JP2007146775A - ポンプ装置およびポンプ装置の固有振動数の調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡素化した構造で中間軸受のメンテナンスを容易に行うことができ、固有振動数の調整が可能なポンプ装置およびポンプ装置の固有振動数の調整方法を提供する。
【解決手段】 ケーシング7の外周部で板状の固定部材16を介してポンプ1を床13に固定し、中間軸受支持部材12の先端接続部28を固定部材16の取付部と略同一平面上で、かつ固定部材16の取付部の内側に配置して固定する。これにより、中間軸受のメンテナンスが容易になり、かつ中間軸受支持部材12を介して中間軸受9のラジアル荷重が固定部材16に負荷されても、固定部材16に曲げモーメントが作用しなくなって、固定部材16の負担を小さくすることができる。また、固定部材16の肉厚変更などでその剛性を加減することで、ポンプ1の固有振動数を調整し、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ケーシング7の外周部で板状の固定部材16を介してポンプ1を床13に固定し、中間軸受支持部材12の先端接続部28を固定部材16の取付部と略同一平面上で、かつ固定部材16の取付部の内側に配置して固定する。これにより、中間軸受のメンテナンスが容易になり、かつ中間軸受支持部材12を介して中間軸受9のラジアル荷重が固定部材16に負荷されても、固定部材16に曲げモーメントが作用しなくなって、固定部材16の負担を小さくすることができる。また、固定部材16の肉厚変更などでその剛性を加減することで、ポンプ1の固有振動数を調整し、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポンプ装置およびポンプ装置の固有振動数の調整方法に関するものである。
ポンプ装置の一例である立軸ポンプを図11に示す。この図において、立軸ポンプ1は、垂直方向の主軸2と、主軸2の下方に取りつけた羽根車3と、羽根車3を回転自在に収容した吸込みベル4と、吸込みベル4の上側に接続したボウル41と揚水管5と、揚水管5の上側に接続した短管42と吐出曲管6とを有し、吸込みベル4,ボウル41,揚水管5,短管および吐出曲管6によってケーシング7を構成して、羽根車3の回転により送出された水を吐出曲管6から吐出する。また、主軸2はボウル41内において羽根車3の上側近傍で下部軸受8により回転自在に軸支され、揚水管5内で少なくとも1つの中間軸受9により回転自在に軸支され、羽根車3下方近傍の下端部は吸込みベル4内においてボトム軸受43により回転自在に支持されるとともに、吐出曲管6の曲管部上部で上部軸受10により回転自在に軸支されており、下部軸受8は下部軸受支持部材11を介してボウル41に保持され、中間軸受9は中間軸受支持部材12を介してケーシング7内の所定位置に保持されている。
前記構成の立軸ポンプ1は、水槽W上部のコンクリート製の床13に貫設されているポンプ設置孔14を通し、かつ短管42と一体形成された山形の環状隆起部15aを備えた鋳物製の固定部材15を介して水槽Wに懸垂設置される。すなわち、揚水管5の上部に設けたフランジ5aと固定部材15の下部に設けたフランジ15bの間に中間軸受支持部材12の外端部を挟持した状態で、固定部材15の上部に設けたフランジ部15cをポンプ設置孔14周辺の床13に載置して固定した後に、吐出曲管6の下端近傍に設けたフランジ6aを固定部材15の上面に載置して固定することで、立軸ポンプ1を水槽Wに懸垂して設置している。
ところで立軸ポンプ1の中間軸受9のメンテナンスに際しては、吐出曲管6を取り外してのぞき込む形で中間軸受9をメンテナンスする必要がある。さらに中間軸受支持部材を含めてメンテナンスする場合にはケーシングすべてを引き上げる必要があった。また、立軸ポンプ1は、その口径や床下長さなどの仕様条件で決まる固有振動数と主軸2の回転によって生じる運転周波数が接近または一致すると、共振現象を生じて運転中の立軸ポンプ1の振動が大幅に増大する。そのため設計に際しては、共振を起さないように剛性を考慮しなければならないが、固有振動数の設計計算値が完成後の実際の固有振動数と一致しないことがある。現地に据付けた後に共振現象を生じた場合、従来は、床13または水槽Wの側壁(図示省略)とケーシング7の間に介在させたサポート材(図示省略)でケーシング7を支持して補強したり、あるいは、ケーシング7の適所に重錘(図示省略)を取りつけることなどによって固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避する手法が採用されていた。
