JP5945480B2 - 銀ペースト組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[2]銀ペースト組成物中に(B)樹脂を含み、(A)銀粒子に対する(B)樹脂の質量比率が30:70〜99:1である、上記[1]記載の銀ペースト組成物に関する。
[3](D)硬化剤を含む、上記[1]又は[2]記載の銀ペースト組成物に関する。
[4](E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[5](A)銀粒子の開放連通多孔内に、(B)樹脂、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含む、上記[4]記載の銀ペースト組成物に関する。
[6](A)銀粒子の開放連通多孔体内の含有物の量が、(A)銀粒子と含有物との合計量に対して1〜30質量%である、上記[5]記載の銀ペースト組成物に関する。
[7]画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50が0.5〜6μmである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[8](A)銀粒子のBET比表面積が1〜8m2/gである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[9]画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積10%粒径D10が0.5〜2.5μmであり、(A)銀粒子の体積基準の累積90%粒径D90が3〜6μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.5である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[10]式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出される式(2)で表される数値Kが、3≦K≦72である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない(A)銀粒子の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSはBET法による(A)銀粒子の比表面積である。)
[11](B)樹脂が、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[12](B)樹脂が熱可塑性樹脂であり、熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、上記[11]記載の銀ペースト組成物に関する。
[13](B)樹脂が熱硬化性樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ウレタン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より得ばれる少なくとも1種の樹脂である、上記[11]記載の銀ペースト組成物に関する。
[14](C)分散剤が、脂肪酸又はその塩、界面活性剤、有機金属及び保護コロイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の分散剤である、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[15](D)硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤である、上記[3]〜[14]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[16](E)フラックス剤が、ロジン系フラックス剤、変性ロジン系フラックス剤及び有機酸系フラックス剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のフラックス剤であり、上記[4]〜[15]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[17](F)硬化促進剤が、イミダゾール類及び第三級アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化促進剤である、上記[4]〜[16]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[18]本発明は、上記[1]〜[17]のいずれかに記載の銀ペースト組成物を用いて形成した導電体に関する。
[19]本発明は、上記[1]〜[17]のいずれかに記載の銀ペースト組成物を用いて形成した電子部品に関する。
[20]本発明は、銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る工程と、次いで還元剤を前記水溶液に添加して液相中に開放連通多孔である銀粒子を析出させる工程と、得られた(A)開放連通多孔体である銀粒子と(B)樹脂とを混合する工程とを含む銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[21]銀塩が、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀及び塩化銀からなる群より選ばれる少なくとも1種の銀塩である、上記[20]記載の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[22]多価カルボン酸が、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸及びマロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸である、上記[20]又は[21]の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[23]還元剤が、アスコルビン酸である、上記[20]〜[22]のいずれかに記載の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[24]銀塩と多価カルボン酸と還元剤との添加割合がモル比率で1:0.1〜0.5:0.5〜1である、上記[20]〜[23]のいずれかに記載の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
