JP5946629B2 - ポンプ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
ところが、鋳造で製造された吸込みベルは、肉厚が厚くなるため重量が大きくなり、製造コストも嵩んでしまう。特に、海水ポンプのような大型のポンプは、吸込みベルの最下部直径が2mに達するものもあり、鋳造が難しく、製造コストも高くなる。
この流れから、特許文献1には、吸込みベルを板金で形成したポンプが開示されている。この文献には、長尺の板金を溶接により中空円錐台形状に接合してリング部材を製作し、複数のリング部材をベルマウス形状に接合して吸込みベルを製造する技術が記載されている。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、肉厚が薄く、且つ滑らかな断面形状を有する吸込みベルを備えたポンプ及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、吸込みベルが、スピニングプレス加工によって断面湾曲形状に形成されることから、滑らかな曲面を形成できるため、水力損失を低減でき、ポンプ効率を高くすることができる。これに加えて、吸込みベルの表層流が均一となるため、振動が低減でき、主軸軸受の摩耗を抑制できる。さらにまた、吸込みベルに通電した際にほぼ均一に電流が流れるため、海生生物等の生物付着を防止できる。
このように、吸込みベルと吸込みライナとが一体化されていることによって、吸込み部の取り扱いが容易となり、ポンプの組立作業が簡易化する。また、吸込みベル及び吸込みライナの継ぎ目において、流れの剥離や衝突や滞留が起こりにくくなるので、より一層ポンプ効率を高くすることが可能となる。
通常、吸込みライナの内周面と羽根車との隙間は、流体の逆流量を最小限に抑えるために、僅少に保つ必要がある。そこで、吸込みライナの内面を切削して、この隙間を微調整することが行われている。しかし、吸込みライナの内面を切削加工した後に溶接を行うと、溶接ひずみによって隙間が変化し、羽根車が内面に接触したり、流体の逆流量が増大してしまうおそれがある。
したがって、吸込みベル、吸込みライナ及びフランジを溶接により一体化した後に、吸込みライナの内面を切削加工することによって、溶接歪みを加味した精度の高い切削加工を行うことができ、また切削加工後に変形することがない。
これは、上記と同様に、吸込みベル、吸込みライナ及びフランジを溶接により一体化した後に、フランジの端面を切削加工しているので、フランジ端面の加工精度を高くできる。さらに、フランジの端面を切削加工した後、ボルト穴を形成しているので、吸込み部をケーシング部と連結した際に、吸込み部の中心軸とケーシング部の中心軸とを精度よく一致させることができる。
このように、吸込みベル及び吸込みライナの少なくとも一方において、内周壁と外周壁とを異なる材料で形成し、内周壁は高耐食性材料で形成するようにしたので、内周壁が腐食することを抑制して流体の流れを安定させながら、高コストの高耐食性材料は内周壁のみに留め、コストを抑えることが可能となる。
また、吸込みライナと吸込みベルとを溶接により一体化した後、吸込み部をケーシング部に連結するようにしたので、吸込み部の取り扱いが容易となり、ポンプの組立作業が簡易化する。また、吸込みベル及び吸込みライナの継ぎ目において、流れの剥離や衝突や滞留が起こりにくくなるので、より一層ポンプ効率を高くすることが可能となる。
このように、吸込みベル、吸込みライナ及びフランジを溶接により一体化した後に、吸込みライナの内面を切削加工することによって、溶接歪みを加味した精度の高い切削加工を行うことができ、また切削加工後に変形することがない。
このように、吸込みベル、吸込みライナ及びフランジを溶接により一体化した後に、フランジの端面を切削加工しているので、フランジ端面の加工精度を高くできる。さらに、フランジの端面を切削加工した後、ボルト穴を形成しているので、吸込み部をケーシング部と連結した際に、吸込み部の中心軸とケーシング部の中心軸とを精度よく一致させることができる。
