JP5692295B2 - 太陽電池セルの集電極の形成方法及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池セルの集電極の形成方法及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、導電性インク組成物を用いて透明電極上に太陽電池の集電極を形成する方法及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールに関するものである。
導電性インク組成物をフィルム、基板、又は電子部品等の基材に塗布又は印刷した後、加熱して乾燥硬化させることにより、電極又は電気配線等を形成するという方法は、従来から広く用いられている。しかし、近年の電子機器の高性能化に伴い、導電性インク組成物を用いて形成される電極や電気配線等には、より低抵抗で信頼性が高いことが要求され、その要求は年々高まりつつある。
太陽電池の分野においては、使用する材料の種類によって、結晶系の単結晶型又は多結晶型や、アモルファス型、化合物型、ハイブリッド型等に分類される。
図1及び図2はハイブリッド型太陽電池における太陽電池セルの一例を示す模式図であり、図2はその受光面側からみた平面を、また図1は、図2のA−A線の断面を示す図である。ハイブリッド型太陽電池における太陽電池セルは、図1に示すように、n型単結晶シリコン基板11の受光面側にアモルファスシリコン層12が形成され、このアモルファスシリコン層12上にITOからなる透明電極13、更に、透明電極13上には、集電極14が形成される。一方、受光面と反対側の基板裏面には、アモルファスシリコン層16及び透明電極17が形成される。即ち、ハイブリッド型は、受光面に相当する前面側の透明電極13と裏面側の透明電極17との間に吸収波長域が異なる複数の光電変換層を積層した構造とすることで、入射光をより効率的に光電変換することができる。集電極14が形成される表面側は、光閉じ込め効果を得るために、凹凸形状を有するテクスチャ構造になっているのが一般的である。なお、光電変換層として、アモルファスシリコンに代えて、ポリシリコンを使用した例も知られている。
ここで集電極14は、例えば図2に示すように、バスバー部14aとフィンガー部14bとから構成され、光電変換層に可能な限り多くの光を吸収させるため、電極幅、特にフィンガー部14bの電極幅をより一層細線化して受光面の面積をより広く確保することが求められる。また、その密着性と導電性が変換効率及び信頼性に与える影響が大きいことから、変換効率及び信頼性を高めるために、優れた密着性を有しかつより低抵抗とすることが求められる。集電極の抵抗を極力小さくすることで抵抗損失なく電力を取り出すことができるため変換効率が高まる。また、密着性を高めることで、集電極を細線化した場合に基材との接触面積が狭くなっても、従来の線幅の場合と同程度の密着性を得ることにより、高い信頼性が得られる。
このような集電極に求められる密着性に関する要求を満たすべく、例えば、銀粉末と、加熱硬化性成分と、溶剤とを含有し、加熱硬化性成分として、ブロック化ポリイソシアネート化合物と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含む導電性ペースト組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の導電性ペースト組成物によれば、高い導電性と良好な密着性を発現できる。
また、銀粉末と加熱硬化性成分と溶剤とを主成分とし、加熱硬化性成分がエポキシ当量1000以下のエポキシ樹脂と、エポキシ当量1500以上のエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する導電性ペースト組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2の導電性ペースト組成物によれば、高い導電性と良好な密着性を備えるとともに優れた信頼性を有する電極を形成することができる。
特開2002−161123号公報(請求項1、段落[0003]、[0010]) 特開2006−40708号公報(請求項1、段落[0009])
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明では、ブロック化ポリイソシアネート化合物の強度、接着性、耐水性、耐候性に劣る欠点を補うためにエポキシ樹脂を併用することでその物性を補っているとあるが、ブロック化ポリイソシアネート化合物は、加熱硬化後にはウレタン化合物となるが、ウレタン化合物は湿分によって劣化して密着性が低下する特性を有するため、信頼性に劣る問題があった。
また、上記特許文献2に記載された発明では、エポキシ当量1500以上の分子量の大きなエポキシ樹脂を用いるため、硬化反応が遅く、焼成時の銀粉末同士の接触を阻害するため、低抵抗化において必ずしも十分にはならず、長時間焼成する必要があるという問題点を有していた。
