JP5947379B2 - 反射防止構造体、その製造方法及び表示装置 - Google Patents

反射防止構造体、その製造方法及び表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5947379B2
JP5947379B2 JP2014521420A JP2014521420A JP5947379B2 JP 5947379 B2 JP5947379 B2 JP 5947379B2 JP 2014521420 A JP2014521420 A JP 2014521420A JP 2014521420 A JP2014521420 A JP 2014521420A JP 5947379 B2 JP5947379 B2 JP 5947379B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin layer
moth
antireflection
resin
eye
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014521420A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013191092A1 (ja
Inventor
藤井 暁義
暁義 藤井
千明 三成
千明 三成
登喜生 田口
登喜生 田口
信明 山田
信明 山田
箕浦 潔
潔 箕浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Publication of JPWO2013191092A1 publication Critical patent/JPWO2013191092A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5947379B2 publication Critical patent/JP5947379B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • G02B1/118Anti-reflection coatings having sub-optical wavelength surface structures designed to provide an enhanced transmittance, e.g. moth-eye structures
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Description

本発明は、反射防止構造体及び表示装置に関する。より詳しくは、表面に設けられた凹凸構造により表面反射率を低下させる反射防止構造体、及び、その反射防止構造体を用いて表面反射率が低減された表示装置に関するものである。
表面反射を低減するための技術としては、屈折率の異なる層を積層して構成された光干渉フィルムが従来から知られている。近年では、光干渉フィルムよりも表面反射を顕著に低減することができる技術として、可視光波長よりも小さいサイズの凹凸構造、いわゆるモスアイ(Moth−eye:蛾の目)構造に関する研究が進められている。
モスアイ構造は、防眩性(AG:Anti Glare)フィルムに形成される凹凸構造よりも更に微細な、可視光波長よりも小さいサイズの凹凸構造である。このモスアイ構造によれば、屈折率の異なる媒体である外界(空気)と物品との境界において屈折率の変化を擬似的に連続なものとすることができるので、一般に屈折率の異なる媒体の境界で生じることになる光の反射を抑制できる。したがって、反射防止処理を行う物品の表面にモスアイ構造を配置すれば、該物品の表面における光の反射を大幅に抑制し、光の透過率を顕著に高めることができる。
このようなモスアイ構造は、表示装置の視認性を向上する手段として極めて有効である。特に明所で表示装置を利用する際には、表示装置の最表面に外光が大量に入射するため、その表面反射率を充分に低減しないと、表示装置内部から発せられる表示用の光の量に対する反射光の量の比率が大きくなり過ぎ、鮮明な表示を得ることができなくなる。モスアイ構造を利用すれば、表示装置の最表面における表面反射率を充分に低減できるので、このような明所での表示画像のコントラスト比の低下を防止できる。
モスアイ構造を表示装置の最表面に配置する方法としては、表面にモスアイ構造を有する反射防止フィルムを、反射防止処理を行う物品の表面に取り付ける方法が挙げられる。表面にモスアイ構造を有する反射防止フィルムの製造方法としては、モスアイ構造の反転構造を表面に有する型を、ベースフィルムの表面に押し当て、型の表面に形成された反転構造をベースフィルムの表面に転写する方法が知られている。また、型の表面に反転構造を形成する方法としては、型の表面を陽極酸化して酸化膜を形成し、該酸化膜を選択的にエッチングする方法が知られている。
モスアイ構造は、表示装置の最表面に配置されることが多いが、近年ではタッチパネルを備える表示装置が多くなっているため、モスアイ構造に機械的強度、耐汚染性という特性も求められる。これに対して、モスアイ構造の表面に被覆層を設けることが検討されており、例えば、特許文献1には、シランカップリング剤の加水分解縮合体からなる被覆層が記載されている。特許文献2には、二酸化珪素等の透明な薄膜、膜厚が数nm以下の撥油性に優れた層が記載されている(段落0045参照)。特許文献3には、膜厚100Å〜10000Åのポリテトラフルオロエチレンから撥水皮膜等の低表面エネルギーを有する膜が記載されている(請求項2、3、段落0036、0037参照)。特許文献4には、凹凸構造を維持した状態で形成されたフッ素を含む材料からなる防汚機能層が記載されている(請求項8、段落0114参照)。特許文献5には、水との接触角が90°より大きい樹脂のコーティング、水との接触角が90°より小さい樹脂のコーティングが記載されている(請求項6、7参照)。特許文献6には、ケイ素を含む化合物が微細突起の表面に直接化学結合して形成された機能層が記載されている。特許文献7には、構造体の形状に倣った形状を有し、膜厚が9〜50nmである透明導電膜が記載されている(請求項1、段落0020、0021参照)。特許文献8には、構造体の頂部における平均膜厚が最も大きい透明導電膜が記載されている(請求項5参照)。特許文献9には、透明導電性薄膜、不透明薄膜が記載されている(請求項1、6参照)。
しかしながら、モスアイ構造の表面に設けられる従来の被覆層は、モスアイ構造の反射率特性を変化させないように、モスアイ構造の表面に均一な厚さで形成したもの、膜厚を極薄にしたものであった。
特開2010−44184号公報 特開2000−71290号公報 特開2003−172808号公報 特開2007−76242号公報 特開2007−187868号公報 特開2010−228443号公報 特開2011−138059号公報 特開2011−154338号公報 特開2011−167924号公報
上述したように、モスアイ構造を配置することにより、製品の表面反射率を顕著に低下させることができるので、視認性に優れた製品を実現することが可能となる。例えば、屋外の明るい環境下であっても表示装置の表示画像を明瞭に認識することができ、室内であれば照明装置が画面に映り込むことを防止することができる。
しかしながら、製品開発における多様なニーズを満たすために、モスアイ構造の反射特性を調整して製品のデザイン性を向上することについて工夫の余地があった。そのような観点からモスアイ構造について検討した先行技術はなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、モスアイ構造の反射特性を調整することによりデザイン性を向上することができる反射防止構造体、及び、その反射防止構造体を用いた表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、モスアイ構造の設計について鋭意検討する中で、モスアイ構造の設計条件を調整することにより、製品のデザイン性を向上することができることに想到した。すなわち、モスアイ構造の設計条件は、直接的に製品の外観を左右し、例えば、モスアイ構造の高さを変更すると反射特性が変わり、人間の目には、その反射色が変わって見える。そこで、本発明者らは、モスアイ構造の反射色を調整することにより、製品の外観の色調を調整したり、製品の外観に装飾的なデザインを施したりすることが可能となることに着目した。
一方で、非常に微細な構造であるモスアイ構造を効率的に形成できる方法は限られており、モスアイ構造の形成方法のうち、工業的に有用な方法としては、モスアイ構造の反転構造を表面に有する型を用いてベースフィルムにモスアイ構造を転写する方法である。しかしながら、この方法では、用いられる型の表面構造に応じて、作製されるフィルムの表面構造が一義的に決まるため、例えば高さの異なるモスアイ構造を形成するためには、それに応じた別の型を作製する必要がある。更に、フィルム内に二種以上のモスアイ構造を配置させたい場合においても、二種以上のモスアイ構造の反転構造を備える型の製造は、一種の反転構造を備える型の製造に比べて、難易度が大幅に上がってしまう。
そこで、本発明者らは、複数の種類の型を作製せずに反射色の異なるモスアイ構造を作り分けることができるように、特定の表面構造を有する一つの型から多様なモスアイ構造を形成する方法について検討した結果、モスアイ構造を有する基材上に樹脂層を形成し、樹脂層の厚みを調整することにより、モスアイ構造の高さを調整する方法に想到した。具体的には、モスアイ構造を有する基材の凹部において樹脂層の厚みを厚くすれば、反射防止構造体の表面に存在するモスアイ構造の高さを低くすることができる。すると、モスアイ構造の波長分散は、可視光の赤領域の反射が増えるので、モスアイ構造の高さが高い場合と比べてやや赤っぽく見える。
