JP2018206826A - 接合材、接合体および接合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、被接合物となる基板に接合材を塗布した後に予備乾燥を行い、予備乾燥膜を形成しておく。その後、予備乾燥膜に別の被接合物として電子部品を載置し、本接合より低い温度で加熱しかつ本接合より低い圧力で加圧して被接合物同士(すなわち基板と電子部品と)を仮接合させる(仮接合については特許文献1参照)。その後にプレス機により十分な加熱及び加圧を行い、基板と電子部品とを本接合させる。
金属粒子と、
環構成原子としてNを有する複素環式化合物と、
を含有する、接合材である。
前記金属粒子は銀粒子である。
前記複素環式化合物はアゾール化合物である。
前記金属粒子の平均一次粒子径は5nm〜10μmである。
前記金属粒子は炭素数8以下の有機化合物により被覆されている。
前記予備乾燥膜を、前記乾燥における温度未満の温度で2日以上放置した後に前記仮接合を行う。
本発明における接合材を構成する各要素について説明する。
本発明の接合材において使用する金属粒子には特に限定は無く、金属の種類としては銀、金、銅などを用いても構わない。接合力、耐酸化性やコストの観点から金属粒子としては銀粒子が好ましい。また、金属粒子の粒径(平均一次粒子径)にも特に限定は無いが、通常5nm〜10μmであり、接合力の観点から好ましくは500nm以下のナノサイズである。
更に具体的に言うと、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製のJEM−1011)又は走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ株式会社製のS−4700)により金属粒子を所定の倍率で観察した像(SEM像又はTEM像)上の100個以上の任意の金属粒子の一次粒子径からその平均値として算出することができる。この金属粒子の平均一次粒子径の算出は、例えば、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製のA像くん(登録商標))を使用して各金属粒子の外接円の直径の平均値を求めることにより行うことができる。
なお、平均一次粒子径が500nmを超えるサブミクロンないしミクロンサイズの金属粒子については、接合材中での充填性を高めるために、炭素数6〜24の脂肪酸(例えばオレイン酸やステアリン酸)やアミン(例えばヘキシルアミン、オクチルアミンやオレイルアミン)で被覆されていることが好ましい。
本発明の接合材においては上記の金属粒子に加え、環構成原子としてN(窒素)を有する複素環式化合物も含有させておく。予備乾燥膜を形成してから一定のインターバルを置いて仮接合したときに、インターバルなしの場合に比べて接合強度が低下する原因として、このインターバルの間に、予備乾燥膜中の残存有機物(金属粒子を被覆する有機化合物)が揮発し、予備乾燥膜が硬化して仮接合の接合条件では半導体素子が十分な接合強度で接合しなくなることが考えられる(以下、このような予備乾燥膜の変化を「予備乾燥膜の劣化」ともいう)。前記複素環式化合物は、前記の残存有機物の揮発を好適に補い、かつ長いインターバルにわたって予備乾燥膜の劣化を防止することができるものと考えられる。これにより、本発明の接合材の優れた仮接合強度の維持特性が発揮されるものと考えられる。
この複素環式化合物としては、環構成原子としてNを有していれば特に限定は無く、Nに加えて他の原子(例えばC(炭素)やS(硫黄))を有していても構わず、仮接合強度の維持の観点からアゾール化合物が好ましい。例えば、アゾール化合物としては、後述の実施例の項目にて使用している1,2,3−ベンゾトリアゾール(BTA)、2−ウンデシルイミダゾール(C11Z:四国化成工業株式会社の製品名。以降、アゾール化合物のカッコ内の英数字記載は同様。)