JP2013194742A - タービンダイアフラム構成 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時の廃棄物の量が少なく、より低コストで、より簡単に制御することができる蒸気タービンダイアフラム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】高圧又は中圧軸流タービンダイアフラム20であって、半径方向内側リング及び半径方向外側リング22,24を備え、少なくとも1つのこのようなリングは、中空であり、かつプレート材料から成る軸方向で向き合った壁部221,222及び/又は241,242を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、タービン用ダイアフラムの構成、特に、軸流蒸気タービン発電所の高圧(HP)段又は中圧(IP)段におけるダイアフラムのための新規の構造及び製造方法に関する。
タービンダイアフラムを構成する公知の方法は、内側リングと外側リングとの間に静止案内ブレードユニットの環を取り付けることである。このようなブレードユニットはそれぞれ、内側プラットフォームと外側プラットフォームとの間に延びた翼部分を有し、ブレードユニットは、通常、1つの一体の構成部材として製造されている。これは、"プラットフォーム"型の構成として知られる。各プラットフォームは、円筒のセグメントの形態であり、これにより、ブレードユニットの環が組み付けられると、内側プラットフォームは、組み合わさって内側円筒体を形成し、外側プラットフォームは、組み合わさって外側円筒体を形成する。内側プラットフォームは、内側リングに溶接され、この内側リングは、ブレードユニットを保持し、内側リングとタービンのロータシャフトとの間に作用するラビリンスシールのようなシーリング配列のための取付部を提供する。外側プラットフォームは、外側リングに溶接され、この外側リングは、ダイアフラムに対して支持及び剛性を提供する。内側リング及び外側リングのそれぞれは、ダイアフラムの主軸線を含みかつブレードユニットの間を通過する平面に沿って接合される2つの半円形の半分を有し、これにより、ダイアフラム全体を、ターボ機械のロータの周囲への組付けのために2つの部材に分離することができる。
大型のHP又はIP蒸気タービンダイアフラムのための既存のプラットフォーム構成は、概して、厚い金属板から切断されるか、鍛造されるか、又は棒材から形成された中実の内側及び外側のリングを有する。このようなリングは、タービンの軸線方向でのかなりの寸法、例えば100mm〜200mmを有するので、このようなリングのコストは、大型蒸気タービンの工場渡し価格における大きな要因である。リングが厚い板から切断される場合、高い割合の廃棄物(例えば、内側リングの中央の切り抜かれた部分)が生じ、これに対し、鍛造又はその他の成形加工は、より出費を増加させ、より大きな厚さ及び重さの材料を操作しなければならないので制御するのがより困難になる。
したがって、本発明の課題は、製造時の廃棄物の量が少なく、より低コストで、より簡単に制御することができる蒸気タービンダイアフラム及びその製造方法を提供することである。
最も広い態様において、本開示は、半径方向内側リング及び半径方向外側リングを有する高圧又は中圧の軸流タービンダイアフラムを提供し、少なくとも1つのこのようなリングは中空であり、かつ板材料から成る軸方向で向き合った壁部を有する。
好適には、タービンダイアフラムは、
静止ブレードユニットの環であって、このような各ブレードユニットは、翼部分と、半径方向内側プラットフォーム部分と、半径方向外側プラットフォーム部分とを有する、静止ブレードユニットの環と、
箱形構造を有し、該箱形構造は、該箱形構造の一部としてのブレードユニットを有する、半径方向内側の中空のダイアフラムリング及び/又は半径方向外側の中空のダイアフラムリングと、を備える。
上記のように、内側及び外側のリングの両方が中空の構造を有することが常に必要であるわけではない。つまり、リングのうちの一方が中空であることが可能であるが、他方のリングは、公知の形式の中実の構造であることができる。
1つの実施の形態において、内側中空ダイアフラムリングの箱形構造は、
一対の軸方向で向き合った側壁と、
半径方向内側の周方向に延びた壁部と、