しかし、前記の手法は、大掛かりな工事が必要であるために、多くの時間と労力および経費が費やされることになって経済的に不利な欠点を有している。
前記立軸ポンプ1の固有振動数は、固定部材15の剛性が大きく影響し、その剛性を高くすることで固有振動数が大きくなり、剛性を低くすることで固有振動数が小さくなる。したがって、固定部材15の肉厚を加減して剛性を調整することによって、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することが可能である。
ところが、固定部材15は、短管42と一体形成された山形の環状隆起部15aや上下部のフランジ15b,15cを備えた構造が複雑な鋳造品であるために、製作に手間がかかりコスト高を招く難点を有する。また、上フランジ15cから軸方向下向きの寸法Lを隔てた位置に下フランジ15bが設けられているので、下フランジ15bに中間軸受支持部材12を介して中間軸受9のラジアル荷重Fが負荷された場合に生じる曲げモーメント(F・L)が固定部材の取付部15d(実施例としてアンカーボルト)に作用する。このため、取付部15dの負担が大きくなり、取付部の取付強度(例えば取付にアンカーボルトを用いる場合、その本数など)が不足すると、劣化を早め耐久性を低下させる可能性がある。
一方、ポンプ支持部の剛性を調整することによって固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避するように構成した立軸ポンプが提案されている(たとえば、特許文献1)。
前記特許文献1に記載の立軸ポンプは、ポンプ本体側とポンプ支持部としての機能を有する剛体構造物との間に所定の剛性を有する固有振動調整部材を装着したものである。したがって、固有振動調整部材の形状あるいは装着数を変更してその剛性を加減することで、ポンプ本体の固有振動数を調整して、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避するようにしている。
ところが、前記特許文献1に記載の立軸ポンプは、部品点数が多く、構造が複雑であるばかりか、ポンプケーシング内に設けられている中間軸受(図示されていない)のメンテナンスに際しては、複数の固有振動調整部材とポンプ吐出管との接続および剛体構造物とポンプ台板との接続を解いた後に、ポンプ台板から剛体構造物を取り除き、つぎに、ポンプ吐出管とポンプ台板との接続を解いて、ポンプ台板からポンプ吐出管を取り除く煩雑な作業が必要な欠点を有している。
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的とするところは、部品点数の削減と製作の容易化を図って、製作コストを低減できる簡素化した構造で中間軸受のメンテナンスを容易に行うことができるとともに、中間軸受に作用するラジアル荷重によるポンプ固定部材取付部の負荷を軽減できるポンプ装置を提供することにある。また、さらに、簡素な構造でポンプ装置の固有振動数を調整して共振現象を回避できるポンプ装置およびポンプ装置の固有振動数の調整方法を提供することにある。
本第1発明のポンプ装置は、垂直方向の主軸と、主軸の下方に取りつけた羽根車と、羽根車の回転により送出された液体を吐出するためのケーシングを備えたポンプ装置であって、ケーシングの外周部でポンプの自重を支える支持構造物にポンプを取付けるための固定部材と、羽根車近傍で主軸をケーシング内の所定位置に保持する下部軸受と、下部軸受の上方で主軸をケーシング内の所定位置に保持する少なくとも1つの中間軸受を有し、前記少なくとも1つの中間軸受を支持するための中間軸受支持部材が前記固定部材の支持構造物への取付部と略同一平面上でケーシングに固定されていることを特徴とするものである。
これによれば、少なくとも1つの中間軸受を支持するための中間軸受支持部材が固定部材の取付部と略同一平面上でケーシングに固定されていることにより、中間軸受のメンテが容易になる。また、中間軸受支持部材を介して中間軸受のラジアル荷重が固定部材に負荷されても、固定部材には曲げモーメントがほとんど作用しないので、それだけ固定部材の取付部の負担が小さくなる。
本第2発明のポンプ装置は、前記ケーシングはフランジ部を有する複数の筒状体を上下方向に接続して形成され、前記固定部材は筒状体の少なくとも一つのフランジの外周に、ケーシングのフランジと一体的に形成されていることを特徴としている。これによれば固定部材を別部材として新たに設ける必要がなく簡素化した構造で、少なくとも1つの中間軸受を支持するための中間軸受支持部材が固定部材の取付部と略同一平面上でケーシングに固定されていることにより、中間軸受のメンテが容易になる。また、中間軸受支持部材を介して中間軸受のラジアル荷重が固定部材に負荷されても、固定部材には曲げモーメントがほとんど作用しないので、それだけ固定部材の取付部の負担が小さくなる。
