JP6639951B2 - 加熱硬化型導電性ペースト組成物およびその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、100℃以下の低温加熱により硬化し、保存安定性および常温での安定性に優れた加熱硬化型導電性ペースト組成物と、この加熱硬化型導電性ペースト組成物を硬化させて得られる硬化物とに関する。
従来、樹脂フィルムを基材として、その上に電気導体による回路(電気回路または電子回路等)を形成する際に、加熱硬化型導電性ペースト組成物を用いることが知られている。このような加熱硬化型導電性ペースト組成物は、加熱硬化時に樹脂フィルムに対して熱的な影響が及ぼされることを抑制するために、できるだけ低温の加熱で硬化することが望ましい。
このような加熱硬化型導電性ペースト組成物としては、例えば、特許文献1には、150℃未満、特に100〜130℃程度の低温で加熱硬化する熱硬化性樹脂組成物を含有する導電性ペーストが開示されている。この導電性ペーストが含有する熱硬化性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、硬化触媒および中心粒径が10nm〜30μmの金属微粒子を必須成分とし、シランカップリング剤、分散剤および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する組成を有している。
また、特許文献2には、100℃以上150℃未満の低温で加熱硬化する導電性ペーストが開示されている。この導電性ペーストは、メラミン樹脂およびシリコーン変性エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂と、導電性金属粉末と、酸性基を有しアミン価を有しない有機リン酸系界面活性剤とを含み、熱硬化性樹脂中のメラミン樹脂の割合を所定範囲に限定した構成となっている。
さらに、特許文献3には、100℃以下の低温で乾燥または硬化する導電性ペーストが開示されている。この導電性ペーストは、フレーク状銀粉、還元粘度が0.5dl/g以上でガラス転移点温度が0〜40℃のポリエステル樹脂および変性ポリエステル樹脂の少なくとも一方、並びに、レベリング剤および泡消剤の少なくとも一方を含む組成を有している。
これら特許文献1〜3以外にも、相対的に低温で加熱硬化する導電性ペーストとして、例えば、エポキシ樹脂に硬化剤として活性の高いアミン類(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、p−フェニレンジアミン等)を配合した樹脂組成物に、銀粉末等の導電性フィラーを分散したもの(説明の便宜上「エポキシ−高活性アミン型」と称する)、あるいは、イソシアネート末端ウレタン樹脂およびジアミン類を含有する樹脂組成物に導電性フィラーを分散したもの(説明の便宜上「イソシアネートウレタン−ジアミン型」と称する)等が挙げられる。これら組成の導電性ペーストは、100℃以下での加熱で硬化することが可能であることが知られている。
特開2014−080555号公報 特開2009−070677号公報 特開2006−252807号公報
しかしながら、前述した従来の導電性ペーストは、樹脂フィルムを基材とする回路形成用としては、十分な実用性に欠けるものとなっている。
まず、特許文献1および2に開示される導電性ペーストは、いずれも比較的低温で加熱硬化が可能であるといっても、加熱硬化温度は100℃以上となっている。そのため、基材である樹脂フィルムの耐熱温度に比較すると加熱硬化温度は相対的に高鋳物となっている。また、これら導電性ペーストでは、100℃以下の低温で加熱硬化することが想定されていない。それゆえ、これら導電性ペーストを100℃以下で加熱硬化すると、例えば、固有抵抗値が1×10-4Ω・cm以上になることがあるため、得られる回路配線を十分に低抵抗化することができない。
一方、特許文献3に開示される導電性ペーストは、100℃以下での加熱硬化が想定されている。ところが、この導電性ペーストは、用いられる樹脂成分により回路配線の耐溶剤性が劣るとともに、用いられる導電性成分により回路配線の接触抵抗が劣ることになる。
具体的には、特許文献3に開示される樹脂成分は、線状のポリエステルもしくはこのポリエステルをジイソシアネートで鎖延長した樹脂となっている。このような線状の樹脂は3次元的な架橋が生じないため、加熱硬化した後でも溶剤への溶解性を十分に低下させることができない。また、特許文献3に開示される導電性成分としては、フレーク状銀粉のみが用いられている。フレーク状銀粉を含む硬化物(回路配線)では、基材の面方向での抵抗値が見かけ上低くなるが、基材の表面に対して十分に接触することができない。そのため、導電体である硬化物と抵抗体である樹脂フィルムとの間で接触抵抗を良好に低減することができない。
さらに、前述した「エポキシ−高活性アミン型」または「イソシアネートウレタン−ジアミン型」の導電性ペーストは、いずれも100℃以下での加熱硬化が可能である。しかしながら、これら導電性ペーストは、樹脂成分の反応性が高いため、常温での安定性も保存安定性も極めて悪くなる。特に、常温では増粘が顕著となるため、導電性ペーストの可使時間が短くなり、ハンドリング性が非常に劣る。それゆえ、基材である樹脂フィルム上に所定のパターンで回路配線を形成することが困難となる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、100℃以下の加熱によっても基材上に良好な抵抗値の回路を形成することができるとともに、保存安定性および常温での安定性も良好なものとすることができる、加熱硬化型導電性ペースト組成物を提供することを目的とする。
