JP5946580B1 - インピーダンス整合装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】可変リアクトルのインダクタンス変化の応答遅れを低減することによって、インピーダンス整合の応答遅れを低減する。【解決手段】コアに巻回された主巻線と制御巻線を有した可変リアクトルを備えるインピーダンス整合装置において、コアの発生磁界を、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との偏差を整定するに要する磁界を越える大きさを有する交流磁界とし、可変リアクトルの制御巻線に流す制御電流の電流値を変化させて発生磁界の磁界の大きさを変えることによって、可変リアクトルのインダクタンスを所定のインダクタンスに制御させ、これによってインピーダンス整合を行う。【選択図】図1

Description

本願発明は、高周波供給側のインピーダンスと負荷側のインピーダンスを整合させるインピーダンス整合装置に関する。
高周波電源等の高周波供給側から負荷側に高周波電力を供給する際、高周波供給部と負荷との間に両側のインピーダンスを整合させるインピーダンス整合装置を設けることによって、高周波電力の供給効率を高めることができる。
半導体製造装置が製造する製品の微細化に伴って、例えば、プラズマが励起してから安定するまで高速に応答し短時間で収束するといった、プラズマの負荷変動に対する高い安定性が求められている。プラズマへの電力供給を安定させてプラズマ変動を抑制するには、インピーダンス整合(マッチング)を高速で可能とするインピーダンス整合装置が必要とされている。
一般的なインピーダンス整合装置は、真空可変コンデンサをモータ駆動する機械的な整合動作を行うため、インピーダンス整合が完了するまで数秒の時間を要する場合がある。このような機械的なインピーダンス整合装置に代えて、機械的要素を含まない電子的なインピーダンス整合装置が提案されている。電子的インピーダンス整合装置は電子マッチャーと称される(引用文献1参照)。
この電子的なインピーダンス整合装置は可変リアクトルによって構成することができる。可変リアクトルは、メイン巻線(主巻線)と共に制御巻線をフェライトコアに巻回し、制御巻線の電流を降圧チョッパ回路によって電子的に可変させてインダクタンスを変えることによってインピーダンスを可変とする。この可変リアクトルによれば、機械的可動部を用いることなく、制御巻線の電流を制御することでインピーダンスを変えることができるため、高速化及びメンテナンスフリーを図ることができるというメリットを有している。
図14は従来の電子的インピーダンス整合装置に用いる可変リアクトルの構成例を説明するための図であり、図14(a)は可変リアクトルの回路例を示し、図14(b)は可変リアクトルのEIコアによる構造例を示している。
可変リアクトル102は、フェライトコア102cに制御巻線102aとメイン巻線(主巻線)102b(102b1,102b2)の二種類の巻線で構成されている。制御巻線102aはフェライトコア102cの中央部に巻回され直流電流が流れる。メイン巻線102bはフェライトコア102cの両サイドに各々巻回され、インピーダンス整合装置に接続されている高周波電源(RF電源)から例えば13.56MHz の高周波電流が供給される。
可変リアクトル102では、このように制御巻線の両側にメイン巻線を巻回する結線とすることによって、メイン巻線102b1とメイン巻線102b2により発生する磁界をフェライトコア102cの中央部では互いに打消し、これにより、メイン巻線102b1,102b2により発生する高周波電圧は制御巻線102a側に誘起されない構成としている。
可変リアクトルのインダクタンスLは、
L=(μ・S/l)・N …(1)
μ=B/H …(2)
で決定される。
ここで、μは透磁率、Sはコアの断面積、Nはメイン巻線の巻き数、lは磁路長、Bは磁束密度、Hは磁界である。式(1),(2)はインダクタンスLは透磁率μに比例し、透磁率μは磁界Hに反比例することを表している。
可変リアクトルに使用するフェライトコアは非線形なヒステリシス特性を有しており、透磁率μは式(2)からB−Hカーブ上の傾きで表される。
式(1),(2)、磁界Hが小さければ透磁率μは大きくなり、インダクタンスLは大きくなることを示している。また、フェライトコアに発生する磁界Hの大きさは制御巻線に流れる直流電流に比例する。従って、電子的インピーダンス整合装置では、制御巻線に流す直流電流Idcを制御することによって発生する磁界Hの大きさを変化させ、この磁界Hの大きさの変化によって可変リアクトルのインダクタンスLを可変としている。
B−Hカーブ上には、制御巻線に流れる直流電流による直流磁界の他に、メイン巻線に流れる高周波電流による交流磁界が発生する。しかしながら、可変リアクトルにおいて、直流電流によって発生する直流磁界の範囲内において交流磁束密度と直流磁束密度とを比較すると、交流磁束密度は直流磁束密度の10%以下であり、可変リアクトルの磁束密度はほぼ直流磁束密度に依存するとみなすことができる。そのため、透磁率μは直流磁界と直流磁束とによるB−Hカーブ上の動作点で定まるとみなすことができ、インダクタンスは、直流の制御電流を制御して磁界を変化させ、この磁界変化によって透磁率を変化させることによって可変とすることができる。
図14(c)は可変リアクトルを用いたインピーダンス整合装置の概略構成を示している。ここでは、入力出力端子間に並列接続した可変リアクトル102Aによってインピーダンスの絶対値を変え、入力出力端子間に直列接続した可変リアクトル102Bによってインピーダンスの位相分を変える。インピーダンス制御回路101は、各可変リアクトルのインダクタンスを変化させることによって、入力端側のインピーダンスと出力端側のインピーダンスを整合している。
特開2000−165175号
可変リアクトルの制御巻線に直流の制御電流を流してインダクタンスを変化させることによってインピーダンス整合を行うインピーダンス整合装置では、可変リアクトルに制御電流を印加してから所定のインダクタンスとなるまでのインダクタンス変化に時間的な遅れがあり、このインダクタンス変化の遅れはインピーダンス整合の応答性に影響を与えるという問題がある。
本願発明の発明者は、可変リアクトルのインダクタンス変化に遅れが生じる要因として以下の要因1及び要因2があることを見いだした。図15は、可変リアクトルのインダクタンス変化に応答遅れが生じる要因1及び要因2を説明するための図である。
要因1:要因の一つとして、制御巻線に制御電流を印加することによって生じるインダクタンス変化の遅れ特性に起因するインダクタンス変化の遅れがあることを見いだした。
制御巻線に制御電流を印加した際、制御巻線のインダクタンスLは遅れ特性を有して変化する。そのインダクタンスLは、式(3)で表されるように一次遅れ時定数τを持つ遅れ特性とみなすことができ、この遅れ特性によってインダクタンス変化に応答遅れが生じる。
である。
図15(a)は遅れ特性による応答遅れを説明するための図である。図15(a)において、インダクタンスL(t)は時間tと共に時定数τでLからLに向かって変化する。インダクタンスL(t)は、破線で示される所定値Lに至るまでに遅れ特性によって時間Tを要する。
一例として、制御電流を0Aから−10Aにステップ変化させた場合には、L=500nH、L=250nHであり、t=τ及びt=4τのインダクタンスLはそれぞれ以下の式(4),(5)で表される。
L(t=τ)=0.368(L−L)+L
