JP6219057B2 - 高周波電源 - Google Patents

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本発明は、プラズマ処理システムに用いられる高周波電源に関する。
図16は、プラズマ処理システムに用いられる高周波電源の構成の一例を示す図である。
図16に示す高周波電源100は、高周波信号発生回路101で発生した高周波電圧vをパワーアンプ102で増幅し、ローパスフィルタ103に通して高調波成分を除去した後、基本波成分を負荷200(例えば、プラズマ処理装置)に出力する構成である。
パワーアンプ102は、例えば、図17に示すハーフ・ブリッジ型のD級アンプで構成され、ドライブ回路102aにより高周波信号発生回路101から入力される高周波電圧vを用いて、半導体スイッチ素子(例えば、MOSFET)Q1,Q2のオン・オフを駆動する駆動信号S1,S2を生成し、その駆動信号S1,S2を用いて半導体スイッチ素子Q1,Q2を交互にオン・オフ動作させる構成である。
半導体スイッチ素子Q1,Q2を交互にオン・オフ動作させることにより半導体スイッチ素子Q1,Q2の接続点nから周波数が高周波電圧vと同一で振幅が電源電圧Vdcに増幅された矩形波の高周波電圧Vnが出力され、その高周波電圧Vnはフィルタ回路102bで直流成分が除去されるとともに、スイッチングノイズが除去されてローパスフィルタ103に出力される。
高周波電源100は、パワーアンプ102に供給する電源電圧Vdcを制御する制御回路(図示省略)を有し、その制御回路により電源電圧Vdcを変化させて高周波電圧v’の増幅量を変化させ、これにより負荷200に出力する高周波電圧voutを制御する。
特開2013−5538号公報
プラズマ処理システムは、例えば、フッ素系のガスと半導体ウェハや液晶基板等の被加工物をプラズマ処理装置のチャンバー内に封入し、そのチャンバー内の一対の電極に高周波電源から高周波電力を供給して放電させ、その放電によりガスのプラズマを発生させて被加工物に薄膜形成処理やエッチング処理を行うシステムである。
プラズマ処理システムでは、プラズマ処理の開始から終了までの期間にプラズマ処理装置のチャンバー内のプラズマ状態や被加工物の状態が変化するため、プラズマ処理装置のインピーダンス(高周波電源に対する負荷インピーダンス)はプラズマ処理中に変動する。このため、高周波電源からプラズマ処理装置に高周波電力を効率良く供給するため、プラズマ処理システムでは、図18に示すように、一般に高周波電源Gとプラズマ処理装置PLとの間にインピーダンス整合装置IMを設け、プラズマ処理を開始すると、インピーダンス整合装置IMによって自動的に高周波電源Gとプラズマ処理装置PLとのインピーダンス整合を行う構成となっている。
高周波電源Gとして、上述した図16に示す高周波電源100が用いられるが、プラズマ処理用の高周波電源Gには、出力電力を制御する出力制御回路(図16では図示省略)が設けられている。プラズマ処理を開始すると、高周波電源100は、出力制御回路から高周波信号発生回路101に出力電圧voutの周波数より低い周波数のパルス信号を出力して高周波信号発生回路101から高周波電圧vをそのパルス信号のオン期間にだけパルス出力する。この出力制御により、プラズマ処理装置PLには高周波電力がパルス信号の周期でパルス状に出力される。
ところで、プラズマ処理装置PLでは、高周波電源Gから高周波電力が供給されると、放電によりプラズマが発生するが、プラズマ発生前とプラズマ発生後で急激にインピーダンス(以下、「負荷インピーダンス」という。)が変化し、プラズマ発生後もプラズマ状態や被加工物の状態の変化により負荷インピーダンスは変動する。
プラズマ発生前はインピーダンス整合装置IMがインピーダンス整合動作をしていないので、高周波電源Gとプラズマ処理装置PLは不整合状態である。高周波電源Gが高周波電力の出力を開始し、それと同時にインピーダンス整合装置IMがインピーダンス整合動作を開始すると、整合動作開始時は高周波電源Gとプラズマ処理装置PLは不整合状態であるから、高周波電力はインピーダンス整合装置202でほぼ全反射される。
インピーダンス整合装置IMのインピーダンス整合動作によって不整合状態が改善され、プラズマ処理装置PLに高周波電力が供給されると、プラズマが発生するようになるが、プラズマ発生直後はプラズマが不安定であるので、不整合状態が継続する。従って、プラズマが安定してから高周波電源Gとプラズマ処理装置PLはインピーダンス整合状態に移行する。
その後は、プラズマ状態や被加工物の状態の変動により負荷インピーダンスが変動するのに応じてインピーダンス整合装置IMが自動的に追尾してインピーダンス整合動作を行うが、プラズマ処理中に負荷インピーダンスが急変した時にはその直後にインピーダンスの不整合状態が生じる。
従来の高周波電源Gは、プラズマ処理を開始すると、高周波電圧voutのパルス出力を開始するが、プラズマ処理の開始時は高周波電源Gとプラズマ処理装置PLとがインピーダンス不整合状態であるため、プラズマ処理装置PLに供給される高周波電圧voutや高周波電流ioutのパルス出力の立ち上がりにオーバーシュートやリンギングが発生することがある。
図19(a)は、同図(b)に示す回路構成で高周波電源100から出力される進行波電圧vfを計測した波形を示す図である。同図(b)に示す回路構成は、高周波電源100(出力インピーダンス:50Ω)に方向性結合器104を介して不整合の負荷200(反射係数Γ=0.99、位相ψ=135°)を接続し、高周波電源100から周波数13.56MHzの高周波電圧voutを10kHzのパルス信号Scによってパルス出力させる構成である。
図19(b)に示す回路構成では、負荷が反射係数Γ=0.99のほぼ全反射負荷であるから、図19(a)に示されるように、高周波電圧voutが出力される期間TONの立ち上り時にオーバーシュートqが発生することが分かる。
図20、図21は、図22の回路構成によってオーバーシュートが発生する原因をシミュレーションによって調べたものである。
