JP6686884B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
前記表面層が屈折率の異なる2つ以上の層を含み、前記表面層の最表面から第2層目の層が以下の条件(F)および(G)を満たす無機粒子を含む、積層体。
(B) −0.5% ≦ R1(546.1)−R2(546.1) ≦ 1.0%
(C) −0.5% ≦ R1(700.0)−R2(700.0) ≦ 1.0%
R1(X):積層体の表面層側の波長Xnmにおける絶対反射率R1
R2(X):表面層の上に更に、屈折率1.45、厚み50nmの、光学的厚み(層の厚みに層の屈折率を乗じた値)が72.5nmの層Lを設けた際の、波長Xnmにおける絶対反射率R2
(F)数平均粒子径が5nm以上80nm以下
(G)数珠状に連結したおよび/または分岐した無機粒子
(2) 前記絶対反射率R1が以下の条件を満たす、(1)に記載の積層体。
(E) −0.2% ≦ R1slope ≦ 0.2%
R1ave:絶対反射率R1の波長380nmから780nmにおける平均値
R1slope:絶対反射率R1を波長380nmから780nmにおいて直線近似した際の波長100nmあたりの絶対反射率R1の変化量
(3) 前記表面層の最表面から第1層目の層の光学的厚み(層の厚みに層の屈折率を乗じた値)が40nm以上100nm以下である、(1)または(2)に記載の積層体。
(B)−0.5% ≦R1(546.1)−R2(546.1) ≦1.0%
(C)−0.5% ≦R1(700.0)−R2(700.0) ≦1.0%
R1(X):積層体の表面層側の波長Xnmにおける絶対反射率R1
R2(X):表面層の上に更に、屈折率1.45、厚み50nmの、光学的厚み(層の厚みに層の屈折率を乗じた値)72.5nmの層Lを設けた際の、波長Xnmにおける絶対反射率R2。
まず、本発明の積層体の定義、光学的厚み、および本発明の積層体の光学特性、表面特性、機械特性について説明する。
本発明において、積層体とは、支持基材の少なくとも片側の表面に一以上の層が形成された一連の部材を表す。表面層とは、支持基材の表面に形成された一以上の層を表す。なお、支持基材については後述する
ここで、本発明における層とは、前記積層体の表面から厚み方向(平面状の場合)または内部方向(3次元形状の場合)に向かい、厚み方向または内部方向に隣接する部位と元素組成、含有物(粒子等)の形状、物理特性が不連続な境界面を有することにより区別でき、有限の厚さを有する部位を指す。より具体的には、前記積層体を表面から厚み方向に各種組成/元素分析装置(IR、XPS、XRF、EDAX、SIMS等)、電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、前記不連続な境界面により区別される。
本発明において、「光学的厚み72.5nmの層L」は、指紋の付着により形成される汚れの被膜層に相当する光学設計値を有する層である。
一般に屈折率の異なる、複数の層から成る積層体において、その絶対反射率は、「層界面での反射」および「各層界面での反射光の干渉」の2つの物理現象により決定される。屈折率差を有する2つの層の界面での反射については、「フレネルの式」と呼ばれる関係式により「各層の屈折率」から反射率を見積もることが可能である。一方、反射光同士の干渉については、「各層の厚み」および「屈折率」から算出される光路差および位相差を基に、いわゆる「薄膜干渉」の計算モデルにより見積もることが可能である。すなわち「絶対反射率」の目標値に対して、光学シミュレーションにより、積層体の厚みおよび屈折率を設計することが可能となる。
(B) −0.5% ≦ R1(546.1)−R2(546.1) ≦ 1.0%
(C) −0.5% ≦ R1(700.0)−R2(700.0) ≦ 1.0%
R1(X):積層体の表面層側の波長Xnmにおける絶対反射率R1
R2(X):表面層の上に更に光学的厚み72.5nmの層Lを設けた際の、波長Xnmにおける絶対反射率R2。
本発明の積層体において、R1の平均反射率R1aveは以下の条件を満たすことが好ましい。
R1ave:絶対反射率R1の波長380nmから780nmにおける平均値
ここで、平均反射率とは波長380nmから780nmの可視光領域における絶対反射率Rの平均値を意味する値であり、本発明ではRaveと記述する。また、いずれの層からの反射であるかを区別する際には、前述の絶対反射率と同様の自然数nを付与する。平均反射率の測定、および算出方法については後述する。
本発明の積層体において、反射率傾斜 R1slopeは以下の条件を満たすことが好ましい。
R1slope:絶対反射率R1を波長380nmから780nmにおいて直線近似した際の波長100nmあたりの絶対反射率R1の変化量
