するので、ジャムを適切に検知することができる。
ジャムが発生すると偏差Eは大きくなるが、キャリッジ41の加減速時にも、目標速度Vrに対する実速度の追従遅れに起因して偏差Eが大きくなりがちである。すなわち、加減速時には、偏差Eだけに基づいてジャムを検知すると、ジャムが発生していない状況でも、実速度の追従遅れに起因してジャムを誤検知してしまう可能性が高まる。
一方、誤検知を抑制するために閾値Texを大きくし過ぎると、ジャムが発生しているのにもかかわらず、それを検知できない可能性や、検知までの時間が遅れる可能性がある。すなわち、閾値Texを大きくすると、誤検知は抑制されるものの、検知感度が悪化する。
これに対し、本実施形態では、加減速時には、偏差E及び操作量Uに関する二つの条件の両方が満足されたことを条件に、ジャムの発生を検知するので、高精度且つ高感度にジャムを検知することができる。
本実施形態によれば、特に非インク吐出区間でキャリッジ41を高速移動させることに伴い、ジャムが発生する可能性のある場所でキャリッジ41が加減速される頻度が増加する。このような加減速を伴う画像形成システム1において、上述のジャムの検知手法を採用すれば、印刷処理のスループットを向上させつつ、用紙ジャムを適切に検知可能であるように画像形成システム1を構成可能である。
[第一変形例]
続いて、第一変形例の画像形成システム1を説明する。第一変形例の画像形成システム1は、ジャム検知器140が実行するジャム検知処理が異なることを除いて、基本的に上述の主実施形態と同じである。従って、以下ではジャム検知処理以外の説明を省略する。
第一変形例によれば、ジャム検知器140は、図10に示すジャム検知処理を繰返し実行する。第一変形例のジャム検知処理を開始すると、ジャム検知器140は、S310での処理と同様、キャリッジ41の現在の移動区間に応じた閾値Thxを、設定された閾値群Thの中から選択する(S510)。
その後、ジャム検知器140は、速度制御器130から出力される操作量Uが、閾値Thxより大きいか否かを判断する(S520)。操作量Uが閾値Thx以下であると判断すると(S520でNo)、ジャム検知器140は、ジャムが発生していないとみなして、ジャム検知処理を終了する。
操作量Uが閾値Thxより大きいと判断すると(S520でYes)、ジャム検知器140は、ジャムが発生したことを検知し、ジャム発生をプロセッサ11に対して通知する(S530)。その後、ジャム検知処理を終了する。
このように、第一変形例のジャム検知器140は、偏差Eに基づかず、区間毎に定められた閾値Th1-Th6と操作量Uとの比較に基づいて、ジャムの発生を検知する。従って、第一変形例によれば、偏差Eに基づいてジャムの発生を検知する場合に生じる実速度の追従遅れに起因した誤検知を抑えて、適切にジャムを検知することが可能である。
[第二変形例]
続いて、第二変形例の画像形成システム1を説明する。第二変形例の画像形成システム1は、ジャム検知器140が実行するジャム検知処理が異なることを除いて、基本的に上述の主実施形態と同じである。従って、以下ではジャム検知処理以外の説明を省略する。
第二変形例によれば、ジャム検知器140は、図11に示すジャム検知処理を繰返し実行する。第二変形例のジャム検知処理を開始すると、ジャム検知器140は、S320での処理と同様、キャリッジ41の現在の移動区間が定速区間であるか否かを判断する(S610)。
ジャム検知器140は、キャリッジ41の移動区間が定速区間であると判断すると(S610でYes)、S330での処理と同様、閾値Texとして、予め定められた第一の閾値Te1を選択する(S620)。
ジャム検知器140は、キャリッジ41の移動区間が非定速区間であると判断すると(S610でNo)、S335での処理と同様、閾値Texとして、予め定められた第一の閾値Te1より大きい第二の閾値Te2を選択する(S625)。
閾値Texの選択後、ジャム検知器140は、速度制御器130により算出された偏差Eの絶対値が、閾値Texより大きいか否かを判断する(S630)。偏差Eの絶対値が閾値Tex以下であると判断すると(S630でNo)、ジャム検知器140は、ジャムが発生していないとみなして、ジャム検知処理を終了する。
一方、偏差Eの絶対値が閾値Texより大きいと判断すると(S630でYes)、ジャム検知器140は、ジャムが発生したことを検知し、ジャム発生をプロセッサ11に対して通知する(S640)。その後、ジャム検知処理を終了する。
