以下に本発明の実施例を、図面と共に説明する。
[第一実施例]
図1に示す本実施例の画像形成システム1は、所謂インクジェットプリンタとして構成されるものである。この画像形成システム1は、用紙搬送機構80を、直流モータであるPFモータ51により駆動し、用紙Qを、用紙搬送機構80が備えるローラ81の回転により副走査方向に搬送する。そして、用紙Qを所定量搬送する度に、用紙Qの搬送を一旦停止する。この停止時には、キャリッジ搬送機構110を直流モータであるCRモータ61により駆動する。これによって、キャリッジ搬送機構110が備えるキャリッジ111を副走査方向とは直交する主走査方向に搬送する。更に、キャリッジ111の搬送時には、キャリッジ111が搭載する記録ヘッド41を駆動し、記録ヘッド41にインク液滴を吐出させる。この動作の繰り返しにより、用紙Qに一連の画像を形成する。
詳述すると、本実施例の画像形成システム1は、図2に示すように、メインコントローラ10と、通信インタフェース20と、ユーザインタフェース30と、印字制御部40と、PFモータ制御部50と、CRモータ制御部60とを備える。
メインコントローラ10は、図示しないマイクロコンピュータ等から構成され、画像形成システム1全体を統括制御する。通信インタフェース20は、メインコントローラ10と外部機器(パーソナルコンピュータ等)との間の通信を実現する。メインコントローラ10は、通信インタフェース20を介して外部機器から印刷対象の画像データを受信し、この印刷対象の画像データに基づく画像が用紙Qに形成されるように、印字制御部40、PFモータ制御部50及びCRモータ制御部60に対して指令入力する。
この他、メインコントローラ10は、操作部(図示せず)を備えるユーザインタフェース30からの入力信号に基づき、ユーザの操作に応じた処理を実行する。更には、ユーザインタフェース30が備える表示部(図示せず)を介して、画像形成システム1内で発生したエラー等に関する情報を、ユーザ向けに表示する。
印字制御部40は、メインコントローラ10からの指令に従って記録ヘッド41を制御する。記録ヘッド41は、画像形成システム1が備える駆動回路43によって駆動され、インク液滴を吐出する。印字制御部40は、この駆動回路43を介して記録ヘッド41の駆動制御を行う。これにより、印字制御部40は、記録ヘッド41からのインク液滴の吐出動作を制御し、印刷対象の画像データに基づく画像が用紙Qに形成されるようにする。
一方、PFモータ制御部50は、メインコントローラ10からの指令に従ってPFモータ51を制御することにより、用紙Qの搬送制御を実現するものである。PFモータ51は、画像形成システム1が備える駆動回路53によって回転駆動される。駆動回路53は、PFモータ制御部50から入力されるPWM信号に従ってPFモータ51を回転駆動する。
PFモータ51は、画像形成システム1が備える動力伝達機構70に接続されており、この動力伝達機構70を介して用紙搬送機構80を駆動する。用紙搬送機構80には、用紙Qを搬送するためのローラ81として、給紙ローラ、搬送ローラ及び排紙ローラ等の複数のローラが設けられている。
用紙搬送機構80は、PFモータ51からの動力を、動力伝達機構70を介して受けて、これら複数のローラ81の回転により、用紙Qを給紙トレイから排紙トレイまで搬送する。但し、ローラ81の夫々とPFモータ51との接続/非接続、及び、これらローラ81の夫々の回転方向は、動力伝達機構70においてPFモータ51からの伝動経路が切り替えられることにより、切り替えられる。
PFモータ51の回転軸には、ロータリエンコーダ55が設けられており、ロータリエンコーダ55は、PFモータ51が所定量回転する度にパルス信号(A相及びB相信号)を出力する。PFモータ制御部50は、このロータリエンコーダ55からの入力信号に基づき用紙Qの搬送量及び速度を検出し、例えば、メインコントローラ10から指定された目標位置軌跡に従って用紙Qを搬送するように、PFモータ51を制御する。
この他、画像形成システム1は、PFモータ51によって駆動される吸引ポンプ90を備える。吸引ポンプ90は、記録ヘッド41のフラッシング動作により吐出されたインク廃液をタンク(図示せず)に回収するためのポンプである。この吸引ポンプ90は、動力伝達機構70を介してPFモータ51と接続されて動作する。動力伝達機構70は、切替機構100により操作されて、PFモータ51と吸引ポンプ90との接続/非接続を切り替える(詳細後述)。
また、CRモータ制御部60は、メインコントローラ10からの指令に従ってCRモータ61を制御することにより、キャリッジ111の搬送制御を実現するものである。CRモータ61は、画像形成システム1が備える駆動回路63によって回転駆動される。駆動回路63は、CRモータ制御部60から入力されるPWM信号に従ってCRモータ61を回転駆動する。
キャリッジ搬送機構110は、CRモータ61からの動力を受けて、キャリッジ111を主走査方向に搬送する。更に、この画像形成システム1には、キャリッジ111の位置を検出するためのリニアエンコーダ65が設けられている。リニアエンコーダ65は、キャリッジ111が所定量主走査方向に変位する度にパルス信号(A相信号及びB相信号)を出力する。