静止ブレードユニットの半径方向内側プラットフォーム部分によって形成された半径方向外側の周方向に延びた壁部と、を有する。
同様に、外側中空ダイアフラムリングの箱形構造は、
一対の軸方向で向き合った側壁と、
半径方向外側の周方向に延びた壁部と、
静止ブレードユニットの半径方向外側プラットフォーム部分によって形成された半径方向内側の周方向に延びた壁部と、を有してよい。
静止ブレードユニットの半径方向内側及び外側のプラットフォーム部分の少なくとも一方、好適には両方は、例えば一片の材料から機械加工することによって、翼部分と一体に形成されることが好ましい。しかしながら、プラットフォーム部分のうちの一方又は両方を翼部分に取り付けることによって静止ブレードユニットを製造することも可能である。
内側及び外側の中空のダイアフラムリングの箱形構造に良好な剛性を提供するために、内部において複数の強化リブを組み込むことによって箱形構造を強化することを提案し、リブは、半径方向及び軸方向で位置合わせさせられており、かつ周方向で互いに間隔を置かれている。つまり、リブは、箱形構造を横切って、軸方向で向き合った側壁と、半径方向内側及び外側の周方向に延びた壁部との間に延びている。この説明及び添付の請求の範囲を通じて「リブ」という用語が使用される場合、この用語は、ストラット及び同様のもののような、構造的に同等の強化特徴部を含むことが理解されるべきである。
選択的に、外側ダイアフラムリングの半径方向外側の壁部は、強化リブのうちの少なくとも1つの半径方向外方への突出部によって、複数の別個の周方向に延びた構成部分に分割されていてよい。このような配列は、外側リングの上側及び下側の半分への荷重持上げ特徴部の取付け、及び/又はダイアフラムを包囲するタービンケーシングにおける対応する位置決め特徴部との外側リングの係合、を容易にすることができる。このような位置決め特徴部との外側リングの係合は、タービンケーシング内におけるダイアフラムのクロスキー位置決めを可能にすることができる及び/又は蒸気タービンの運転中に静止ブレードが蒸気を逸らせる際のケーシング内でのダイアフラムの回転を防止することができる。
半径方向内側リングの半径方向内側壁部の半径方向内側は、ダイアフラムの比較的高圧の側と低圧の側との間の漏れに対するシールを保持するように構成された、周方向に延びた凹所を有してよい。
タービン内でのダイアフラムの組立てを可能にするために、ダイアフラムは、2つの半分として製造されており、これらの半分は、組立て時に直径に沿った接合線において互いに接合される。接合部は、外側ダイアフラムリングの直径に沿った接合線の各端部において提供されるボルト継手を含んでよい。これに代えて、ダイアフラムの上側及び下側の半分の、直径に沿って互いに反対側の端部は、包囲するタービンケーシング内に外側ダイアフラムリングを支持する位置決め手段によって互いに位置合わせされながら保持されてよい。
幾つかの実施の形態において、内側及び外側のダイアフラムリングのうちの1つのみが、中空の構造であり、他方のリングは中実であることが考えられる。
本開示発明は、ここに説明されかつ添付の請求の範囲に請求されているように、中空のダイアフラムリング及びダイアフラムの製造方法も提供する。
ここに開示された概念の実施の形態は、ここで、添付の図面を参照しながら説明される。
公知の形式のHP軸流蒸気タービンダイアフラムの上側半分の概略的な半径方向断面図である。 本明細書に開示された概念にしたがって構成されたHP又はIP蒸気タービンダイアフラムの上側半分の半径方向断面の概略的な図である。 HP又はIP蒸気タービンダイアフラムの上側半分の、部分的に分解された実施の形態の三次元斜視図である。 図3と同様の、ただしダイアフラムの下側半分の図である。 静止ブレードユニットのセットが取り付けられた内側リングの三次元斜視図である。 不完全な外側リングが静止ブレードユニットのセットに取り付けられた、図5と同様の図である。
図面は、実寸ではない。