本発明は、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と、(B)樹脂及び/又は(C)分散剤とを含む銀ペースト組成物である。
本発明の銀ペースト組成物に用いる(A)銀粒子は、球状の開放連通多孔体である。本発明に用いる(A)銀粒子は、(A)銀粒子の開放連通孔内に(B)樹脂等の成分を含有させることができる。本発明の銀ペースト組成物は、開放連通多孔を有する(A)銀粒子と(B)樹脂とを含むことによって、開放連通多孔を有していない銀粒子と樹脂とを含む銀ペースト組成物と比較して、弾性率や強度を維持したまま、粘度の上昇を抑制し、電気抵抗率の上昇を抑制し、電気抵抗率を低下することの可能な導電材料として優れた特性を有する銀ペースト組成物を提供することができる。また、本発明の銀ペースト組成物は、開放連通多孔を有する(A)銀粒子と(C)分散剤とを含むことによって、(A)銀粒子の開放連通多孔内に(C)分散剤を含有させるとともに、(A)銀粒子の表面が(C)分散剤で処理され、(A)銀粒子の凝集を抑制することができ、銀ペースト組成物を硬化させることによって、均一かつ緻密な薄膜状に形成された導電体を得ることができ、導電体の電気抵抗率の低下することができる。
球状の開放連通多孔体である銀粒子は、画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50が、好ましくは0.5〜6μm、より好ましくは0.8〜5μm、さらに好ましくは1〜4μmである。本明細書において、画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50、累積90%粒径D90、累積10%粒径D10は、いずれも走査型電子顕微鏡(SEM)にて銀粒子を観察し、所定の倍率で撮影した銀粒子画像ファイル情報に対して、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac−View」Ver.1を用いて銀粒子を1粒子ごと測定し、ランダムに選択した50個の銀粒子について、体積基準の累積50%粒径D50、累積90%粒径D90、累積10%粒径D10をいうものとする。
(A)銀粒子は、画像解析式粒度分布測定法による(A)銀粒子の体積基準の累積10%粒径D10が0.5〜2.5μmであり、(A)銀粒子の体積基準の累積90%粒径がD90が3〜6μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.5であることが好ましい。(A)銀粒子のD10とD90、かつD90/D10が上記範囲内であると、粒径のばらつきが少なく、粒度分布がシャープで粒径が揃っており、銀ペースト組成物中における銀粒子の分散性が良好であり、弾性率や強度を維持したまま、粘度や電気抵抗率の上昇を抑制し、又電気抵抗率を低下することができる導電性材料として優れた銀ペースト組成物を提供することができる。(A)銀粒子は、画像解析式粒度分布測定法によるD10が0.8〜2.4μmであり、D90が3.5〜5.5μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.4であることがより好ましく、画像解析式粒度分布測定法によるD10が1〜2.4μmであり、D90が4〜5μmであり、かつD90/D10が1.7〜2.3であることがさらに好ましい。
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態でBET法により測定した比表面積が、好ましくは1〜8m2/g、より好ましくは2〜7m2/g、さらに好ましくは2.5〜6m2/g、特に好ましくは3〜5.5m2/gである。球状の銀粒子は、通常、累積50%粒径D50が大きいと、BET比表面積は小さくなる傾向があり、銀粒子の累積50%粒径D50が小さいと、BET比表面積が大きくなる傾向がある。銀粒子のD50が0.5〜6μmであり、BET比表面積が上記範囲内である場合には、銀粒子のD50が0.5〜6μmと比較的大きい粒径であるのに対して、BET比表面積が大きく、(A)銀粒子が粒径に対して大きな比表面積を有し、開放連通孔を多数有することを示している。(A)銀粒子のBET比表面積が上記範囲内であると、銀ペースト組成物中での銀粒子の分散性に優れるととともに、(A)銀粒子の開放連通孔内に樹脂を含むことができ、この樹脂が開放連通孔に含まれない樹脂と作用して、後述するように、弾性率や強度を維持したまま、粘度や電気抵抗率の上昇を抑制し、又電気抵抗率を低下することができる導電性材料として優れた銀ペースト組成物を提供することができる。BET比表面積は、例えば後述する実施例の方法で測定することができる。
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態のタップ密度が、好ましくは1〜6g/cm3、より好ましくは1.5〜5.5g/cm3、さらに好ましくは1.8〜4.5g/cm3である。本明細書において、タップ密度とは、タップ密度測定器(蔵持科学機器製)を用いて、試料10gを10mL沈降管に精評し、400回タッピングを行い、タップ密度を算出した値をいう。本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子のタップ密度が上記範囲内であると、比較的小さい含有率で充分な導電性を示し、電気抵抗率の上昇を抑制し、又は電気抵抗率を低下させることができる。(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態では、内部に空隙部を有していない同じ直径の球状の銀粒子と比較して、タップ密度が大きくなる。一方、本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子は、均一かつ緻密に結晶成長した構造であるため、例えば薄く針状に結晶成長した樹状部を有する銀粒子と比較して、タップ密度は小さくなる。また、本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子は、例えばフレーク状の銀粒子と比較して、タップ密度は小さくなる。なお、ここでフレーク状ないし扁平状の銀粒子とは、走査型電子顕微鏡(SEM)にて銀粒子を観察し、2つの面を有するような板状の銀粒子をいい、粒子50個を観察した際の銀粒子の長径の平均値と、銀粒子の厚さの平均値との比(アスペクト比)である銀粒子の厚さの平均値:銀粒子の長径の平均値が1:1.1以上のものをいう。