、2−フェニルイミダゾール(2PZ)に加えて、1,2,4−チアゾール−1−カルボキシアミヂンヒドロクロリド(TZA)、t−ブトキシカルボニルイミノ−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−メチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(TZA−BOC)、チアゾール−2−カルボキシアルデヒド(2FTZ)、チアゾール−4−カルボキシアルデヒド(4FTZ)、チアゾール−5−カルボキシアルデヒド(5FTZ)、オキサゾール−2−カルボキシアルデヒド(2FOZ)、オキサゾール−4−カルボキシアルデヒド(4FOZ)、オキサゾール−5−カルボキシアルデヒド(5FOZ)、ピラゾール−4−カルボキシアルデヒド(4FPZ)、ピラゾール−3−カルボキシアルデヒド(3FPZ)、イミダゾール−4−カルボキシアルデヒド(4FZ)、2−フェニルイミダゾール−4−カルボキシアルデヒド(2P4FZ)、イミダゾール−2−カルボキシアルデヒド(2FZ)、イミダゾール−4−カルボニトリル(4CNZ)、2−フェニルイミダゾール−4−カルボニトリル(2P4NZ)、4−ヒドロキシメチルイミダゾールヒドロクロリド(4HZ−HCL)、2−ヒドロキシメチルイミダゾールヒドロクロリド(2HZ−HCL)、イミダゾール−4−カルボン酸(4GZ)、イミダゾール−4−ジチオカルボン酸(4SZ)、イミダゾール−4−チオカルボキシアミド(4TZ)、2−ブロモイミダゾール(2BZ)、2−メルカプトイミダゾール(2SHZ)が挙げられる。
以上説明した複素環式化合物の本発明の接合材中における含有量は、仮接合強度の維持の観点から、好ましくは0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.005〜0.5質量%である。
本発明の接合材は印刷しやすい形態とするため、通常溶剤を含んでいる。本発明において使用する溶剤には特に限定は無く、最終的に、金属粒子が焼結して接合層を形成することができ且つ印刷し易い粘度を有する接合材(金属ペースト)を得られればよい。溶剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、金属粒子の分散状態をより確実に保持するため、接合材に分散剤を添加してもよい。使用される分散剤には特に限定は無く、金属粒子の分散を保ち、焼結時には金属粒子から揮散するなどして離脱するものであればよい。この分散剤として、様々な市販の分散剤を使用することができる。その中でも酸系分散剤やリン酸エステル系分散剤を使用するのが好ましい。前記酸系分散剤としては、例えば、ブトキシエトキシ酢酸が挙げられる。これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記の各構成成分以外に、適宜、公知の成分を本発明の接合材に含有させても構わない。そのような成分の具体例としては、粘度調整剤、有機バインダー、無機バインダー、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤、レベリング剤、揮発抑制剤が挙げられる。
また本発明の接合材の好適な粘度は、それが適用される印刷方法によって変動するが、一般的な指標として、好ましくは5〜40Pa・sである。なお、本明細書において粘度は、他に特記しない限り、回転式動的粘弾性測定装置により25℃において5rpmの条件で測定するものとする。
次に、本発明の接合材の製造方法について説明する。接合材は、例えば、これを構成する各成分(金属粒子、環構成原子としてNを有する複素環式化合物、溶剤、分散剤等)を個別に用意し、これらを任意の順で、超音波分散機、ディスパー、三本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、二軸ニーダー、又は自転公転式攪拌機などで混合することによって製造することができる。具体的な手法としては公知の手法(例えば導電性ペーストの公知の製造方法)を採用しても構わない。
本発明の技術的思想は、上記の接合材を用いた接合方法にも適用可能である。具体的には、下記に説明する仮接合を伴う接合方法、特に予備乾燥膜を形成してから仮接合を行うまでに一定のインターバルが存在する接合方法に、本発明の接合材が好適に用いられる。
1.被接合物となる基板上に接合材を塗布した後に予備乾燥を行い、予備乾燥膜を形成する予備乾燥膜形成工程
2.予備乾燥膜に別の被接合物として半導体素子を配置し、加圧しながら加熱して被接合物同士(すなわち基板と半導体素子と)を仮接合させる仮接合工程
3.プレス機等により十分な加熱及び加圧を行って基板と半導体素子とを本接合させる本接合工程
上記の予備乾燥膜形成工程にて形成された予備乾燥膜に対し、半導体素子を載置し、3MPa以下で加圧しながら60〜150℃で加熱処理して仮接合させる。加圧は基板と半導体素子との間にかけ、より具体的には、例えば基板を固定した状態で、半導体素子の上から基板方向に半導体素子を押圧することで加圧する。このような加圧を行いながらの加熱処理により、予備乾燥膜を介して基板と半導体素子とを仮接合して仮接合体を形成する。その際、本発明の課題の項目にて述べたように製造ラインの構成等によっては予備乾燥から仮接合まで様々なインターバル(日数の間隔)が存在しうることを鑑み、予備乾燥における温度未満の温度で予備乾燥膜(より正確には基板と予備乾燥膜の積層体)を2日以上(通常1か月以下)放置してから仮接合を実施しても構わない。この放置の際の温度は通常室温である。