図1は、大型の、ヘビーデューティの、軸流の、蒸気タービンダイアフラム1用の構成の公知の"プラットフォーム"形式を例示しており、製造中のダイアフラムの上側半分の半径方向断面図を示しており、ダイアフラム1の中心線は一点鎖線Cで示されている。図面は静止ブレードユニット2を含む。静止ブレードユニット2は、半径方向内側及び外側のプラットフォーム3,4と、翼部分5とを有する。翼部分5の半径方向内側及び外側の端部は翼及びプラットフォームと一体である。ブレードユニット2全体は中実体から機械加工されている。組立てが完了すると、内側及び外側のプラットフォーム3,4は、ダイアフラムを通る蒸気の流れのための、内側及び外側のポート壁部(port walls)を形成する。完成したダイアフラム1は、ブレードユニット2を順次に内側及び外側のダイアフラムリング6,7の間に環状の配列で組み付け、プラットフォーム3,4を深溶け込み溶接8〜11によってダイアフラムリング6,7に取り付けることによって形成される。内側及び外側のダイアフラムリング6,7と、プラットフォーム3,4とは、さらに、タービンシーリング部を提供しかつ隣接するタービン部に適合するように適切に機械加工される。例えば、シーリング部は、内側リング6の内周面に機械加工されている。シーリング部は、内向きのフック部13を備えたチャネル12を含む。これは、内側のリング6と、点線によって示されているタービンシャフト14との間をシールするためのラビリンスシール又は同様のもの(図示せず)を保持するために設けられている。
内側のダイアフラムリング6にブレードユニット2を組み付け、次いで、ブレードユニット2に対して外側のダイアフラムリング7を焼き嵌めすることが、プラットフォーム構成を採用するHP蒸気タービンにおける公知の製造方法である。内側及び外側のダイアフラムリング6,7は、ブレードユニットを支持し、タービンの組立て及び運転中にダイアフラムをゆがめようとする力に対するダイアフラム剛性を提供し、かつ外側のダイアフラムリングに対して、ダイアフラムを、完成したタービン構成においてダイアフラムを包囲するタービンケーシング(図示せず)内に確実に配置することが要求される。
図2は、本明細書に開示された概念にしたがって構成されたHP又はIP蒸気ダイアフラム20の上側半分の半径方向断面図であり、この場合、半径方向内側及び外側のダイアフラムリング22,24は、中空であり、プレート材料から箱形構造として製造されている。つまり、内側の中空のダイアフラムリング22の箱形構造は、軸方向で向き合った一対の側壁221,222と、半径方向内側の周方向に延びた壁部223と、静止ブレードユニット26の半径方向内側のプラットフォーム部分によって形成された、半径方向外側の周方向に延びた壁部261とを有する。同様に、外側の中空のダイアフラムリング24の箱形構造は、軸方向で向き合った一対の側壁241,242と、静止ブレードユニット26の半径方向外側のプラットフォーム部分によって形成された、半径方向内側の周方向に延びた壁部262と、半径方向外側の周方向に延びた壁部243とを有する。
例として、各側壁221,222,241,242及び外側の壁部243のプレート材料厚さは、それが一部を成すリングの軸方向厚さの35%未満(例えば20%〜30%)であることができる。しかしながら、最も半径方向内側の壁部223は、他の壁部よりも大きな厚さを有するように示されている。なぜならば、後述するように、この壁部223には凹所228が機械加工されるからである。中空のダイアフラムリングの製造のための適切なプレート材料の一例は、ASTM A 387 Gr.22 C12規格のような、クロムモリブデン鋼プレートである。このような鋼は、圧力容器を製造するために一般的に使用されており、世界中にクロムモリブデン鋼プレートの多くの供給業者が存在する。その他の高合金綱も適切であろう。
この実施の形態において、静止ブレードユニット26の、半径方向内側及び外側のプラットフォーム部分261,262はそれぞれ、翼部分263と一体に形成されている。これに代えて、プラットフォーム部分を内側及び外側のリングに組み込む前に、プラットフォーム部分261,262のうちの一方又は両方を翼部分263に接合することによって静止ブレードユニット26を製造することも可能である。いずれの場合にも、ブレードユニットは、例えば、公知の容易に入手可能な12Cr合金鋼から成ってよいが、ニッケルベースのスーパーアロイのようなその他の材料を使用することもできる。
内側及び外側の中空のダイアフラムリング22,24の箱形構造に高い剛性を提供するために、われわれは、それらの内部に複数の補強リブ28,30をそれぞれ組み込むことによって箱形構造を強化することを提案する。リブ28,30は、半径方向及び軸方向に整合させられており、かつ周方向で互いから間隔を置かれている。つまり、軸方向では、リブ28,30は、箱形構造を横切って、内側及び外側のリング22,24の軸方向で向き合った側壁221,222及び241,242の間に延びており、半径方向では、リブ28,30は、箱形構造を横切って、リングの半径方向内側及び外側の、周方向に延びた壁部223,261及び262,243の間に延びている。