本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、前記の課題を解決するために、(A)銀粉末成分と、(B)エポキシ樹脂成分と、(C)エポキシ樹脂硬化剤と、を含有し、前記(A)銀粉末成分は、(A−1)タップ密度3.5g/cc以上のフレーク状銀粉末と、(A−2)タップ密度3.5g/cc以上の粒状銀粉末と、を混合したものであって、そのタップ密度が5.0g/cc以上の混合銀粉末であり、前記(B)エポキシ樹脂成分は、(B−1)常温で固形であり、重量平均分子量が30,000〜70,000の範囲内であり、エポキシ当量が6,500〜9,000の範囲内である、固形状エポキシ樹脂と、(B−2)常温で液体であり、重量平均分子量が200〜400の範囲内であり、エポキシ当量が100〜200の範囲内である、液状エポキシ樹脂とを、50/50〜90/10の範囲内となるように配合した配合エポキシ樹脂であり、前記(C)エポキシ樹脂硬化剤は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに対して10重量%添加したときに、5℃/分の昇温条件で示差熱−熱重量分析(TG−DTA)を行ったときにおける示差熱分析(DTA)の発熱ピークが120℃未満に現れる、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤であり、さらに、前記(A)銀粉末成分、前記(B)エポキシ樹脂成分、および前記(C)エポキシ樹脂硬化剤は、前記(A)銀粉末成分および前記(B)エポキシ樹脂成分の総重量における前記(A)銀粉末成分の含有量が90重量%以上である第一条件と、前記(B)エポキシ樹脂成分および前記(C)エポキシ樹脂硬化剤の総重量における前記(C)エポキシ樹脂成分の含有量が5重量%以上20重量%以下である第二条件と、を満たすように、配合されている構成である。
前記構成によれば、(A)銀粉末成分として、タップ密度を限定した混合銀粉末を用い、(B)エポキシ樹脂成分として、重量平均分子量およびエポキシ当量を限定した固形状および液状の2種類を所定範囲の配合比で配合した配合エポキシ樹脂を用い、(C)エポキシ樹脂硬化剤として、(B)エポキシ樹脂成分の低温硬化に寄与し、かつ、保存安定性および可使時間の良好な保持に寄与する、特定のポリアミン系化合物を用い、さらに(A)〜(C)の各成分を第一条件および第二条件の双方を満たすように配合している。これにより、100℃以下という低温硬化が可能になるとともに、硬化物の低抵抗性を図ることができ、さらには、保存安定性および可使時間の低下を回避して取扱性が優れたものとすることができる。
前記構成の加熱硬化型導電性ペースト組成物においては、前記(A)銀粉末成分は、前記(A−1)フレーク状銀粉末/前記(A−2)粒状銀粉末の重量比が、10/90〜75/25の範囲内となるように、これら銀粉末が混合されたものである構成であってもよい。
また、本発明には、前記構成の加熱硬化型導電性ペースト組成物を用いて基材上に形成された、電気導電性を有する硬化物も含まれる。
本発明では、以上の構成により、100℃以下の加熱によっても基材上に良好な抵抗値の回路を形成することができるとともに、保存安定性および常温での安定性も良好なものとすることができる、加熱硬化型導電性ペースト組成物を提供することができる、という効果を奏する。
本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、(A)銀粉末成分、(B)エポキシ樹脂成分および(C)エポキシ樹脂硬化剤を含有する。このうち(A)銀粉末成分は、タップ密度3.5g/cc以上の(A−1)フレーク状銀粉末と、タップ密度3.5g/cc以上の(A−2)粒状銀粉末と、を混合したものであって、そのタップ密度が5.0g/cc以上の混合銀粉末である。また、(B)エポキシ樹脂成分は、常温で固形であり、重量平均分子量が30,000〜70,000の範囲内であり、エポキシ当量が6,500〜9,000の範囲内である、(B−1)固形状エポキシ樹脂と、常温で液体であり、重量平均分子量が200〜400の範囲内であり、エポキシ当量が100〜200の範囲内である、(B−2)液状エポキシ樹脂と、を50/50〜90/10の範囲内となるように配合した配合エポキシ樹脂である。さらに、(C)エポキシ樹脂硬化剤は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに対して10重量%添加したときに、5℃/分の昇温条件で示差熱−熱重量分析(TG−DTA)を行ったときにおける示差熱分析(DTA)の発熱ピークが120℃未満に現れる、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤である。
本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物では、(A)銀粉末成分、(B)エポキシ樹脂成分、および(C)エポキシ樹脂硬化剤が、第一条件:(A)銀粉末成分および(B)エポキシ樹脂成分の総重量における(A)銀粉末成分の含有量が90重量%以上であること、並びに、第二条件:(B)エポキシ樹脂成分および(C)エポキシ樹脂硬化剤の総重量における(C)エポキシ樹脂成分の含有量が5重量%以上20重量%以下であること、の双方を満たすように配合されている。
以下、本発明の代表的な実施の形態を具体的に説明する。なお、説明の便宜上と従来の導電性ペーストとの区別を明確にするために、本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物を「本導電性ペースト組成物」と適宜省略する。
[(A)銀粉末成分]
本導電性ペースト組成物の導電性成分は、前述したように(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の混合銀粉末で構成される。つまり、本発明では、導電性成分として、2種類の形状の異なる銀粉末を併用している。これら銀粉末はいずれもタップ密度が所定値以上となっているとともに、これらを混合した混合銀粉末もタップ密度が所定値以上となっている。
(A−1)フレーク状銀粉末は、その形状がフレーク状(鱗片状または薄片状)であって、タップ密度が3.5g/cc以上であればよい。(A−1)フレーク状銀粉末の平均粒径は特に限定されないが、通常は1〜10μmの範囲内であればよい。また、(A−1)フレーク状銀粉末のアスペクト比も特に限定されないが、5〜15の範囲内であればよい。また、(A−1)フレーク状銀粉末の比表面積も特に限定されないが、0.1〜1m2 /gの範囲内であればよい。