=0.368×250+250=342nH …(4)
L(t=4τ)=0.0183(L−L)+L
=0.0183×250+250=255nH …(5)
上記した例に示すように、制御電流の印加した後、その制御電流で定まるインダクタンスLに至るまでには遅れ特性によって時間を要する。
要因2:他の要因として、フェライトコアのヒステリシス特性による残留磁束に起因するインダクタンス変化の遅れがあることを見いだした。
フェライトコアは、ヒステリシス特性によって、磁界印加による磁化状態から磁界を零にしても磁束を保持し、残留磁束が生じるという特性を有している。図15(b)は残留磁束を説明するための図である。
制御巻線に直流電流を印加して磁化状態とした後、制御巻線に印加する直流電流を0にした場合に、磁界が零であるにも係わらず、ヒステリシス特性によって磁束密度BはBとならず残留磁束Bが残る。なお、図中のBは磁束密度Bが零を表している。
この残留磁束Bは時間の経過と共に徐々に減少し、経過時間ΔTの後に磁束密度Bに戻る。残留磁束Bが磁束密度Bに戻る経過時間ΔTの間は、磁束密度Bは残留磁束Bに依存した値となる。そのため、B−Hカーブ上において残留磁束Bに対応する磁界よりも小さな磁界Hが印加された場合には、印加した磁界Hに対応した磁束密度Bとならない場合が生じる。したがって、インダクタンスを、磁束密度Bを印加した磁界Hに対応した値とするには、残留磁束Bが磁束密度Bに戻るまでの経過時間ΔTを待つ必要がある。
したがって、インダクタンスLは、前記したように、B−Hカーブ上において磁束密度Bと磁界Hで定まる透磁率μに比例するため、磁束密度Bの変化に遅れが生じることによってインダクタンス変化に応答遅れが生じる。
図15(c)は残留磁束によるインダクタンス変化の応答遅れを説明するための図である。残留磁束Bがある場合の残留磁束Lは時間経過と共に、残留磁束が消失したときのインダクタンスLに向かって変化する。図15(c)中の一点鎖線はこの変化を模式的に示している。なお、図示する変化は時間変化の概略傾向を示すものであって、実際の変化を表すものではない。また、残留磁束Bが解消してインダクタンスLに至るまでに要する時間ΔTは、フェライトコアの磁気特性に因る。
したがって、インピーダンス整合装置は、可変リアクトルのインダクタンス変化の応答遅れによって、インピーダンス整合に応答遅れが生じるという問題がある。
本発明は前記した従来の問題点を解決し、可変リアクトルのインダクタンス変化の応答遅れを低減することによって、インピーダンス整合の応答遅れを低減することを目的とする。
本願発明は、高周波供給側と負荷側のインピーダンスを整合するインピーダンス整合装置であり、可変リアクトルのインダクタンス変化によってインピーダンスを変えることによってインピーダンス整合を行う。
可変リアクトルはコアに巻回された主巻線と制御巻線を備える。可変リアクトルのコアに発生する磁界は、制御巻線に流れる制御電流を変えることにより変化させることができる。発生磁界によって可変リアクトルのインダクタンスは変化するため、制御巻線に流す制御電流の電流値を変化させて発生磁界の磁界の大きさを変えることによって、可変リアクトルのインダクタンスを所定のインダクタンスに制御し、これによってインピーダンス整合を行うことができる。
(i)本願発明のインピーダンス整合装置において、可変リアクトルに印加する発生磁界の大きさを、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との偏差を整定するに要する磁界を越える大きさとすることによって、要因1で示したインダクタンス変化の遅れ特性に起因するインピーダンス整合の応答遅れを低減する。
本願発明は、上記した発生磁界HとインダクタンスLの応答変化との関係を用いて、発生磁界を大きくすることによって、インダクタンスの応答変化を速め、インダクタンス変化の遅れ特性に起因するインダクタンス変化の遅れを低減する。
制御電流Iを印加することによって発生する発生磁界Hは式(6)で表される。
H=N・I/l …(6)
Nは制御巻線の巻数、lは磁路長である。
式(6)は、可変リアクトルの発生磁界Hの大きさは、制御巻線の巻数Nと制御電流の電流値Iの積N・Iで定まることを示している。このことから、制御巻線の巻数と制御電流の電流値の何れか一方、又は制御巻線の巻数と制御電流の電流値の両方を増加させることによって、可変リアクトルの発生磁界を大きくし、インダクタンス変化の応答遅れの低減を促進させることができる。
(ii)本願発明のインピーダンス整合装置において、可変リアクトルの発生磁界を交流磁界とし、発生磁界の振幅を正負の両極性で振動させることによって、要因2に示したフェライトコアのヒステリシス特性による残留磁束に起因するインダクタンス変化の遅れを低減する。
コアに発生させる発生磁界を交流磁界とすることによって、B−Hカーブ上の動作点を残留磁束が低減する方向に移動させることができる。交流磁界による残留磁束の低減は、磁界を印加しない場合の経時変化時による低減と比較して速くすることができる。そのため、交流磁界を印加することによって、残留磁束が消失するまでに要する時間を短縮させることができる。この残留磁束の消失時間の短縮によって、可変リアクトルのインダクタンス変化の応答遅れを低減し、インピーダンス整合の応答遅れを低減することができる。
本願発明のインピーダンス整合装置は、発生磁界の磁界の大きさによってインダクタンスの大きさを変えてインピーダンス整合を行う構成として、コアに巻回された主巻線と制御巻線を備え、制御巻線に流れる制御電流による発生磁界の変化によりインダクタンスを可変とする可変リアクトルと、制御巻線に印加する制御電流を形成する制御電流形成部とを備える。
制御電流形成部は、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との偏差分を整定する制御整定値に収束する偏差信号を演算する演算部と、演算部の制御量である交流信号の正負に基づいて定まる電流方向と、交流信号の振幅増幅に基づいて定まる電流振幅を有する制御電流を発生する制御電流発生部とを備える。制御電流は可変リアクトルの制御巻線に印加され、可変リアクトルのインダクタンスを変化させ、インピーダンス整合を行う。
なお、ここで、制御整定値は、偏差を制御する制御動作によって、変動後に落ち着く制御値であり、本願発明の演算部の制御整定値は、差分に基づく制御によって、偏差分を整定して得られる値である。
演算部は、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との偏差分を制御する制御量を演算する。制御量の振幅は正負方向に振動した後、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値の偏差分を整定する制御整定値に収束する。制御電流発生部が発生する制御電流は、制御量の振幅に基づいて電流振幅が変化し、制御量の極性に基づいて電流方向が切り換わる。
演算部による演算において、交流信号の振幅を増幅する。振幅増幅した交流信号による制御整定値は増幅を行わない制御整合値よりも大きくなる。制御電流発生部において、この振幅増幅した交流信号を用いることによって制御電流の振幅を大きくすることができ、可変リアクトルのインダクタンス変化の応答遅れを低減することができる。
(演算部)
