JP5651625B2 - 加熱硬化型導電性ペースト組成物 - Google Patents
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Description
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる導電性粉末としては、良好な導電性を実現する観点から、フレーク状粉末および球状粉末が併用される。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる熱硬化性成分は、25℃において液状であり環状構造を有する2種類のエポキシ樹脂、並びに、25℃において固形状態にあり環状構造を有する1種類の樹脂(固形樹脂)である。これら2種類のエポキシ樹脂および1種類の固形樹脂は所定の配合比で配合されて用いられる。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる硬化剤は、前記A成分およびB成分のエポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されず、導電性ペースト組成物の分野で公知の各種化合物を挙げることができる。
本発明に係る導電性ペースト組成物に用いられる溶剤は特に限定されず、導電性ペースト組成物の分野で公知の各種溶剤を好適に用いることができる。
本発明に係る導電性ペースト組成物の製造方法は特に限定されず、導電性ペースト組成物の分野で公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、前述した各成分を所定の配合割合(質量基準)で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化する方法が挙げられる。混練装置としては、例えば、3本ロールミル等を挙げることができる。
実施例および比較例では導電性粉末としてフレーク状銀粉末および球状銀粉末を用いた。このうち、フレーク状銀粉末については、平均粒径D50、最大粒径Dmax、アスペクト比、BET比表面積、タップ密度、およびナトリウムイオン量を評価した。また、球状銀粉末については、平均粒径D50、最大粒径Dmax、平均粒径DSEM、凝集度D50/DSEM、BET比表面積、タップ密度、およびナトリウムイオン量を評価した。以下、各評価の詳細について説明する。
フレーク状銀粉末および球状銀粉末の平均粒径D50および最大粒径Dmaxはレーザー回折法により評価した。フレーク状銀粉末または球状銀粉末の試料0.3gを50mlビーカーに秤量し、イソプロピルアルコール30mlを加えた後、超音波洗浄器(アズワン株式会社製USM−1)により5分間処理することで分散させ、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA X−100)を用いて、平均粒径D50および最大粒径Dmaxを測定して評価した。
球状銀粉末を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製JSM−5500)により観察して、2万倍に拡大した画像から、100個の粒子を無作為に選択して、その粒径(画像上の長径)を計測した。そして、個々の粒子の粒径を個数平均することによってSEM粒径DSEMを算出して評価した。
フレーク状銀粉末を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−5500)により観察して、2,000倍に拡大した画像から、10個の粒子を無作為に選択し、その粒径(外接円の直径)を計測し、個数平均することによりその長辺の長さを得た。また、同様に2,000倍に拡大した画像から、10個の粒子を無作為に選択して、その厚みを計測し、個数平均することにより厚みを得た。得られた長辺の長さを厚みで除することによりアスペクト比を算出して評価した。
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のBET比表面積は、試料1gをモノソーブ(カウンタクローム(Quanta Chrome)社製)を用いて窒素吸着によるBET1点法で測定して評価した。なお、当該BET比表面積測定において、測定前の脱気条件は60℃にて10分間とした。
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のタップ密度は、タップ密度測定装置(株式会社柴山科学器械製作所製のカサ比重測定装置SS−DA−2)を使用し、試料15gを計量して20mlの試験管に入れ、落差20mmで1,000回タッピングし、次の式によりタップ密度を算出して評価した。
(6)ナトリウムイオン量の評価
フレーク状銀粉末または球状銀粉末のナトリウムイオン量は、試料1gを硝酸に溶解し、純水を添加して希釈した後、原子吸光法により測定して評価した。
球状銀粉末の凝集度50D/DSEMは、レーザー回折法により得られる平均粒径D50を、走査型電子顕微鏡像(SEM、日本電子株式会社製JSM−5500)の画像観察から得られる一次粒子の平均粒径DSEMにより除することにより算出して評価した。
導電性ペースト組成物のペースト粘度は、Brookfield社製DV−III粘度計を用いて測定した。測定時のコーンとしてはCP−52を用い、1rpm回転時(ずり速度2s−1)のペースト粘度(η1rpm)と、5rpm回転時(ずり速度10s−1)のペースト粘度(η5rpm)とを測定するとともに、前者を後者で除したTI値(η1rpm/η5rpm)を算出した。
実施例および比較例の導電性ペースト組成物を用いて、次のようにして特性評価用サンプルを作製した。