(A−2)粒状銀粉末は、その形状が粒状(球状)であって、タップ密度が3.5g/cc以上であればよい。(A−2)粒状銀粉末の平均粒径は特に限定されないが、通常は0.1〜10μmの範囲内であれ場良い。また、(A−2)粒状銀粉末の比表面積も特に限定されないが、0.5〜1.7m2 /gの範囲内であればよい。
なお、本実施の形態では、(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の平均粒径、比表面積、およびタップ密度は、後述する実施例に示す方法で測定または算出している。
本導電性ペースト組成物では、(A−1)フレーク状銀粉末は、形成される回路配線(硬化物)の面方向(広がり方向、横方向)において互いに接触する確率が高いため、面方向における電気抵抗の低減に寄与する。ただし、(A−1)フレーク状銀粉末は、回路配線(硬化物)の厚み方向(深さ方向、縦方向)において互いに接触する確率が低いため、厚み方向における電気抵抗の低減には十分に寄与できない。また、(A−1)フレーク状銀粉末は、基材(樹脂フィルム)に接触する確率も低下するので、接触抵抗を増大させることになる。
そこで、(A−1)フレーク状銀粉末に対して(A−2)粒状銀粉末を混合すれば、硬化物における銀粉末全体として充填密度が高くなる。それゆえ、(A−2)粒状銀粉末は、(A−1)フレーク状銀粉末における厚み方向の電気抵抗および接触抵抗の増大を補う役割を果たす。ここで、本発明者らが鋭意検討した結果、(A−1)フレーク状銀粉末に対して(A−2)粒状銀粉末、並びに、これらを混合した混合銀粉末のタップ密度は、硬化物の抵抗値との間に関係性があることが見出された。
(A)銀粉末成分としては、(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末を単に混合して混合銀粉末とするのではなく、(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末は、いずれもそのタップ密度が3.5g/cc以上であり、さらに、混合銀粉末のタップ密度は、5.0g/cc以上であれば、抵抗値の低減につながる良好な充填密度を実現することができることが明らかとなった。
混合銀粉末における(A−1)フレーク状銀粉末/(A−2)粒状銀粉末の重量比(混合比)は特に限定されないが、10/90〜75/25の範囲内であることが好ましい。後述する比較例に示すように、(A)銀粉末成分として、混合銀粉末ではなく(A−1)フレーク状銀粉末のみ、または、(A−2)粒状銀粉末のみを用いた場合には、硬化物の体積固有抵抗値を十分に低減することができない。
なお、本導電性ペースト組成物においては、導電性成分として、(A)銀粉末成分以外に公知の他の導電性粉末を含んでもよい。例えば、金粉末、銅粉末、パラジウム粉末、ニッケル粉末、アルミニウム粉末、鉛粉末、カーボン粉末等を挙げることができる。もしくは、金、銀、銅等を他の粉末の表面にコーティングしたコーティング粉末を用いてもよい。これら粉末は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。これら他の導電性粉末は、後述する(A)〜(C)の各成分を配合するための第一条件および第二条件を妨げない範囲で添加することができる。
[(B)エポキシ樹脂成分]
本導電性ペースト組成物の樹脂成分は、前述したように、(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂を所定の配合比で配合した配合エポキシ樹脂であればよい。
(B−1)固形状エポキシ樹脂は、常温で固形であり、重量平均分子量が30,000〜70,000の範囲内であり、エポキシ当量が6,500〜9,000の範囲内であれば、その具体的な種類は特に限定されない。(B−2)液状エポキシ樹脂は、常温で液体であり、重量平均分子量が200〜400の範囲内であり、エポキシ当量が100〜200の範囲内であれば、その具体的な種類は特に限定されない。ここでいう常温は20℃±15℃の範囲内であればよい。
本導電性ペースト組成物は、良好な安定性を有するものであり、特に、常温での可使時間が後述する実施例に示すように240時間以上となる。本発明者らが鋭意検討した結果、100℃以下の比較的低温で硬化が十分に進行し、かつ、常温で増粘等が起こり難い加熱硬化型の樹脂成分としては、前記範囲の重量平均分子量およびエポキシ当量を有し、常温で固形状のものと常温で液状のものとを組み合わせればよいことが明らかとなった。
(B−1)固形状エポキシ樹脂は、(B−2)液状エポキシ樹脂に比べて高分子量であり、反応点であるオキシラン基が適度な間隔で分子中に分布しているため、常温では安定である。加熱により(B−1)固形状エポキシ樹脂のオキシラン基に部分的であっても反応が生じると、(B−2)液状エポキシ樹脂とともに架橋が生じて、速やかに硬化する。速やかな硬化の実現により取扱性を良好なものにできるとともに、架橋により硬化後の溶剤への溶解性を良好に低下させることができるので、硬化物の耐溶剤性も良好なものとすることができる。しかも、(C)エポキシ樹脂硬化剤としては、後述するように、尿素結合を含有する脂肪族ポリアミン系のものを用いることで、安定性と低温硬化性とを良質することができる。
配合エポキシ樹脂における(B−1)固形状エポキシ樹脂/(B−2)液状エポキシ樹脂の重量比(配合比)は、50/50〜90/10の範囲内であればよい。後述する比較例に示すように、配合エポキシ樹脂の配合比が前記の範囲から外れたり、(B)エポキシ樹脂成分として、配合エポキシ樹脂ではなく(B−1)固形状エポキシ樹脂のみ、または、(B−2)液状エポキシ樹脂のみを用いたりした場合には、硬化物の体積固有抵抗値を十分に低減することができない。
なお、(B)エポキシ樹脂成分の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したものである。また、(B)エポキシ樹脂成分のエポキシ当量は、JIS−K−7236に従って求めたものである。
