JP6243135B2 - 加熱硬化型導電性ペースト組成物 - Google Patents
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本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(A)導電性粉末は、(A1)フレーク状粉末または(A2)球状粉末であればよいが、良好な導電性を実現する観点から、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末が併用されてもよい。したがって、本発明においては、(A)導電性粉末としては、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末の少なくとも一方が用いられればよい。
本発明における(A)導電性粉末のうち(A1)フレーク状粉末の好ましい構成について具体的に説明する。(A1)フレーク状粉末の平均粒径D50は2〜20μmの範囲内であることが好ましく、BET比表面積は0.1〜1m2 /gの範囲内であることが好ましく、タップ密度は3〜7g/cm3 の範囲内であることが好ましく、アスペクト比は5〜15の範囲内であることが好ましい。
次に、本発明における(A)導電性粉末のうち(A2)球状粉末の好ましい構成について具体的に説明する。(A2)球状粉末の平均粒径D50は0.1〜10μmの範囲内であることが好ましく、BET比表面積は0.5〜1.7m2 /gの範囲内であることが好ましく、タップ密度は1.5〜5g/cm3 であることが好ましく、凝集度D50/DSEMが2〜15の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(B)熱硬化性成分は、加熱硬化型導電性ペースト組成物の分野で公知の成分を好適に用いることができる。代表的には、(B1)エポキシ樹脂、並びに、(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を挙げることができる。(B)熱硬化性成分として、これら(B1)エポキシ樹脂および(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、これらは、所定の配合比で配合されて用いられることが好ましい。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(C)硬化剤は、(B)熱硬化性成分を硬化させることができる化合物であれば特に限定されない。本実施の形態では、(B)熱硬化性成分として、好ましくは、前述した(B1)エポキシ樹脂を用いているので、(C)硬化剤としては、少なくとも(B1)エポキシ樹脂を硬化させるものであれば、その種類等は特に限定されず、導電性ペースト組成物の分野で公知の各種化合物を挙げることができる。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる(D)溶剤は、その粘度が100mPa・s以上ものである。
本発明に係る導電性ペースト組成物の製造方法は特に限定されず、導電性ペースト組成物の分野で公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、前述した各成分を所定の配合割合(質量基準)で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化する方法が挙げられる。混練装置としては、例えば、3本ロールミル等を挙げることができる。
[導電性粉末の評価方法]
実施例および比較例では導電性粉末としてフレーク状銀粉末および球状銀粉末を用いた。このうち、フレーク状銀粉末については、平均粒径D50、最大粒径Dmax、アスペクト比、BET比表面積、タップ密度、およびナトリウムイオン量を評価した。また、球状銀粉末については、平均粒径D50、最大粒径Dmax、平均粒径DSEM、凝集度D50/DSEM、BET比表面積、タップ密度、およびナトリウムイオン量を評価した。以下、各評価の詳細について説明する。
フレーク状銀粉末および球状銀粉末の平均粒径D50および最大粒径Dmaxはレーザー回折法により評価した。フレーク状銀粉末または球状銀粉末の試料0.3gを50mlビーカーに秤量し、イソプロピルアルコール30mlを加えた後、超音波洗浄器(アズワン株式会社製USM−1)により5分間処理することで分散させ、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA X−100)を用いて、平均粒径D50および最大粒径Dmaxを測定して評価した。
球状銀粉末を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製JSM−5500)により観察して、2万倍に拡大した画像から、100個の粒子を無作為に選択して、その粒径(画像上の長径)を計測した。そして、個々の粒子の粒径を個数平均することによってSEM粒径DSEMを算出して評価した。
フレーク状銀粉末を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−5500)により観察して、2,000倍に拡大した画像から、10個の粒子を無作為に選択し、その粒径(外接円の直径)を計測し、個数平均することによりその長辺の長さを得た。また、同様に2,000倍に拡大した画像から、10個の粒子を無作為に選択して、その厚みを計測し、個数平均することにより厚みを得た。得られた長辺の長さを厚みで除することによりアスペクト比を算出して評価した。
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のBET比表面積は、試料1gをモノソーブ(カウンタクローム(Quanta Chrome)社製)を用いて窒素吸着によるBET1点法で測定して評価した。なお、当該BET比表面積測定において、測定前の脱気条件は60℃にて10分間とした。
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のタップ密度は、タップ密度測定装置(株式会社柴山科学器械製作所製のカサ比重測定装置SS−DA−2)を使用し、試料15gを計量して20mlの試験管に入れ、落差20mmで1,000回タッピングし、次の式によりタップ密度を算出して評価した。
(6)ナトリウムイオン量の評価
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のナトリウムイオン量は、試料1gを硝酸に溶解し、純水を添加して希釈した後、原子吸光法により測定して評価した。
球状銀粉末の凝集度50D/DSEMは、レーザー回折法により得られる平均粒径D50を、走査型電子顕微鏡像(SEM、日本電子株式会社製JSM−5500)の画像観察から得られる一次粒子の平均粒径DSEMにより除することにより算出して評価した。
導電性ペースト組成物のペースト粘度は、Brookfield社製DV−III粘度計を用いて測定した。測定時のコーンとしてはCP−52を用い、1rpm回転時(ずり速度2s−1)のペースト粘度(η1rpm)と、5rpm回転時(ずり速度10s−1)のペースト粘度(η5rpm)とを測定するとともに、前者を後者で除したTI値(η1rpm/η5rpm)を算出した。
