JPH07294706A - 反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法 - Google Patents
反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法Info
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- JPH07294706A JPH07294706A JP6091425A JP9142594A JPH07294706A JP H07294706 A JPH07294706 A JP H07294706A JP 6091425 A JP6091425 A JP 6091425A JP 9142594 A JP9142594 A JP 9142594A JP H07294706 A JPH07294706 A JP H07294706A
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- antireflection
- protective film
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 反射防止膜の耐剥離性を向上させる。
【構成】 プラスチック基板2にフッ素樹脂からなる反
射防止膜1を形成し、重ねて不揮発性の液体を適当な圧
力をかけて塗布し、反射防止膜表面の微細な凹凸を液体
分子で埋め、数十から数nmの液体保護膜3を形成す
る。
射防止膜1を形成し、重ねて不揮発性の液体を適当な圧
力をかけて塗布し、反射防止膜表面の微細な凹凸を液体
分子で埋め、数十から数nmの液体保護膜3を形成す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディスプレイ機器等の前
面に設置される反射防止パネルと、光学レンズや眼鏡等
のレンズと、これらを保護する保護膜の形成方法に関す
る。
面に設置される反射防止パネルと、光学レンズや眼鏡等
のレンズと、これらを保護する保護膜の形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ディスプレイ機器等の前面に設置される
従来の反射防止パネルの構成を図4に示す。1は反射防
止膜、2はプラスチック基板、4はプライマー膜を示
す。透明なプラスチック部材からなる反射防止パネルの
反射低減方法としては、ディップコート、スピンコー
ト、ロールコート等の手段により低屈折率のフッ素樹脂
からなる反射防止膜1を設け、光の干渉により反射光を
低減する方法が採用されている。しかし、前記フッ素樹
脂の反射防止膜(薄膜)は本来、プラスチックとは密着
性が悪く、布等で軽く拭く程度の摩擦や,わずかな擦過
力により反射防止膜が剥離するといった問題があった。
これを改善するには、プラスチック基板2とフッ素樹脂
の両方に密着性のあるプライマー4をコーティングする
プライマー処理が事前に必要であった。
従来の反射防止パネルの構成を図4に示す。1は反射防
止膜、2はプラスチック基板、4はプライマー膜を示
す。透明なプラスチック部材からなる反射防止パネルの
反射低減方法としては、ディップコート、スピンコー
ト、ロールコート等の手段により低屈折率のフッ素樹脂
からなる反射防止膜1を設け、光の干渉により反射光を
低減する方法が採用されている。しかし、前記フッ素樹
脂の反射防止膜(薄膜)は本来、プラスチックとは密着
性が悪く、布等で軽く拭く程度の摩擦や,わずかな擦過
力により反射防止膜が剥離するといった問題があった。
これを改善するには、プラスチック基板2とフッ素樹脂
の両方に密着性のあるプライマー4をコーティングする
プライマー処理が事前に必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、プライマー処
理工程においては有機溶剤を必要とし、該有機溶剤の品
質管理や安全管理を必要とする。また、プライマー処理
を施しても耐剥離試験の結果、数倍の剥離強度しか得ら
れず、市場での実用に耐えないという大きな問題を有し
ていた。
理工程においては有機溶剤を必要とし、該有機溶剤の品
質管理や安全管理を必要とする。また、プライマー処理
を施しても耐剥離試験の結果、数倍の剥離強度しか得ら
れず、市場での実用に耐えないという大きな問題を有し
ていた。
【0004】例えば反射防止パネルやレンズ等を構成す
るプラスチック基板2(基体)の表面は完全な平滑面で