CRモータ制御部60は、このリニアエンコーダ65からの入力信号に基づいてキャリッジ111の位置及び速度を検出し、例えば、メインコントローラ10から指定された目標速度軌跡に従ってキャリッジ111を搬送するように、CRモータ61を制御する。
このCRモータ61によって駆動されるキャリッジ搬送機構110は、図3に示す構成にされる。キャリッジ搬送機構110は、キャリッジ111と、ベルト機構120と、ガイドレール130,140とを備える。
ベルト機構120は、主走査方向に配列された駆動プーリ121及び従動プーリ122と、駆動プーリ121と従動プーリ122との間に巻回されたベルト123とを備える。このベルト機構120では、駆動プーリ121がCRモータ61からの動力を受けて回転し、ベルト123及び従動プーリ122が、駆動プーリ121の回転に伴って、従動回転する。キャリッジ111は、このように動作するベルト123に固定される。
ガイドレール130は、主走査方向に沿って延設され、主走査方向に垂直な断面がL字形状の部材により構成される。この他、ガイドレール140は、ガイドレール130とは副走査方向に離れた位置で、ガイドレール130と平行に設けられる。ガイドレール140は、主走査方向に垂直な断面がL字形状の部材で構成される。
ベルト機構120は、ガイドレール130が有するレール本体131よりも副走査方向上流の領域に設置される。このベルト機構120とレール本体131との間の領域には、リニアエンコーダ65を構成するエンコーダスケール651が主走査方向に沿って設けられる。
キャリッジ111は、下面に、ガイドレール130のレール本体131及びガイドレール140のレール本体141の形状に対応する主走査方向の溝(図示せず)を備え、上面に、エンコーダスケール651の形状に対応する主走査方向の溝112を備える。
キャリッジ111は、下面の上記溝にレール本体131,141が配置されるようにガイドレール130,140上に載置される。この載置によって、キャリッジ111は、CRモータ61が回転すると、ベルト123の回転に連動して、レール本体131,141に案内され、主走査方向に移動する。キャリッジ111には、用紙Qにインク液滴を吐出可能に記録ヘッド41が搭載される。記録ヘッド41は、このキャリッジ111の移動に伴って、主走査方向に搬送される。
この他、キャリッジ111の上面に設けられた溝112には、エンコーダスケール651において等間隔に設けられた目盛りを光学的に読取可能な光学センサ653が搭載される。即ち、リニアエンコーダ65は、このエンコーダスケール651と光学センサ653とから構成される。
リニアエンコーダ65は、キャリッジ111が主走査方向に移動すると、ガイドレール130に固定されたエンコーダスケール651と、キャリッジ111と共に移動する光学センサ653との相対位置が変化する現象を利用して、光学センサ653でエンコーダスケール651の目盛りを読み取り、キャリッジ111の主走査方向の変位に応じたパルス信号を出力する。
この他、切替機構100は、ガイドレール140の主走査方向端部に設けられる。この切替機構100は、動力伝達機構70及びキャッピング機構150と連結されて構成される。図4に示すように、切替機構100は、ガイドレール140の主走査方向端部に設けられた貫通孔101と、レバー103と、から構成される。レバー103は、動力伝達機構70が備える支軸71に貫挿され、主走査方向に変位可能な可動部材として構成される。但し、レバー103は、印刷中にキャリッジ111に押されて移動することがないように、搬送される最大サイズの用紙Qに対する印刷時のキャリッジ111の移動範囲外に配置される。
このレバー103は、貫通孔101を上方に抜けてガイドレール140上に突出した状態で設けられており、ガイドレール140上を通過するキャリッジ111と接触する。レバー103は、搬送経路の端点に向けて移動するキャリッジ111と接触すると、キャリッジ111に押され、キャリッジ111の移動と共に変位する(図4太矢印参照)。
また、支軸71には、動力伝達機構70が備える切替ギヤ72が貫挿されており、切替ギヤ72は、PFモータ51と常に接続された構成にされる(図示せず)。更に、支軸71には、レバー103及び切替ギヤ72を両側から付勢する一組のバネ73A,73Bが設けられている。切替ギヤ72は、レバー103がキャリッジ111の移動と共に変位する際、バネ73Aに付勢されて、レバー103に接触した状態で、レバー103と共に変位する。
この切替ギヤ72は、その位置に応じて、動力伝達機構70が備える上記支軸71に沿って配列された第一伝動ギヤ75、第二伝動ギヤ76、第三伝動ギヤ77及び第四伝動ギヤ78のいずれか一つと接続される。切替ギヤ72は、接続された第一〜第四伝動ギヤ75〜78の一つに続く伝動経路に、PFモータ51からの動力を伝達する。
このように実現される切替ギヤ72と第一〜第四伝動ギヤ75〜78との接続/非接続によって、用紙搬送機構80が備えるローラ81の夫々とPFモータ51との接続/非接続及びローラ81の回転方向は切り替えられる。更には、PFモータ51と吸引ポンプ90との接続/非接続が切り替えられる。