図22の回路構成は、電圧源(出力インピーダンス:r[Ω])にローパスフィルタ回路を介して負荷を接続し、電圧源から13.56MHzの高周波電圧vSを200kHz(周期:5[μs])のパルス信号によってパルス出力させる構成である。
図20は、負荷のインピーダンスを抵抗Rのみとした場合の電圧源内の信号源電圧vS、負荷に供給される負荷電圧vout及び負荷を流れる負荷電流ioutのシミュレーション波形である。一方、図21は、負荷のインピーダンスを抵抗R、インダクタンスL及びキャパシタンスCの直列回路とした場合の電圧源内の信号源電圧vS、負荷電圧vout及び負荷電流ioutのシミュレーション波形である。
図20に示されるように、負荷を抵抗Rのみの抵抗負荷とした場合は、オーバーシュートは発生しないが、図21に示されるように、負荷を抵抗R、インダクタンスL及びキャパシタンスCの直列回路(LCR負荷)とした場合は、負荷電圧Voutと負荷電流ioutの立ち上がり時(パルス信号の立ち上がり時)にオーバーシュートが発生することが分かる。そして、これらのシミュレーション結果から、オーバーシュートの発生原因は、パルス信号がローレベルからハイレベルに立ち上るときに負荷電圧Voutや負荷電流ioutは振幅が急激に増加することになるが、負荷がLCR負荷の場合は、ローパスフィルタ回路と負荷の抵抗成分R、インダクタンス成分L、キャパシタンス成分Cによる過渡振動が発生し、これによって負荷電圧Voutや負荷電流ioutが振動してオーバーシュートが発生すると考えられる。
プラズマ処理装置PLに供給される高周波電圧voutや負荷電流ioutの立ち上がり時にオーバーシュートやリンギングが発生すると、それによってプラズマ処理装置PL内のウェハや基板等が損傷する虞があるので、オーバーシュートやリンギングの発生を抑制することが要望される。オーバーシュートやリンギングの発生を抑制する方法として、出力電圧voutを検出し、その検出値からD級アンプで構成されたパワーアンプ102に供給する電源電圧Vdcの大きさを高速に制御して出力電圧voutのオーバーシュートを抑制するフィードバック制御が考えられるが、この方法では、LCR負荷の過渡振動が原因で発生するオーバーシュートに対しては十分なフィードバック制御の応答性を得ることは困難である。
プラズマ処理における高周波電圧voutや負荷電流ioutのオーバーシュートやリンギングの問題に対し、特にD級アンプのようなスイッチングアンプ方式のパワーアンプを有する高周波電源を用いた場合、従来、そのオーバーシュートやリンギングを効果的に抑制する技術は提案されておらず、オーバーシュートやリンギングの発生を抑制した高周波電源も実現されていない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、オーバーシュートやリンギングの発生を低減した高周波電源を提供することを目的とする。
本発明に係る高周波電源は、高周波電力を生成する高周波電力生成手段と、前記高周波電力生成手段で生成した前記高周波電力の負荷への出力を制御する出力制御手段と、を備えた高周波電源であって、前記高周波電力生成手段は、相互の位相差が変更可能な複数の高周波を生成する高周波生成手段と、前記高周波生成手段から出力される複数の高周波を、相互の位相差に基づく所定の割合で合成して負荷に出力する高周波合成手段と、を含み、前記出力制御手段は、前記高周波生成手段から前記複数の高周波の出力を開始するとき、その出力開始時から所定の時間が経過するまで前記複数の高周波の相互の位相差を所定の値からゼロまで所定の特性で変化させて、出力開始時の前記高周波合成手段から前記負荷に出力される高周波のレベルをゼロから所定のレベルに漸増させる、ことを特徴とする(請求項1)。
上記の高周波電源において、前記所定の特性は、前記位相差を所定の値からゼロまで連続的若しくは段階的に減少させる特性であるとよい(請求項)。
上記の高周波電源において、前記高周波生成手段は、第1の高周波と第2の高周波を生成し、前記出力制御手段は、前記第1の高周波に対する前記第2の高周波の位相差を180度からゼロまで減少させるとよい(請求項)。
上記の高周波電源において、前記高周波生成手段は、第1の高周波と第2の高周波と第3の高周波を生成し、前記出力制御手段は、前記第1の高周波に対する前記第2の高周波の位相差を120度からゼロまで減少させ、前記第1の高周波に対する前記第3の高周波の位相差を−120度からゼロまで増加させるとよい(請求項)。
上記の高周波電源において、前記出力制御手段は、前記高周波生成手段に前記所定の時間よりも長いハイレベル期間を有する矩形波の出力制御信号を出力して当該出力制御信号のハイレベル期間に前記複数の高周波を生成させることにより、前記高周波合成手段から高周波をパルス出力させるとよい(請求項)。
上記の高周波電源において、2つの高周波電力生成手段と、前記2つの高周波電力生成手段から出力される2つの高周波電力を合成する第2の高周波合成手段とを含む構成を少なくとも1つ備え、前記出力制御手段は、前記第2の高周波合成手段から前記負荷への出力を開始するとき、その出力開始時から所定の時間が経過するまで各高周波電力生成手段に含まれる前記高周波生成手段に対して当該高周波生成手段で生成される前記複数の高周波の相互の位相差を所定の値からゼロまで変化させて各高周波電力生成手段に含まれる前記高周波合成手段から出力される高周波のレベルをゼロレベルから所定のレベルに漸増させるとよい(請求項)。
本発明によれば、高周波電力生成手段で生成した高周波電力を負荷に出力するとき、その出力開始時に、負荷に出力される高周波(電圧及び電流)のレベルをゼロから漸増させ、所定の時間が経過した後は所定のレベルに制御するので、出力開始時に発生するオーバーシュートやリンギングを抑制若しくは防止することができる。