ここで、反射率傾斜とは波長380nmから780nmの可視光領域における絶対反射率Rの変化率を意味する数値であり、線形近似における傾きの値に相当する。本発明では反射率傾斜をRslopeと記述し、いずれの層からの反射であるかを区別する際には、前述の絶対反射率と同様の自然数nを付与する。反射率傾斜の算出方法については後述する。
本発明の積層体が良好な性質を示すためには、透明性が高いことが好ましい。透明性が低いと例えば画像表示装置として用いた場合、画像彩度の低下などによる画質低下が生じる場合がある。透明性の評価にはヘイズ、および全光線透過率を用いることができる。
本発明の積層体は表面に微細な凹凸を有する層があることが好ましく、特に特定範囲の凹凸が単位面積当たりに存在する個数には好ましい範囲があることを見出した。この理由は明確ではないが、微細な凹凸構造を導入することにより付着した指紋の成分が作る油滴を微細化し、光散乱および吸収を低減することにより付着した指紋が視認されにくくなるためと推定している。具体的には、原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される2乗平均粗さを超えるピーク数が、25μm2あたり500個以上1500個以下であることが好ましく、800個以上1200個以下であることがより好ましい。この範囲を外れると、指紋を構成する油滴の大きさを微細化する効果が不十分になる場合がある。
本発明の積層体は、最表面に配置される部材であることから、後述の鉛筆硬度試験法による表面硬度測定において、HB以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましく、2H以上であることがさらに好ましい。鉛筆硬度がHBに満たない場合には、表面に凹みなどの欠点が発生しやすくなり、結果として画像の視認性や積層体の品位が低下する場合がある。
本発明の積層体は支持基材を有する。
続いて本発明の積層体を製造する好ましい方法について説明する。
また、2種類以上の塗料組成物を同時塗布する場合には、図3のように多層スライドダイ(9)を用い、塗布前の液膜状態で順に積層した後、積層した液膜を塗布する「多層スライドダイコート」や、図4のように多層スロットダイ(10)を用い、基材上に塗布と同時に積層する「多層スロットダイコート」、図5のように単層スロットダイ(11)を複数用い、支持基材上に1層の液膜を形成後、未乾燥の状態でもう1層を積層させる「ウェット−オン−ウェットコート」(図5)などにより支持基材等に塗布することにより表面層を形成することが好ましい。
本発明の積層体を製造する方法に好ましく用いられる塗料組成物について説明する。
架橋性材料としては特に限定するものではないが、製造性の観点より、熱および/または活性エネルギー線などにより硬化可能な架橋性材料であることが好ましい。架橋性材料は一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。また、粒子を膜中に保持する観点より、分子中に反応性部位を有することが好ましい。前記反応性部位の好適な例として、アルコキシシリル基、シラノール基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、およびメタクリロキシ基からなる群から選ばれた基が挙げられる。前記架橋性材料として、多官能(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
本発明の表面層の最表面から第1層目の層は、その他の層と比較して、より屈折率の低い材料を含むことが好ましい。より屈折率が低い材料の例として、無機粒子、樹脂材料が挙げられる。
本発明の表面層の最表面から第2層目の層は、最表面から第1層目の層と比較して、より屈折率の高い材料を含むことが好ましい。屈折率の高い材料の例として、前記低屈折率材料として用いた無機粒子、樹脂材料より屈折率の高い無機粒子、樹脂材料が挙げられる。
本発明の積層体の最表面から第1層目の層に防汚性材料を用いることは、指紋などの汚れによる汚染をより低減することができるため好ましい。防汚性材料としては、フッ素系樹脂に代表される撥油型とシリコーン樹脂に代表される親油型が挙げられるが、本発明においては積層体表面に形成される汚れの層の厚みを低減させる効果を有する撥油型の防汚性材料を用いることが好ましい。
本発明の積層体が最表面から第2層目の層より支持基材側に有する光学的厚みが2μm以上5μm以下の層は、耐傷性材料を含む層であることが好ましい。それにより、前記層は硬度、耐擦傷性を有することができる。このような層を形成する耐傷性材料は特に限定されず、市販のハードコート材料や傷修復性を有する材料を好適に用いることが出来る。
