以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施形態1)
本実施形態では、被供給部へ樹脂を供給する樹脂供給装置を、樹脂モールド装置の搬送ハンドに適用した場合について説明する。
まず、図4を参照して、樹脂モールド装置1を構成する各部について説明する。樹脂モールド装置1では、ワーク供給部Aとワーク収納部Bとの間に、複数(図1では4箇所)のプレス部Cが設けられている。
ワークWは、例えば短冊状の基板(例えば、リードフレームや配線基板など)に電子部品(例えば、半導体チップやコンデンサチップなど)が実装されたものである。ワークWは、電子部品がパッケージ部によって封止されるものである。樹脂は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)であって、樹脂組成物(シリカ、アルミナなどの充填剤、離型剤、着色剤、フィラー含有率など)が均一に調整されたものである。
ワーク供給部Aは、マガジンセット部2と、整列部3と、ワーク供給部4と、樹脂供給部5とを備えている。マガジンセット部2に収納されたワークWが、整列部3へ所定の向きを揃えて整列して供給され、整列部3からワーク供給部4まで送り出される。ワーク供給部4からプレス部CへワークWが供給される。このワーク供給部4から搬送ハンド6がワークWを受け取る。また、樹脂供給部5からプレス部Cへ樹脂が供給される。この樹脂供給部5から搬送ハンド6がワークWを受け取る。ワークWおよび樹脂を搬送する搬送ハンド6については、後で詳細に説明する。
樹脂供給部5には、ポットへ供給されるタブレット状の樹脂(タブレット樹脂)と、キャビティへ供給される顆粒状の樹脂(顆粒樹脂)とがセットされる。具体的には、樹脂供給部5は、公知のリニアフィーダ(図示せず)からタブレット樹脂を受け取り、公知の顆粒樹脂供給部(図示せず)から計量された顆粒樹脂を受け取る。
各プレス部Cは、モールド金型21(モールド金型機構)を備えている。このモールド金型機構は、上型と下型で構成されるモールド金型21を型締め・型開きする型開閉機構を備えている。このモールド金型21を有するモールド金型機構については、後で詳細に説明する。なお、各プレス部Cには、モールド金型21のクランプ面(金型面)にエア吸引によりリリースフィルム7を張設する公知のフィルム搬送ユニットFを設けても良い。
ワーク収納部Bは、移動テーブル11と、ディゲート部12と、収納整列部13とを備えている。プレス部Cから取り出しハンド14により取り出されたワークWは、移動テーブル11へ受け渡される。取り出しハンド14は、移動テーブル11へワークWを受け渡すと、次のワークWの取り出し動作に移行する。移動テーブル11は、取り出しハンド14よりワークWが受け渡されると、ゲートブレイク(不要樹脂の分離)が行われるディゲート部12を経て、ワークWが収納される収納整列部13までの間を往復移動する。
なお、ワーク供給部A、複数のプレス部C、ワーク収納部Bのそれぞれには、搬送レール15が設けられており、互いに接続されている。この搬送レール15上を搬送ハンド6および取り出しハンド14が図4の左右方向に移動する。また、搬送ハンド6および取り出しハンド14は、自身で図4の上下方向に移動する。
次に、図5を参照して、本発明に適用される新たに提案するモールド金型21(トランスファモールド機構)の概略構成について説明する。ここで、モールド金型21では、上型22を固定型、上型22に対して接離動する下型23を可動型として説明する。なお、可動型である下型23は、アクチュエータに公知の電動モータを用い、トグルリンクなどのリンク機構により昇降される。
上型22には、上型カル24aが形成された上型カルインサート24、ワークWを吸着保持する上型インサート25、下型23の下型チェイス32とで閉鎖空間を形成する上型チェイス26が図示しない上型ベースに各々支持されている。また、上型チェイス26には、真空吸引路26aが形成されている。真空吸引路26aはモールド金型21内の閉鎖空間より脱気を行う真空ポンプを備えた減圧機構27に接続されている。
下型23は、下型チェイス32にポット29が組み付けられ、下型ランナゲート30aが形成されたポットインサート30、キャビティ凹部(以下、単にキャビティという)31aが形成された下型キャビティインサート31が各々支持されている。下型チェイス32はその下方に設けられた図示しない下型ベースに支持されている。ポット29内には図示しない均等圧ユニットに複数支持された各プランジャ33が昇降可能に挿入されている。
また、下型チェイス32のクランプ面には、シール材34(Oリング等)が嵌め込まれている。減圧機構27を作動させてモールド金型21が型閉じして上型チェイス26のクランプ面がシール材34に当接すると、金型内部空間を外部と遮断してモールド金型21内に減圧空間が形成されるようになっている。
上型カルインサート24と上型チェイス26とで囲まれた上型インサート25の下面には、ワークWが吸着保持される。また、キャビティ31aには、キャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)が供給され、ポット29にはポット内樹脂36(タブレット樹脂)が各々供給される。これらワークW、キャビティ内樹脂35、およびポット内樹脂36は、搬送ハンド6によって、型開きしたモールド金型21内に搬入される。搬送ハンド6の上部には、ワークWが電子部品実装面を下にして載置されている。また、搬送ハンド6の下部には、キャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36が樹脂供給用のセット部41、ホルダ部42の開口部の下部(底部)をキャビティ用シャッタ部43、ポット用シャッタ部44で閉塞されてセットされている。なお、搬送ハンド6(樹脂供給装置)については、後で詳細に説明する。
次に、図5〜図9を参照して、樹脂モールド装置1(モールド金型21)を用いた樹脂モールド方法について説明する。まず、図5に示すように、型開きしたモールド金型21には、搬送ハンド6によってワークW、キャビティ内樹脂35、およびポット内樹脂36が搬入される。なお、搬送ハンド6からワーク載置部を切り離して、別途ワーク用の搬送ハンドを設け、ワークWと、キャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36とを別々に搬送しても良い。更にキャビティ内樹脂35とポット内樹脂36とを別々に搬送しても良い。
ワークWは、搬送ハンド6が上型22に近接して、上型インサート25の下面に吸着保持される(図6参照)。また、キャビティ内樹脂35は、搬送ハンド6が下型23に近接して、キャビティ用シャッタ部43が開放されてキャビティ31aに落下して供給される(図6参照)。同様に、ポット内樹脂36は、ポット用シャッタ部44が開放されて各ポット29に落下して供給される(図6参照)。キャビティ31a内には、満充填量よりわずかに少ない樹脂量のキャビティ内樹脂35が供給される。また、ポット29内には、キャビティ31aの不足分と当該ポット29からキャビティ31aに至るまでの樹脂路に充填されてキャビティ31a内を保圧するのに必要な樹脂量のポット内樹脂36が供給される。
続いて、図7に示すように、上型22に接続する減圧機構27を作動させながら、下型23を上昇させて型閉じを行う。上型チェイス26が下型チェイス32のシール材34に当接したときからモールド金型21内を脱気しながら減圧空間が形成され、型閉じしてワークWがクランプされ、電子部品がキャビティ31a内に収容される。この際、キャビティ内樹脂35の顆粒樹脂がポット内樹脂36のタブレット樹脂に比べ表面積が大きく吸湿しやすいため、減圧空間内で加熱することで余剰成分を排出しやすくしている。
続いて、図8に示すように、ポット29内のポット内樹脂36を、プランジャ33を上昇させて、上型カル24a、下型ランナゲート30aを通じてキャビティ31aで溶融したキャビティ内樹脂35に向けて圧送りする(トランスファ成形)。続いて、図9に示すように、キャビティ31aに供給されたキャビティ内樹脂35とポット29から圧送りされたポット内樹脂36同士を溶融結合させて所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。これにより、ワークWに1個のパッケージ部37が形成される。