本第3発明のポンプ装置は、前記固定部材は中央付近に穴部を有し、その周囲に板状部を備えた環状部材からなり、前記ケーシングは複数の筒体を上下方向に接続して構成されているとともに、上方の筒体と下方の筒体に設けた接続用フランジの間に固定部材の板状部を挟持したことを特徴としている。
これによれば、固定部材の構造を簡素化できるとともに、ケーシングを構成している上方の筒体と下方の筒体に設けた接続用フランジの間に固定部材の板状部を挟持しているので、上下双方の筒体は、それぞれの接続用フランジの間に固定部材の板状部を挟んで互いに接続された状態で支持構造物に固定されることになる。
本第4発明のポンプ装置は、固定部材と上方の筒体に設けた接続用フランジを上部締結部材で接続し、固定部材と下方の筒体に設けた接続用フランジを下部締結部材で接続したことを特徴としている。これによると、ポンプを支持構造物に固定した状態で、上部締結部材による固定部材と上方の筒体の接続用フランジとの接続を解除することにより、上方の筒体のみを簡単に取り除いて、下方の筒体を支持構造物に固定した状態を維持して、下方の筒体内で主軸を保持している少なくとも1つの中間軸受のメンテナンスを容易に行うことができる。
本第5発明のポンプ装置は、中間軸受支持部材を板状部の内側に配置してケーシングの外面に露出しないように構成することを特徴としている。これによると、中間軸受支持部材のシールが不要になるので、上下双方の筒体それぞれの接続用フランジと板状部の間のみをシールする簡単なシール構造によって、すぐれたシール性を確保できる。このため、止水管理がやりやすく信頼性を向上させることができる。
本第6発明のポンプ装置は、固定部材に、剛性調整部材を着脱するための剛性調整部材着脱手段を設けることを特徴としている。これによると、ポンプ装置の固有振動数の設計値が据付後の実際値と一致せず、したがって、ポンプ装置の据付後に共振現象が生じたとしても、据付現場で剛性調整部材着脱手段を用いて固定部材への剛性調整部材の装着数または装着する剛性調整部材の剛性を変更することにより、固定部材の剛性を加減してポンプ装置の固有振動数を調整し、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。また、剛性調整部材着脱手段が利用できることによって、剛性調整部材の装着数変更が容易であるばかりか、剛性調整部材を溶接により固定部材に直接装着する手法で懸念される固定部材の熱歪みを回避して、熱歪みによるポンプ装置のトラブル発生を抑制することができる。
本第7発明のポンプ装置の固有振動数の調整方法は、ポンプ装置を前記支持構造物に固定した状態で、前記剛性調整部材着脱手段を用いて剛性調整部材を取りつけて、ポンプ装置の固有振動数を大きくすることを特徴とするものである。
これによれば、ポンプ装置の固有振動数の設計値が据付後の実際値よりも小さく、このために、ポンプ装置の据付後に共振現象が生じたとしても、据付現場で剛性調整部材着脱手段を用いて固定部材に剛性調整部材を取りつけて、固定部材の剛性を高くすることで、ポンプ装置の固有振動数を大きくして、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。
また、本第8発明のポンプ装置の固有振動数の調整方法は、剛性調整部材着脱手段を用いて剛性調整部材を取りつけたポンプ装置を前記支持構造物に固定し、その後、剛性調整部材を取り外すことにより、ポンプ装置の固有振動数を小さくすることを特徴とするものである。
これによれば、予め、剛性調整部材を取りつけたポンプ装置の固有振動数の設計値が据付後の実際値よりも大きく、このために、ポンプ装置の据付後に共振現象が生じたとしても、据付現場で剛性調整部材の個数を選択して取り外すことにより、剛性調整部材の取り外し個数に応じて固定部材の剛性を低くすることで、ポンプ装置の固有振動数を小さくして、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。
本発明によれば、中間軸受のメンテナンス性を向上させるとともに、部品点数の削減と製作の容易化を図って製作コストを低減できる。また、中間軸受を支持するための中間軸受支持部材が固定部材の支持構造物への取付部と略同一平面上でケーシングに固定されていることにより、中間軸受支持部材を介して中間軸受のラジアル荷重が固定部材の支持構造物への取付部に負荷されても、固定部材に曲げモーメントがほとんど作用しなくなるので、それだけ固定部材の負担を小さくすることができる。また簡素な構造の固定部材の剛性を加減することで、ポンプ装置の固有振動数を調整して、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる
以下、本発明に係るポンプ装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るポンプ装置の実施形態である立軸ポンプの縦断面図である。なお、図11に示す従来の立軸ポンプと同一部分には、同一符号を付して重複する構造および作用の説明は省略する。
図1において、立軸ポンプ1は、ケーシング7の外周部に設けた固定部材16をポンプ荷重を支える支持構造物である床13に載置し、取付部16aで固定して水槽Wに懸垂設置される。
固定部材16は所定の肉厚で、中央付近に穴部を有する平坦な環状に形成された鋼板からなり、穴部の周辺に板状部16bを備えており、固定部材16を床13に載置し取付部16aの一形態である複数のアンカーボルト(図示省略)により着脱可能に固定されるとともに、揚水管5の上部に設けたフランジ5aと吐出曲管6の下部に設けたフランジ6aとで板状部16bを挟持し、後述するボルトによってこれらを接続することで、揚水管5と、固定部材16および吐出曲管6の三者が着脱可能に一体に締結されている。
すなわち、図2に示すように、固定部材16の板状部16bには、上面の内周端近傍に上向きの環状溝17を設け、この環状溝17よりも少し内周側に偏った位置の下面に段差面18を設けることで、段差面18に連続する下向きの挟持面19aを備えた薄肉部19が形成されている。また、環状溝17の外周側に複数の上向きの盲貫ネジ孔20aを円周方向等間隔で設け、段差面18の外周側に複数の下向きの盲貫ネジ孔20bを円周方向等間隔で、かつ前記上向きの盲貫ネジ孔20aに対して円周方向の位置を互いに齟齬させて設ける(なお、図2では、図示の便宜上、1つの下向きの盲貫ネジ孔20bを1つの上向きの盲貫ネジ孔20aに同心に対向して記載してある)。そして、揚水管5上部のフランジ5aに固定部材16の板状部16bを載置し、下側からフランジ5aに設けたボルト孔23を通して、ボルト24を下向きの盲貫ネジ孔20bにねじ込むことで、揚水管5に固定部材16が締結固定される。
揚水管5上部のフランジ5aの内周端部には、前記板状部16bに設けた段差面18と連続する段差面25と、下向きの面19aに対向する上向きの面25aとを設け、面25aには上向きの盲貫ネジ孔27を設けるとともに、段差面25の上端部を外周側に拡開した環状のテーパ面26を設けてある。また、中間軸受支持部材12の先端部接続部28は、断面形状が略T字状に形成され、上下にのびるフランジ28aと、フランジ28aの上下方向中央部から水平に突出する突出部28bを備え、突出部28bには上下方向に貫通するボルト孔29を設けてある。
したがって、中間軸受支持部材12の先端部接続部28の突出部28bの先端を揚水管5上部のフランジ5aに設けた段差面25に当接させて、突出部28bを上向きの面25aで支持した後、ボルト孔29の上側からボルト30を通して上向きの盲貫ネジ孔27にねじ込むことによって、揚水管5に中間軸受支持部材12の先端部接続部28が締結固定される。その後、突出部28bの先端および環状のテーパ面26で囲まれる空間に第1シールリング31を介在させ、揚水管5に固定部材16をボルト24で締結固定する。
つぎに、固定部材16の板状部16bの上面に吐出曲管6下部のフランジ6aを載置し、フランジ6aに設けたボルト孔21を通して、ボルト22を板状部16bの上向きの盲貫ネジ孔20aにねじ込むことで、吐出曲管6を板状部16bの上面に着脱可能に締結固定して、中間軸受支持部材12の先端接続部28を固定部材16の支持構造物である床面13への取付部16aと略同一平面上に位置させてケーシング7に固定する。これにより、中間軸受支持部材12を固定部材16における板状部16bの内側に配置してケーシング7の外面、つまり、本実施形態ではフランジ5a,6aの外面に露出しないように構成してある。このとき、吐出曲管6のフランジ6a下面と板状部16bに設けた上向き環状の溝17で囲まれる空間に第2シールリング32を介在させる。なお固定部材の板状部の外周は平板状でなくても良く、リブ等で補強してもよい。
図1,図2の立軸ポンプ1によれば、固定部材16の板状部16bと吐出曲管6のフランジ6aを上部締結部材であるボルト22によって接続し、板状部16bと揚水管5のフランジ5aを下部締結部材であるボルト24によって接続しているので、立軸ポンプ1を床13に固定した状態でボルト22の締結を解除することにより、吐出曲管6のみを取り除いて、揚水管5を床13に固定した状態を維持して、揚水管5内で主軸2を保持している中間軸受9のメンテナンスを容易に行うことができる。また、この実施例では中間軸受が、吐出曲管取り除き時の開口面側に位置していることから容易にそのメンテナンスができる。