本発明の第1の目的は、電極幅の更なる細線化及び低抵抗化が可能であり、また細線化された狭い密着面積においても十分な密着性を有するとともに、耐熱性に優れた信頼性の高い電極を形成し得る導電性インク組成物を用いて透明電極上に太陽電池セルの集電極を形成する方法及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明の第2の目的は、短時間の加熱においても十分な硬化が可能な導電性インク組成物を用いて透明電極上に太陽電池セルの集電極を形成する方法及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記導電性インク組成物を用いて透明電極上に光電変換効率の高い太陽電池セル集電極を形成する方法及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明の第4の目的は、上記導電性インク組成物を用いて形成された電気配線を備え、光電変換効率の高い太陽電池モジュールを提供することにある。
請求項1に係る発明は、導電性粒子と、加熱硬化性樹脂組成物、硬化剤及び溶剤とを含む有機系ビヒクルからなる導電性インク組成物を用いて透明電極上に太陽電池セルの集電極を形成する方法において、前記導電性インク組成物が、スクリーン印刷法に用いられ、かつ前記加熱硬化性樹脂組成物として、室温において固体状態を示しかつ150℃での樹脂の溶融粘度が0.5Pa・s以下の性質を示すエポキシ樹脂組成物を用い、前記加熱硬化性樹脂組成物と前記導電性粒子の含有割合が質量比(加熱硬化性樹脂組成物:導電性粒子)で2.5:90から4.2:82までの範囲内にあって、前記導電性粒子と、温度20〜30℃の条件で前記加熱硬化性樹脂組成物を前記溶剤に混合し次いで前記硬化剤を混合して調製された前記有機系ビヒクルとを、前記有機系ビヒクル5〜30質量%で前記導電性粒子70〜95質量%の割合で、混練しペースト化することにより、調製され、前記加熱硬化性樹脂組成物が前記溶剤100質量部に対して20〜40質量部含み、前記溶剤がブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ又はα−テルピネオールであることを特徴とする太陽電池セルの集電極の形成方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、前記導電性粒子が、Ag粉末である太陽電池セルの集電極の形成方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、前記導電性インク組成物が、前記加熱硬化性樹脂組成物として、ビフェニル型、ビフェニル混合型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型及びジシクロペンタジエン型からなる群より選ばれた1種又は2種以上のエポキシ樹脂組成物を用いる太陽電池セルの集電極の形成方法である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に係る発明であって、前記硬化剤がイミダゾール類又は第3級アミン類である太陽電池セルの集電極の形成方法である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、前記導電性インク組成物が、基板に塗布後、温度100〜280℃の範囲内で加熱硬化する太陽電池セルの集電極の形成方法である。
本発明の導電インク組成物によれば、太陽電池の集電極の形成において、電極幅の更なる細線化及び低抵抗化が可能になる。また細線化された狭い密着面積においても十分な密着性を有するとともに、耐熱性に優れた高い信頼性の電極を形成することができる。また、高い密着性を示すエポキシ樹脂の中でも、高温に加熱した際に低粘度を示すエポキシ樹脂を選択的に用いているので、短時間の加熱においても十分な硬化が可能となる。
本発明の導電性インク組成物を用いて形成された集電極は、電極幅がより細線化され、低抵抗化されるため、この電極を備えた太陽電池セル及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールは、光電変換効率を高めることができる。
また本発明の導電性インク組成物を用いて形成されたリード線は、低抵抗化が可能となるため、このリード線を備えた太陽電池モジュールは、光電変換効率に優れる。
ハイブリッド型太陽電池における太陽電池セルの一例を示す、図2のA−A線の断面を示す模式図。 太陽電池セルの平面の一例を表す模式図。 太陽電池モジュールの一例の概略を示す平面図。
次に本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の太陽電池セルの電極を形成するための導電性インク組成物は、導電性粒子と、加熱硬化性樹脂組成物、硬化剤及び溶剤を含む有機系ビヒクルとを含有する。
