JP7281179B2 - 導電性接着剤及び導電性接着剤の使用方法 - Google Patents
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Description
特に、硬化後にミクロ相分離してなる導電性接着剤において、導電性粒子が、In-Situ重合(その場重合と称する場合がある。)させてなる領域よりも、ベース樹脂中に偏在しやすい導電性接着剤、及びそれを用いた導電性接着剤の使用方法に関する。
例えば、良好な接着性とリワーク性を兼ね備え、しかも低温接続性等が良好な導電性接着剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、導電性フィラーと、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる有機バインダーと、を含んでなる導電性接着剤であって、導電性フィラーの金属粒子は、複数の構成金属に鉛を含まず、該構成金属の濃度が金属粒子表面と、金属粒子内部とで連続的に変化し、有機バインダーの硬化温度近傍で溶融する金属粒子表面の低融点層と、金属粒子内部の高融点層と、を有することを特徴とする導電性接着剤である。
より具体的には、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂等と、熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホン樹脂等と、導電性粒子を含んでなる導電性接着剤であって、それを硬化させた場合に、熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂と、が相分離し、かつ、導電性粒子が偏在してなる導電性接着剤である。
そして、導電性粒子の形状としては、球状、凝集状、平板状、針状、棒状が好ましく、その平均粒径は0.01~20μmの範囲内の値である。
したがって、図7のラインAに示すように、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂等と、熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホン樹脂等と、導電性粒子を含んでなる導電性接着剤の場合、ラインBに示される、ポリエーテルスルホン樹脂を含んでいない導電性接着剤の場合と比較して、導電率は良好であった。
また、所定導電性を得るために配合する導電性粒子が相当量となるという問題が見られた。
その上、熱可塑性樹脂として、フェノキシ樹脂等を用いるとともに、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂等を用いており、相互に相溶性が良好な樹脂を用いていることから、ミクロ相分離を生じず、導電性粒子を偏在させるという意図は無かった。
すなわち、本発明は、In-Situ重合を利用して、比較的少量の導電性粒子の配合であっても、その導電性粒子をベース樹脂中に比較的多く偏在させてなる、良好な導電性等を有する導電性接着剤、及びそのような良好な導電性を容易に得るための導電性接着剤の使用方法を提供することを目的とする。
すなわち、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、が相分離(ミクロ相分離)し、かつ、ベース樹脂に含まれる導電性粒子が、多く偏在してなる導電性接着剤を得ることができる。
したがって、比較的少量の導電性粒子の配合であっても、ベース樹脂に対して、In-Situ重合させてなる領域よりも、相対的に多く偏在することから、良好な導電性を得ることができる。
タイプA:第1加熱処理前/第2加熱処理前の導電性接着剤(通常、液状)
タイプB:第1加熱処理後/第2加熱処理前の導電性接着剤(通常、液状)
タイプC:第1加熱処理後/第2加熱処理後の導電性接着剤(通常、固体状)
このような温度関係を満足することによって、熱硬化等する前の、比較的低粘度のベース樹脂中に挿入された状態のアクリル系モノマ等を含む場合であっても、In-Situ重合により、均一かつ精度良く重合化して、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、をミクロ相分離させることができる。
このようにベース樹脂領域が、熱硬化性エポキシ樹脂であれば、反応温度であるT2(℃)の調整が比較的容易であって、ΔT(T2-T1)を所定範囲内の値にし、さらには、ベース樹脂領域と、In-Situ重合させてなる領域と、を容易かつ精度良くミクロ相分離させることができる。
このようにIn-Situ重合させてなる領域が、アクリル系モノマ及びラジカル発生剤の組み合わせ等に由来しているのであれば、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、をさらに容易かつ精度良く、ミクロ相分離させることができる。
このように導電性粒子の含有量を制限することによって、比較的少量の導電性粒子の配合であっても、ベース樹脂に対して偏在させることにより、良好な導電性を得ることができる。
一方、さらに低い導電性を要求される用途、例えば、パワー半導体の電気接合部材等においては、相当量の導電性粒子の配合により、さらに発熱やクラックの発生が少ない導電性接着剤を提供することができる。
このような導電性接着剤の粘度であれば、液状の導電性接着剤として、ディスペンサー等を用いて、所定場所に精度良く適用することができ、また、導電性粒子等の沈降問題についても、容易に制御することができる。
このように導電性接着剤の比抵抗(導電率)を制限することによって、静電気シールド対策から、パワー半導体の接合部材など、導電性接着剤を幅広い用途に使用することが期待される。
(1)導電性粒子を含み、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、がミクロ相分離する導電性接着剤を準備する工程
(2)導電性接着剤を、被接着体に対して、適用する工程
(3)導電性接着剤を、加熱処理(第1の加熱処理)して、In-Situ重合させてなる領域を形成する工程
(4)ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域とを、ミクロ相分離させるとともに、ベース樹脂に含まれる導電性粒子の含有量をφ1(重量%)とし、In-Situ重合させてなる領域に含まれる導電性粒子の含有量をφ2(重量%)としたときに、φ1>φ2の関係を満足させる工程
すなわち、このように実施することによって、ベース樹脂が有する領域と、In-Situ重合させてなる領域と、が精度良く相分離(ミクロ相分離)し、かつ、導電性粒子がベース樹脂中に多く偏在してなる、導電性接着剤を効率的に得ることができる。