図1,図2の立軸ポンプ1によれば、固定部材16の板状部16bと吐出曲管6のフランジ6aを上部締結部材であるボルト22によって接続し、板状部16bと揚水管5のフランジ5aを下部締結部材であるボルト24によって接続しているので、立軸ポンプ1を床13に固定した状態でボルト22の締結を解除することにより、吐出曲管6のみを取り除いて、揚水管5を床13に固定した状態を維持して、揚水管5内で主軸2を保持している中間軸受9のメンテナンスを容易に行うことができる。また、この実施例では中間軸受が、吐出曲管取り除き時の開口面側に位置していることから容易にそのメンテナンスができる。
また、中間軸受支持部材12の先端接続部28を固定部材16の取付部16aと略同一平面上に位置させてケーシング7に固定していることにより、中間軸受支持部材12を介して中間軸受9のラジアル荷重が固定部材16に負荷されても、固定部材16には曲げモーメントがほとんど作用しないので、それだけ固定部材の支持構造物への取付部16aを形成するアンカーボルトの負担が小さくなる。また、ケーシング7の外周部で立軸ポンプ1の支持構造物である床13に固定するための固定部材16の肉厚を変更すれば、その剛性を加減することによって、立軸ポンプ1の固有振動数を調整して、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。また固定部材16の上に別の板材を追加して6a,5a間にはさみ込むことでも剛性を加減することができる。
また、固定部材16は、固定部16aと板状部16bを備えて平坦な環状に形成された簡素な構造であるので、部品点数の削減と製作の容易化を図って製作コストを低減できる。
さらに、中間軸受支持部材12を固定部材16の板状部16bの内側に配置して、フランジ5a,6aに外面に露出しないように構成していることにより、中間軸受支持部材12のシールが不要になるので、第1シールリング31と第2シールリング32の2つのシール部材によって、揚水管5および吐出曲管6それぞれのフランジ5a,6aと板状部16aの間のみをシールする簡単なシール構造によって、すぐれたシール性を確保できる。このため、止水管理がやりやすく信頼性を向上させることができる。
なお、図2に示した構成に代えて、図3に示すように、中間軸受支持部材12を固定部材16の板状部16bの上面側に配置してフランジ5a,6aの外面に露出しないように構成してもよい。図3において、板状部16bには、上面の内周端近傍に段差面18を設けることで、段差面18に連続する上向きの面19aを備えた薄肉部19を形成し、下面の下向き盲貫ネジ孔20bより内周側に下向きの環状溝17を設けてある。第2シールリング32を板状部16bの下面と揚水管5のフランジ5aの上面の間に介在させ、揚水管5のフランジ5aに固定部材16をボルト24で固定した後に、先端接続部28の突出部28bを板状部16bの上向きの面19aに載置する。その後、ボルト孔29の上側からボルト30を通して下向きの盲貫ネジ孔27にねじ込むことによって、吐出曲管6に中間軸受支持部材12の先端部接続部28が着脱可能に締結固定される。そして、第1シールリング31をテーパ面26と突出部28bの先端の間に介在させ、吐出曲管6と固定部材16をボルト22で固定する。これによるとメンテナンスの際、吐出曲管6を取り除けばポンプを設置した状態のままでも中間軸受支持部材12を取りはずせるのでメンテナンス性が向上する。なお、環状溝17を揚水管5のフランジ5aの上面に設けて、第1シールリングを収納するようにしてもよい。
図4は本発明の第2実施形態を示し、揚水管5のフランジ5aを径外方向に延出して固定部材16を揚水管5のフランジ5aと一体的に形成している。そして、その部分を床13に載置してボルト(図示省略)により床13に固定している。このような構成であっても、図1〜図3で説明した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図5は本発明の第3実施形態を示し、中間軸受9と先端接続部28の位置を上下方向に変位させて、中間軸受9側から先端接続部28に向けて上向き、かつ径外方向にのびて湾曲した中間軸受支持部材12を備えている。このような構成であっても、固定部材16と上記先端接続部28とがケーシングに略同一面上に固定されていることから、メンテの際には中間軸受をのぞき込む形になるものの、中間軸受支持部材12ごと取り外すことで容易にメンテナンスできる。また、その他は図1〜図3で説明した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、図5において、図1〜図3で説明した第1実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複した説明は省略する。
