JP4453526B2 - サーボ制御装置 - Google Patents
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Description
ただし、T1は始動直前のトルク指令、T2は加速直後のトルク指令、T3は停止直前のトルク指令である。
また、同時に前記第2の速度制御回路208内の積分器をリセットするリセット値も求めている。摩擦モデル回路205は、前記摩擦修正回路206からの出力をリミット値とし、前記回転検出器211からの速度入力により補償トルクを出力する。補償トルクが出力されるときは、前記摩擦修正回路206からの積分リセット値により前記第2の速度制御回路208内の積分器をリセットする。このように前記第2の速度制御回路208内の積分器にたまっていたクーロン摩擦分の摩擦力を抽出し補償しようというものである。
また、特許文献2のような場合は、クーロン摩擦に関しては時間とともに変化するような場合でも補償するようになっているが、時間変化が大きい粘性摩擦に関しては、補償を行っていないので、同様に時間や温度ともに変化する摩擦力が正確に求められていないという問題があった。
また、特許文献3の場合は、あらかじめ求められた摩擦係数を元に摩擦力を生成し補償しており、摩擦係数の時間的変化や温度的変化を考慮していない。また時間変化や温度変化に対し動的に摩擦係数を切り替えることができないという問題があった。
また、摩擦モデルを生成せずに簡単な構成で時間変化に対応した摩擦補償を行うことができ、常に位置制御や柔軟制御の制御性能を高く維持することを目的とする。
さらに接触作業や衝突によって未知の外力を受けたときにも摩擦力をより正確に求め補償することを目的とする。
請求項3に記載の発明によると、事前の特定動作にて摩擦モデル(粘性摩擦値およびクーロン摩擦値)を生成することにより、時間変化に応じたより精度の高い摩擦補償を実行することができる。また、時間ともに変化する摩擦力に対して最適な補償を実現することができ、時間の変化に依存することなく常に位置制御や柔軟制御の制御性能を高く維持することができる。
また、請求項4に記載の発明によると、温度センサを用いることにより温度とともに変化する摩擦力を求めて補償するので、温度の変化に依存することなく常に位置制御や柔軟制御の制御性能を高く維持することができる。また、温度センサを用いることにより温度とともに変化する摩擦力を求めて補償するので、温度の変化に依存することなく常に位置制御や柔軟制御の制御性能を高く維持することができる。
また、請求項5に記載の発明によると、接触作業や衝突によって未知の外力(接触または衝突時に制御対象に加わる粘性摩擦値およびクーロン摩擦値から成る摩擦力以外の外力)を受けたときにも摩擦力をより正確に求め補償することができる。
サーボ電源をオンする。このとき、摩擦モデルの定数部分には、すでにデフォルトの値が設定してあり、デフォルトの摩擦モデルが生成できるようになっている。(ステップ1)
あらかじめ決められた時間間隔により一定時間が経過したかを判定して、摩擦モデル更新を判定する時刻を計測する。一定時間が経過していなければ摩擦モデルを更新せずに摩擦補償を行う。(ステップ2)
現在記憶している摩擦モデルに基づき、摩擦補償を行った場合における位置制御器11、速度制御器12の実制御の処理とシミュレーション位置制御器15、シミュレーション速度制御器16、メカモデル演算部18のシミュレーションによる比較を行う。すなわち、比較部19にて、前記速度制御器12のトルク指令Trefと前記シミュレーション速度制御器16のトルク指令Tsimの差分演算を次式のように行い、トルク指令差分値ΔTを出力する。このとき、前記トルク指令差分値ΔTおよびモータ速度vの時系列データを記憶しておく。
ΔT=Tref-Tsim ・・・(2)
摩擦力の変化による摩擦モデルとのずれを検出して摩擦モデルの更新を行うかの判定を行う。すなわち、図8(b)のように前記トルク指令差分値ΔTがあらかじめ決められた値ΔTmaxより大きいかを比較する。数式上では、前記トルク指令差分値ΔTの符号も考慮して次式のように判定する。
|ΔT|>ΔTmax ・・・(3)
(3)式を満たさなければ摩擦モデルを更新せずに摩擦補償を行う。(ステップ4)