さらにまた、吸込みベルが、筒状に形成した金属板材から形成されることから、鋳造製のものより肉厚を薄くでき、よって、軽量化及び低コスト化が可能となる。また、鋳造製のものに比べて製造期間を短縮でき、且つ内在欠陥が発生することがない。さらに、経年使用により生じる欠陥を溶接によって補修可能である。
また、吸込みベルが、スピニングプレス加工によって断面湾曲形状に形成されることから、滑らかな曲面を形成できるため、水力損失を低減でき、ポンプ効率を高くすることができる。これに加えて、吸込みベルの表層流が均一となるため、振動が低減でき、主軸軸受の摩耗を抑制できる。さらにまた、吸込みベルに通電した際にほぼ均一に電流が流れるため、海生生物等の生物付着を防止できる。
図1を参照して、本発明の実施形態に係るポンプの全体構成について説明する。なお、ここでは一例として、本発明を斜流ポンプに適用した場合について説明している。
図1に示すように、ポンプ1は、流体が流れる通路として、ケーシング部2と、屈曲管3と、吸込みライナ4及び吸込みベル5からなる吸込み部6とを有する。
下部ケーシング22の下方には吸込み部6が連結されている。吸込み部6の構成については後述する。
屈曲管3は、一端側が下方に開口し、他端側が水平方向に開口し、これらの開口の間が屈曲した形状となっている。両端部の外周部には、ケーシング部2と同様に、フランジ31、32が設けられている。これらのフランジ31、32は、屈曲管3に、溶接によって接合されている。そして、屈曲管3の下端のフランジ32と、上部ケーシング21の上端のフランジ21dとがボルト26で締結されることによって、屈曲管3と上部ケーシング21とが略鉛直方向に連結されている。一方、屈曲管3の側方端のフランジ31は、不図示の吐出配管に接続されている。
吸込み部6は、吸込みライナ4と吸込みベル5とから構成され、これらが溶接によって一体化されている。
吸込みライナ4は、吸込み側端部46(図1にて下方側)から吐出側端部45(図1にて上方側)に向けて拡径する筒状体41と、筒状体41の吐出側端部45の外周部に設けられたフランジ42とを有している。フランジ42には、周方向に複数のボルト穴43が形成されている。なお、筒状体41は、ディフューザ機能を有するように、吸込み側が縮径した中空円錐台形状であることが好ましい。ここで、筒状体41は、弧状の金属板材を溶接線44で溶接することによって、円錐台形状に形成されたものである。
なお、吸込み部6の外周面に、主軸方向に補強用のリブ61を設けてもよい。この場合、リブ61は、吸込み部6の外周面に、周方向に所定間隔で複数設けられる。さらに、リブ61には、吸込み部6を移動する際に、吸込み部の吊上げ用のワイヤを係止する係止穴62が設けられていてもよい。
最初に、第1ステップで、金属板材を筒状に形成した後、該金属板材をスピニングプレス加工によって断面湾曲形状に形成して吸込みベル5を作製する。ベルマウス形状を有する吸込みベル5を作製する場合、図3に示すように、まず、弧状の金属板材を溶接線52で溶接することによって、中空円錐台形状の筒状体51’を形成する。溶接した後に、グラインダーでビード肉盛部を削り取ることが好ましい。これによって、後段のスピニングプレス加工を円滑に行える。
このように、吸込みベル5、吸込みライナ4及びフランジ42を溶接により一体化した後に、吸込みライナ4の内面47を切削加工することによって、溶接歪みを加味した精度の高い切削加工を行うことができ、また切削加工後に変形することがない。
このように、吸込みベル5、吸込みライナ4及びフランジ42を溶接により一体化した後に、フランジ42の端面を切削加工しているので、フランジ端面の加工精度を高くできる。さらに、フランジ42の端面を切削加工した後、ボルト穴43を形成しているので、吸込み部6をケーシング部2と連結した際に、吸込み部6の中心軸とケーシング部2の中心軸とを精度よく一致させることができる。
なお、第3ステップと第4ステップは順番が入れ替わってもよいし、同時に行われてもよい。
このように、吸込みベル5と吸込みライナ4とが一体化されていることによって、吸込み部6の取り扱いが容易となり、ポンプ1の組立作業が簡易化する。また、吸込みベル5及び吸込みライナ4の継ぎ目において、流れの剥離や衝突や滞留が起こりにくくなるので、より一層ポンプ効率を高くすることが可能となる。
