JP3829977B2 - シリアルプリンタ及びホームシーク方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリアルプリンタに関し、具体的には、ホームシークのための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シリアルプリンタでは、プリンタの電源投入時等に、キャリッジの移動範囲の一端に設定されているホームポジションにキャリッジを移動させ、キャリッジがホームポジションに到達したときに、キャリッジの位置管理のための位置レジスタの数値をホームポジションに相当する数値にする(初期化する)ホームシークが行われる。
【0003】
シリアルプリンタには、キャリッジがホームポジションに到達したことを検出できるように、ホームポジションに到達したキャリッジがそれ以上進めないようにキャリッジの移動を阻止する部材(以下、移動阻止部材)が設けられているものがある。この種のシリアルプリンタは、例えば以下のようにしてホームシークを行う。すなわち、図1に示すように、まず、電流をキャリッジモータに流してキャリッジモータを回転させることで、キャリッジをホームポジションに移動させる。そして、そのシリアルプリンタは、キャリッジがホームポジションに到達して移動阻止部材にぶつかり、キャリッジモータのエンコーダからON/OFF信号の入力がなくなった時に、キャリッジがホームポジションに到達したと判定して、キャリッジモータへの通電を止め、位置レジスタの値をホームポジションに相当する値にする(時刻T)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した方法では、キャリッジモータへの通電を止めたときに、キャリッジが移動阻止部材に押し返されてホームポジションからずれてしまうために、正確にホームシークを行えない場合がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、移動阻止部材を有するシリアルプリンタが確実に正確なホームシークを行えるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面に従うシリアルプリンタは、印刷ヘッドを運ぶキャリッジと、キャリッジの位置を管理する位置管理回路と、ホームシークのためにキャリッジをホームポジションへ向けて移動させているときにキャリッジがホームポジションに位置したか否かを判定する判定手段と、その判定の結果、キャリッジがホームポジションに位置したと判定されたときにキャリッジをホームポジションに固定するキャリッジ固定手段と、キャリッジが固定されている間にキャリッジの位置を表す上記位置管理回路の状態をホームポジションに対応する状態に設定するホームポジション設定手段とを備える。
【0007】
本発明の第2の側面に従うシリアルプリンタは、印刷ヘッドを運ぶキャリッジと、キャリッジの位置を管理する位置管理回路と、移動したキャリッジがホームポジションに到達したときキャリッジにぶつかって、それ以上その移動の方向にキャリッジが移動しないように阻止するキャリッジ移動阻止部材と、キャリッジを移動させるキャリッジモータと、ホームシークのためにキャリッジがホームポジションに向けて移動しているとき、キャリッジが上記キャリッジ移動阻止部材にぶつかってキャリッジが止まったか否かを検出するキャリッジ停止検出手段と、キャリッジモータの回転を制御する手段であって、ホームシークのためにキャリッジをホームポジションにむけて移動させ、そのときに、キャリッジ停止検出手段によりキャリッジが止まったことを検出されたら、キャリッジモータに一時的に電流を流し続けて、キャリッジをキャリッジ移動阻止部材に押し当て続けるキャリッジモータ制御手段と、キャリッジが上記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続けられている間にキャリッジの位置を表す上記位置管理回路の状態をホームポジションに対応する状態に設定するホームポジション設定手段とを備える。
【0008】
本発明の第2の側面に従う第1の好適な実施形態では、シリアルプリンタは、上記ホームポジション又は上記ホームポジション付近にて、キャリッジが上記キャリッジ移動阻止部材を押している力で印刷ヘッドを封止し印刷ヘッド内のインクの乾燥を防ぐキャッピング機構を更に備える。
【0009】
本発明の第2の側面に従う第2の好適な実施形態では、上記キャリッジモータは直流モータである。
【0010】
本発明の第3の側面に従うホームシーク方法は、印刷ヘッドを運ぶキャリッジと、キャリッジの位置を管理する位置管理回路とを有するシリアルプリンタにおけるホームシークの方法であって、ホームシークのためにキャリッジをホームポジションへ向けて移動させるステップと、ホームシークのためにキャリッジがホームポジションへ向けて移動しているときキャリッジがホームポジションに位置したか否かを判定するステップと、その判定の結果、キャリッジがホームポジションに位置したと判定されたときにキャリッジをホームポジションに固定するステップと、キャリッジが固定されている間にキャリッジの位置を表す上記位置管理回路の状態をホームポジションに対応する状態に設定するステップとを有する。