したがって、導電性接着剤の使用方法として、比較的少量の導電性粒子の配合であっても、ベース樹脂に、より多く偏在させられることから、良好な導電性を得ることができる。
第1の実施形態は、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、がミクロ相分離してなる導電性接着剤であって、導電性接着剤が、導電性粒子を含んでおり、ベース樹脂に含まれる導電性粒子の含有量をφ1(重量%)とし、In-Situ重合させてなる領域に含まれる導電性粒子の含有量をφ2(重量%)としたときに、φ1>φ2の関係を満足することを特徴とする導電性接着剤である。
以下、構成要件ごとに分けて、第1の実施形態の導電性接着剤を具体的に説明する。
(1)平均粒径
導電性粒子の平均粒径(体積平均粒径)は特に制限されるものではないが、通常、0.1~30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導電性粒子の平均粒径が0.1μm未満の値となると、凝集し易くなって取り扱い性が過度に低下する場合があるためである。
一方、かかる導電性粒子の平均粒径が30μmを超えた値となると、熱硬化させ、ミクロ相分離させた後の、熱硬化性樹脂における導電性粒子の偏在化が困難になったりする場合があるためである。
したがって、導電性粒子の平均粒径を0.5~15μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.5~5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、導電性粒子の平均粒径は、JIS Z 8819-2:2001に準拠して、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置により測定することができ、あるいは電子顕微鏡写真から実測することもでき、さらには当該電子顕微鏡写真から、画像処理装置を用いて算出することもできる。
また、導電性粒子の形態についても、特に限定されるものではないが、通常、球状、楕円球状、立方体状、棒状、毬栗状、薄片状、異形状、あるいはこれらの組み合わせであることが好ましい。
特に、導電性粒子の形態が、毬栗状及び薄片状であれば、熱硬化させ、ミクロ相分離させた後の熱硬化性樹脂における導電性粒子の偏在化が容易であることから、より好ましい形態である。
この理由は、このような中実銀粒子を用いることにより、毬栗状等であっても、銀粒子の結晶変化特性(銀粒子の長期形状保持性)を調節することができ、ひいては、導電性接着剤の嵩密度の調整が容易になるためである。
この理由は、このような中空銀粒子を用いることにより、導電性接着剤中での銀粒子の偏在化を、より容易に制御することができるとともに、導電性接着剤の軽量化及び低コスト化に資することができるためである。
また、導電性粒子の嵩密度を0.5~5g/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導電性粒子の嵩密度が0.5g/cm3未満の値となると、導電性接着剤における接着強度が低下する場合があるためである。
一方、かかる導電性粒子の嵩密度が5g/cm3を超えた値となると、ミクロ相分離した後の熱硬化性樹脂における偏在化が困難になったりする場合があるためである。
したがって、導電性粒子の嵩密度を1~4g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5~3g/cm3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる導電性粒子の嵩密度は、JIS K5101のタップ法に準拠して測定することができる。
また、導電性粒子の配合量を、導電性接着剤の全体量に対して、25~70重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、比較的少量の導電性粒子の配合であっても、比較的多量の導電性粒子の配合であっても、それぞれ均一かつ明確に偏在することにより、良好な導電性を得ることができるためである。
したがって、導電性粒子の配合量を、導電性接着剤の全体量に対して、30~60重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、35~50重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、導電性粒子の表面に、有機酸、有機酸塩、界面活性剤、及びカップリング剤の少なくとも一つを主成分としてなる表面処理層を有することが好ましい。
この理由は、このような表面処理層を有することにより、導電性粒子の結晶変化特性(例えば、銀粒子の長期形状保持性)を調節することができるためである。
なお、表面処理層を構成する主成分が有機酸又は有機酸塩であれば、熱硬化性樹脂に対する親和性が調節され、熱硬化処理によってミクロ相分離させた後の、熱硬化性樹脂における導電性粒子の偏在化がさらに容易になるという利点もある。
また、このような有機表面処理剤の種類としては、特に制限されるものではないが、通常、ヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、安息香酸、グルコン酸、桂皮酸、サリチル酸、没食子酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、アラキン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、2-ペンチルノナン酸、2-ヘキシルデカン酸、2-ヘプチルドデカン酸、イソステアリン酸、パルミトレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の一塩基酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、フタル酸、フマル酸等の二塩基酸等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
また、有機表面処理剤の配合量を、導電性粒子(銀粒子等)100重量部に対して、0.1~8重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように有機表面処理剤の配合量を調整することにより、導電性粒子の結晶変化特性を調節し、ひいては、導電性接着剤中での導電性粒子の偏在化を、さらに容易に制御できるためである。
すなわち、有機表面処理剤の配合量が0.1重量部未満の値となると、導電性粒子同士が凝集し易くなる場合があるためである。一方、有機表面処理剤の配合量が8重量部を超えた値となると、導電性粒子における良好な偏在化が得られなくなる場合があるためである。