有機溶剤は、特に限定されるものではないが、常圧での沸点が200℃以下の溶媒が、塗工および乾燥時の表面層の平滑性の観点から好ましい。具体的には、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、アミド類、フッ素類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明の積層体の好ましい用途について説明する。
本発明の積層体は反射防止部材に好適に用いることができる。反射防止部材とは、各種支持基材の少なくとも片面に反射防止機能を有する表面層が形成された部材を指し、基材がプラスチックフィルムの場合には一般に反射防止フィルムと呼ばれる。本発明の積層体を用いた反射防止部材には、さらに、易接着層、防湿層、帯電防止層、シールド層、下塗り層や保護層などを設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
本発明の積層体はハードコート部材に好適に用いることができる。ハードコート部材を構成する支持基材がプラスチックフィルムの場合には、一般にハードコートフィルムと呼ばれる。本発明の積層体をハードコート部材として使用する際には、平均反射率についての条件(D)におけるR1aveは3.0%以上であってもよく、6.0%以下であればハードコート部材として使用することが可能である。R1aveが6.0%を超える場合には、条件(A)〜(C)を満たす構成を取ることが困難となり、付着した指紋汚れが目立ちやすくなる場合がある。
以下、表面層の最表面から第1層目の層を形成するために使用する塗料組成物を、塗料組成物A、第2層目の層を作成するために使用する塗料組成物を塗料組成物B、同じく第3層目、第4層目に対応する塗料組成物を、同様に塗料組成物C、Dと記載する。
下記材料を混合し、塗料組成物A1を得た。
無粒子型低屈折率コート剤 X−12−2510A(信越シリコーン株式会社:固形分3質量%)
97 質量部
フッ素系添加剤 RS−75(DIC株式会社:固形分40質量%) 0.23 質量部
イソプロピルアルコール 2.77 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.09 質量部
[塗料組成物A2]
下記材料を混合し、塗料組成物A2を得た。
粒子含有低屈折率コート剤 X−12−2530N(信越シリコーン株式会社:固形分4質量%)
72.75 質量部
フッ素系添加剤 RS−75(DIC株式会社:固形分40質量%) 0.23 質量部
イソプロピルアルコール 27.03 質量部
[塗料組成物A3]
下記材料を混合し、塗料組成物A3を得た。
無粒子型低屈折率コート剤 X−12−2510A(信越シリコーン株式会社:固形分3質量%)
100 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.09 質量部
[塗料組成物A4]
下記材料を混合し、塗料組成物A4を得た。
無粒子型低屈折率コート剤 X−12−2510A(信越シリコーン株式会社:固形分3質量%)
97 質量部
シリコーン含有フッ素系添加剤 RS−56(DIC株式会社:固形分40質量%)
0.23 質量部
イソプロピルアルコール 2.77 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.09 質量部
[塗料組成物A5]
下記材料を混合し、塗料組成物A5を得た。
無粒子型低屈折率コート剤 X−12−2510A(信越シリコーン株式会社:固形分3質量%)
97 質量部
シリコーン含有アクリレート EBECRYL1360(ダイセル・オルネクス株式会社:固形分100質量%) 0.09 質量部
イソプロピルアルコール 2.91 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.09 質量部
[塗料組成物A6]
下記材料を混合し、塗料組成物A6を得た。
粒子含有低屈折率コート剤 X−12−2530N(信越シリコーン株式会社:固形分4質量%)
72.75 質量部
シリコーン含有フッ素系添加剤 RS−56(DIC株式会社:固形分40質量%)
0.23 質量部
イソプロピルアルコール 27.03 質量部
[塗料組成物A7]
下記材料を混合し、塗料組成物A7を得た。
無粒子型低屈折率コート剤 X−12−2510A(信越シリコーン株式会社:固形分3質量%)
30.0 質量部
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
2.01 質量部
フッ素系添加剤 RS−75(DIC株式会社:固形分40質量%) 0.23 質量部