【0011】
本発明の第4の側面に従うホームシーク方法は、印刷ヘッドを運ぶキャリッジと、上記キャリッジの位置を管理する位置管理回路とを有するシリアルプリンタにおけるホームシークの方法であって、上記シリアルプリンタが、移動したキャリッジがホームポジションに到達したときキャリッジにぶつかって、それ以上その移動の方向にキャリッジが移動しないように阻止するキャリッジ移動阻止部材を備えている場合、ホームシークのために上記キャリッジをホームポジションにむけて移動させるステップと、ホームシークのためにキャリッジがホームポジションに向けて移動しているとき、キャリッジが上記キャリッジ移動阻止部材にぶつかってキャリッジが止まったか否かを検出するステップと、キャリッジが止まったことを検出されたらキャリッジモータに一時的に電流を流し続けてキャリッジをキャリッジ移動阻止部材に押し当て続けるステップと、キャリッジが上記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続けられている間にキャリッジの位置を表す上記位置管理回路の状態をホームポジションに対応する状態に設定するステップとを有する。
【0012】
本発明のホームシーク方法における各ステップはコンピュータにより実施することができるが、そのためのコンピュータプログラムは、ディスク型ストレージ、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種媒体を通じてコンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、本実施形態の要旨であるホームシーク方法を説明する前に、本実施形態に係るプリンタの構成と、そのプリンタに設けられているキャッピング機構とを説明する。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成図である。
【0015】
この実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」と言う)100において、紙送りローラ5は、キャリッジ1の往復移動に伴って、印刷用紙6をこのプリンタ100の排紙トレイ(図示せず)に送り出す。
【0016】
キャリッジ1は、キャリッジモータ2の駆動(回転)によるタイミングベルト3の動作に連動し、ガイド部材4が案内する方向、すなわち、紙送り方向と垂直の方向(以下、主走査方向)に往復移動するように構成されている。キャリッジ1は、印刷ヘッド12と連動するいわゆるオンキャリッジタイプのインクカートリッジに対応しており、このキャリッジ1には、例えばシアン、マゼンタ、イエローの3色のカラーインクが入っているカラーインクカートリッジ8と、黒インクが入っている黒インクカートリッジ7が装着される。このキャリッジ1の往復移動と、この往復移動に対応する紙送りローラ5の紙送り動作との繰り返しによって、印刷用紙6に印刷画像が形成される。
【0017】
キャリッジ1のホームポジションへの移動方向(以下、ホームポジション方向)において、ホームポジションのやや手前には、印刷ヘッド12内のインクの乾燥を防ぐために印刷ヘッド12にキャップをするキャッピング機構9が設けられている。キャッピング機構9は、後に詳述するように、キャリッジ1が真上に到達してホームポジションに進んだ時に、印刷ヘッド12のノズル形成面を封止するように構成されている。このキャッピング機構9の下方には、キャッピング機構9の内部空間に負圧を与えるためのポンプユニットとして吸引ポンプ10が設けられている。キャッピング機構9は、上記のようにインクの乾燥を防止するという機能だけでなく、印刷とは関係ない駆動信号を印刷ヘッド12に送ってインク滴を空打ちさせるブラッシング動作時のインク受けとしての機能や、吸引ポンプ10からの負圧を印刷ヘッド12に作用させてインクを吸引するクリーニング機能も備えている。
【0018】
ホームポジション方向において、キャッピング機構9の更に手前には、印刷ヘッド12の移動経路に進退可能に、印刷ヘッド12の表面を清掃しノズルのインク詰りを解消するためのワイピング機構11が配置されている。なお、このワイピング機構11の進退動作と、上述した吸引ポンプ10の吸引動作には、紙送りローラ5を回転させる紙送りモータの駆動力が利用される。
【0019】
図3及び図4は、キャッピング機構9の構成及び動作を示す図である。
【0020】
図3及び図4に示すように、キャッピング機構9には、印刷ヘッド12のノズル形成面を封止するためのキャップ9aと、このキャップ9aを保持するキャップホルダ9bとが備えられている。