したがって、有機表面処理剤の配合量を、導電性粒子100重量部に対して、0.5~7重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1~6重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
本発明の導電性接着剤を構成するにあたり、ベース樹脂として、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂、あるいはいずれか一方の樹脂を用いることが好ましい。
そして、第1の加熱処理により、ベース樹脂の中で、所定モノマ成分のIn-Situ重合を行い、所定領域(熱硬化領域及び/又は熱可塑領域)を形成させ、次いで、第2の加熱処理により、所定の導電性接着剤としての機能を発揮させることができる。
その場合、導電性接着剤を最終的に熱硬化等させた際に、In-Situ重合で得られてなる領域と、相互にミクロ相分離するようなベース樹脂を配合することが好ましい。
この理由は、In-Situ重合してなる領域と、相互に相分離するベース樹脂として配合することにより、比較的少量の導電性粒子の配合であっても、基本的に、ベース樹脂に対して、導電性粒子を集中的に偏在させることができ、例えば、図1のラインAに示すような良好な比抵抗(導電性)を得ることができるためである。
但し、ベース樹脂の種類、In-Situ重合してなる領域の種類、さらには、導電性粒子の表面処理剤や表面処理等を、それぞれ適宜制御することによって、ベース樹脂よりも、In-Situ重合してなる領域に対して、導電性粒子を集中的に偏在させられることも別途判明している。
そして、ラインAが示すように、ラインBと比較して、同じ銀添加量(例えば、40重量%~60重量%の範囲)では、In-Situ重合に基づく相分離状態を利用した導電性接着剤のほうが、比抵抗の値が、3桁程度低いことが理解される。
ベース樹脂に用いる樹脂の種類については、特に制限されるものではないが、例えば、熱硬化性樹脂として、エポキシ系樹脂(硬化剤を含む。)、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂(架橋アクリル系樹脂)、ウレタン系樹脂(架橋ウレタン系樹脂)、シリコーン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
そして、これらのうち、ベース樹脂に用いる樹脂として、硬化剤を含むエポキシ系樹脂がより好ましいと言える。
この理由は、このような硬化剤を含むエポキシ系樹脂を用いることにより、In-Situ重合してなる領域と、相互極性の制御が容易で、ひいては、相分離が容易に生じて、ベース樹脂中での導電性粒子の偏在がさらに容易になるためである。
また、ベース樹脂が、エポキシ系樹脂であれば、導電性接着剤として、各種の被接着体に対して良好な接着性を示し、さらには、適度な機械的強度が得られるためである。
一方、ベース樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ系樹脂、アクリル系樹脂(非架橋アクリル系樹脂)、ウレタン系樹脂(非架橋ウレタン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(非架橋ポリエステル系樹脂)、シリコーン系樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
そして、これらのうち、非架橋ウレタン系樹脂がより好ましいベース樹脂としての熱可塑性樹脂である。
この理由は、このようなベース樹脂が有する熱可塑性樹脂を用いることにより、In-Situ重合した形成してなる熱可塑性樹脂と、相互極性の制御が容易で、ひいては、相分離が容易に生じて、ベース樹脂が有する熱可塑性樹脂中での導電性粒子の偏在がさらに容易になるためである。
また、ベース樹脂が、熱可塑性の非架橋ウレタン系樹脂であれば、導電性接着剤として、比較的繰り返し耐久性に優れ、さらには、適度な硬さが得られることから好適である。
また、ベース樹脂の配合量を、導電性粒子(銀粒子等)100重量部に対して、15~225重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにベース樹脂の配合量を調整することにより、ベース樹脂が有する熱硬化領域及び/又は熱可塑性樹脂中での導電性粒子の偏在化がさらに容易になり、良好な電気特性が得られ、かつ、各種被接着体に対する接着性等がさらに良好になるためである。
すなわち、ベース樹脂の配合量が15重量部未満の値となると、熱処理後に、安定的にミクロ相分離せず、導電性粒子の偏在化が不十分となる場合があるためである。
一方、ベース樹脂の配合量が225重量部を超えた値となると、導電率が低下し、逆に、比抵抗が過度に増加する場合があるためである。
したがって、ベース樹脂の配合量を、導電性粒子100重量部に対して、17~210重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、21~195重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)種類
In-Situ重合用成分の種類としては、ベース樹脂中に所定量混在させて、その場で、所定の重合反応を生じることができるモノマ成分や化合物等であれば、特に制限されるものではないが、例えば、アクリル系モノマ及びラジカル発生剤の組み合わせ、ブロックイソシアネート化合物及び活性水素基含有化合物の組み合わせ(例えば、ウレタンプレポリマーのブロック化物及びポリアミンの組み合わせ)、エポキシ樹脂及びイオン重合触媒の少なくとも一つであることが好ましい。
特に、In-Situ重合用成分が、アクリル系モノマ及びラジカル発生剤の組み合わせ、又はブロックイソシアネート化合物及び活性水素基含有化合物の組み合わせであれば、各種ベース樹脂中であっても、比較的低温で、迅速かつ均一に、In-Situ重合することから好ましいと言える。
また、In-Situ重合用成分の配合量を、ベース樹脂100重量部に対して、30~200重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるIn-Situ重合用成分の配合量が30重量部未満と過度に少ないと、各種ベース樹脂中で、比較的低温で、迅速かつ均一に、In-Situ重合することが困難となる場合があるためである。
一方、かかるIn-Situ重合用成分の配合量が200重量部を超えると、逆に、未反応のIn-Situ重合が残留しやすくなる場合があるためである。