このように、第二変形例のジャム検知器140は、操作量Uに基づかず、区間毎に異なる閾値Te1,Te2と、偏差Eとの比較に基づいて、ジャムの発生を検知する。上述したように、偏差Eは、特に加減速区間において、目標速度Vrに対する実速度の追従遅れに起因して大きくなりがちである。このことは、ジャムの誤検知率を上げる原因になり得る。しかしながら、第二変形例によれば、加減速区間においては閾値Texを定速区間より大きくするので、全区間に亘って一律の閾値を設定する手法よりも、誤検知率を抑えて高精度にジャムを検知可能である。
[第三変形例]
続いて、第三変形例の画像形成システム1を説明する。第三変形例の画像形成システム1は、ジャム検知器140が実行するジャム検知処理が異なることを除いて、基本的に上述の主実施形態と同じである。従って、以下ではジャム検知処理以外の説明を省略する。
第三変形例によれば、ジャム検知器140は、図12に示すジャム検知処理を繰返し実行する。第三変形例のジャム検知処理を開始すると、ジャム検知器140は、図8に示すジャム検知処理と同様に、S310~S335の処理を実行し、キャリッジ41の移動区間に応じた閾値Thx,Texを設定する。
その後、ジャム検知器140は、速度制御器130により算出された偏差Eの絶対値が、閾値Texより大きいかを判断する(S740)。偏差Eの絶対値が閾値Texより大きいと判断すると(S740でYes)、ジャム検知器140は、ジャムが発生したことを検知し、ジャム発生をプロセッサ11に対して通知する(S770)。
一方、ジャム検知器140は、偏差Eの絶対値が閾値Tex以下であると判断すると(S740でNo)、速度制御器130から出力される操作量Uが、閾値Thxより大きいかを判断する(S750)。操作量Uが閾値Thx以下であると判断すると(S750でNo)、ジャム検知器140は、ジャムが発生していないとみなして、ジャム検知処理を終了する。
一方、操作量Uが閾値Thxより大きいと判断すると(S750でYes)、ジャム検知器140は、ジャムが発生したことを検知し、ジャム発生をプロセッサ11に対して通知する(S770)。その後、ジャム検知処理を終了する。
このように、第三変形例のジャム検知器140は、操作量Uが閾値Thxを超えたこと、及び、偏差Eが閾値Texを超えたことの一方が満足されたことを条件に、ジャムの発生を検知する。この例によれば、操作量Uに基づくジャム検知が行われることから、偏差Eに基づくジャム検知のための閾値Texを大きくしても、それだけでは、ジャムに対する検知感度は、低下しない。従って、第三変形例によれば、偏差Eだけに基づいてジャムの発生を検知する場合よりも、ジャムを適切に検知可能である。
[第四変形例]
続いて、第四変形例の画像形成システム1を説明する。第四変形例の画像形成システム1は、エンコーダ55上の阻害領域を検出し、阻害領域に基づいてジャムの検知方式を切り替えるように構成される点で、上述の主実施形態とは異なる。その他の構成について、第四変形例の画像形成システム1は、上述の主実施形態と同じである。従って、以下では、阻害領域、及び、ジャム検知処理に関する説明を主に行い、その他の説明を省略する。
エンコーダ55によるキャリッジ41の位置及び速度の計測に関しては、エンコーダスケール55Aの一部領域に汚れ56が付着している場合、正確な計測ができなくなるケースが生じる。
エンコーダ55では、キャリッジ41に固定された光学センサ55Bがキャリッジ41と連動して、エンコーダスケール55Aに沿って主走査方向に移動する。この移動によって、光学センサ55Bが、エンコーダスケール55Aに対して主走査方向に相対移動し、エンコーダスケール55Aに設けられたスリット55Cを読み取って、主走査方向の移動に応じたパルス信号を、エンコーダ信号として出力する。スリット55Cは、例えば透過部材で構成され得る。
ここで、エンコーダスケール55Aにインク汚れ等の汚れ56が付着していると、光学センサ55Bは、エンコーダスケール55Aのスリット55Cを読み取ることができない。このため、エンコーダスケール55Aに汚れ56が付着していると、エンコーダ信号のパルスエッジ間隔が変化し、パルスエッジ間隔に基づいて計測されるキャリッジ41の速度Vに大きな計測誤差が生じる。