本願発明の演算部は、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との差分を増幅した偏差分に基づいて制御量を演算するメジャーループを構成する第1の演算回路と、第1の演算回路より出力された制御量と制御電流のフィードバック値との差分に基づいて、制御量の振幅を増幅した制御電流指令を出力するマイナーループを構成する第2の演算回路により構成することができる。第1の演算回路と第2の演算回路は2重のループ制御を構成する。
第1の演算回路の第1の形態は、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との差分の比例積分制御による比例積分信号を制御量として出力する比例積分制御回路で構成することができる。比例積分制御回路は、伝達関数のパラメータを出力が振動信号となるように設定することで制御量を交流信号にすることができる。これによって、比例積分制御回路の演算で得られる比例積分信号は、正負方向で振幅変動しながら比例積分制御の制御値に向かって漸近し収束する。比例積分制御回路はオペアンプで構成することができ、この場合にはオペアンプの構成要素の値を設定することによって交流信号とすることができる。
また、第1の演算回路の第2の形態は、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との差分を積分制御して積分信号を制御量として出力する積分制御回路で構成することができる。
また、第2の演算回路の第1の形態は、第1の演算回路の制御量と制御電流のフィードバック値との差分を比例積分制御して比例積分信号を前記制御電流指令として出力する比例積分制御回路で構成することができる。また、第2の演算回路の第2の形態は、第1の演算回路の制御量と制御電流のフィードバック値との差分を積分制御して積分信号を制御電流指令として出力する積分制御回路で構成することができる。
本願発明のインピーダンス整合装置の演算部は、第1の演算回路と第2の演算回路の各形態を組み合わせた構成とすることができ、第1の演算回路を第1の形態とし第2の演算回路を第1の形態とする第1の構成、第1の演算回路を第1の形態とし第2の演算回路を第2の形態とする第2の構成、第1の演算回路を第2の形態とし第2の演算回路を第1の形態とする第3の構成、第1の演算回路を第2の形態とし第2の演算回路を第2の形態とする第4の構成の4通りの構成とすることができる。
比例積分制御回路及び積分制御回路は、伝達関数のパラメータを出力が振動信号となるように設定することで制御量を交流信号にすることができる。これによって、比例積分制御回路の演算で得られる比例積分信号は、正負方向で振幅変動しながら比例積分制御の制御値に向かって漸近し収束し、積分制御回路の演算で得られる積分信号は、正負方向で振幅変動しながら積分制御の制御値に向かって漸近し収束する。比例積分制御回路及び積分回路はオペアンプで構成することができ、オペアンプの構成要素の値を設定することによって交流信号とすることができる。
制御量の振幅増幅は、第1の演算回路又は第2の演算回路の何れか一方の演算回路で行う他、第1の演算回路と第2の演算回路の両方の演算回路で行っても良い。
(制御電流発生部)
本願発明の制御電流発生部は、演算回路から出力される制御量の極性に基づいて制御巻線に印加する制御電流の電流方向を切り換え、演算回路から出力される出力信号の振幅に基づいて制御巻線に印加する制御電流の振幅を制御する。
制御電流発生部は、4つのスイッチング素子のフルブリッジ構成とするチョッパ回路で構成することができる。
チョッパ回路は、フルブリッジ構成される4つのスイッチング素子の内、正端及び負端に接続される2つのスイッチング素子において、一方の端部に接続される2つのスイッチング素子は制御巻線に印加する制御電流の振幅を制御し、他方の端部に接続される2つのスイッチング素子は制御巻線に印加する制御電流の方向を制御する。
制御巻線に印加する制御電流の振幅制御は、正端及び負端の何れか一方の極性側に接続される2つスイッチング素子の内、何れか一方のスイッチング素子の開閉動作を制御電流指令の振幅に基づいてパルス幅制御し、他方のスイッチング素子はオフ状態とする。制御電流の電流値は、一方のスイッチング素子の開閉動作のデューティー比によって制御することができる。
制御巻線に印加する制御電流の電流方向の切り換えは、正端及び負端の他方の極性側に接続される2つスイッチング素子を制御量の極性に基づいて交互に切り換えて動作させることで制御する。2つスイッチング素子は、オン状態とオフ状態とが互いに相補的であり、交互に切り換えることによって電流方向を切り換えることができる。
以上説明したように、本願発明によれば、可変リアクトルのインダクタンス変化の応答遅れを低減することによって、インピーダンス整合の応答遅れを低減することができる。
本願発明のインピーダンス整合装置の概略構成を説明するための図である。 本願発明のインピーダンス整合装置の作用を説明するための図である。 本願発明のインピーダンス整合装置の作用を説明するための図である。 本願発明の制御電流形成部の構成例を説明するための図である。 本願発明の演算部の構成例を説明するための図である。 本願発明の制御電流発生部のチョッパ回路の構成及び動作を説明するための図である。 本願発明の制御電流発生部のチョッパ回路の構成及び動作を説明するための図である。 本願発明の制御電流の一例を説明するための図である。 本願発明の第1の演算回路の実施値を説明するための図である。 本願発明のインピーダンス整合装置によるインピーダンス整合の一例を説明するための図である。 本願発明のインピーダンス整合装置の可変リアクトルの構成を説明するための図である。 本願発明のインピーダンス整合装置の可変リアクトルの構成を説明するための図である。 本願発明の可変リアクトルの配置を説明するための図である。 従来の電子的インピーダンス整合装置に用いる可変リアクトルの構成例を説明するための図である。 可変リアクトルのインダクタンス変化に応答遅れが生じる要因1及び要因2を説明するための図である。
本願発明のインピーダンス整合装置について図1〜図13を用いて説明する。
以下、図1を用いて本願発明のインピーダンス整合装置の概略構成を説明し、図2−3を用いて本願発明の作用を説明し、図4を用いて本願発明の制御電流形成部の構成例を説明し、図5を用いて本願発明の演算部の構成例を説明し、図6−7を用いて本願発明の制御電流発生部のチョッパ回路の構成及び動作を説明し、図8を用いて制御電流の一例を説明し、図9を用いて本願発明の第1の演算回路の実施値を説明し、図10を用いて本願発明のインピーダンス整合装置によるインピーダンス整合の一例を説明する。図11−12は本願発明のインピーダンス整合装置の可変リアクトルの構成を説明するための図であり、図13は本願発明の可変リアクトルの配置を説明するための図である。
(本願発明のインピーダンス整合装置の構成)
図1は本願発明のインピーダンス整合装置の概略構成を説明するための図である。図1の構成は、高周波電源20と負荷30との間にインピーダンス整合装置10を接続する構成例を示している。なお、以下では、高周波供給部として高周波電源を用いて説明する。
インピーダンス整合装置10は、例えば、負荷30側のインピーダンス変化に対して、インピーダンス整合装置10を入力側からみたときのインピーダンスが高周波電源20のインピーダンスと整合するようにインピーダンス整合を行う。インピーダンスが不整合である場合には、インピーダンス整合装置10から高周波電源20に戻る反射電力が発生し、負荷30への電力の供給効率が低下する。高周波電源20と負荷30との間のインピーダンスを整合することによって、反射電力は低減し、これにより高周波電源20から負荷30への電力の供給効率が向上する。