はない。微視的に見れば図1または図4の表面拡大図に
示すように、プラスチック基板2の表面は数十nmから
数nmオーダーの凹凸8を呈している。フッ素樹脂をプ
ラスチック基板2にディップコート、またはロールコー
トもしくはスピンコートすることによって、プラスチッ
ク基板上にフッソ樹脂薄膜(反射防止膜1)が形成され
る。このとき、フッソ樹脂薄膜の表面は図4の表面拡大
図に示されるように、プラスチック基板の表面と相似形
に数十nmから数nmオーダーの凹凸9となる。この結
果、フッソ樹脂薄膜表面を布等で擦ると、フッソ樹脂薄
膜表面の凹凸9に布の一部が引っ掛かりフッソ樹脂薄膜
が剥離する。従来構成のフッソ樹脂薄膜では図2のAに
示すように、荷重500g/cm2 の擦過テストではわ
ずか5往復で剥離した。また、プライマー処理を施した
場合でもBに示すように、15往復で剥離し実用上大き
な問題となっていた。
るプラスチック基板2(基体)の表面は完全な平滑面で
はない。微視的に見れば図1または図4の表面拡大図に
示すように、プラスチック基板2の表面は数十nmから
数nmオーダーの凹凸8を呈している。フッ素樹脂をプ
ラスチック基板2にディップコート、またはロールコー
トもしくはスピンコートすることによって、プラスチッ
ク基板上にフッソ樹脂薄膜(反射防止膜1)が形成され
る。このとき、フッソ樹脂薄膜の表面は図4の表面拡大
図に示されるように、プラスチック基板の表面と相似形
に数十nmから数nmオーダーの凹凸9となる。この結
果、フッソ樹脂薄膜表面を布等で擦ると、フッソ樹脂薄
膜表面の凹凸9に布の一部が引っ掛かりフッソ樹脂薄膜
が剥離する。従来構成のフッソ樹脂薄膜では図2のAに
示すように、荷重500g/cm2 の擦過テストではわ
ずか5往復で剥離した。また、プライマー処理を施した
場合でもBに示すように、15往復で剥離し実用上大き
な問題となっていた。
【0005】本発明は上記問題点を解決するもので、プ
ライマー処理工程を不要とし、かつ、擦過力に対し反射
防止膜の耐剥離性に優れた反射防止パネルと、レンズ
と、保護膜の形成方法を提供することを目的とする。
ライマー処理工程を不要とし、かつ、擦過力に対し反射
防止膜の耐剥離性に優れた反射防止パネルと、レンズ
と、保護膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法
は、まずプラスチック基板2(基体)に低屈折率のフッ
素樹脂をディップコート、またはロールコート、または
スピンコート等の手段により反射防止膜1を形成する。
次に、前記反射防止膜1に重ねて液体を塗布し、該液体
をセーム皮等で引き延ばしながら軽く拭き取ることによ
り、数十nmから数nmオーダーの液体保護膜3を形成
した構成としている。本発明の構成に使用するプラスチ
ック基板等の基体は平滑面を有する樹脂が使用され、ア
クリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、MS樹脂など透明
性を有する任意の樹脂を用いてよい。
本発明の反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法
は、まずプラスチック基板2(基体)に低屈折率のフッ
素樹脂をディップコート、またはロールコート、または
スピンコート等の手段により反射防止膜1を形成する。
次に、前記反射防止膜1に重ねて液体を塗布し、該液体
をセーム皮等で引き延ばしながら軽く拭き取ることによ
り、数十nmから数nmオーダーの液体保護膜3を形成
した構成としている。本発明の構成に使用するプラスチ
ック基板等の基体は平滑面を有する樹脂が使用され、ア
クリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、MS樹脂など透明
性を有する任意の樹脂を用いてよい。
【0007】また、反射防止膜1を形成するフッ素樹脂
薄膜の材料としては、溶剤に可溶性の透明フッ素樹脂が
開発されており(例えば旭硝子株式会社製「サイトッ
プ」)、フッ素系溶媒に溶解し、ディップコート等によ
り薄膜形成が可能である。前記薄膜の膜厚は(光の波
長)/(薄膜の屈折率)/4で与えられるとき最も高い
反射防止効果を示す。ディップコートの場合、フッ素樹
脂溶液濃度と引き上げ速度を制御することで希望の膜厚
が得られる。
薄膜の材料としては、溶剤に可溶性の透明フッ素樹脂が
開発されており(例えば旭硝子株式会社製「サイトッ
プ」)、フッ素系溶媒に溶解し、ディップコート等によ
り薄膜形成が可能である。前記薄膜の膜厚は(光の波