本発明の概念から最大のコスト利益を得るために、上記では内側及び外側のダイアフラムリングの両方が中空の箱形構造を有することを前提としているが、それにもかかわらず、リングのうちの一方のみが中空であり、他方のリングが中実の構成であることが可能である。
以下でより詳細に説明するように、箱形構造は、補強リブ28,30に側壁221,222及び241,242を取り付け、次いで、内側リング22の側壁221,222にブレードユニット26の内側プラットフォーム261を取り付けることによって製造されてよい。この後、外側リング24の側壁241,242は、ブレードユニット26の外側プラットフォーム262に取り付けられてよい。内側及び外側リングの箱形構造は、内側リング22の側壁に、内側の周方向に延びた壁部223を取り付け、外側リング24の側壁に、外側の周方向に延びた壁部243を取り付けることによって完成されてよい。前記の取付けは、構成部材を互いに仮付け溶接することによって形成されてよいが、図2に示したようにダイアフラムを完成させるために永久溶接が行われる。図2には、周方向に延びた溶接線224〜227及び244〜247が示されている。つまり、内側リング22の場合、溶接226及び227は側壁221,222をプラットフォーム部分261に取り付け、かつ溶接224及び225は側壁221,222を半径方向内側の壁部223に取り付けるのに対し、外側リング24の場合、溶接244及び245は側壁241,242をプラットフォーム部分262に取り付け、溶接246及び247は側壁241,242を半径方向外側の壁部243に取り付ける。
図2にも示したように、半径方向内側リング22の半径方向内側の壁部223の半径方向内側は、ダイアフラムの比較的高圧の側と低圧の側との間の漏れを最小限に減じるためにシャフト14とシール係合するラビリンスシール又はブラシシール(図示せず)のようなシャフトシールを保持及び把持するように構成された凹所若しくはフック配列228を有してよい。
タービンへのこのようなダイアフラムの組立てを可能にするために、ダイアフラムは2つの半分、つまり上側半分及び下側半分として製造されており、これらの半分は、水平方向の、直径に沿った接合線Jにおいて互いに接合される。例えば、接合線Jの各端部にボルト継手を設けることができる。これに代えて、ダイアフラムの上側及び下側の半分を、それぞれ、産業上知られているように、クロスキー位置決め手段によって、独立して支持することができる。
ダイアフラムの製造をこの概念にしたがってより詳細に説明するために、図3及び図4を参照する。図3は、HP又はIP蒸気タービンダイアフラムの上側半分の部分的に分解された実施の形態の三次元の図であるのに対し、図4は、ダイアフラムの下側半分の同様の図である。両図において、1つの静止ブレードユニット26のみが、上側及び下側の、内側及び外側の半リング22U,24U及び22L,24Lの間の所定の位置に示されており、他のブレードユニットは半リングの箱形構造をより明確に示すために省略されている。可能な限り、図3及び図4は、図2と同じ符号を使用している。
1つの可能な製造手順は、上側の半リング22U,24U及び下側の半リング22L,24L用の側壁と、補強リブ28,30とが、プレート材料から、ダイアフラムが取り付けられる特定のタービンのために要求される寸法に切断されることによって開始する。さらに加えて、前記ボルト継手用の継手ブロック32U,34U及び32L,34L(箱形構造を強化するためにも作用する)は、上側及び下側の外側の半リング24U,24Lに組み込むために、より厚いプレートから製造される。
次いで、補強リブ28は、それぞれの内側の半リング22U,22Lの側壁のうちの1つに取り付けられ、補強リブ30は、継手ブロック32U,34Uと一緒に、外側の半リング24Uの側壁のうちの一方に取り付けられ、継手ブロック32U,34Uは、外側の半リング24Uの、直径に沿って互いに反対側の端部に位置決めされる。同様に、補強リブ30は、継手ブロック32L,34Lと一緒に、外側の半リング24Lの側壁のうちの1つに取り付けられる。この後、内側及び外側の半リングの他方の側壁は、リブ28及び30に、外側半リングの場合には、継手ブロックに、取り付けられる。この段階において(又はこれに代えて、箱形構造への継手ブロックの組込みの前に)、それぞれの継手ブロックに、ねじ山付ボルト穴36U,36Lを機械加工することができる。
