JPH0740711Y2

JPH0740711Y2 - 立軸ポンプ

Info

Publication number: JPH0740711Y2
Application number: JP1989079757U
Authority: JP
Inventors: 康弘柴; 伸浩四宮
Original assignee: 株式会社電業社機械製作所
Priority date: 1989-07-06
Filing date: 1989-07-06
Publication date: 1995-09-20
Anticipated expiration: 2004-07-06
Also published as: JPH0319487U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、吸水井の水位が急激に変化し易いポンプ設備
に用いられる立軸ポンプに関するものである。

（従来の技術）第５図は、従来の立軸ポンプの一例の一部切り欠き縦断
面図である。立軸ポンプは、羽根車１を内装した羽根車
ケーシング２の下端に吸込ベルマウス３が連結固定さ
れ、この吸込ベルマウス３の下端開口部が水面下となる
ように吸水井４に設けられている。ところで、こうした
立軸ポンプは、吸水井４の形状や寸法およびポンプの揚
水容量等から、吸水井４の水位があるレベル以下となる
と、水面から空気吸込渦を生じさせてポンプが空気を吸
い込み、気水攪拌運転状態となって異常な震動や騒音を
生じさせる。特に、水位が吸込ベルマウスの下端開口レ
ベル付近にまで低下すると、空気の吸い込みが多くな
り、気水攪拌運転による異常振動や騒音が著しいものと
なる。

近年、都市部において市街地化や宅地化による舗装率の
向上、および下水管渠の普及等で、雨水がポンプ設備に
急激かつ大量に流入する傾向にある。しかし、この大量
の雨水が流入するのに充分な容量の吸水井を設備するこ
とは、土地が高価である等のために経済的に困難であ
る。そこで、吸水井の容量が不充分であり、雨水の流入
により水位が大幅に急激な変化をし易い。この水位の急
激な変化に対応すべく、雨水の流入を予測して予めポン
プを運転状態とする先行待機運転が試みられている。そ
して、従来の先行待機運転においては、吸水井の水位が
あるレベル以下となったときに、電気的な制御手段等に
よりポンプの回転数を下げて揚水能力を低下させること
で、空気の吸込量を少なくして気水攪拌運転による異常
振動や騒音を改善している。

しかしながら、上述のポンプの回転数を下げて制御する
方法は、ポンプ回転数を切り換えるために何んらかの制
御装置が必要であり、制御系が複雑なだけ高価な構造と
なる。しかも、構造が複雑であるために、信頼性に問題
が生じ、保守管理も煩雑である。

そこで、これらのポンプ回転数の制御に代えて、空気を
吸い込む気水攪拌運転状態を生じさせないようにした立
軸ポンプが特開昭63-134897号公報、実開昭63-140199号
公報等で提案されている。これらの立軸ポンプは、空気
吸込渦として空気を吸い込み始める水位より、ポンプの
羽根車入口レベルが高くなるように羽根車を配置し、羽
根車ケーシングと吸込ベルマウスとの間に連結筒を介装
し、水位が空気を吸い込み始める水位以下になると、連
結筒に設けた吸気通路を大気に連通させるように構成し
たものである。連結筒内を大気と連通させることで、ポ
ンプの連結筒内は真空破壊がなされて揚水能力を失ない
気中運転状態となる。したがって、気水攪拌運転状態を
経ずに、揚水運転状態から気中運転状態に切り換えら
れ、異常振動や騒音を発生させることがない。

（考案が解決しようとする課題）特開昭63-134897号公報，実開昭63-140199号公報で提案
される技術は、気水攪拌運転状態を生じさせないこと
で、極めて優れている。しかるに、羽根車が高い位置に
あり、水位が低下した際に水面から羽根車入口レベルま
での高さが大きなものとなり、揚水能力が低下するとと
もにキャビテーション損傷を発生させ易いという不具合
がある。