以上のように、本発明者らは、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の一側面は、底部から頂部までの高さが可視光波長以下である凹凸構造を表面に有する樹脂基材、及び、上記凹凸構造の少なくとも一部を覆う樹脂層を有する反射防止構造体であって、上記樹脂層は、上記凹凸構造の頂部よりも上記凹凸構造の底部を厚く覆っている反射防止構造体である。
以下に本発明について詳述する。
上記反射防止構造体では、樹脂基材の表面に形成された凹凸構造の一部又は全部を覆う樹脂層が、上記凹凸構造における底部から頂部までの高さ、すなわち上記凹凸構造の高低差を変更している。具体的には、上記樹脂層は、上記凹凸構造の頂部よりも上記凹凸構造の底部を厚く覆っている。その結果、上記反射防止構造体の表面に形成された凹凸構造の高低差は、上記樹脂基材の表面に形成された凹凸構造の高低差よりも小さくなる。
以下では、樹脂基材の凹凸構造を第1の凹凸構造と表記し、反射防止構造体の表面のうち、上記樹脂層で覆われた領域の凹凸構造を第2の凹凸構造と表記する。上記第1の凹凸構造の全部を樹脂層が覆う場合、上記第1の凹凸構造は、反射防止構造体の下地となり、上記第1の凹凸構造の一部のみを樹脂層が覆う場合、上記第1の凹凸構造は、上記樹脂層が形成された領域では、反射防止構造体の下地となり、上記樹脂層が形成されていない領域では、反射防止構造体の表面を構成する。
上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さは、可視光波長以下である。可視光波長以下であるとは、具体的には、可視光波長域の下限値である380nm以下である。上記第1の凹凸構造は、いわゆるモスアイ構造に該当し、上記第1の凹凸構造が形成された表面では、反射防止構造体と外界(例えば、空気層)との境界面における反射率を顕著に低下させることができる。
上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さの好ましい上限は280nmであり、より好ましい上限は200nmである。上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さの好ましい下限は100nmであり、より好ましい下限は150nmである。すなわち、上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さは、100nm〜380nmであることが好ましく、150nm〜200nmが特に好適である。150nm〜200nmの範囲では、上記第1の凹凸構造内の突起の機械的な強度を充分に確保することができ、かつ充分な表面反射の低減効果を得ることができる。
上記第1の凹凸構造の好適な形態の一例では、上記第1の凹凸構造は、型の表面構造を樹脂基材の表面に転写したものである。
上記反射防止構造体は、上記第2の凹凸構造を表面の少なくとも一部に有する。すなわち、反射防止構造体の表面には、第2の凹凸構造が配置された領域(上記樹脂層で覆われた領域)のみがあってもよいし、第1の凹凸構造が配置された領域(上記樹脂層で覆われていない領域)と第2の凹凸構造が配置された領域(上記樹脂層で覆われた領域)の両方があってもよい。反射防止構造体の表面に、第2の凹凸構造が配置された領域のみがある形態では、反射防止構造体の全面において所望の反射色の色味に調整される。反射防止構造体の表面に、第1の凹凸構造が配置された領域と第2の凹凸構造が配置された領域の両方がある形態では、第1の凹凸構造が配置された領域における反射色の色味と、第2の凹凸構造が配置された領域における反射色の色味がそれぞれ異なる色味に調整される。また、後者の形態において、第1の凹凸構造が配置された領域における反射色は、無色であってもよい。
上記第2の凹凸構造の底部から頂部までの高さは、上記第1の凹凸構造の底部から頂部までの高さよりも低くされる。すなわち、上記第2の凹凸構造もまた、いわゆるモスアイ構造に該当する。上記第2の凹凸構造における底部から頂部までの高さは、上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さと、上記第1の凹凸構造の底部に充填された樹脂層の厚みと、上記第1の凹凸構造の頂部に堆積した樹脂層の厚みと、により決まる。但し、上記第2の凹凸構造の頂部には、樹脂層が形成されなくてもよい。
上記第2の凹凸構造における底部から頂部までの高さの好ましい上限は280nmである。280nmを超えると、上記第2の凹凸構造による反射色の色味が判別しにくくなる。上記第2の凹凸構造における底部から頂部までの高さの好ましい下限は100nmである。100nmよりも低いと、モスアイ構造としての表面反射の低減効果を充分に得にくくなる。
なお、上記第2の凹凸構造が呈する反射色の色味とは、モスアイ構造で反射された光の色である。モスアイ構造の反射率が非常に小さい(例えば0.1%)ことから明らかなように、第2の凹凸構造が配置された面と外界(例えば、空気層)との境界面で反射される光の量は非常に少ない。このため、反射防止構造体の背面側から多量の光が透過している状態(例えば、反射防止構造体が表示装置上に設けられ、表示装置が表示光を発している状態)では、反射防止構造体を透いて見えるものの色味は、上記第2の凹凸構造が呈する反射色の色味によって大きく変わることはない。上記第2の凹凸構造が呈する反射色の色味は、主には、反射防止構造体の背面側から多量の光が透過していない状態において観察されるものである。
上記第1の凹凸構造の底部に充填された上記樹脂層の厚みは、上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さに対して、50%以下であることが好ましく、より好ましくは25%〜50%である。
上記第2の凹凸構造の高低差は、上記第1の凹凸構造の高低差よりも低いため、上記第1の凹凸構造が配置された領域の表面反射色が無色である場合(図4のグラフに示した凹凸構造の例では、上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さが280nm以上のとき)に、上記第2の凹凸構造が配置された領域の表面反射色を色付かせることができる。また、上記第1の凹凸構造が配置された領域の表面反射色が色付いている場合であっても、表面反射色の色を変えることができる。表面反射光の色は、凹凸構造に依存しており、特にその高低差に強く影響されて決まる。例えば、図4のグラフに示した凹凸構造の例では、高低差が210nm程度であれば緑色となり、185nm程度であれば赤紫色となる。したがって、上記第1の凹凸構造の底部に充填された樹脂層により、モスアイ構造の反射特性が変更されている。上記第1の凹凸構造の凹部に充填する上記樹脂層の厚みを調整することにより、上記第2の凹凸構造が配置された領域の表面反射色を調整することができる。この表面反射色は、上記第2の凹凸構造が配置された領域の色味に関わるものであり、製品のデザインに利用できる。
また、上記第2の凹凸構造は、高低差が上記第1の凹凸構造よりも低く、言い換えれば上記樹脂基材の第1の凹凸構造の特に底部が、樹脂層によって補強された部分である。したがって、上記第2の凹凸構造は、第1の凹凸構造よりも機械的強度が向上しており、擦り耐性がより優れている。更に、モスアイ構造の突起間に入り込んだ汚れを掻きだすことが容易となるので、反射防止構造体の拭き取り性、防汚性を向上することもできる。
上記樹脂基材の表面には、均一な厚みの層が形成されていてもよい。この場合、上記均一な厚みの層は、上記樹脂基材の凹凸構造と同じ凹凸構造を表面に有する。上記樹脂層は、上記均一な厚みの層の表面に形成された上記同じ凹凸構造の頂部よりも底部を厚く覆えばよい。
上記樹脂層の表面には、均一な厚みの層が形成されていてもよい。この場合、上記均一な厚みの層は、上記第1の凹凸構造を樹脂層が覆った領域では、上記樹脂層の凹凸構造と同じ凹凸構造を有し、上記第1の凹凸構造を樹脂層が覆っていない領域では、上記樹脂基材の凹凸構造と同じ凹凸構造を有する。
以下に、上記反射防止構造体の好適な形態の例を説明する。各形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
好適な形態の一例では、上記樹脂基材の凹凸構造が上記樹脂層で覆われて形成された、上記反射防止構造体の表面の凹凸構造では、底部から頂部までの高さが100nm〜280nmである。すなわち、上記第2の凹凸構造における底部から頂部までの高さは、100nm〜280nmであることが好ましい。
好適な形態の一例では、上記樹脂基材の凹凸構造の底部に充填された上記樹脂層の厚みは、280nm以下である。上記第1の凹凸構造における底部から頂部までの高さが可視光波長以下(380nm以下)であり、かつ上記第2の凹凸構造における底部から頂部までの高さの好適な範囲が100nm〜280nmであることを考慮すると、上記第1の凹凸構造の底部に充填された上記樹脂層の厚みは、280nm以下であることが好ましい。
好適な形態の一例では、上記樹脂基材の凹凸構造の底部には、上記樹脂基材の凹凸構造の頂部上よりも、上記樹脂層が20nm〜100nm厚く配置されている。すなわち、上記樹脂層の、上記第1の凹凸構造の底部と頂部における厚みの差は、20nm〜100nmであることが好ましく、より好ましくは20nm〜50nmである。この程度の厚みの変更によって、上記第2の凹凸構造の反射色を上記第1の凹凸構造の反射色と異なるものにすることができる。なお、上記樹脂層は、少なくとも上記第1の凹凸構造の底部を覆っていればよく、上記第1の凹凸構造の頂部に形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。上記第1の凹凸構造の頂部に上記樹脂層が形成されていない場合、上記第1の凹凸構造の底部に充填された上記樹脂層の厚みは、20nm〜100nmであることが好ましく、より好ましくは20nm〜50nmである。