上の手順は、まだ完成していない内側及び外側の半リングを生ぜしめる。なぜならば、上側及び下側の内側の半リング22U,22Lは、側壁及び補強リブのみを有し、上側及び下側の外側の半リング24U,24Lは、側壁、補強リブ及び継手ブロックのみを有するからである。
ここで、内側リングを製造するために、ダイアフラムの上側及び下側の半分のための内側の半リングを、一緒にジグに配置することができる。同様に、外側リングを製造するために、ダイアフラムの下側及び上側の半分のための外側の半リングを、接合することができる。内側の半リングは、ジグにおいて一時的な仮付け溶接によって接合されるのに対し、外側の半リングは、上側及び下側の外側の半リングの、直径に沿って互いに反対側の端部に設けられた継手ブロックを貫通する一時的なボルトによって接合されてよい。
2つの内側の半リング22U,22Lを接合すると、図5に示されたアセンブリを製造するために、静止ブレードユニット26の内側プラットフォーム261を、内側リングの側壁221,222に仮付け溶接することができる。まだジグにある間に、静止ブレードユニット26の外側プラットフォーム262に均一な円形の外面を形成するために、機械加工が行われる。この後、外側リングは加熱され、次いで、側壁241,242を外側プラットフォーム262と係合させるようにブレードユニット26に対して焼き嵌めされ、これにより、図6に示されたアセンブリを製造する。
ダイアフラムの製造のこの段階において、図2に関して述べられた周方向溶接226,227及び244,245が図6のアセンブリにおいて行われ、内側及び外側のリング22,24を静止ブレードユニット26に確実に結合する。周方向溶接は、ダイアフラムの上側半分と下側半分との間の接合線Jにおいて中断することができる。これに代えて、周方向溶接は、接合線をまたいで連続的であることができ、溶接ビードが、その後、ダイアフラムの上側及び下側半分の互いからの分離を可能にするために、接合線において機械加工により除去される。
上記の周方向溶接作業の後、図3及び図4に戻って参照すると、ダイアフラム製造プロセスの最終ステップは、図2に示したように、周方向溶接224,225及び246,247を使用して、外側リング24の半径方向外側の壁部243を側壁241,242に取り付け、かつ内側リング22の半径方向内側の壁部223を側壁221,222に取り付けることである。以下で説明する理由から、上側の半リングと下側の半リングとの間の接合部、及びリブ30によって互いから分割された外壁243のあらゆる構成部分を考慮するために、これらの溶接は必要であれば中断されてよいことが明らかである。
前記製造プロセスの変化形において、ブレードユニット26の内側プラットフォーム261が内側リングの側壁221,222に取り付けられる前に半径方向内側の壁部223が中空内側リング22に取り付けられてよい。さらに、外側リング24の側壁241,242がブレードユニット26の外側プラットフォーム262に取り付けられる前又は後に半径方向外側の壁部243が中空外側リング24に取り付けられてよい。
内側リングの半径方向内側の壁部223は上側及び下側の半リング22U,22Lのそれぞれの全周方向範囲に亘って連続しているのに対し、半径方向外側の壁部243は不連続であり、補強リブ30の半径方向外方への突出部によって、周方向に延びた複数の別個の構成部分に分割されていることが、図3及び図4から見られる。リブ30は側壁241,242の半径方向範囲を半径方向に超えて突出しているが、リブは、半径方向外側の壁部243の構成部分の半径方向厚さを完全には貫通しておらず、これにより、半径方向外側壁部243において矩形の凹所を形成している。これらの凹所は、組み立てられたダイアフラムの取扱いを容易にするための特徴の付加を補助してよい。なぜならば、クレーンの持上げ用アイを提供するために、ねじ山付穴(図示せず)が、リブ30の露出した端部に穿孔されてよいからである。これに代えて、又はこれに加えて、凹所は、完全に組み立てられたタービンにおいて外側リング24を包囲するタービンケーシング(図示せず)における、対応して突出した回転防止キー及び/又はクロスキー位置決め手段との外側リング24の係合を可能にするために使用されてよい。