次に、図10〜図14を参照して、本実施形態における搬送ハンド6(以下、搬送ハンド6Aという)について説明する。なお、搬送ハンド6Aは、モールド金型21内に、キャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36の他にワークWも供給するが、搬送ハンド6Aの上部にワークWを載置する簡単な構成であるため、ワークWの供給については説明を省略する。
図10は、搬送ハンド6Aの模式的平面図であり、図11〜図13は、それぞれ図10のA−A線、B−B線、C−C線における搬送ハンド6Aの模式的断面図である。また、図14は、搬送ハンド6Aによりキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36が供給される下型23の模式的平面図である。なお、図10〜図13では、シャッタ部が閉じた状態を示している。
図14に示すように、下型23は、ポットインサート30と、下型キャビティインサート31と、下型チェイス32とを備えている。これらポットインサート30および下型キャビティインサート31が嵌め込まれる凹部を有する平面視矩形状の下型チェイス32が設けられている。また、平面視矩形状のポットインサート30には、その長手方向に一列に並んで複数(図14では6箇所だが、本発明は6箇所に限定されない。)のポット29が設けられている。
また、ポットインサート30の両側のそれぞれには、その長手方向に一列に並んで複数(図14では3箇所だが、本発明は3箇所に限定されない。)のキャビティ31a(ポット列を挟んで両側合わせて6箇所)が形成された平面視矩形状の下型キャビティインサート31が設けられている。この下型キャビティインサード31の大きさは、ワークWの大きさに対応している。すなわち、上型22に吸着保持された平面視矩形状のワークWは、その長手方向と下型キャビティインサード31の長手方向とが一致して、クランプ時に下型キャビティインサート31に当接する。
平面視矩形状の下型チェイス32の各辺部(凹部の縁部頂部)上側には、凹状のロックブロック28が設けられている。このロックブロック28は、下型チェイス32が上型22の上型チェイス26(図5参照)と当接する際に、上型チェイス26に設けられている凸状のロックブロックと嵌合して、位置合わせされるものである。
このように下型23に設けられた6箇所のキャビティ31aおよび6箇所のポット29に対して、搬送ハンド6Aはキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36を同時に搬送して、それぞれを供給する。このため、図10〜図13に示すように、搬送ハンド6A(樹脂供給装置)は、キャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる樹脂供給用のセット部41と、セット部41上側に設けられ、ポット内樹脂36(タブレット樹脂)が装填(セット)されるホルダ部42とを備えている。
セット部41は、図10に示すように、平面視矩形状の板状の例えば合金工具鋼からなる。このセット部41は、同一水平面内でマトリクス状(格子状)に仕切られて配置された鉛直方向に貫通する複数のキャビティ用孔41aを有している。具体的には、複数のキャビティ用孔41aが水平面内のa方向(第1方向)とこれに直交するb方向(第2方向)に整列して配置されている。これら複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる。なお、隣接するキャビティ用孔41a間は壁により仕切られている。
また、ホルダ部42は、図10に示すように、平面視円形状の筒状の例えば合金工具鋼からなる。このホルダ部42は、鉛直方向に貫通するポット用孔42aを有している。このポット用孔42aにポット内樹脂36(タブレット樹脂)が装填(セット)される。ポットに供給する樹脂は、必ずしも固形のタブレット樹脂である必要は無く、顆粒樹脂、粉体樹脂、液状樹脂でも良い。複数(図10では6箇所)のホルダ部42は、平面視矩形状のセット部41の中央部上側に、その長手方向に一列に並んで起立している。なお、本願においては、一列に配置された状態も、マトリクス状(格子状)に含めるものとする。
図13に示すように、これら6箇所のホルダ部42のポット用孔42aとそれぞれ連通する6箇所の連通孔41bをセット部41は有している。6箇所の連通孔41bは、セット部41の長手方向に一列に並んで設けられ、セット部41に鉛直方向に貫通し、ポット用孔42aと同一径に形成されている。
図10に示すように、セット部41が有する複数のキャビティ用孔41aは、一列に並んだ6箇所のポット用孔42a(連通孔41b)の両側のそれぞれに、一列に並んで3箇所ずつ群41c(両側合わせて6箇所)が設けられている。このような搬送ハンド6Aのセット部41に設けられる6箇所の群41cおよび6箇所のポット用孔42a(連通孔41b)は、搬送ハンド6Aを下型23に対向させた際、それぞれ下型23に設けられた6箇所のキャビティ31aおよび6箇所のポット29(図14参照)に対向する位置となるように形成されている。
搬送ハンド6Aでは、図10に示すように、平面視矩形状のセット部41の各辺部(外周部)下側には、凸状のロックブロック45が設けられている。このロックブロック45は、搬送ハンド6Aが下型23にキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36を搬送する際に、下型23の下型チェイス32に設けられている凹状のロックブロック28と嵌合して、位置合わせされるものである。このロックブロック28、45により、搬送ハンド6Aの6箇所の群41cおよび6箇所のポット用孔42aは、それぞれ下型23の6箇所のキャビティ31aおよび6箇所のポット29に位置合わせされる。
図11に示すように、搬送ハンド6Aは、複数のキャビティ用孔41aの下部開口を各々開閉するキャビティ用シャッタ部43と、複数のポット用孔42aの下部開口を各々開閉するポット用シャッタ部44とを備えている。キャビティ用シャッタ部43は、セット部41下側に設けられている。また、ポット用シャッタ部44は、セット部41を介してホルダ部42下側にキャビティ用シャッタ部43にスライド可能に並んで設けられている。
キャビティ用シャッタ部43は、図10に示すように、b方向が長手方向となる平面視矩形状の板状の例えば合金工具鋼からなる。キャビティ用シャッタ部43は、一列に並んで設けられた3箇所の群41c(複数のキャビティ用孔41a)下側に設けられ、また、キャビティ用シャッタ部43の長手方向がセット部41の長手方向と一致するように設けられている。
このキャビティ用シャッタ部43は、図12に示すように、開いた状態のときにキャビティ用孔41aの下部と連通する、a方向に延び(図10ではa方向にキャビティ用孔41aの4箇所分の長さでスリットが延びているが、本発明は4箇所分に限定されない。)、鉛直方向に貫通するシャッタスリット43aと、閉じた状態のときにキャビティ用孔41aの下部を閉塞する閉塞部43bとを有している。本実施形態では、シャッタスリット43aのb方向の幅は、キャビティ用孔41aのb方向の幅と同じとしているが、それ以上であっても良い。すなわち、キャビティ用孔41aとシャッタスリット43aとが連通して、セットされたキャビティ内樹脂35がキャビティ31a内へ落下して供給されれば良い。
シャッタスリット43aは、セット部41の3箇所の群41cのそれぞれに対応するように設けられ、b方向に群41cの領域分を開けた所定の間隔で3箇所設けられている。キャビティ用シャッタ部43が閉じた状態から、各シャッタスリット43aをb方向へスライドさせて、各群41cのキャビティ用孔41aとこれに対応するシャッタスリット43aとを連通させていくことで、キャビティ用シャッタ部43(スライド部材)が順次開いていくこととなる。