好適な形態の一例では、上記反射防止構造体の表面の凹凸構造は、上記樹脂層で覆われた領域において、上記樹脂基材の凹凸構造とは異なる形状を有する。上記樹脂層が上記第1の凹凸構造の頂部よりも上記第1の凹凸構造の底部を厚く覆っていることから、上記第1の凹凸構造と上記第2の凹凸構造とは、互いに異なる形状になる。
好適な形態の一例では、上記樹脂層は、上記第1の凹凸構造の一部のみを覆っている。この例では、上記反射構造体の表面に、上記第1の凹凸構造が設けられた領域と、上記第2の凹凸構造が設けられた領域の両方が形成される。上記第2の凹凸構造は、上記反射防止構造体の表面の一部のみを構成しており、その反射色の色味により、上記反射防止構造体のデザイン性を向上することができる。すなわち、上記第1の凹凸構造が設けられた領域と上記第2の凹凸構造が設けられた領域とは、反射色が異なる領域として認識されることが好ましい。反射色の差は、正面方向(面法線方向)から見たときよりも斜め方向(面法線から傾いた方向)から見たときに顕著になることから、少なくとも60°傾いた斜め方向から見たときに反射色が異なる領域として認識されることが好ましい。なお、正面方向において斜め方向よりも反射色の差が現れにくい理由は、正面方向では、凹凸構造の突起の高さの違いが、見掛け上斜め方向よりも小さくなるためと、反射率が極端に小さいために反射光の量が少なく、その色を認識し難いためである。一方、斜め方向では、凹凸構造の高低差が小さくなるにつれ、反射率が大きくなり、その色味も認識され易くなる。なお、斜め方向において、面法線からの角度が大きいほど、可視光の長波長側の反射率が若干大きくなるため、反射色の色味は、面法線からの角度に応じて少し変化する。
好適な形態の一例では、上記第1の凹凸構造の第1の底部を覆う上記樹脂層の厚みと、上記第1の凹凸構造の第2の底部を覆う上記樹脂層の厚みとが異なる。この例では、上記第1の底部を覆う領域に形成される第2の凹凸構造の高低差と、上記第2の底部を覆う領域に形成される第2の凹凸構造の高低差とが異なるので、上記第2の凹凸構造が配置された領域の中に、反射色の色味が互いに異なる2以上の領域を形成することができる。この例において、上記反射構造体の表面に、上記第1の凹凸構造が設けられた領域があってもよいし、上記第1の凹凸構造が設けられた領域がなくてもよい。
好適な形態の一例では、上記樹脂層は、上記樹脂基材の第1の凹凸構造の頂部に設けられていない。この例では、上記第2の凹凸構造の底部から頂部までの高さを調整するために、第1の凹凸構造の底部に充填される樹脂層のみを調整すればよく、第1の凹凸構造の頂部及び底部の両方で厚みをそれぞれ調整する必要がないので、樹脂層の厚みの調整が容易である。
好適な形態の一例では、上記樹脂層の材質の屈折率は、上記樹脂基材の材質の屈折率よりも小さい。この例では、外界(通常は空気層)と樹脂基材の間に位置する樹脂層の屈折率が、外界の屈折率と樹脂基材の屈折率の中間の値になるので、上記反射構造体の表面反射を効果的に抑制することができる。
好適な形態の一例では、上記樹脂層の材質は、フッ素原子を含む。この例では、フッ素化合物を含有する樹脂を採用することで、屈折率が低く、かつ滑り性もよくなるため、反射率の上昇を抑えて擦り耐性も向上する。また、フッ素化合物は、表面エネルギーを低下させる効果があるため、転写樹脂が型(モールド)に固着することを防ぐことができる。モスアイ構造の突起間に入り込んだ汚れを掻きだすことが容易となるので、反射防止構造体の拭き取り性、防汚性を向上することができる。フッ素化合物としては、例えば、フルオロアルキル基を有する化合物が挙げられる。
好適な形態の一例では、上記第1の凹凸構造は、酸化金属膜を選択的にエッチングして形成した穴に特有の形状を上記樹脂基材の表面に転写して形成したものである。酸化金属膜を選択的にエッチングして形成した穴を転写に用いれば、均一な凹凸構造を効率よく形成することができる。このとき形成される穴は、エッチング処理条件に対応した特有の形状を有する。なお、酸化金属膜は、金属膜を陽極酸化処理することで形成できる。
好適な形態の一例では、上記樹脂基材は、フィルム状である。フィルム状の樹脂基材を用いた上記反射防止構造体は、反射防止フィルムとして用いることができる。すなわち、反射防止処理を施す物品の表面に容易に取り付けることができ、様々な用途に活用することができる。
なお、上記反射防止構造体は、反射防止処理を施す物品自体を樹脂基材とするものであってもよい。この場合、反射防止処理を施す物品の表面に、型の表面構造を転写して第1の凹凸構造を形成する。
本発明の一側面は、上記反射防止構造体を表示面に配置した表示装置である。上記反射防止構造体は、例えば、窓ガラス等の建材、水槽、水中メガネといった、あらゆる視認される対象物、視認するための道具に適用できるものであるが、中でも表示装置に好適に用いられる。
以下に、上記表示装置の好適な形態の例を説明する。各形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
好適な形態の一例では、上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記第1の凹凸構造を覆っていない領域が、上記表示面の額縁領域に配置され、上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記第1の凹凸構造を覆った領域が、上記表示面の表示領域に配置される。額縁領域は、一般に表示領域よりもデザイン性を重視した設計とすることができるので、額縁領域を着色した場合には、額縁領域と調和するように、上記樹脂層を用いて表示領域の色味を若干調整することが考えられる。
上記例とは逆に、上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記第1の凹凸構造を覆っていない領域が、上記表示面の表示領域に配置され、上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記第1の凹凸構造を覆った領域が、上記表示面の額縁領域に配置されたものであってもよい。この場合、上記樹脂層を用いて額縁領域の色味を変更し、デザイン性を向上することができる。また、上記樹脂層を用いて額縁領域の機械的強度を高めることができる。
好適な形態の一例では、上記反射防止構造体が表示面に貼り付けられたものである。上記反射防止構造体を反射防止フィルムとすれば、容易に表示面に貼り付けることができ、様々な表示装置に適用することができる。また、表示面に貼り付けることで、反射防止フィルムと反射防止処理を施す物品との間に別の層が介在しなくなるので、反射を効果的に抑制できる。反射防止フィルムが貼り付けられる基材としては、例えば、偏光板、アクリル保護板、偏光板表面に配置されるハードコート層、偏光板表面に配置されるアンチグレア層等が挙げられる。
好適な形態の一例では、上記表示装置は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP:Plasma Display Panel)、又は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OELD:Organic Electroluminescence Display)である。これらの表示装置は、携帯情報端末、携帯電話、ノートパソコン等で利用可能な薄型表示装置であり、屋外で使用される機会も多いことから、上記反射防止構造体を適用することが特に有効である。
本発明によれば、モスアイ構造を持った超低反射フィルム(モスアイシート)上に樹脂コーティングを行い、樹脂層の厚さを制御することにより、容易にモスアイ構造の高さを調整可能である。このため、型を新たに作り直すことなく、下記(1)〜(5)の利点の少なくとも一つを得ることができる。
(1)モスアイ構造の高さを変えることで表面反射色を変えることができ、モスアイシートに装飾機能を付与することができる。特に、テレビ等の非表示時にその表示領域が暗く沈むような箇所に用いれば、色調が強調されるので装飾効果が大きい。
(2)少量多品種のモスアイシートの生産に対応できる。
(3)樹脂塗布によってモスアイ構造の根元部分を補強できるので、機械的強度(擦り耐性:エンピツ硬度、スチールウール耐性)を向上できる。
(4)モスアイ構造の突起高さが実質的に低くなるため、突起間に入る汚れをかき出し易くなり、拭取り性、防汚性が向上する。
(5)樹脂層の屈折率を空気の屈折率と基材の屈折率の中間値にすることにより、単に高さの低いモスアイ構造を形成する場合よりも反射率を低くすることができる。
実施形態1の反射防止構造体のモスアイ構造の断面模式図である。 実施形態1の変形例の反射防止構造体のモスアイ構造の断面模式図である。 モスアイ構造の表面に単分子膜が均一に形成された従来の反射防止構造体の断面模式図である。 モスアイ構造の高さごとに、入射光の波長(nm)と反射率(%)の関係を示したグラフである。 モスアイ構造の高さごとに、入射光の波長(nm)と反射率(%)の関係が変化することを説明するための図である。 ピッチ200nm、高さ280nmのモスアイ構造について、面法線に対して5°〜60°の入射角で光を入射したときの反射率(%)の変化を示したグラフである。 ピッチ200nm、高さ190nmのモスアイ構造について、面法線に対して5°〜60°の入射角で光を入射したときの反射率(%)の変化を示したグラフである。 図6及び7に示したモスアイ構造に対して垂直方向から光を入射したときの反射特性を説明するための図である。 図6及び7に示したモスアイ構造に対して斜め方向から光を入射したときの反射特性を説明するための図である。 (a)〜(g)は、モスアイ構造を転写するための型の作製方法を説明する図である。 (a)〜(d)は、モスアイ構造の転写プロセスを説明する図である。 モスアイ構造を連続的に転写するための型の一例を示した斜視模式図である。 ベースフィルム上にモスアイ構造を連続的に形成するプロセスの一例を示した斜視模式図である。 モスアイ構造上に樹脂層を塗布形成することを説明する図である。 樹脂層形成前のモスアイ構造の表面を撮影した写真である。 樹脂層形成後のモスアイ構造の表面を撮影した写真である。 樹脂層形成前のモスアイ構造の断面を撮影した写真である。 樹脂層形成後のモスアイ構造の断面を撮影した写真である。 樹脂層の有無による反射率(%)の変化を波長(nm)別に示したグラフである。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