基材としてはアルミナ基板を用いた。そして、図1に示すように、このアルミナ基板の表面に、実施例または比較例の導電性ペースト組成物を用いて、両端に端子11aおよび11bを有し配線部分11cがつづら折り状となっている導体パターン11と、図示しない2mm×2mmの正方形状の導体パターン(正方形パターン)とをスクリーン印刷した。その後、アルミナ基板を180℃の熱風乾燥機中で60分間加熱し、導体パターン11(導電性ペースト組成物)を硬化させた。これにより比抵抗評価用サンプルを作製した。
アルミナ基板上に、各実施例または比較例の導電性ペースト組成物100gを用いて、図2に示すように線幅100μmの櫛状の導体パターン12を連続印刷し、当該導体パターン12を実体顕微鏡により観察して印刷性を評価した。
500回以上連続印刷しても印刷された導体パターン12に、配線だれ、配線にじみ、および配線かすれのいずれも認められないものを○と評価し、300回以上500回未満の連続印刷中に配線だれ、配線にじみ、および配線かすれの少なくとも1つ以上が認められたものを△と評価し、配線だれ、配線にじみ、および配線かすれの少なくとも1つ以上が認められるものを×として評価した。
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末1を用い、(B)熱硬化性成分および(C)硬化剤として、表2に示す各化合物を用い、(D)溶剤として、表3に示す溶剤1(20℃の粘度:320mPa・s)を用いて、これら成分を表4に示す組成(いずれも質量部)で配合し、3本ロールミルで混練してペースト化することにより、実施例1の導電性ペースト組成物を調製(製造)した。
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末2を用い、(D)溶剤として、表3に示す溶剤2(20℃の粘度:1650mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
(D)溶剤として、表3に示す溶剤2(20℃の粘度:1650mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
(D)溶剤として、表3に示す溶剤1(20℃の粘度:320mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
(D)溶剤として、表3に示す溶剤2(20℃の粘度:1650mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例3と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
(D)溶剤として、表3に示す溶剤3(20℃の粘度:110mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表4に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表4に示す。
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末1を用いるとともに、表5に示すように(A1)フレーク状銀粉末を(A2)球状銀粉末2よりも多く配合し、(D)溶剤として、表3に示す溶剤4(20℃の粘度:8200mPa・s)を用いて、(B)〜(D)の各成分を表5に示す組成で配合した以外は、実施例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
(A)導電性粉末として、表1に示す(A1)フレーク状銀粉末および(A2)球状銀粉末1を用いるとともに、(D)溶剤として、表3に示す溶剤4(20℃の粘度:8200mPa・s)および溶剤5(20℃の粘度:4mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表5に示す組成で配合した以外は、実施例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。なお、溶剤4および5の混合溶剤の粘度は、表5に示すように300mPa・sであった。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
(D)溶剤として、表3に示す溶剤5(20℃の粘度:4mPa・s)を用いて、(A)〜(D)の各成分を表5に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
(A)〜(D)の各成分を表5に示す組成に変更した以外は、比較例1と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
(D)溶剤として、表3に示す溶剤6(20℃の粘度:67mPa・s)を用いた以外は、比較例2と同様にして導電性ペースト組成物を調製した。また、実施例1と同様にして導体パターン11の比抵抗と、導電性ペースト組成物の印刷性とを評価した。その結果を表5に示す。
11a 端子
11b 端子
11c 配線部分
12 導体パターン
Claims (5)
- (A)導電性粉末と、(B)熱硬化性成分と、(C)硬化剤と、(D)溶剤とを含有する加熱硬化型導電性ペースト組成物であって、
前記(A)導電性粉末として、(A1)フレーク状粉末および(A2)球状粉末が用いられ、
前記(A1)フレーク状粉末は、その平均粒径D50が2〜20μmの範囲内であり、アスペクト比が5〜15の範囲内であり、BET比表面積が0.1〜1m 2 /gの範囲内であるとともに、
前記(A2)球状粉末は、その平均粒径D50が0.1〜10μmの範囲内であり、凝集度D50/DSEMが2〜15の範囲内であり、BET比表面積が0.5〜1.7m 2 /gの範囲内であり、タップ密度が1.5〜5g/cm 3 の範囲内であり、
当該加熱硬化型導電性ペースト組成物の固形分中における(A)導電性粉末の含有量が90〜99質量%の範囲内であり、かつ、(D)溶剤の20℃における粘度が100mPa・s以上であることを特徴とする、
加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記(D)溶剤の20℃における粘度が、300mPa・s以上であることを特徴とする、
請求項1に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記(B)熱硬化性成分として、(B1)エポキシ樹脂および(B2)ブロック化ポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする、
請求項1または2に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記(A)導電性粉末が、銀粉、銅粉、銀コート銅粉、銀コートニッケル粉、銀コートアルミ粉、および銀コートガラス粉からなる群より選択される少なくとも1種が用いられることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 基材上に印刷された導体パターンを加熱硬化することによって、当該基材上に電極または電気配線を形成する用途に用いられることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
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