このように、キャビティ用シャッタ部43では、1箇所の群41cに対して1箇所のシャッタスリット43aを設けている。この群41cは1箇所で、1箇所のキャビティ31a(被供給部)に対応しており、1箇所の群41cから1箇所のキャビティ31aへキャビティ内樹脂35が供給される。
仮に、複数のキャビティ31a(複数の群41c)に対して1箇所のスリット41aのみを設けた場合では、すべてのキャビティ31a内へキャビティ内樹脂35を供給する時間が、長時間となってしまい、先に供給された樹脂と後に供給された樹脂の溶融状態が異なってしまう。この場合、各キャビティ31aで成形されるパッケージ部37の品質にばらつきが発生してしまう。
これに対して、本実施形態では、キャビティ用シャッタ部43に、1箇所のキャビティ31aに対応する1箇所のシャッタスリット43aを設けている。これにより、各キャビティ31aに樹脂を供給する時間差を短くすることができる。したがって、各キャビティ31aで成形されるパッケージ部37の品質ばらつきを低減することができる。
ポット用シャッタ部44は、図10に示すように、b方向が長手方向となる平面視矩形状の板状の例えば合金工具鋼からなる。ポット用シャッタ部44は、一列に並んだ6箇所のホルダ部42(ポット用孔42a)下側に設けられ、また、ポット用シャッタ部44の長手方向がセット部41の長手方向と一致するように設けられている。このポット用シャッタ部44は、図11に示すように、キャビティ用シャッタ部43とa方向の幅が異なるが(ポット用シャッタ部44の方が小さい)、本実施例の場合は厚さが同じである。なお、必ずしも厚さは同じにする必要はない。
ポット用シャッタ部44は、図13に示すように、開いた状態のときにポット用孔42aの下部と連通する、鉛直方向に貫通する開口孔44aと、閉じた状態のときにポット用孔42aの下部を閉塞する閉塞部44bを有している。この開口孔44aは、6箇所のホルダ部42のそれぞれに対応するように設けられ、b方向にホルダ部42の領域分を開けた所定の間隔で6箇所設けられている。図13に示すようなポット用シャッタ部44が閉じた状態から、各開口孔44aをb方向へスライドさせて、各ホルダ部42のポット用孔42aとこれに対応する開口孔44aとを連通させることで、ポット用シャッタ部44(スライド部材)が開くこととなる。
このように、ポット用シャッタ部44では、1箇所のポット用孔42aに対して1箇所の開口孔44aを設けている。この1箇所のポット用孔42aは1箇所のポット29(被供給部)に対応しており、1箇所のポット用孔42aから1箇所のポット29へポット内樹脂36が供給される。これにより、各ポット29に樹脂を供給する時間差を短くすることができる。
本実施例では、搬送ハンド6Aは、キャビティ用孔41aが設けられたセット部41と、ポット用孔42aが設けられたホルダ部42とを一体にした構造を有している。これによれば、キャビティ用シャッタ部43を閉じてキャビティ用孔41aにセットしたキャビティ内樹脂35と、ポット用シャッタ部44を閉じてポット用孔42aにセットしたポット内樹脂36とを同時に下型23(モールド金型21)まで搬送することができる。
本実施例では、キャビティ用孔41aが設けられたセット部41と、ポット用孔42aが設けられたホルダ部42とを一体にした構造とすることで、キャビティ31aおよびポット29のそれぞれへ樹脂を供給する時間差を短くできる。したがって、成形品の品質を向上することができる。また、成形品の生産性を向上することもできる。また、このような一体構造であっても、キャビティ用孔41a、ポット用孔42aのそれぞれへ樹脂のセット割合を調整することができる。
搬送ハンド6Aは、図11に示すように、セット部41下側に設けられ、キャビティ用シャッタ部43およびポット用シャッタ部44が嵌り合って移動可能に取り付けられるシャッタガイド部46、47を備えている。このシャッタガイド部46、47は、b方向が長手方向となる平面視矩形状の板状の例えば合金工具鋼からなる。
シャッタガイド部46は、セット部41の各長手辺部下側に設けられている。このシャッタガイド部46の一側面(キャビティ用シャッタ部43側側面)には、鉛直方向下側部が突き出る断面視L字状の段付き部46aが形成されている。また、シャッタガイド部47は、セット部41の中央部下であって連通孔41b列の両側に設けられている。このシャッタガイド部47の両側面(キャビティ用シャッタ部43側側面およびポット用シャッタ部44側側面)には、鉛直方向下側部が突き出る断面視L字状の段付き部47aが形成されている。
一方、キャビティ用シャッタ部43の両側面には、鉛直方向上側部が突き出る断面視L字状の段付き部43cが形成されている。また、ポット用シャッタ部44の両側面には、鉛直方向上側部が突き出る断面視L字状の段付き部44cが形成されている。
したがって、キャビティ用シャッタ部43の段付き部43cとシャッタガイド部46、47の段付き部46a、47aとが嵌り合い、シャッタガイド部46、47は、キャビティ用シャッタ部43がb方向にスライドするようにガイドすることとなる。また、ポット用シャッタ部44の段付き部44cとシャッタガイド部47、47の段付き部47a、47aとが嵌り合い、シャッタガイド部47、47は、キャビティ用ポット用シャッタ部44がb方向にスライドするようにガイドすることとなる。
また、搬送ハンド6Aは、キャビティ用シャッタ部43およびポット用シャッタ部44をそれぞれ別駆動するキャビティ用アクチュエータ51およびポット用アクチュエータ52を備えている。キャビティ用アクチュエータ51やポット用アクチュエータ52には、例えばシリンダ、モータなどを用いることができる。
キャビティ用シャッタ部43およびポット用シャッタ部44は、キャビティ用孔41aおよびポット用孔42aの配置や、キャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36の樹脂形状によって、スライドする所定のタイミングや所定の速さが求められるときがある。これに対応するために、本実施形態では、別駆動のキャビティ用アクチュエータ51およびポット用アクチュエータ52を搬送ハンド6Aに設けている。なお、本実施形態では、1箇所のキャビティ用アクチュエータ51から分岐させて2箇所のキャビティ用シャッタ部43を駆動しているが、各キャビティ用シャッタ部43にキャビティ用アクチュエータ51を設けることもできる。
また、搬送ハンド6Aは、セット部41下側に設けられ、複数のキャビティ用孔41a(群41c)の周囲を開口する開口部53aを有する落下案内板53を備えている。落下案内板は、必ずしも設ける必要はないが、この落下案内板53は、開口部53aによりキャビティ31aへキャビティ内樹脂35の落下を案内するものである。落下案内板53は、例えばシリコーンゴム、テフロン(登録商標)等からなり、下型23の金型表面を傷つけないものが良い。落下案内板を下型キャビティ上面に当接させることで、樹脂落下時は隙間が無くなる。
なお、本実施形態では、キャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がキャビティ31a内に供給されない場合を考慮して、下型23の金型面にキャビティ内樹脂35が飛散するのを防止するため、落下案内板53を設けている。
次に、図12、図13、図15〜図24を参照して、搬送ハンド6A(樹脂供給装置)を用いた樹脂供給方法について説明する。この説明を明解にするために、図12、図13、図15〜図17、図22では、搬送ハンド6Aにセットされるキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36を図示していない。図23、図24は、搬送ハンド6Aが、キャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36をすべて供給したときの状態を示している。
搬送ハンド6Aでは、図12および図18に示すように、キャビティ用シャッタ部43が閉じた状態、すなわちキャビティ用孔41aの下部を閉塞部43bで閉塞した状態で、同一水平面内でマトリクス状に仕切られて配置された複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35をセットする。本実施形態では、セット部41に6箇所の群41cが設けられているが、各群41cのキャビティ用孔41aにセットされるキャビティ内樹脂35の量は、パッケージ部37が形成されるワークによって適宜調整される。