特に、高周波電力生成手段を、相互の位相差が変更可能な複数の高周波を生成する高周波生成手段と、高周波生成手段から出力される複数の高周波を相互の位相差に基づく所定の割合で合成して負荷に出力する高周波合成手段とで構成した場合は、高周波合成手段から負荷に出力を開始するとき、その出力開始時から所定の時間が経過するまで複数の高周波の相互の位相差を所定の値からゼロまで変化させて、出力開始時の高周波合成手段から負荷に出力される高周波のレベルをゼロから所定のレベルに漸増させるので、出力開始時に発生するオーバーシュートやリンギングの抑制を好適に行うことができる。
LCR負荷に対してパルス出力開始時に電圧源の電圧レベルを漸増させた場合のシミュレーション結果を示す波形図である。 本発明に係る高周波電源の内部構成を示すブロック図である。 AC−DC変換部を構成する電源回路の回路例を示す図である。 DC−DC変換部を構成するDC−DCコンバータの回路例を示す図である。 DC−RF変換部の回路例を示す図である。 RF合成部を構成するハイブリッドの回路例を示す図である。 高周波信号生成部の内部構成と高周波信号の生成方法を示す図である。 位相差の制御内容を示す特性図である。 本発明に係る高周波電源に接続される負荷が全反射のインピーダンスの場合に高周波電源から高周波電圧をパルス出力したときの波形を示す図である。 3つの高周波電圧を生成し、合成して出力する高周波生成部の構成を示す図である。 図10に示す高周波生成部内のRF合成部の回路構成例を示す図である。 図10に示す高周波生成部に入力する3つの高周波信号の位相の制御内容を示す特性図である。 高周波生成部を2N個設け、各高周波生成部の出力を合成して負荷に出力する回路構成例を示す図である。 高周波生成部を2N個設け、各高周波生成部の出力を合成して負荷に出力する他の回路構成例を示す図である。 高周波生成部を2個設け、両高周波生成部の出力を合成して負荷に出力する回路構成例を示す図である。 プラズマ処理システムに用いられる従来の高周波電源の構成の一例を示す図である。 ハーフ・ブリッジ型のD級アンプの構成例を示す図である。 プラズマ処理システムの基本構成を示す図である。 従来の高周波電源に接続される負荷が全反射のインピーダンスの場合に高周波電源から高周波電圧をパルス出力したときの波形を示す図である。 負荷のインピーダンスを抵抗負荷とした場合の電圧源の電圧、負荷に供給される負荷電圧及び負荷を流れる負荷電流のシミュレーション波形である。 負荷のインピーダンスをLCR負荷とした場合の電圧源の電圧、負荷電圧及び負荷電流のシミュレーション波形である。 オーバーシュートが発生する原因を調べるためのシミュレーション回路を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。特に、プラズマ処理システムに適用される高周波電源を例に説明する。
まず、本発明に係る高周波電源のオーバーシュートの抑制方法について説明する。
上述したように、LCR負荷の過渡振動が原因で発生するオーバーシュートやリンギングに対し、高周波電源の出力電圧の検出値をD級アンプで構成されたパワーアンプを有する高周波電源にフィードバックしてパワーアンプに供給する電源電圧Vdcのレベルを抑制する方法では、効果的な応答性を得ることは困難である。そこで、本発明では、高周波電源の出力電圧のパルス出力の立ち上り時に、高周波電源の出力電圧のレベルを徐々に増加させる(漸増させる)ことによって当該出力電圧にオーバーシュートやリンギングを抑制する。
図1は、LCR負荷に対してパルス出力開始時に電圧源の電圧レベルを漸増させた場合のシミュレーション結果を示す波形図である。図1のシミュレーションの回路構成は、図21のシミュレーションの場合の回路構成と同一である。すなわち、図22の回路構成で負荷は図21と同じLCR負荷とし、電圧源から13.56MHzの高周波電圧voutを200kHz(周期:5[μs])のパルス信号によってパルス出力させる構成である。
図1の電圧源の電圧vS、負荷電圧vout及び負荷電流ioutは、それぞれ図21の電圧源の電圧vS、負荷電圧vout及び負荷電流ioutに対応している。図1と図21を比較すれば分かるように、電圧源の電圧vSのレベルをパルス出力の立上がり時に徐々に増加させると、負荷電圧vout及び負荷電流ioutのオーバーシュートの発生を防止できることが分かる。
図2は、本発明に係る高周波電源の内部構成を示すブロック図である。
本発明に係る高周波電源1は、高周波信号を生成し、その高周波信号をD級アンプからなるパワーアンプで増幅して出力する構成である。パワーアンプの電源電圧を変化させてパワーアンプの出力電圧のレベルを変化させる方法ではパルス出力開始時から数μsの間に出力電圧のレベルを漸増させる制御は困難であるから、本発明に係る高周波電源1では、2個のパワーアンプと両パワーアンプの出力電力を合成する電力合成回路を設け、その電力合成回路における合成動作を制御することによって負荷に出力される出力電圧voutのレベルを制御するようにしている。
高周波電源1は、AC−DC変換部2、DC−DC変換部3、DC−RF変換部4、RF合成部5、フィルタ回路6、PWM信号生成部7、高周波信号生成部8及び制御部9を含む構成である。DC−RF変換部4とRF合成部5を含む部分は負荷に高周波電力を出力する高周波生成部Uを構成している。DC−RF変換部4には同一構成の2つのDC−RF変換部4A,4Bが設けられ、第1のDC−RF変換部4Aから出力される電力P1と第2のDC−RF変換部4Bから出力される電力P2がRF合成部5で合成されて高周波電源1の出力端に接続される負荷(プラズマ処理装置。図示省略)に出力される。
AC−DC変換部2は、商用電源からDC−DC変換部3への入力電圧(直流電圧)Vccを生成する回路ブロックである。AC−DC変換部2は、例えば、図3に示す4個の半導体整流素子Dをブリッジ接続した整流回路201と平滑回路202とからなる周知の電源回路で構成される。
DC−DC変換部3は、AC−DC変換部2から入力される直流電圧Vccを任意の電圧値の直流電圧Vdcに変換してDC−RF変換部4に入力する回路ブロックである。DC−DC変換部3は、出力電圧Vdcを変化させることによりDC−RF変換部4内の第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bからそれぞれ出力される電圧vP1,vP2(電力P1,P2)を制御する機能を果たす。