図13下段には、図13上段に示される汚れたエンコーダスケール55Aを一定速度で光学センサ55Bが通過する際に、光学センサ55Bから出力されるエンコーダ信号の例が示される。この例によれば、正常であれば等しいはずのエンコーダ信号のパルスエッジ間隔が、光学センサ55Bが汚れ56を通過する際には三倍に増加している。
このように、汚れ56が付着した領域は、エンコーダスケール55Aの正常な読取、及び、正常な速度Vの計測が阻害される領域である。上述の「阻害領域」は、エンコーダスケール55Aの阻害物としての汚れ56が付着した領域を光学センサ55Bが読み取るキャリッジ41の移動範囲のことを意味する。
阻害領域をキャリッジ41が通過するときパルスエッジ間隔が大きく変化することにより、大きな計測誤差を含む速度Vに基づいて計算される偏差Eは、ジャムが発生していないのにもかかわらず閾値Texを超えてしまう可能性がある。このため、第四変形例では、ジャム検知器140が、図14に示すジャム検知処理を実行する。このジャム検知処理は、ジャム検知器140により繰返し実行される。
ジャム検知処理を開始すると、ジャム検知器140は、キャリッジ41が阻害領域にあるかを判断する(S810)。阻害領域の位置は、例えば画像形成システム1の起動時に実行される事前のプレスキャンにより特定され、位置情報としてRAM13に記憶される。プレスキャンでは、キャリッジ41の移動可能範囲の端から端までキャリッジ41が定速移動するように制御され、そのときのエンコーダ信号の出力から、阻害領域が検出される。
ジャム検知器140は、信号処理回路110により計測されるキャリッジ41の位置Xと阻害領域の位置情報との比較により、キャリッジ41が阻害領域にあるかを判断することができる。
キャリッジ41が阻害領域にはないと判断すると(S810でNo)、ジャム検知器140は、図8に示すジャム検知処理と同じ内容の第一検知処理を実行する(S820)。一方、キャリッジ41が阻害領域にあると判断すると(S810でYes)、ジャム検知器140は、図10に示すジャム検知処理と同内容の第二検知処理を実行する(S830)。
これにより、ジャム検知器140は、キャリッジ41が阻害領域にあるときには、偏差Eを利用せずに、操作量Uに基づいて、ジャムを検知する。別例として、ジャム検知器140は、S820において、第一検知処理として、図11又は図12に示すジャム検知処理を実行してもよい。
第四変形例によれば、エンコーダスケール55Aの汚れ56に起因した速度Vの計測誤差の影響を受けずに、ジャムの発生を操作量Uから検知することができる。従って、汚れ56に起因したジャムの誤検知を抑制することが可能である。
以上に、変形例を含む本開示の例示的実施形態を説明したが、本開示が上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。本開示の技術は、用紙Pに画像を形成する画像形成システム1によらず、対象物に対して所定の加工を行う処理ヘッドの運動を、エンコーダを用いたモータ制御により実現する様々なシステムに適用することができる。
例えば、本開示の技術は、インクジェットプリンタによらず、他のシリアルプリンタやガーメントプリンタに適用可能である。本開示の技術は、移動体とシートとの接触によりジャムが発生し得る種々のシステムに提供可能である。
本開示の技術は、駆動電圧の制御によりモータを制御するシステムの他、駆動電流の制御によりモータを制御するシステムに適用されてもよい。すなわち、操作量Uは、電圧指令値ではなく、電流指令値であってもよい。また、操作量Uは、PWM値であってもよい。
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。例えば、コントローラは、プロセッサ11及びASIC20により構成されなくてもよく、ASICなしで一つ以上のプロセッサにより構成されてもよいし、プロセッサなしで一つ以上のASICによって構成されてもよいし、一つ以上のプロセッサと一つ以上のASICとの組合せによって構成されてもよい。プロセッサ及びASICの少なくともいずれかを含むコントローラの一つ以上の構成要素は、互いに協働して、本開示のコントローラに係る処理を実行することができる。