言い換えると、キャビティ31aへ供給する樹脂量および水平面内分布を、各キャビティ用孔41a内にセットする樹脂の深さで調整しても良い(未充填の場合も含む)。これによれば、パッケージ部37で封止される電子部品がある領域ではキャビティ内樹脂35の供給を少なくし、電子部品がない領域では樹脂の供給を多くすることができる。すなわち、キャビティ31a内に凹凸(例えば、電子部品のある領域とない領域)があっても、キャビティ31aの水平面内にキャビティ内樹脂35を偏りなく供給することができる。また、キャビティ31aの水平面内における樹脂量を変える方法として、例えば2×2程度(1つ飛び又は2つ飛び)に格子の壁を間引くことで対応することもできる。
また、セット部41のすべてのキャビティ用孔41aに、その内部すべてを満たすようにキャビティ内樹脂35をセットする場合、複数のキャビティ用孔41aすべてにキャビティ内樹脂35を溢れさせて供給した後、セット部41の上面を図示しないスキージで擦る。ここで、セット部41では、各キャビティ用孔41aの容量は同じである。このため、スキージにより余分なキャビティ内樹脂35を掃き出して、一定の投入樹脂量のキャビティ内樹脂35を迅速に搬送ハンド6Aにセットすることができる。すなわち、複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)を均一に搬送ハンド6A内に入れることができる。なお、格子1箇所1箇所に対して顆粒樹脂の個数をカウントして供給することもできれば、本搬送ハンド6Aの前に格子状のストッカ(不図示)を設けてストッカに供給する樹脂の重さを計量しながらストッカに供給し、ストッカごといっきに、本セット部のキャビティ用孔41aに供給しても良い。以上のように、搬送ハンド6Aに樹脂を供給する方法は、多数が考えられる。
また、キャビティ用孔41aそれぞれに供給する樹脂量を変える事により、キャビティ31aに供給する樹脂量を変更する事が出来る。一例として半導体チップが搭載されていない個所があれば、当該部分のキャビティ用孔41aに多く樹脂を入れることにより、対応できる。また、キャビティ凹部31aは壁があるため、キャビティ外周にあたるキャビティ用孔41aの樹脂量を少なくし、内側にあたるキャビティ用孔41aの樹脂量を多くすることで、キャビティ31a内に山状に樹脂を供給することもできる。さらにキャビティ31aのゲート側樹脂量を少なく供給することや、キャビティの深さが複数種類あるような段付きキャビティの場合には深いキャビティに多く樹脂を供給し、浅いキャビティには樹脂を少なく供給することもできる。
続いて、図15〜図17に示すように、水平面内のb方向(一定方向)に複数のキャビティ用孔41aに対してキャビティ用シャッタ部43を開いていく。キャビティ用シャッタ部43を開いていくことにより、キャビティ用シャッタ部43を閉じてセットしたキャビティ内樹脂35を落下させてキャビティ31aへ供給していく。
具体的には、図15および図19に示すように、キャビティ用シャッタ部43をb方向にスライドさせて、複数のキャビティ用孔41aのうち、a方向に並んだ一列目のキャビティ用孔41aと、シャッタスリット43aとを連通させる。これにより、一列目のキャビティ用孔41aのキャビティ内樹脂35だけを落下させてキャビティ31aへ供給することができる。
続いて、図16および図20に示すように、キャビティ用シャッタ部43をb方向にスライドさせて、複数のキャビティ用孔41aのうち、二列目のキャビティ用孔41aと、シャッタスリット43aとを連通させる。これにより、二列目のキャビティ用孔41aのキャビティ内樹脂35だけを落下させてキャビティ31aへ供給することができる。このとき、図20に示すように、キャビティ31a内では、2列目分のキャビティ内樹脂35が山のように堆積する。
同様にしてキャビティ用シャッタ部43を開いていき、最後に、最終列(六列目)のキャビティ用孔41aと、シャッタスリット43aとを連通させる(図17、図21参照)。このように、一列目から最終列までのキャビティ内樹脂35を、キャビティ31a内へ順次供給していく。すなわち、キャビティ用シャッタ部43をb方向(一定方向)にスライドさせて複数のキャビティ孔41aの下部開口を一定方向に順次開放させる。
これによれば、格子状の複数のキャビティ用孔41aから、キャビティ31a(被供給部)の水平面内にキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)を偏りなく平ら(均一)となるように供給することができる。すなわち、図1〜図3を参照して説明したようなキャビティの水平面内に不均一に樹脂が供給されることを防止することができる。このように、キャビティ31aの水平面内に偏りなくキャビティ内樹脂35が供給されるので、パッケージ部にボイドや欠けが発生するなどの品質不良を防止することができる。
また、搬送ハンド6Aでは、図13に示すように、ポット用シャッタ部44が閉じた状態、すなわちポット用孔42aの下部を閉塞部44bで閉塞した状態で、水平面内で一列に配置された複数のポット用孔42aにポット内樹脂36(図示せず)をセットする。続いて、図22に示すように、水平面内のb方向(一定方向)に複数のポット用孔42aに対してポット用シャッタ部44を開く。
具体的には、ポット用シャッタ部44をb方向にスライドさせて、各ポット用孔42aと、対応する各開口孔44aとを連通させる。これにより、各ポット用孔42aのポット内樹脂36を同時に落下させて各ポット29へ供給することができる。各ポット29に樹脂を供給する時間差を短くすることができるので、各ポット29でトランスファ成形されるパッケージ部37の品質ばらつきを低減することができる。
(実施形態2)
前記実施形態1における搬送ハンド(樹脂供給装置)では、1箇所のキャビティ(被供給部)に対して、複数のキャビティ用孔をまとめた群を1箇所対向させてキャビティ内樹脂を供給する場合について説明した。本実施形態における搬送ハンドでは、1箇所のキャビティ(被供給部)に対して、複数のキャビティ用孔をまとめた群を複数対向させてキャビティ内樹脂を供給する場合について説明する。なお、前述した説明は省略する場合がある。
図25〜図28を参照して、本実施形態における搬送ハンド6(以下、搬送ハンド6Bという)について説明する。
図25は、搬送ハンド6Bの模式的平面図であり、図26、図27は、それぞれ図25のA−A線、B−B線における搬送ハンド6Bの模式的断面図である。図25のC−C線における搬送ハンド6Bは、図10のC−C線における搬送ハンド6Aと同様であり、図13を参照することができる。図28は、搬送ハンド6Bによりキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36が供給される下型23の模式的平面図である。なお、図25〜図27では、シャッタ部が閉じた状態を示している。
図28に示すように、一列に並んで配置された複数(図28では6箇所)のポット29の両側のそれぞれには、一列に並んで複数(図28では2箇所)のキャビティ31a(両側合わせて4箇所)が形成された平面視矩形状の下型キャビティインサート31が設けられている。このように下型23に設けられた4箇所のキャビティ31aおよび6箇所のポット29に対して、搬送ハンド6Bはキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36を同時に搬送して、それぞれを供給する。
樹脂供給用のセット部41は、図25に示すように、複数のキャビティ用孔41aが同一水平面内のa方向(第1方向)とこれに直交するb方向(第2方向)にマトリクス状に仕切られて配置されている。これら複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる。セット部41が有する複数のキャビティ用孔41aは、一列に並んだ6箇所のポット用孔42a(連通孔41b)の両側のそれぞれに、一列に並んで4箇所ずつ群41c(両側合わせて8箇所)をなして設けられている。このような搬送ハンド6Bのセット部41に設けられる8箇所の群41cは、搬送ハンド6Bを下型23に対向させた際、それぞれ下型23に設けられた4箇所のキャビティ31aに2箇所ずつ対向する位置となるように形成されている。