したがって、In-Situ重合用成分の配合量を、ベース樹脂100重量部に対して、40~150重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50~100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)粘度調整剤
また、導電性接着剤中に、粘度調整剤(希釈剤、相分離調整剤等)として、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、グリコールエーテル等の少なくとも一種を配合することが好ましい。
より好ましくは、芳香族炭化水素類の種類としては、トルエン、キシレン等であり、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸アミル等であり、ケトン類としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等であり、グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等である。
この理由は、かかる粘度調整剤の配合量が0.1重量部未満と過度に少ないと、配合の添加効果が現出できない場合があるためであり、逆に、粘度調整剤の配合量が2000重量部を超えると、In-Situ重合が適切に実施できない場合があるためある。
したがって、粘度調整剤の配合量を、ベース樹脂100重量部に対して、1~200重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、10~100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、導電性接着剤中に、無機フィラーとしてシリカ粒子を添加することが好ましい。
この理由は、導電性接着剤中に、シリカ粒子が存在すると、ベース樹脂と、In-Situ重合してなる領域と、の間の極性の調整が容易になって、さらに相分離しやすくなるためである。
また、導電性接着剤中に、シリカ粒子が存在すると、熱伝導率や耐久性、さらには、接着性も向上するためである。
また、凝集シリカ粒子であっても、非凝集シリカ粒子であっても良い。
そして、かかるシリカ粒子の添加量を、全体量に対して、0.1~5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるシリカ粒子の添加量が、0.1重量%未満の値となると、添加効果が発現しない場合があるためである。
一方、かかるシリカ粒子の添加量が5重量%を超えた値となると、電気伝導性及び熱伝導性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、かかるシリカ粒子の添加量を、全体量に対して、0.2~3重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~2重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、導電性接着剤中に、他の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属イオン捕獲剤、粘度調整剤、シリカ粒子以外の無機フィラー、有機フィラー、カーボン繊維、着色剤及びカップリング剤等を添加することも好ましい。
その場合、配合する添加剤の種類や、配合目的によっても異なるが、通常、導電性接着剤の全体量に対して、0.01~10重量%の範囲内とすることが好ましく、0.1~5重量%の範囲内とすることがより好ましい。
また、導電性接着剤は、導電性粒子を添加することに起因して酸化劣化が加速される場合があるため、酸化防止剤として、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、又はリン酸エステル系酸化防止剤等を、全体量に対して、0.1~10重量%の範囲内で添加することが好ましい。
また、導電性接着剤の粘度(測定温度:25℃、以下同様である。)は、用途等に応じて適宜変更することができるが、通常、0.1~300Pa・sec.の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導電性接着剤の粘度が、0.1Pa・sec未満の値になると、導電性粒子が沈降しやすくなったり、電気伝導性及び熱伝導性が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかる導電性接着剤の粘度が、300Pa・secを超えると、取り扱いが困難となったり、ディスペンサーを用いても、均一に塗布したりすることが困難となる場合があるためである。
したがって、導電性接着剤の粘度を1~150Pa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、5~40Pa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる導電性接着剤の粘度は、後述する実施例1のE型粘度計を用い、所定条件にて測定することができる。
また、導電性接着剤の密度を、通常、1.3~3.5g/cm3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる導電性接着剤の密度が、1.3g/cm3未満の値になると、電気伝導性及び熱伝導性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる導電性接着剤の密度が、3.5g/cm3を超えると、ベース樹脂と、In-Situ重合してなる領域と、の間で相分離しても、導電性粒子が偏在しにくくなる場合があるためである。
また、かかる導電性接着剤の密度が、3.5g/cm3を超えると、取り扱い性が低下したり、接着性が低下して、被接着体から剥離しやすくなったりする場合があるためである。
したがって、導電性接着剤の密度を、1.5~3g/cm3の範囲内の値とすることがより好ましく、1.6~2.5g/cm3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
以下、図2(a)~(c)及び図3~図4等を参照して、導電性粒子10、In-Situ重合用のモノマ成分12、ベース樹脂用モノマ成分14等から、導電性接着剤20を製造する方法を説明する。
図2(a)に示すように、導電性粒子10、In-Situ重合用のモノマ成分12、及びベース樹脂用モノマ成分14等から、導電性接着剤20の原液を製造する。
例えば、プロペラミキサー、プラネタリーミキサー、三本ロール、ニーダー、スパチュラ等を利用して、ベース樹脂用モノマ成分14中に、所定量の導電性粒子10、In-Situ重合用のモノマ成分12等を混合分散して、均一な導電性接着剤の原液20aを製造する。