長)/(薄膜の屈折率)/4で与えられるとき最も高い
反射防止効果を示す。ディップコートの場合、フッ素樹
脂溶液濃度と引き上げ速度を制御することで希望の膜厚
が得られる。
【0008】液体保護膜の材料としては、フッソ樹脂薄
膜を侵さないものであれば任意で、例えばシリコンオイ
ルや鉱物油など不揮発性で所望の粘性を有した液体が望
ましい。また、これらの液体を塗布する際、塗布ムラを
生じないよう、粘性調整としてフッ素樹脂薄膜を侵さな
い溶剤を使用したり,界面活性剤と水を用い水溶液にし
て調整してもよい。
膜を侵さないものであれば任意で、例えばシリコンオイ
ルや鉱物油など不揮発性で所望の粘性を有した液体が望
ましい。また、これらの液体を塗布する際、塗布ムラを
生じないよう、粘性調整としてフッ素樹脂薄膜を侵さな
い溶剤を使用したり,界面活性剤と水を用い水溶液にし
て調整してもよい。
【0009】
【作用】本発明の構成によれば図1の表面拡大図に示す
ように、フッソ樹脂薄膜表面の凹凸9を液体で埋め、数
十nmから数nm厚さの液体保護膜3を形成する。その
結果、布等で反射防止パネル表面を擦過した時、前記液
体保護膜3が潤滑材となり擦過抵抗が少なくなる。布の
一部での引っ掛かりも極減する。さらにフッ素樹脂自体
の摩擦抵抗が小さく潤滑性に富む。従って、本発明の反
射防止パネルやレンズ表面を布等で擦過してもフッ素樹
脂薄膜の密着強度より弱い擦過力となり、図2のCまた
はDに示すように、耐剥離回数は100往復〜500往
復まで向上し、耐擦過性、耐剥離性に優れた反射防止パ
ネルが得られる。なお、上記保護膜3の材料として不揮
発性の粘性を有した液体を使用すれば、フッ素樹脂薄膜
の凹凸に埋まった液体保護膜は拭き取られることがな
い。蒸発することもないので、長期間にわたって耐擦過
性、耐剥離性のすぐれた反射防止パネルを提供すること
ができる。
ように、フッソ樹脂薄膜表面の凹凸9を液体で埋め、数
十nmから数nm厚さの液体保護膜3を形成する。その
結果、布等で反射防止パネル表面を擦過した時、前記液
体保護膜3が潤滑材となり擦過抵抗が少なくなる。布の
一部での引っ掛かりも極減する。さらにフッ素樹脂自体
の摩擦抵抗が小さく潤滑性に富む。従って、本発明の反
射防止パネルやレンズ表面を布等で擦過してもフッ素樹
脂薄膜の密着強度より弱い擦過力となり、図2のCまた
はDに示すように、耐剥離回数は100往復〜500往
復まで向上し、耐擦過性、耐剥離性に優れた反射防止パ
ネルが得られる。なお、上記保護膜3の材料として不揮
発性の粘性を有した液体を使用すれば、フッ素樹脂薄膜
の凹凸に埋まった液体保護膜は拭き取られることがな
い。蒸発することもないので、長期間にわたって耐擦過
性、耐剥離性のすぐれた反射防止パネルを提供すること
ができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を反射防止パネルの例
により図面と共に説明する。 (実施例1)本発明の第1の実施例における反射防止パ
ネル20の要部断面図を図1に示す。1は反射防止膜、
2はプラスチック基板、3は液体保護膜を示す。反射防
止パネル20を構成するプラスチック基板2としては、
屈折率1.49のアクリル樹脂板を使用した。さらに、
反射防止膜の材料としては屈折率が1.34のフッソ樹
脂「サイトップ」(旭硝子株式会社製品名)を用い、専
用のフッソ系溶媒に溶解し2(重量)%の溶液を作成し
た。この溶液を用いてプラスチック基板2をディップコ
ートし、「サイトップ」の反射防止膜1を形成した。可
視光の平均波長である550nmで反射防止効果を得る
ため、反射防止膜1の膜厚が103nmとなる様、溶液
からのプラスチック基板2引き上げ速度を所定に設定し
た。
により図面と共に説明する。 (実施例1)本発明の第1の実施例における反射防止パ
ネル20の要部断面図を図1に示す。1は反射防止膜、
2はプラスチック基板、3は液体保護膜を示す。反射防
止パネル20を構成するプラスチック基板2としては、
屈折率1.49のアクリル樹脂板を使用した。さらに、
反射防止膜の材料としては屈折率が1.34のフッソ樹
脂「サイトップ」(旭硝子株式会社製品名)を用い、専
用のフッソ系溶媒に溶解し2(重量)%の溶液を作成し
た。この溶液を用いてプラスチック基板2をディップコ
ートし、「サイトップ」の反射防止膜1を形成した。可
視光の平均波長である550nmで反射防止効果を得る
ため、反射防止膜1の膜厚が103nmとなる様、溶液
からのプラスチック基板2引き上げ速度を所定に設定し
た。