なお、本明細書では、底部から頂部までの高さが可視光波長以下(380nm以下)である凹凸構造を「モスアイ構造」と呼ぶ。モスアイ構造は、表面反射を低減する観点から、可視光波長の下限(380nm)よりも周期(隣接する頂点間の距離)が短いものであることが好ましい。
実施形態1
(1)反射防止構造体の構成
図1は、実施形態1の反射防止構造体のモスアイ構造の断面模式図である。実施形態1の反射防止構造体は、基材フィルム10上に転写樹脂層11を有し、転写樹脂層11の表面に凹凸構造(モスアイ構造)を有する。モスアイ構造は、反射防止構造体の表面での反射を低減するためのものである。実施形態1の反射防止構造体は、基材フィルム10及び転写樹脂層11から構成された、フィルム状の樹脂基材を用いていることから、反射防止フィルム(反射防止膜)、モスアイシート、モスアイフィルムとも呼ばれる。モスアイフィルムによれば、基材(表面反射を低減しようとする対象物品)上に載置することにより、さまざまな基材において可視光の表面反射を低減することができる。
転写樹脂層11のモスアイ構造の凹部には、樹脂層12が充填されている。この結果、反射防止構造体のモスアイ構造の底部から頂部までの高さが転写樹脂層11のモスアイ構造の底部から頂部までの高さよりも低くされている。具体的には、転写樹脂層11のモスアイ構造は、底部から頂部までの高さは、380nm以下であり、反射防止構造体のモスアイ構造における底部から頂部までの高さは、280nm以下である。
なお、図1は、転写樹脂層11のモスアイ構造の凹部上のみに樹脂層12が形成され、転写樹脂層11のモスアイ構造の凸部(頂部)上には樹脂層12が形成されていない例を示しているが、図2に示すように、転写樹脂層11のモスアイ構造の凹部上だけでなく、転写樹脂層11のモスアイ構造の凸部(頂部)上に、樹脂層12aが形成されていてもよい。転写樹脂層11のモスアイ構造の凸部(頂部)上に樹脂層12aを形成する場合、反射防止構造体のモスアイ構造の底部から頂部までの高さを、転写樹脂層11のモスアイ構造の底部から頂部までの高さよりも低くするために、転写樹脂層11のモスアイ構造の凹部上の樹脂層12aの膜厚を、転写樹脂層11のモスアイ構造の凸部(頂部)上の樹脂層a12の膜厚よりも厚くする。
図2のように、転写樹脂層11のモスアイ構造の凸部(頂部)上に樹脂層12aを形成する形態では、転写樹脂層11のモスアイ構造の凸部(頂部)を保護することができる。特に、樹脂層12aにフッ素を配合した場合には、摩擦係数を小さくして滑り性を良くすることができる。その結果、凸部(頂部)に接触したものが滑るので、凸部(頂部)が破損されることをより効果的に防ぐことができる。
樹脂層12を設けることにより、転写樹脂層11のモスアイ構造と比べて、反射防止構造体のモスアイ構造の凸部の高さを低くでき、凹部の深さを浅くできる。これによって、モスアイ構造から得られる反射率特性が変化することになる。モスアイ構造の凸部の高さが280nm以上であれば、その反射光は、入射光と実質的に同じ色となるので、白色光の環境下では、モスアイ構造の反射光は、白色(無彩色)となる。モスアイ構造の凸部の高さを280nm未満に低くしていくと、可視光の短波長成分の反射率よりも可視光の長波長成分の反射率が、より大幅に上昇する傾向がある。このため、モスアイ構造の表面で反射された光は、モスアイ構造の低反射特性のために、量が少ないものの入射光と比べて赤味を帯びた色になる。
転写樹脂層11のモスアイ構造は、後述するように、型の表面構造を転写して形成されたものであるため、モスアイ構造の高さを変更するためには、型の変更が必要である。しかしながら、モスアイ構造のように非常に微細な凹凸構造を均一なサイズで均一に分布させた型を製作することは容易ではなく、生産効率の観点から多様なサイズ、パターンのモスアイ構造を作り分けることは困難である。
本実施形態では、樹脂層12の充填度合いを変化させることにより、モスアイ構造の高さを調整することができる。このため、所望のモスアイ構造のサイズ、パターンの種類に応じた数の型を揃える必要がなく、樹脂層12の充填度合いを調整すればよい。したがって、モスアイ構造の反射色を調整することが容易であり、所望の反射色を実現することができる。これを利用すれば、モスアイフィルムの貼り付け対象に応じてモスアイ構造の反射色を調整することや、モスアイフィルム内に反射色の異なる領域を設けてモスアイフィルムに装飾性を付与することができる。
基材フィルム10は、モスアイ構造の形状の制御には直接関係せず、転写樹脂層11を形成する際の下地となる。基材フィルム10としては、機械的強度、透明性が高いものが好適である。基材フィルム10の材料としては、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)、アクリル樹脂が挙げられる。
転写樹脂層11は、型の表面構造を転写してモスアイ構造を形成する層である。転写樹脂層11としては、機械的強度(耐摩擦性)、透明性、離型性が高いものが好適である。転写樹脂層11の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。転写で形成された転写樹脂層11を丹念に調べると、転写の際に型と樹脂の間に空気を噛み込んだことによる形状不良、型に付着した異物による形状異常、樹脂中への異物混入が観察されることがあり、これらが転写形成により生じる付随的な構造的特徴であるとも言える。
樹脂層12としては、透明樹脂からなることが好ましいが、非常に薄い層であるので一般的には透明樹脂として分類されない樹脂であっても用いることは可能である。樹脂層12の屈折率は、モスアイ構造を形成する転写樹脂層11と同等、又は、それよりも低いことが好ましい。これは、樹脂層12は、転写樹脂層11と空気との間に介在することになるため、樹脂層12により反射率特性を下げない(反射率を上げない)ためには、転写樹脂層11と空気の中間の屈折率にする方が良いからである。空気の屈折率が1.0であり、転写樹脂層11の屈折率が1.5近傍(例えばアクリル樹脂は1.5、PETは1.57)にあるので、樹脂層12の屈折率は、1.5未満であることが好ましい。そのような屈折率を有する樹脂層12としては、フッ素を含有する樹脂が挙げられる。なお、転写樹脂層11の材料がPET(n=1.57)であれば、樹脂層12の材料が、アクリル樹脂であっても、フッ素を含有する樹脂であっても、樹脂層12の屈折率を転写樹脂層11の屈折率よりも低くすることができる。一方、転写樹脂層11の材料がアクリル樹脂の場合、樹脂層12の材料としてフッ素を含有する樹脂を用いれば、樹脂層12の屈折率を転写樹脂層11の屈折率よりも低くすることができる。また、アクリル樹脂は、通常、数種類のアクリルのモノマー、オリゴマーを適宜配合して調製されるので、転写樹脂層11に用いられたアクリル樹脂よりも屈折率が低くなるように配合を調製すれば、転写樹脂層11及び樹脂層12の両方にアクリル樹脂を用いても、樹脂層12の屈折率を転写樹脂層11の屈折率よりも低くすることができる。転写樹脂層11及び樹脂層12の両方に、同じアクリル樹脂を用いても、樹脂層12の屈折率を転写樹脂層11と同等にすることができるので構わない。
なお、離型剤のような、表面に単分子膜101を均一に形成した場合には、図1及び2に示した樹脂層12、12aとは異なり、図3に示したように、モスアイ構造の凸部(頂部)、凹部(底部)共に略均一な膜厚となる。このため、単分子膜101の有無によりモスアイ構造の高さは実質的に変化せず、その結果、反射特性の変化も生じない。
樹脂層12の形成方法としては、例えば、スピンコート、グラビアコート、ダイコート、スプレイ等が挙げられる。モスアイ構造の凹部への樹脂の充填度合い(樹脂の塗布量)を調整する観点からは、回転速度で膜厚調整が可能なスピンコートが好適である。一方、連続した基材フィルム10を用いる観点からは、グラビアコート、ダイコート等が好適であり、このときには樹脂層の材料となる樹脂を溶剤に含有させ、その固形分濃度によって塗布厚の調整を行うことが望ましい。
(2)反射防止構造体の反射率特性
可視光領域の波長380nm〜780nmの全体で充分な低反射特性を得る観点からは、モスアイ構造の突起の高さは200nm以上に設定される。突起の高さが変化すれば、反射率の波長特性は変化し、特に長波長領域において顕著に変化する。突起の高さを170nm位にすると、可視光の赤領域の反射率が高くなる。その結果、モスアイフィルムの表面は少し赤っぽく見えることになる。
図4は、モスアイ構造の高さごとに、入射光の波長(nm)と反射率(%)の関係(反射率の波長依存性)を示したグラフである。高さ185nmでは、赤領域の反射率が高くなり、モスアイフィルムの表面が赤色を帯びることを示している。高さ210nmでは、赤領域の反射は抑えられ、緑色を帯びた色に見える。高さ280nmでは、反射率が極大を示す波長は特になく、反射率の値は可視光領域全体で低くフラットであるから、モスアイ構造で反射された光はほぼ無色であり、わずかな量である。このように図4によれば、突起の高さによって、モスアイフィルムの表面からの反射色はその色が異なって見えることが分かる。