次いで、図示しないものの、得られた導電性接着剤の原液を、フィルター等を用いて、導電性粒子の凝集物やゴミ等を濾過処理し、除去することが好ましい。
この理由は、導電性粒子の凝集物等を濾過処理することによって、ディスペンサー等を用いて導電性接着剤を塗布する場合に、目つまりすることを有効に防止できるためである。
なお、導電性粒子(銀粒子等)であれば、内部に空洞を有するとともに、所定の表面処理が施されていることにより、凝集物の発生が少なく、例えば、目開き20~200μmのメッシュフィルター等を用いて、容易に濾過処理することができるという利点がある。
次いで、図2(b)に示すように、加熱処理等(第1加熱処理等と称する場合がある。)によって、ベース樹脂用モノマ成分14中で、In-Situ重合用のモノマ成分12をIn-Situ重合する。
すなわち、ベース樹脂用モノマ成分14中において、モノマ成分12をIn-Situ重合して、所定領域12aが形成され、それらが、ベース樹脂用モノマ成分14と相分離して、それにともない導電性粒子10が少々偏在した、相分離前の導電性接着剤(In-Situ重合後の導電性接着剤と称する場合がある。)20bとすることができる。
次いで、加熱処理によって、In-Situ重合がすすみ、相分離前の導電性接着剤の粘度が、例えば、60~80℃において、再び上昇することになる。
なお、図3に示す本発明の導電性接着剤の場合、例えば、50~70℃の粘度が、1×10-1Pa・sec.程度であって、かなり低い値であることが理解される。
よって、本発明の導電性接着剤の場合、粘度が低く、かつ粘度の値が安定しているという点でも、従来の導電性接着剤と比較して、取り扱い性に優れており、かなり優位性があると理解される。
なお、本発明の導電性接着剤の場合、図2(c)に示すように、加熱処理等(第2加熱処理等と称する場合がある。)によって、ベース樹脂用モノマ成分14を重合させ、導電性粒子10を多く含み、In-Situ重合してなる領域12aと完全に相分離させ、本発明の導電性接着剤20とすることができる。
例えば、図5(a)の写真から、本発明に規定された導電性接着剤において、主として、ベース樹脂中に、導電性粒子がかなり偏在して存在していることが理解される。
それに対して、図5(b)の写真に示すように、エポキシ系樹脂ばかりで、相分離を利用しない導電性接着剤の場合、導電性粒子が偏在せず、全体として、かなり均一に存在していることが理解される。
したがって、本発明の導電性接着剤の場合、フィルム状等の形態に加工したとしても、特に問題ないことが理解される。
第2の実施形態は、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、がミクロ相分離してなる、導電性接着剤の使用方法であって、下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とする導電性接着剤の使用方法である。
(1)導電性接着剤として、導電性粒子を含み、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、がミクロ相分離する導電性接着剤を準備する工程
(2)導電性接着剤を、被接着体に対して、適用する工程
(3)導電性接着剤を、加熱処理して、In-Situ重合させてなる領域を形成する工程
(4)In-Situ重合させてなる領域と、ベース樹脂を熱処理により形成して、ミクロ相分離させるとともに、ベース樹脂に含まれる導電性粒子の含有量をφ1(重量%)とし、In-Situ重合させてなる領域に含まれる導電性粒子の含有量をφ2(重量%)としたときに、φ1>φ2の関係を満足させる工程
工程(1)は、導電性接着剤として、導電性粒子を含み、加熱処理した場合に、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、がミクロ相分離する導電性接着剤を準備する工程である。
そして、導電性接着剤を準備するにあたり、In-Situ重合の反応温度をT1(℃)とし、ベース樹脂の反応温度をT2(℃)としたときに、ΔT=絶対値(T2-T1)を5~50の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような温度関係を満足することによって、熱硬化等する前の、比較的低粘度のベース樹脂領域中において、In-Situ重合によって、アクリル系モノマ等であっても、均一かつ精度良く重合化して、ミクロ相分離させることができるためである。
したがって、ΔT=絶対値(T2-T1)を10~45の範囲内の値とすることがより好ましく、ΔT=絶対値(T2-T1)を15~40の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、工程(1)の導電性接着剤の準備工程において、第1の実施形態で説明した導電性接着剤の配合成分や、製造方法等については、同様の内容とすることができるため、再度の説明は省略する。
工程(2)は、導電性接着剤を、被接着体に対して、ディスペンサー等の塗布装置を用いて、各種被接着体に適用し、In-Situ重合を生じさせるめための準備工程である。
したがって、ディスペンサー等の塗布装置を用いられることから、導電性接着剤の粘度を所定範囲内の値とすることが好ましい。
被接着体に適用された導電性接着剤を、加熱処理(第1加熱処理と称する場合がある。)して、In-Situ重合させて熱可塑領域を形成する工程である。
その場合、第1加熱処理の加熱方法や加熱条件については、In-Situ重合させるモノマ成分の種類等に応じて、適宜変更可能であるが、一例として、50~100℃、1~60分とすることが好ましい。
工程(4)は、In-Situ重合させてなる領域と、ベース樹脂を加熱処理(第2加熱処理と称する場合がある。)により形成して、ミクロ相分離させるとともに、ベース樹脂に含まれる導電性粒子の含有量をφ1(重量%)とし、In-Situ重合させてなる領域に含まれる導電性粒子の含有量をφ2(重量%)としたときに、φ1>φ2の関係を満足させる工程である。
なお、φ1>φ2の関係を満足するか否かは、SEM画像(SEM写真)から十分推認することができる。
さらには、そのSEM画像をもとに、導電性粒子の含有量φ1、φ2をそれぞれ面積から算出し、それをもとに、導電性粒子や樹脂成分の比重等の所定条件を加味して、それぞれ重量%に換算することもでき、それから所定大小関係を満足することを容易に確認することができる。
[実施例1]
1.導電性粒子(銀粒子)の製造
(1)毬栗状銀粉(A-1)の作成
まず、硝酸銀と、イオン交換水と、を含む第1水溶液を準備した。
すなわち、撹拌装置付きの容器(容器A)内に、硝酸銀4gと、イオン交換水24gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一に溶解するまで撹拌した。