導電性粒子は平均粒径0.1〜3μmの球状導電性粒子と平均フレーク径が0.1μm以上3μm未満であるフレーク状導電性粒子とを含有することによって高い導電性を得ることができる。球状導電性粒子の平均粒径を上記範囲としたのは、0.1μm未満のものは、加工コストが非常に高価であるからである。3μmを越えると、粒径の大きな粒子が多く含まれることにより組成物の粘度が低くなるため、印刷後のパターン形状が崩れ、滲みが発生するからである。このうち、球状導電性粒子の平均粒径は、0.1〜2.0μmであることが特に好ましい。またフレーク状導電性粒子の平均フレーク径を上記範囲としたのは、0.1μm未満であると、比表面積が大きく、組成物の粘度が高くなり過ぎたり、またフレーク状導電性粒子を入れることにより高い導電性を得るという効果が得られ難くなる。一方、3μm以上になると、形成される電極の低抵抗化が困難であったり、またスクリーン印刷法等を用いて印刷する際、スクリーン目詰まりを起こし、かすれなどの印刷不良を起こす。このうち、フレーク状導電性粒子のフレーク径は0.15〜2.0μmであることが好ましい。ここで、球状導電性粒子の平均粒径及びフレーク状導電性粒子の平均フレーク径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−950)にて測定し、粒子径基準を個数として演算した50%平均粒子径(D50)をいう。このレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による個数基準平均粒径又は平均フレーク径の値は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製 S−4300SE及びS−900)により観察した画像において、任意の50個の粒子について粒径を実測したときのその平均粒径又は平均フレーク径とほぼ一致する。またフレーク状であるか球状であるかは、粒子の直径/厚みで求められるアスペクト比を上記走査型電子顕微鏡で観察した像をもって、アスペクト比2以上のものをフレーク状であると識別し、フレーク状導電性粒子の平均フレーク径とはフレーク粉末の直径(長径)の平均をいう。上記平均フレーク径が0.1〜3.0μmの範囲のとき、アスペクト比は2〜20の範囲が良好で、厚さは0.005〜1.5μmである。特に好ましい厚さは0.005〜0.5μmの範囲である。
また、フレーク状導電性粒子に比べて粒径の大きい球状導電性粒子が多く含まれると、フレーク状粒子の隙間を球状導電性粒子が埋めることにより導電性粒子同士が密に集まり、高い導電性を確保するという効果が低下するため、フレーク状導電性粒子の平均フレーク径が球状導電性粒子の平均粒径よりも大きいことが好ましい。
導電性粒子は上記フレーク状導電性粒子を上記球状導電性粒子より質量割合でより多く又は同じ質量割合で含有することで、その導電性を高めることができる。即ち、導電性粒子は上記フレーク状導電性粒子を50質量%以上含有する。フレーク状導電性粒子が50質量%未満であると、導電性が低下する。このうち、導電性粒子はフレーク状導電性粒子を50〜95質量%含有するのが好ましく、65〜95質量%含有するのが更に好ましい。即ち球状導電性粒子を50〜5質量%含有するのが好ましく、35〜5質量%含有するのが更に好ましい。
導電性粒子としては、比抵抗が小さく酸化されにくいという理由から、Ag粒子を使用するのが好ましいが、Ag以外には、Au、Cu、Ni又はAlを単独で使用してもよいし、或いはAgを含めたこれら2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の太陽電池セルの電極を形成するための導電性インク組成物を構成する有機系ビヒクルは、熱硬化性樹脂組成物、硬化剤及び溶剤を含有する。
有機系ビヒクルを構成する加熱硬化性樹脂組成物には、従来よりも更に細線化され、接着面積が狭くなった集電極において高い密着性を発現させる必要があるという理由から、エポキシ樹脂組成物を使用する。このエポキシ樹脂組成物は、上記特許文献1で使用されているようなブロック化ポリイソシアネート化合物に比べて耐熱性等に優れた性質を有する。
そして、本発明の太陽電池セルの電極を形成するための導電性インク組成物では、エポキシ樹脂組成物の中でも、室温において固体状態を示しかつ150℃での樹脂の溶融粘度が0.5Pa・s以下の性質を示すエポキシ樹脂組成物を選択的に用いる。室温において固体状態を示すとは、エポキシ樹脂組成物を単体で室温環境に保持したときに、流動性を失って、ほぼペレット状で存在するような状態を示すものである。室温で固体状態を示しながら、150℃での溶融粘度が0.5Pa・s以下と、加熱時に急激に粘度が低下するような特異な性質を示すエポキシ樹脂組成物は、加熱すると瞬時に硬化剤との反応が進むため、このような性質を示すエポキシ樹脂組成物を導電性インク組成物の加熱硬化性樹脂組成物として用いることで、短時間の加熱においても十分な硬化が可能となる。また、焼成が短時間で済むため、耐熱性に劣るフィルムや基板材料を用いた場合にも所望の電極及び電気配線を形成することができる。従って、電極や電気配線を形成することができる基材の種類が拡がるという顕著な効果を得ることができる。また、本発明の導電性インク組成物は使用する樹脂組成物の作用によって加熱時に低粘度となるため、硬化剤が瞬時に行き渡ると同時に、少量の樹脂組成物でも導電性粒子との密着性を向上することができる。
なお、エポキシ樹脂組成物が、150℃での樹脂の溶融粘度が0.5Pa・sを越えるような性質である場合、効果反応が瞬時に進まず、密着不良が起こる不具合を生じ、本発明の優れた効果を得ることができない。
エポキシ樹脂組成物のうち、ビフェニル型、ビフェニル混合型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型等に上記性質を満たすものが多く見られ、これらの組成物を1種又は2種以上使用することができる。