図4に示した高さ185nmの突起の反射率(Y)は0.059%であり、高さ210nmの突起の反射率(Y)は0.057%であり、高さ280nmの突起の反射率(Y)は0.031%である。ここで、反射率(%)は、「XYZ表色系(CIE1931表色系)」のY値である。言い換えれば、XYZ表色系における、反射による物体色のX値、Y値、Z値のうちのY値である。なお、Y値は、波長380nm〜780nmの可視光領域全体での積分値であり、特定の波長での反射率を意味するものではない。
次に、図5を用いて、モスアイ構造の高さによってモスアイフィルムの表面からの反射色の色味が変わることを概念的に説明する。図5は、モスアイ構造の高さごとに、入射光の波長(nm)と反射率(%)の関係が変化することを説明するための図である。図5の左端の例のように、樹脂層が形成されていない場合(樹脂が塗布される前)は、転写樹脂層11自身の突起の高さによって光学特性が決まる。樹脂層が形成されて転写樹脂層11の突起間が埋められると、図5の中央の例及び右端の例のように、モスアイ構造の突起の高さは、転写樹脂層11の凹部内の樹脂層12の表面から転写樹脂層11の突起の先端までとなる。このため、樹脂層が厚くなる程、モスアイ構造の突起の高さは低くなる。
したがって、樹脂層の形成前に可視光波長領域でほぼフラットな低反射特性であるとすれば、樹脂層の厚みが大きくなるほど、赤領域の反射率が大きくなる傾向がある。但し、突起の先端まで樹脂で埋まった場合には、もはや突起の形状が存在しなくなるためモスアイ構造の機能は出現しなくなる。
なお、図4のグラフは、5°正反射の条件で測定された結果を示している。モスアイフィルムの表面をどの角度から見るかによって反射色の色味は変わる。モスアイフィルムの表面に対して鉛直方向から傾くと、モスアイ構造の突起の見かけ上の高さが低くなることから、赤色領域の反射率が大きくなる。したがって、高さ185nmの突起を有するモスアイフィルムでは斜めから見ると、より赤みが強調される。
図6及び7に示したグラフは、異なる高さの突起を有するモスアイフィルムについて反射率(%)を測定した結果を示している。図6は、ピッチ200nm、高さ280nmのモスアイ構造について、面法線に対して5°〜60°の入射角で光を入射したときの反射率(%)の変化を示したグラフである。図7は、ピッチ200nm、高さ190nmのモスアイ構造について、面法線に対して5°〜60°の入射角で光を入射したときの反射率(%)の変化を示したグラフである。図6及び7のグラフは、モスアイフィルムの表面に対する法線方向から光の入射角度を5°、30°、45°及び60°に傾けてそれぞれ測定した結果である。
図6及び7において、5°での反射率が最も低いことから分かるように、モスアイフィルムは、垂直に近い角度で入射した光に対して反射率が最も低くなる。入射角が大きくほど長波長側において反射率が大きくなる。また、突起の高さが高い方が入射角の増大に対する反射率の上昇が穏やかであることが分かる。
図8は、図6及び7に示したモスアイ構造に対して垂直方向から光を入射したときの反射特性を説明するための図であり、図9は、図6及び7に示したモスアイ構造に対して斜め方向から光を入射したときの反射特性を説明するための図である。図8及び9に示したように、樹脂層が形成されていない高い突起を有するモスアイフィルム、及び、樹脂層が形成された低い突起を有するモスアイフィルムともに、垂直に近い入射角において反射率は非常に低く、その差は微差である。一方、入射角が大きくなると、低い突起を有するモスアイフィルムでは反射率が顕著に大きくなる傾向があり、例えば、入射角が60°である場合、樹脂層が有る方が約2%反射率が大きくなるため、色合いの違いが認識される。したがって、モスアイ構造の突起を樹脂層によって低くすれば、色味の調整可能である。
また、モスアイ構造の突起のピッチ(隣接する突起の間隔)は、380nm以下が好ましい。ピッチの大きさが可視光の波長より充分小さければ、ピッチの大きさは反射特性に影響しないが、ピッチの大きさが可視光の波長の下限である380nmに近づくと、短波長領域の可視光が影響を受けやすくなる。突起の配置の規則性が低い場合には散乱が生じ、突起が整然と並び突起の配置の規則性が高い場合には、回折が生じる傾向がある。散乱では、波長の短い青色の光が散乱されやすいため、モスアイフィルムの色味は青っぽくなる。回折では、ある視野角において強い光が観察されることになる。
モスアイ構造の突起のピッチは、200nm以下であることがより好ましい。200nmを超えるときには、モスアイ面の法線から大きく傾いた斜め方向(60°付近以上)からモスアイ面を眺めたときに、散乱によりモスアイ面が青白く白濁して見えることがあるが、200nm以下にすれば、散乱を充分に抑制することができる。したがって、ピッチが200nm以下であれば、ピッチの影響によって反射光の色味が変化することはない。
また、モスアイ構造の突起形状(シェイプ)が各波長の反射率を微妙に変化させ、反射光の色味に影響する可能性があるが、突起の先端に向かって徐々に細くなっていく形状であれば、界面における屈折率を光の進行方向に対して一定の割合で変化させることができ、所望の反射特性を得ることができる。本実施形態においては、反射防止構造体の表面に形成されたモスアイ構造の単位構造は釣鐘形状を有する。上記単位構造は、釣鐘形状以外の形状であってもよく、例えば、円錐形状、四角錐形状等の錘形状であってもよい。
(3)反射防止構造体の他の特性
モスアイ構造の突起を樹脂層によって低くする構成によれば、突起間に入り込んだ汚れを取り除きやすくなる。例えば、タッチパネルを有する表示装置の最表面にモスアイフィルムを配置した場合には、付着した皮脂の拭取り易さが向上する。また、モスアイ構造の突起を樹脂層によって低くする構成は、言い換えれば元々あったモスアイ構造の突起の根元を樹脂層により補強する構成であるとも言える。したがって、モスアイフィルム表面の機械的強度(耐性)の向上を図ることができる。
(4)反射防止構造体の製造方法
(4−1)モスアイ構造の転写用の型の作製
図10の(a)〜(g)は、モスアイ構造を転写するための型の作製方法を説明する図である。図10を参照しながら、モスアイフィルムを形成するための型(モールド)を作製した例を以下に説明する。
まず、アルミニウム(Al)基材21を用意した(図10(a))。Al基材21は、別の基材の上にAl膜を成膜したものであってもよい。その場合、Al膜の厚みは、例えば1.0μmとする。
次に、図10(b)に示すように、このAl基材21の表層部分を陽極酸化することによってポーラスアルミナ層20を形成し、それをエッチングすることによって、可視光波長オーダー以下の微小な凹部(細孔)22aを表面の広い範囲に一定の間隔で多数形成した。化成電圧、電解液の種類、濃度、時間等の陽極酸化の条件によって、凹部22aの大きさ、生成密度、凹部22aの深さ等を制御することができる。陽極酸化における化成電圧の大きさを制御することによって、凹部22aの配列の規則性を制御することができる。
初期段階で生成するポーラスアルミナ層20においては凹部22aの配列に乱れが生じる傾向にあるため、再現性を考慮し、本実施形態では、図10(c)に示すように、最初に形成されたポーラスアルミナ層20を除去した。底部分の凹みの距離が、ほぼ等しい部分だけ残すように除去することで、次の陽極酸化工程(図10(d))で、穴が開く位置を決めることができる。
その後、図10(d)に示すように、再び陽極酸化を行い、凹部22aを有するポーラスアルミナ層20を形成した。次に、図10(e)に示すように、凹部22aを有するポーラスアルミナ層20をアルミナのエッチャントに接触させて所定の量だけ等方的エッチングすることにより凹部22aの孔径を拡大させた(ワイドニング)。ここでは、シュウ酸0.6wt%、液温5℃の電解液に、80Vの電圧を24秒間印加することで陽極酸化を行い、リン酸1mol/L、液温30℃の溶液に、25分間浸漬することでエッチングを行った。陽極酸化は、シュウ酸に代えて、硫酸、燐酸等の酸性電解液、又は、アルカリ性電解溶液を用いてもよい。
この後、図10(f)に示すように、再び、Al基材21を部分的に陽極酸化することにより、凹部22aを深さ方向に成長させると共にポーラスアルミナ層20を厚くした。ここで凹部22aの成長は、既に形成されている凹部22aの底部から始まるので、凹部22aの側面は階段状になる。更にこの後、図10(g)に示すように、ポーラスアルミナ層20をアルミナのエッチャントに接触させて更にエッチングすることにより凹部22aの孔径をさらに拡大させた。
このように、上述した陽極酸化工程(図10(d))及びエッチング工程(図10(e))を繰り返すことによって、所望の凹部22aを有するポーラスアルミナ層20が得られる。ここでは、上記の陽極酸化とエッチングを交互に、陽極酸化を5回、エッチングを4回実施し、隣り合う穴のピッチが200nmで、深さが380nmの円錐状の穴を有するモールドを作製した。
なお、転写用の型の作製方法は、上述のような陽極酸化及びエッチングを繰り返し行う方法に限定されず、例えば、電子線描画法、レーザー光の干渉露光を用いる方法を用いてもよい。
また、転写用の型における凹部が形成される材料としては、Al基材又はAl膜に限定されず、例えば、(1)ガラス基板、(2)SUS、Ni等の金属材料、(3)ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子(代表的には、ノルボルネン系樹脂等である製品名「ゼオノア」〔日本ゼオン株式会社製〕、製品名「アートン」〔JSR株式会社製〕等)のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等の樹脂材料が挙げられる。