【0021】
キャップ9aは、キャップホルダ9bに例えば二色成形法によって一体に設けられており、全体が例えばエラストマー等の弾性素材からなる略矩形状の箱体によって形成されている。そして、キャップ9aは、吸引ポンプ10にインク排出官(図示せず)を介して接続されている。これにより、例えばプリンタ100のCPUからクリーニング指令を受けた場合には、印刷ヘッド12のノズル形成面を封止した状態において吸引ポンプ10による負圧がキャップ9aの内部空間に印加され、印刷ヘッド12からインクを強制的に排出させることができる。
【0022】
キャップホルダ9bは、キャップ9aと同様に略矩形状の箱体から成り、その全体がキャップ9aの素材(例えばエラストマー)より硬い素材によって形成されている。このキャップホルダ9bは、後述するスライダ15上に位置し、圧縮ばね(図示せず)によって印刷ヘッド12側に常時付勢されており、図4に示すように、キャリッジ1がホームポジションに到達したときに、上記圧縮ばねによる付勢力とキャップ9aの素材の弾性力とにより、印刷ヘッド12のノズル形成面を封止する。
【0023】
また、このキャッピング機構9には、固定フレーム31に設けられているカム孔23、25に従って、ホームポジション方向やその反対方向にスライドし且つ上下方向に昇降することができる昇降スライダ15が設けられている。
【0024】
固定フレーム31に設けられているカム孔23、25は、昇降スライダ15に設けられているスライダ突起15b、15dの挿入を受けて、スライダ突起15b、15dを案内する(つまり、昇降スライダ15を案内する)ための孔である。カム孔23、25は、低地エリア23a、25aと、高地エリア23b、25bと、低地エリア23a、25aから高地エリア23b、25bへ昇降スライダ15を案内する傾斜23c、25cとをそれぞれ有している。この構成により、カム孔23、25は、上述したように、昇降スライダ15を、ホームポジション方向やその反対方向にスライドさせ且つ上下方向に昇降させることができる。
【0025】
昇降スライダ15は、図示しない引張ばねによって、固定フレーム31に引っ張られている。具体的に言えば、昇降スライダ15は、引張ばねによって、昇降スライダ15がホームポジション方向と反対の方向であって、且つ、印刷ヘッド12から離間する方向(つまり下方向)に付勢されている。これにより、昇降スライダ15は、印刷中は(つまり、キャリッジ1がホームポジションに移動して来ないときは)、図3に示すように、昇降スライダ15の移動可能な範囲において、ホームポジションから最も離れ且つ最も低い場所(以下、この場所を「スライダ初期ポジション」と言う)に位置している。
【0026】
昇降スライダ15は、カム孔23、25にそれぞれ挿し込むための突起であって紙面表方向に突き出ているスライダ突起15b、15dと、ホームポジション方向の縁から鉛直上方向に延び出たキャリッジ受け壁15Aとを有している。キャリッジ受け壁15Aは、昇降スライダ15がスライダ初期ポジションに位置するときに、ホームポジションに移動して来たキャリッジ1の、キャリッジ1からホームポジション方向へ突き出たキャリッジ突起1aが確実に当る高さまで延び出ている。
【0027】
以下、印刷ヘッド12を封止するときのキャッピング機構9の動作を説明する。
【0028】
図3に示すように、キャリッジ1がホームポジションに移動して来て、印刷ヘッド12がキャップ9aの略真上まで来ると、キャリッジ1からホームポジション方向へ突き出たキャリッジ突起1aが、昇降スライダ15に直立するように設けられたキャリッジ受け壁15Aに当る。
【0029】
その後、そこからキャリッジ1が更にホームポジション方向へ移動することで、図4に示すように、昇降スライダ15のキャリッジ受け壁15Aがキャリッジ突起1aに押され、昇降スライダ15が、上述した引張ばねの付勢力に逆らって、固定フレーム31のカム孔23、25の案内に従い、ホームポジション方向へスライドしつつ鉛直上方向に上昇する。
【0030】
そして、昇降スライダ15が、完全に上昇すると(つまりスライダ突起15b、15dがカム孔23、25の高地エリア23b、25bにそれぞれ完全に移動すると)、それと共にキャップ9aが上昇して印刷ヘッド12が封止される。
【0031】
その後、昇降スライダ15が、キャリッジ1に押されて、カム孔23、25に従って可能な限りホームポジション方向へ進み終えたときに(つまり、スライダ突起15dが、カム孔25のホームポジション方向最奥にある壁108に当ったときに)、キャリッジ1がホームポジションに位置する(つまり、本実施形態におけるホームポジションは、可能な限りホームポジション方向にスライドした昇降スライダ15のキャリッジ受け壁15Aと接触しているときのキャリッジ1の位置である)。
【0032】