【0011】反射防止膜1を形成し、80℃で30分間
乾燥したあと、反射防止膜1に重ねて蒸溜水を塗布し
た。塗布方法は蒸溜水を布に染み込ませ、反射防止膜1
表面を200g/cm2程度の押圧力でまんべんなく塗布
し、その後、蒸溜水で濡れた表面を吸水性の良いセーム
皮でふき取った。その結果、水の分子が反射防止薄膜1
表面の凹凸を埋め保護膜3を形成する。
乾燥したあと、反射防止膜1に重ねて蒸溜水を塗布し
た。塗布方法は蒸溜水を布に染み込ませ、反射防止膜1
表面を200g/cm2程度の押圧力でまんべんなく塗布
し、その後、蒸溜水で濡れた表面を吸水性の良いセーム
皮でふき取った。その結果、水の分子が反射防止薄膜1
表面の凹凸を埋め保護膜3を形成する。
【0012】上記反射防止パネルを500g/cm2の押
圧力で布による擦過試験を行ったところ、図2のCに示
すように、蒸溜水を保護膜とした反射防止膜の耐剥離回
数は往復100回まで向上した。しかし、水の分子で形
成した保護膜は蒸発する。60℃の環境下で10日間放
置した後、擦過試験を行ったところ往復30回にまで低
下した。そこで、これを改善した例をつぎに示す。
圧力で布による擦過試験を行ったところ、図2のCに示
すように、蒸溜水を保護膜とした反射防止膜の耐剥離回
数は往復100回まで向上した。しかし、水の分子で形
成した保護膜は蒸発する。60℃の環境下で10日間放
置した後、擦過試験を行ったところ往復30回にまで低
下した。そこで、これを改善した例をつぎに示す。
【0013】(実施例2)実施例2においては保護膜と
して、蒸溜水に代え、不揮発性の粘性を有したオイルを
使用した。ただし、一般的な粘性を有するオイルを直接
塗布しても粘性が高く塗布ムラを生じる。該塗布ムラを
取り除くには拭き取りに時間を要するうえ、塗布ムラを
全く無くすことは困難である。従って、塗布ムラを防止
するには、粘度調整可能なオイルを使用することが望ま
しい。例えば、エマルジョンタイプのシリコンオイルに
対し、粘度調整部材として界面活性剤と水を使用し、
0.5%のシリコンオイル溶液を作成した。この希釈し
たシリコンオイル溶液を布に染み込ませ、反射防止膜1
(フッソ樹脂薄膜)表面を200g/cm2程度の押圧力
を加えながらまんべんなく塗布した。シリコンオイル溶
液で濡れた表面は吸水性のよいセーム皮で拭き取り、余
分なシリコンオイル溶液を除去した。
して、蒸溜水に代え、不揮発性の粘性を有したオイルを
使用した。ただし、一般的な粘性を有するオイルを直接
塗布しても粘性が高く塗布ムラを生じる。該塗布ムラを
取り除くには拭き取りに時間を要するうえ、塗布ムラを
全く無くすことは困難である。従って、塗布ムラを防止
するには、粘度調整可能なオイルを使用することが望ま
しい。例えば、エマルジョンタイプのシリコンオイルに
対し、粘度調整部材として界面活性剤と水を使用し、
0.5%のシリコンオイル溶液を作成した。この希釈し
たシリコンオイル溶液を布に染み込ませ、反射防止膜1
(フッソ樹脂薄膜)表面を200g/cm2程度の押圧力
を加えながらまんべんなく塗布した。シリコンオイル溶
液で濡れた表面は吸水性のよいセーム皮で拭き取り、余
分なシリコンオイル溶液を除去した。
【0014】反射防止膜1表面に残った水分は蒸発し、
表面にはわずかのシリコンオイル成分のみが残存し、こ
れが反射防止膜1表面の凹凸を埋め、かつ数十nmから
数nm厚さの液体保護膜3を形成する。
表面にはわずかのシリコンオイル成分のみが残存し、こ
れが反射防止膜1表面の凹凸を埋め、かつ数十nmから
数nm厚さの液体保護膜3を形成する。
【0015】実施例2により作成した反射防止パネルの
耐剥離回数は、図2のDに示すように往復500回と大
幅に向上した。また、60℃の環境下で10日間放置し
た後でもシリコンオイルの蒸発がなく、その結果、擦過
抵抗に変化が起こらず耐剥離特性にも変化を生じなかっ
た。さらに、保護膜3による性能劣化を確認するため反
射率を測定した。図3に示すように、アクリル樹脂基板
自体の表面反射率5は波長550nmで7.8%であ
る。一方、アクリル樹脂基板の表面にフッソ樹脂薄膜か
らなる反射防止膜を形成した場合の反射率6は1.9%
に低減する。さらに、反射防止膜に重ねシリコンオイル
からなる保護膜を形成した場合の反射率7は1.9%で
ある。従って、反射防止膜形成後の反射率6とほぼ同じ
で、充分な反射防止効果を示している。これは、保護膜
3による性能劣化を生じないこと示すものである。
耐剥離回数は、図2のDに示すように往復500回と大
幅に向上した。また、60℃の環境下で10日間放置し