[(C)エポキシ樹脂硬化剤]
本導電性ペースト組成物は、(B)エポキシ樹脂成分を硬化させるために、(C)エポキシ樹脂硬化剤を含有する。この(C)エポキシ樹脂硬化剤は、尿素結合を含有する変性脂肪族ポリアミン系化合物であり、かつ、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに対して10重量%添加したときに、5℃/分の昇温条件で示差熱−熱重量分析(TG−DTA)を行ったときにおける示差熱分析(DTA)の発熱ピークが120℃未満に現れるものである。
本発明者らは、前述した配合エポキシ樹脂を(B)エポキシ樹脂成分として用いる際に好適な硬化剤について検討するために、ビスフェノールAジグリシジルエーテル100重量部に対し、各種の硬化剤10重量部添加したものについて、TG−DTA測定を行った。その結果、DTA発熱ピークが120℃以下である硬化剤が低温硬化性に好適であることが見出された。
しかしながら、本導電性ペースト組成物を調製した際には、DTA発熱ピークの条件だけでは、特に経時的な安定性(保存安定性)が不十分であることが明らかとなった(後述する比較例13〜17参照)。そこで、さらに鋭意検討した結果、DTA発熱ピークの条件に加えて、尿素結合を含有する脂肪族ポリアミン系の硬化剤であれば、良好な安定性が発揮できるとともに、体積固有抵抗値もより良好なものにできることが明らかとなった。
本導電性ペースト組成物において、(C)エポキシ樹脂硬化剤として用いられる、尿素結合を含有する変性脂肪族ポリアミン系化合物は、イソシアネート樹脂により形成される尿素結合によって、活性を有するアミンが安定化する構造を有していればよい。このような化合物としては、具体的には、例えば、株式会社T&K TOKA製のFXR−1020,FXR−1030、FXR−1081等、あるいは、株式会社ADEKA製のEH4353S等を挙げることができるが、特に限定されない。これら尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤は、1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
[加熱硬化型導電性ペースト組成物]
本導電性ペースト組成物は、前述した(A)銀粉末成分、(B)エポキシ樹脂成分、および(C)エポキシ樹脂硬化剤以外の成分を含んでもよい。具体的には、例えば、加熱硬化型の導電性ペーストの分野で公知の(D)溶剤、並びに、各種添加剤を挙げることができる。各種の添加剤としては特に限定されないが、具体的には、例えば、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、粘度調整剤等を挙げることができる。これら添加剤は本発明の作用効果を妨げない範囲において添加することができる。
また、(D)溶剤は、本導電性ペースト組成物の粘度または流動性等の物性を調整するために添加すればよい。本導電性ペースト組成物の粘度は特に限定されず、後述する所定パターンの形成方法(例えばスクリーン印刷等)に応じて、好適な範囲内に調整されればよい。本導電性ペースト組成物の流動性等の特性についても同様に、諸条件に応じて好適な範囲に調整されればよい。
(D)溶剤の具体的な種類は特に限定されないが、例えば、ヘキサン等の飽和炭化水素類;トルエン等の芳香族系炭化水素類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート等のグリコールエーテル(セロソルブ)類;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)等のグリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ECA)、ジエチレングリコールジエチルエーテルアセテート、ブチルジグリコールアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA,ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)等のグリコールエーテル類の酢酸エステル;ジアセトンアルコール、ターピネオール、ベンジルアルコール等のアルコール類;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;DBE、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートなどのエステル類;等を挙げることができる。これら溶剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本導電性ペースト組成物は、前述した(A)銀粉末成分、(B)エポキシ樹脂成分、および(C)エポキシ樹脂硬化剤、並びに、必要に応じて(D)溶剤および/または各種添加剤をそれぞれ所定の重量で配合して混合することにより調製(製造)される。(A)〜(C)の各成分、並びに(D)溶剤等の他の成分は、予備混合してから本混合してもよい。ここで、本導電性ペースト組成物では、低抵抗性および安定性の双方を両立する観点から、(A)〜(C)の各成分を配合する際に2つの条件を満たすことが必要となる。
まず、第一条件は、(A)銀粉末成分および(B)エポキシ樹脂成分の総重量における(A)銀粉末成分の含有量が90重量%以上となるように配合することである。(A)銀粉末成分の重量をWA ,(B)エポキシ樹脂成分の重量をWB としたときに、第一条件は、90≦WA /(WA +WB )×100と表すことができる。
また、第二条件は、(B)エポキシ樹脂成分および(C)エポキシ樹脂硬化剤の総重量における(C)エポキシ樹脂成分の含有量が5重量%以上20重量%以下となるように配合することである。(C)エポキシ樹脂硬化剤の重量をWC としたときに、第二条件は、5≦WC /(WB +WC )×100≦20と表すことができる。