摩擦モデルの更新を行う必要がある場合は、摩擦力とモータ速度の関係求め、摩擦モデル式を更新する必要がある。そのために、(ステップ3)で求められた前記トルク指令差分値ΔTを摩擦モデルによる摩擦力f’に加算して摩擦力fを次式のように求め直す。
f=f’+ΔT ・・・(4)
そして前記摩擦力fおよびその時のモータ速度vを記憶しておく。(ステップ5)
摩擦モデル生成部20にて、前記摩擦力fおよび前記モータ速度vとから摩擦モデル式を求める。図9は摩擦モデル式を求める時の速度と摩擦力の関係を表したグラフを示しており、(ステップ5)で求められた前記摩擦力fおよび前記モータ速度vをプロットし、最小2乗法等を用いて直線近似することにより摩擦モデル式が求められる。すなわち、現時点での粘性摩擦係数cおよびクーロン摩擦力f0が求められる。(ステップ6)
補償部21にて、摩擦モデル生成部20で生成され更新された摩擦モデル式からモータ速度vに対応する摩擦力fを次式のように求め、求められた摩擦力fを補償値として補償する。(ステップ7)
f=cv+f0 ・・・(5)
サーボ電源がオフでない場合は、(ステップ2)に戻り、上記を繰り返す。サーボ電源がオフの場合は終了する。(ステップ8)
上記の例では、一定時間毎にΔTを求めて、摩擦力推定誤差を監視するようにしているが、常に摩擦力推定誤差を監視し、前記摩擦力推定誤差が所定の値を超えたら摩擦モデルの更新を行うようにしてもよい。
前記トルクリミッタ13は、前記速度制御器12の出力であるトルク指令を所定の値で制限する。前記モデルトルクリミッタ17は、前記トルクリミッタと同一構成であり前記シミュレーション速度制御器16からのトルク指令を所定の値で制限する。前記未知外力推定部22は、補償部21から出力されるトルク指令と前記制御対象14の位置応答とから前記制御対象14に加わる未知の外力を推定する。図11に前記未知外力推定部22の構成例を示す。図中のJmはモータの慣性モーメントであり、sはラプラス変換における微分を表す。不感帯は、未知の外力と摩擦力の変化分を分離するためのものであり、入力の絶対値がある設定値以上になったら、入力値を未知の外力として出力するようにする。
推定された未知の外力を前記メカモデル演算部18に入力することにより、接触作業や障害物に衝突した場合等、未知の外力を受けたときにもシミュレーションに反映し、摩擦力を除いたシミュレーションを正確に行えるようにする。そして、実施例1同様に実制御と比較し摩擦力を求めて補償するようにする。
特定の繰り返し動作によるなじみ運転を行う。(ステップ1)
あらかじめ決められた時間間隔により一定時間が経過したかを判定して、摩擦モデルを生成する時刻を計測する。一定時間が経過していなければ(ステップ1)に戻り、なじみ運転を行う。(ステップ2)
あらかじめ決められた数パターンでの速度による定速動作を行い、実制御とシミュレーションによる比較を行う。このとき摩擦補償は切っておく。そして、比較部19からの定速時の出力ΔTi(i=1,2,…,n)からモータ速度vにおける定速時出力平均値Tmean(v)を次式のように求める。(ステップ3)
Tmean(v)=(ΔT1+ΔT2+…+ΔTn)/n ・・・(6)
モータ速度vおよび定速時出力平均値Tmean(v)からその時刻おける摩擦モデルを実施例1の同様に直線近似により求める。(ステップ4)
(ステップ4)で求められた摩擦モデルを記憶する。すなわち、(5)式における粘性摩擦係数cおよびクーロン摩擦力f0が時刻ti(i=1,2,…) における関数c(ti),f0(ti)としてデータベースに記憶される。(ステップ5)
摩擦モデルの定数c(ti),f0(ti)が一定値に収束したかを次式のように判定して、摩擦モデルが収束したか判定する。
|c(ti)-c(ti-1)|<ecかつ|f0(ti)-f0(ti-1)|<ef0 ・・・(7)
ただしi=2,3,…であり、ec 、ef0はあらかじめ決められた収束判定値である。収束していなければ(ステップ1)に戻る。(ステップ6)
補償部21にて、摩擦モデル生成部20で生成された摩擦モデル式から実施例1同様にモータ速度vに対応する摩擦力fを求め、求められた摩擦力fを補償して動作を行う。このとき摩擦モデル式は、動作時刻t’に応じて記憶されたデータを元に次式のように変更していく。
f=c(t’)v+f0(t’) ・・・(8)