例えば、負荷が半導体製造装置や液晶パネル製造装置のようにプラズマ負荷の場合には、プラズマの着火時の他、装置構造や設置状態、負荷に印加される高周波電力によって内部で発生する温度上昇等の物理的変化、負荷装置内で発生するガス等の化学的変化等によってインピーダンスが変動する。
このように、負荷側のインピーダンスが変動した場合には、高周波電源と負荷との間でインピーダンスに不整合が発生し、高周波電源から供給された高周波電力の一部は負荷で反射されて高周波電源側に戻り、負荷に供給される電力が低下するといった問題が発生する。
本願のインピーダンス整合装置10は、高周波電源20と負荷30とを接続する結合回路を可変リアクトル4を用いて構成し、可変リアクトル4のインダクタンスを変化させることによってインピーダンスを変化させ、高周波電源20のインピーダンスと負荷30インピーダンスとを整合する。
図1は、可変リアクトル4Aと可変リアクトル4Bを直並列接続した結合回路を用いたインピーダンス整合装置の例を示している。なお、可変リアクトルの配置は、図1に示した配置例に限らず、後に説明する図13に示す配置としてもよい。
可変リアクトル4A,4Bは、図14に示したように、制御電流を流す制御巻線と、高周波電流を流す主巻線(メイン巻線)とによって構成され、制御巻線に流す制御電流によって発生する磁界を変化させ、インダクタンスを可変とする。図1において、直列接続された可変リアクトル4Aはインダクタンスを可変とすることによって位相φを可変とし、並列接続された可変リアクトル4Bはインダクタンスを可変とすることによってインピーダンスZを可変とする。なお、ここでインピーダンスZはインピーダンスの絶対値を表している。
インピーダンス整合装置10は、可変リアクトル4A,4Bの制御巻線に印加する制御電流を形成する制御電流形成部1を備える。制御電流形成部1は演算部2と制御電流発生部3とを備える。
演算部2は、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値とを入力し、制御目標値とフィードバック値の差分を増幅した偏差分に基づいて、偏差分を整定する制御量を演算する。演算部2の制御量は、振幅が正負の両極で振動しながら、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との差分を増幅した偏差分を整定する制御整定値に収束する交流信号である。ここで、フィードバック値はインピーダンスの整合状態を表す値でありインピーダンス整合装置を入力側からみたときのインピーダンスの絶対値や位相の検出データをフィードバック値として用いることができ、例えば、電圧定在波比(VSWR)によって表すことができる。図1では、演算部2は、図示しない制御装置から制御目標値を入力し、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)センサー5で検出した電圧定在波比をフィードバック値として入力している。
制御電流発生部3は、演算部2で演算して得られる制御量に基づいて可変リアクトル4A,4Bの制御巻線に印加する制御電流を発生する。制御電流の電流方向は制御量の正負の極性に応じて切り換えられ、制御電流の電流振幅は制御量の振幅に基づいて振幅増幅される。
演算部2と制御電流発生部3は、可変リアクトル4Aの制御電流を形成する制御系と可変リアクトル4Bの制御電流を形成する制御系の2つの制御系統をそれぞれ備える。
図1中に示す可変リアクトル4Aの制御電流を形成する制御系は、インピーダンス整合に係る位相φを制御する制御系であり、第1の演算部2Aと第1の制御電流発生部3Aとを備える。第1の演算部2Aは、第1の制御目標値として位相制御目標値φREFを入力し、VSWRセンサー5で検出した位相フィードバック値φFBを入力する。なお、ここでは、位相制御目標値を位相制御目標値φREFで表し、位相フィードバック値を位相フィードバック値φFBで表す。
また、図1中に示す可変リアクトル4Bの制御電流を形成する制御系は、インピーダンスの絶対値を制御する制御系であり、第2の演算部2Bと第2の制御電流発生部3Bとを備える。第2の演算部2Bは、第2の制御目標値としてインピーダンスの絶対値の制御目標値ZREFを入力し、VSWRセンサー5で検出したインピーダンスの絶対値のフィードバック値ZFBを入力する。なお、ここでは、インピーダンスの絶対値の制御目標値をインピーダンス制御目標値ZREFで表し、インピーダンスの絶対値のフィードバック値をインピーダンスフィードバック値ZFBで表す。
インピーダンス整合装置10は、高周波電源20と負荷30との間のインピーダンスの整合状態をVSWRセンサー5で検出した電圧定在波比に基づいて、位相フィードバック値φFB、及びインピーダンスのフィードバック値ZFBを求め、これらのフィードバック値を制御目標値と共に演算部2に入力して制御量IREFを演算し、制御電流発生部3は制御量IREFに基づいて可変リアクトル4の制御巻線に印加する制御電流を発生する。可変リアクトル4は、制御電流に基づいてインダクタンスを変えることによってインピーダンスを変えてインピーダンス整合を行う。
第1の演算部2Aは、位相制御目標値φREFと位相フィードバック値φFBから位相の制御量IφREFを演算する。第1の制御電流発生部3Aは位相制御量IφREFに基づいて可変リアクトル4Aの制御巻線に印加する制御電流を発生する。可変リアクトル4Aは、制御電流に基づくインダクタンスの変化によって位相を調整する。
第2の演算部2Bは、インピーダンスの制御目標値ZREFとインピーダンスのフィードバック値ZFBから制御量IREFを演算する。第2の制御電流発生部3Bは制御量IREFに基づいて可変リアクトル4Bの制御巻線に印加する制御電流を発生する。可変リアクトル4Bは、制御電流に基づくインダクタンスの変化によってインピーダンスの絶対値を調整する。
本願発明のインピーダンス整合装置は、演算部2で生成する制御量を交流信号とすることによって、可変リアクトルの遅れ特性によって生じるインダクタンス変化の応答遅れを低減し、制御電流発生部3で発生する制御電流の振幅を制御系で求められる制御値の振幅を越えた大きさに増幅することによって、可変リアクトルの残留磁束によって生じるインダクタンス変化の応答遅れを低減する。
(本願発明のインピーダンス整合装置の作用)
次に、本願発明のインピーダンス整合装置において、可変リアクトルのインダクタンス変化の応答遅れを低減する作用について図2,3を用いて説明する。図2は応答遅れ時間の低減を説明するための図であり、図3は本願発明の制御量によるインダクタンス変化の応答遅れ時間の低減作用を説明するための図である。
・遅れ特性に起因する応答遅れ時間の低減作用:
図2(a)は制御巻線の制御電流及び発生磁界と、インダクタンス変化の応答時間との関係を説明するための概略図である。
可変リアクトルのインダクタンスL、発生磁界H、透磁率μ、及び制御巻線の制御電流Iとの間は前記した式(1),(2)の関係で表され、インダクタンスLは透磁率μに比例し、透磁率μは磁界Hに反比例し、インダクタンスLは磁界H及び制御電流Iに反比例する関係にある。
また、インダクタンスLは、式(3)で表されるように一次遅れ時定数τを持つ遅れ特性とみなすことができるため、制御電流を大きくする程インダクタンスLの値は小さくなり、所定のインダクタンス値に達するまでに要する応答時間は短くなる。なお、インダクタンスLは制御電流を印加した後、十分な時間が経過した後の整定時のインダクタンス値を表している。