図26に示すように、搬送ハンド6Bは、複数のキャビティ用孔41aの下部開口を各々開閉するキャビティ用シャッタ部43を備えている。すなわち、キャビティ用シャッタ部43は、セット部41下側に設けられている。このキャビティ用シャッタ部43は、図27に示すように、開いた状態のときにキャビティ用孔41aの下部と連通する、a方向に延び(キャビティ用孔41aの4箇所分)、鉛直方向に貫通するシャッタスリット43aと、閉じた状態のときにキャビティ用孔41aの下部を閉塞する閉塞部43bとを有している。
キャビティ用シャッタ部43では、1箇所の群41cに対して1箇所のシャッタスリット43aを設けている。この群41cは2箇所で、1箇所のキャビティ31a(被供給部)に対応しており、2箇所の群41cから1箇所のキャビティ31aへキャビティ内樹脂35が供給される。シャッタスリット43aは、セット部41の群41cのそれぞれに対応するように、b方向に群41cの領域分を開けた所定の間隔で4箇所設けられている。
キャビティ用シャッタ部43が閉じた状態から、各シャッタスリット43aをb方向へスライドさせて、各群41cのキャビティ用孔41aとこれに対応するシャッタスリット43aとを連通させていくことで、キャビティ用シャッタ部43が開いていくこととなる。すなわち、キャビティ用シャッタ部43を閉じて複数のキャビティ用孔41aにセットしたキャビティ内樹脂35を落下させてキャビティ31aへ供給していく。これによれば、格子状の複数のキャビティ用孔41aから、キャビティ31a(被供給部)の水平面内にキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)を偏りなく平ら(均一)となるように供給することができる。このように、キャビティ31aの水平面内に偏りなくキャビティ内樹脂35が供給されるので、パッケージ部にボイドや欠けが発生するなどの品質不良を防止することができる。
また、本実施形態では、キャビティ用シャッタ部43に、1箇所のキャビティ31aに対応する2箇所のシャッタスリット43aを設け、複数列同時に開くことができる。これにより、各キャビティ31aに樹脂を供給する時間差を短くすることができる。また、1箇所のキャビティ31a内に樹脂を供給する時間を短縮することができる。したがって、各キャビティ31aで成形されるパッケージ部37の品質ばらつきを低減することができる。また、1箇所のキャビティ31aで形成されるパッケージ部37の品質を向上することができる。
(実施形態3)
前記実施形態1における搬送ハンド(樹脂供給装置)では、1箇所のワークに1箇所のパッケージ部を形成した場合について説明した。本実施形態では、1箇所のワークに対して複数のパッケージ部(個片パッケージ)を形成する場合について説明する。なお、前述した説明は省略する場合がある。
図29〜図32を参照して、本実施形態における搬送ハンド6(以下、搬送ハンド6Cという)について説明する。
図29は、搬送ハンド6Cの模式的平面図であり、図30、図31は、それぞれ図29のA−A線、B−B線における搬送ハンド6Cの模式的断面図である。図29のC−C線における搬送ハンド6Cは、図10のC−C線における搬送ハンド6Aと同様であり、図13を参照することができる。図32は、搬送ハンド6Cによりキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36が供給される下型23の模式的平面図である。なお、図29〜図31では、シャッタ部が閉じた状態を示している。
図32に示すように、一列に並んで配置された複数(図32では6箇所)のポット29の両側のそれぞれには、二列に並んで複数(図32では2列の6箇所で計12箇所)のキャビティ31a(両側合わせて24箇所)が形成された平面視矩形状の下型キャビティインサート31が設けられている。このように下型23に設けられた24箇所のキャビティ31aおよび6箇所のポット29に対して、搬送ハンド6Cはキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36を同時に搬送して、それぞれを供給する。
樹脂供給用のセット部41は、図29に示すように、複数のキャビティ用孔41aが同一水平面内のa方向(第1方向)とこれに直交するb方向(第2方向)にマトリクス状に仕切られて配置されている。これら複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる。セット部41が有する複数のキャビティ用孔41aは、一列に並んだ6箇所のポット用孔42a(連通孔41b)の両側のそれぞれに、二列に並んで12箇所ずつ群41c(両側合わせて24箇所)をなして設けられている。このような搬送ハンド6Cのセット部41に設けられる24箇所の群41cは、搬送ハンド6Cを下型23に対向させた際、それぞれ下型23に設けられたキャビティ31aに対向する位置となるように形成されている。
図30に示すように、搬送ハンド6Cは、複数のキャビティ用孔41aの下部開口を各々開閉するキャビティ用シャッタ部43を備えている。すなわち、キャビティ用シャッタ部43は、セット部41下側に設けられている。このキャビティ用シャッタ部43は、図31に示すように、開いた状態のときにキャビティ用孔41aの下部と連通する、a方向に延び(キャビティ用孔41aの2箇所分)、鉛直方向に貫通するシャッタスリット43aと、閉じた状態のときにキャビティ用孔41aの下部を閉塞する閉塞部43bとを有している。
キャビティ用シャッタ部43では、1箇所の群41cに対して1箇所のシャッタスリット43aを設けている。この群41cは、1箇所のキャビティ31a(被供給部)に対応しており、1箇所の群41cから1箇所のキャビティ31aへキャビティ内樹脂35が供給される。シャッタスリット43aは、セット部41の群41cのそれぞれに対応するように、b方向に群41cの領域分を開けた所定の間隔で設けられている。
キャビティ用シャッタ部43が閉じた状態から、各シャッタスリット43aをb方向へスライドさせて、各群41cのキャビティ用孔41aとこれに対応するシャッタスリット43aとを連通させていくことで、キャビティ用シャッタ部43が開いていくこととなる。すなわち、キャビティ用シャッタ部43を閉じて複数のキャビティ用孔41aにセットしたキャビティ内樹脂35を落下させてキャビティ31aへ供給していく。これによれば、格子状の複数のキャビティ用孔41aから、キャビティ31a(被供給部)の水平面内にキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)を偏りなく平ら(均一)となるように供給することができる。このように、キャビティ31aの水平面内に偏りなくキャビティ内樹脂35が供給されるので、パッケージ部にボイドや欠けが発生するなどの品質不良を防止することができる。
また、本実施形態では、1箇所のワークに対して複数のパッケージ部(個片パッケージ)を形成する場合に適用し、個片パッケージ用のキャビティ31a毎に複数のキャビティ用孔41aを設けている。これにより、各キャビティ31aに樹脂を供給する時間差を短くすることができる。したがって、各キャビティ31aで成形されるパッケージ部37の品質ばらつきを低減することができる。
なお、本実施形態では、1箇所のキャビティに対して、1箇所の群を対向させてキャビティ内樹脂を供給したが、1箇所のキャビティに対して、複数の群を対向させてキャビティ内樹脂を供給しても良い。
(実施形態4)
前記実施形態1における搬送ハンド(樹脂供給装置)では、キャビティ用シャッタ部のスリット(開口部)の幅を、キャビティ用孔の幅と同じにした場合について説明した。本実施形態では、キャビティ用シャッタ部の開口部の幅を、キャビティ用孔の幅よりも大きくした場合について説明する。また、前記実施形態1における搬送ハンド(樹脂供給装置)では、複数のキャビティ用孔をセット部に形成して設けた場合について説明した。本実施形態では、複数のキャビティ孔が形成された交換プレートを、セット部に設ける場合について説明する。なお、前述した説明は省略する場合がある。