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、下記式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出される下記式(2)で表される数値Kが、3≦K≦72であることが好ましい。下記一般式(2)で表される数値Kは、より好ましく3≦K≦60、さらに好ましくは3≦K≦40、特に好ましくは3≦K≦15である。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない(A)銀粒子の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSはBET法による(A)銀粒子の比表面積である。)
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態で、倍率20,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した銀粒子の断面画像を、特定の画像解析ソフトウェアを用いて画像解析処理して得られる空隙部分の面積SAが、20≦SA≦40であることが好ましい。ここで、空隙部分の面積は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態の(A)銀粒子をアルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E-3500)を用い、ビーム径が半値幅で400μm、イオンガン6kV(加速電圧:6kV、放電電圧:4kV、放電電流:400μA、照射電流:100μA)の条件でイオンミリングし、イオンミリングした(A)銀粒子の断面を20,000倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した。撮影した(A)銀粒子の断面の画像ファイル情報は、画像解析ソフトウェア(三谷商事社製 商品名:「WinROOF」)を用いて、画像解析し、(A)銀粒子の断面に存在する全ての空隙部分の面積を算出した。空隙部分の面積SAは、(A)銀粒子の50個の空隙部分の面積の平均値を算出した値とした。
本発明の銀ペースト組成物は、(B)樹脂を含むものである。銀ペースト組成物中に含まれる(A)銀粒子に対する(B)樹脂の質量比率(A:B)は、好ましくは30:70〜99:1であり、より好ましくは50:50〜99:1であり、さらに好ましくは60:40〜99:1である。銀ペースト組成物中の(A)銀粒子に対する(B)樹脂の質量比率が上記範囲内であると、(A)銀粒子の分散性、導電性を損ねることなく、適量の(B)樹脂を(A)銀粒子の開放連通孔に含ませることが可能であり、(A)銀粒子の開放連通孔に含まれる(B)樹脂と、開放連通孔に含まれない(B)樹脂との相互作用により、比較的低温(例えば120〜200℃)で溶融し、厚さ25μm程度の均一な厚さを有し、電気抵抗率の低い、優れた導電性を有する薄膜状の導電体を得ることができる。
本発明の銀ペースト組成物は、(C)分散剤を含むものであってもよい。(C)成分の分散剤としては、(A)銀粒子の分散剤として公知のものを用いることができ、例えばステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族第四級アンモニウム等の界面活性剤;クエン酸マグネシウム、ジエチル亜鉛等の有機金属;イミダゾール、オキサゾール等のキレート形成剤;ゼラチン、アルブミン等の保護コロイド等が例示される。銀ペースト組成物中に含まれる(C)分散剤としては、脂肪酸又はその塩、界面活性剤、有機金属及び保護コロイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の分散剤であることが好ましい。
本発明の銀ペースト組成物は、さらに(D)硬化剤を含むものであることが好ましい。
(D)成分の硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として公知のものを用いることができ、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤を例示することができる。(D)成分のフェノール系硬化剤としては、フェノール樹脂が例示され、フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂と反応し得るフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができる。例えば、レゾール型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂等が例示される。
(D)硬化剤がアミン系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)に対する、アミン系硬化剤のアミン価(mgKOH/g)の比(アミン価/エポキシ当量)が、好ましくは0.001〜3(mgKOH/g)、より好ましくは0.01〜2(mgKOH/g)、さらに好ましくは0.05〜1.5(mgKOH/g)となるように配合することが好ましい。ここで、アミン価とは、アミン系硬化剤の固形分1gを中和するのに必要な塩酸と同モルの水酸化カリウムのmg数をいう。
(D)硬化剤がイミダゾール系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、イミダゾール系硬化剤が、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.25〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部となるように配合することが好ましい。
(D)硬化剤が酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)に対する、硬化剤の酸無水物当量(g/eq)の比(酸無水物当量/エポキシ当量)が、好ましくは0.05〜10、より好ましくは0.1〜5当量、さらに好ましくは0.5〜3当量となるように配合することが好ましい。
フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤のうち、いずれか2種を併用する場合には、各硬化剤が上記量となるように添加すればよい。