イソプロピルアルコール 67.77 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.09 質量部
[塗料組成物A8]
下記材料を混合し、塗料組成物A8を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
5.82 質量部
フッ素系添加剤 RS−75(DIC株式会社:固形分40質量%) 0.45 質量部
酢酸エチル 93.73 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物A9]
下記材料を混合し、塗料組成物A9を得た。
ハードコート塗材 Z−877(アイカ工業株式会社:固形分40質量%)
72.75 質量部
フッ素系添加剤 RS−75(DIC株式会社:固形分40質量%) 2.25 質量部
酢酸エチル 25.0 質量部
[塗料組成物B1]
下記材料を混合し、塗料組成物B1を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
6.0 質量部
酢酸エチル 94.0 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B2]
下記材料を混合し、塗料組成物B2を得た。
バインダー原料 KAYARAD PET−30(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
6.0 質量部
酢酸エチル 94.0 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B3]
下記材料を混合し、塗料組成物B3を得た。
高屈折率コート剤 EA−HR034(大阪ガスケミカル株式会社:固形分100質量%)
3.6 質量部
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
2.4 質量部
酢酸エチル 94.0 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B4]
下記材料を混合し、塗料組成物B4を得た。
高屈折率コート剤 No.550C−22(中国塗料株式会社:固形分30質量%)
20.0 質量部
メチルイソブチルケトン 80.0 質量部
[塗料組成物B5]
下記材料を混合し、塗料組成物B5を得た。
無粒子型低屈折率コート剤 X−12−2510A(信越シリコーン株式会社:固形分3質量%)
80 質量部
バインダー原料 KAYARAD PET−30(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
0.6 質量部
イソプロピルアルコール 19.4 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.09 質量部
[塗料組成物B6]
下記材料を混合し、塗料組成物B6を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
4.2 質量部
数珠状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP(日産化学工業株式会社:固形分20質量%)
9.0 質量部
メチルイソブチルケトン 86.6 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B7]
下記材料を混合し、塗料組成物B7を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
4.2 質量部
オルガノシリカゾル MEK−ST(日産化学工業株式会社:固形分30質量%)
6.0 質量部
メチルイソブチルケトン 89.6 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B8]
下記材料を混合し、塗料組成物B8を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
5.6 質量部
オルガノシリカゾル MEK−ST−ZL(日産化学工業株式会社:固形分30質量%)
1.4 質量部
メチルイソブチルケトン 92.8 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B9]
下記材料を混合し、塗料組成物B9を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
3.6 質量部
数珠状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP(日産化学工業株式会社:固形分20質量%)
12.0 質量部
メチルイソブチルケトン 84.2 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B10]