本考案は、上述の従来の立軸ポンプの事情に鑑みてなさ
れたもので、簡単な構成により吸込ベルマウスの下端開
口レベルより高く羽根車入口レベル以下のあるレベルよ
り水位が低下すると、気中運転状態に切り換えられるよ
うにした立軸ポンプを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段）かかる目的を達成するために、本考案の立軸ポンプは、
吸込ベルマウスの羽根車入口レベル付近で上に拡がるテ
ーパー状の位置に吸気孔を穿ち、前記吸込ベルマウスの
外周に環状フロートを上下動自在に嵌め、この環状フロ
ートの内周面を前記吸込ベルマウスのテーパー状に沿う
形状となし、前記環状フロートの浮力による上昇で前記
吸気孔を前記環状フロートの内周面で閉塞し、下降で前
記吸気孔を開放するように構成されている。

また、前記環状フロートを前記吸込ベルマウスに対して
軸回りに回転させずに上下動自在になすとともに、前記
環状フロートにロープの一端を固定してロープを引くこ
とで前記環状フロートが浮力に抗して下降するように構
成しても良い。

（作用）吸込ベルマウスの外周に嵌めた環状フロートの上下動
で、吸込ベルマウスに穿った吸気孔を開閉させるので、
水位の変化に応じて環状フロートが上下動して機械的に
揚水運転状態と気中運転状態とに切り換えられる。しか
も、これらの切り換えるための構造が簡単なものであ
る。

また、環状フロートを軸回りに回転させずに上下動自在
になすとともにロープの一端を固定するならば、環状フ
ロートと吸込ベルマウスとの間にゴミ等が挟持されて吸
気孔が閉塞されないときに、ロープを引いて環状フロー
トを浮力に抗して下降させて適宜に上下動を繰り返させ
ることで、ゴミ等の挟持を解放して吸気孔を閉塞させ得
る。

（実施例）以下、本考案の立軸ポンプの一実施例を第１図ないし第
３図を参照して説明する。第１図は、本考案の立軸ポン
プの一実施例の縦断面図であり、第２図は、第１図の環
状フロートの外観斜視図であり、第３図は、第１図の吸
込ベルマウスの外観斜視図である。

第１図ないし第３図において、羽根車１を収納する羽根
車ケーシング２に吸込ベルマウス40が連結固定され、こ
の吸込ベルマウス40の羽根車入口レベル付近の高さに吸
気孔41,41……が穿たれる。さらに、吸気孔41,41……が
穿たれた高さの吸込ベルマウス40の外周に、環状フロー
ト42が上下動自在に嵌められる。ここで、吸気孔41,41
……が穿たれた位置で吸込ベルマウス40の外周は上に拡
がるテーパー状であり、環状フロート42の内周もこのテ
ーパー状に密着して沿うように形成される。なお、環状
フロート42のテーパー状の内周には、吸込ベルマウス40
のテーパー状の外周に密着して吸気孔41,41……を確実
に閉塞させるゴム等の弾性部材からなるパッキン板43,4
3……が設けられても良い。また、この環状フロート42
は、複数に分割された部材を連結部材44,44……で環状
に連結して形成すれば良い。

そして、吸込ベルマウス40には、環状フロート42が軸方
向にのみ上下動するように、フロートガイド45,45……
が環状フロート42の外周に位置するよう設けられる。さ
らに、吸込ベルマウス40の外周に環状フロート42の下降
位置を規制する支持用突起46,46……が設けられる。

かかる構成において、水位が上昇する場合には、環状フ
ロート42が水位の上昇とともに上昇し、吸気孔41,41…
…を閉塞するまで気中運転状態であり、それ以上水位が
上昇すれば吸気孔41,41……の閉塞により揚水運転状態
に切り換えられる。また、水位の下降の際には、吸込ベ
ルマウス40内の負圧により環状フロート42は水位の下降
よりいく分遅れて、すなわち水位上昇のときの気中運転
状態から揚水運転状態への切り換えより僅かに低い水位
で吸気孔41,41……を解放し、揚水運転状態から気中運
転状態に切り換えられる。