本発明の銀ペースト組成物は、さらに(E)フラックス剤を含むものであってもよい。(E)成分のフラックス剤としては、ロジン系フラックス剤、変性ロジン系フラックス剤及び有機酸系フラックス剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のフラックス剤であることが好ましい。ロジン系フラックス剤としては、天然ロジン、重合ロジン、水添ロジン等が例示される。変性ロジン系フラックス剤としては、酸変性ロジンフラックス剤等が例示される。有機酸系フラックス剤としては、アビチエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸、吉草酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が例示される。
本発明の銀ペースト組成物は、さらに(F)硬化促進剤を含むものであってもよい。(F)成分の硬化促進剤としては、(B)成分としてエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂の硬化促進剤として公知のものを用いることができ、例えば2−メチルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の複素環化合物イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のリン化合物類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンやその塩等のBBU類、アミン類、イミダゾール類をエポキシ、尿素、酸等でアダクトさせたアダクト型促進剤類等が例示される。なお、(D)成分のイミダゾール系硬化剤と、(F)成分のイミダゾール類とは、同一のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
本発明の銀ペースト組成物の製造方法は、銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る工程と、次いで還元剤を前記水溶液に添加して液相中に開放連通多孔である銀粒子を析出させる工程と、得られた(A)開放連通多孔体である銀粒子と(B)樹脂とを混合する工程とを含む。
まず、銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る。
銀塩は、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀及び塩化銀からなる群より選ばれる少なくとも1種の銀塩であることが好ましい。
次に、銀イオンを含む水溶液に還元剤を添加して、球状の開放連通多孔体である銀粒子を析出させる。還元剤としては、アスコルビン酸が例示され、アスコルビン酸とは、D−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸等の異性体を含む。アスコルビン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と(B)樹脂とを混合する。(A)銀粒子と(B)樹脂と、その他の成分との混合は、流星型撹拌機、ディソルバー、ビーズミル、ライカイ機、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の混合機を用いて行うことができる。このようにしてスクリーン印刷、浸漬、他の所望の塗膜形成方法に適する見かけ粘度を有する銀ペースト組成物を製造することができる。
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、他の成分と混合した際に、銀粒子の開放連通孔内に他の成分が入り込み、他の成分を開放連通孔内に含む(A)銀粒子と、(B)樹脂等を混合することにより、粘度の上昇や電気抵抗率の上昇を抑制することができ、電気抵抗率を低下することができる等の導電材料として優れた特性を有する銀ペースト組成物を提供することができる。
以下のようにして、球状の開放連通多孔体である銀粒子aを製造した。
〔銀イオンを含む水溶液を得る工程〕
硝酸銀水溶液10kg(濃度10mol%/L)、クエン酸水溶液4kg(濃度10mol%/L)、25℃の純水20kgをそれぞれ秤量した後、50リットル(L)のステンレス製タンクに投入し、室温(25℃±10℃)で、撹拌機(島崎製作所製、商品名:ジェット式アジター)を用いて30分撹拌し、硝酸銀及びクエン酸の混合液を調製した。
次に、アスコルビン酸水溶液17kg(L−アスコルビン酸水溶液;濃度5mol%/L)、25℃の純水300kgをそれぞれ秤量した後、450リットルのステンレス反応タンクに投入し、室温(25℃±10℃)で、撹拌機(島崎製作所製、商品名:ジェット式アジター)を用いて30分撹拌し、調製した。硝酸銀とクエン酸とアスコルビン酸の添加割合は、モル比率(硝酸銀:クエン酸:アスコルビン酸)で1:0.4:0.85であった。
次に、600mm径のステンレス製4枚羽根を有する撹拌機(500rpm)を用いて、調製したアスコルビン酸水溶液に、硝酸銀及びクエン酸の混合液を一括投入し、硝酸銀及びクエン酸の混合液とアスコルビン酸水溶液とを混合した。
硝酸銀及びクエン酸の混合液に、アスコルビン酸水溶液を添加した後、数秒後に還元反応が始まり、還元反応に伴う発泡現象が終了した後、15〜25℃で30分間撹拌を継続し、その後、撹拌を停止した。還元反応後における硝酸銀、クエン酸及びアスコルビン酸の混合液のpHは2であった。
反応液を静置後、上澄み液を除去し、沈殿している銀粒子をヌッチェを用いて濾過し、濾過した銀粒子Aをステンレスバッド上に広げ、60℃に保持した乾燥機中で15時間乾燥した。乾燥後、BET比表面積が3.2m2/gであり、図1〜4のSEMで撮影した画像に示す銀粒子が得られた。
開放連通多孔体ではない球状の銀粒子bを以下のように製造した。
硝酸銀水溶液(濃度0.15mol/L)6リットルとアンモニア水(濃度25wt%)200mlとを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これに還元剤として水和ヒドラジン(濃度80wt%)20gを添加することにより銀粒子bを還元析出させ、濾過、洗浄、乾燥させて球状銀粉を得た。還元反応後における銀アンミン錯体とヒドラジンとを含む混合液のpHは2であった。
銀粒子bは、従来の方法によって製造されたものであり、粒子が樹状ではなく、層を重ねて太るように成長している。図5に示すように、銀粒子bは、粒径にばらつきが生じ、また、銀粒子同士が表面で強固に融着し、凝集が起こり易くなる。銀粒子bは、樹状に結晶成長しておらず、金属粒子内に空隙が殆どないため、SA値を測定することができなかった。