DC−DC変換部3は、例えば、図4に示す、インバータに整流回路を組み合わせた周知のDC−DCコンバータで構成される。図4の回路例は、4個の半導体スイッチ素子QAをブリッジ接続したブリッジ回路からなるインバータ301にトランスT1を介して整流回路302を接続した回路である。整流回路302は、4個の半導体整流素子DAをブリッジ接続し、その一対の出力端に平滑用のコンデンサCを並列に接続した回路である。整流回路302の一対の出力端は、DC−DC変換部3の出力端a,a’にそれぞれ接続されている。半導体スイッチ素子QAには、バイポーラトランジスタ、電界効果型トランジスタ、IGBT等が用いられ、半導体整流素子DAにはダイオードが用いられる。
DC−DC変換部3は、PWM信号生成部7によって生成されるPWM信号SPWMでインバータ301の4個の半導体スイッチ素子QAのオン・オフ動作を制御することにより、DC−DC変換部3の出力端a,a’から出力される電圧Vdcが制御される。
DC−RF変換部4は、DC−DC変換部3から入力される直流電力を予め設定された高周波電力に変換する回路ブロックである。予め設定された高周波は、2MHzや13.56MHzなどのプラズマ処理用に規定された周波数である。本実施形態に係る高周波電源1では、高周波電圧voutをパルス出力するときの立ち上がり時にオーバーシュートやリンギングが発生しないようにするためにDC−RF変換部4内に同一構成の2つのDC−RF変換部4A,4Bが設けられている。
第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bは、図5に示すハーフ・ブリッジ型のD級アンプで構成される。同図に示すD級アンプは、一対の電源端子b,b’の間に2つの同一タイプの半導体スイッチ素子QBの直列回路を接続し、2つの半導体スイッチ素子QBの接続点nと出力端子cとの間に直流カット用のコンデンサとコンデンサ及びリアクトルのL型回路とを縦属接続したフィルタ回路401を接続して出力回路が構成されている。入力される高周波電圧v1から互いにレベルが反転した2つの高周波電圧v1’,−v1’を生成し、各高周波電圧v1’,−v1’を2つの半導体スイッチ素子QBにそれぞれ入力するトランスT2は、一対の半導体スイッチ素子QBの駆動を行うドライブ回路を構成している。トランスT2の一次巻線に入力される高周波電圧v1は、2MHzや13.56MHzなどのプラズマ処理用に規定された周波数fの正弦波電圧である。
DC−RF変換部4の電源端子bと電源端子b'は、それぞれDC−DC変換部3の出力端子aと出力端子a'に接続される。一対の半導体スイッチ素子QBにはNチャネル型のMOSFETが用いられるが、バイポーラトランジスタ等の他の種類のトランジスタを用いることができる。また、一対の半導体スイッチ素子QBをNチャネル型とPチャネル型を組み合わせたコンプリメンタリ型にしてもよい。この場合は、トランスT2の二次巻線は一つでよく、高周波電圧v1’をそれぞれNチャネル型のMOSFETとPチャネル型のMOSFETのゲートに入力すればよい。
第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの各トランスT2の一次巻線に入力される高周波電圧v1,v2は、高周波信号生成部8で生成される。高周波信号生成部8は、v1=A・sin(2πf・t+φ1)、v2=A・sin(2πf・t+φ2)で表わされる高周波電圧v1,v2を生成する。高周波電圧v1の初期位相φ1はゼロに固定されており、高周波電圧v2の初期位相φ2は可変である。高周波信号生成部8は、制御部9から入力される位相差θ=φ2−φ1の情報に基づいて高周波電圧v2の初期位相φ2(=θ)を変化させる。位相差θの変化のさせ方については後述する。
第1のDC−RF変換部4Aでは、高周波電圧v1=A・sin(ω・t)がトランスT2の一次巻線に入力されると、トランスT2の一方の二次巻線から同相の高周波電圧v1’=A’・sin(ω・t)が出力され、トランスT2の他方の二次巻線から逆相の高周波電圧−v1’=−A’・sin(ω・t)が出力される。同相の高周波電圧v1’は、一方の半導体スイッチ素子QB(図5では上側の半導体スイッチ素子QB)に入力され、逆相の他方の高周波電圧−v1’は、他方の半導体スイッチ素子QB(図5では下側の半導体スイッチ素子QB)に入力される。2つの半導体スイッチ素子QBは、Nチャネル型MOSFETであるから、一方の半導体スイッチ素子QBは、高周波電圧v1’のハイレベル期間にオン動作をし、他方の半導体スイッチ素子QBは、高周波電圧−v1’のハイレベル期間にオン動作をする。すなわち、2つの半導体スイッチ素子QBは、高周波電圧v1’の半周期毎に交互にオン・オフ動作を繰り返す。
2つの半導体スイッチ素子QBが交互にオン・オフ動作を繰り返すことによって接続点nの電圧vnはv1’>0の期間に「Vdc」となり、v1’≦0の期間に接地レベルとなるように矩形波状に変化し、その矩形波がフィルタ回路401で直流分とスイッチングノイズが除去されて出力端子c,c’から正弦波信号v1を増幅した電圧vP1=V・sin(ω・t)が出力される。
第2のDC−RF変換部4Bでは、入力される高周波電圧v2が高周波電圧v1に対して位相差θを有する「vP2=A・sin(ω・t+θ)」となる点が異なるだけで、上述した第1のDC−RF変換部4Aと同様の動作を行う。
なお、本実施形態では、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bをハーフ・ブリッジ型のアンプで構成しているが、フル・ブリッジ型やプッシュ・プル型のアンプで構成してもよい。