た後でもシリコンオイルの蒸発がなく、その結果、擦過
抵抗に変化が起こらず耐剥離特性にも変化を生じなかっ
た。さらに、保護膜3による性能劣化を確認するため反
射率を測定した。図3に示すように、アクリル樹脂基板
自体の表面反射率5は波長550nmで7.8%であ
る。一方、アクリル樹脂基板の表面にフッソ樹脂薄膜か
らなる反射防止膜を形成した場合の反射率6は1.9%
に低減する。さらに、反射防止膜に重ねシリコンオイル
からなる保護膜を形成した場合の反射率7は1.9%で
ある。従って、反射防止膜形成後の反射率6とほぼ同じ
で、充分な反射防止効果を示している。これは、保護膜
3による性能劣化を生じないこと示すものである。
【0016】上記実施例では保護膜として蒸溜水とエマ
ルジョンタイプのシリコンオイルの例により説明した
が、別段これに限るものでない。上記以外に、例えば鉱
物油,植物油,フッソ系オイル,グリース,ワックス,
その他基板の表面に数十nmから数nm膜厚の潤滑性被
膜が形成できるものであれば任意の部材を使用でき、剥
離強度が向上することはいうまでもない。また、プラス
チック基板(基体)が必ずしも平板状である必要はな
く、自由曲面であってもよい。例えばプロジェクション
テレビに使用されるレンチキュラーレンズやフレネルレ
ンズ、あるいは表面が凹凸になった拡散板、または球面
または非球面からなるプラスチックレンズ、または眼鏡
レンズ等(いずれも図示せず。)の部材表面に反射防止
膜を形成し、さらに前記反射防止膜に重ねて保護膜を形
成するようにしてもよいことは言うまでもない。さら
に、プラスチック基板の表面に帯電防止膜や偏光膜,可
視光線吸収膜,塗装,印刷等各種の表面処理(図示な
し)をした表面上に反射防止膜を形成した後、重ねて保
護膜を形成しても前記同様に剥離性が飛躍的に向上する
ことは言うまでもない。さらに、基体の材質についても
任意で、プラスチック部材に限らずガラス部材であって
も一向に差し支えない。
ルジョンタイプのシリコンオイルの例により説明した
が、別段これに限るものでない。上記以外に、例えば鉱
物油,植物油,フッソ系オイル,グリース,ワックス,
その他基板の表面に数十nmから数nm膜厚の潤滑性被
膜が形成できるものであれば任意の部材を使用でき、剥
離強度が向上することはいうまでもない。また、プラス
チック基板(基体)が必ずしも平板状である必要はな
く、自由曲面であってもよい。例えばプロジェクション
テレビに使用されるレンチキュラーレンズやフレネルレ
ンズ、あるいは表面が凹凸になった拡散板、または球面
または非球面からなるプラスチックレンズ、または眼鏡
レンズ等(いずれも図示せず。)の部材表面に反射防止
膜を形成し、さらに前記反射防止膜に重ねて保護膜を形
成するようにしてもよいことは言うまでもない。さら
に、プラスチック基板の表面に帯電防止膜や偏光膜,可
視光線吸収膜,塗装,印刷等各種の表面処理(図示な
し)をした表面上に反射防止膜を形成した後、重ねて保
護膜を形成しても前記同様に剥離性が飛躍的に向上する
ことは言うまでもない。さらに、基体の材質についても
任意で、プラスチック部材に限らずガラス部材であって
も一向に差し支えない。
【0017】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば優れた反
射防止効果と耐剥離特性を備えた反射防止パネルまたは
レンズ等を容易に得ることができる。
射防止効果と耐剥離特性を備えた反射防止パネルまたは
レンズ等を容易に得ることができる。
【図1】本発明の一実施例における反射防止パネルの要
部を示す図
部を示す図
【図2】反射防止膜の耐剥離特性図
【図3】保護膜を形成した場合の反射率特性図
【図4】従来の反射防止パネルの要部を示す図
1 反射防止膜 2 基板 3 保護膜 4 プライマー膜 5 アクリル樹脂基板の反射率 6 フッソ樹脂薄膜形成後の反射率 7 保護膜形成後の反射率 8 基板表面の凹凸 9 薄膜表面の凹凸 20 反射防止パネル
Claims (10)
- 【請求項1】 基板表面にフッ素樹脂からなる反射防止
膜を形成し、該反射防止膜に重ねて液状部材からなる保
護膜を形成したことを特徴とする反射防止パネル。 - 【請求項2】 前記保護膜を不揮発性部材としたことを
特徴とする請求項1記載の反射防止パネル。 - 【請求項3】 前記不揮発性部材をシリコンオイル溶液
としたことを特徴とする請求項2記載の反射防止パネ
ル。 - 【請求項4】 レンズ面に反射防止膜を形成し、該反射
防止膜に重ねて液状部材からなる保護膜を形成したこと
