JP2004324482A - 立軸ポンプ並びにその据付方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中間フロア(24)に据付けた中間ソールプレート(25)のレベル値を標準値より若干低く設定し、中間揚水管(8)のフランジ部(8a)を中間ソールプレート(25)に仮置きし、揚水管(5)を連結した上部揚水管(4)を上部フロア(2)に支架して、この揚水管(5)とポンプ下部(27)の中間揚水管(8)に連結した中間軸受支え(6)を螺着して、締付力により中間揚水管(8)のフランジ部(8a)を中間フロア(24)から僅かに浮き上がらせて、中間揚水管(8)の円環部(8b)に嵌着したシールリング(26)を、中間ソールプレート(25)の先端内周面に摺接させるもので、中間フロア(24)を利用したポンプラジアル方向の振動が抑制できる。中間フロア(24)に仮受けが可能となり、立軸斜流ポンプ(1)の組立てと分解が容易となる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、雨水、汚水等の排水用または取水用の立軸ポンプに関し、特に、揚水管の長い立軸ポンプとその据付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポンプ本体として剛性を越える長さの立軸ポンプについては、ポンプの形式を変更するか、あるいは、ポンプ井戸からサポートを取っていた。また、ニ床式排水ポンプ機場の最下段床部に配設したフランジに制振リングと、Oリングを嵌合して、制振作用と水密作用を発揮させる揚水管の中間部保持装置も、例えば、特許文献1に記載してあるように公知である。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−120597号公報(段落番号0016乃至段落番号0020、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポンプ井戸から立軸ポンプのサポートを取った装置にあっては、サポートの上方まで水位が上昇し、浸水の危険があった。また、中間部保持装置を設けた従来装置では、制振作用と水密作用が発揮されるものであるが、中間部保持装置の構造が複雑で、狭い空間でのシールリングなどの消耗品の交換が困難であり、立軸ポンプの設置と取り外しに大型クレーンが必要であった。そして、揚水管の立軸方向の寸法が長いためポンプ井戸への設置が困難であり、非常時の立軸ポンプの地上への引上げも困難であった。この発明は、立軸ポンプの据付と分解が容易で、防振とシールが可能となり、設置のためのクレーンも小型となる立軸ポンプとその据付方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨は、羽根車を止着して長尺に連結した主軸を、複数段に配設した揚水管に内設し、上端部の揚水管を上部フロアに支架してポンプ井戸等に設置する立軸ポンプにおいて、中間フロアに据付けた中間ソールプレートのレベル値を標準値より若干低く設定し、中間ソールプレートに摺接支持させる中間揚水管のフランジ部を中間フロアから僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプをポンプ井戸等に設置したもので、ポンプ全荷重、及び運転荷重が中間フロアに掛かることと比較して、ポンプ組立時の荷重しか中間フロアに掛かからないため、スラスト荷重も掛かることがなく、中間フロアの強度が小さくて良い。中間フロアの厚み寸法を押さえることが、建屋のコストダウンとなる。
【0006】
中間揚水管のフランジ部を中間フロアから僅かに浮き上がらせる手段が、中間揚水管のフランジ部を中間ソールプレートに仮置きし、揚水管を連結した上部揚水管を上部フロアに支架すると共に、この揚水管にポンプ下部の中間揚水管に連結した揚水管または中間軸受支えを螺着して、締付力により中間揚水管のフランジ部を中間フロアから僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプをポンプ井等に設置したもので、中間フロアに仮受けが可能なため、立軸ポンプの組立てが容易となり、オーバーホールのための分解も容易となる。立軸ポンプの構成部品を吊上げるクレーンも小型で済むものである。そして、揚水管のフランジ部に形成した円環部にシールリングを嵌着し、中間ソールプレートの先端内周面にシールリングを摺接させるもので、中間フロアを利用したポンプラジアル方向の振動が抑制できる。立軸ポンプの上部軸受が上部フロアにあるため、浸水の危険がなく、メンテナンスが容易となる。また、中間フロアに据付ける中間ソールプレートを二つ割りとすれば、上部フロアの開口からの吊り降ろしが容易となり、重量も軽減されて、中間フロアへの設置が簡単となる。