後述する実施例に示すように、本導電性ペースト組成物において、(A)〜(C)の各成分が第一条件および第二条件を満たすように配合されれば、本導電性ペースト組成物の保存安定性、可使時間、および硬化物の体積固有抵抗値のいずれも良好なものとすることができるが、例えば、比較例18に示すように第一条件を満たさなければ、体積固有抵抗値の増加および保存安定性の低下を招く場合がある。また、比較例19または20に示すように第二条件を満たさなければ、体積固有抵抗値が増加したり、体積固有抵抗値の増加とともに保存安定性および可使時間のいずれも低下したりする場合がある。
また、本導電性ペースト組成物は、基材上に所定パターンで形成され、100℃以下で加熱硬化されることにより、回路を形成することができる。加熱硬化の温度は100℃以下であれば特に限定されず、基材である樹脂フィルムの耐熱性等に応じて適宜設定することができる。後述する実施例では、100℃および80℃の双方で本導電性ペースト組成物を硬化させている。基材としては、代表的には各種の樹脂フィルムが挙げられるが特に限定されない。なお、後述する実施例では、樹脂フィルムとしてポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムを用いているが、もちろん樹脂フィルムはこれに限定されない。基材は、樹脂フィルムではなく、公知のセラミック材料製のもので有ってもよい。
本導電性ペースト組成物を所定パターンに形成する方法は特に限定されず、公知の種々の形成方法を好適に用いることができる。代表的には、後述する実施例に示すように、スクリーン印刷法が挙げられ、グラビア印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ディスペンサー法、ディップ法等の印刷法も適用することができる。
本導電性ペースト組成物は、100℃以下の低温で基材上に電気導体を形成する用途に広く好適に用いることができる。具体的には、例えば、樹脂フィルム等のフレキシブル基板上への回路形成、フレキシブル基板上への部品の接着、導体素子またはカメラモジュール等のように熱に弱い部品または素子を100℃以下の低温で接続すること等を挙げることができる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における各種物性等の測定・評価は次に示すようにして行った。また、実施例および比較例では、下記各表に示す成分を用いて本導電性ペースト組成物を製造(調製)した。
(測定・評価方法)
[体積固有抵抗値]
実施例または比較例で得られた所定パターンの硬化物(回路配線)の両端の抵抗値R(Ω)を、電気抵抗測定器(株式会社エーディーシー製、商品名:デジタルマルチメーター7451A)で測定した。次いで、硬化物の膜厚T(μm)を表面粗さ測定器(株式会社東京精密製、商品名:サーフコム480B)で測定した。得られた抵抗値Rおよび膜厚Tから、以下の式(I)により体積固有抵抗値Rv(μΩ・cm)を算出した。
Rv=(R/75)×T×100 ・・・ (I)
[安定性1:保存安定性]
実施例または比較例で得られた本導電性ペースト組成物について、製造(調製)直後の粘度を粘度計(ブルックフィールド(Brookfield)社製、商品名:HBDV−III)により「直後粘度」として測定するとともに、本導電性ペースト組成物を0±5℃の温度条件で保存し、経過日数毎にその粘度を前記粘度計により「保存粘度」として測定した。「保存粘度」が「直後粘度」の1.5倍の数値になるまでの日数を指標として、保存安定性を評価した。
[安定性2:可使時間]
実施例または比較例で得られた本導電性ペースト組成物について、製造(調製)直後の粘度(直後粘度)を前記粘度計により測定するとともに、本導電性ペースト組成物を23±3℃の温度条件(常温条件)で保存し、経過時間毎にその粘度(保存粘度)を前記粘度計により測定した。「保存粘度」が「直後粘度」の1.5倍の数値になるまでの時間を指標として、可使時間を評価した。
(実施例および比較例に用いた各成分)
[(A)銀粉末成分]
実施例または比較例で用いた(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末を表1に、これら銀粉末を混合した混合銀粉末すなわち(A)銀粉末成分の組成を表2に示す。
なお、表1では、説明の便宜上、5種類の(A−1)フレーク状銀粉末に対してそれぞれ「A−1[i]」〜「A−1[v]」の管理番号を付し、3種類の(A−2)粒状銀粉末に対してそれぞれ「A−2[i]〜A−2[iii] 」の管理番号を付している。また、表2でも、説明の便宜上、実施例9種類の(A)銀粉末成分の組成および比較例6種類の(A)銀粉末成分の組成それぞれに、「A01」〜[A15]の管理番号を付している。さらに、表1および表2では、参考のために、(A−1)または(A−2)の各銀粉末の種類、あるいは(A)銀粉末成分の各組成がそれぞれ実施例に該当するか比較例に該当するかを併記している。
Figure 0006639951
Figure 0006639951
なお、(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の平均粒径は、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置、商品名:9320−HRA X−100)を用いて、平均粒径D50を測定して評価した。また、(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の比表面積は、モノソーブ(カウンタクローム(Quanta Chrome)社製)を用いた窒素吸着によるBET1点法で測定して評価した。(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末のタップ密度は、タップ密度測定装置(株式会社柴山科学器械製作所製カサ比重測定装置、商品名:SS−DA−2)を用い、資料(銀粉末)を落差20mmで1,000回タッピングし、資料重量をタッピング後の試料容積で除算したときの数値を算出して評価した。
[(B)エポキシ樹脂成分]