上記の仮接合工程によって予備乾燥膜を介して仮接合された基板および半導体素子(仮接合体)に対し、3MPaを超える加圧を行いながら、170℃以上(好ましくは170〜400℃、より好ましくは200〜300℃)で加熱処理する。加圧は基板と半導体素子との間にかけ、より具体的には、例えば基板を固定した状態で、半導体素子を上から、基板の方向へ向かって押圧することによって加圧を実施する。このような加圧を伴った加熱処理により予備乾燥膜中の金属粒子が焼結して接合層を形成し、この接合層により基板と半導体素子との接合が実現される。なお通常は仮接合体を形成した後、これを本接合の工程(を行うプレス機等)に搬送して本接合が実施されることになるので、仮接合体については、その形成から本接合が行われるまでに、仮接合の加熱温度より低い温度で30秒以上(通常6時間以下)の時間が経過することになる。
[ベースペーストの作製]
300mLビーカーに純水180.0gを入れ、硝酸銀(東洋化学株式会社製)33.6gを添加して溶解させることにより、原料液として硝酸銀水溶液を調製した。
また、5Lビーカーに3322.0gの純水を入れ、この純水内に窒素を30分間通気させて溶存酸素を除去しながら、40℃まで昇温させた。この純水に(銀粒子被覆用の)有機化合物としてソルビン酸(和光純薬工業株式会社製)44.8gを添加した後、安定化剤として28%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)7.1gを添加した。このアンモニア水を添加した後の水溶液を撹拌しながら、アンモニア水の添加時点(反応開始時)から5分経過後に、還元剤として純度80%の含水ヒドラジン(大塚化学株式会社製)14.91gを添加して、還元液として還元剤含有水溶液を調製した。
上記のベースペーストの組成を表1にまとめた。
上記ベースペーストの作製で得られたベースペースト100質量部に、0.005質量部の複素環式化合物(1,2,3−ベンゾトリアゾール:BTA)(関東化学株式会社社製)、そして先ほどベースペースト作製にて用いた各種化合物のうち6.7455質量部の溶剤(ODO)および0.7495質量部の溶剤(DBDG)を追加で混合し、この混合物を混練脱泡機(株式会社EME社製のV−mini300型)により公転速度1400rpm、自転速度700rpmで30秒間混練した。
上記実施例1での接合材の調製の際の混合割合を表2にまとめた。なお、後述する実施例2〜5及び比較例1の混合割合もまとめている。なお、混合後の組成については後述の表3にまとめている。
30mm×30mm×1mmの酸洗した銅基板(C1020)上に厚さ100μmのメタルマスクを配置し、スクリーン印刷機(パナソニックFSエンジニアリング株式会社製のSP18P−L)を使用してメタルスキージにより上記実施例1の接合材を10.5mm×10.5mmの大きさで厚さ(印刷膜厚)100μmになるように銅基板上に塗布した。印刷速度は30mm/s、印圧は7×10−2N/mm2、版離れ速度は3mm/sとした。
その後、接合材を塗布した銅基板を金属バットに載せ、オーブン(ヤマト科学株式会社製)内に設置し、大気雰囲気中において125℃で25分間加熱して予備乾燥することにより、接合材中の溶剤を除去して予備乾燥膜を形成した。
また、上記予備乾燥膜を1週間室温で放置した後で、その予備乾燥膜に対し同様な仮接合を実施して接合強度の試験を実施したところ、1.47MPaと十分な仮接合強度を確認した。
実施例1においては、インターバルをあけずに仮接合を行った場合の接合強度に対する、インターバルを1週間(室温)とした場合の接合強度の割合(%)(以下、単に「仮接合強度の割合」ともいう)も算出した。その結果、接合強度の割合は85.0%という高い値であり、予備乾燥膜が形成されてから被接合物同士を仮接合するまでのインターバルが長くなったとしても、インターバルなしで仮接合した場合と比べて接合強度の大幅な低下が発現しないようにすることができていた。
上記実施例1での接合材の組成表と試験結果を表3にまとめた。後述する比較例1及び実施例2〜5の結果もあわせてまとめた。