上記実施例では、吸込ベルマウス40が羽根車ケーシング
２に連結固定されるので、構造が簡単であり、また吸込
ベルマウス40の形状は従来のものとほぼ同じであり、揚
水能力を劣化させるようなことがない。

第４図は、本考案の立軸ポンプの他の実施例の要部縦断
面図である。この第４図に示すものは、環状フロート42
の内周側に吸気孔41,41……に挿入される突起47,47……
が設けられるとともに、外周側にフロートガイド45,45
……に穿たれた長孔48に挿入されるガイド突起49,49…
…が設けられ、環状フロート42が軸回りに回転すること
なく軸方向にのみ上下動するように構成される。さら
に、支持用突起46に軸方向に透孔50を設け、この透孔50
に下側から耐蝕性ロープ51を通しその端部が環状フロー
ト42の下部に固定される。

かかる構成では、環状フロート42が軸回りに回転せず、
上昇位置にある環状フロート42で吸気孔41,41……を確
実に閉塞できる。また、上昇位置にある環状フロート42
の内周と吸込ベルマウス40との間にゴミ等が挟持されて
吸気孔41,41……が完全に閉塞されないときには、耐蝕
性ロープ51を引いたり緩めたりして環状フロート42を浮
力に抗して下降させて適宜に上下動を繰り返させれば、
ゴミ等の挟持を解放して完全に閉塞させることができ
る。なお、水位の上昇に伴ない環状フロート42が上昇し
て吸気孔41,41……を閉塞するときに、これを適宜に検
出して自動的に耐蝕性ロープ51を引いたり緩めたり数分
間作動させるように構成しても良い。また、環状フロー
ト42の軸回りの回転を規制するために設けた内周側の突
起47,47……および外周側のガイド突起49,49……は、い
ずれか片側であっても良く、さらにこれらに限られず、
環状フロート42を軸回りに回転させずに上下動自在とす
るならばいかなる構造であっても良い。

（考案の効果）本考案の立軸ポンプは、以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載されるような格別な効果を奏す
る。

請求項１記載の立軸ポンプは、水位の変化に応じて環状
フロートが上下動して機械的に揚水運転状態と気中運転
状態とが切り換えられ、構造が簡単であり、保守管理が
容易である。しかも、環状フロートは、水位の上昇に伴
なってそれ自体を上昇させるだけの浮力があれば良く、
大きなものを必要とせず、小型に形成し得る。

また、請求項２記載の立軸ポンプは、環状フロートと吸
込ベルマウスの間にゴミ等が挟持されても、ロープを適
宜に引いたり緩めたりすることで、ゴミ等の挟持を解放
することができ、吸気孔の完全な閉塞を確保することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の立軸ポンプの一実施例の縦断面図で
あり、第２図は、第１図の環状フロートの外観斜視図で
あり、第３図は、第１図の吸込ベルマウスの外観斜視図
であり、第４図は、本考案の立軸ポンプの他の実施例の
要部縦断面図であり、第５図は、従来の立軸ポンプの一
部切り欠き縦断面図である。 1:羽根車、2:羽根車ケーシング、40:吸込ベルマウス、4
1:吸気孔、42:環状フロート、45:フロートガイド、47:
突起、48:長孔、49:ガイド突起、51:耐蝕性ロープ。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】吸込ベルマウスの羽根車入口レベル付近で
上に拡がるテーパー状の位置に吸気孔を穿ち、前記吸込
ベルマウスの外周に環状フロートを上下動自在に嵌め、
この環状フロートの内周面を前記吸込ベルマウスのテー
パー状に沿う形状となし、前記環状フロートの浮力によ
る上昇で前記吸気孔を前記環状フロートの内周面で閉塞
し、下降で前記吸気孔を開放するように構成したことを
特徴とする立軸ポンプ。
【請求項２】請求項１記載の立軸ポンプにおいて、前記
環状フロートを前記吸込ベルマウスに対して軸回りに回
転させずに上下動自在になすとともに、前記環状フロー
トにロープの一端を固定してロープを引くことで前記環
状フロートが浮力に抗して下降するように構成したこと
を特徴とする立軸ポンプ。