室温において固体状態を示し、かつ、150℃での樹脂の溶融粘度が0.5Pa・s以下の性質を示すエポキシ樹脂組成物で、現在市販されているものとしては、ビフェニル型、ビフェニル混合型では、日本化薬社製のNC3100、NC3000、NC3000L、CER−1020、CER−3000L、ジャパンエポキシレジン社製のYX4000、YX4000H、YL6121H等が挙げられる。また、クレゾールノボラック型では、大日本インキ化学工業社製のN−665−EXP−S等が挙げられる。また、ナフタレン型では、大日本インキ化学工業社製のHP4032等が挙げられる。更に、ジシクロペンタジエン型では、大日本インキ化学工業社製のHP7200L、HP7200等が挙げられる。
ここで示した溶融粘度の値は、例えば、コーン及びプレート型のICI粘度計(Research Equipment London社製)を用いて測定された値である。
硬化剤としては、一般的に用いられるイミダゾール類、第3級アミン類又はフッ化ホウ素を含むルイス酸、或いはその化合物が好適である。イミダゾール類には、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。第3級アミン類には、ピペリジン、ベンジルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。フッ化ホウ素を含むルイス酸には、フッ化ホウ素モノエチルアミン等のフッ化ホウ素のアミン錯体が挙げられる。また、DICY(ジシアンジアミド)のような潜在性の高い硬化剤を用い、その促進剤として上記硬化剤を組み合わせて用いてもよい。このうち、密着性向上の理由から、イミダゾール類の2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが特に好ましい。
溶剤としては、ジオキサン、ヘキサン、トルエン、メチルセロソルブ、シクロヘキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルセソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルセソルブ、α−テルピネオール等が挙げられる。このうち、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、α−テルピネオールが特に好ましい。
本発明の太陽電池セルの電極を形成するための導電性インク組成物は、例えば、以下のような方法で調製される。
先ず、好ましくは温度20〜30℃、更に好ましくは25℃の条件で、上記溶剤100質量部に対し、上記熱硬化性樹脂組成物を好ましくは10〜100質量部、更に好ましくは20〜70質量部を混合し、次いで上記硬化剤を適量混合して有機系ビヒクルを調製する。このように調製された有機系ビヒクルと、上記導電性粒子とを、例えば3本ロールミル等の混練機を用いて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物が調製される。このとき、調製される導電性インク組成物に適性な粘度、及び必要な流動性を持たせるために、有機系ビヒクルを5〜30質量%、導電性粒子を70〜95質量%の割合で混合するのが好ましい。有機系ビヒクルが下限値の5質量%未満、即ち導電性粒子が95質量%を越えると、インク組成物としての適性な流動性が得られ難く、一方、有機系ビヒクルが上限値の30質量%を越える、即ち導電性粒子が70質量%未満になると、導電性粒子が不足し、良好な導電性が得られ難くなるからである。このうち、有機系ビヒクルを8〜20質量%、導電性粒子を80〜92質量%の割合で混合するのが特に好ましい。
また導電性インク組成物中の加熱硬化性樹脂組成物と導電性粒子の含有割合は、導電性の高い電極を形成するのに好適であるという理由から、質量比(加熱硬化性樹脂組成物:導電性粒子)で2.5:90から4.2:82までの範囲内にある。
このように調製された本発明の太陽電池セルの電極を形成するための導電性インク組成物は、30〜100Paの適正な粘度を有する。加熱時にのみ粘度が低下する樹脂組成物を用いているため、室温における印刷粘度に関しては任意に選択することができ、低粘度化による塗布及び印刷時の滲みの発生などは生じない。これによりスクリーン印刷法を用いて本発明の導電性インク組成物を基板等に塗布し、細線化を図った電極及び電気配線パターンを形成する場合、形状の乱れやかすれを生じることなく、精細なパターンを得ることができる。また基板や太陽電池セルにおける積層体上等に塗布又は印刷した後、好ましくは100〜280℃、更に好ましくは150〜220℃の温度で硬化する性質を有する。100℃未満では、硬化が不十分となる。またハイブリッド型の太陽電池セルにおいては、280℃を超える温度で焼成した場合、太陽電池セルの性能に支障を来す。
上述した本発明の導電性インク組成物は、太陽電池モジュールにおける太陽電池セルの集電極、又はリード線の形成に好適に用いることができる。太陽電池セルの集電極は、例えば、太陽電池セルの平面を模式的に表した図2に示すように、2本のバスバー部14aと、このバスバー部14aと直交する複数本からなるフィンガー部14bとを備える。