次いで、還元剤と、イオン交換水と、を含む第2水溶液を準備した。
すなわち、別な撹拌装置付きの容器(容器B)内に、還元剤としてのL-アスコルビン酸4gと、イオン交換水24gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一に溶解するまで撹拌し、L-アスコルビン酸水溶液とした。
次いで、それぞれの液温が25℃になるように温度保持した後、容器Aにおける第1水溶液に対して、容器Bにおける第2水溶液を添加し、そのまま撹拌を続け、毬栗状銀粉を析出生成させた。
その後、表面処理を行った毬栗状銀粉をろ過にて液切りし、さらに、真空オーブンを用いて、100℃、3時間の条件で乾燥して、毬栗状銀粉(A-1、平均粒径(D50):3μm)を得た。
撹拌装置付き容器内に、サンプレンP-663L(ウレタンプレポリマー溶液、イソシアネート含有量2.9%、三洋化成工業(株)製)94.0gを収容し、40℃温浴で加熱昇温後、メチルエチルケトオキシム(東京化成工業(株)製)を6.0g収容し、30分間混合する。発熱がおさまった後、さらに70℃の温浴中で3時間混合した。
その際、赤外分光計で2,200cm-1イソシアネート基を示すピークが消失していることを確認し、ブロックドウレタン溶液(c1)を得た。
プラネタリーミキサー容器内に、YL-983U(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)を23.3gと、アデカグリシロールED-509S(ブチルフェニルグリシジルエーテル、ADEKA製)を7.4gと、キュアゾールC-11Z(イミダゾール、四国化成工業製)3.5gを収容後、15分混合し、熱硬化樹脂成分(B-1)を得た。
次いで、上記(2)で得られたブロックイソシアネート化合物(c1)13.3gと、アデカハードナーEH-5030S(ポリアミン化合物、ADEKA製)2.5gとの混合物(C-1)を収容後、15分混合した。
次いで、毬栗状銀粉(A-1)50.0gを収容し、配合成分が均一になるまで、60分間撹拌混合した。
次いで、三本ロール(ロール間隔30~40μm、回転数20rpm)を2回通過させた後、再び、プラネタリーミキサー容器に戻した。
次いで、-0.1MPa・Gの減圧条件で、30分間脱泡した後、目開き63μmのメッシュフィルターを備えた濾過装置を用いて、濾過処理を行い、In-situ重合を利用した導電性接着剤を得て、下記の評価を実施した。
(1)粘度
得られた導電性接着剤(導電性ペースト)の粘度(測定温度:25℃)を、E型粘度計VISCOMETER TV22(東洋産業(株)製)を使用して測定し、下記基準で評価した。
◎:40Pa・sec.以下である。
〇:40Pa・sec.超、150Pa・sec.以下である。
△:150Pa・sec.超、300Pa・sec.以下である。
×:300Pa・sec.超である。
得られた導電性接着剤の相分離性を評価した。
すなわち、得られた導電性接着剤を、厚さ1mmのガラス板上に、ディスペンサーで、1cm3塗布した後、微風オーブン中で、温度120℃、1時間の条件で加熱処理して、導電性接着剤を熱硬化させ、さらに表面研磨を施して、測定サンプルとした。
次いで、測定サンプルの研磨表面を、SEM観察し、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域との相分離性を下記基準に沿って評価した。
◎:共連続構造として、ミクロ相分離が観察される。
○:海島構造として、ミクロ相分離が観察される。
△:逆海島構造として、ミクロ相分離が観察される。
×:相分離が観察されない。
相分離性を評価したSEM画像を元に、相分離した各相中の、導電性粒子の面積を求め、比重等も考慮しつつ、それから導電性粒子の相分離した各相中の、重量割合に換算した。
すなわち、換算したベース樹脂領域の、導電性粒子の存在割合(φ1)と、In-Situ重合させてなる領域の導電性粒子の存在割合(φ2)から、下記基準に沿って、導電性粒子の偏在性を評価した。
◎:φ1>φ2×10を満足する。
〇:φ1>φ2×5であって、かつ、φ1≦φ2×10を満足する。
△:φ1>φ2であって、かつ、φ1≦φ2×5を満足する。
×:φ1≦φ2であるか、もしくは、評価対象外である。
得られた導電性接着剤の比抵抗(その逆数が電気伝導性)を評価した。
すなわち、得られた導電性接着剤を、厚さ1mmのガラス板上に、メタルマスクを用いて、長さ50mm×幅1mm×厚さ0.1mmのライン状に印刷した。
次いで、微風オーブン中で、温度120℃、1時間の条件で加熱処理して、導電性接着剤を熱硬化させ、測定サンプルとした。
次いで、4端子法(測定電流:0.1mA)を用いて、測定サンプルにおけるライン状の熱硬化した導電性接着剤の2点間(20mm)の導電率(測定数:3)を測定し、その平均値を算出するとともに、下記基準に沿って評価した。
◎:比抵抗の平均値が1×10-2Ω/cm以下の値である。
○:比抵抗の平均値が1×10-1Ω/cm以下であり、かつ上記範囲外の値である。
△:比抵抗の平均値が1×100Ω/cm以下であり、かつ上記範囲外の値である。
×:比抵抗の平均値が1×101Ω/cmを超えたか、あるいは導通が確認されない状態である。
得られた導電性接着剤の接着性を評価した。
すなわち、得られた導電性接着剤の所定量を、ディスペンサーを用いて、一方の被接着体としての銀めっき処理された銅板の上に、塗布した。
次いで、もう一方の被接着体としての、銀スパッタ処理された2mm角Siチップ(Si/Ti/Ag処理)を所定場所に重ね合わせた。
次いで、微風オーブン中で、温度120℃、1時間の条件で加熱処理し、測定サンプルとした。
次いで、引張試験機を用いて、測定サンプルにおけるせん断接着強度(測定数:3)を測定し、その平均値を算出するとともに、下記基準に沿って評価した。
◎:接着強度の平均値が20MPa以上の値である。
○:接着強度の平均値が10MPa以上の値である。
△:接着強度の平均値が5MPa以上の値である。
×:接着強度の平均値が5MPa未満の値である。
実施例2においては、A成分として、毬栗状銀粉(A-1)の配合量を55.0gにし、B成分として、YL-983Uを18.6gと、アデカグリシロールED-509Sを10.9gと、キュアゾールC-11Zを2.8gとの混合物(B-3)を用い、C成分としては、ブロックイソシアネート化合物(c1)10.6gと、アデカハードナーEH-509Sを2.0gの混合物(C-4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