この実施形態は中間軸受による主軸の支持位置(上下方向)を軸の撓み変形の防止などの力学的な観点から吐出曲管の下部フランジ面近傍から他の位置に変更したい場合に有効である。
この実施形態は中間軸受による主軸の支持位置(上下方向)を軸の撓み変形の防止などの力学的な観点から吐出曲管の下部フランジ面近傍から他の位置に変更したい場合に有効である。
また、図6に示すように、中間軸受支持部材12における先端部接続部28の断面形状を、上下にのびるフランジ28aのみで構成し、この先端部接続部28のフランジ28aを固定部材16の内面と揚水管5上端部の内面に当接させて、水平方向のボルト(図示省略)により固定部材16の内面と揚水管5上端部の内面に着脱可能に締結固定しても、図1〜図3で説明した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、図6において、図1〜図3で説明した第1実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複した説明は省略する。
さらに、図7に示すように、中間軸受支持部材12における先端部接続部28の断面形状を、上下にのびるフランジ28aのみで構成し、一方、固定部材16における板状部16bの内周端部に上下方向の段差面33と、この段差面33の下端に連続して水平、かつ径内方向にのびる支持面34を形成しておくことによって、先端部接続部28を段差面33に嵌め込んで支持面34で載置した後、水平方向ボルト(図示省略)により固定部材16の内面に着脱可能に締結固定しても、図1〜図3で説明した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、図7において、図1〜図3で説明した第1実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複した説明は省略する。
また、この実施形態において水平方向ボルトは必ずしも必要ではなく、ラジアル方向荷重がケーシング(固定部材を含む)に伝達されれば嵌め込むだけでもよい。
また、この実施形態において水平方向ボルトは必ずしも必要ではなく、ラジアル方向荷重がケーシング(固定部材を含む)に伝達されれば嵌め込むだけでもよい。
前記各実施形態では、固定部材16の肉厚を変更して(ただし、図4の第2実施形態では、揚水管5のフランジ5a(第2実施形態の変形例では吐出曲管6のフランジ6a)の肉厚を変更して)、その剛性を加減することによって、立軸ポンプ1の固有振動数を調整して、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができることを説明したが、後述するように、固定部材16に、剛性調整部材を着脱するための剛性調整部材着脱手段を設け、この剛性調整部材着脱手段を用いて、固定部材16への剛性調整部材の装着数または装着する剛性調整部材の剛性を変更することで、固定部材16の剛性を加減して、立軸ポンプ1の固有振動数を調整するように構成することができる。なお、図4の第2実施形態では揚水管5のフランジ5a(第2実施形態の変形例では吐出曲管6のフランジ6a)に、剛性調整部材を着脱するための剛性調整部材着脱手段を設け、この剛性調整部材着脱手段を用いて、揚水管5のフランジ5a(または吐出曲管6のフランジ6a)への剛性調整部材の装着数または装着する剛性調整部材の剛性を変更することで、揚水管5のフランジ5a(または吐出曲管6のフランジ6a)の剛性を加減し、立軸ポンプ1の固有振動数を調整するように構成してもよい。
すなわち、図8に示すように、固定部材16上面の内外周2つの円周R1,R2と複数の放射線Sとの交点に、上向きの盲貫ネジ孔35を設けるとともに、リブ状の剛性調整部材36を複数個用意しておき、このリブ状の剛性調整部材36を前記複数の放射線Sの中から選択した放射線S上に配置して、ベース部36a長さ方向の両端部に設けた一対のボルト孔(図示省略)を円周R1,R2上の上向きの盲貫ネジ孔35に対向させ、これら一対のボルト孔を通して盲貫ネジ孔35にボルト37をねじ込むようにすることで、盲貫ネジ孔35とボルト37とでリブ状の剛性調整部材36を着脱するための剛性調整部材着脱手段38を構成し、この剛性調整部材着脱手段38を用いて固定部材16へのリブ状の剛性調整部材36の装着数または装着する剛性調整部材の剛性を変更することにより、固定部材16の剛性を加減して、立軸ポンプ1の固有振動数を調整し、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。