実施例または比較例で用いた(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂を表3に、これらエポキシ樹脂を配合した配合エポキシ樹脂すなわち(B)エポキシ樹脂成分の組成を表4に示す。
なお、表3では、説明の便宜上、5種類の(B−1)固形状エポキシ樹脂に対してそれぞれ「B−1[i]」〜「B−1[v]」の管理番号を付し、5種類の(B−2)液状エポキシ樹脂に対してそれぞれ「B−2[i]〜B−2[v]」の管理番号を付している。また、表4でも、説明の便宜上、実施例6種類の(B)エポキシ樹脂成分の組成および比較例6種類の(B)エポキシ樹脂成分の組成それぞれに、「B01」〜[B12]の管理番号を付している。さらに、表3および表4では、参考のために、(B−1)または(B−2)の各エポキシ樹脂の種類、あるいは(B)エポキシ樹脂成分の各組成がそれぞれ実施例に該当するか比較例に該当するかを併記している。
Figure 0006639951
Figure 0006639951
[(C)エポキシ樹脂硬化剤]
実施例または比較例で用いた(C)エポキシ樹脂硬化剤を表5に示す。なお、表5では、説明の便宜上、8種類の(C)エポキシ樹脂硬化剤に対してそれぞれ「C01」〜「C08」の管理番号付している。また、表5では、参考のために、(C)エポキシ樹脂硬化剤の各種類が、それぞれ実施例に該当するか比較例に該当するかを併記している。
Figure 0006639951
なお、(C)エポキシ樹脂硬化剤のDTA発熱ピーク温度は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル100重量部に対して(C)エポキシ樹脂硬化剤を10重量部添加し、示差熱熱量重量測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:STA7200RV)にて、5℃/分の昇温条件でTG−DTA測定を行うことにより測定した。
(実施例1)
(A)銀粉末成分として、表1に示す(A−1)フレーク状銀粉末A−1[i]および(A−2)粒状銀粉末A−2[i]を表2に示す重量比で配合し、表2に示すタップ密度であった混合銀粉末A01を用いた。また、(B)エポキシ樹脂成分として、表3に示す(B−1)固形状エポキシ樹脂B−1[i]および(B−2)液状エポキシ樹脂B−2[i]を表4に示す重量比で配合した配合エポキシ樹脂B01を用いた。さらに、(C)エポキシ樹脂硬化剤として、表5に示す、DTA発熱ピークが108℃である、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤C01を用いた。また、(D)溶剤として、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ECA)を用いた。
これら(A)〜(D)の各成分を表6に示す組成で配合し、遊星式攪拌機(株式会社EME製、商品名:VMX-N360)にて攪拌して予備混合した。その後、予備混合物を3本ロールミルにて解砕および混練することにより、実施例1に係る本導電性ペースト組成物を得た。得られた本導電性ペースト組成物について、前述した安定性(保存安定性および可使時間)を評価した。その結果を表6に示す。
得られた本導電性ペースト組成物を、基材である樹脂フィルム(東レ株式会社製PETフィルム、商品名:ルミラーT60)上に、#250メッシュスクリーンを用いて、ライン幅500μmおよびアスペクト比75のパターンでスクリーン印刷した。印刷物(所定パターンに形成された本導電性ペースト組成物)を熱風乾燥し、80℃または100℃で60分間加熱することにより、硬化させた。これにより実施例1に係る硬化物(回路配線)を得た。得られた硬化物について、前述した体積固有抵抗値を評価した。その結果を表6に示す。
(実施例2〜6)
(A)銀粉末成分として表2に示す混合銀粉末A02〜A06のいずれかを用い(表1の(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の種類参照)、(B)エポキシ樹脂成分として表4に示す配合エポキシ樹脂B02〜B06のいずれかを用い(表3の(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂の種類参照)、(C)エポキシ樹脂硬化剤として表5に示す尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤C01またはC02を用い、(D)溶剤として、ECAまたはブチルカルビトールアセテート(BCA,ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)を用いて、これら各成分を表6に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6に係る本導電性ペースト組成物、並びに、硬化物(回路配線)を得た。得られた本導電性ペースト組成物および硬化物について、前述した安定性(保存安定性および可使時間)もしくは体積固有抵抗値を評価した。その結果を表6に示す。
Figure 0006639951
(実施例7〜12)
(A)銀粉末成分として表2に示す混合銀粉末A04、A07〜A09のいずれかを用い(表1の(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の種類参照)、(B)エポキシ樹脂成分として表4に示す配合エポキシ樹脂B01またはB04を用い(表3の(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂の種類参照)、(C)エポキシ樹脂硬化剤として表5に示す尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤C01またはC02を用い、(D)溶剤として、ECAまたはBCAを用いて、これら各成分を表7に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして、実施例7〜12に係る本導電性ペースト組成物、並びに、硬化物(回路配線)を得た。得られた本導電性ペースト組成物および硬化物について、前述した安定性(保存安定性および可使時間)もしくは体積固有抵抗値を評価した。その結果を表7に示す。