RF合成部5は、DC−RF変換部4から出力される2つの電力P1,P2を合成する回路ブロックである。RF合成部5は、例えば、図6に示す伝送トランスT3と抵抗Zとからなるハイブリッド回路によって構成される。ハイブリッド回路は、1つのサム・ポートNSと2つの入力ポートNA,NBを有し、ハイブリッド回路内の抵抗Zは、入力ポートNA,NB間のアイソレーションをとる機能がある。入力ポートNAに入力する第1のDC−RF変換部4Aから出力される高周波電圧vP1と、入力ポートNBに入力する第2のDC−RF変換部4Bから出力される高周波電圧vP2に位相差θ(=φ2−φ1≠0)があると、入力電力(P1+P2)のうち位相差θに応じた一部の電力PZを内部の抵抗Zで熱消費し、残りの電力PPC(=P1+P2−PZ)を出力する機能を有する。
図6に示すように、第1のDC−RF変換部4Aから出力される高周波電圧vP1は、入力ポートNA,NBの一方のポートNAに入力され、第2のDC−RF変換部4Bから出力される高周波電圧vP2は、他方のポートNBに入力され、サム・ポートNSから電圧vPCが出力される。
サム・ポートNSに接続される負荷のインピーダンスが「Ro/2」の場合(RF合成部5と負荷とがインピーダンス整合をしている場合)のサム・ポートNSから出力される電流iPCと電圧vPCは、高周波電圧vP1,vP2をそれぞれvP1=V・sin(ω・t)、vP2=V・sin(ω・t+θ)とすると、下記のようになる。
抵抗Zの両端の電圧vZは、
Z=vP1−vP2=V・[sin(ω・t)−sin(ω・t+θ)] …(1)
であり、ポートNA,NBから伝送トランスT3に流れ込む電流i1,i2と抵抗Zを流れる電流iZは、
1=vP1/Ro=V・sin(ω・t)/Ro…(2)
2=vP2/Ro=V・sin(ω・t+θ)/Ro…(3)
Z=vZ/(2・Ro
=V・[sin(ω・t)−sin(ω・t+θ)]/(2・Ro)…(4)
である。
従って、伝送トランスT3の一次巻線と二次巻線に流れる電流iL1,iL2は、
L1=i1−iZ=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/(2・Ro)…(5)
L2=i2+iZ=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/(2・Ro)…(6)
で表わされ、サム・ポートNSから出力される電流iPCと電圧vPCは、
PC=iL1+iL2=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/Ro…(7)
PC=iPC・(Ro/2)
=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/2
=V・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2)]…(8)
となる。
(8)式で示されるように、RF合成部5の出力電圧vPCのレベルは、位相差θによって変化する。その変化はcos(θ/2)の関数で表わされるから、位相差θをπ(180[deg])からゼロまで単調に減少させると、出力電圧vPCのレベルが単調増加することが分かる。なお、θ=0では、vPC=V・sin(ω・t)=vP1=vP2となる。
なお、上記の説明は、サム・ポートNSに接続される負荷のインピーダンスが「Ro/2」の場合の例であるが、サム・ポートNSに接続される負荷のインピーダンスが「Ro/2」ではない場合でも同様の傾向があり、位相差θをπ(180[deg])からゼロの範囲で変化させることにより、出力電圧vPCのレベルをゼロから「V」まで単調に増加させることができる。
RF合成部5は、ハイブリッド回路と同様の機能を果たすものであれば、他の回路であってもよい。例えば、特開2008−28923号公報に記載の高周波電力合成器や実開平4−48715号公報に記載の出力合成回路を用いることができる。
フィルタ回路6は、例えば、2つのコンデンサと1つのリアクトルのπ型回路で構成されるローパスフィルタ(LPF)である。フィルタ回路6は、RF合成部5から出力される高周波電圧vPC及び高周波電流iPCの高調波を除去して基本波成分を負荷側に出力する機能を果たす。なお、フィルタ回路6は、ローパスフィルタ(LPF)であれば、コンデンサとリアクトルのπ型回路に限定されるものではない。
PWM信号生成部7は、三角波比較法によりDC−DC変換部3の駆動を制御するPWM信号SPWMを生成し、そのPWM信号SPWMをDC−DC変換部3に出力する。PWM信号生成部7は、例えば、ダイレクト・ディジタル・シンセサイザー(Direct Digital Synthesizer)で構成されるキャリア信号発生回路と、コンパレータ等のレベル比較器で構成されるPWM信号生成回路を含み、例えば、キャリア信号発生回路で発生した鋸波のキャリア信号Ccと制御部9から入力される制御指令値Coのレベルをレベル比較器で比較してCc≦Coの期間をパルス幅とするPWM信号SPWMを生成する。
高周波信号生成部8は、第1のDC−RF変換部4A内の半導体スイッチ素子QBの駆動を制御する高周波電圧v1と第2のDC−RF変換部4B内の半導体スイッチ素子QBの駆動を制御する高周波電圧v2を生成し、高周波電圧v1を第1のDC−RF変換部4Aに出力し、高周波電圧v2を第2のDC−RF変換部4Bに出力する。
高周波信号生成部8は、制御部9から出力される出力制御信号Scに基づいて高周波電圧v1,v2を所定の周期でパルス出力する。出力制御信号Scは、高周波電圧v1,v2よりも周波数の低い(周期の長い)所定の周波数でデューティ比が50%のパルス信号で(図9のパルス信号Sc参照)、高周波信号生成部8は、その出力制御信号Scのハイレベル期間に高周波電圧v1,v2を出力し、ローレベル期間は高周波電圧v1,v2の出力を停止する。出力制御信号Scが、例えば、10kHzのパルス信号の場合、高周波信号生成部8は、高周波電圧v1,v2を100μ秒間隔で50μ秒間だけパルス出力する。なお、出力制御信号Scのデューティ比は50%に限定されるものではなく、任意の値に設定することができる。
高周波信号生成部8には、図7に示すように、正弦波の高周波電圧v1を発生する第1の高周波発生回路8aと、制御部9から入力される位相差θを用いて高周波電圧v1に対して位相差θを有する正弦波の高周波電圧v2を発生する第2の高周波発生回路8bとが含まれる。第1の高周波発生回路8a及び第2の高周波発生回路8bもダイレクト・ディジタル・シンセサイザーで構成される。