<モスアイフィルムの作製>
図11の(a)〜(d)は、モスアイ構造の転写プロセスを説明する図である。図11を参照しながら、反射防止フィルムの製造方法について説明する。
まず、図11(a)に示すように、基材フィルム10を用意し、転写樹脂11を塗布し、乾燥させる。基材の種類は、特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック、金属等を構成材料とするものが挙げられる。転写樹脂11は、特に限定されないが、光ナノインプリントの場合には、紫外線硬化性樹脂が好適に用いられ、例えば、PAK01(東洋合成工業社製)、SU−8(日本化薬社製)が挙げられる。
次に、図11(b)に示すように、転写樹脂11のモスアイ構造を付与する面上に、上述の方法により作製したモールド31を配置する。モールド31の表面には、離型/防汚剤を塗布する。モールド31に離型/防汚剤を塗布することで、モールド31の耐用期間を長期化することができる。
次に、図11(c)に示すように、モールド31を転写樹脂11に押し付けるとともに、紫外線を照射し、転写樹脂11を硬化させる。これにより、モールド31に形成されたナノ構造パターンを転写樹脂11に転写できる。以上の工程により、反射防止フィルムが完成する(図11(d))。
以上では、逐次(バッチ)処理での製造工程を説明したが、以下に示すように、インラインでの連続処理を行ってもよい。転写用の型は、平板状であってもよいが、インラインでの連続処理には、図12に示したようなロール型のモールド31が好適に用いられる。図12は、モスアイ構造を連続的に転写するための型(モールド)の一例を示した斜視模式図である。なお、図12において、モールド31の表面に記載された多数の丸(○)は、モスアイ構造の転写に用いられる凹部を模式的に表している。図12は模式図であるため、凹部が間隔を空けて配置されているが、実際のモールドでは、凹部は隙間がないように敷き詰められている。ロール型のモールド31としては、例えば、Alを切削することで作製されたロール型、又は、基材となる薄いスリーブ管の表面にアルミニウムの膜を形成したものが挙げられる。
図13は、ベースフィルム上にモスアイ構造を連続的に形成するプロセスの一例を示した斜視模式図である。図13の製造工程(a)〜(d)は、図11の製造工程(a)〜(d)に対応している。
まず、基材フィルム(例えば、TACフィルム)10に転写樹脂11を塗布し(図13(a))、転写樹脂11を乾燥炉で乾燥させる。次に、回転するロール状のモールド31を転写樹脂11に押し当てつつ(図13(b))、転写樹脂11に対して2J/cm積算光量で紫外線を照射する(図13(c))。このとき、モスアイ構造の反転パターンが表面に形成されたモールド(転写用のロール型)31による連続転写によって転写樹脂11の表面にモスアイ構造が形成される。以上のように、各工程を順次連続して実施するロール・ツー・ロール方式でモールド31の表面構造を転写することにより、樹脂埋め前のモスアイフィルムが完成する(図13(d))。
転写樹脂11としては、溶剤を含まないアクリル樹脂を用いてもよいし、溶剤(例えば、メチル・エチル・ケトン(MEK)、メチル・イソブチル・ケトン(MEBK)、トルエン)を含むアクリル樹脂を用いてもよい。固形分濃度は、例えば、0.1wt%〜2.0wt%程度に適宜調製される。溶剤は、通常、コーティング後に乾燥炉で除去される。上記では、モスアイ構造を型押し及び紫外線照射の組み合わせ(UVインプリント)により形成したが、転写樹脂11の硬化には、紫外線に代えて、熱、可視光を用いてもよい。
その後、図14に示すように、転写樹脂層11に形成されたモスアイ構造の凹部に樹脂を充填し、樹脂層12を形成する。樹脂を充填する方法としては、例えば、スピンコート、グラビアコート、ダイコート、スプレイ等が挙げられる。
塗布量を調整する観点では、スピンコートが好適であり、その回転速度で膜厚調整が可能である。連続した基材フィルムを用いる場合には、グラビアコート、ダイコート等が好適である。この場合、樹脂は溶剤に含有させ、その固形分濃度を調整することにより、塗布厚みを調整することができる。溶剤としては、例えば、トルエン、MEK、MEBKを用いることができる。固形分濃度は、例えば、0.1wt%程度に調整される。
また、モスアイフィルム内の一部の凹部のみを樹脂埋めし、部分的に高さの異なるモスアイ構造を形成する場合には、インクジェット技術のような塗出量の精密な制御が可能な方法が好適である。インクジェット技術は、インクだめに形成された穴(ノズル)からインクの液滴(ドロップレット)を飛ばし、被着体にインクを着弾させる技術である。通常では、ノズルを複数備えたヘッドを走査させながら所望の位置でノズルからインクの液滴を吐出させることにより、被着体の所望の位置にインクを塗布する。インクを飛ばす方式としては、ピエゾ方式、サーマル方式等が知られている。ピエゾ方式では、各ノズルに対応するピエゾ素子を振動させる電気信号を入れるかどうかで、ノズルからインクを吐出するかどうかを制御する。
モスアイフィルムを被着体とし、樹脂をインクとしたインクジェット技術によれば、モスアイフィルム内の一部の凹部のみに樹脂埋めすることが可能である。インクジェット装置の設置形態としては、フィルム転写ライン内にインクジェット装置を設置する形態、転写が完了したフィルムロールに対してインクジェット装置により塗布する形態が挙げられる。
(5)実施例
実施例として、モスアイフィルム(樹脂基材)上に樹脂をコーティング(塗布)した例を示す。なお、本実施例は一例であり、これに限定されるわけではない。図19のグラフに実施例の結果として示された反射率特性もまた、本発明の反射防止構造体が有する反射率特性の一例である。なお、モスアイ構造による反射色の色味は、モスアイ構造の突起の高さに強く依存するが、モスアイ構造の突起の形状(シェイプ)にもある程度依存する。したがって、図19のグラフの反射率特性は、突起の高さのみで一義的に決まったものではない。
モスアイフィルムは、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上に、表面にモスアイ構造を有するアクリル系のUV硬化樹脂層が形成されたものである。モスアイ構造は、突起間のピッチが約200nm、突起の高さが約200nmであった。アクリル系のUV硬化樹脂層の屈折率は1.49であった。
塗布用の樹脂には、旭硝子社製のサイトップを用いた。この樹脂の屈折率は1.32であり、固形分濃度は0.5wt%であった。コーティング法としては、ディップ法を用い、ディップ後3mm/secの速度で引き上げた。引き上げ後、60℃で30分間乾燥した後、100℃で1時間焼成した。
樹脂の塗布前後におけるモスアイ構造を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察した結果を図15〜18に示した。図15は、樹脂層形成前のモスアイ構造の表面を撮影した写真である。図16は、樹脂層形成後(焼成後)のモスアイ構造の表面を撮影した写真である。図17は、樹脂層形成前のモスアイ構造の断面を撮影した写真である。図18は、樹脂層形成後のモスアイ構造の断面を撮影した写真である。塗布後の図16及び図18から、樹脂は、モスアイ構造の突起の1/4〜半分程度の高さまでモスアイ構造の凹部を埋めていることが分かる。樹脂埋め後のモスアイ構造の突起の見掛け上の高さは、おおむね100nm〜150nmと見積もられた。
樹脂の塗布前後における光学特性の変化を測定した結果を図19に示した。図19は、樹脂層の有無による反射率(%)の変化を波長(nm)別に示したグラフである。図19のグラフは、モスアイフィルムの表面の法線から5°傾いた方向から光を入射させたときの反射率を測定した結果である。また、測定は、モスアイフィルムを屈折率1.5の黒いアクリル基板上に、屈折率1.5の粘着剤で貼り付けて行った。
図19のグラフから、塗布前は可視光領域全体にわたって、非常に低反射であることが分かる。塗布前の波長550nmの5°正反射率は0.029%であり、視感度を考慮したY値は0.033%であり、反射色はa*=0.111、b*=−0.299であった。
一方、塗布後の波長550nmの5°正反射率は0.141%であり、Y値は0.158%であり、反射色はa*=0.857、b*=0.930であった。反射特性は、塗布後もモスアイ形状を残していたため、低反射を保っていたが、塗布によって色味は、a*及びb*の値から分かるように、略ニュートラル(無色)からオレンジ方向へ変化した。なお、色度の値が小さいのは、モスアイ構造の非常に低い反射特性により、僅かな反射光であることに由来する。
また、塗布前後のそれぞれの状態で、表面に指紋を付け、クロス(ベンコットン)で乾拭きしたところ、塗布前の状態では、指紋の拭取りは困難であったが、塗布後では拭取りが可能であった。
以上のことから、モスアイ構造の上に樹脂を塗布することによって、低反射特性を損なうことなく、色味の変化を加えることが可能であり、汚れの拭きとり性も向上することが分った。
(6)変形例
上述した実施形態における各形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。例えば、本実施形態における反射防止構造体及び転写用型の表面形状は、モスアイ構造による凹凸を除けば、実質的に平坦であるが、陽極酸化処理の前にあらかじめサンドブラスト処理を行う等して、散乱凹凸構造を設けても構わない。
(7)用途
本実施形態における反射防止構造体は、例えば、表示装置の構成部材(自発光型表示素子、非自発光型表示素子、光源、光拡散シート、プリズムシート、偏光反射シート、位相差板、偏光板、前面板、筐体等)、レンズ、窓ガラス、額縁ガラス、ショウウインドウ、水槽、印刷物、写真、塗装物品、照明機器等に対して用いることができる。中でも、表示装置に好適に用いられる。表示装置としては、液晶表示装置(LCD)に限定されず、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等に用いることができる。