【0007】
立軸ポンプの据付方法が、ポンプ井戸等の中間フロアに据付けた中間ソールプレートのレベル値を標準値より若干低く設定し、ポンプ下部の中間揚水管のフランジ部を中間ソールプレートに仮置きして、中間揚水管の上端部に揚水管と主軸及び中間軸受支えを順次組み付けた後、揚水管を連結した上部揚水管を上部フロアに支架すると共に、ポンプ下部から立設した中間軸受支えと、上部揚水管から垂下した揚水管を螺着し、その締付力によりポンプ下部の上端部を中間フロアの中間ソールプレートから僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプをポンプ井等に設置するもので、立軸ポンプの設置後に中間フロアに荷重が掛かることがなく、シビアな寸法精度を必要としない。現実に発生するポンプ荷重および運転荷重による中間フロアが撓むことがなく、ポンプ破損の原因となることがない。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の実施例を図面に基づき詳述すると、まず、図1は立軸斜流ポンプの縦断面図であって、ポンプ井戸Aに立軸斜流ポンプ1が設置してある。ポンプ井戸Aの上部フロア2に上部ソールプレート3が設計値のレベルで据付けてあり、立軸斜流ポンプ1の上部揚水管4が上部ソールプレート3に支架してある。上部揚水管4の下端に、揚水管5、中間軸受支え6、揚水管7、中間揚水管8、揚水管9、下部軸受支え10、及び下部揚水管11が順次連結されて、縦軸方向に長い揚水管を形成している。立軸斜流ポンプ1の内部には、複数本の主軸12、13、14と下部主軸15が複数の中間軸継手16、17、18を介して連結してある。立軸斜流ポンプ1の下部には、吸込ベル19に配設した羽根車20が下部主軸15の下端に止着してある。吸込ベル19の上部に連結した吐出ボール21に複数枚の案内羽根22…が配設してある。上部揚水管4の上端に吐出しエルボ23が連結してある。なお、ポンプ井戸Aに設置する立軸斜流ポンプ1は立軸軸流ポンプであってもよいものである。
【0009】
図1に示すように、ポンプ井戸Aに配設した中間フロア24に中間ソールプレート25が据付けてある。この実施例では、中間ソールプレート25は設計値のレベルよりも5mm低く設置してあるが、このレベル値は適宜変更できるものである。図2は中間揚水管8と中間ソールプレート25の拡大図であって、中間揚水管8の上端部に外周方向に突出させたフランジ部8aが形成してあり、ポンプ井戸Aに設置した立軸斜流ポンプ1は上部揚水管4に支架されて、中間揚水管8のフランジ部8aの底面と中間ソールプレート25の上面の間に5mmの間隙ができている。中間フロア24に荷重とスラスト荷重が掛かることがない。中間揚水管8のフランジ部8aは中間ソールプレート25に載置して、中間揚水管8を中間フロア24に吊設できるようにしてある。
【0010】
図2に示すように、中間揚水管8のフランジ部8aの下側に円環部8bが突設してあり、円環部8bの周面溝にシールリング26が嵌入してある。中間揚水管8の円環部8bが中間ソールプレート25の内周面に挿入しており、シールリング26を中間ソールプレート25に摺接してある。中間フロア24には荷重が掛からず、シールリング26が振動を吸収して、中間フロア24を利用したポンプラジアル方向の振動が抑制できる。そして、シールリング26の水封作用により、ポンプ井戸Aの浸水が防止され、ポンプの上部フロア2の上部軸受けなどの浸水の危険がなく、メンテナンス性が向上する。
【0011】
次ぎに、立軸斜流ポンプ1の据付方法を説明する。図3は中間フロア24に仮置した立軸斜流ポンプ1のポンプ下部の縦断面図であって、ポンプ井戸Aの地上部で、羽根車20と案内羽根22を配設した吸込ベル19と吐出ボール21等を組立て、順次、下部揚水管11、下部軸受支え10、揚水管9を連結し、更に、上方の主軸14を内接した中間揚水管9まで連結し、立軸斜流ポンプ1のポンプ下部27を組み立てる。このポンプ下部27を、図4に示すクレーン28で吊上げて、中間揚水管8のフランジ部8aを中間フロア24に据付けた中間ソールプレート25に載置して、ポンプ下部27を中間ソールプレート25に仮置する。
【0012】