すなわち、吸込みベル5が、筒状に形成した金属板材から形成されることから、鋳造製のものより肉厚を薄くでき、よって、軽量化及び低コスト化が可能となる。また、鋳造製のものに比べて製造期間を短縮でき、且つ内在欠陥が発生することがない。さらに、経年使用により生じる欠陥を溶接によって補修可能である。
また、吸込みベル5が、スピニングプレス加工によって断面湾曲形状に形成されることから、滑らかな曲面を形成できるため、水力損失を低減でき、ポンプ効率を高くすることができる。これに加えて、吸込みベルの表層流が均一となるため、振動が低減でき、主軸軸受の摩耗を抑制できる。さらにまた、吸込みベル5に通電した際にほぼ均一に電流が流れるため、海生生物等の生物付着を防止できる。
図4に示すように、吸込みライナ4及び吸込みベル5の少なくとも一方を、高耐食性材料で形成された内周壁と、内周壁とは異なる材料で形成された外周壁とを接合した金属板とする。同図では、一例として吸込みライナ4のみを内周壁41aと外周壁41bの異なる材料で形成した場合を示している。この場合、例えば内周壁41aは高耐食性を有するステンレス鋼で形成し、外周壁41bは安価な鋼板で形成する。これらの2層の金属板は、溶接等によって接合してもよい。また、上記構成を吸込みベル5に適用する場合には、スピニングプレス加工時に、2層の金属板が剥離しないように金属板同士を溶接によって接合することが好ましい。なお、内周壁と外周壁との間に、他の金属板を挟持させてもよい。このように、複数層の金属板の合板から構成することもできる。
次に、図5を参照して、第2実施形態に係るポンプについて説明する。本実施形態のポンプは、吸込みライナと吸込みベルとを別体としたことを除けば、既に説明した第1実施形態のポンプ1と同様の構成である。したがって、ここでは、第1実施形態と共通する部材には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
吸込みライナ4には、吐出側端部45の外周部にフランジ42が設けられているとともに、吸込み側端部46の外周部にもフランジ48が設けられている。フランジ48には、円周方向に複数のボルト穴49が形成されている。
一方、吸込みベル5には、吐出側端部53の外周部に、フランジ58が設けられている。フランジ58には、吸込みライナ4のボルト穴49に対応して、円周方向に複数のボルト穴59が形成されている。
このようにして、吸込みライナ4と吸込みベル5とが連結された吸込み部6は、ケーシング部2の下端に、ボルト27によって連結される。
また、本実施形態では、吸込みライナ4と吸込みベル5とが別体で構成されているので、部分的な交換や補修が容易である。さらにまた、ケーシング部2への取り付け作業の自由度が大きくなる。
また、図6(A)に示すように、吸込みライナ4のフランジ48と、吸込みベル5のフランジ58の間にOリング75を介装することが好ましい。このとき、フランジの剛性を向上させるために、フランジ基部からOリング75までの間に、異なる2層の金属板材を接合した2層金属材を配置してもよい。図6(A)では一例として、吸込みライナ4のフランジ48に2層金属複合材76を配置した場合を示している。この2層金属複合材76は、例えば、高耐食性で且つ高剛性を有するステンレス鋼材と、SS400等の安価な鋼材とが接合されて構成される。
例えば、第1実施形態(図1参照)で説明したポンプは、架台より上方に吐出配管が配設されているが、架台より下方に吐出配管が位置するように吊り下げられた斜流ポンプに適用しても、同様の作用効果を得ることができる。
また、上述の各実施形態では、本発明のポンプを、縦型斜流ポンプに適用した場合について説明したが、本発明が適用されるポンプの種類は特に限定されるものではない。例えば、斜流ポンプの他に、軸流ポンプや遠心ポンプなどの他の種類のポンプにも適用可能である。
2 ケーシング部
3 屈曲管
4 吸込みライナ
5 吸込みベル
12 主軸
13 支柱
14、15 軸受
16 ハブ
17 ブレード
18 羽根車
19 継手
20 駆動軸
21 上部ケーシング
22 下部ケーシング
21a、22a 内ケーシング
21b、22b 外ケーシング
21c、21d、22c、22d、31、42 フランジ
24 据付用フランジ