サンプルの基材としては、ITO膜付ガラス基板(ジオマテック株式会社製、表面抵抗6.6Ω/sq)を用いた。そして、図1に示すように、このガラス基板21の表面に、実施例または比較例の導電性ペースト組成物を用いて、2mm×20mmの帯状の導体パターン11を、2つ平行となるように2mm間隔でスクリーン印刷した。なお、スクリーン印刷には、マイクロ・テック株式会社製スクリーン印刷機MT−320を使用した。その後、ガラス基板21を180℃の熱風乾燥機中で60分間加熱し、導体パターン11(導電性ペースト組成物)を硬化させた。これにより接触抵抗評価用サンプルを作製した。
サンプルの基材としてはアルミナ基板を用いた。そして、図2に示すように、このアルミナ基板の表面に、実施例または比較例の導電性ペースト組成物を用いて、両端に端子12aおよび12bを有し配線部分12cがつづら折り状となっている導体パターン12をスクリーン印刷した。その後、アルミナ基板を180℃の熱風乾燥機中で60分間加熱し、導体パターン12(導電性ペースト組成物)を硬化させた。これにより比抵抗評価用サンプルを作製した。
各実施例または比較例の接触抵抗評価用サンプルについて、導体パターン11,11のそれぞれの一端の間における電気抵抗をデジタルマルチメータ(株式会社アドバンテスト製R6551)で測定し、得られた抵抗値を用いて接触抵抗を評価した。
各実施例または比較例の比抵抗評価用サンプルについて、導体パターン12の膜厚を表面粗さ計(株式会社東京精密製サーフコム480A)で、電気抵抗をデジタルマルチメータ(株式会社アドバンテスト製R6551)で測定し、それら膜厚と電気抵抗と配線パターンのアスペクト比に基づいて比抵抗を算出して評価した。
アルミナ基板上に、各実施例または比較例の導電性ペースト組成物を用いて、図3に示すように線幅100μmの櫛状の導体パターンを印刷し、当該導体パターンを実体顕微鏡により観察した。このとき、配線だれ、配線にじみ、および配線かすれのいずれも認められないものを○と評価し、配線だれ、配線にじみ、および配線かすれの少なくとも1つ以上が認められるものを×として評価した。
表1に示す具体的な導電性粉末と、表2に示す具体的な熱硬化性成分と、表3の欄外に記載する具体的な硬化剤および溶剤とを用いて、これら成分を表3に示す組成(いずれも質量部)で配合し、3本ロールミルで混練してペースト化することにより、実施例1の導電性ペースト組成物を製造(調製)した。
表3に示すように、B成分としてエポキシ樹脂B2(実施例2)、B3(実施例3)、またはB4(実施例4)(いずれのエポキシ樹脂も表2参照)を用いた以外は前記実施例1と同様にして、実施例2〜4の導電性ペースト組成物を製造した。得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述したように導体パターン11の接触抵抗、導体パターン12の比抵抗、並びに導体パターン13の形成を評価した。その結果を表3に示す。
表3に示すように、A成分としてエポキシ樹脂A2を表3の配合量で用い、かつ、B成分としてエポキシ樹脂B2を用いるか(実施例5)、エポキシ樹脂A3を表3の配合量で用い、かつ、エポキシ樹脂B1を表3の配合量で用いる(実施例6)とともに(いずれのエポキシ樹脂も表2参照)、溶剤の量を調整した以外は前記実施例1と同様にして、実施例5、6の導電性ペースト組成物を製造した。得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述したように導体パターン11の接触抵抗、導体パターン12の比抵抗、並びに導体パターン13の形成を評価した。その結果を表3に示す。
表4に示すように、A成分としてエポキシ樹脂A4を表4の配合量で用い、かつ、エポキシ樹脂B1を表4の配合量で用い、さらにC成分としてエポキシ樹脂C1(固形樹脂)を表4の配合量で用いるか(実施例7)、A成分としてエポキシ樹脂A5を表4の配合量で用い、かつ、B成分としてエポキシ樹脂B2を表4の配合量で用いる(実施例8)とともに(いずれのエポキシ樹脂も表2参照)、硬化剤として硬化剤2を用い、溶剤の量を調整した以外は前記実施例1と同様にして、実施例7、8の導電性ペースト組成物を製造した。得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述したように導体パターン11の接触抵抗、導体パターン12の比抵抗、並びに導体パターン13の形成を評価した。その結果を表4に示す。
表4に示すように、A成分のエポキシ樹脂A1(表2参照)、B成分のエポキシ樹脂B2(表2参照)、およびC成分のエポキシ樹脂C1(固形樹脂、表2参照)をそれぞれ表4の配合量で用いるとともに、溶剤の配合量を調整した以外は前記実施例2と同様にして、実施例9〜11の導電性ペースト組成物を製造した。得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述したように導体パターン11の接触抵抗、導体パターン12の比抵抗、並びに導体パターン13の形成を評価した。その結果を表4に示す。
表5に示すように、熱硬化性成分としてC成分のエポキシ樹脂C1のみを表5に示す配合量で用いてA成分およびB成分を用いず、溶剤の配合量を調整した以外は前記実施例1と同様にして、比較例1の導電性ペースト組成物を製造した。得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述したように導体パターン11の接触抵抗、並びに導体パターン12の比抵抗を評価した。その結果を表5に示す。