実施例3においては、A成分として、毬栗状銀粉(A-1)の配合量を60.0gにし、B成分として、YL-983Uを16.7gと、アデカグリシロールED-509Sを9.4gと、キュアゾールC-11Zを2.5gと、の混合物(B-4)を用い、C成分としては、ブロックイソシアネート化合物(c1)9.6gと、アデカハードナーEH-509Sを1.8gの混合物(C-5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
実施例4においては、A成分として、薄片状銀粉(A-2)の配合量を50.0gにし、B成分として、YL-983Uを20.9gと、アデカグリシロールED-509Sを11.7gと、キュアゾールC-11Zを3.1gとの混合物(B-5)を用い、C成分としては、ブロックイソシアネート化合物(c1)12.0gと、アデカハードナーEH-509Sを2.3gの混合物(C-6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
まず、硝酸銀と、イオン交換水と、有機酸と、硝酸と、を含む第1水溶液を準備した。
すなわち、撹拌装置付きの容器(容器A)内に、硝酸銀4gと、イオン交換水24gと、硝酸(濃度:60重量%)0.225gと、アンモニア水(濃度:28重量%)0.25gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一に溶解するまで撹拌した。
次いで、還元剤と、イオン交換水と、を含む第2水溶液を準備した。
すなわち、別な撹拌装置付きの容器(容器B)内に、還元剤としてのL-アスコルビン酸4gと、イオン交換水24gと、クエン酸(クエン酸一水和物)0.008gと、硝酸(濃度:60重量%)2gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一に溶解するまで撹拌した。
次いで、析出生成した薄片状銀粉を、イオン交換水で水洗後、ミリスチン酸アンモニウム水溶液(0.5重量%)1gを混合液中に添加し、有機酸による表面処理を行った。
その後、表面処理を行った薄片状銀粉をろ過にて液切りし、さらに、真空オーブンを用いて、100℃、3時間の条件で乾燥して、薄片状銀粉(A-2、平均粒径(D50):5μm)を得た。
実施例5においては、A成分として、薄片状銀粉(A-2)の配合量を45.0gにし、B成分として、YL-983Uを23.3gと、アデカグリシロールED-509Sを12.4gと、キュアゾールC-11Zを3.5gと、の混合物(B-6)を用い、C成分として、ブロックイソシアネート化合物(c1)13.3gと、アデカハードナーEH-509Sを2.5gの混合物(C-7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
実施例6においては、A成分として、薄片状銀粉(A-2)の配合量を40.0gにし、B成分として、YL-983Uを25.6gと、アデカグリシロールED-509Sを13.2gと、キュアゾールC-11Zを3.8gと、の混合物(B-7)を用い、C成分としては、ブロックイソシアネート化合物(c1)14.6gと、アデカハードナーEH-509Sを2.8gの混合物(C-8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
実施例7においては、B成分として、YL-983Uを28.6gと、キュアゾールC-11Zを1.4gとの混合物(B-2)を用い、C成分としては、熱硬化性樹脂化合物(C-1)のかわりに、下記製造方法で得たアクリル系熱硬化性樹脂化合物(C-3)を用いるとともに、その配合量を20.0gにした以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
なお、アクリル系熱硬化性樹脂化合物(C-3)は、以下のように製造した。
すなわち、撹拌装置付き容器内に、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(SIGMA-ALDRICH社製)99.0gと、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(東京化成工業(株)製)1.0gと、を収容し、次いで、均一になるまで30分間混合撹拌して、アクリル系熱硬化性樹脂化合物(C-3)を得た。
実施例8においては、A成分として、薄片状銀粉(A-2)の配合量を50gにし、B成分として、YL-983Uを28.6gと、キュアゾールC-11Zを1.4gとの混合物(B-2)を用い、C成分として、アクリル系熱硬化性樹脂化合物(C-3)の配合量を20.0gにした以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
実施例9においては、A成分として、薄片状銀粉(A-3)を用いるとともに、その配合量を50gにし、B成分として、YL-983Uを28.6gと、キュアゾールC-11Zを1.4gとの混合物(B-2)と、C成分として、アクリル系熱硬化性樹脂化合物(C-3)を20.0gにした以外は、実施例1と同様にして、In-Situ重合を利用した導電性接着剤を得て、評価した。
まず、硝酸銀と、イオン交換水と、有機酸と、硝酸と、を含む第1水溶液を準備した。
すなわち、撹拌装置付きの容器(容器A)内に、硝酸銀4gと、イオン交換水24gと、硝酸(濃度:60重量%)0.225gと、アンモニア水(濃度:28重量%)0.25gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一に溶解するまで撹拌した。
次いで、還元剤と、イオン交換水と、を含む第2水溶液を準備した。
すなわち、別な撹拌装置付きの容器(容器B)内に、還元剤としてのL-アスコルビン酸4gと、イオン交換水24gと、クエン酸(クエン酸一水和物)0.008gと、硝酸(濃度:60重量%)2gと、を収容し、マグネットスターラーを用いて、均一に溶解するまで撹拌した。
そして、それぞれ液温が25℃になるように温度保持した後、容器Aにおける第1水溶液に対して、容器Bにおける第2水溶液を添加した後、そのまま撹拌を続け、薄片状銀粉を析出生成させた。
その後、表面処理を行った薄片状銀粉をろ過にて液切りし、さらに、真空オーブンを用いて、100℃、3時間の条件で乾燥して、薄片状銀粉(A-3、平均粒径(D50):5μm)を得た。
比較例1においては、プラネタリーミキサー容器内に、YL-983U(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)を29.3gと、アデカグリシロールED-509S(ブチルフェニルグリシジルエーテル、ADEKA製)を6.2gと、キュアゾールC-11Z(イミダゾール、四国化成工業製)4.5gを収容後、15分混合し、熱硬化樹脂成分(B-8)を得た。