図33〜図36を参照して、本実施形態における搬送ハンド6(以下、搬送ハンド6Dという)について説明する。
図33は、搬送ハンド6Dの模式的平面図であり、図34、図35は、それぞれ図33のA−A線、B−B線における搬送ハンド6Dの模式的断面図である。図33のC−C線における搬送ハンド6Dは、図10のC−C線における搬送ハンド6Aと同様であり、図13を参照することができる。図36は、搬送ハンド6Dによりキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36が供給される下型23の模式的平面図である。なお、図33〜図35では、シャッタ部が閉じた状態を示している。
図36に示すように、一列に並んで配置された複数(図36では6箇所)のポット29の両側のそれぞれには、1箇所のキャビティ31a(両側合わせて2箇所)が形成された平面視矩形状の下型キャビティインサート31が設けられている。このように下型23に設けられた2箇所のキャビティ31aおよび6箇所のポット29に対して、搬送ハンド6Dはキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36を同時に搬送して、それぞれを供給する。
樹脂供給用のセット部41は、図33に示すように、複数のキャビティ用孔41aが同一水平面内のa方向(第1方向)とこれに直交するb方向(第2方向)にマトリクス状に仕切られて配置されている。これら複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる。セット部41が有する複数のキャビティ用孔41aは、一列に並んだ6箇所のポット用孔42a(連通孔41b)の両側のそれぞれに、1箇所の群41c(両側合わせて2箇所)をなして設けられている。このような搬送ハンド6Dのセット部41に設けられる2箇所の群41cは、搬送ハンド6Dを下型23に対向させた際、それぞれ下型23に設けられたキャビティ31aに対向する位置となるように形成されている。
本実施形態では、複数のキャビティ用孔41aを交換可能な交換プレート41dに形成し、この交換プレート41dをセット部41に設けている。セット部41には、鉛直方向に貫通する段付き部を有する開口部41eが形成されている。この段付き部に対応して交換プレート41dも段付き部も有しており、開口部41eに交換プレート41dを嵌め込んだときに、これら段付き部によってセット部41から交換プレート41dが抜け落ちないようになっている。
図34に示すように、搬送ハンド6Dは、複数のキャビティ用孔41aの下部開口を各々開閉するキャビティ用シャッタ部43を備えている。すなわち、キャビティ用シャッタ部43は、セット部41下側に設けられている。このキャビティ用シャッタ部43は、図35に示すように、開いた状態のときにキャビティ用孔41aの下部と連通する、鉛直方向に貫通する開口部43aと、閉じた状態のときにキャビティ用孔41aの下部を閉塞する閉塞部43bとを有している。
キャビティ用シャッタ部43では、1箇所の群41cに対して1箇所の開口部43aを設けている。この群41cは、1箇所のキャビティ31a(被供給部)に対応しており、1箇所の群41cから1箇所のキャビティ31aへキャビティ内樹脂35が供給される。キャビティ用シャッタ部43が閉じた状態から、各開口部43aをb方向へスライドさせて、各群41cのキャビティ用孔41aとこれに対応する開口部43aとを連通させていくことで、キャビティ用シャッタ部43が開いていくこととなる。
すなわち、キャビティ用シャッタ部43を閉じて複数のキャビティ用孔41aにセットしたキャビティ内樹脂35を落下させてキャビティ31aへ供給していく。これによれば、格子状の複数のキャビティ用孔41aから、キャビティ31a(被供給部)の水平面内にキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)を偏りなく平ら(均一)となるように供給することができる。このように、キャビティ31aの水平面内に偏りなくキャビティ内樹脂35が供給されるので、パッケージ部にボイドや欠けが発生するなどの品質不良を防止することができる。
ここで、搬送ハンド6Dは、図34に示すように、落下案内板53の他に、複数のキャビティ用孔41aから構成される群41cの周囲を開口する開口部54aを有する落下案内板54を備えている。例えば、開口部54aは、キャビティ31aのサイズに合わせて形成されている。このような落下案内板54を設けることで、供給の際に樹脂が飛散するのをより防止することができる。
本実施形態では、複数のキャビティ孔41aが形成された交換プレート41dを、セット部41に設けている。これにより、種々の形状、個数のキャビティ(被供給部)に対しても、キャビティに対応した配置のキャビティ孔41a(群41c)が形成された交換プレート41dを交換するだけで対応することができる。すなわち、複数のキャビティ用孔41aの格子状の配置を変えることができるので、セットするキャビティ内樹脂35の配置を調整できる。
また、本実施形態では、キャビティ用シャッタ部の開口部43aの幅を、キャビティ用孔41aの幅よりも大きくしている。これにより、キャビティ用シャッタ部43をすばやく開いた場合であっても、キャビティ内樹脂35をセット部41に置き去りにすることなく、確実にキャビティ内樹脂35をキャビティ31aに供給することができる。また、搬送ハンド6Dが種々の交換プレート41dに対応する場合、各交換プレート41でのキャビティ用孔41d(群41c)の配置が異なることとなるが、開口部43aの幅を大きくしておけば、交換プレート41dの交換のつどスリット形状を変える必要もなく、幅広く対応することができる。
(実施形態5)
前記実施形態1における搬送ハンド(樹脂供給装置)では、複数のキャビティ用孔を水平面内に格子状に仕切って配置するにあたり、マトリクス状に仕切って配置した場合について説明した。本実施形態では、複数のキャビティ用孔を千鳥格子状に仕切って配置する場合について説明する。なお、前述した説明は省略する場合がある。
図37〜図41を参照して、本実施形態における搬送ハンド6(以下、搬送ハンド6Eという)について説明する。
図37および図38は、それぞれ搬送ハンド6Eの上面図および下面図(模式的平面図)であり、図39、図40、図41は、それぞれ図37のA−A線、B1−B線、B2−B2線における搬送ハンド6Eの模式的断面図である。図37のC−C線における搬送ハンド6Eは、図10のC−C線における搬送ハンド6Aと同様であり、図13を参照することができる。また、搬送ハンド6Eによりキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36が供給される下型23の模式的平面図は、図14を参照することができる。なお、図37〜図41では、シャッタ部が閉じた状態を示している。
樹脂供給用のセット部41は、図37、図38に示すように、複数のキャビティ用孔41aが水平面内に千鳥格子状に仕切られて配置されている。これら複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる。セット部41が有する複数のキャビティ用孔41aは、一列に並んだ6箇所のポット用孔42a(連通孔41b)の両側のそれぞれに、一列に並んだ3箇所の群41c(両側合わせて6箇所)をなして設けられている。このような搬送ハンド6Eのセット部41に設けられる6箇所の群41cは、搬送ハンド6Eを下型23に対向させた際、それぞれ下型23に設けられたキャビティ31a(図14参照)に対向する位置となるように形成されている。
図39に示すように、搬送ハンド6Eは、複数のキャビティ用孔41aの下部開口を各々開閉するキャビティ用シャッタ部43を備えている。すなわち、キャビティ用シャッタ部43は、セット部41下側に設けられている。このキャビティ用シャッタ部43は、図40、図41に示すように、開いた状態のときにキャビティ用孔41aの下部と連通する鉛直方向に貫通するシャッタ孔43d(開口部)と、閉じた状態のときにキャビティ用孔41aの下部を閉塞する閉塞部43bとを有している。