フレーク状の銀粒子cを以下のように製造した。
硝酸銀溶液(銀濃度:7.7質量%)3650gに、還元剤としてホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド濃度:37質量%)166gを加え、撹拌しながらアンモニア水溶液(アンモニア濃度:25質量%)710gを加え、銀粉を含むスラリーを生成した。得られたスラリーを濾過、水洗した後、75℃で乾燥した。得られた銀粉107gに、分散剤としてステアリン酸を、銀粉に対して0.4質量%となる量を加えてよく混ぜ、SUSボール1107g(直径1.6mm)とともに、転動ボールミルに入れて、回転数116rpm、処理時間15時間の条件でフレーク化処理し、フレーク状銀粉を得た。
銀粒子cは、フレーク状のものであり、図6に示すようにSEMにて銀粒子cを観察し、2つの面を有するような板状の銀粒子cの直径の平均値を、銀粒子の厚さの平均値で除したアスペクト比が1:10である。
<BET比表面積>
全自動比表面積測定装置Macsoeb(MOUNTEC社製)を用いて測定した。100℃で予備乾燥し、10分間窒素ガスを流したのち、窒素ガス吸着によるBET1点法により測定した。
タップ密度測定器(蔵持科学機器製)を用いて測定した。試料10gを10mLの沈降管に精評し、ストローク長15mmのタップを400回行い、そのときの密度をタップ密度とした。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて銀粒子を観察し、倍率20,000で撮影した銀粒子画像ファイル情報に対して、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac−View」Ver.1を用いて銀粒子を1粒子ごと測定し、ランダムに選択した50個の銀粒子について、体積基準の累積50%粒径D50、累積90%粒径D90、累積10%粒径D10を測定した。
K値を、下記式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出した。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない、試料(銀粒子)の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSは銀粒子のBET比表面積である。)
試料(銀粒子)をアルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E−3500)を用い、ビーム径が半値幅で400μm、イオンガン6kV(加速電圧:6kV、放電電圧:4kV、放電電流:400μA、照射電流:100μA)の条件でイオンミリングし、イオンミリング試料の断面を20,000倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した。撮影した(A)銀粒子の断面の画像ファイル情報は、画像解析ソフトウェア(三谷商事社製 商品名:「WinROOF」)を用いて、画像解析し、試料の断面に存在する全ての空隙部分の面積を算出した。空隙部分の面積SAは、試料の50個の空隙部分の面積の平均値を算出した値とした。
〔(A)銀粒子と(B)樹脂との混合〕
次に、(A)成分の銀粒子aを100質量部と、(B)成分の樹脂であるエチルセルロースを5質量部とを、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を、80℃で30分乾燥させた乾燥膜と、300℃で1時間加熱した状態と、500℃で1時間加熱した状態と、700℃で1時間加熱した状態を加熱させて硬化させ、硬化体を得た。得られた各硬化体の倍率2,000倍のSEM写真を、図7に示す。
銀粒子b又は銀粒子cに変更したこと以外は、実施例aと同様にして、硬化体を得た。得られた硬化体の倍率2,000倍のSEM写真を、図7に示す。
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを100質量部と、(B)成分のガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーである、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエン(HycarCTBN、以下、「CTBN」とも記す。宇部興産社製)を10質量部を混合し、銀粒子aの開放連通孔内にCTBNを含有させた銀粒子を得た。含有物であるCTBNは、銀粒子aとCTBNの合計100質量%に対して、10質量%であった。(A)成分及び(B)成分を含む開放連通孔にCTBN10質量%含有させた銀粒子a110質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂90質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を200℃で30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
(A)成分の銀粒子aの開放連通孔に、(B)成分である熱可塑性エラストマー(CTBN)を20質量%を含有させた銀粒子aを用いて、この(A)成分及び(B)成分を含む銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂と、(D)成分の硬化剤とを表2に示す配合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を実施例1と同様に硬化させて、導電体を得た。
(A)成分の銀粒子aの開放連通孔に、(B)成分である熱可塑性エラストマー(CTBN)を10質量%を含有させていない銀粒子aを用いて、この(A)成分の銀粒子と、(B)成分のエポキシ樹脂と、(D)成分の硬化剤とを表2に示す配合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を実施例1と同様に硬化させて、導電体を得た。
開放連通多孔体ではない銀粒子bを用いて、表2に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、CTBNと、硬化剤とを混合したこと以外は、実施例1と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を実施例1と同様に硬化させて、導電体を得た。
<弾性率の測定>