この後、キャリッジ1がホームポジション方向と反対の方向に移動した場合には、キャリッジ受け壁15Aに対するキャリッジ突起1aの当接が解除され、昇降スライダ15が、引張ばねの弾性力によって図3に示す状態に戻る。
【0033】
以上が、キャッピング機構9の構成及び動作である。なお、これまでに述べたキャッピング機構9の構成及び動作(特に、スライダ15の構成)は、本願出願人の先願である特許願2001−186210号(本願出願時では未公開)に詳細に書かれている。
【0034】
さて、以下、上述したようなキャッピング機構9が設けられたプリンタ100におけるホームシーク方法を説明する。
【0035】
図5は、プリンタ100の構成を示すブロック図である。
【0036】
このプリンタ100では、上述したように、キャリッジモータ2の回転によってキャリッジ1が主走査方向に往復移動できるように構成されている(なお、以下の説明では、キャリッジ1をホームポジション方向に移動させるためのキャリッジモータ2の回転方向を「正回転方向」、それと逆の回転方向を「逆回転方向」と言う)。キャリッジモータ2には、コスト削減の観点から、安価なモータ、例えばDCモータが使用されている。
【0037】
このプリンタ100には、キャリッジモータ2の回転を検出するエンコーダ(例えば、シャフト・エンコーダ)73と、ホスト装置61からホストインタフェース回路59を介して転送されて来る印刷データに基づいて印刷イメージの作成や紙送り制御等を行なう印刷処理回路51とが備えられている。
【0038】
エンコーダ73は、キャリッジモータ2の回転の検出結果に基づくON/OFF信号を、後述するキャリッジ位置管理回路71に出力する。
【0039】
印刷処理回路51は、外部データの入出力回路(図示せず)や、紙送りモータ駆動回路(図示せず)や、キャリッジ位置管理回路71や、キャリッジモータ制御回路55や、印刷処理回路51全体を制御するCPU57や、CPU57に所定の動作を実行させるためのプログラムが記録されたROM81や、ホスト装置61からの印刷データをビットマップ展開するためのイメージバッファ等に利用されるRAM83などを備えている。
【0040】
キャリッジ位置管理回路71は、キャリッジ1の位置を管理するための位置レジスタ53を有する。キャリッジ位置管理回路71は、エンコーダ73からのON/OFF信号を基に、位置レジスタ53に記録する数値を増減することで、キャリッジ1の位置を管理する。
【0041】
キャリッジモータ制御回路55は、CPU57の制御の下で、キャリッジモータ2に流す電流の量を制御することで、キャリッジモータ2の駆動(回転)を制御する。
【0042】
CPU57は、エンコーダ73からキャリッジ位置管理回路71に入力されるON/OFF信号を監視し、その監視結果を基に、キャリッジモータ制御回路55に、キャリッジモータ2に流す電流量を制御させて、キャリッジモータ2の駆動を制御する(つまり、キャリッジ1の動作を制御する)。
【0043】
CPU57は、或るイベントが検出されたとき(例えば、プリンタ100の電源がターンオンされたとき)、ホームシークを行う。CPU57は、ホームシークにおいてキャリッジ1のホームポジションを検出したときは、そのときに位置レジスタ53に記録されている数値をホームポジションに相当する数値に設定する(具体例としては、位置レジスタ53に記録されている数値を初期化する)。
【0044】
ここで注意すべきことは、キャリッジモータ2に使用されているモータは安価なDCモータなので、図1を参照して説明した従来のホームポジションの設定方法でキャリッジ1のホームポジションを設定しようとすると、正確なホームポジションが検出できていても、それを位置レジスタ53に設定する前に、昇降スライダ15に常に働いている上記引張ばねによる付勢力によってキャリッジモータ2が逆回転方向に回転してしまい、位置レジスタ53に記録されている正確なホームポジションを示す値が変わってしまって、ホームポジションを正確に設定することができない虞があることである。
【0045】
そこで、CPU57は、本実施形態の要旨である、以下に説明するような方法でホームシークを行う。以下、その方法を図6を参照して説明する。なお、以下の説明では、適宜に、図3及び図4も参照する。
【0046】
図6に示すように、まず、CPU57は、ホームシークにおいて、キャリッジモータ制御回路55に、キャリッジ1をホームポジションに移動させられるだけの電流I(この電流値は、図6では一定であるが、キャリッジ1の移動にかかる負荷(以下、キャリッジ移動負荷)によって変動することがある、以下、その電流を「駆動電流」と言う)をキャリッジモータ2に流させることで、キャリッジ1のキャリッジ突起1aがキャリッジ受け壁1Aにぶつかるまで(図3参照)キャリッジ1をホームポジション方向に移動させるようにする(時刻t〜t(但しtは含まない))。
【0047】