このような構成であれば、立軸ポンプ1の固有振動数の設計値が据付後の実際値と一致せず、したがって、立軸ポンプ1の据付後に共振現象が生じたとしても、剛性調整部材着脱手段38を用いて固定部材16へのリブ状の剛性調整部材36の装着数または装着する剛性調整部材の剛性を変更することで、固定部材16の剛性を加減して立軸ポンプ1の固有振動数を調整できるので、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。また、盲貫ネジ孔35とボルト37とからなる剛性調整部材着脱手段38が利用できることによって、リブ状の剛性調整部材36の装着数変更等が容易であるばかりか、リブ状の剛性調整部材36を溶接により直接固定部材16に装着する場合に懸念される固定部材16の熱歪みを回避して、熱歪みによるポンプ装置のトラブル発生を抑制することができる。
また、前記のように、立軸ポンプ1を床13に懸垂固定した状態で、剛性調整部材着脱手段38を用いて固定部材16にリブ状の剛性調整部材36を取りつけて、ポンプ装置の固有振動数を大きくできることにより、仮に、立軸ポンプ1の固有振動数の設計値が据付後の実際値よりも小さく、このために、立軸ポンプ1の据付後に共振現象が生じたとしても、現地において剛性調整部材着脱手段38を用いて固定部材16にリブ状の剛性調整部材36を取りつけて、固定部材16の剛性を高くすることで、立軸ポンプ1の固有振動数を大きくして、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。なお、剛性調節部材はリブ状に限定されるものではなく平板状や、その他の任意の形状を選定できる。また、当該部材の取付に、フランジ取付用ボルト22と支持構造物に設けたアンカーボルトを利用してもよい。
剛性調整部材着脱手段38を用いて固定部材16にリブ状の剛性調整部材36を取りつけた立軸ポンプ1を床13に固定し、その後、剛性調整部材36を取り外すことにより、立軸ポンプ1の固有振動数を小さくできるので、予め、リブ状の剛性調整部材36を取りつけて床13に懸垂固定した立軸ポンプ1の固有振動数の設計値が据付後の実際値よりも大きく、このために、立軸ポンプ1の据付後に共振現象が生じたとしても、現地において剛性調整部材36の個数を選択して取り外すことによって、剛性調整部材36の取り外し個数に応じて固定部材16の剛性を低くすることで、立軸ポンプ1の固有振動数を小さくして、固有振動数を共振域からずらして共振現象を回避することができる。
なお、図8で説明した実施形態では、固定部材16に取りつけられるリブ状の剛性調整部材36の装着数または装着する剛性調整部材の剛性を調整することで固定部材16の剛性を加減し、立軸ポンプ1の固有振動数を調整するようにしているが、図9に示すように吐出曲管6の出口側のフランジ6bと固定部材16の上面とを板状の剛性調整部材36で適宜着脱可能に接続するとともに吐出曲管6に既設の吊り金具39と固定部材16の上面とを板状の剛性調整部材36で適宜着脱可能に接続してもよい。このとき剛性調整部材の下面は図8の実施例と同様に固定部材16の上面に取付ける。また、図10に示すように吐出曲管6に既設の吊り金具39直下の胴部外周にバンド40を巻き付け(バンド40は吊り金具39と吐出曲管6の出口側フランジ6bに着脱可能に適宜固定されている)、このバンド40と固定部材16の上面とを円周方向等間隔を隔てて配置した例えば4つの板状の剛性調整部材36で適宜着脱可能に接続することによって(ただし、図10には3つの板状の剛性調整部材36のみが示されている)、固定部材16の剛性加減を円周方向で均等に分布して、剛性の調整をより効果的に行うことができる。このようにすることで、ケーシングの強度も利用して、より効果的に固定部材の剛性を高めることができる。なお、図8,図9,図10において、図1〜図3で説明した第1実施形態と同一部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。なお剛性調整部材着脱手段として、ボルトを用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、溶接の熱歪みを回避して部材の着脱ができるのであれば、固定部材に溶接歪防止用の当て金を予め取り付けておき、その当て金に剛性調整部材を取付ける構成であってもよい。この場合、取外しはグラインダー等で接続部を切り離せばよい。