Figure 0006639951
(比較例1〜6)
(A)銀粉末成分として表2に示す混合銀粉末A10〜A15のいずれかを用い(表1の(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の種類参照)、(B)エポキシ樹脂成分として表4に示す配合エポキシ樹脂B01を用い(表3の(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂の種類参照)、(C)エポキシ樹脂硬化剤として表5に示す尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤C01を用い、(D)溶剤としてECAを用いて、これら各成分を表8に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜6に係る本導電性ペースト組成物、並びに、硬化物(回路配線)を得た。得られた本導電性ペースト組成物および硬化物について、前述した安定性(保存安定性および可使時間)もしくは体積固有抵抗値を評価した。その結果を表8に示す。
Figure 0006639951
(比較例7〜12)
(A)銀粉末成分として表2に示す混合銀粉末A02を用い(表1の(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の種類参照)、(B)エポキシ樹脂成分として表4に示す配合エポキシ樹脂B07〜B12のいずれかを用い(表3の(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂の種類参照)、(C)エポキシ樹脂硬化剤として表5に示す尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤C02を用い、(D)溶剤としてECAを用いて、これら各成分を表9に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして、比較例7〜12に係る本導電性ペースト組成物、並びに、硬化物(回路配線)を得た。得られた本導電性ペースト組成物および硬化物について、前述した安定性(保存安定性および可使時間)もしくは体積固有抵抗値を評価した。その結果を表9に示す。
Figure 0006639951
(比較例13〜18)
(A)銀粉末成分として表2に示す混合銀粉末A03を用い(表1の(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の種類参照)、(B)エポキシ樹脂成分として表4に示す配合エポキシ樹脂B03を用い(表3の(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂の種類参照)、(C)エポキシ樹脂硬化剤として表5に示す硬化剤C03〜C08のいずれかを用い、(D)溶剤としてECAを用いて、これら各成分を表10に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして、比較例13〜18に係る本導電性ペースト組成物、並びに、硬化物(回路配線)を得た。得られた本導電性ペースト組成物および硬化物について、前述した安定性(保存安定性および可使時間)もしくは体積固有抵抗値を評価した。その結果を表10に示す。
Figure 0006639951
(比較例19〜21)
(A)銀粉末成分として表2に示す混合銀粉末A03またはA04を用い(表1の(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末の種類参照)、(B)エポキシ樹脂成分として表4に示す配合エポキシ樹脂B03またはB04を用い(表3の(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂の種類参照)、(C)エポキシ樹脂硬化剤として表5に示す尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤C01またはC02を用い、(D)溶剤としてECAを用いて、これら各成分を表11に示す組成で配合した以外は、実施例1と同様にして、比較例19〜21に係る本導電性ペースト組成物、並びに、硬化物(回路配線)を得た。得られた本導電性ペースト組成物および硬化物について、前述した安定性(保存安定性および可使時間)もしくは体積固有抵抗値を評価した。その結果を表11に示す。
Figure 0006639951
(実施例および比較例の対比)
実施例1〜12に示すように、(A)銀粉末成分として、タップ密度が所定値以上である(A−1)フレーク状銀粉末および(A−2)粒状銀粉末を混合した混合銀粉末を用い、(B)エポキシ樹脂成分として、重量平均分子量およびエポキシ当量が所定範囲内である(B−1)固形状エポキシ樹脂および(B−2)液状エポキシ樹脂を混合した配合エポキシ樹脂を用い、(C)エポキシ樹脂硬化剤として、所定条件でのDTAの発熱ピークが120℃未満である、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤を用い、第一条件および第二条件を満たすように、これら(A)〜(C)の各成分を配合すれば、80℃硬化時および100℃硬化時のいずれにおいても、硬化物の体積固有抵抗値を低抵抗化できるとともに、良好な保存安定性および良好な可使時間を実現することができる。
一方、比較例1〜6に示すように、(A)銀粉末成分として、タップ密度が所定値に満たない(A−1)フレーク状銀粉末または(A−2)粒状銀粉末を用いたり(比較例1〜3)、(A−1)フレーク状銀粉末のみを用いたり(比較例5)、(A−2)粒状銀粉末のみを用いたり(比較例6)、混合銀粉末のタップ密度が所定値に満たなかったり(比較例4)すれば、安定性(保存安定性および可使時間)については良好な結果が得られるものの、体積固有抵抗値を低抵抗化できなかった。