この他、実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1…画像形成システム、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、15…EEPROM、17…ユーザインタフェース、19…通信インタフェース、20…ASIC、21…記録制御部、22…記録ヘッド、23…駆動回路、31…CRモータ制御部、35…LFモータ制御部、40…キャリッジ搬送機構、41…キャリッジ、42…ガイドレール、43…ベルト機構、51…CRモータ、53…駆動回路、55…エンコーダ、55A…エンコーダスケール、55B…光学センサ、55C…スリット、60…用紙搬送機構、61…ローラ、71…LFモータ、73…駆動回路、75…エンコーダ、110…信号処理回路、120…指令生成器、130…速度制御器、140…ジャム検知器、210…減算器、220…ゲインアンプ、230,240,250…加算器、290…外乱オブザーバ、431…駆動プーリ、433…従動プーリ、435…ベルト、P…用紙。

Claims (14)

  1. モータと、
    前記モータにより駆動されて、第一方向に往復動するように構成される移動体であって、前記移動体の移動経路を横断するように前記第一方向とは交差する第二方向に搬送されるシートを加工するように構成される移動体と、
    前記移動体の速度を計測するように構成される計測器と、
    速度プロファイルに基づき、前記モータを制御するように構成されるコントローラと、
    を備え、
    前記コントローラは、
    前記速度プロファイルに従う前記移動体の目標速度と前記計測器により計測される速度との偏差に基づき前記モータに対する操作量を算出し、前記操作量に従う電力を前記モータに供給することにより、前記移動体が前記目標速度に従って往復動するように、前記モータを制御することと、
    前記操作量が予め設定された閾値を超えたことを条件に、前記移動体が前記シートに接触する事象の発生を検知することと、
    を実行する制御システム。
  2. 前記速度プロファイルは、前記目標速度の高さ及び変化の少なくとも一方が異なる複数の区間における前記目標速度を定義し、
    前記閾値は、前記複数の区間のうちの少なくとも二以上の区間のそれぞれに対して個別に設定されており、
    前記コントローラは、前記二以上の区間のそれぞれでは、対応する区間に対して設定された閾値を前記操作量が超えたことを条件に、前記事象の発生を検知する請求項1記載の制御システム。
  3. 前記複数の区間は、前記移動体が加速する加速区間、前記移動体が定速移動する定速区間、及び、前記移動体が減速する減速区間を含み、
    前記閾値は、前記複数の区間のうちの少なくとも前記加速区間及び前記減速区間のそれぞれに対して個別に設定されており、
    前記コントローラは、前記加速区間及び前記減速区間のそれぞれでは、対応する区間に対して設定された閾値を前記操作量が超えたことを条件に、前記事象の発生を検知する請求項2記載の制御システム。
  4. 前記複数の区間は、前記移動体が停止状態から定速状態に移行するまでの加速区間、前記移動体が定速状態から停止状態に移行するまでの減速区間、及び、前記加速区間と前記減速区間との間の中間区間を含み、
    前記中間区間は、前記移動体が第一の速度で定速移動する第一の定速区間と、前記移動体が前記第一の速度より高い第二の速度で定速移動する第二の定速区間と、前記移動体が非定速移動する非定速区間と、を含み、
    前記閾値は、前記複数の区間のうちの少なくとも前記加速区間、前記減速区間、及び前記非定速区間のそれぞれに対して個別に設定されており、
    前記コントローラは、前記加速区間、前記減速区間、及び前記非定速区間のそれぞれでは、対応する区間に対して設定された閾値を前記操作量が超えたことを条件に、前記事象の発生を検知する請求項2記載の制御システム。
  5. 前記操作量に関する前記閾値としての第一の閾値と、前記偏差に関する第二の閾値と、が設定されており、
    前記コントローラは、前記操作量が前記第一の閾値を超えたこと、及び、前記偏差が前記第二の閾値を超えたことの両者が満足されたこと条件に、前記事象の発生を検知する請求項1~請求項4のいずれか一項記載の制御システム。
  6. 前記操作量に関する前記閾値としての第一の閾値と、前記偏差に関する第二の閾値とが、設定されており、