具体的に、レバー103が位置A1(図4参照)にあるとき、切替ギヤ72は、第一伝動ギヤ75と接続され、レバー103が位置A2にあるとき、切替ギヤ72は、第二伝動ギヤ76と接続され、レバー103が位置A3にあるとき、切替ギヤ72は、第三伝動ギヤ77と接続され、レバー103が位置A4にあるとき、切替ギヤ72は、第四伝動ギヤ78と接続される。切替ギヤ72が第四伝動ギヤ78と接続されると、吸引ポンプ90は、PFモータ51と接続され、PFモータ51からの動力を受けて動作する。
レバー103が位置A4からキャリッジ111の搬送経路の端点である位置A5に移動する際、切替ギヤ72は、バネ73Aから付勢されるものの、第四伝動ギヤ78が有する傘歯車781によって位置A5側への移動を阻害されて、第四伝動ギヤ78と接続された状態で維持される。
このレバー103が位置A4から位置A5に移動する際には、レバー103の移動に連動して、レバー103に連結されたキャッピング機構150が、キャップ151を備える台152を、上方にリフトアップする。台152は、弾性材153を介してキャップ151を支持する。キャッピング機構150は、ガイドレール130,140に挟まれたキャリッジ111の搬送経路下方に設けられる。
台152は、キャッピング機構150が備える複数(例えば4本)のリンク155により支持される。リンク155は、台152より下方に位置する画像形成システム1の部位に回動可能に接続されており、回動により台152をリフトアップ及びリフトダウンする。具体的に、キャッピング機構150は、レバー103を介して、キャリッジ111からの力を受けて、台152をリフトアップする一方、台152の自重及びバネ付勢力により、台152をリフトダウンする。
キャッピング機構150は、キャリッジ111が搬送経路の端点(位置A5)に配置された時点でキャップ151の記録ヘッド41への装着を完了する構成にされており、キャップ151が記録ヘッド41に装着されることで、記録ヘッド41のノズル面は被覆され、インク詰まりは抑制される。
また、切替機構100は、図4上段に示す貫通孔101の形状により、レバー103が位置A1から位置A2又は位置A3に配置された後には、キャリッジ111が後退しても、レバー103がその位置で保持されるように構成されている。バネ73Aよりもバネ73Bの付勢力が大きく設定されている結果、キャリッジ111が位置A5から離れる方向に移動する場合、レバー103は位置A5からキャリッジ111の搬送経路中央側の位置A1まで戻される。
この他、位置A5は、キャリッジ111の原点位置として定められている。リニアエンコーダ65からの入力信号に基づいて検出されるキャリッジ111の位置Xは、キャリッジ111が原点位置に配置されたときに、修正される。画像形成システム1は、この原点位置にキャリッジ111が到達した時点で、当該システム内に設けられたフレーム等の構造物にキャリッジ111が接触するように構成されている。即ち、画像形成システム1は、キャリッジ111が原点位置よりも前進することがないように構成されている。
切替機構100による駆動伝達の切り替え動作は、印刷動作前やメンテナンス動作前に行われる。即ち、CRモータ制御部60は、次の動作に応じたギヤ連結となるように、キャリッジ111の移動を制御し、レバー103を適切な位置に配置する。
続いて、CRモータ制御部60の詳細構成を、図5を用いて説明する。CRモータ制御部60は、位置検出ユニット601と、速度検出ユニット603と、制御ユニット605と、PWM信号生成ユニット607と、反力推定ユニット609とを備える。
位置検出ユニット601は、リニアエンコーダ65から入力されるパルス信号としてのA相信号及びB相信号に基づき、キャリッジ111の位置Xを検出する。具体的に、位置検出ユニット601は、A相信号とB相信号との位相差から主走査方向を往復動するキャリッジ111の移動方向を特定する。そして、原点位置から離れる方向に移動している場合には、位置Xを、A相又はB相信号のパルスエッジを検出する度に1だけカウントアップするように更新し、キャリッジ111が原点位置に近づく方向に移動している場合には、上記パルスエッジを検出する度に位置Xを1だけカウントダウンするように更新する。この更新動作により、位置検出ユニット601はキャリッジ111の位置Xを検出する。
位置検出ユニット601により検出された位置Xは、制御ユニット605に入力される。本実施例では、この位置検出ユニット601により検出される位置Xが、キャリッジ111の搬送経路の端点(位置A5)である原点位置を基準とした位置となるように、必要に応じてキャリッジ111の原点位置への位置合わせを行う。
一方、速度検出ユニット603は、リニアエンコーダ65からの入力信号におけるパルスエッジ間隔に基づき、キャリッジ111の速度を検出する。速度検出ユニット603により検出された速度Vは、制御ユニット605に入力される。
制御ユニット605は、この位置検出ユニット601及び速度検出ユニット603により検出されたキャリッジ111の位置X及び速度Vに基づき、CRモータ61を制御することにより、キャリッジ111の搬送制御を実現する。例えば、メインコントローラ10から指定された目標速度軌跡に従ってキャリッジ111を搬送するように、CRモータ61を制御したり、キャリッジ111の位置Xに応じてモータ制御の態様を切り替えたりする。