10:基材フィルム
11:転写樹脂(層)
12、12a:樹脂層
20:ポーラスアルミナ層
21:Al基材
22a:凹部
31:モールド(転写用型)
101:単分子膜

Claims (16)

  1. 底部から頂部までの高さが可視光波長以下である凹凸構造を表面に有する樹脂基材、及び、上記凹凸構造の少なくとも一部を覆う樹脂層を有する反射防止構造体であって、
    上記樹脂層は、上記凹凸構造の頂部よりも上記凹凸構造の底部を厚く覆っており、
    上記凹凸構造の第1の底部を覆う上記樹脂層の厚みと、上記凹凸構造の第2の底部を覆う上記樹脂層の厚みとが異なることを特徴とする反射防止構造体。
  2. 上記樹脂基材の凹凸構造が上記樹脂層で覆われて形成された、上記反射防止構造体の表面の凹凸構造では、底部から頂部までの高さが100nm〜280nmであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止構造体。
  3. 上記樹脂基材の凹凸構造の底部に充填された上記樹脂層の厚みは、280nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止構造体。
  4. 上記樹脂基材の凹凸構造の底部には、上記樹脂基材の凹凸構造の頂部上よりも、上記樹脂層が20nm〜100nm厚く配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止構造体。
  5. 上記反射防止構造体の表面の凹凸構造は、上記樹脂層で覆われた領域において、上記樹脂基材の凹凸構造とは異なる形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止構造体。
  6. 上記樹脂層は、上記凹凸構造の一部のみを覆っていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止構造体。
  7. 上記樹脂層は、上記樹脂基材の凹凸構造の頂部に設けられていないことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反射防止構造体。
  8. 上記樹脂層の材質の屈折率は、上記樹脂基材の材質の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反射防止構造体。
  9. 上記樹脂層の材質は、フッ素原子を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反射防止構造体。
  10. 上記樹脂基材は、フィルム状であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反射防止構造体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止構造体を製造する方法であって、
    酸化金属膜を選択的にエッチングして形成した穴を表面に有する転写用の型を押し付けて上記穴の形状を上記樹脂基材の表面に転写することにより、上記凹凸構造を形成することを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の反射防止構造体を表示面に配置したことを特徴とする表示装置。
  13. 上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記凹凸構造を覆っていない領域が、上記表示面の額縁領域に配置され、上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記凹凸構造を覆った領域が、上記表示面の表示領域に配置されたことを特徴とする請求項12記載の表示装置。
  14. 反射防止構造体を表示面に配置した表示装置であって、
    上記反射防止構造体は、底部から頂部までの高さが可視光波長以下である凹凸構造を表面に有する樹脂基材、及び、上記凹凸構造の少なくとも一部を覆う樹脂層を有し、
    上記樹脂層は、上記凹凸構造の頂部よりも上記凹凸構造の底部を厚く覆っており、
    上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記凹凸構造を覆っていない領域が、上記表示面の額縁領域に配置され、上記反射防止構造体の上記樹脂層が上記凹凸構造を覆った領域が、上記表示面の表示領域に配置されたことを特徴とする表示装置。
  15. 上記反射防止構造体が表示面に貼り付けられたものであることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の表示装置。
  16. 前記表示装置は、液晶表示装置、プラズマ・ディスプレイ・パネル、又は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置であることを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の表示装置。
JP2014521420A 2012-06-22 2013-06-14 反射防止構造体、その製造方法及び表示装置 Active JP5947379B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012141318 2012-06-22
JP2012141318 2012-06-22
PCT/JP2013/066429 WO2013191092A1 (ja) 2012-06-22 2013-06-14 反射防止構造体及び表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013191092A1 JPWO2013191092A1 (ja) 2016-05-26
JP5947379B2 true JP5947379B2 (ja) 2016-07-06

Family

ID=49768689

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014521420A Active JP5947379B2 (ja) 2012-06-22 2013-06-14 反射防止構造体、その製造方法及び表示装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9784889B2 (ja)
JP (1) JP5947379B2 (ja)
WO (1) WO2013191092A1 (ja)

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150241603A1 (en) * 2012-06-22 2015-08-27 Sharp Kabushiki Kaisha Anti-reflection structure, imprint mold, method for producing anti-reflection structure, method for producing imprint mold, and display device
JP6308422B2 (ja) * 2014-01-20 2018-04-11 大日本印刷株式会社 表示体
WO2015136733A1 (ja) * 2014-03-14 2015-09-17 シャープ株式会社 光学素子及び表示装置
JP6209271B2 (ja) * 2014-04-21 2017-10-04 シャープ株式会社 積層印刷物
KR101688364B1 (ko) * 2014-04-22 2016-12-20 샤프 가부시키가이샤 살균 작용을 구비한 표면을 갖는 합성 고분자막, 합성 고분자막을 갖는 적층체, 합성 고분자막의 표면을 사용한 살균 방법, 및 합성 고분자막의 표면의 재활성화 방법
WO2015166725A1 (ja) 2014-04-28 2015-11-05 シャープ株式会社 殺菌作用を有するフィルターおよび容器
US10251393B2 (en) 2014-11-20 2019-04-09 Sharp Kabushiki Kaisha Synthetic polymer film having surface provided with bactericidal activity
JP6401298B2 (ja) * 2014-12-25 2018-10-10 シャープ株式会社 食品を保存する方法、食品用フィルム、食品用容器および食品を取り扱う方法
JP6470410B2 (ja) 2015-06-23 2019-02-13 シャープ株式会社 殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜
US10375953B2 (en) 2015-07-17 2019-08-13 Sharp Kabushiki Kaisha Synthetic polymer film having surface that is provided with bactericidal action, and film comprising same
CN104991680A (zh) * 2015-08-05 2015-10-21 信利光电股份有限公司 一种触摸屏
US10684397B2 (en) * 2015-09-08 2020-06-16 Apple Inc. Refractive coatings for a colored surface of an electronic device