テフロン(登録商標)板に耐熱テープ2枚の厚さで比較例、実施例の銀ペースト組成物を塗布し、200℃で30分間硬化させた。硬化後、試験片をテフロン(登録商標)板から剥がし、150℃で10分間焼きなましを行った。得られた硬化膜から1cm×4cmの大きさの試験片を切り出し、曲げ試験用試料とした。試験片は、150℃で0時間、20時間、100時間、1,000時間エージングを行った。各々の試験片は、島津サイエンス社製オートグラフで曲げ弾性率を測定した。
実施例及び比較例の銀ペースト組成物を、幅20mm、長さ20mm、厚さ1mmのアルミナ基板上に、250メッシュのステンレス製スクリーンを用い、長さ71mm、幅1mm、厚さ20μmのジグザグパターン印刷を行い、大気中で、200℃、30分間硬化させ、外部電極を形成した。ジグザグパターンの厚さは、東京精密社製の表面粗さ形状測定機(製品名:サーフコム1400)にて、パターンと交差するように測定した6点の数値の平均より求めた。硬化後、LCRメーターを用い、4端子法で比抵抗を測定した。測定した値に基づき、以下の式(3)を用いて、熱可塑性エラストマー(CTBN)含有していない、開放連通多孔体である銀粒子を用いた比較例3の銀ペースト組成物に対して、抵抗上昇率を導き出した。
電気抵抗率の上昇率=各実施例及び比較例の比抵抗率/比較例3の比抵抗率・・・(3)
比較導き出した。
実施例及び比較例の銀ペースト組成物を、20mm2のアルミナ基板上にドットパターンをスクリーン印刷し、その上に1.5×3.0mmのアルミナチップをのせ、200℃で30分間硬化させた。その後、接着面をプッシュプルゲージで側面から突き、アルミナチップが剥がれた時の数値を実測値とし、以下の式(4)を用いて接着強度を算出した。
接着強度(kN/cm2)=実測値(kgf)×9.8/0.03(cm2)・・・(4)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを100質量部と、(D)成分の硬化剤であるノボラック型フェノール樹脂10質量部(水酸基当量:110g/eq)とを混合し、銀粒子aの開放連通孔内にフェノール樹脂を含有させた銀粒子を得た。含有物であるフェノール樹脂の量は、銀粒子aとフェノール樹脂との合計量100質量%に対して、10質量%であった。開放連通孔に(D)成分のフェノール樹脂を10質量%含有させた(A)成分の銀粒子a110質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂100質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)を3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。(B)成分のエポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)に対して、(D)成分のフェノール系硬化剤の水酸基当量(水酸基当量/エポキシ当量)は0.61であった。
開放連通孔内に(D)成分の硬化剤であるフェノール樹脂20質量%を含有させた(A)成分の銀粒子aを用いて、この銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂とを、表3に示す配合で混合したこと以外は、実施例4と同様にして、銀ペースト組成物を得た。
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを100質量部と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを混合し、銀粒子aの開放連通孔内に(D)成分の硬化剤を含有させた銀粒子を得た。(D)成分の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)の量は、(A)成分の銀粒子aと(D)成分の2E4MZとの合計量100質量%に対して、10質量%であった。開放連通孔に(D)成分の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量%含有させた(A)成分の銀粒子aを110質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂を100質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)とを、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、10質量部であった。
(A)成分の銀粒子aの開放連通孔に、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を20質量%を含有させた銀粒子aを用いて、この銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂とを、表3に示す配合で混合したこと以外は、実施例5と同様にして、銀ペースト組成物を得た。
開放連通多孔体ではない銀粒子bを用いて、表3に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを混合したこと以外は、実施例3と同様にして、銀ペースト組成物を得た。
<粘度上昇率の測定>
銀ペースト組成物を製造直後、ブルックフィールド社製HBT粘度計、14号スピンドルを用いて、10rpmにて粘度(V0)を測定した。製造後、24時間、240時間、25℃で保管した銀ペースト組成物を、同条件にて粘度(V1)を測定した。V0、V1から以下の式(5)を用いて粘度上昇率(%)を算出した。
粘度上昇率(%)=V1/V0×100・・・(5)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを80質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂を20質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを、3本ロールミル装置にて混練し、銀ペースト組成物を得た。銀ペースト組成物中の(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂の100質量部に対して、50質量部であった。この銀ペースト組成物を200℃、30分乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを80質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂20質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部、(E)成分のフラックス剤であるイソステアリン酸1質量部を、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。銀ペースト組成物中の(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂の100質量部に対して、50質量部であった。また、銀ペースト組成物中の(E)成分のフラックス剤の量は、(A)成分の銀粒子と(E)成分のフラックス剤の合計100質量部に対して、(E)成分のフラックス剤が1.25質量部であった。この銀ペースト組成物を200℃、30分乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