具体的に、制御ユニット605は、CRモータ61を制御するために、CRモータ61に対する操作量Uとして、CRモータ61に印加する駆動電流を演算する。そして、この操作量Uを、PWM信号生成ユニット607に入力する。PWM信号生成ユニット607は、制御ユニット605から入力された操作量Uに対応するデューティー比のPWM信号を駆動回路63に入力する。駆動回路63は、このPWM信号に従って、操作量Uに対応する駆動電流でCRモータ61を回転駆動する。
一方、反力推定ユニット609は、キャリッジ111の速度制御中に制御ユニット605により演算された操作量Uと、速度検出ユニット603により検出された速度Vに対応する操作量U*との偏差(U−U*)を算出し、この偏差(U−U*)からキャリッジ111に作用する反力を推定する。
この反力推定ユニット609は、外乱オブザーバ610と、推定器620とを備える。外乱オブザーバ610は、逆モデル演算部611と、減算器613と、ローパスフィルタ615とを備える。逆モデル演算部611は、速度検出ユニット603により検出された速度Vを、制御対象の伝達モデルの逆モデルに対応する伝達関数G-1に入力して、速度Vに対応する操作量U*を演算する。ここで言う制御対象は、駆動回路63、CRモータ61、キャリッジ搬送機構110及びリニアエンコーダ65である。減算器613は、制御ユニット605により演算された操作量Uと上記操作量U*との偏差(U−U*)を算出する。ローパスフィルタ615は、この偏差(U−U*)から高周波成分を除去して、高周波成分除去後の偏差(U−U*)を、外乱推定値τとして出力する。
一方、推定器620は、外乱推定値τから動摩擦成分を除去して、キャリッジ111に作用する反力を推定する。推定器620は、動摩擦推定部621と、減算器623とを備える。動摩擦推定部621は、速度検出ユニット603により検出された速度Vがゼロであるときには、動摩擦力推定値としてゼロを設定し、速度Vがゼロではないときには、動摩擦力推定値として、ゼロではない所定値μNを設定する。減算器623は、外乱推定値τを動摩擦推定部621により設定された動摩擦力推定値(ゼロ又はμN)で減算する。推定器620は、この減算により算出された値を、キャリッジ111に作用する反力の推定値Rとして出力する。
制御ユニット605は、キャリッジ111を原点位置に位置合わせするように、CRモータ61を制御する際には、この反力推定値Rに基づいて、キャリッジ111が原点位置に近づいていることを検知し、高速にキャリッジ111が原点位置に到達しないようにする。
原点位置はキャリッジ111の搬送経路の端点であることから、高速にキャリッジ111が原点位置に到達すると、キャリッジ111と画像形成システム1内の構造物との間に激しい衝突が起こる。この衝突により、ユーザにとって不快な音が発生する。また、激しい衝突により、記録ヘッド41のメニスカスが崩壊し、その後の画像形成に影響を与える可能性がある。
この他、キャリッジ111が原点位置に進入する際には、キャリッジ111の移動に合わせてキャップ151がリフトアップする。しかしながら、高速にキャリッジ111が原点位置に進入すると、リフトアップも高速に行われることから、記録ヘッド41にキャップ151が装着される際に、キャップ151が記録ヘッド41を傷つけてしまう可能性がある。
このような理由により、制御ユニット605は、反力推定値Rが所定条件を満足すると、キャリッジ111が原点位置に近づいているとみなして、キャリッジ111の目標速度Vrを、メインコントローラ10から指定された第一の目標速度V1から、それより低い第二の目標速度V2に切り替える。そして、この目標速度V2でキャリッジ111が搬送されるように、CRモータ61を制御する。これにより、低速でキャリッジ111を原点位置に位置合わせする。
図6中段には、目標速度Vrの切替態様を、時間対目標速度のグラフとして示す。また、図6上段には、反力推定値Rの時間変化を、時間対反力推定値のグラフとして示し、図6下段には、反力閾値Rthの切替態様を、時間対反力閾値のグラフとして示す。
本実施例によれば、キャリッジ111は、原点位置に近づくときにレバー103を押しながら移動する。このとき、レバー103からキャリッジ111に作用する反力は、キャリッジ111に位置に応じて変化する。具体的に、レバー103には、バネ73Bにより付勢力が働いていることから、キャリッジ111が原点位置に近づくに従って反力は大きくなる傾向を示す。図6上段の実線は、用紙ジャム等の異常が発生していない正常時に反力推定ユニット609から得られる反力推定値Rの時間変化を示す。
更に、図4に示す形状の貫通孔101の縁に沿ってレバー103が移動することから、反力はキャリッジ111とレバー103との接触が開始される位置A1から原点位置である位置A5までの区間において、複数回の局所的なピークを示す。本実施例によれば、反力は、レバー103が位置A1から位置A2に移動する間に、第一のピークを示し、レバー103が位置A2から位置A3に移動する間に、第二のピークを示し、レバー103が位置A3から位置A4に移動する間に、第三のピークを示す。その後、レバー103が位置A4から位置A5に移動する過程では、単調に反力が上昇し、キャリッジ111及びレバー103が原点位置(A5)に到達した時点で、反力は最大となる。