c(t’)= {(c(ti+1)-c(ti))/(ti+1-ti)}(t’-ti)+c(ti)
(ti≦t’<ti+1),c(t’)=c(te) (te≦t’) ・・・(9)
f0(t’)= {(f0(ti+1)-f0(ti))/(ti+1-ti)}(t’-ti)+f0(ti)
(ti≦t’<ti+1),f0(t’)=f0(te) (te≦t’) ・・・(10)
ただしi=1,2,3,…であり、teは摩擦モデルが収束した時の時刻である。(ステップ7)
f=c(tp’)v+f0(tp’) ・・・(11)
c(tp’)= {(c(tpi+1)-c(tpi))/(tpi+1-tpi)}(tp’-tpi)+c(tpi)
(tpi≦tp’<tpi+1),c(tp’)=c(tpe) (tpe≦tp’) ・・・(12)
f0(tp’)= {(f0(tpi+1)-f0(tpi))/(tpi+1-tpi)}(tp’-tpi)+f0(tpi)
(tpi≦tp’<tpi+1),f0(tp’)=f0(tpe) (tpe≦tp’) ・・・(13)
ただしi=1,2,3,…であり、tpeは摩擦モデルが収束した時の温度である。
11、102 位置制御器
12、103 速度制御器
13 トルクリミッタ
14 制御対象
15 シミュレーション位置制御器
16 シミュレーション速度制御器
17 モデルトルクリミッタ
18 メカモデル演算部
19 比較部
20 摩擦モデル生成部
21 補償部
22 未知外力推定部
23 温度センサ
24 摩擦分離部
101 位置指令生成部
104 メモリ
105 アンプ
106、210 モータ
107、211 回転検出器
108、212 負荷機械
201 位置発生回路
202 第1の位置制御回路
203 第1の速度制御回路
204 モータの模擬回路
205 摩擦モデル回路
206 摩擦修正回路
207 第2の位置制御回路
208 第2の速度制御回路
209 トルク制御回路
301 制御演算装置
302 X軸アンプ
303 Y軸アンプ
304 XYテーブル装置
305 X軸モータ
306 Y軸モータ
307 テーブル
401 多関節ロボット
402 ロボット制御盤
403 ロボット用多軸制御演算装置
404 ロボット用多軸アンプ
Claims (5)
- 位置指令および制御対象位置を入力して制御演算し速度指令を出力する位置制御器と、前記速度指令を入力して制御演算しトルク指令を出力する速度制御器と、前記トルク指令を入力して前記制御対象位置を出力する制御対象とで構成される実機部と、
前記位置制御器を模擬したシミュレーション位置制御器と、前記速度制御器を模擬したシミュレーション速度制御器と、前記制御対象を模擬した模擬制御対象を有し前記シミュレーション速度制御器の出力である模擬トルク指令を入力して模擬制御対象位置を出力するメカモデル演算部とで構成されるシミュレーション部と、
前記トルク指令と前記模擬トルク指令とを比較演算してトルク指令差分値を出力する比較部と、を備え、前記トルク指令差分値に基づいて前記制御対象における粘性摩擦値およびクーロン摩擦値から成る摩擦力を演算すると共に、前記トルク指令に基づいて前記制御対象を制御するサーボ制御装置において、
前記トルク指令差分値と所定のしきい値とを比較して予め設定した粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を更新するか否かを判断し、前記予め設定した粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を更新する場合、前記予め設定した粘性摩擦値およびクーロン摩擦値から成る摩擦力および前記トルク指令差分値ならびに制御対象速度に基づいて新たな粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を生成すると共に、前記予め設定した粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を前記新たな粘性摩擦値およびクーロン摩擦値に更新する摩擦モデル生成部と、
前記予め設定した粘性摩擦値およびクーロン摩擦値、もしくは前記新たな粘性摩擦値およびクーロン摩擦値から成る摩擦補償値を算出し、前記トルク指令値に前記摩擦補償値を加算して新たなトルク指令を出力する摩擦補償部と、を備え、