球状の開放連通多孔体である銀粒子aを80質量部と、(E)成分のフラックス剤であるイソステアリン酸を10質量部とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(E)成分のフラックス剤を含有させた銀粒子を得た。含有物であるフラックス剤の量は、(A)成分の銀粒子aと(E)成分のフラックス剤との合計量100質量部に対して10質量部であった。開放連通孔にフラックス剤を10質量部含有させた銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを3本ロールミル装置にて、混練りし、表4に示す配合で、銀ペースト組成物を得た。銀ペースト組成物中の(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂の100質量部に対して、50質量部であった。また、銀ペースト組成物中の(E)成分のフラックス剤の量は、(A)成分の銀粒子と(E)成分のフラックス剤の合計100質量部に対して、(E)成分のフラックス剤が11.1質量部であった。この銀ペースト組成物を200℃、30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
開放連通多孔体ではない、銀粒子bを用いて、表4に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、フラックス剤と、硬化剤を混合したこと以外は、実施例7と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を200℃、30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
フレーク状の銀粒子cを用いて、表4に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、フラックス剤と、硬化剤を混合したこと以外は、実施例7と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を200℃、30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
<抵抗率の測定>
実施例及び比較例の銀ペースト組成物を、幅20mm、長さ20mm、厚さ1mmのアルミナ基板上に、250メッシュのステンレス製スクリーンを用い、長さ71mm、幅1mm、厚さ20μmのジグザグパターン印刷を行い、大気中で200℃、30分間硬化させ、外部電極を形成した。ジグザグパターンの厚さは、東京精密社製の表面粗さ形状測定機(製品名:サーフコム1400)にて、パターンと交差するように測定した6点の数値の平均より求めた。硬化後、LCRメーターを用い、4端子法で比抵抗(抵抗率)を測定した。
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aと、(C)成分の分散剤であるオレイン酸(濃度1%)とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(C)成分のオレイン酸を含有させ、表面にオレイン酸を付着させた。(C)成分のオレイン酸の量は、(A)成分の銀粒子aと(C)成分のオレイン酸の合計量100質量%に対して、0.5質量%であった。図8(b)に、実施例11の銀粒子aの倍率10,000倍のSEM写真を示す。また、図8(a)に、(C)成分の分散剤を含有させていない、(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aの倍率10,000倍のSEM写真を示す。
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aと、(C)成分の分散剤であるゼラチン(濃度1%)とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(C)成分のゼラチンを含有させ、表面にゼラチンを付着させた。(C)成分のゼラチンの量は、(A)成分の銀粒子aと(C)成分のゼラチンの合計量100質量%に対して、0.5質量%であった。図8(c)に、実施例12の銀粒子aの倍率10,000倍のSEM写真を示す。
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aと、(C)成分の分散剤であるイミダゾール(濃度1%)とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(C)成分のイミダゾールを含有させ、表面にイミダゾールを付着させた。(C)成分のイミダゾールの量は、(A)成分の銀粒子aと(C)成分のイミダゾールの合計量100質量%に対して、0.8質量%であった。図8(d)に、実施例13の銀粒子aの倍率5,000倍のSEM写真を示す。
Claims (22)
- (A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と、(B1)樹脂とを含むことを特徴とする銀ペースト組成物であって、
(A)銀粒子の開放連通多孔内に、(B2)ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマー、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含み、
(A)銀粒子の開放連通多孔体内の含有物の量が、(A)銀粒子と含有物との合計量に対して1〜50質量%である、銀ペースト組成物。 - (A)銀粒子に対する(B1)樹脂の質量比率が30:70〜99:1である、請求項1記載の銀ペースト組成物。