本実施例によれば、このような反力の傾向を利用して、図6中段及び下段に示すように、反力推定値Rが反力閾値R1を超えるまでは、目標速度Vrとして第一の目標速度V1を設定し、反力推定値Rが反力閾値R1を超えると、目標速度Vrを、第一の目標速度V1よりも低い第二の目標速度V2に切り替えると共に、反力閾値Rthを、第一の反力閾値R1から、それよりも大きい第二の反力閾値R2に切り替える。そして、反力推定値Rが反力閾値R2を超えると、キャリッジ111が原点位置に到達したとみなして、位置検出ユニット601による検出位置Xをゼロに修正する。
反力閾値R1は、キャリッジ111が位置A4に到達するまでの間に、目標速度Vrが第二の目標速度V2に切り替えられるような値として予め定めておくことができる。また、反力閾値R2としては、キャリッジ111が原点位置に到達したときだけに生じるような大きな値を設計段階で定めておくことができる。
但し、用紙ジャムが発生した場合にも、キャリッジ111には大きな反力が働く。従って、単に反力推定値Rが反力閾値R2を超えたことを条件に、位置検出ユニット601が検出する位置Xをゼロに修正しても、正常に検出位置Xを修正できない可能性がある。
本実施例は、このような誤修正を抑制するために、反力が異常な上昇を示した場合には、用紙ジャム等の異常が発生したとみなして、位置Xの修正を行わないようにする。図6上段に示す一点鎖線及び二点鎖線は、用紙ジャムが生じた場合の反力推定値Rの時間変化を示したものである。反力推定値Rは、用紙ジャムが発生した際の用紙Qが光沢紙のような厚みのある用紙である程、大きな上昇率を示す。
続いて、メインコントローラ10からの指令に従って、制御ユニット605が実行する原点検知処理の内容を、図7を用いて説明する。原点検知処理は、原点位置にキャリッジ111を配置して位置検出ユニット601による検出位置Xを修正するための処理である。
メインコントローラ10は、画像形成システム1の起動時や、所定量の印刷動作が行われる度に、制御ユニット605に対して原点検知処理を実行するように指令入力する。起動時以外に検出位置Xの修正が必要な理由は、エンコーダスケール651の汚れ等に起因して、位置検出ユニット601による検出位置Xが正確な値から少しずつずれていく可能性があるためである。
図7に示す原点検知処理を開始すると、制御ユニット605は、目標速度Vrとして第一の目標速度V1を設定し、この目標速度V1に対応する速度でキャリッジ111が原点位置側に定速搬送されるように、CRモータ61を制御する(S610)。具体的には、キャリッジ111が目標速度V1で定速搬送されるような操作量Uを演算して、これをPWM信号生成ユニット607に入力する。更に、反力閾値Rthとして第一の反力閾値R1を設定し、操作量Uを演算する度に、反力推定ユニット609から得られる反力推定値Rが反力閾値R1を超えたか否かを判断する(S620)。
このようにして反力推定値Rが反力閾値R1を超えるまでは(S620でNo)、目標速度V1を用いたキャリッジ111の定速搬送制御を実行し(S610)、反力推定値Rが反力閾値R1を超えたと判断すると(S620でYes)、S630に移行する。
S630に移行すると、制御ユニット605は、時刻Tnとして、現在時刻を記憶する。その後、制御ユニット605は、目標速度Vrとして、第一の目標速度V1より低い第二の目標速度V2を設定し、この目標速度V2に対応する速度でキャリッジ111が原点位置側に定速搬送されるように、CRモータ61を制御する(S640)。
即ち、S640では、キャリッジ111が目標速度V2で定速搬送されるような操作量Uを演算し、これをPWM信号生成ユニット607に入力する。更に、反力閾値Rthとして第二の反力閾値R2を設定し、操作量Uを演算する度に、反力推定ユニット609から得られる反力推定値Rが反力閾値R2を超えたか否かを判断する(S650)。そして、反力推定値Rが反力閾値R2を超えたと判断すると(S650でYes)、S660に移行する。但し、S660に移行しても、原点検知処理を終了するまでは、CRモータ61の駆動を停止しないようにする。
S660に移行すると、制御ユニット605は、時刻Tnからの経過時間Lを算出し、経過時間Lが、予め定められた異常判定値以下であるか否かを判断する(S670)。異常判定値は、用紙ジャム等の異常が生じていない状態でキャリッジ111が原点位置に到達する際に、反力推定値Rが値R1から値R2まで上昇するのに要する時間Te(図6参照)の最短値よりも短い値に定めることができる。
そして、経過時間Lが異常判定値以下であると判断すると(S670でYes)、制御ユニット605は、反力が急上昇するようなキャリッジ111の搬送異常(用紙ジャム等)が発生したとみなして、エラー処理を実行する(S680)。エラー処理では、例えば、異常が発生したことをメインコントローラ10に通知し、メインコントローラ10に、ユーザインタフェース30を通じてユーザに異常を知らせる処理を実行させる。その後、当該原点検知処理を終了する。