前記新たなトルク指令に基づいて前記制御対象を制御することを特徴とするサーボ制御装置。 - 前記摩擦モデル生成部が、前記予め設定した粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を更新する場合、前記予め設定した粘性摩擦値およびクーロン摩擦値から成る摩擦力に前記トルク指令差分値を加算した算出摩擦力と、その際の前記制御対象速度とを記憶し、前記制御対象速度に対する前記算出摩擦力を直線近似して前記新たな粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を生成し、
前記摩擦補償部が、前記新たな粘性摩擦値およびクーロン摩擦値に基づいて実動作中の前記制御対象速度に応じた前記摩擦補償値を演算することを特徴とする請求項1記載のサーボ制御装置。 - 位置指令および制御対象位置を入力して制御演算し速度指令を出力する位置制御器と、前記速度指令を入力して制御演算しトルク指令を出力する速度制御器と、前記トルク指令を入力して前記制御対象位置を出力する制御対象とで構成される実機部と、
前記位置制御器を模擬したシミュレーション位置制御器と、前記速度制御器を模擬したシミュレーション速度制御器と、前記制御対象を模擬した模擬制御対象を有し前記シミュレーション速度制御器の出力である模擬トルク指令を入力して模擬制御対象位置を出力するメカモデル演算部とで構成されるシミュレーション部と、
前記トルク指令と前記模擬トルク指令とを比較演算してトルク指令差分値を出力する比較部と、を備え、前記トルク指令差分値に基づいて前記制御対象における粘性摩擦値およびクーロン摩擦値から成る摩擦力を演算すると共に、前記トルク指令に基づいて前記制御対象を制御するサーボ制御装置において、
実動作前に、予め決められた数パターンの一定速動作をn回行ない、各一定速速度における前記トルク指令差分値のn回平均値を演算し、制御対象速度に対する前記トルク指令差分値のn回平均値を直線近似してその時刻における粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を算出して記憶し、前記時刻毎における粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を直線近似して時間関数の粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を生成する摩擦モデル生成部と、
前記時間関数の粘性摩擦値およびクーロン摩擦値に基づいて実動作中の前記制御対象速度に応じた前記摩擦補償値を演算し、前記トルク指令値に前記摩擦補償値を加算して新たなトルク指令を出力する摩擦補償部と、を備え、
前記新たなトルク指令に基づいて前記制御対象を制御することを特徴とするサーボ制御装置。 - 前記制御対象が、更に温度センサを備え、
前記摩擦モデル生成部が、実動作前に、予め決められた数パターンの一定速動作をn回行ない、各一定速速度における前記トルク指令差分値のn回平均値を演算し、制御対象速度に対する前記トルク指令差分値のn回平均値を直線近似してその前記温度センサの温度における粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を算出して記憶し、前記温度毎における粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を直線近似して温度関数の粘性摩擦値およびクーロン摩擦値を生成し、
前記摩擦補償部が、前記温度関数の粘性摩擦値およびクーロン摩擦値に基づいて実動作中の前記制御対象速度に応じた前記摩擦補償値を演算することを特徴とする請求項3記載のサーボ制御装置。 - 前記サーボ制御装置が、更に未知外乱推定部を備え、前記未知外乱推定部が、接触または衝突時に前記制御対象に加わる前記粘性摩擦値およびクーロン摩擦値から成る摩擦力以外の外力を、前記新たなトルク指令および前記制御対象位置ならびに所定のしきい絶対値に基づいて演算して推定外力値として出力し、
前記メカモデル演算部が、前記模擬トルク指令および前記推定外力値を入力して前記模擬制御対象位置を出力することを特徴とする請求項1または3に記載のサーボ制御装置。
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