この集電極の電極幅、特にフィンガー部の電極幅は、より多くの光を受光面に照射させるために、できるだけ細線化することが求められているが、本発明の太陽電池セルの電極を形成するための導電性インク組成物では、平均フレーク径が0.1μm以上3μm未満と、従来のものに比べて小さいフレーク状導電性粒子を使用しているため、微細なパターンの印刷ができ、形成される太陽電池の集電極の更なる細線化が可能となる。またフレーク径の小さいフレーク状導電性粒子を使用することにより、スクリーン印刷法を用いて印刷する際、従来技術で問題とされていたスクリーン目詰まりといった不具合も解消される。また本発明の導電性インク組成物では、従来のものに比べ、平均フレーク径の小さいフレーク状導電性粒子を使用しているが、高い導電性を維持できる。その理由は、導電性粒子同士が密に集まるためであると推察される。更に、接着性の高いエポキシ樹脂を用いていることから、より細線化され、狭められた接着面積においても、高い密着性が得られる。
本発明の導電性インク組成物を用いて形成された集電極を備えた太陽電池セル及び該太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールは、集電極の細線化により、より多くの光を受光面に照射させ、光電変換層に吸収させることができるため、高い光電変換効率が得られる。
また、図3に示すように、太陽電池モジュール30は、リード線31により太陽電池セル32同士を相互に電気的に接続されることで形成される。このリード線は、太陽電池モジュールの特性を高めるために、より低抵抗のものを用いることが要求されることから、通常、銅箔が使用され、この銅箔は半田などにより被覆される。本発明の導電性インク組成物は、リード線における銅箔の代替として利用でき、印刷法による形成が可能であることから簡便な方法で低抵抗のリード線の形成が可能になる。
本発明の導電性インク組成物を用いて集電極が形成された太陽電池セル又はこの太陽電池セルを備えた太陽電池モジュールは、高い光電変換効率が得られる。
また本発明の導電性インク組成物を用いてリード線が形成された太陽電池モジュールは、高い光電変換効率が得られるという優れた特徴を有する。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
以下の表1に示すように、導電性粒子として、平均フレーク径0.5μmのフレーク状導電性粒子80質量%、平均粒径0.2μmの球状導電性粒子20質量%からなる銀粒子を用意した。また有機系ビヒクルを構成する加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.01Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル型エポキシ樹脂組成物(日本化薬社製、製品名:NC3100)を、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤の2−エチル−4−メチルイミダゾールを、また溶剤としてブチルカルビトールアセテートを用意した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物35質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル12質量%と、導電性粒子88質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<実施例2>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.02Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル型エポキシ樹脂組成物(ジャパンエポキシレジン社製、製品名:YX4000)を、溶剤としてエチルセロソルブをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物33質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル10質量%と、導電性粒子90質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<実施例3>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.05Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル型エポキシ樹脂組成物(ジャパンエポキシレジン社製、製品名:YL6121H)を使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物44質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル11質量%と、導電性粒子89質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<実施例4>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.01Pa・sであり、室温において固体状態を示すナフタレン型エポキシ樹脂組成物(大日本インキ化学工業社製、製品名:HP4032)を、溶剤としてα−テルピネオールをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物25質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル15質量%と、導電性粒子85質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<実施例5>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.04Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル混合型エポキシ樹脂組成物(日本化薬社製、製品名:CER−1020)を、溶剤としてブチルセロソルブをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物30質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、得られた有機系ビヒクル18質量%と、導電性粒子82質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<実施例6>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.07Pa・sであり、室温において固体状態を示すジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂組成物(大日本インキ化学工業社製、製品名:HP7200)を、溶剤としてブチルカルビトールをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物35質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル10質量%と、導電性粒子90質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例1>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が2.0Pa・sであり、室温において固体状態を示すクレゾールノボラック型エポキシ樹脂組成物(大日本インキ化学工業社製、製品名:N−660)を使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物40質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル12質量%と、導電性粒子88質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例2>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が4.0Pa・sであり、室温において固体状態を示すジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂組成物(大日本インキ化学工業社製、製品名:HP−7200H)を、溶剤としてブチルセロソルブをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物35質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル10質量%と、導電性粒子90質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例3>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が7.5Pa・sであり、室温において固体状態を示すフェノールノボラック型エポキシ樹脂組成物(大日本インキ化学工業社製、製品名:N−775)を使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物62質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル12質量%と、導電性粒子88質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例4>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が5.5Pa・sであり、室温において固体状態を示すナフタレン型エポキシ樹脂組成物(大日本インキ化学工業社製、製品名:EXA−4700)を、溶剤としてブチルセロソルブをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物40質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル10質量%と、導電性粒子90質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例5>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.01Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル型エポキシ樹脂組成物(日本化薬社製、製品名:NC3100)を、溶剤としてブチルカルビトールアセテートをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物10質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル12質量%と、導電性粒子88質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例6>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.01Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル型エポキシ樹脂組成物(日本化薬社製、製品名:NC3100)を、溶剤としてブチルカルビトールアセテートをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物150質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル30質量%と、導電性粒子70質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例7>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.01Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル型エポキシ樹脂組成物(日本化薬社製、製品名:NC3100)を、溶剤としてブチルカルビトールアセテートをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物15質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル40質量%と、導電性粒子60質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
<比較例8>
以下の表1に示すように、実施例1で使用した加熱硬化性樹脂組成物及び溶剤に代えて、加熱硬化性樹脂組成物として150℃での樹脂の溶融粘度が0.01Pa・sであり、室温において固体状態を示すビフェニル型エポキシ樹脂組成物(日本化薬社製、製品名:NC3100)を、溶剤としてブチルカルビトールアセテートをそれぞれ使用した。
そして、温度25℃の条件で、溶剤100質量部に対し、加熱硬化性樹脂組成物100質量部を混合し、更にこの混合物に硬化剤を適量添加して有機系ビヒクルを調製した。続いて、調製した有機系ビヒクル4質量%と、導電性粒子96質量%とを3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性インク組成物を調製した。
Figure 0005692295
<比較試験及び評価>
実施例1〜6及び比較例1〜8で得られた導電性インク組成物について、以下に示す方法により、粘度、スクリーン印刷性、スクリーン目詰まり及び最小線幅を評価した。また実施例1〜6及び比較例1〜8で得られた導電性インク組成物を用いて形成された電極について、以下に示す方法により、密着性及び比抵抗を評価した。その結果を以下の表2に示す。
(1)導電性インク組成物の粘度:レオメータ(ティー・エー・インスツルメント社製 AR1000)を用いて、400mmコーンを使用し、ずり速度10S-1とした時の値を測定した。
(2)スクリーン印刷性:スクリーン印刷法により100×100mm角の基板上に印刷されたパターンについて、パターン形状が確認できた場合を「良好」とし、印刷時のかすれ等でパターン形状が僅かに乱れた場合を「可」とし、また印刷時にレオロジー特性の関係からパターンが全く印刷できなかったり、著しいかすれによりライン欠損が全体にわたってみられた場合を「不可」とした。
(3)スクリーン目詰まり:スクリーン版が目詰まりして連続印刷が困難な場合、又はライン形状に目詰まりによる未塗布箇所がみられた場合を「有」とし、未塗布箇所がみられなかった場合を「無」とした。
(4)最小線幅:40、50、70、100、150及び200μmの線幅で開口部が設計されたスクリーン版を用いて100×100mm角の基板上にパターンを印刷し、ラインが重ならずに乱れることなく印刷できた最小の線幅を最小線幅とした。
(5)密着性:得られた導電性インク組成物をスクリーン印刷法を用いて100×100mm角の基板上に印刷塗布した後、この基板を熱風循環炉に投入し、200℃の温度で30分間焼成して形成された電極について、配線部にテープを貼り付け、碁盤の目試験の要領でテープテストを実施した。インクにより形成した配線パターンがテープ側に全く付かなかった場合を「良好」とし、若干テープ側に曇ったように色が付き、配線パターン内部で一部破壊が起こったと思われる場合を「可」とし、配線パターンがテープ側に全て貼り付き、基板界面で剥がれてしまった場合を「不可」とした。
(6)比抵抗:得られた導電性インク組成物をスクリーン印刷法を用いて100×100mm角の基板上に印刷塗布した後、この基板を熱風循環炉に投入し、200℃の温度で30分間焼成して形成された電極について、四端子四探針方式の表面固有抵抗表面抵抗計(三菱化学社製、ローレスタ)を用いて表面抵抗を測定した値と、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK−9600)を用いて測定した膜厚の値とを用いて、比抵抗を算出した。