下記材料を混合し、塗料組成物B10を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
2.4 質量部
数珠状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP(日産化学工業株式会社:固形分20質量%)
18.0 質量部
メチルイソブチルケトン 79.4 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物B11]
下記材料を混合し、塗料組成物B11を得た。
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
3.0 質量部
数珠状オルガノシリカゾル MEK−ST−UP(日産化学工業株式会社:固形分20質量%)
15.0 質量部
メチルイソブチルケトン 81.8 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
[塗料組成物C1]
下記材料を混合し、塗料組成物C1を得た。
ハードコート塗材 Z−877(アイカ工業株式会社:固形分40質量%)
75.0 質量部
酢酸エチル 25.0 質量部
[塗料組成物C2]
下記材料を塗料組成物C2として使用した。
傷修復性塗材 Z−913−3(アイカ工業株式会社:固形分40質量%)
100.0 質量部
[塗料組成物C3]
下記材料を混合し、塗料組成物C3を得た。
ハードコート塗材 Z−878(アイカ工業株式会社:固形分40質量%)
75.0 質量部
酢酸エチル 25.0 質量部
[塗料組成物C4]
下記材料を混合し、塗料組成物C4を得た。
高屈折率コート剤 EA−HR034(大阪ガスケミカル株式会社:固形分100質量%)
5.4 質量部
バインダー原料 KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社:固形分100質量%)
0.6 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.18 質量部
酢酸エチル 94.0 質量部
[塗料組成物C5]
下記材料を混合し、塗料組成物C5を得た。
ハードコート塗材 Z−729−37(アイカ工業株式会社:固形分50質量%)
80.0 質量部
メチルイソブチルケトン 20.0 質量部
[塗料組成物D1]
下記材料を混合し、塗料組成物D1を得た。
ハードコート塗材 Z−877(アイカ工業株式会社:固形分40質量%)
75.0 質量部
酢酸エチル 25.0 質量部
[数平均粒子径(一次粒子)]
走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察、測定した。観察試料は前記塗料組成物を分散媒(イソプロピルアルコール)に固形分濃度0.5質量%に希釈し、超音波にて分散後、導電テープ上に滴下、乾燥して調製した。数平均粒子径は、1視野あたり一次粒子の集合体としての個数が10個以上50個以下になる倍率にて観察を行い、得られた画像から一次粒子の外接円の直径を求めてこれを等価粒子径とし、観察数を増やし一次粒子100個について測定した値からJIS Z8819−2(2001年版)記載の個数基準算術平均長さ径に基づき、数平均粒子径を求めた。
以下、積層体の作成方法を示す。支持基材として、PET樹脂フィルム上に易接着性塗料が塗布されている“ルミラー”(登録商標)U48(東レ株式会社製)および易接着性塗料が塗布されていない“ルミラー”(登録商標)T60(東レ株式会社製)を用いた。各積層体の構成、および使用した支持基材、塗料組成物の組み合わせを表1に示す。表1に記載の条件および組成にて、実施例、参考例および比較例の積層体を作成した。すなわち、支持基材上に、前述の塗料組成物をスロットダイコーターにて表1の厚みとなるように塗出量を調整しながら塗布後、下記に示す第一段階の乾燥を行い、次いで第二段階の乾燥を行った。
第一段階
熱風温度 50℃
熱風風速 1.5m/s
風向 塗布面に対して平行
乾燥時間 0.5分間
第二段階
熱風温度 100℃
熱風風速 5m/s
風向 塗布面に対して垂直
乾燥時間 1分間
なお、熱風の風速は吹き出し部の動圧測定値から風速に換算した値である。
前述の方法で作成した積層体を5×10cmに切り出し、その表面層側に以下の塗料組成物Lをバーコーターにて塗布後、上記積層体の作成方法と同様の乾燥・硬化方法により硬化させ、屈折率1.45、厚み50nmの樹脂層Lを作成した。
下記材料を混合し、塗料組成物Lを得た。
バインダー原料 HPA(大阪有機化学工業:固形分100質量%) 2.0 質量部
酢酸エチル 98.0 質量部