表5に示すように、熱硬化性成分としてB成分のエポキシ樹脂B1とC成分のエポキシ樹脂C1とを表5に示す配合量で用いてA成分を用いないか(比較例2)、A成分のエポキシ樹脂A2とC成分のエポキシ樹脂C2とを表5に示す配合量で用いてB成分を用いないか(比較例4)、A成分のエポキシ樹脂A1とB成分のエポキシ樹脂B4とを表5に示す配合量で用いてC成分を用いない(比較例5)とともに、溶剤の配合量を調整した以外は前記実施例1と同様にして、比較例2、4、5の導電性ペースト組成物を製造した。得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述したように導体パターン11の接触抵抗、導体パターン12の比抵抗、並びに導体パターン13の形成を評価した。その結果を表5に示す。
表5に示すように、導電性粉末として併用するフレーク状銀粉末および球状銀粉末2の合計量を89質量部とし、エポキシ樹脂A2およびB2、C成分のエポキシ樹脂C1、硬化剤1、並びに溶剤の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の導電性ペースト組成物を製造した。得られた導電性ペースト組成物のペースト粘度を測定するとともに、前述したように導体パターン11の接触抵抗、導体パターン12の比抵抗、並びに導体パターン13の形成を評価した。その結果を表5に示す。
実施例1〜11の導電性ペースト組成物は、いずれも良好な接触抵抗および比抵抗を実現することが可能となっている。
12 導体パターン
12a 端子
12b 端子
12c 配線部分
13 導体パターン
21 ITO膜付ガラス基板
Claims (9)
- 導電性粉末と、熱硬化性成分と、硬化剤と、溶剤と、を含有し、
前記導電性粉末として、フレーク状粉末および球状粉末が用いられ、
前記熱硬化性成分は、
A成分:エポキシ当量が160以上400以下であり、25℃における粘度が3,000mPa・s以上55,000mPa・s以下である、環状構造を有するエポキシ樹脂と、
B成分:エポキシ当量が140以上300以下であり、25℃における粘度が30mPa・s以上3,000mPa・s未満である、環状構造を有するエポキシ樹脂と、
C成分:ビスフェノール類およびエピクロルヒドリンを用いて重合され、25℃において固形状態にある、エポキシ当量が1,500以上であるビスフェノールA型ないしビスフェノールF型のエポキシ樹脂との3成分から構成され、
これらA〜C成分は、質量比で、A成分およびB成分の総量とC成分の量とが50:50〜95:5の範囲内となり、かつ、B成分の量とA成分およびC成分の総量とが15:85〜75:25の範囲内となるように配合されており、
固形分中における前記導電性粉末の比率が90〜98質量%の範囲内であり、
さらに、25℃における粘度が200〜500Pa・sの範囲内であることを特徴とする、
加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記A成分として、ビスフェノールA型、ビスフェノールE型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、キレート変性型、ウレタン変性型、およびゴム変性型からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂が用いられることを特徴とする、
請求項1に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記B成分として、シクロヘキサンジメタノール型、ジシクロペンタジエンジメタノール型、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA型、およびキレート変性型からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂が用いられることを特徴とする、
請求項1または2に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記フレーク状粉末と球状粉末とは、質量比で、20:80〜80:20の範囲内となるように配合されていることを特徴とする、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記導電性粉末として、銀粉、銅粉、銀コート銅粉、銀コートニッケル粉、銀コートアルミ粉、および銀コートガラス粉からなる群より選択される少なくとも1種が用いられることを特徴とする、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記導電性粉末として、ナトリウムイオン量が200ppm未満のものが用いられることを特徴とする、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記硬化剤として、酸無水物類、イミダゾール類、第3級アミン類、または、フッ化ホウ素を含むルイス酸あるいはその化合物が用いられることを特徴とする、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 基材上に印刷された導体パターンを加熱硬化することによって、当該基材上に電極または電気配線を形成する用途に用いられることを特徴とする、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。 - 前記電極が、太陽電池の集電電極であることを特徴とする、
請求項8に記載の加熱硬化型導電性ペースト組成物。
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