図2(a)は、整定時におけるインダクタンスLとインダクタンス変化の応答時間tの関係を示している。整定時のインダクタンスLは、発生磁界Hが大きい程小さくなる。整定時のインダクタンスL∞2は、整定時のインダクタンスL∞1よりも発生磁界Hが大きい場合を示している。
このインダクタンス変化において、破線で示す所定のインダクタンスLの大きさに達する時間を比較すると、整定時のインダクタンスがL∞1の場合の時間はtであるのに対して、整定時のインダクタンスがL∞2(<L∞1)は、時間tより短い時間t(<t)である。
したがって、可変リアクトルの発生磁界Hを大きくする程、インダクタンス変化の応答時間を縮めることができる。なお、発生磁界Hは制御電流I及び制御巻線の巻数Nとの間には式(6)で表される比例関係にあるため、制御電流I及び/又は巻数Nを大きくすることによってインダクタンス変化の応答時間を短縮することができる。
・残留磁束に起因する応答遅れ時間の低減作用:
図2(b),(c)は残留磁束の低減を説明するための概略図である。
可変リアクトルに使用するフェライトコアは非線形なヒステリシス特性を有しており、磁界が消失した後に残留磁束が残る。図2(b)はヒステリシス特性を示し、図2(c)は残留磁束の低減する状態を示している。
図2(b)に示すヒステリシス特性において、LはB−Hカーブ上の残留磁束によるインダクタンスを示している。残留磁束は時間の経過と共に磁束密度Bが0となる方向に向かって(図中の符号2)徐々に低減し、インダクタンスはLからインダクタンスLに変化する。なお、Lは残留磁束消去したときのインダクタンスを表している。図2(c)中の一点鎖線(図中の符号2)は、残留磁束の時間経過によって低減する状態を示している。
一方、フェライトコアに対して負方向の磁界を印加すると、残留磁束はB−Hカーブに沿って磁束密度Bが0となる方向(図中の符号1)に変化し、磁界を解消した後に磁束密度B及び磁界Hが共に0の移動点に変化し、B−Hカーブで定まるインダクタンスLとなる。図2(c)中の実線(図中の符号1)は、負方向の磁界による残留磁束の低減状態を示している。
所定のインダクタンス(図2(c)中の細い破線で示すインダクタンス)に至る時間を比較すると、磁界を印加しない場合に所定インダクタンスとなるのに要する経過時間はtであるのに対して、負方向の磁界を印加した場合に所定インダクタンスとなるのに要する経過時間はt(<t)である。
したがって、可変リアクトルの負方向の磁界を印加することによって、インダクタンス変化の応答時間を短縮することができる。なお、ここでは、負方向の磁界を印加しているが、残留磁束の動作点が存在するB−Hカーブ上の位置によっては、正方向磁界の印加によって残留磁束を低減し、インダクタンス変化の応答時間を短縮する。
(交流磁界による応答遅れ時間の低減)
本願発明のインピ−ダンス整合装置は、交流磁界を印加すると共に、その交流磁界の大きさを、インピーダンス整合装置の入力側のインピーダンス目標値とインピーダンス検出値との偏差を制御する発生磁界を越える大きさとする。この交流磁界を用いてインダクタンスを変化させることによって、上記した遅れ特性に起因する応答遅れ時間の低減、及び残留磁束に起因する応答遅れ時間の低減を行う。
図3は交流磁界による応答遅れ時間の低減を説明するための図である。図3(a)は制御量IREFの信号の概略を示している。制御量IREFは、前記したように、インピーダンス整合装置の入力側のインピーダンス目標値とインピーダンス検出値との偏差を制御する制御量である。本願発明のインピーダンス整合装置に用いる制御量IREFは、振幅が正負で振動しながら、インピーダンス整合装置の入力側のインピーダンス目標値とインピーダンス検出値との偏差を制御する制御整定値IREFに収束する交流信号である。
図3(a)において、制御量IREFは、正負の両極間で振動しながら、制御整定値IREFに収束する。図中の丸数字で示す1から4は交流信号のピークを示し、5は制御整定値IREFを示している。なお、この交流信号の波形は一例であって、この波形に限られるものではない。
・遅れ特性に起因する応答遅れ時間の低減:
図3(b)は、制御電流Iconを印加した場合のインダクタンス変化状態を示している。制御電流Iconは、可変リアクトルの制御巻線に印加する電流であり、制御量IREFに基づいて得られる。なお、図3(b)において制御電流Iconに丸数字で示した1〜5は、図3(a)の制御量の丸数字と対応している。
制御電流Iconは制御量IREFと同様に交流であり、振幅は正負の両極間で振動しながら、制御整定値IREFに対応する電流値に収束する交流電流である。
可変リアクトルのインダクタンスLは、制御電流Iconの丸数字の1で示される電流値が印加されることによって、この電流値で整定されるインダクタンスL∞2に向かって変化する。この整定時のインダクタンスL∞2は、信号増幅されずに求められる制御量IREFに対応して制御電流で整定されるインダクタンスL∞1よりも小さくなる。これによって、図2(a)で示したインダクタンス変化と同様に、インダクタンス変化の応答時間は短縮される。
(本願発明の制御電流形成部)
本願発明の制御電流形成部の構成例について図4,5を用いて説明する。
本願発明の制御電流形成部1は演算部2と制御電流発生部3とを備え、演算部2は制御量IREF及び制御電流指令Icomを演算し、制御電流発生部3は演算部2の演算結果に基づいて制御電流Iconを発生して可変リアクトル4の制御巻線4aに印加する。可変リアクトル4は、制御電流Iconにより制御巻線4aのインダクタンスを変化させることによってインピーダンス整合を行う。
演算部2は第1の演算回路2aと第2の演算回路2bとの直列接続によって構成され、本願発明のインダクタンス変化の応答時間短縮の作用において、第1の演算回路2aによって可変リアクトルの残留磁束に起因する応答遅れ時間、及び可変リアクトルのインダクタンスの遅れ特性に起因する応答遅れ時間を低減する。
第1の演算回路2aは、インピーダンス整合の制御目標である制御目標値と、インピーダンスの整合対象から検出したフィードバック信号とを入力し、制御目標値とフィードバック信号との偏差分を整定して差分を解消する制御量IREFを演算する。第1の演算回路2aが演算する制御量IREFは、振幅が正負の両極間で振動しながら、演算の整定値である整定制御値IREFに漸近して収束する交流信号である。
第2の演算回路2bは、第1の演算回路2aの出力信号である制御量IREFと、制御電流フィードバック信号IFBとを入力し、これらの入力信号の差分を演算し、差分を整定する信号を制御電流指令Icomとして出力する。第2の演算回路2bはマイナーループを構成し、第1の演算回路2aはインピーダンス整合のメジャーループを構成している。マイナーループの応答速度は、メジャーループの応答速度よりも高速であり、例えば6倍程度の高速で応答する。このマイナーループとメジャーループの2重ループ制御によって、マイナーループにおいて制御電流指令Icomを制御量IREFに応じた出力に制御する演算処理を繰り返しながら、メジャーループにおいてフィードバック値(ZFE、φFE)がインピーダンス整合の制御目標値(ZREF、IREF)に応じた値に制御する演算処理を行う。
演算部2は増幅した交流信号を出力する。交流信号の増幅は、第2の演算回路2bで行う他、第1の演算回路2a、あるいは第1の演算回路2aと第2の演算回路2bの両演算回路で行っても良い。