第1の高周波発生回路8aには、高周波電圧v1の振幅A、周波数f及び初期位相φ1(=0)の情報が入力される。これらの情報は予め設定された固定の情報で、周波数fは、上述したようにプラズマ処理システムに規定された2MHz若しくは13.56MHz等の周波数である。初期位相φ1は任意の値に設定可能であるが、本実施形態では、「0」に設定されている。第2の高周波発生回路8bにも高周波電圧v2の振幅A、周波数f及び初期位相φ2の情報が入力されるが、θ=φ2−φ1、φ1=0より、制御部9から出力される位相値θが初期位相φ2の情報として入力される。φ1≠0に設定した場合は、制御部9から出力される位相差θに初期位相φ1を加算した値(θ+φ1)が初期位相φ2の情報として入力される。振幅A及び周波数fの情報は、第1の高周波発生回路8aに入力される振幅A及び周波数fの情報と同一である。
第1の高周波発生回路8aは、振幅A、周波数f及び初期位相φ1の情報を用いてA・sin(2πf・t)で表わされる高周波電圧v1(図7(b)のv1参照)をディジタル的に生成する。同様に、第2の正弦波発生回路8bは、振幅A、周波数f及び制御指令値θの情報を用いてA・sin(2πf・t+θ)で表わされる高周波電圧v2(図7(b)のv2参照)をディジタル的に生成する。
制御部9は、DC-DC変換部3の出力電圧VdcとDC−RF変換部4内のDC-RF変換部4A,4Bから出力される2つの高周波電圧vP1,vP2の位相差θを制御するとともに、高周波電圧vP1,vP2のパルス出力を制御する回路ブロックである。制御部9は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータによって構成される。CPUがROMに記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、DC-DC変換部3の出力電圧Vdc、DC-RF変換部4から出力される高周波電圧vP1,vP2の位相差θ、出力制御信号Scの周期等が制御される。
本実施形態に係る高周波電源1は、DC-RF変換部4から出力される高周波電圧vP1,vP2の位相差θの制御に特徴を有する。以下では、位相差θの制御内容について説明する。
図8は、制御部9が制御する位相差θの特性を示す図である。
図8に示す特性は、凡そ4μ秒の時間で位相差θを180[deg]から0[deg]まで時間の経過に反比例させて変化させる特性である。位相差θを変化させる時間や変化カーブの形は、位相差θを単調減少させるものであれば、任意に設定することができる。また、図8は、位相差θを連続的に変化させているが、位相差θをステップ状に多段階に変化させるものでもよい。
制御部9は、高周波信号生成部8に出力する出力制御信号Scがハイレベルに反転するタイミング(高周波電圧v1,v2のパルス出力における各出力開始タイミング)に同期して、高周波信号生成部8に出力する位相差θを図8の特性で変化させる。出力制御信号Scの立ち上りタイミングは、周期的に生じるから、図8に示す位相差θの変化はその出力制御信号Scの立ち上りタイミングに同期して周期的に繰り返される。
例えば、出力制御信号Scが周波数10kHz、デューティ比50%のパルス信号に設定される場合、高周波信号生成部8は、100μ秒の周期で50μ秒だけ高周波電圧v1,v2を生成してDC-RF変換部4に出力する。高周波電圧v1,v2はv1=A・sin(2π・f・t)、v2=A・sin(2π・f・t+θ)の波形を有するが、高周波電圧v2の位相差θは、生成開始時t=0から凡そ4μ秒の経過時twまでに図8の特性で180[deg]から0[deg]まで単調減少し、その後はゼロに固定される。
従って、図8に示す特性を関数θ(t)で表わすと、高周波電圧v2はv2=A・sin(2π・f・t+θ(t))で表わされ、0≦t≦4μ秒の期間では、その期間に含まれる高周波電圧v2の各波の位相は(2π・f・t+θ(t))の関数で変化する。そして、t≒4μ秒で高周波電圧v2は高周波電圧v1と同相となり、4μ秒から50μ秒までの期間はv1=v2の状態が継続される。
0から4μ秒の期間では、DC-RF変換部4内の第1のDC-RF変換部4Aと第2のDC-RF変換部4Bからそれぞれ出力される2つの高周波電圧vP1,vP2は、vP1=V・sin(ω・t)(ω=2π・f)、vP2=V・sin(ω・t+θ(t))(θ≠0)となり、RF合成部5からフィルタ回路6を介して負荷に出力される出力電圧voutのレベルは、図1で示したように、ゼロから所定のレベルまで増加する。
従って、負荷に出力電圧voutをパルス出力するとき、各パルス出力の出力開始時に出力電圧voutのレベルはゼロから漸増して所定の時間tWが経過後に目標の電圧値に上昇するので、出力開始時のオーバーシュートやリンギングを抑制することができる。
図9(a)は、同図(b)に示す回路構成で本実施形態に係る高周波電源1から出力される進行波電圧を計測した波形を示す図である。同図(b)に示す回路構成は、高周波電源1(出力インピーダンス:50Ω)に方向性結合器11を介して反射係数Γ=0.99、位相ψ=135°の負荷10を接続し、高周波電源1から周波数13.56MHzの高周波電圧voutを10kHzの出力制御信号Scによってパルス出力させる構成である。
図9(a)に示されるように、出力電圧voutがパルス出力される各出力開始時に、図19のようなオーバーシュートが発生せず、位相差θを制御してRF合成部5から出力される出力電圧vPCの大きさを漸増させることにより、各出力開始時のオーバーシュートやリンギングを抑制できることが分かる。