外側壁部243の外面が半径方向内方へ凹まされる代わりに、リブ30は、外側壁部243の外面を超えて半径方向に突出することが可能であることにも注意されたい。この配列は、包囲するタービンケーシングに関連した回転防止キー及びクロスキー位置決め手段を提供するために使用することもできる。
外側壁部243が複数のリブ30によって分割されてよいことが上記で提案されているが、側壁241,242の半径方向範囲を超えて突出するように選択されるリブ30の数は設計者の任意であることが理解されるべきである。例えば、ダイアフラムのための回転防止手段を形成するために、タービンケーシングにおける相補的な手段に関連して、頂点において突出した1つのリブで十分である。
ある目的には便利であるかもしれないが、位置決め又は持上げ手段の形成を容易にするために補強リブが側壁241,242を半径方向に超えて延びることは必要でないことに注意すべきである。例えば、図6においては、リブ301が、側壁の半径方向外側エッジ面と同一平面である半径方向外側エッジ面を有することが示されており、これにより、外側壁部243の中断のない構成部分を、リブ301上の所定の位置に溶接することができる(図3参照)。実際には、外側リング24における全てのリブ30は同じリブ301であることができ、これにより、継手ブロック32L,34L及び32U,34Uによるものを除いて、半径方向外側壁部243は複数の構成部分に分割されない。次いで、あらゆる所要の持上げ又は位置決め手段を、外側壁部243に機械加工するか又は溶接することができる。
完成したダイアフラムの上側半分と下側半分とを一緒に保持するボルト(図示せず)へのアクセスを許容するために、継手ブロック32U,34Uに最も近い半径方向外側壁部243の構成部分の端部が、上側半リング24Uの側壁241,242に対して、内方へ傾斜させられていることが図3から分かる。
前述のように、リングのうちの一方のみが中空箱形構造であり、他方のリングが中実構成であるようなダイアフラムを構成することが可能である。内側ダイアフラムリングのみが中空箱形構造である場合、内側ダイアフラムは、上述のようにジグにおいて製造及び組立てすることができ、静止ブレードユニットによって完成され、中実の外側リングの2つの半分を互いに接合し、ブレードユニットの外側プラットフォームに焼き嵌めすることができ、その後、適切に溶接する。外側ダイアフラムリングのみが中空である場合、中実の内側ダイアフラムリングの2つの半分をジグに組み付けることができ、ブレードユニットの内側プラットフォームを、内側中実リングに仮付け溶接することができる。外側リングを、前述のように製造することができ、次いで、ブレードユニットの外側プラットフォームへ焼き嵌めし、適切に溶接することができる。
上述のようなダイアフラムの製造の後、ダイアフラムに、応力緩和熱処理及び最終機械加工手順、例えば内側リング22の内壁223における凹所228(図2参照)の機械加工を行う必要がある。次いで、ダイアフラムを、上側及び下側の半分に分割することができ、タービンへの組付けのための準備が整う。
上記説明は、大型のヘビーデューティ蒸気タービンに関連した本発明の概念に言及したが、本発明の概念は、船舶において又は工業用プラントにおける補助タービンとして使用されるもののような、軽量タービンにも適用可能であることもできる。前記概念がガスタービンダイアフラムに適用可能であることも、無視されるべきではない。
ここに提案された概念の採用は多数の利点を提供する。
第1に、強度の比例的な減少なしに、ダイアフラムの製造において使用される材料の量が減じられる。これは、ダイアフラムリングに加えられる荷重が主に曲げ荷重であり、ダイアフラムリングの中立軸線に近い材料が、曲げ強さへの比較的小さな寄与を形成するからである。
第2に、静止ブレードユニットプラットフォームは、内側及び外側リングの一体の部分として利用され、これにより、材料使用を最適化する。
第3に、ダイアフラムの上側及び下側の半分の間のボルト継手の製造が、中実外側リングのために使用される手順に関して単純化される。これは、本概念によるリングの中空箱形構造が、リングの側壁の間への予め構成されたボルト収容ブロックの挿入を許容するからである。