次いで、毬栗状銀粉(A-1)60.0gを収容し、導電性ペーストの配合成分が均一になるまで60分間撹拌混合した。
次いで、三本ロール(ロール間隔30~40μm、回転数20rpm)を2回通過させた後、再び、プラネタリーミキサー容器に戻した。
次いで、-0.1MPa・Gの減圧条件で、30分間脱泡した後、目開き63μmのメッシュフィルターを備えた濾過装置を用いて、濾過処理を行い、In-situ重合を利用しない導電性接着剤を得て、実施例1と同様に評価した。
比較例2において、A成分として、毬栗状銀粉(A-1)の配合量を65.0gにし、B成分として、YL-983Uを25.6gと、アデカグリシロールED-509Sを5.5gと、キュアゾールC-11Zを3.9gと、の混合物(B-9)を用いた以外は、比較例1と同様にして、In-situ重合を利用しない導電性接着剤を得て、評価した。
比較例3において、A成分として、毬栗状銀粉(A-1)の配合量を57.0gにし、B成分として、YL-983Uを31.5gと、アデカグリシロールED-509Sを6.7gと、キュアゾールC-11Zを4.8gと、の混合物(B-10)を用いた以外は、比較例1と同様にして、In-Situ重合を利用しない導電性接着剤を得て、評価した。
比較例4において、A成分として、毬栗状銀粉(A-1)の配合量を52.0gにし、B成分として、YL-983Uを35.2gと、アデカグリシロールED-509Sを7.5gと、キュアゾールC-11Zを5.4gと、の混合物(B-11)を用いた以外は、比較例1と同様にして、In-Situ重合を利用しない導電性接着剤を得て、評価した。
比較例5において、A成分として、毬栗状銀粉(A-1)の配合量を57.0gにし、C成分として、ブロックイソシアネート化合物(c2)37.4gと、アデカハードナーEH-509Sを5.6gの混合物(C-2)を用いた以外は、比較例1と同様にして、In-Situ重合を利用しない導電性接着剤を得て、評価した。
なお、C成分の一部として使用したブロックイソシアネート化合物(c2)は、以下のように製造した。
まず、撹拌装置付き容器内に、サンプレンP-663L(ウレタンプレポリマー溶液、イソシアネート含有量2.9%、三洋化成工業(株)製)75.3gとサンニックスPP-200(ポリプロピレングリコール、三洋化成工業製)20.0gを収容し、30分混合攪拌した。
次いで、メチルエチルケトオキシム(東京化成工業(株)製)を4.7g収容し、30分間混合した。さらに70℃の温浴中で3時間混合した。さらに、赤外分光計で2,200cm-1イソシアネート基を示すピークが消失していることを確認し、ブロックイソシアネート化合物(c2)を得た。
比較例6において、A成分として、薄片状銀粉(A-2)の配合量を50.0gにし、B成分として、YL-983Uを36.6gと、アデカグリシロールED-509Sを7.8gと、キュアゾールC-11Zを5.6gと、の混合物(B-12)を用いた以外は、比較例1と同様にして、In-Situ重合を利用しない導電性接着剤を得て、評価した。
比較例7において、A成分として、薄片状銀粉(A-2)の配合量を45.0gにし、B成分として、YL-983Uを40.3gと、アデカグリシロールED-509Sを8.6gと、キュアゾールC-11Zを6.1gと、の混合物(B-13)を用いた以外は、比較例1と同様にして、In-Situ重合を利用しない導電性接着剤を得て、評価した。
そして、導電性接着剤が、所定量の導電性粒子を含んでおり、かつ、ベース樹脂領域に含まれる導電性粒子の含有量をφ1(重量%)とし、In-Situ重合させてなる領域に含まれる導電性粒子の含有量をφ2(重量%)としたときに、所定の大小関係(φ1>φ2等)を満足することを特徴としている。
したがって、用途によっては、かかる導電性接着剤についても、好適に用いることができる。
12:In-Situ重合用モノマ
12a:In-Situ重合後の領域
14:ベース樹脂用モノマ
14a:熱重合後のベース樹脂
20:導電性接着剤
20a:相分離前の導電性接着剤(導電性接着剤原液)
20b:In-Situ重合後の導電性接着剤
Claims (5)
- 下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とする導電性接着剤の使用方法。
(1)導電性粒子を含み、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域と、が硬化後にミクロ相分離してなる導電性接着剤であって、下記構成(A)~(D)を有する導電性接着剤を準備する工程
(A)前記ベース樹脂が、熱硬化性エポキシ樹脂である。
(B)前記In-Situ重合させてなる領域が、アクリル系モノマ及びラジカル発生剤の組み合わせ、又はブロックイソシアネート化合物及び活性水素基含有化合物の組み合わせに由来する。
(C)前記In-Situ重合させてなる領域の成分の配合量を、前記ベース樹脂100重量部に対して、30~100重量部の範囲内の値とする。
(D)前記In-Situ重合させてなる領域の反応温度をT1(℃)とし、前記ベース樹脂の反応温度をT2(℃)としたときに、ΔT(=T2-T1)の絶対値が、10~50の範囲内の値とする。
(2)導電性接着剤を、被接着体に対して、適用する工程
(3)導電性接着剤を、加熱して、In-Situ重合させてなる領域を形成する工程
(4)さらなる加熱処理により、ベース樹脂と、In-Situ重合させてなる領域とを、ミクロ相分離させるとともに、ベース樹脂に含まれる導電性粒子の含有量をφ1(重量%)とし、In-Situ重合させてなる領域に含まれる導電性粒子の含有量をφ2(重量%)としたときに、φ1>φ2の関係を満足し、比抵抗を1×10 -4 ~1×10 -1 Ω・cmの範囲内の値とする工程 - 前記工程(1)において、前記導電性粒子の含有量を、全体量に対して、40~60重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の導電性接着剤の使用方法。
- 前記工程(2)において、ディスペンサーを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性接着剤の使用方法。
- 前記工程(3)において、50~100℃、1~60分の条件で加熱することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性接着剤の使用方法。
- 前記工程(1)において、導電性粒子の形態が、毬栗状、又は、薄片状、あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の導電性接着剤の使用方法。
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