光開始剤 Irgacure184(BASF株式会社:固形分100質量%)
0.06 質量部。
作製した積層体について次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表2から表4に記載した。特に断りのない場合を除き、測定は各実施例・参考例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
絶対反射率の評価は(株)島津製作所製分光光度計UV−3100を用いて実施した。測定は積層体の表面層側、もしくは前述の方法で積層体の上に形成した層L側より光を入射する向きにて実施し、裏面反射を防ぐため、非測定面上には黒色のビニールテープをゴムローラーにより貼り付けた。次いで435.8nm、546.1nmおよび700.0nmの絶対反射率について、測定する波長の前後1.0nmを0.2nmおきに計11点指定し、各波長に対する絶対反射率を計測、その平均値をそれぞれRn(438.5)、Rn(546.1)およびRn(700.0)とした(ここでnは自然数であり、n=1では積層体の表面層側の絶対反射率を、n=2では前述の方法で作成した層Lを設けた際の絶対反射率を表す)。一方、後述の平均反射率および反射率傾斜の算出に使用する絶対反射率については、380nmから780nmの波長範囲を0.5nm間隔にて測定を実施した。
上記の方法により測定された波長範囲380nmから780nm測定間隔0.5nmの絶対反射率データについて、その平均値を算出し、これを平均反射率Raveとした。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、支持基材上の第1層と第2層の断面形状と層厚みを測定した。各層の厚みは、以下の方法に従い測定した。表面層の断面の超薄切片をTEMにより20万倍の倍率で撮影した画像から、ソフトウェア(画像処理ソフトImageJ/開発元:アメリカ国立衛生研究所(NIH))にて、各層の厚みを読み取った。合計で30点の層厚みを測定して求めた平均値を膜厚とした。
積層体の表面層の層数、および各層の厚みについては前述の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて計測を実施した。これらの情報を基に、各層の屈折率は、積層体の表面層に対して反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名[FE−3000])により、300〜800nmの範囲での絶対反射率を測定し、該装置付属のソフトウェア[FE−Analysis]を用い、大塚電子株式会社製[膜厚測定装置 総合カタログP6(非線形最小二乗法)]に記載の方法に従い、550nmにおける屈折率を求めた。
積層体を任意の場所で切り出した後、原子間力顕微鏡(AFM)(Digital Instruments社製、NanoScope IIIa ver.5.31R1)を用いて、観察モード=DFMモード、スキャナー=FS−20A、カンチレバー=DF−3、観察視野=5×5μm2、分解能1024×512pixelsにて表面形態観察を行い、観察像を得た。次いで2乗平均粗さの100%をピーク閾値にするため、「Peak Thrsh (%rms)」を100%に設定して解析を行い、ピーク数を求めた。
積層体の透明性は全光線透過率およびヘイズを測定することにより判定した。全光線透過率およびヘイズの測定はJIS K7136(2000)およびJIS K7361−1(1997)に基づき、日本電色工業(株)製ヘイズメーターを用いて、積層体サンプルの支持基材とは反対側(表面層側)から光を透過するように装置に置いて測定を行った。なお、同一サンプルの異なる3箇所で測定し、その平均値を採用した。
積層フィルムを温度20℃で12時間放置した後、同環境にてJIS K 5600−5−4(1999)に記載の引っかき硬度(鉛筆法)に従い、表面層の表面硬度を測定した。
積層体の表面層側に200g/cm2荷重となるスチールウール(#0000)を垂直にあて、1cmの長さを10往復した際に目視される傷の概算本数を記載し下記のクラス分けを行い、3点以上を合格とした。
5点: 0本
4点: 1本以上 5本未満
3点: 5本以上 10本未満
2点: 10本以上 20本未満
1点: 20本以上。
指紋低視認性は、積層体の表面層側を上にして黒画用紙上に置き、指紋を押し付ける指(人差し指)と親指を3回こすってから、前記表面層の表面に指(人差し指)をゆっくりと押し付け、付着した指紋の視認性を下記の評価基準で評価し、5点以上を合格とした。
10点: 指紋が視認されない、もしくは未付着部との差がわからない
7点: 指紋がほとんど視認できない、もしくは指紋だとは認識されない
5点: 指紋が僅かに視認されるが、ほとんど気にならない