    前記コントローラは、前記操作量が前記第一の閾値を超えたこと、及び、前記偏差が前記第二の閾値を超えたことの一方が満足されたことを条件に、前記事象の発生を検知する請求項1~請求項4のいずれか一項記載の制御システム。
  7. 前記操作量に関する前記閾値としての第一の閾値と、前記偏差に関する第二の閾値とが、設定されており、
    前記速度プロファイルは、前記移動体が加速する加速区間、前記移動体が定速移動する定速区間、及び、前記移動体が減速する減速区間を含む複数の区間における目標速度を定義し、
    前記コントローラは、前記加速区間及び前記減速区間のそれぞれでは、前記操作量が前記第一の閾値を超えたことを条件に、前記事象の発生を検知し、前記定速区間では、前記偏差が前記第二の閾値を超えたことを条件に、前記事象の発生を検知する請求項1~請求項4のいずれか一項記載の制御システム。
  8. 前記コントローラは、前記加速区間及び前記減速区間のそれぞれでは、前記操作量が前記第一の閾値を超えたこと、及び、前記偏差が前記第二の閾値を超えたことの両者が満足されたことを条件に、前記事象の発生を検知する請求項7記載の制御システム。
  9. エンコーダスケールと、前記移動体と連動して前記エンコーダスケールに対して相対移動し、前記エンコーダスケールの読取に基づくエンコーダ信号を出力するように構成されるセンサと、を備えるエンコーダ
    を備え、
    前記計測器は、前記エンコーダ信号に基づき、前記速度を計測し、
    前記コントローラは、前記センサによる前記エンコーダスケールの正常な読取を阻害する阻害物が付着した前記エンコーダスケール内の部位を、前記センサが読み取る前記移動体の移動領域である阻害領域を前記移動体が通過している場合には、前記偏差に依らず、前記操作量が前記第一の閾値を超えたことを条件に、前記事象の発生を検知する請求項7又は請求項8記載の制御システム。
  10. モータと、
    前記モータにより駆動されて、第一方向に往復動するように構成される移動体であって、前記移動体の移動経路を横断するように前記第一方向とは交差する第二方向に搬送されるシートを加工するように構成される移動体と、
    前記移動体の速度を計測するように構成される計測器と、
    速度プロファイルに基づき、前記モータを制御するように構成されるコントローラと、
    を備え、
    前記コントローラは、
    前記速度プロファイルに従う前記移動体の目標速度と前記計測器により計測される速度との偏差に基づき前記モータに対する操作量を算出し、前記操作量に従う電力を前記モータに供給することにより、前記移動体が前記目標速度に従って往復動するように、前記モータを制御することと、
    前記偏差が予め設定された閾値を超えたことを条件に、前記移動体が前記シートに接触する事象の発生を検知することと、
    を実行し、
    前記速度プロファイルは、前記目標速度の高さ及び変化の少なくとも一方が異なる複数の区間における前記目標速度を定義し、
    前記閾値は、前記複数の区間のそれぞれに対して個別に設定されており、
    前記コントローラは、前記複数の区間のそれぞれでは、対応する区間に対して設定された閾値を前記偏差が超えたことを条件に、前記事象の発生を検知する制御システム。
  11. 前記複数の区間は、前記移動体が非定速移動する第一区間、及び、前記移動体が定速移動する第二区間を含み、
    前記閾値は、前記第一区間に対して設定された第一区間閾値、及び、前記第二区間に対して設定された第二区間閾値を含み、
    前記第一区間閾値は、前記第二区間閾値よりも大きい請求項10記載の制御システム。
  12. 前記コントローラは、前記事象の発生を検知した場合には、前記モータを停止させるように前記モータを制御する請求項1~請求項11のいずれか一項記載の制御システム。
  13. 前記コントローラは、前記事象の発生を検知した場合には、前記移動体が後退するように、前記モータを制御する請求項1~請求項11のいずれか一項記載の制御システム。
  14. 前記コントローラは、前記事象の発生を検知した場合には、前記移動体を減速させるように、前記モータを制御する請求項1~請求項11のいずれか一項記載の制御システム。
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