以上のように、本実施形態に係る高周波電源1によれば、DC-RF変換部4に第1のDC-RF変換部4Aと第2のDC-RF変換部4Bを設けるとともに、第1,第2のDC-RF変換部4A,4Bの電力P1,P2を合成するRF合成部5を設け、RF合成部5から出力電圧vPCをパルス出力するとき、各パルス出力の出力開始時(t=0)から所定の時間tWまで第1,第2のDC-RF変換部4A,4Bの出力電圧vP1,vP2の位相差θを180[deg]から0[deg]まで単調減少させてRF合成部5からフィルタ回路6を介して負荷に出力される電圧voutを漸増させるようにしたので、各パルス出力の出力開始時に、負荷に出力される電圧vout及び電流ioutにオーバーシュートやリンギングが発生するのを好適に抑制することができる。
上記実施形態では、高周波生成部Uは、2つのDC-RF変換部4A,4Bの出力電力を合成する回路構成としたが、図10に示すように、3つのDC-RF変換部4A,4B,4Cと各DC-RF変換部4A,4B,4Cの出力電力を合成する1つのRF合成部5’を含む高周波生成部U’とすることもできる。
高周波生成部U’内のDC-RF変換部4’は、図2に示すDC-RF変換部4内に第1,第2のDC-RF変換部4A,4Bと同一構成の第3のDC-RF変換部4Cを追加したものである。一方、RF合成部5’は、図6に示すRF合成部5とは異なり、3つの高周波電圧vP1,vP2,vP3を合成するタイプのハイブリッド回路からなる合成回路である。
RF合成部5’は、図11に示すように、3個の伝送トランスT4,T5,T6と同一抵抗値の抵抗Z1,Z2,Z3とで構成される。伝送トランスT4,T5,T6の各一次巻線の一方端と伝送トランスT6,T4,T5の各二次巻線の一方端はそれぞれ接続され、各接続点は抵抗抵抗Z3,Z1,Z2を介して中点Oに接続されている。また、伝送トランスT4,T5,T6の各一次巻線の他方端はそれぞれに入力ポートN1,N2,N3に接続され、伝送トランスT4,T5,T6の各二次巻線の他方端は出力ポートNSに接続されている。
第1,第2,第3のDC-RF変換部4A,4B,4Cには高周波信号生成部8からそれぞれv1=A・sin(ω・t)(ω=2π・f・t)、v2=A・sin[ω・t+θ(t)]、v3=A・sin[ω・t−θ(t)]の高周波電圧が入力される。図12に示すように、高周波電圧v1の初期位相はゼロに固定されているが、高周波電圧v2の初期位相+θ(t)は、高周波電圧v1,v2,v3をパルス出力させるときの各パルス出力の出力開始時から所定の時間tw(図12の例では凡そ4[μ秒])が経過するまで制御部9によって図12に示す特性で+120[deg]から0[deg]まで単調に減少させられる。一方、高周波電圧v3の初期位相−θ(t)は、各パルス出力の出力開始時から所定の時間twが経過するまで制御部9によって図12に示す特性で−120[deg]から0[deg]まで単調に増加させられる。そして、その後は、高周波電圧v1,v2,v3は同一波形の正弦波信号となる。
図12に示す特性でも位相差θ(t)を変化させる時間や変化カーブの形は、位相差θを単調に変化させるものであれば、任意に設定することができる。また、高周波電圧v2の初期位相+θ(t)と高周波電圧v3の初期位相−θ(t)を連続的に変化させているが、初期位相+θ(t),−θ(t)をステップ状に多段階に変化させるようにしてもよい。
図2に示す高周波電源1の高周波生成部Uを図10に示す高周波生成部U’に置き換えた構成でも、RF合成部5’からフィルタ回路6を介して負荷に高周波電圧voutをパルス出力するとき、高周波電圧voutを各パルス出力の出力開始時から漸増させ所定の時間tWが経過後に目標値に上昇させることができるので、各出力開始時のオーバーシュートやリンギングを抑制することができる。
上記実施形態では、高周波生成部U又は高周波生成部U’を1個だけ設ける構成だったが、図13に示すように、高周波生成部U又は高周波生成部U’を2N個設け、各高周波生成部U又は高周波生成部U’の出力電力を1つのRF合成部5”で合成する構成にしてもよい。高周波生成部U又は高周波生成部U’を2N個設ける構成では、図14に示すように、(2N−1)個のRF合成部5”を、隣り合う2つの高周波生成部U又は高周波生成部U’の出力電力を合成し、更に隣り合う2つの出力電力を合成する構成を繰り返して1つの出力電圧vPCFを出力するように結合する構成でもよい。
図15は、高周波生成部Uを2個設け、各高周波生成部Uの出力電力をRF合成部で合成する構成にした場合の構成例を示す図である。
図15の回路構成では、各高周波生成部U内の第1のDC-RF変換部4Aに高周波信号生成部8からそれぞれ高周波電圧va=A・sin(ω・t)が入力され、各高周波生成部U内の第2のDC-RF変換部4Bに高周波信号生成部8からそれぞれ高周波電圧vb=A・sin(ω・t+θ)が入力される。一方の高周波生成部U(図15では上段の高周波生成部U)から出力される出力電圧と他方の高周波生成部U(図15では下段の高周波生成部U)から出力される出力電圧とは同一となり、両出力電圧を「vPC」とし、RF合成部5”の回路構成をRF合成部5と同じ構成(図6)にした場合、RF合成部5”の出力電圧を「vPCF」と表記すると、出力電圧vPCFは、(8)式より、
PCF=V・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2)
で表され、位相差θを180[deg]からゼロまで減少させると、出力電圧vPCFのレベルがゼロから単調増加する。位相差がなくなると、vPCF=vPCとなる。
図15に示す構成でも図2に示す構成と同様に、出力電圧voutの出力開始時に発生するオーバーシュートやリンギングを防止若しくは抑制する効果を奏する。高周波生成部Uを3個以上設ける場合も同様である。
また、高周波生成部U’でも複数の高周波生成部U’を図13又は図14の回路構成で結合し、各高周波電力部U’の出力電力を合成して負荷に出力することができる。そして、その場合でも最終段のRF合成部5”からフィルタ回路6を介して負荷に高周波電圧voutをパルス出力するとき、高周波電圧voutを各パルス出力の各出力開始時から漸増させ所定の時間tWが経過した後に目標値に上昇させることにより、出力開始時のオーバーシュートやリンギングを抑制することができる。