また、比較例7〜12に示すように、(B)エポキシ樹脂成分として、重量平均分子量およびエポキシ当量が所定範囲から外れる(B−1)固形状エポキシ樹脂または(B−2)液状エポキシ樹脂を用いたり(比較例7〜9)、(B−1)固形状エポキシ樹脂のみを用いたり(比較例11)、(B−2)液状エポキシ樹脂のみを用いたり(比較例12)、(B−1)固形状エポキシ樹脂または(B−2)液状エポキシ樹脂の配合比が所定範囲から外れたり(比較例10)すれば、良好な安定性が得られる場合(比較例11)もあるものの、総じて安定性が低下するとともに、体積固有抵抗値も十分に低抵抗化できなかった。
また、比較例13〜17に示すように、(C)エポキシ樹脂硬化剤として、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤以外のものを用いれば、安定性が低下するとともに、体積固有抵抗値も十分に低抵抗化できなかった。また、比較例18に示すように、(C)エポキシ樹脂硬化剤として、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤を用いた場合であっても、当該硬化剤のDTA発熱ピークが120℃以上であれば、安定性については良好化結果が得られるものの、体積固有抵抗値を十分に低抵抗化できなかった。
なお、比較例13、15および16で用いている硬化剤C03、C05およびC06は、DTA発熱ピークが120℃以下であり、DTA発熱ピークが120℃以上である硬化剤C04およびC07を用いた比較例14および17に比べて、相対的に体積固有抵抗値が低くなっている。それゆえ、(C)エポキシ樹脂硬化剤において、DTA発熱ピークが120℃以下のものを用いることは、それなりに有効であることがわかる。
さらに、比較例19〜21に示すように、(A)〜(C)の各成分として、所定条件を満たすものを用いたとしても、配合の条件が第一条件または第二条件を満たさなければ、体積固有抵抗値を十分に低抵抗化できないだけでなく、保存安定性が低下したり、保存安定性および可使時間の双方が低下したりする場合が見られた。
このように、本発明によれば、(A)銀粉末成分として、タップ密度を限定した混合銀粉末を用い、(B)エポキシ樹脂成分として、重量平均分子量およびエポキシ当量を限定した固形状および液状の2種類を所定範囲の配合比で配合した配合エポキシ樹脂を用い、(C)エポキシ樹脂硬化剤として、(B)エポキシ樹脂成分の低温硬化に寄与し、かつ、保存安定性および可使時間の良好な保持に寄与する、特定のポリアミン系化合物を用い、さらに(A)〜(C)の各成分を第一条件および第二条件の双方を満たすように配合している。
一般的に、低温硬化が可能であり硬化物の低抵抗化を図ることができる硬化型の導電性ペーストは、樹脂成分の反応性が高い反面、安定性が低いため、長期間の保管が難しく、使用時にも増粘等が生じるため使用しにくいものであった。
これに対して、本発明に係る加熱硬化型導電性ペースト組成物は、前述した構成を有するため、100℃以下という低温硬化が可能であるとともに、硬化物の低抵抗性を図ることができ、さらには、保存安定性および可使時間の低下を回避して取扱性が優れたものとなっている。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、100℃以下の低温で加熱硬化させて導電性の硬化物を得る分野、例えば、基材として樹脂フィルムを用いた回路基板等の分野に広く好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. (A)銀粉末成分と、(B)エポキシ樹脂成分と、(C)エポキシ樹脂硬化剤と、を含有し、
    前記(A)銀粉末成分は、
    (A−1)タップ密度3.5g/cc以上のフレーク状銀粉末と、
    (A−2)タップ密度3.5g/cc以上の粒状銀粉末と、
    を混合したものであって、そのタップ密度が5.0g/cc以上の混合銀粉末であり、
    前記(B)エポキシ樹脂成分は、
    (B−1)常温で固形であり、重量平均分子量が30,000〜70,000の範囲内であり、エポキシ当量が6,500〜9,000の範囲内である、固形状エポキシ樹脂と、
    (B−2)常温で液体であり、重量平均分子量が200〜400の範囲内であり、エポキシ当量が100〜200の範囲内である、液状エポキシ樹脂とを、
    50/50〜90/10の範囲内となるように配合した配合エポキシ樹脂であり、
    前記(C)エポキシ樹脂硬化剤は、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに対して10重量%添加したときに、5℃/分の昇温条件で示差熱−熱重量分析(TG−DTA)を行ったときにおける示差熱分析(DTA)の発熱ピークが120℃未満に現れる、尿素結合含有変性脂肪族ポリアミン系硬化剤であり、
    さらに、前記(A)銀粉末成分、前記(B)エポキシ樹脂成分、および前記(C)エポキシ樹脂硬化剤は、
    前記(A)銀粉末成分および前記(B)エポキシ樹脂成分の総重量における前記(A)銀粉末成分の含有量が90重量%以上である第一条件と、
    前記(B)エポキシ樹脂成分および前記(C)エポキシ樹脂硬化剤の総重量における前記(C)エポキシ樹脂硬化剤の含有量が5重量%以上20重量%以下である第二条件と、
    を満たすように、配合されていることを特徴とする、
    加熱硬化型導電性ペースト組成物。
  2. 前記(A)銀粉末成分は、前記(A−1)フレーク状銀粉末/前記(A−2)粒状銀粉末の重量比が、10/90〜75/25の範囲内となるように、これら銀粉末が混合されたものであることを特徴とする、
    請求項1に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
  3. 請求項1または2に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物を用いて基材上に形成された、電気導電性を有する硬化物。
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