制御電流発生部3による制御電流Iconの発生において、制御電流Iconの振幅は演算部2からの制御電流指令Icomに基づいて制御される。制御電流指令Icomは演算部2において増幅されるため、制御電流指令Icomに基づいて形成される制御電流Iconは定常電流の定格値を越える場合があるが、本願発明の演算部が出力する制御量IREF及び制御電流指令Icomは交流信号であって、素子を破壊するに至らない短時間内で振幅は整定制御量に向かって漸近するため、過剰な定常電流による素子破壊を避けることができる。
瞬時電流による素子破壊を避ける場合には、第1の演算回路2aの制御量IREFの増幅率又は振幅、第2の演算回路2bの制御電流指令Icomの増幅率又は振幅に上限を定めることで対応することができる。
第1の演算回路2aによるメジャーループの制御は、比例積分制御(PI制御)によって行う他、積分制御(I制御)によって行うことができる。また、第2の演算回路2bによるマイナーループの制御についても、比例積分制御(PI制御)又は積分制御(I制御)で行うことができ、第1の演算回路2a及び第2の演算回路2bは、それぞれ比例積分制御と積分制御の組み合わせからなる4通り構成とすることができる。
図5を用いてメジャーループ及びマイナーループの第1の構成例〜第4の構成例について制御する。
第1の構成例:
図5(a)に示す第1の構成例は、第1の演算回路2aのメジャーループを比例積分制御(PI制御)で行い、第2の演算回路2bのマイナーループを比例積分制御(PI制御)で行う例を示している。
第1の演算回路2aを比例積分制御回路(PI制御回路)で構成し、演算素子の値を出力の振幅が振動すると共に振幅を増幅させる値に設定する。この構成例では、比例積分制御(PI制御)を行うことによって制御量の増幅と交流信号化とを行っている。
第2の演算回路2bのマイナーループは、比例積分制御(PI制御)によって信号増幅を行い、第1の演算回路2aの制御量IREFを制御電流指令Icomとして出力する。
第2の構成例:
図5(b)に示す第2の構成例は、第1の演算回路2aのメジャーループを比例積分制御(PI制御)で行い、第2の演算回路2bのマイナーループを積分制御(I制御)で行う例を示している。
第1の演算回路2aを比例積分制御回路(PI制御回路)で構成し、演算素子の値を出力の振幅が振動すると共に振幅を増幅させる値に設定する。この構成例では、比例積分制御(PI制御)を行うことによって制御量の増幅と交流信号化とを行っている。
第2の演算回路2bのマイナーループは、積分制御(I制御)によって信号増幅を行い、第1の演算回路2aの制御量IREFを制御電流指令Icomとして出力する。
第3の構成例:
図5(c)に示す第3の構成例は、第1の演算回路2aのメジャーループを積分制御(I制御)で行い、第2の演算回路2bのマイナーループを比例積分制御(PI制御)で行う例を示している。
第1の演算回路2aを積分制御回路(I制御回路)で構成し、演算素子の値を出力の振幅が振動すると共に振幅を増幅させる値に設定する。この構成例では、積分制御(I制御)を行うことによって制御量の増幅と交流信号化とを行っている。
第2の演算回路2bのマイナーループは、比例積分制御(PI制御)によって信号増幅を行い、第1の演算回路2aの制御量IREFを制御電流指令Icomとして出力する。
第4の構成例:
図5(d)に示す第3の構成例は、第1の演算回路2aのメジャーループを積分制御(I制御)で行い、第2の演算回路2bのマイナーループを積分制御(I制御)で行う例を示している。
第1の演算回路2aを積分制御回路(I制御回路)で構成し、演算素子の値を出力の振幅が振動すると共に振幅を増幅させる値に設定する。この構成例では、積分制御(I制御)を行うことによって制御量の増幅と交流信号化とを行っている。
第2の演算回路2bのマイナーループは、積分制御(I制御)によって信号増幅を行い、第1の演算回路2aの制御量IREFを制御電流指令Icomとして出力する。
(本願発明の制御電流発生部)
制御電流発生部3は、降圧チョッパ回路3a、比較回路3b、三角波信号発生回路3c、及び比較回路3dを備える。
比較回路3bは、演算部2の制御電流指令Icomをゲート信号として入力し、三角波信号発生回路3cで発生した三角波と比較してデューティーパルス信号を出力する。降圧チョッパ回路3aは、直流電圧をデューティーパルス信号で開閉させることによって制御電流を形成する。降圧チョッパ回路3aは、例えば、4つのスイッチング素子をフルブリッジ構成とした回路とすることができる。
降圧チョッパ回路3aは、制御量IREFの正負の極性に基づいて制御電流Iconの電流方向を切り換え、可変リアクトル4の制御巻線4aに流れる制御電流Iconの方向を切り換える。比較回路3dは、制御量IREFの正負の符号信号を出力する回路であり、例えば、
制御量IREFと接地電圧とを比較する回路構成とすることができる。降圧チョッパ回路3aは、比較回路3dの出力に基づいて制御電流Iconの電流方向を切り換える。符合信号を形成する構成は比較回路3dに限られるものではなく、また演算部2側に設ける構成としてもよい。
(降圧チョッパ回路の動作例)
図6〜8を用いて降圧チョッパ回路3aの動作例について説明する。図6は降圧チョッパ回路3aを4つのスイッチング素子をフルブリッジで構成したときの動作例を示し、図7はスイッチング素子を駆動する入力信号例を示し、図8は降圧チョッパ回路の短絡を避けるための制御電流の不感帯を示している。
図6(a)は降圧チョッパ回路3aの構成例であり、4つのスイッチング素子Q1〜Q4をフルブリッジ構成としている。スイッチング素子Q1、Q3の各一端は直流電源の正端子側に接続され、スイッチング素子Q2、Q4の各一端は直流電源の負端子側に接続され、スイッチング素子Q1の他端とスイッチング素子Q2の他端は接続され、スイッチング素子Q3の他端とスイッチング素子Q4の他端は接続される。さらに、スイッチング素子Q1の他端とスイッチング素子Q4の他端の間に制御巻線4aが接続される。
図6(a)では、スイッチング素子Q1の他端と制御巻線4aの一端との間、及びスイッチング素子Q4の他端と制御巻線4aの他端端との間にインダクタンスL1及びインダクタンスL2が接続され、定電流制御の降圧チョッパ回路を構成しているが、インダクタンスは制御巻線4aの両端に接続する構成に限らず、何れか一方の端部に接続する構成としてもよく、制御巻線4a自体が備えるインダクタンスを利用することによってインダクタンスの接続を省略することもできる。また、制御巻線4aにコンデンサを並列接続することによって定電圧制御の降圧チョッパ回路3aとしてもよい。
図6(b),(c)は降圧チョッパ回路3aにおいて制御巻線4aに正の直流電流を出力する動作を示し、図6(c)は図6(b)の直流電流によって発生した残留磁束をオフセットする動作を示している。また、図6(d),(e)は降圧チョッパ回路3aにおいて制御巻線4aに負の直流電流を出力する動作を示し、図6(e)は図6(d)の直流電流によって発生した残留磁束をオフセットする動作を示している。なお、ここでは、図に示す制御巻線4aにおいて下方に流れる電流を正方向とし、上方に流れる電流を負方向としている。
なお、この動作例では、降圧チョッパ回路3aの下アーム側のスイッチング素子Q2、Q4のオン/オフ状態の切り換えによって制御電流の電流方向を切り換え、降圧チョッパ回路3aの上アーム側のスイッチング素子Q1,Q3をパルス幅制御することによって制御電流の電流量を制御しているが、降圧チョッパ回路3aの上アーム側のスイッチング素子Q1、Q3のオン/オフ状態の切り換えによって制御電流の電流方向を切り換え、降圧チョッパ回路3aの下アーム側のスイッチング素子Q2,Q4をパルス幅制御することによって制御電流の電流量を制御してもよい。
(正方向電流)