その後、キャリッジ1のキャリッジ突起1aがキャリッジ受け壁1Aにぶつかってキャリッジモータ2の回転が止まり、エンコーダ73からキャリッジ位置管理回路71への信号入力が無くなると(時刻t)、CPU57は、キャリッジ1を移動させるための負荷が大きいとみなして、キャリッジモータ制御回路55に、キャリッジモータ2に流す電流の量を多くし続けさせる(時刻t〜t(但しt、tは含まない))。故に、この時刻t〜t(但しt、tは含まない)の間に、キャリッジ1は、キャリッジ受け壁1Aを有する昇降スライダ15に常に働いている上記付勢力に逆らって、昇降スライダ15をホームポジション方向に押し進めると共に、自らもホームポジション方向に移動する。それにより、やがて、キャリッジ1のスライダ突起15dが、カム孔25のホームポジション方向最奥にある壁108に当って、キャリッジ1は進めなくなる。
【0048】
キャリッジモータ2に流す電流の量を多くし続けさせた結果、その電流量が後述するホームポジション判定閾値Iを超えても、エンコーダ73からON/OFF信号がキャリッジ位置管理回路71に入力されなければ、CPU57は、現在のキャリッジ1の位置はホームポジションであると判定する(時刻t)。ここで、「ホームポジション判定閾値」は、予めROM81に用意されているものであり、キャリッジ移動負荷の変動に影響されず、確実にホームポジションだと分かる電流値である。換言すれば、ホームポジション判定閾値は、キャリッジ移動負荷が最大のときにキャリッジ1を移動させるのに必要な電流値(つまり、昇降スライダ15をスライドさせて上昇させることにより印刷ヘッド12をキャップ9aで封止させるために必要なキャリッジ1に流す電流量)よりも高い値であって、キャリッジ1がホームポジションに位置しているためにキャリッジモータ2が正回転方向に回転することがないと分かる値である(但し、DCモータが焼損しない程度の値である)。
【0049】
さて、上記時刻tの後、CPU57は、キャリッジモータ制御回路55に、駆動電流Iよりやや多めの電流(以下、保持電流)Iをキャリッジモータ2に一定時間流し続けさせることで、キャリッジ1をホームポジションに固定させ続ける、具体的に言えば、キャリッジ1のスライダ突起15dを、カム孔25のホームポジション方向最奥にある壁108にぶつけ続けさせるようにする(時刻t〜t(但しt、tは含まない))。ここで、「保持電流」とは、キャリッジ移動負荷が最大のときにキャリッジ1を移動させるのに必要な電流の値より高い値を持った電流であって、昇降スライダ15に常に働いている上記付勢力によってキャリッジ1がホームポジションから離れてしまわないように、キャリッジ1をホームポジションに固定させ続けることができる電流、つまり、キャリッジ1が昇降スライダ15のスライダ突起15dをカム孔25の最奥壁108にぶつけ続けることが可能な電流である。
【0050】
CPU57は、上述した時刻t〜t(但しt、tは含まない)の間に、現在のキャリッジ1の位置をホームポジション(原点)として位置レジスタ53に設定する、具体的には、位置レジスタ53に記録されている数値をホームポジションに相当する数値に設定する。これを終えたら、CPU57は、キャリッジモータ2へ電流を流すのを止めるようにキャリッジモータ制御回路55を制御する(時刻t)。
【0051】
この実施形態によれば、キャリッジのホームポジションを検出したときは、キャリッジモータ2の駆動を制御し、キャリッジ1をホームポジションに固定させ続けて(換言すれば、正確なホームポジションを検出してからはキャリッジモータ2が絶対に回転しないようにし続けて)、現在のキャリッジ1の位置をホームポジションとして設定する。この方法により、キャリッジモータ2が安価なモータであるが故に、正確なホームポジションを検出してそれを設定する前に、キャリッジ1に直接的或いは間接的にかかる負荷によってキャリッジモータ2が回転し位置レジスタ53に記録されているホームポジションとしての正確な値が変わってしまう虞があるような場合であっても、確実に正確なホームシークを行える(つまり、正確なホームポジションを設定することができる)。
【0052】
以上、本発明の好適な幾つかの実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホームポジションを設定するときの、従来のキャリッジモータの制御方法を示すタイミングチャート。
【図2】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの外観図。
【図3】キャッピング機構9の構成を示す図。
【図4】印刷ヘッド12をキャッピングしたときのキャッピング機構9を示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの内部構成を示すブロック図。
【図6】ホームポジションを設定するときの、本実施形態におけるキャリッジモータの制御方法を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 キャリッジモータ