上記の接合材における複素環式化合物(実施例1ではBTA)の添加量やその種類を変えた接合材を用意し、同様の試験を実施した。なお、以降の実施例2〜5および比較例1における接合材の調製の際の混合表、接合材の組成および試験結果は実施例1と同じく表2および表3にまとめている。
この接合材の粘度は14.7(Pa・s)であり、接合材中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.8質量%であった。
仮接合強度の割合は67.9%という高い値であり(仮接合強度の具体的数値は表3参照)、予備乾燥膜が形成されてから被接合物同士を仮接合するまでのインターバルが長くなったとしても、インターバルなしで仮接合した場合と比べて接合強度の大幅な低下が発現しないようにすることができていた。
この接合材の粘度は14.5(Pa・s)であり、接合材中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.8質量%であった。
仮接合強度の割合は183.8%という高い値であり(仮接合強度の具体的数値は表3参照)、予備乾燥膜が形成されてから被接合物同士を仮接合するまでのインターバルが長くなったとしても、インターバルなしで仮接合した場合と比べて接合強度の大幅な低下が発現しないようにすることができていた。
この接合材の粘度は27.7(Pa・s)であり、接合材中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.8質量%であった。
仮接合強度の割合は385.3%という高い値であり(仮接合強度の具体的数値は表3参照)、予備乾燥膜が形成されてから被接合物同士を仮接合するまでのインターバルが長くなったとしても、インターバルなしで仮接合した場合と比べて接合強度の大幅な低下が発現しないようにすることができていた。
この接合材の粘度は25.1(Pa・s)であり、接合材中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.8質量%であった。
接合強度の割合は68.1%という高い値であり(仮接合強度の具体的数値は表3参照)、予備乾燥膜が形成されてから被接合物同士を仮接合するまでのインターバルが長くなったとしても、インターバルなしで仮接合した場合と比べて接合強度の大幅な低下が発現しないようにすることができていた。
比較例1においては、実施例1での接合材の調製の際に添加したBTAを添加しなかったことを除けば実施例1と同様とした。
この接合材の粘度15.8(Pa・s)であり、接合材中のAg濃度を熱減量法で求めたところ、Ag濃度は79.8質量%であった。
仮接合強度の割合は15.3%という非常に低い値であり(仮接合強度の具体的数値は表3参照)、予備乾燥膜が形成されてから被接合物同士を接合するまでのインターバルが長いとき接合強度が大幅に低下していた。
Claims (8)
- 金属粒子と、
環構成原子としてNを有する複素環式化合物と、
を含有する、接合材。 - 前記金属粒子は銀粒子である、請求項1に記載の接合材。
- 前記複素環式化合物はアゾール化合物である、請求項1または2に記載の接合材。
- 前記金属粒子の平均一次粒子径は5nm〜10μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の接合材。
- 前記金属粒子は炭素数8以下の有機化合物により被覆されている、請求項1〜4のいずれかに記載の接合材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の接合材により基板と半導体素子とが接合された接合体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の接合材を基板上に塗布し、形成された塗膜を60〜160℃で乾燥して予備乾燥膜とし、当該予備乾燥膜上に半導体素子を配置し、3MPa以下で加圧しながら60〜150℃で加熱処理することで仮接合して、前記基板、予備乾燥膜及び半導体素子からなる仮接合体を形成し、前記仮接合体について、その形成から前記仮接合における加熱処理の温度より低温で30秒以上経過した後、前記仮接合体に対して3MPaを超える加圧を行いながら170℃以上で加熱処理して本接合を行う、接合方法。
- 前記予備乾燥膜を、前記乾燥における温度未満の温度で2日以上放置した後に前記仮接合を行う、請求項7に記載の接合方法。
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