図6(b)は制御巻線4aに正方向の電流を出力する状態を示している。フルブリッジの上側のスイッチング素子Q1を制御電流指令Icomによってパルス幅制御し、スイッチング素子Q3をオフ状態とする。一方、フルブリッジの下側のスイッチング素子Q2をオフ状態とし、スイッチング素子Q4をオン状態とする。このスイッチング素子の動作によって、直流電源からは図中の矢印を付した実線で示す方向に直流電流Idcが流れ、制御巻線4aには図中において下方方向の直流電流Idcが流れる。
(正方向電流時のオフセット動作)
図6(b)の動作の後に直流電流Idcを零電流にしても、可変リアクトルのコアには残留磁束が残るため、オフセット動作によってこの残留磁束を打ち消す。
制御量の交流信号が正側から負側への切り替わりに同期して、スイッチング素子の動作を切り換えて残留磁束を打ち消すオフセット動作を行う。
オフセット動作では、図6(c)で示す様に、フルブリッジの下側のスイッチング素子Q2、Q4のオン/オフ状態を切り換えて、スイッチング素子Q2をオン状態とし、スイッチング素子Q4をオフ状態として直流電流Idcの方向を反転させると共に、フルブリッジの上側のスイッチング素子Q3を制御電流指令Icomによってパルス幅制御し、スイッチング素子Q1をオフ状態とする。
このスイッチング素子の動作によって、制御巻線4aに流れる直流電流Idcの電流方向が反転し、直流電源からは図中の矢印を付した実線で示す方向に直流電流Idcが流れ、制御巻線4aには図中において上方方向の直流電流Idcが流れ、残留磁束をオフセットする。
(負方向電流)
負方向に直流電流を流す動作、及びその後のオフセット動作は、前記した正方向電流の動作を入れ替えた動作に相当する。
図6(d)は制御巻線4aに負方向の電流を出力する状態を示している。フルブリッジの上側のスイッチング素子Q3を制御電流指令Icomによってパルス幅制御し、スイッチング素子Q1をオフ状態とする。一方、フルブリッジの下側のスイッチング素子Q2をオン状態とし、スイッチング素子Q4をオフ状態とする。このスイッチング素子の動作によって、直流電源からは図中の矢印を付した実線で示す方向に直流電流Idcが流れ、制御巻線4aには図中において上方方向の直流電流Idcが流れる。
(負方向電流時のオフセット動作)
図6(e)の動作の後に直流電流Idcを零電流にしても、可変リアクトルのコアには残留磁束が残る。このときに発生する残留磁束は、正方向電流時の残留磁束と逆方向となる。オフセット動作によってこの残留磁束を打ち消す。
制御量の交流信号が負側から正側への切り替わりに同期して、スイッチング素子の動作を切り換えて残留磁束を打ち消すオフセット動作を行う。
オフセット動作では、図6(e)で示す様に、フルブリッジの下側のスイッチング素子Q2、Q4のオン/オフ状態を切り換えて、スイッチング素子Q2をオフ状態とし、スイッチング素子Q4をオン状態として直流電流Idcの方向を反転させると共に、フルブリッジの上側のスイッチング素子Q1を制御電流指令Icomによってパルス幅制御し、スイッチング素子Q3をオフ状態とする。
このスイッチング素子の動作によって、制御巻線4aに流れる直流電流Idcの電流方向が反転し、直流電源からは図中の矢印を付した実線で示す方向に直流電流Idcが流れ、制御巻線4aには図中において下方方向の直流電流Idcが流れ、残留磁束をオフセットする。
図7は、スイッチング素子Q2,Q4の入力信号と制御量の正負との関係を示している。図7(a)は制御量IREFの一例を示し、図7(b)はスイッチング素子Q4の入力信号を示し、図(c)はスイッチング素子Q2の入力信号を示している。
制御量IREFが正であるとき、スイッチング素子Q4の入力信号をオンとし、スイッチング素子Q2の入力信号をオフとする。この入力信号によって、制御巻線に対して正方向の電流を出力する。
これに対して、制御量IREFが負であるとき、スイッチング素子Q4の入力信号をオフとし、スイッチング素子Q2の入力信号をオンとする。この入力信号によって、制御巻線に対して負方向の電流を出力する。
上記電流において、制御量IREFの正負が反転した後に出力される制御電流は、反転前の制御電流によって発生した残留磁束をオフセットする電流として動作する。
次に、降圧チョッパ回路の短絡について説明する。
降圧チョッパ回路3aのスイッチング素子の動作において、制御電流の電流方向を切り換える際に、スイッチング素子の入力信号のジッタ等が生じた場合には、直流電源に対して直列接続されるスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2、及びスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4間において両スイッチング素子が共にオン状態となるおそれがあり、このような場合には直列接続されたスイッチング素子間が短絡することになり、素子破壊が発生するおそれがある。
このようなスイッチング素子間の短絡を避けるために、制御量IREFが正負で切り替わる零を含む範囲において、全てのスイッチング素子をオフ状態に設定する不感帯を設ける。
図8では、制御量IREFが−1Aと0Aとの間の制御電流Idcを0Aとする不感帯を設ける例を示している。
この不感帯を設けることによって、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2、及びスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4が同時にオン状態となることを避けることができる。なお、不感帯の設定箇所は図8に示す範囲に限らず、制御量IREFが零となる点を含む所定幅で設定することができる。
(本願発明のインピーダンス整合装置の測定例)
次に、本願発明のインピーダンス整合装置の測定例について説明する。
・インダクタンス変化の応答時間
図9はインダクタンス変化の応答時間の測定例の比較を示している。ここでは、巻数が16ターンの制御巻線に対して制御電流を0Aから−10Aにステップ変化させたときのインダクタンス値の応答変化を例1として示し、巻数が32ターンの制御巻線に対して制御電流を0Aから−20Aにステップ変化させたときのインダクタンス値の応答変化を例2として示している。
式(6)に示したように、発生磁界Hは制御電流の大きさIと制御巻線の巻数Nとの積に比例するため、例2の発生磁界は例1の発生磁界と比較して4倍となる。
図9は、初期のインダクタンスが500[nH]からインダクタンスが342[nH]に変化する場合について、例1によるインダクタンス変化と例2によるインダクタンス変化とを比較している。この比較によれば、例1の発生磁界によってインダクタンスが342[nH]に至るまでに時間は18msecであるのに対して、例2の発生磁界によってインダクタンスが342[nH]に至るまでに時間は3msecとなり、応答時間が1/6に短縮されることを示している。
・進行波電力及び反射波電力の制御応答
図10は負荷が急変したときのインピーダンス整合装置における進行波電力と反射波電力の制御応答の測定例を示している。ここでは、測定条件として、
負荷A:1.9+j24[Ω]
負荷B:3.0+j30[Ω]
としたとき
測定例1(図10(a)):制御電流範囲:0〜+10A、巻数:16ターン
測定例2(図10(b)):制御電流範囲:0〜±20A、巻数:32ターン
について比較している。測定例2の発生磁界は正側において測定例1の発生磁界の4倍となる。