3点: 指紋が視認される
1点: 指紋が明確に視認され、非常に気になる
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
前述の方法で、指紋を付着させた後、次いで、折り上げ寸法が12.5×12.5cmのセルロース長繊維不織布ガーゼ(“ハイゼ”ガーゼ NT−4 川本産業株式会社製)を用いて拭き取りを行った。指紋拭き取り後の低視認性は、この拭き取り方法で拭いた後の視認性を下記の評価基準で評価し、5点以上を合格とした。
10点: 3回拭くと、ほぼ視認されなくなる
7点: 3回拭くと、ほぼ気にならない程度になる
5点: 3回または4回拭いただけでは汚れが残るが、5回拭くと、ほぼ視認されなくなる
3点: 10回拭けば、ほぼ気にならない程度になる
1点: 10回以上拭いても、汚れが残る
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
強制条件下での指紋低視認性は、積層体の表面層側を上にして黒画用紙上に置き、指紋を押し付ける指(人差し指)と親指を3回こすってから、前記表面層の表面に指(人差し指)をゆっくりと押し付け、2cmの長さを10往復した際に付着した指紋の視認性を下記の評価基準で評価し、5点以上を合格とした。
10点: 指紋が視認されない、もしくは未付着部との差がわからない
7点: 指紋がほとんど視認できない、もしくは指紋だとは認識されない
5点: 指紋が僅かに視認されるが、ほとんど気にならない
3点: 指紋が視認される
1点: 指紋が明確に視認され、非常に気になる
上記評価を10人の対象者について行い、その平均値を求めた。小数点以下については四捨五入して取り扱った。
2 支持基材
3 表面層
4 表面層の最表面から第1層目の層
5 表面層の最表面から第2層目の層
6 表面層の最表面から第2層目の層より支持基材側の光学的厚みが2μm以上5μm以下の層
7 表面層と支持基材の密着性を向上する層
8 追加の層
9 多層スライドダイ
10 多層スロットダイ
11 単層スロットダイ
Claims (7)
- 支持基材の少なくとも片面に表面層を有する積層体であり、前記積層体の表面層側の絶対反射率R1と表面層の上に更に、屈折率1.45、厚み50nmの、光学的厚み(層の厚みに層の屈折率を乗じた値)が72.5nmの層Lを設けた際の絶対反射率R2が以下の条件(A)から(C)を満たし、
前記表面層が屈折率の異なる2つ以上の層を含み、前記表面層の最表面から第2層目の層が以下の条件(F)および(G)を満たす無機粒子を含む、積層体。
(A) −0.5% ≦ R1(435.8)−R2(435.8) ≦ 1.0%
(B) −0.5% ≦ R1(546.1)−R2(546.1) ≦ 1.0%
(C) −0.5% ≦ R1(700.0)−R2(700.0) ≦ 1.0%
R1(X):積層体の表面層側の波長Xnmにおける絶対反射率R1
R2(X):表面層の上に更に、屈折率1.45、厚み50nmの、光学的厚み(層の厚みに層の屈折率を乗じた値)が72.5nmの層Lを設けた際の、波長Xnmにおける絶対反射率R2
(F)数平均粒子径が5nm以上80nm以下
(G)数珠状に連結したおよび/または分岐した無機粒子 - 前記絶対反射率R1が以下の条件を満たす、請求項1に記載の積層体。
(D) 1.0% ≦ R1ave ≦ 3.0%
(E) −0.2% ≦ R1slope ≦ 0.2%
R1ave:絶対反射率R1の波長380nmから780nmにおける平均値
R1slope:絶対反射率R1を波長380nmから780nmにおいて直線近似した際の波長100nmあたりの絶対反射率R1の変化量 - 前記表面層の最表面から第1層目の層の光学的厚み(層の厚みに層の屈折率を乗じた値)が40nm以上100nm以下である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記表面層の最表面の原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される2乗平均粗さを超えるピーク数が25μm2あたり500個以上1500個以下である、請求項1から3のいずれかに記載の積層体。
- 前記表面層の最表面から第2層目の層の屈折率が1.45以上1.55以下である、請求項1から4のいずれかに記載の積層体。
- 前記表面層が屈折率の異なる3つ以上の層を含む、請求項1から5のいずれかに記載の積層体。
- 前記表面層の最表面から第2層目の層より支持基材側に光学的厚み(層の厚みに層の屈折率を乗じた値)が2μm以上5μm以下の層を有する、請求項6に記載の積層体。
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