1 立軸ポンプ(ポンプ装置)
2 主軸
3 羽根車
5 揚水管(下方の筒体)
5a フランジ(接続用フランジ)
6 吐出曲管(上方の筒体)
6a フランジ(接続用フランジ)
7 ケーシング
8 下部軸受
9 中間軸受
10 上部軸受
11 下部軸受支持部材
12 中間軸受支持部材
13 床(支持構造物)
16 固定部材
16a 固定部
16b 板状部
22 ボルト(上部締結部材)
23 ボルト(下部締結部材)
36 リブ状または板状の剛性調整部材(剛性調整部材)
38 剛性調整部材着脱手段
43 ボトム軸受
2 主軸
3 羽根車
5 揚水管(下方の筒体)
5a フランジ(接続用フランジ)
6 吐出曲管(上方の筒体)
6a フランジ(接続用フランジ)
7 ケーシング
8 下部軸受
9 中間軸受
10 上部軸受
11 下部軸受支持部材
12 中間軸受支持部材
13 床(支持構造物)
16 固定部材
16a 固定部
16b 板状部
22 ボルト(上部締結部材)
23 ボルト(下部締結部材)
36 リブ状または板状の剛性調整部材(剛性調整部材)
38 剛性調整部材着脱手段
43 ボトム軸受
Claims (8)
- 垂直方向の主軸と、主軸の下方に取りつけた羽根車と、羽根車の回転により送出された液体を吐出するためのケーシングを備えたポンプ装置であって、
ケーシングの外周部でポンプの自重を支える支持構造物にポンプを取り付けるための固定部材と、羽根車近傍で主軸をケーシング内の所定位置に保持する下部軸受と、下部軸受の上方で主軸をケーシング内の所定位置に保持する少なくとも1つの中間軸受を有し、前記少なくとも1つの中間軸受を支持するための中間軸受支持部材が前記固定部材の支持構造物への取付部と略同一平面上でケーシングに固定されていることを特徴とするポンプ装置。 - 請求項1に記載のポンプ装置において、
前記ケーシングはフランジ部を有する複数の筒状体を上下方向に接続して形成され、前記固定部材は筒状体の少なくとも一つのフランジの外周に、ケーシングのフランジと一体的に形成されていることを特徴とするポンプ装置。 - 請求項1に記載のポンプ装置において、
前記固定部材は中央付近に穴部を有し、その周囲に板状部を備えた環状部材からなり、前記ケーシングは複数の筒体を上下方向に接続して構成されているとともに、上方の筒体と下方の筒体に設けた接続用フランジの間に固定部材の板状部を挟持したことを特徴とするポンプ装置。 - 請求項3に記載のポンプ装置において、
前記固定部材と上方の筒体に設けた接続用フランジを上部締結部材で接続し、固定部材と下方の筒体に設けた接続用フランジを下部締結部材で接続したことを特徴とするポンプ装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のポンプ装置において、
前記中間軸受支持部材を前記板状部の内側に配置してケーシングの外面に露出しないように構成したことを特徴とするポンプ装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のポンプ装置において、
前記固定部材に、剛性調整部材を着脱するための剛性調整部材着脱手段を設けたことを特徴とするポンプ装置。 - 請求項6に記載のポンプ装置の固有振動数の調整方法であって、
ポンプ装置を前記支持構造物に固定した状態で、前記剛性調整部材着脱手段を用いて剛性調整部材を取りつけて、ポンプ装置の固有振動数を大きくすることを特徴とするポンプ装置の固有振動数の調整方法。 - 請求項6に記載のポンプ装置の固有振動数の調整方法であって、
前記剛性調整部材着脱手段を用いて剛性調整部材を取りつけたポンプ装置を前記支持構造物に固定し、その後、剛性調整部材を取り外すことにより、ポンプ装置の固有振動数を小さくすることを特徴とするポンプ装置の固有振動数の調整方法。
Priority Applications (1)
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JP2005343686A JP2007146775A (ja) | 2005-11-29 | 2005-11-29 | ポンプ装置およびポンプ装置の固有振動数の調整方法 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-11-29 JP JP2005343686A patent/JP2007146775A/ja active Pending
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