一方、経過時間Lが異常判定値を超えていると判断すると(S670でNo)、制御ユニット605は、正常にキャリッジ111が原点位置に到達したとみなして、原点設定処理を実行する(S690)。その後、当該原点検知処理を終了する。
S690で実行する原点設定処理では、位置検出ユニット601が保持するキャリッジ111の位置Xをゼロにリセットすることにより、位置Xを修正する。
但し、原点設定処理では、位置検出ユニット601が検出する位置Xをゼロにリセットせずに、この時点で位置検出ユニット601が検出する位置Xを、基準値X0として記憶してもよい。即ち、制御ユニット605は、位置検出ユニット601により検出された位置Xを、基準値X0を用いて補正することにより、キャリッジ111の現在位置を特定(検出)する構成にされてもよい。
以上、本実施例の画像形成システム1について説明したが、本実施例によれば、光学センサによってマーカーを検知する手法ではなく、キャリッジ111に作用する反力を推定する手法で、キャリッジ111が搬送経路上の特定位置(位置A1から位置A4までの区間内)を通過したことを検知し、キャリッジ111の搬送速度を低い速度に変更する。
従って、光学センサを用いずに、キャリッジ111を原点位置に位置合わせする際の速度制御を適切に行うことができる。よって、高速にキャリッジ111が原点位置に到達することに起因する上述した問題の発生を抑制することができる。
特に、本実施例によれば、画像形成システム1の動作モードの切替(具体的には、伝動経路の切替)やキャッピング機構150の駆動のために設けられた切替機構100による反力の変化を利用し、目標速度Vrを切り替える。従って、既存の画像形成システム1のハードウェア構成に大幅な変更を加えることなく、キャリッジ111の速度切替を適切に行うことができる。
更に、本実施例によれば、反力推定値Rを、反力閾値R1,R2と比較する程度で、キャリッジ111を原点位置に適切に配置し、位置検出ユニット601が検出する位置Xを適切に修正することができる。従って、安価に優れた画像形成システム1を構成することができる。
この他、本実施例によれば、用紙ジャムによる反力上昇を、キャリッジ111が原点位置に到達した現象として誤検知しないように、反力推定値Rが値R1から値R2に変化する時間が、通常の時間(異常判定値)よりも短い場合には、エラー処理を実行するようにした。従って、本実施例によれば、用紙ジャム等の影響を抑えて、キャリッジ111が原点位置に近づいていることを正確に検知することができ、高性能な画像形成システムを構成することができる。
ところで、上記実施例では、キャリッジ111が原点位置に到達したことを、反力推定値Rが反力閾値R2を超えたか否かを判断することによって検知したが、S650では、次のようにして、キャリッジ111が原点位置に到達したことを検知してもよい。
即ち、S650では、位置検出ユニット601が検出する位置Xが所定時間以上変化していない状態である否かを判断してもよい。キャリッジ111が原点位置に到達している場合には、位置Xが更新されない。従って、上記判断によっても、キャリッジ111が原点位置に到達したことを適切に検知することができる。
更に言えば、S650では、リニアエンコーダ65の出力信号を観測し、リニアエンコーダ65から最後にパルスエッジが入力されてからの経過時間が所定時間を超えたか否かを判断してもよい。この判断によってもキャリッジ111が原点位置に到達したことを適切に検知することができる。
この他、S630では、時刻Tnに代えて、位置検出ユニット601が検出している現在位置Xを、位置Pnとして記憶してもよい。そして、S660では、パラメータLとして、時刻Tnからの経過時間に代えて、位置Pnからの移動量を算出し、S670では、この移動量が、予め定められた異常判定値以下であるか否かを判断してもよい。このように経過時間Lに代えて移動量を用いても、同様の作用効果を得ることが可能である。
[第二実施例]
続いて、第二実施例を説明する。但し、第二実施例の画像形成システム1は、制御ユニット605が実行する原点検知処理の内容が、第一実施例と異なる程度である。従って、以下では、第二実施例の原点検知処理の内容を選択的に説明する。本実施例の制御ユニット605は、図7に示す原点検知処理に代えて、図8に示す原点検知処理を実行する。
原点検知処理を開始すると、制御ユニット605は、S610での処理と同様、キャリッジ111が目標速度V1で定速搬送されるような操作量Uを演算し、これをPWM信号生成ユニット607に入力する(S710)。更に、操作量Uを演算する度に、反力閾値R1を超える反力推定値RのピークをK回検出したか否かを判断する(S720)。ここでは、反力推定値Rの時間変化を観測し、反力推定値Rが反力閾値R1を下方から上方に跨ぎ、更に、上方から下方に跨いだ時点で、第一の反力閾値R1を超える反力推定値Rのピークを検出したと判断する。
本実施例では、キャリッジ111が位置A1に到達した時点から反力推定値Rが反力閾値R1を跨ぐ2回のピークを示した後に、キャリッジ111が位置A4から位置A5に移動する。従って、定数Kとしては、値1又は値2を定めることができる。