JP6605612B2 (ja) 2015-09-17 2019-11-13 シャープ株式会社 殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜、合成高分子膜の製造方法および合成高分子膜の表面を用いた殺菌方法
JP6784487B2 (ja) * 2015-10-30 2020-11-11 デクセリアルズ株式会社 光学体、および表示装置
US10968292B2 (en) 2017-09-26 2021-04-06 Sharp Kabushiki Kaisha Synthetic polymer film whose surface has microbicidal activity, photocurable resin composition, manufacturing method of synthetic polymer film, and sterilization method with use of surface of synthetic polymer film
JP6751731B2 (ja) 2018-02-21 2020-09-09 シャープ株式会社 合成高分子膜および合成高分子膜の製造方法
JP6761437B2 (ja) 2018-03-15 2020-09-23 シャープ株式会社 殺菌作用を備えた表面を有する合成高分子膜、合成高分子膜を有するプラスチック製品、合成高分子膜の表面を用いた殺菌方法、光硬化性樹脂組成物、および合成高分子膜の製造方法
WO2019187512A1 (ja) * 2018-03-27 2019-10-03 富士フイルム株式会社 透光部材、画像表示装置および時計
WO2019188861A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 富士フイルム株式会社 黒色構造体、ならびにそれを備えた自発光画像表示装置
JP6683214B2 (ja) * 2018-05-21 2020-04-15 デクセリアルズ株式会社 反射防止構造体
JP7078899B2 (ja) * 2018-09-19 2022-06-01 日産自動車株式会社 撥水撥油構造体
JP7057431B2 (ja) * 2018-09-28 2022-04-19 富士フイルム株式会社 Ledディスプレイのフロント部材、及び、その製造方法
JPWO2021020159A1 (ja) * 2019-07-31 2021-02-04
JP7510640B2 (ja) 2019-12-17 2024-07-04 国立研究開発法人産業技術総合研究所 反射防止構造体、及びその製造方法
KR102696144B1 (ko) * 2021-08-10 2024-08-20 (주) 제이피이 나노패턴을 이용한 색변환 인테리어 필름 및 이의 제조방법

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07294706A (ja) * 1994-04-28 1995-11-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法
JP2000071290A (ja) 1998-08-28 2000-03-07 Teijin Ltd 反射防止物品の製造方法
JP2003172808A (ja) 2001-12-06 2003-06-20 Hitachi Maxell Ltd 超撥水性プラスチック基板及び反射防止膜
JP2007076242A (ja) 2005-09-15 2007-03-29 Fujifilm Corp 保護フィルム
JP2007187868A (ja) 2006-01-13 2007-07-26 Nissan Motor Co Ltd 濡れ制御性反射防止光学構造体及び自動車用ウインドウガラス
WO2008001662A1 (fr) * 2006-06-30 2008-01-03 Panasonic Corporation Élément optique et dispositif optique le comprenant
WO2008069162A1 (en) 2006-12-05 2008-06-12 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Anti-reflection film and display device
WO2009144970A1 (ja) 2008-05-27 2009-12-03 シャープ株式会社 反射防止膜及び表示装置
JP2010044184A (ja) 2008-08-12 2010-02-25 Mitsubishi Rayon Co Ltd 透明成形体
JP4678437B2 (ja) 2008-12-29 2011-04-27 ソニー株式会社 光学素子およびその製造方法、ならびに表示装置
JP5630635B2 (ja) 2009-03-06 2014-11-26 日産自動車株式会社 微細構造体、その製造方法、及び該微細構造体を用いた自動車部品
TWI467214B (zh) 2009-09-02 2015-01-01 Dexerials Corp A conductive optical element, a touch panel, an information input device, a display device, a solar cell, and a conductive optical element
JP4626721B1 (ja) 2009-09-02 2011-02-09 ソニー株式会社 透明導電性電極、タッチパネル、情報入力装置、および表示装置
JP5440165B2 (ja) 2009-12-28 2014-03-12 デクセリアルズ株式会社 導電性光学素子、タッチパネル、および液晶表示装置
JP2011167924A (ja) 2010-02-18 2011-09-01 Kanagawa Acad Of Sci & Technol 低反射導電性表面を有する材料およびその製造方法
JP5804683B2 (ja) 2010-09-14 2015-11-04 キヤノン株式会社 光学素子および、それを有する光学装置
JP2013041027A (ja) 2011-08-12 2013-02-28 Canon Electronics Inc 光学フィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
US20150177420A1 (en) 2015-06-25
JPWO2013191092A1 (ja) 2016-05-26
WO2013191092A1 (ja) 2013-12-27
CN104395783A (zh) 2015-03-04
US9784889B2 (en) 2017-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5947379B2 (ja) 反射防止構造体、その製造方法及び表示装置
CN106030349B (zh) 层积体的制造方法、层积体、偏振片、图像显示装置和图像显示装置的可见性改善方法
CN102869506B (zh) 光学层积体、光学层积体的制造方法、偏振片和图像显示装置
JP2000071290A (ja) 反射防止物品の製造方法
KR20090047528A (ko) 광학 적층체의 제조 방법, 제조 장치, 광학 적층체, 편광판및 화상 표시 장치
EP3211458B1 (en) Optical element, optical composite element, and optical composite element having attached protective film
KR20120109525A (ko) 광학 적층체 및 광학 적층체의 제조 방법
JP2009288732A (ja) 防眩フィルム
WO2011016270A1 (ja) 板状部材及び観察窓付き構造物
JP2010044184A (ja) 透明成形体
JP2007038447A (ja) 反射防止積層体、光学部材および液晶表示素子
US20160313474A1 (en) Anti-reflective structure and method for designing same
JP2009075354A (ja) 光学積層体、偏光板、及び、画像表示装置
JPWO2013191089A1 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2007078780A (ja) 光学物品およびその製造方法
JP2012159598A (ja) 光学部材及び表示パネル
WO2014046021A1 (ja) 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに、表示装置
WO2015071943A1 (ja) 光学フィルムおよびその作製方法
JP2004012657A (ja) 反射防止フィルム
JP6164120B2 (ja) 反射防止膜付き基材および物品
CN104395783B (zh) 防反射结构体和显示装置
JP6686884B2 (ja) 積層体
JP2010056520A (ja) 光学フィルタおよびその製造方法
JP2007062102A (ja) 防眩性フィルム及びその製造方法
JP2014071220A (ja) 絵柄付きフィルム及び表示体

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160602

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5947379

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150