第4に、上記から続いて、内側及び外側リングにおいて使用される高価な高級材料の量の減少、構成部材の機械加工中に発生される廃棄材料の量の減少、及びボルト継手の製造に関する機械加工プロセスの複雑さの減少は、完成したダイアフラムのコストの著しい減少、例えばわれわれの初期的な研究によれば40%に達する減少につながる。
第5に、補強リブは、ダイアフラムとタービンケーシングとの間において作用する回転防止キー及び位置決めキーの提供を単純化するために使用することができる。
上記実施の形態は、純粋に例として上に説明されており、添付された請求項の範囲において変更をなすことができる。つまり、請求項の広さ及び範囲は、上述の典型的な実施の形態に限定されるべきではない。請求の範囲及び図面を含む明細書に開示されたそれぞれの特徴は、そうでないことが明らかに述べられない限り、同じ、均等又は類似の目的を果たす択一的な手段に置き換えられてよい。
文脈がそうでないことを明らかに要求しない限り、説明及び請求の範囲を通じて、用語"含む"、"含んでいる"及び同様のものは、排他的又は網羅的な意味とは反対に包括的な意味で、すなわち"含んでいるが、限定されない"という意味で解釈すべきである。
1 ダイアフラム、 2 静止ブレードユニット、 3,4 プラットフォーム、 5 翼部分、 6,7 ダイアフラムリング、 8,9,10,11 深溶け込み溶接、 12 チャネル、 13 フック部、 14 タービンシャフト、 20 、 22 ダイアフラムリング、 221,222,241,242 側壁、 223,261,262,243 壁部、 228 凹所、 26 ブレードユニット、 28 リブ、 30 リブ、 C 中心線

Claims (17)

  1. 高圧又は中圧の、軸流の、タービンダイアフラム(20)であって、半径方向内側のリング及び半径方向外側のリング(22,24)を備え、少なくとも1つのこのようなリングは、中空であり、かつプレート材料から成る軸方向で向き合った壁部(221,222及び/又は241,242)を有することを特徴とする、タービンダイアフラム。
  2. (a)静止ブレードユニット(26)の環であって、それぞれのこのようなブレードユニットは、翼部分(263)と、半径方向内側のプラットフォーム部分(261)と、半径方向外側のプラットフォーム部分(262)とを有する、静止ブレードユニット(26)の環と、
    (b)半径方向内側の中空のダイアフラムリング(22)及び/又は半径方向外側の中空のダイアフラムリング(24)であって、それぞれのこのような中空のリングは箱形構造を有し、該箱形構造は、該箱形構造の一部としてのブレードユニット(26)を有する、半径方向内側の中空のダイアフラムリング(22)及び/又は半径方向外側の中空ダイアフラムリング(24)と、を備える、請求項1記載のタービンダイアフラム。
  3. 内側の中空のダイアフラムリング(22)の前記箱形構造は、
    (a)軸方向で向き合った一対の側壁(221,222)と、
    (b)半径方向内側の周方向に延びた壁部(223)と、
    (c)前記静止ブレードユニット(26)の前記半径方向内側のプラットフォーム部分(261)によって形成された、半径方向外側の周方向に延びた壁部と、を有する、請求項2記載のタービンダイアフラム。
  4. 外側の中空のダイアフラムリング(24)の前記箱形構造は、
    (a)軸方向で向き合った一対の側壁(241,242)と、
    (b)半径方向外側の周方向に延びた壁部(243)と、
    (c)前記静止ブレードユニット(26)の前記半径方向外側のプラットフォーム部分(262)によって形成された、半径方向内側の周方向に延びた壁部と、を有する、請求項2又は3記載のタービンダイアフラム。
  5. 前記静止ブレードユニットの半径方向内側及び外側のプラットフォーム部分(261,262)のうちの一方又は両方は、前記翼部分(263)と一体に形成されている、請求項2から4までのいずれか1項記載のタービンダイアフラム。
  6. それぞれの中空のダイアフラムリング(22,24)の前記箱形構造は、該箱形構造に複数の補強リブ(28,30)を組み込むことによって強化されており、リブは、半径方向及び軸方向に整合させられておりかつ周方向で互いから間隔を置かれている、請求項2から5までのいずれか1項記載のタービンダイアフラム。