キャビティ用シャッタ部43では、1箇所の群41cに対して複数のシャッタ孔43dを設けている。この群41cは、1箇所のキャビティ31a(被供給部)に対応しており、1箇所の群41cから1箇所のキャビティ31aへキャビティ内樹脂35が供給される。キャビティ用シャッタ部43が閉じた状態から、各シャッタ孔43dをb方向へスライドさせて、各キャビティ用孔41aとこれに対応するシャッタ孔43dとを連通させていくことで、キャビティ用シャッタ部43が開いていくこととなる。
すなわち、キャビティ用シャッタ部43を閉じて複数のキャビティ用孔41aにセットしたキャビティ内樹脂35を落下させてキャビティ31aへ供給していく。これによれば、格子状の複数のキャビティ用孔41aから、キャビティ31a(被供給部)の水平面内にキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)を偏りなく平ら(均一)となるように供給することができる。このように、キャビティ31aの水平面内に偏りなくキャビティ内樹脂35が供給されるので、パッケージ部にボイドや欠けが発生するなどの品質不良を防止することができる。
また、本実施形態では、搬送ハンド6Eは、図38に示すように、複数のキャビティ用孔41aから構成される群41cの周囲を開口する開口部53bと、ポット用孔42aの周囲を開口する開口部53cとを有する落下案内板53を備えている。例えば、開口部53bは、キャビティ31aの縦横サイズに合わせて貫通孔が形成され、また、開口部53cは、ポット内樹脂36の投入径サイズに合わせて貫通孔が形成されている。このような落下案内板53を設けることで、供給の際に樹脂が飛散するのを防止することができる。
(実施形態6)
前記実施形態1における搬送ハンド(樹脂供給装置)では、キャビティ内樹脂を直接セット部に設けられた複数のキャビティ用孔にセットする場合について説明した。本実施形態では、セット部上側にホルダ部を設け、そのホルダ部を介してキャビティ用孔にキャビティ内樹脂をセットする場合について説明する。なお、前述した説明は省略する場合がある。
図42〜図46を参照して、本実施形態における搬送ハンド6(以下、搬送ハンド6Fという)について説明する。
図42および図43は、それぞれ搬送ハンド6Fの上面図および下面図(模式的平面図)であり、図44、図45、図46は、それぞれ図42のA−A線、B1−B1線、B2−B2線における搬送ハンド6Fの模式的断面図である。図42のC−C線における搬送ハンド6Fは、図10のC−C線における搬送ハンド6Aと同様であり、図13を参照することができる。また、搬送ハンド6Fによりキャビティ内樹脂35およびポット内樹脂36が供給される下型23の模式的平面図は、図14を参照することができる。なお、図42〜図45では、シャッタ部が閉じた状態を示している。
樹脂供給用のセット部41は、図42、図43に示すように、複数のキャビティ用孔41aが水平面内に格子状に仕切られて配置されている。これら複数のキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる。セット部41が有する複数のキャビティ用孔41aは、一列に並んだ6箇所のポット用孔42a(連通孔41b)の両側のそれぞれに、一列に並んだ3箇所の群41c(両側合わせて6箇所)をなして設けられている。このような搬送ハンド6Fのセット部41に設けられる6箇所の群41cは、搬送ハンド6Fを下型23に対向させた際、それぞれ下型23に設けられたキャビティ31a(図14参照)に対向する位置となるように形成されている。なお、図42に示すように、1箇所の群41cには、水平面内に×の字状となるように5箇所のキャビティ用孔41aが整列して配置されている。本実施例では5箇所だが、数に限定されない。
ここで、搬送ハンド6Fは、セット部41上側に設けられ、キャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)が装填(セット)される複数のホルダ部55を備えている。ホルダ部55は、図42に示すように、平面視円形状の筒状の例えば合金工具鋼からなる。このホルダ部55は、鉛直方向に貫通する貫通孔55aを有している。複数のホルダ部55は、各貫通孔55aが各キャビティ用孔41aと連通して設けられている。これにより、ホルダ部55を介してキャビティ用孔41aにキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)がセットされる。
図44に示すように、搬送ハンド6Fは、複数のキャビティ用孔41aの下部開口を各々開閉するキャビティ用シャッタ部43を備えている。すなわち、キャビティ用シャッタ部43は、セット部41下側に設けられている。このキャビティ用シャッタ部43は、図45、図46に示すように、開いた状態のときにキャビティ用孔41aの下部と連通する鉛直方向に貫通するシャッタ孔43d(開口部)と、閉じた状態のときにキャビティ用孔41aの下部を閉塞する閉塞部43bとを有している。
キャビティ用シャッタ部43では、1箇所の群41cに対して複数のシャッタ孔43dを設けている。この群41cは、1箇所のキャビティ31a(被供給部)に対応しており、1箇所の群41cから1箇所のキャビティ31aへキャビティ内樹脂35が供給される。キャビティ用シャッタ部43が閉じた状態から、各シャッタ孔43dをb方向へスライドさせて、各キャビティ用孔41aとこれに対応するシャッタ孔43dとを連通させていくことで、キャビティ用シャッタ部43が開いていくこととなる。
すなわち、キャビティ用シャッタ部43を閉じて複数のキャビティ用孔41aにセットしたキャビティ内樹脂35を落下させてキャビティ31aへ供給していく。これによれば、格子状の複数のキャビティ用孔41aから、キャビティ31a(被供給部)の水平面内にキャビティ内樹脂35(顆粒樹脂)を偏りなく平ら(均一)となるように供給することができる。このように、キャビティ31aの水平面内に偏りなくキャビティ内樹脂35が供給されるので、パッケージ部にボイドや欠けが発生するなどの品質不良を防止することができる。
また、本実施形態では、キャビティ用孔41aと連通する貫通孔55aを有するホルダ部55を設けている。これにより、1箇所のキャビティ用孔41aからキャビティ31aに供給される樹脂量が多くなる。すなわち、キャビティ用孔41aの容量と貫通孔55aの容量とを足した容量まで、キャビティ内樹脂35をセットすることができる。例えば、キャビティ31aが深い場合、その深さ方向に多く樹脂を供給する必要がある。このような場合であっても、搬送ハンド6Fによれば、キャビティ31aに樹脂を偏りなく供給することができる。
また、キャビティ31a内でも場所により、ホルダ部55の貫通孔55aおよびキャビティ用孔41aの孔径又は位置を変えても良い。また、同じ孔径のホルダ部55であっても、各ホルダ部55に投入するキャビティ内樹脂35の量を変えても良い。また、ポット内樹脂36の投入用のホルダ部42と、キャビティ内樹脂35の投入用のホルダ部55は、同じ孔径であっても良い。同じ径の場合は、キャビティ内樹脂35はポット用のタブレット樹脂でも良い。また、ホルダ部55は、立設しているため、ホルダ部55にファン等により風を当てて空冷などで冷却することも可能である。この場合、ポット内樹脂の環境下における樹脂の硬化進行を遅らせる効果がある。
(実施形態7)
前記実施形態1における搬送ハンド(樹脂供給装置)では、平面視矩形状の被供給部(キャビティ)に樹脂を供給する場合について説明した。本実施形態では、ウエハモールド、キャリアプレートなど平面視円形状の被供給部に樹脂を供給する場合について説明する。なお、前述した説明は省略する場合がある。
図47〜図49を参照して、本実施形態における搬送ハンド6(以下、搬送ハンド6Gという)について説明する。図47〜図49では、搬送ハンド6Gの下面側からみて、シャッタ部43が開いていく状態を順に示している。