図10(a)に示す測定例1では反射波電力が収束するには12msを要するのに対して、図10(b)に示す測定例2では反射波電力は1msで収束しており、発生磁界を大きくしたことで可変リアクトルのインダクタンス変化応答時間が短縮されインピーダンス整合を高速で行うことができることを示している。
(本願発明の可変リアクトルの構成例)
本願発明のインピーダンス整合装置に用いる可変リアクトルの構成において、可変リアクトルが発生する高周波成分を除去する構成例について図11,12を用いて説明する。
図11(a)に示す可変リアクトルは、可変リアクトルの制御電流発生部側に誘起される高周波数成分を除去するローパスフィルタを設ける構成である。
図11(b)に示す可変リアクトルは、可変リアクトルの制御電流発生部側に誘起される高周波成分を除去するために、メイン巻線と制御巻線の巻回方向を逆方向とした一対の可変リアクトルを直列接続して高周波成分を相殺する構成である。
図11(c)に示す可変リアクトルは、一対の可変リアクトルを並列接続して高周波成分を相殺する構成である。
図12(a)〜図12(c)に示す可変リアクトルは、2つのトロイダルコアを有し、各トロイダルコアにメイン巻線を巻回し、一巻き内に両トロイダルコアの制御巻線が貫通するように巻回し、二つのメイン巻線を等価的に直列接続した構成であり、各メイン巻線に高周波電流が流れることにより制御巻線に誘起される高周波成分を、制御巻線の1ターン毎に相殺して除去する構成である。
図1及び図11,12は可変リアクトルを直並列接続した構成例を示しているが、図13(a)〜(i)に示したインピーダンス整合装置の構成において、本願発明の可変リアクトルを可変インダクタンスに適応することができる。
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係るインピーダンス整合装置の一例であり、本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明のインピーダンス整合装置は、半導体や液晶パネル等の製造装置、真空蒸着装置、加熱・溶融装置等の高周波を使用する装置において、インピーダンス整合に適用することができる。
1 制御電流形成部
2 演算部
2A 演算部
2B 演算部
2a 第1の演算回路
2b 第2の演算回路
2c 加算回路
2d 交流信号発生回路
3 制御電流発生部
3A 制御電流発生部
3B 制御電流発生部
3a 降圧チョッパ回路
3b 比較回路
3c 三角波信号発生回路
3d 比較回路
4 可変リアクトル
4A 可変リアクトル
4B 可変リアクトル
4a 制御巻線
5 センサー
10 インピーダンス整合装置
20 高周波電源
30 負荷
101 インピーダンス制御回路
102 可変リアクトル
102A 可変リアクトル
102B 可変リアクトル
102a 制御巻線
102b メイン巻線
102b1 メイン巻線
102b2 メイン巻線
102c フェライトコア
B 磁束密度
磁束密度
残留磁束
H 発生磁界
Icom 制御電流指令
Icon 制御電流
Idc 制御電流
IREF制御整定値
IREF 制御量
IZREF インダクタンス制御目標値
IφREF 制御量
L インダクタンス
インダクタンス
インダクタンス
N 巻数
Q1-Q4 スイッチング素子
ZFB インピーダンスフィードバック値
ZREF インピーダンス制御目標値
φFB 位相フィードバック値
φREF 位相制御目標値

Claims (7)

  1. 高周波供給側のインピーダンスと負荷側のインピーダンスを整合するインピーダンス整合装置であって、
    コアに巻回された主巻線と制御巻線を有し、前記制御巻線に流れる制御電流が発生する発生磁界の変化によってインダクタンスを可変とする可変リアクトルを備え、
    前記発生磁界は、インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との偏差を整定するに要する磁界を越える大きさを有する交流磁界であることを特徴とする、インピーダンス整合装置。
  2. 高周波供給側のインピーダンスと負荷側のインピーダンスを整合するインピーダンス整合装置であって、
    コアに巻回された主巻線と制御巻線を備え、前記制御巻線に流れる制御電流による発生磁界の変化によりインダクタンスを可変とする可変リアクトルと、
    前記制御巻線に印加する制御電流を形成する制御電流形成部とを備え、
    前記制御電流形成部は、
    インピーダンス整合の制御目標値とフィードバック値との偏差分を整定する制御整定値に収束する偏差信号を演算する演算部と、前記演算部の制御量である交流信号の正負に基づいて定まる電流方向と、前記交流信号の振幅増幅に基づいて定まる電流振幅を有する制御電流を発生する制御電流発生部とを備え、
    前記制御電流による可変リアクトルのインダクタンス変化によってインピーダンスを整合することを特徴とする、請求項1に記載のインピーダンス整合装置。
  3. 前記演算部は、
    インピーダンス整合の制御目標値とインピーダンス整合のフィードバック値との差分に基づいてメジャーループを構成し、当該メジャーループにより制御量を演算する第1の演算回路と、
    前記第1の演算回路の制御量と前記制御電流のフィードバック値との差分に基づいてマイナーループを構成し、当該マイナーループにより前記制御量の振幅を制御電流指令として演算する第2の演算回路とによって2重のループ制御を構成し、
    前記制御電流発生部は、
    前記制御量の正負に基づいて制御電流の電流方向を切り換え、
    前記制御電流指令に基づいて制御電流の振幅を定めた制御電流を発生することを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス整合装置。
  4. 前記第1の演算回路は、インピーダンス整合の前記制御目標値とフィードバック値との差分を比例積分制御して比例積分信号を前記制御量として出力する比例積分制御回路、又は、インピーダンス整合の前記制御目標値とフィードバック値との差分を積分制御して積分信号を前記制御量として出力する積分制御回路の何れかの制御回路を備え、
    前記第2の演算回路は、前記第1の演算回路の制御量と前記制御電流のフィードバック値との差分を比例積分制御して比例積分信号を前記制御電流指令として出力する比例積分制御回路、又は前記第1の演算回路の制御量と前記制御電流のフィードバック値との差分を積分制御して積分信号を前記制御電流指令として出力する積分制御回路の何れかの制御回路を備えることを特徴とする、請求項3に記載のインピーダンス整合装置。
  5. 前記交流信号は、
    振幅が整定後の制御電流指令に漸近する信号であることを特徴とする、請求項4に記載のインピーダンス整合装置。
  6. 前記制御電流発生部は、4つのスイッチング素子のフルブリッジ構成とするチョッパ回路を備え、
    前記制御巻線に印加する制御電流の振幅を、正端及び負端の一方の極性側に接続される2つスイッチング素子の何れか一方のスイッチング素子の開閉動作を前記制御電流指令の振幅に基づいてパルス幅制御し、
    前記制御巻線に印加する制御電流の電流方向の切り換えを、他方の極性側に接続される2つスイッチング素子の前記制御量の極性に基づく切り換え動作によって制御することを特徴とする請求項2から請求項5の何れか一つに記載のインピーダンス整合装置。
  7. 前記発生磁界の大きさは、前記制御巻線の巻数と制御電流の電流値の積で定まることを特徴とする、請求項1に記載のインピーダンス整合装置。
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