Figure 0005692295
表2から明らかなように、実施例1〜6及び比較例1〜8を比較すると、クレゾールノボラック型で、溶融粘度が2.0Pa・sのエポキシ樹脂組成物を用いた比較例1やジシクロペンタジエン型で、溶融粘度が4.0Pa・sのエポキシ樹脂組成物を用いた比較例2では、導電性インク組成物の粘度は実施例と大差ない数値であったが、焼成後に状態が変わる密着性や比抵抗にその影響が大きく出て、比較例1では比抵抗が高く、比較例2では密着性に難があり、かつ比抵抗が高いことが確認された。熱硬化性樹脂の比率が1.1質量%と少ない比較例5では、インク組成物全体に適正な流動性が与えられなかったためか、インクがダレやすく、印刷は可能であったが形成した配線の保形性がないため、線幅を細くすることができなかった。また、比抵抗は樹脂分が少ないためか値が安定せず、計測し難かった。更に接着に寄与する樹脂分が少ないため、密着性が確保されなった。熱硬化性樹脂の比率が18質量%と高い比較例6では、有機ビヒクルの粘性が高く、インク組成物に適正な流動性を与えるためには必然的に導電性粉末の割合を下げざるを得なかった。そして、インク組成物中の導電性成分が少ないため、比抵抗が非常に高い結果となった。また、インク組成物に粘り気があり、細線印刷が困難な傾向が現れた。導電性粒子が60質量%と少ない比較例7では、樹脂組成物の含有割合が適性範囲であっても、インク組成物の粘度は低く、凝集力のないダレやすいインクとなった。また、導電性成分が少ないので比抵抗が高い結果となった。更に、導電性粒子が96質量%と高い比較例8では、粉末比率が高すぎ、有機ビヒクルが少ないために導電性粒子を湿らせる程度にしかならず、適正な粘度を与えられなかった。インク組成物は湿った粉のような状態でまとまりがなく、粘度を測定することができなかった。また、スクリーン印刷に必要なローリング性が得られず、印刷自体ができなかったため、比較試験をすることができなかった。
一方、実施例1〜6では、小さな最小線幅を維持しつつも優れた密着性が得られており、また、比較例1〜8と比べて大幅に低い比抵抗値が得られていることから、この導電性インク組成物を用いて太陽電池の集電極を形成した場合、変換効率を高めることができ、また高い信頼性が得られることが確認された。
実施例4は、樹脂組成物の割合が少なく、かつ導電性インク組成物の粘度が低い例である。実施例4では、最小線幅が40μmと他の実施例に比べて太くなる結果となった。導電性インク組成物の粘度が低く、流動性が高い場合には印刷性は良好になると考えられるが、インク粘度が低く、かつ樹脂組成物の割合が低い場合には、印刷後のインクがだれて、印刷可能な最小線幅が太くなる傾向が見受けられ、実施例4はその傾向を裏付ける結果となった。
実施例5は、導電性粒子の割合が低いことが理由ではないかと考えられるが、比抵抗の数値が他の実施例に比べて多少高めであった。

Claims (5)

  1. 導電性粒子と、加熱硬化性樹脂組成物、硬化剤及び溶剤とを含む有機系ビヒクルからなる導電性インク組成物を用いて透明電極上に太陽電池セルの集電極を形成する方法において、
    前記導電性インク組成物が、スクリーン印刷法に用いられ、かつ前記加熱硬化性樹脂組成物として、室温において固体状態を示しかつ150℃での樹脂の溶融粘度が0.5Pa・s以下の性質を示すエポキシ樹脂組成物を用い、前記加熱硬化性樹脂組成物と前記導電性粒子の含有割合が質量比(加熱硬化性樹脂組成物:導電性粒子)で2.5:90から4.2:82までの範囲内にあって、前記導電性粒子と、温度20〜30℃の条件で前記加熱硬化性樹脂組成物を前記溶剤に混合し次いで前記硬化剤を混合して調製された前記有機系ビヒクルとを、前記有機系ビヒクル5〜30質量%で前記導電性粒子70〜95質量%の割合で、混練しペースト化することにより、調製され、
    前記加熱硬化性樹脂組成物が、前記溶剤100質量部に対して20〜40質量部含み、
    前記溶剤が、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ又はα−テルピネオールであることを特徴とする太陽電池セルの集電極の形成方法。
  2. 前記導電性粒子が、Ag粉末である請求項1記載の太陽電池セルの集電極の形成方法。
  3. 前記導電性インク組成物が、前記加熱硬化性樹脂組成物として、ビフェニル型、ビフェニル混合型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型及びジシクロペンタジエン型からなる群より選ばれた1種又は2種以上のエポキシ樹脂組成物を用いる請求項1又は2記載の太陽電池セルの集電極の形成方法。
  4. 前記硬化剤が、イミダゾール類又は第3級アミン類である請求項1ないし3いずれか1項に記載の太陽電池セルの集電極の形成方法。
  5. 前記導電性インク組成物が、基板に塗布後、温度100〜280℃の範囲内で加熱硬化する請求項1ないし4いずれか1項に記載の太陽電池セルの集電極の形成方法。
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