樹脂供給用のセット部41は、図49に示すように、複数の孔41aが複眼のように水平面内に格子状に仕切られて配置されている。これら複数の孔41aにキャビティ内樹脂35(例えば、顆粒樹脂)がセットされる。セット部41が有する複数の孔41aは、1箇所の群41cをなして設けられている。このような搬送ハンド6Gのセット部41に設けられる1箇所の群41cは、平面視円形状の1箇所の被供給部に対向する位置となるように形成されている。
搬送ハンド6Gは、複数の孔41aの下部開口を各々開閉するシャッタ部43を備えている。すなわち、シャッタ部43は、セット部41下側に設けられている。シャッタ部43は、湾曲部が形成された複数(図47では6箇所)の絞り羽根43eを有し、湾曲部の内縁部で開口部43fを形成するように複数の絞り羽根43eが円周方向に設けられている。搬送ハンド6Gは、絞り羽根43eの内縁部が開口部43fの中心に対して外側に移動するように、複数の絞り羽根43eを協働することによって、開口部43fの開口面積を放射状(一定方向)に拡げて、シャッタ部43を開いていく。このように、シャッタ部43は、カメラの絞りと同じように、中央部から順次開くようになっている。
すなわち、シャッタ部43を被供給部の水平面内中央部から外周部へ放射状に開いていくことで、シャッタ部43を閉じて複数の孔41aにセットした樹脂(例えば、顆粒樹脂)を落下させて被供給部へ供給していく。これによれば、格子状の複数の孔41aから、被供給部の水平面内に樹脂を偏りなく平ら(均一)となるように供給することができる。このように、被供給部の水平面内に偏りなく樹脂35が供給されるので、パッケージ部にボイドや欠けが発生するなどの品質不良を防止することができる。
(実施形態8)
前記実施形態1では、新規なトランスファ成形の場合で、モールド金型のキャビティとポットの両方に樹脂を供給する搬送ハンドに適用した場合について説明した。これに限らず、前記実施形態1で説明した搬送ハンドを、圧縮成形のモールド金型に適用することができる。この場合、搬送ハンドのポット列は不要となる。以下では、圧縮成形のモールド金型について説明する。なお、前述した説明は省略する場合がある。
樹脂モールド装置は、図50に示すように、上下に対向して設けられ、ワークWをクランプする上型63(一方の金型)および下型64(他方の金型)を有するモールド金型62を備えている。
モールド金型62の上型63は、ベース65と、チェイス66と、段付きガイド67と、段付きインサート68とを有して構成されている。このような部材で構成される上型63には、ワークWをクランプするクランプ面63aが形成されている。
チェイス66は、ベース65下側に固定して組み付けられている。また、段付きガイド67は、チェイス66下であってチェイス66の外周部に固定して組み付けられている。また、段付きインサート68は、段付きガイド67でガイドされてチェイス66の中央部に固定して組み付けられている。
段付きガイド67には、内側(段付きインサード68側)に突起するような段部67aが形成されている。また、段付きインサート68には、外側(段付きガイド67側)に段部68bが形成されている。このため、段付きインサート68の段部68bと、段付きガイド67の段部67aとが係合することによって、段付きインサート68は、段付きガイド67で支持される。
段付きインサート68には、下型64側にワークWを吸着保持する吸着面68a(クランプ面63a)が形成されている。また、段付きインサート68には吸着面68aに通じるエア吸引路68cが形成されている。このエア吸引路68cは、モールド金型62外で設けられているエアを吸引する装置(図示せず)と接続されている。また、段付きインサート68とチェイス66との間にはリング状のシール部材69(例えば、Oリング)が挿入されており、エア吸引路68cの気密性を確保するようになっている。このため、エア吸引装置が作動すると、エア吸引路68cなどを介してワークWが段付きインサート68の吸着面68aに吸着保持されることとなる。
モールド金型62の下型64は、ベース70と、チェイス71と、キャビティインサート72と、可動クランパ73とを有して構成されている。このような部材で構成される下型64には、ワークWをクランプするクランプ面64aが形成されている。このクランプ面64aには、リリースフィルム77が張設されている。フィルム77は、モールド金型62の加熱温度に耐えられる耐熱性、柔軟性および伸展性を有するフィルム材(例えば、厚さが50μm程度のPTFEなどのフッ素系樹脂フィルム)からなる。
チェイス71は、ベース70上側に固定して組み付けられている。また、可動クランパ73は、チェイス71の外周凹部に設けられたスプリング74を介してチェイス71に対して弾発するように上下動可能に組み付けられている。この可動クランパ73では、キャビティインサート72が設けられる貫通孔73aが形成されている。また、可動クランパ73では、上型63側の縁部にクランプ面64aが形成されている。また、可動クランパ73では、クランプ面64aから凹んでキャビティ凹部(以下、単にキャビティという)75が形成されている。
キャビティインサート72は、チェイス71の中央凹部に設けられたスプリング76を介してチェイス71に対して弾発するように上下動可能に組み付けられている。キャビティインサート72は、可動クランパ73の貫通孔73aに内包して設けられている。
次に、樹脂モールド装置(モールド金型62)を用いた樹脂モールド方法について説明する。まず、型開きしたモールド金型62の上型63にワークWを吸着させる(供給する)。また、キャビティ75内に、成形品を構成する樹脂量分のキャビティ内樹脂35を供給する。具体的には、前述した搬送ハンド6を用いて、ワークWおよびキャビティ内樹脂35を搬送して供給する。
次いで、上型63および下型64を近接させてモールド金型62の型締めを行う。これによりワークWがクランプしてキャビティ75内を充填する。次いで、可動クランパ73とチェイス71とが当接するまで、更にモールド金型62の型締めを行うことで、可動クランパ73に対してキャビティインサート72が相対的に上動することで、キャビティ75内で溶融したキャビティ内樹脂35が押圧される。
次いで、モールド金型62を樹脂モールド温度に加熱することによって溶融したキャビティ内樹脂35を硬化(キュア)させる。その後、下型64を下動させて型開きを行ない、可動クランパ73がワークWより離間型開きした後、ワークW(成形品)を上型63より取り出し、必要に応じてクリーニングされて1回分の成形動作が終了する。このような圧縮成形のモールド金型62にも、前述した搬送ハンド6を適用することができる。
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明について、前記実施形態に共通して言えることは、1つのキャビティに対して、複数に区切られたキャビティ孔を設けた樹脂供給ハンドより1ヶ所又は複数ヶ所よりキャビティ樹脂をキャビティに落下供給する装置及び方法について記載している点である。以下のように、この本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、搬送ハンドが、キャビティおよびポットに対してそれぞれ顆粒樹脂とタブレットというように異なる形態のキャビティ内樹脂(顆粒樹脂)およびポット内樹脂(タブレット樹脂)を搬送する場合について説明した。これに限らず、キャビティ内樹脂を粉体樹脂にする事でも良いし、ポット内樹脂を顆粒樹脂、粉体樹脂にする事でも良い。なお、ポット樹脂は液状樹脂にすることも可能である。
例えば、前記実施形態では、落下案内板をセット部下側に単に設けた場合について説明した。これに限らず、落下案内板を他のアクチュエータなどにより別駆動させることで可動にし、キャビティ内までキャビティ内樹脂を案内しても良い。これにより、キャビティ内に確実にキャビティ内樹脂を供給することができる。
例えば、前記実施形態では、水平面内に格子状に仕切られて配置された複数の孔(キャビティ用孔)の平面視形状が四角形の場合について説明した。これに限らず、格子状に仕切られて配置される複数の孔の平面視形状は、円形、三角形、五角形、六角形でも良い。
例えば、前記実施形態では、平面視矩形状の下型キャビティインサードの長手方向に開閉するシャッタ部を設けた場合について説明した。これに限らず、下型キャビティインサートの短手方向に開閉するシャッタ部を設けても良い。