図4は上部揚水管7を吊下ろす状態を示す縦断面図であって、中間ソールプレート25に仮置したポンプ下部27の中間揚水管8から突設した主軸14に、中間軸継手17を介して主軸13を連結して立設する。中間揚水管8の上部に揚水管7をクレーン28で吊下ろし、その上部に中間軸受支え6を連結して、同時に垂設した主軸13を軸支する。次ぎに、主軸13に中間軸継手16を介して主軸12を連結し、上部フロア2から突出させる。中間フロア24に仮受けが可能なため、立軸斜流ポンプ1の組立てが容易となり、オーバーホールのための分解も容易となる。立軸斜流ポンプ1の構成部品を吊上げるクレーン28も小型で済むものである。ポンプ井戸Aの地上部で上部揚水管4と揚水管5を連結して、図5に示すように、クレーン28でポンプ井戸Aの上部フロア2に吊下ろす。 図6(イ)に示すように、上部揚水管4に連結して垂下した揚水管5と、ポンプ下部27から立設した中間軸受支え8の間には5mmの隙間ができており、揚水管5と中間軸受支え6をボルトとナットで仮止めする。この時、図6(ロ)に示すように、ポンプ下部27から順次連結して立設した中間揚水管8のフランジ部8aと中間ソールプレート25の間隙は0mmである。
【0013】
図5に示す状態で、上部フロア2の上部ソールプレート3に載置した上部揚水管4をボルト固定して、立軸斜流ポンプ1を上部フロア2に据付ける。次ぎに、図7(イ)に示すように、仮止めしてある上部揚水管4に連結した揚水管5と中間軸受支え6を締付けて、その間隙をなくすると、図7(ロ)に示すように、締結力により、ポンプ下部27が吊上げられ、ポンプ下部27に連結してある中間揚水管8のフランジ部8aと中間フロア24に据付けた中間ソールプレート25の間に5mmの間隙が形成され、中間フロア24にはポンプ荷重が掛からなくなる。立軸斜流ポンプ1の組立時の荷重しか中間フロア24に掛からないため、スラスト荷重も掛かることがなく、中間フロア24の強度が小さくて良い。中間フロア24の厚み寸法を押さえることが、建屋のコストダウンとなる。吐出しエルボ23を上部揚水管4に取付けて、吐出しエルボ23から突出させた主軸12に軸受箱部30を組立て、カップリング29の上面を確認して、立軸斜流ポンプ1の据付が完了する。立軸斜流ポンプ1の設置後に中間フロア24に荷重が掛かることがなく、中間フロア24のシビアな寸法精度を必要としない。現実に発生するポンプ荷重および運転荷重による中間フロア24が撓むことがなく、ポンプ破損の原因となることがない。
【0014】
【発明の効果】
この発明は上記のように構成してあり、立軸ポンプの据付と分解が容易で、防振とシールが可能となり、設置のためのクレーンも小型となるものである。即ち、従来の立軸方向の寸法が長い立軸ポンプにあっては、中間部保持装置の構造が複雑となり、ポンプ井戸への設置が困難で、非常時の立軸ポンプの地上への引上げも困難であった。そして、立軸ポンプの設置と取り外しに大型クレーンが必要であった。この発明にあっては、中間フロアに据付けた中間ソールプレートのレベル値を標準値より若干低く設定し、中間ソールプレートに摺接支持させる中間揚水管のフランジ部を中間フロアから僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプをポンプ井等に設置したので、ポンプ組立時の荷重しか中間フロアに掛からないため、スラスト荷重も掛かることがなく、中間フロアの強度が小さくて良く、建屋のコストダウンとなる。中間フロアに仮受けが可能なため、立軸ポンプの組立てが容易となり、オーバーホールのための分解も容易となる。立軸ポンプの構成部品を吊上げるクレーンも小型で済むものである。そして、中間フロアを利用して、揚水管のフランジ部の円環部に嵌着したシールリングがポンプラジアル方向の振動を抑制する。また、中間ソールプレートを二つ割りとすれば、上部フロアの開口からの吊り降ろしが容易となり、重量も軽減されて、中間フロアへの設置が簡単となる。
【0015】
立軸ポンプの据付方法が、ポンプ井戸等の中間フロアに据付けた中間ソールプレートのレベル値を標準値より若干低く設定し、ポンプ下部の中間揚水管のフランジ部を中間ソールプレートに仮置きして、中間揚水管の上端部に揚水管と主軸及び中間軸受支えを順次組み付けた後、揚水管を連結した上部揚水管を上部フロアに支架すると共に、ポンプ下部から立設した中間軸受支えと上部揚水管から垂下した揚水管を螺着して、締付力によりポンプ下部の上端部を中間フロアの中間ソールプレートから僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプをポンプ井等に設置するもので、設置後に中間フロアに荷重が掛かることがなく、シビアな寸法精度を必要としない。発生するポンプ荷重および運転荷重による中間フロアが撓むことがなく、ポンプ破損の原因となることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るポンプ井戸Aに設置した立軸斜流ポンプの縦断面図である。