- (A)銀粒子の開放連通多孔内に含まれる少なくとも1種の物が、(D)硬化剤である、請求項1又は2記載の銀ペースト組成物。
- (A)銀粒子の開放連通多孔内に含まれる少なくとも1種の物が、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- 画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50が0.5〜6μmである、請求項1〜4のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- (A)銀粒子のBET比表面積が1〜8m2/gである、請求項1〜5のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- 画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積10%粒径D10が0.5〜2.5μmであり、(A)銀粒子の体積基準の累積90%粒径D90が3〜6μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.5である、請求項1〜6のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- 式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出される式(2)で表される数値Kが、3≦K≦72である、請求項1〜7のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない(A)銀粒子の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSはBET法による(A)銀粒子の比表面積である。) - (B1)樹脂が、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂である、請求項1〜8のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- (B1)樹脂が熱可塑性樹脂であり、熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項9記載の銀ペースト組成物。
- (B1)樹脂が熱硬化性樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ウレタン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より得ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項9記載の銀ペースト組成物。
- (C)分散剤が、脂肪酸又はその塩、界面活性剤、有機金属及び保護コロイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の分散剤である、請求項1〜11のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- (D)硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤である、請求項1〜12のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- (E)フラックス剤が、ロジン系フラックス剤、変性ロジン系フラックス剤及び有機酸系フラックス剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のフラックス剤である、請求項1〜13のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- (F)硬化促進剤が、イミダゾール類及び第三級アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化促進剤である、請求項1〜14のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
- 請求項1〜15のいずれか1項記載の銀ペースト組成物を用いて形成した導電体。
- 請求項1〜15のいずれか1項記載の銀ペースト組成物を用いて形成した電子部品。
- 銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る工程と、次いで還元剤を前記水溶液に添加して液相中に開放連通多孔である銀粒子を析出させる工程と、
得られた(A)開放連通多孔体である銀粒子と、(B1)樹脂と、(B2)ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマー、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物とを混合する工程とを含む銀ペースト組成物の製造方法であって、
(A)銀粒子の開放連通多孔内に、(B2)ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマー、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含み、
(A)銀粒子の開放連通多孔体内の含有物の量が、(A)銀粒子と含有物との合計量に対して1〜50質量%である、銀ペースト組成物の製造方法。 - 銀塩が、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀及び塩化銀からなる群より選ばれる少なくとも1種の銀塩である、請求項18記載の銀ペースト組成物の製造方法。
- 多価カルボン酸が、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸及びマロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸である、請求項18又は19の銀ペースト組成物の製造方法。
- 還元剤が、アスコルビン酸である、請求項18〜20のいずれか1項記載の銀ペースト組成物の製造方法。
- 銀塩と多価カルボン酸と還元剤との添加割合がモル比率で1:0.1〜0.5:0.5〜1である、請求項18〜21のいずれか1項記載の銀ペースト組成物の製造方法。
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