  7. 外側のダイアフラムリング(24)の半径方向外側の壁部(243)は、前記補強リブ(30)のうちの少なくとも1つによって、周方向に延びた別個の構成部分に分割されている、請求項4を引用する請求項6記載のタービンダイアフラム。
  8. 半径方向内側のリング(22)の半径方向内側の壁部(223)の半径方向内側は、ダイアフラム(20)の比較的高圧の側と低圧の側との間の漏れに対するシールを保持するように構成された、周方向に延びた凹所(228)を含む、請求項3記載のタービンダイアフラム。
  9. タービン内へのダイアフラム(20)の組付けを可能にするために、該ダイアフラムは、組付け時に直径に沿った接合線(J)において互いに接合される2つの半分として製造されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のタービンダイアフラム。
  10. 外側のダイアフラムリングの前記直径に沿った接合線(J)の各端部にボルト継手が設けられている、請求項9記載のタービンダイアフラム。
  11. 前記ダイアフラムの上側及び下側の半分の、直径に沿って互いに反対側の端部は、包囲するタービンケーシング内に前記上側及び下側の半分を支持する位置決め手段によって、互いに位置合わせされながら保持される、請求項9記載のタービンダイアフラム。
  12. 内側及び外側のダイアフラムリングのうちの一方のみが中空構造であり、他方のリングは中実である、請求項1から11までのいずれか1項記載のタービンダイアフラム。
  13. 請求項3を引用する請求項6記載のタービンダイアフラムを製造する方法であって、前記内側の中空のダイアフラムリング(22)は、
    (a)側壁(221,222)を補強リブ(28)に取り付けるステップと、
    (b)ブレードユニット(26)の内側プラットフォーム(261)を内側リング(22)の側壁(221,222)に取り付けるステップと、
    (c)内側の周方向に延びた壁部(223)を前記内側リング(22)の側壁に取り付けるステップと、によって製造されることを特徴とする、請求項3を引用する請求項6記載のタービンダイアフラムを製造する方法。
  14. 請求項4を引用する請求項6記載のタービンダイアフラムを製造する方法であって、前記外側の中空のダイアフラムリング(24)は、
    (a)側壁(241,242)を補強リブ(30)に取り付けるステップと、
    (b)ブレードユニット(26)の外側プラットフォーム(262)を外側リング(24)の側壁(241,242)に取り付けるステップと、
    (c)外側の周方向に延びた壁部(243)を前記外側リング(24)の側壁に取り付けるステップと、によって製造されることを特徴とする、請求項4を引用する請求項6記載のタービンダイアフラムを製造する方法。
  15. 請求項3及び4を引用する請求項6記載のタービンダイアフラムを製造する方法であって、
    (a)側壁(221,222)及び(241,242)を補強リブ(28)及び(30)に取り付けるステップと、
    (b)ブレードユニット(26)の内側プラットフォーム(261)を内側リング(22)の側壁(221,222)に取り付けるステップと、
    (c)外側リング(24)の側壁(241,242)をブレードユニット(26)の外側プラットフォーム(262)に取り付けるステップと、
    (d)内側の周方向に延びた壁部(223)を前記内側リング(22)の側壁に取り付けかつ外側の周方向に延びた壁部(243)を前記外側リング(24)の側壁に取り付けるステップと、を含むことを特徴とする、請求項3及び4を引用する請求項6記載のタービンダイアフラムを製造する方法。
  16. 前記ブレードユニット(26)の前記内側プラットフォーム(261)が前記内側リング(24)に取り付けられる前に、半径方向内側の壁部(223)が前記内側リング(22)に取り付けられる、請求項13又は15記載の方法のバリエーション。
  17. 前記外側リング(24)の前記側壁(241,242)が前記ブレードユニット(26)の前記外側プラットフォーム(262)に取り付けられる前に、半径方向外側の壁部(243)が前記外側リング(24)に取り付けられる、請求項14又は15記載の方法のバリエーション。
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