そして、上記ピークをK回検出していないと判断すると(S720でNo)、S730に移行し、キャリッジ111の搬送異常が生じていないかどうか判断する。ここでは、反力推定値Rが反力閾値R2を超えるか、位置検出ユニット601による検出位置Xが所定時間更新されなくなる事象が発生すると、キャリッジ111の搬送異常が生じたと判断し、それ以外の場合には、搬送異常が生じていないと判断することができる。
搬送異常が生じていないと判断すると(S730でNo)、制御ユニット605は、S710に移行する。これによって制御ユニット605は、上記ピークをK回検出するか、搬送異常が生じるまで、目標速度V1でのキャリッジ111の定速搬送制御を継続する。そして、搬送異常が生じたと判断すると(S730でYes)、S780に移行し、S680と同様のエラー処理を実行する。その後、当該原点検知処理を終了する。
一方、上記ピークをK回検出すると、制御ユニット605は、S740に移行して、S640での処理と同様に、キャリッジ111が目標速度V2で定速搬送されるような操作量Uを演算し、これをPWM信号生成ユニット607に入力する。更に、操作量Uを演算する度に、反力推定値Rが反力閾値R2を超えたか否かを判断する(S750)。
そして、反力推定値Rが反力閾値R2を超えたと判断すると(S750でYes)、S790に移行する。S790に移行すると、制御ユニット605は、キャリッジ111が原点位置に到達したとみなして、S690と同様に、原点設定処理を実行する。その後、当該原点検知処理を終了する。
以上、第二実施例について説明したが、本実施例によっても、キャリッジ111を原点位置に位置合わせする際の速度制御を適切に行うことができる。特に、本実施例によれば、切替機構100における反力の変動パターンに対応したK回のピークを検出したことを条件に、目標速度Vrを目標速度V2に下げる。従って、突発的な負荷変動によって、原点位置の近くにキャリッジ111が存在しないにも拘わらず、目標速度Vrが目標速度V2に切り替わってしまうのを抑えることができる。結果、無駄に遅い速度でキャリッジ111の原点位置までの搬送が行われるのを抑えることができる。
尚、本実施例においても、第一実施例のS650での処理と同様に、リニアエンコーダ65からパルスエッジが所定時間以上入力されなくなる事象、及び、キャリッジ111の検出位置Xが所定時間以上更新されなくなる事象のいずれか一方が発生すると、S750からS790に移行し、原点設定処理を実行するように、制御ユニット605は構成され得る。
[第三実施例]
続いて、第三実施例を説明する。但し、第三実施例の画像形成システム1は、制御ユニット605が図9に示す探索検知処理を実行する点で第一及び第二実施例と異なる程度である。従って、以下では、この探索検知処理に関する説明を選択的に行う。
本実施例において、メインコントローラ10は、画像形成システム1の起動時又は所定量の印刷動作が行われる度、制御ユニット605に対して原点検知処理を実行するように指令入力する。一方、用紙ジャムが発生した後、ユーザインタフェース30に対して用紙ジャムに対処した旨のユーザ操作がなされたときには、制御ユニット605に対して図9に示す探索検知処理を実行するように指令入力する。
探索検知処理が行われる環境は、用紙ジャムに対するユーザの処置が適切ではなく用紙ジャムが再発する可能性が十分にあるという点で通常の環境とは異なる。探索検知処理は、用紙ジャムに好適に対処可能な処理として構成される。
探索検知処理を開始すると、制御ユニット605は、位置検出ユニット601から得られるキャリッジ111の位置Xに基づき、キャリッジ111が原点位置側に存在するか否かを判断する(S810)。ここでは、キャリッジ111の搬送経路の内、用紙Qが通過する区間の外側であって、原点位置側の領域(図1参照)にキャリッジ111が存在する場合に肯定判断し、それ以外の領域にキャリッジ111が存在する場合に否定判断することができる。
そして、肯定判断すると(S810でYes)、制御ユニット605は、キャリッジ111を原点位置に近づく方向とは逆方向に所定量後退させるようにCRモータ61を制御した後(S820)、図7又は図8に示す原点検知処理を実行する(S825)。その後、当該探索検知処理を終了する。
一方、S810で否定判断すると、制御ユニット605は、S830に移行する。S830では、S610での処理と同様、キャリッジ111が目標速度V1で定速搬送されるような操作量Uを演算し、これをPWM信号生成ユニット607に入力する。更に、操作量Uを演算する度に、反力推定値Rが反力閾値R1を超えたか否かを判断する(S835)。
このようにして反力推定値Rが反力閾値R1を超えるまでは(S835でNo)、制御ユニット605は、目標速度V1を用いたキャリッジ111の定速搬送制御を実行し(S830)、反力推定値Rが反力閾値R1を超えたと判断すると(S835でYes)、S840に移行する。
S840に移行すると、制御ユニット605は、時刻Tnとして現在時刻を記憶する。その後、目標速度Vrとして、第一の目標速度V1より低い第二の目標速度V2を設定し、キャリッジ111が目標速度V2で定速搬送されるような操作量Uを演算して、これをPWM信号生成ユニット607に入力する(S850)。