3 タイミングベルト
5 紙送りローラ
9 キャッピング機構
10 吸引ポンプ
11 ワイピング機構
12 印刷ヘッド

Claims (5)

  1. 印刷ヘッドを運ぶキャリッジを移動させる直流モータと、
    ホームポジション方向へと移動してきた前記キャリッジにぶつかり前記キャリッジがその移動方向にさらに移動しないようにするキャリッジ移動阻止部材と、
    前記キャリッジがホームポジションに位置したか否かを判定する判定手段と、
    前記直流モータに流す電流値を制御することで前記直流モータの回転を制御し、前記キャリッジを前記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続けるモータ制御手段と、
    前記キャリッジが前記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続けられている間に、ホームポジションに位置したと判定された前記キャリッジの位置をホームポジションに設定するホームポジション設定手段と
    を備え、
    前記キャリッジは、前記ホームポジション方向とは反対の方向に前記キャリッジに働く付勢力に逆らって、前記キャリッジ移動阻止部材にぶつかるようになっており、
    前記モータ制御手段は、前記キャリッジを移動させるための負荷に応じて前記直流モータに流す電流値を制御することで、前記キャリッジを前記キャリッジ移動阻止部材へ移動させ、前記キャリッジを前記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続け、
    前記判定手段は、前記電流値がホームポジション判定閾値を越えても前記直流モータの回転が止まっている場合に、前記キャリッジの位置がホームポジションであると判定する、
    シリアルプリンタ。
  2. 前記ホームポジション又は前記ホームポジション付近にて、前記印刷ヘッドを封止し前記印刷ヘッド内のインクの乾燥を防ぐキャッピング機構を更に備え、
    前記キャッピング機構は、
    ホームポジション方向やその反対方向にスライドしつつ昇降することができ、前記ホームポジション方向と反対方向であって前記印刷ヘッドから離間する方向に付勢されている昇降スライダと、
    前記昇降スライダが完全に上昇したときに上昇して前記印刷ヘッドを封止するキャップと
    を備え、
    前記昇降スライダが、前記ホームポジション方向に移動してきた前記キャリッジとぶつかり、前記キャリッジが更に前記ホームポジション方向に移動することで、前記キャリッジに押され、前記付勢力にさからって前記ホームポジション方向にスライドしつつ上昇し、前記直流モータの電流値が前記ホームポジション判定閾値に達する前に完全に上昇するようになっている、
    請求項1記載のシリアルプリンタ。
  3. 前記モータ制御手段は、前記判定手段により前記キャリッジが前記ホームポジションに位置したと判定されたときに、前記直流モータに流す電流値を、前記ホームポジション判定閾値より小さい電流値であって、前記キャリッジを前記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続けるための保持電流の電流値へと切り換える、
    請求項1又は2記載のシリアルプリンタ。
  4. 前記モータ制御手段は、前記ホームポジション設定手段が前記ホームポジションを設定した後、前記直流モータへ電流を流すのを止める、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリアルプリンタ。
  5. 印刷ヘッドを運ぶキャリッジを移動させるための負荷に応じて、前記キャリッジを移動させる直流モータに流す電流値を制御し、前記直流モータを回転させることで、前記キャリッジをホームポジション方向へと移動させるステップと、
    前記キャリッジが、前記ホームポジション方向と反対の方向に該キャリッジに働く付勢力に逆らってキャリッジ移動阻止部材にぶつかるステップと、
    前記直流モータに電流を流して前記キャリッジを前記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続けるステップと、
    前記電流値がホームポジション判定閾値を越えても前記直流モータの回転が止まっている場合に、前記キャリッジの位置がホームポジションであると判定するステップと、
    前記キャリッジが前記キャリッジ移動阻止部材に押し当て続けられている間に、ホームポジションに位置したと判定された前記キャリッジの位置をホームポジションに設定するステップと
    を有するホームシーク方法。
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