を特徴とするレンズ。 - 【請求項5】 前記保護膜を不揮発性部材としたことを
特徴とする請求項4記載のレンズ。 - 【請求項6】 前記不揮発性部材をシリコンオイル溶液
としたことを特徴とする請求項5記載のレンズ。 - 【請求項7】 基体表面に反射防止膜を塗布、乾燥して
形成し、さらに前記反射防止膜に重ねて液状部材を塗布
し、その後、余分の液状部材を拭き取り乾燥させること
により、液状部材からなる保護膜を前記反射防止膜に重
ねてを形成するようにしたことを特徴とする保護膜の形
成方法。 - 【請求項8】 前記保護膜を不揮発性部材としたことを
特徴とする請求項7記載の保護膜の形成方法。 - 【請求項9】 前記不揮発性部材をシリコンオイル溶液
としたことを特徴とする請求項8記載の保護膜の形成方
法。 - 【請求項10】 前記反射防止膜をフッ素樹脂としたこ
とを特徴とする請求項9記載の保護膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6091425A JPH07294706A (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | 反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6091425A JPH07294706A (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | 反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07294706A true JPH07294706A (ja) | 1995-11-10 |
Family
ID=14026030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6091425A Pending JPH07294706A (ja) | 1994-04-28 | 1994-04-28 | 反射防止パネルとレンズと保護膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07294706A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5699189A (en) * | 1994-12-22 | 1997-12-16 | Murphy; John P. | Single layer anti refelctive fillm for optical-substrates |
JP2001215302A (ja) * | 2000-01-31 | 2001-08-10 | Nitto Denko Corp | 光学用樹脂基板 |
JP2001264520A (ja) * | 2000-03-16 | 2001-09-26 | Dainippon Printing Co Ltd | 反射防止フィルム、偏光素子、および表示装置、ならびに反射防止フィルムの製造方法 |
US7201939B2 (en) | 2002-08-07 | 2007-04-10 | Kabushiki Kaisha Topcon | Optical fiber with antireflection coating, and method for manufacturing the same |
EP2037298A1 (en) * | 2006-06-30 | 2009-03-18 | Panasonic Corporation | Optical member and optical device comprising the same |
WO2013191092A1 (ja) * | 2012-06-22 | 2013-12-27 | シャープ株式会社 | 反射防止構造体及び表示装置 |
WO2017022175A1 (ja) * | 2015-08-05 | 2017-02-09 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 光学膜用組成物、光学膜を有する基材、成形体、および成形体の製造方法 |
-
1994
- 1994-04-28 JP JP6091425A patent/JPH07294706A/ja active Pending
Cited By (11)
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