【図2】同じく、中間ソールプレートに仮置きする中間揚水管の拡大図である。
【図3】同じく、中間フロアに仮置きしたポンプ下部の縦断面図である。
【図4】同じく、仮置したポンプ下部に揚水管などの組付けて、上部揚水管を吊下げる状態を示す縦断面図である。
【図5】同じく、中間フロアに仮置したポンプ下部と上部フロアに支架した上部揚水管の組立て状況を示す縦断面図である。
【図6】(イ)は、図5の、ポンプ下部から立設した中間軸受支えと、上部揚水管から垂下した揚水管の螺着前の隙間状態を示す要部拡大図である。
(ロ)は、図5の、中間フロアに仮置した中間揚水管の仮置き状態を示す要部拡大図である。
【図7】(イ)は、図5の、ポンプ下部から立設した中間軸受支えと、上部揚水管から垂下した揚水管の螺着して締付けた状態を示す要部拡大図である。
(ロ)は、図5の、螺着して吊上げられたポンプ下部の中間揚水管の隙間状態を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1 立軸斜流ポンプ
2 上部フロア
4 上部揚水管
5、7、9 揚水管
6 中間軸受支え
8 中間揚水管
8a フランジ部
8b 円環部
11 下部揚水管
12、13、14、15 主軸
20 羽根車
24 中間フロア
25 中間ソールプレート
26 シールリング
27 ポンプ下部
A ポンプ井戸
Claims (5)
- 羽根車(20)を止着して長尺に連結した主軸(12、13、14、15)を、複数段に配設した揚水管(4、5、7、8、9、11)に内設し、上端部の揚水管(4)を上部フロア(2)に支架してポンプ井戸(A)等に設置する立軸ポンプ(1)において、中間フロア(24)に据付けた中間ソールプレート(25)のレベル値を標準値より若干低く設定し、中間ソールプレート(25)に摺接支持させる中間揚水管(8)のフランジ部(8a)を中間フロア(24)から僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプ(1)をポンプ井戸(A)等に設置することを特徴とする立軸ポンプ。
- 上記中間揚水管(8)のフランジ部(8a)を中間ソールプレート(25)に仮置きし、揚水管(5)を連結した上部揚水管(4)を上部フロア(2)に支架すると共に、この揚水管(5)にポンプ下部(27)の中間揚水管(8)に連結した揚水管(7)または中間軸受支え(6)を螺着して、締付力により中間揚水管(8)のフランジ部(8a)を中間フロア(24)から僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプ(1)をポンプ井(A)等に設置することを特徴とする請求項1に記載の立軸ポンプ。
- 上記中間揚水管(8)のフランジ部(8a)に形成した円環部(8b)にシールリング(26)を嵌着し、中間ソールプレート(25)の先端内周面にシールリング(26)を摺接させることを特徴とする請求項2に記載の立軸ポンプ。
- 上記中間フロア(24)に据付ける中間ソールプレート(25)を二つ割りとしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の立軸ポンプ。
- ポンプ井戸(A)等の中間フロア(24)に据付けた中間ソールプレート(25)のレベル値を標準値より若干低く設定し、ポンプ下部(27)の中間揚水管(8)のフランジ部(8a)を中間ソールプレート(25)に仮置きして、中間揚水管(8)の上端部に揚水管(7)と主軸(12、13)及び中間軸受支え(6)を順次組み付けた後、揚水管(5)を連結した上部揚水管(4)を上部フロア(2)に支架すると共に、ポンプ下部(27)から立設した中間軸受支え(6)と、上部揚水管(4)から垂下した揚水管(5)を螺着し、その締付力によりポンプ下部(27)の上端部を中間フロア(24)の中間ソールプレート(25)から僅かに浮き上がらせて、立軸ポンプ(1)をポンプ井(A)等に設置することを特徴とする立軸ポンプの据付方法。
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-
2003
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