25、26、27 ボルト
61 リブ
Claims (4)
- 円筒状ケーシング部の先端に吸込み部が連結され、羽根車が固定された主軸が回転自在に前記円筒状ケーシング部に取り付けられたポンプであって、
前記吸込み部は、前記円筒状ケーシング部に一端側が連結された吸込みライナと、前記吸込みライナの他端側に連結された断面湾曲形状の吸込みベルとを含み、
前記吸込みベル及び前記吸込みライナの少なくとも一方は、高耐食性材料で形成された内周壁と、前記内周壁とは異なる材料で形成された外周壁と、を含む複数の壁材が互いに接合された構成を有することを特徴とするポンプ。 - 円筒状ケーシングの先端に、吸込みライナ及び吸込みベルからなる吸込み部を連結した後、前記円筒状ケーシングに、羽根車が固定された主軸を回転自在に取り付けるポンプの製造方法であって、
金属板材を筒状に形成した後、該金属板材をスピニングプレス加工によって断面湾曲形状に形成して吸込みベルを作製するステップと、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとを溶接により一体化するステップと、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとが一体化された前記吸込み部を、前記円筒状ケーシングに連結するステップとを有し、
前記吸込みライナは、前記他端側から前記一端側に向かって拡径する筒状体部を含み、該筒状体部は前記羽根車の外周側に位置して該羽根車に対向する内面を有し、
前記一体化するステップでは、前記スピニングプレス加工によって形成された前記吸込みベルは、前記吸込みライナの前記筒状体部の前記他端側に溶接にて取り付けられることを特徴とするポンプの製造方法。 - 円筒状ケーシングの先端に、吸込みライナ及び吸込みベルからなる吸込み部を連結した後、前記円筒状ケーシングに、羽根車が固定された主軸を回転自在に取り付けるポンプの製造方法であって、
金属板材を筒状に形成した後、該金属板材をスピニングプレス加工によって断面湾曲形状に形成して吸込みベルを作製するステップと、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとを溶接により一体化するステップと、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとが一体化された前記吸込み部を、前記円筒状ケーシングに連結するステップとを有し、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとを一体化するステップでは、前記吸込みライナにフランジを溶接するようにし、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとが一体化された状態で、前記吸込みライナの内面を切削加工するステップをさらに有することを特徴とするポンプの製造方法。 - 円筒状ケーシングの先端に、吸込みライナ及び吸込みベルからなる吸込み部を連結した後、前記円筒状ケーシングに、羽根車が固定された主軸を回転自在に取り付けるポンプの製造方法であって、
金属板材を筒状に形成した後、該金属板材をスピニングプレス加工によって断面湾曲形状に形成して吸込みベルを作製するステップと、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとを溶接により一体化するステップと、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとが一体化された前記吸込み部を、前記円筒状ケーシングに連結するステップとを有し、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとを一体化するステップでは、前記吸込みライナにフランジを溶接するようにし、
前記吸込みライナと前記吸込みベルとが一体化された状態で、前記吸込みライナの前記フランジの端面を切削加工した後、前記フランジにボルト穴を形成するステップをさらに有することを特徴とするポンプの製造方法。
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