更に、操作量Uを演算する度に、時刻Tnからの経過時間Lを算出し(S855)、経過時間Lが異常判定値未満であるか否かを判断する(S860)。S860で用いられる異常判定値は、第一実施例とは異なり、用紙ジャム等の異常が生じていない状態での反力推定値Rの変動周期Tw(図6参照)の最大値よりも大きい値に定められる。
そして、経過時間Lが異常判定値以上であると判断すると(S860でNo)、制御ユニット605は、キャリッジ111の搬送異常が発生したとみなして、S680での処理と同様に、エラー処理を実行する(S880)。その後、当該探索検知処理を終了する。
一方、経過時間Lが異常判定値未満であると判断すると(S860でYes)、反力推定値Rが反力閾値R1未満であるか否かを判断する(S865)。そして、否定判断すると(S865でNo)、S850に移行し、肯定判断すると(S865でYes)、S870に移行する。S870に移行すると、制御ユニット605は、ピーク検出回数Mを1カウントアップする。尚、ピーク検出回数Mは、当該探索検知処理の開始時に、ゼロにリセットされるものとする。
その後、制御ユニット605は、ピーク検出回数Mが規定回数K以上であるか否かを判断する(S875)。規定回数Kは、レバー103の位置に基づいて定められる。用紙ジャムが発生した後の環境では、メインコントローラ10が、それまでの動作状態を記憶している。即ち、レバー103の位置は、この環境において明らかである。一方、レバー103の位置に応じて、キャリッジ111が原点位置に移動する際のピーク検出回数は変化する。このため、制御ユニット605は、メインコントローラ10から得られる情報に基づいて、レバー103の位置に応じた適切な規定回数Kを特定し、上記判断を行う。
制御ユニット605は、上記ピーク検出回数Mが規定回数K未満であると判断すると(S875でNo)、S840に移行する。一方、ピーク検出回数Mが規定回数K以上であると判断すると(S875でYes)、S890に移行し、副原点検知処理を実行する。ここで言う副原点検知処理は、図7又は図8において破線により囲んで示す処理のことである。即ち、S890では、図7に示す原点検知処理におけるS640以降の処理、又は、図8に示す原点検知処理におけるS740以降の処理を実行する。その後、当該探索検知処理を終了する。
このようにして、本実施例では、キャリッジ111が再度の用紙ジャムが発生する可能性のある位置に存在するとき(S810でNo)、反力推定値Rが反力閾値R1を超えた時点で目標速度Vrを目標速度V2に切り替えて、キャリッジ111の定速搬送制御を行いつつ、反力閾値R1を超えるピークを反力推定値Rが示した回数Mをカウントする。
そして、このピーク検出回数Mが規定回数K以上となったことを条件に、通常の原点検知処理(副原点検知処理)を実行する。一方、反力推定値Rが反力閾値R1を下回らない状態が長く続いた場合には(S860でNo)、用紙ジャム等の異常が発生したとみなして、エラー処理を実行する。
以上、第三実施例の画像形成システム1について説明したが、本実施例によれば、用紙ジャムが発生した後、再度の用紙ジャムが発生する可能性が高い状態において、より適切なキャリッジ111の搬送制御を行うことができる。
即ち、本実施例によれば、再度の用紙ジャムが発生した場合には、迅速に異常を検知してエラー処理を実行することができる。一方、用紙ジャムが発生しない場合には、適切にキャリッジ111を原点位置に配置し位置検出ユニット601による検出位置Xを修正することができる。従って、本実施例によれば、高性能な画像形成システム1を構成することができる。
尚、本実施例においても、第一実施例と同様、S840では、時刻Tnを記憶する代わりに、キャリッジ111の現在位置Pnを記憶してもよい。そして、S855では、パラメータLとして、位置Pnからの移動量を算出し、S860では、この移動量が、予め定められた異常判定値未満であるか否かを判断してもよい。
[他の実施形態]
ところで、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、本発明は、インクジェットプリンタ以外の種々の画像形成システムに適用することができる。
この他、CRモータ制御部60は、ASICのような専用回路として構成されてもよいし、マイクロコンピュータを備えた構成にされてもよい。例えば、CRモータ制御部60が備える制御ユニット605は、図5に示すようにCPU605A及びROM605Bを備えたマイクロコンピュータとして構成され得る。この場合、制御ユニット605は、ROM605Bに記録されたプログラムに従う処理をCPU605Aにて実行することにより、上述した機能を実現する構成にすることができる。
[対応関係]
最後に、用語間の対応関係について説明する。キャリッジ搬送機構110、切替機構100及びキャッピング機構150は、可動機構を備える搬送デバイスの一例に対応し、レバー103は、接触部材及び可動部材の一例に対応する。一方、CRモータ制御部60は、制御デバイスの一例に対応する。