なお、図15の回路構成で高周波生成部Uを図10に示す高周波生成部U’に置き換えた場合は、高周波信号生成部8から、各高周波生成部U’内の第1のDC-RF変換部4Aにそれぞれ高周波電圧v1=A・sin(ω・t)が入力され、各高周波生成部U’内の第2のDC-RF変換部4Bにそれぞれ高周波電圧v2=A・sin[ω・t+θ(t)]が入力され、各高周波生成部U’内の第3のDC-RF変換部4Cにそれぞれ高周波電圧v3=A・sin[ω・t−θ(t)]が入力される。
そして、0≦t≦tWの期間では、各高周波生成部U’ の第1,第2,第3のDC-RF変換部4A,4B,4Cから出力される高周波電力P1,P2,P3を位相差θ(t)に応じた所定の割合で合成した電力PPCに対応する電圧vPCが出力され、RF合成部5”の出力電圧vPCFもvPCと同様の変化で出力される。すなわち、0≦t≦tWの期間では、位相θの大きさを120[deg]からゼロまで減少するため、出力電圧vPCFのレベルがゼロから単調増加する。tW≦tの期間ではθ(t)=0であるから、RF合成部5の出力電圧vPCは、vPC=A・sin(ω・t)となり、RF合成部5”の回路構成をRF合成部5’と同じ構成(図11)にした場合、RF合成部5”の出力電圧vPCFもvPCF=vPC=A・sin(ω・t)となる。
上記のように、本発明は、2つの高周波電力を合成する高周波生成部U若しくは3つの高周波電力を合成する高周波生成部U’を備え、負荷に高周波電圧をパルス出力するときに、高周波生成部U若しくは高周波生成部U’に入力する2つ若しくは3つの高周波電圧の相互の位相差を所定の時間twだけ所定値からゼロに変化させて負荷に出力される電圧をゼロから所定のレベルに漸増させることにより、パルス出力の各出力開始時に発生するオーバーシュートやリンギングを抑制若しくは防止することを要旨とするから、プラズマ処理システム用の高周波電源に限定されるものではない。
また、本発明は、高周波電圧をパルス出力させる場合だけでなく、連続出力させる場合にも適用でき、周波数帯もプラズマ処理システムに適用される周波数帯に限定されるものではなく任意の周波数体に適用できることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、D級パワーアンプを用いて負荷に出力する高周波電力を生成するる回路構成について説明したが、本発明は、リニアアンプを用いて高周波電力を生成する回路構成でも適用することができる。この場合は、リニアアンプに入力する高周波電圧を変化させてリニアアンプから出力を開始するときに出力レベルをゼロから漸増させるようにすればよい。
1 高周波電源
2 AC−DC変換部
3 DC−DC変換部
4 DC−RF変換部
4A 第1のDC−RF変換部(高周波生成手段)
4B 第2のDC−RF変換部(高周波生成手段)
4C 第3のDC−RF変換部(高周波生成手段)
401 ローパスフィルタ
5,5” RF合成部(高周波合成手段)
5’ RF合成部
6 フィルタ回路
7 PWM信号生成部
8 高周波信号生成部
8a 第1の高周波発生回路
8b 第2の高周波発生回路
9 制御部(出力制御手段)
10 負荷
11 方向性結合器
T1〜T6 トランス
R,Z,Z1,Z2,Z3 抵抗
U,U’ 高周波生成部(高周波電力生成手段)

Claims (6)

  1. 高周波電力を生成する高周波電力生成手段と、
    前記高周波電力生成手段で生成した前記高周波電力の負荷への出力を制御する出力制御手段と、
    を備えた高周波電源であって、
    前記高周波電力生成手段は、
    相互の位相差が変更可能な複数の高周波を生成する高周波生成手段と、
    前記高周波生成手段から出力される複数の高周波を、相互の位相差に基づく所定の割合で合成して前記負荷に出力する高周波合成手段と、
    を含み、
    前記出力制御手段は、
    前記高周波生成手段から前記複数の高周波の出力を開始するとき、その出力開始時から所定の時間が経過するまで前記複数の高周波の相互の位相差を所定の値からゼロまで所定の特性で変化させて、出力開始時の前記高周波合成手段から前記負荷に出力される高周波のレベルをゼロから所定のレベルに漸増させる、
    ことを特徴とする、高周波電源。
  2. 前記所定の特性は、前記位相差を所定の値からゼロまで連続的若しくは段階的に減少させる特性である、請求項に記載の高周波電源。
  3. 前記高周波生成手段は、第1の高周波と第2の高周波を生成し、
    前記出力制御手段は、前記第1の高周波に対する前記第2の高周波の位相差を180度からゼロまで減少させる、請求項又はに記載の高周波電源。
  4. 前記高周波生成手段は、第1の高周波と第2の高周波と第3の高周波を生成し、
    前記出力制御手段は、前記第1の高周波に対する前記第2の高周波の位相差を120度からゼロまで減少させ、前記第1の高周波に対する前記第3の高周波の位相差を−120度からゼロまで増加させる、請求項又はに記載の高周波電源。
  5. 前記出力制御手段は、前記高周波生成手段に前記所定の時間よりも長いハイレベル期間を有する矩形波の出力制御信号を出力して当該出力制御信号のハイレベル期間に前記複数の高周波を生成させることにより、前記高周波合成手段から高周波をパルス出力させる、請求項乃至のいずれかに記載の高周波電源。
  6. 2つの前記高周波電力生成手段と、前記2つの高周波電力生成手段から出力される2つの高周波電力を合成する第2の高周波合成手段とを含む構成を少なくとも1つ備え、
    前記出力制御手段は、前記第2の高周波合成手段から前記負荷への出力を開始するとき、その出力開始時から所定の時間が経過するまで各高周波電力生成手段に含まれる前記高周波生成手段に対して当該高周波生成手段で生成される前記複数の高周波の相互の位相差を所定の値からゼロまで変化させて各高周波電力生成手段に含まれる前記高周波合成手段から出力される高周波のレベルをゼロレベルから所定のレベルに漸増させる、請求項乃至のいずれかに記載の高周波電源。
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