JP2013149596A - 熱硬化型導電性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】電子デバイスや太陽電池の電極、配線などに好適な熱硬化型導電性ペースト、この熱硬化型導電性ペーストを用いて形成された電極や配線を有する電子デバイス及び太陽電池を提供する。
【解決手段】第1の硬化性樹脂成分と、第2の硬化性樹脂成分と、導電性粉末とを含み、加熱硬化により前記第1の硬化性樹脂成分と前記第2の硬化性樹脂成分が相互侵入型高分子網目(IPN)構造を形成することを特徴とする熱硬化型導電性ペースト。該導電性ペーストは印刷性に優れ、熱硬化によって耐熱性、密着性、耐衝撃性、導電性に優れたIPN構造を有する導電層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は電子デバイスや太陽電池の電極、配線などに使用可能な熱硬化型導電性ペーストに関するものである。また、この熱硬化型導電性ペーストを用いて形成された電極や配線を有する電子デバイス及び太陽電池に関するものである。
熱硬化型導電性ペーストは銀や銅などの金属粉末を樹脂および必要により溶剤やその他の添加成分に分散したものであり、コンデンサ、インダクタやアクチュエータ等の電子部品の電極、太陽電池パネルの集電極、プリント基板、タッチパネル、表示素子等の電子回路の導体配線や電磁波遮断材、或いは導電性接着剤として使用されている。このような熱硬化型導電性ペーストは一般的にスクリーン印刷、ディップ法、ディスペンス法、インクジェット法等様々な塗布法で基板上に所望の形状・厚みでパターン形成した後、比較的低温、例えば100〜300℃で熱処理することにより乾燥及び/又は樹脂が加熱硬化され、樹脂マトリックス中に金属粒子が分散された構造を持った導電層が形成される。
樹脂としては一般に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などが使用されるが、特に導電性、接着性、耐熱性が要求される用途には主にエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が使用されている。
特に、結晶性シリコンにアモルファスシリコンを積層したヘテロ接合型シリコン太陽電池は優れた変換効率を持つことから注目されており、このようなアモルファスシリコン層を有する太陽電池の集電極として低温硬化型の導電性ペーストが使用されている。太陽電池用導電性ペーストへの要求特性としては、優れたスクリーン印刷性と硬化後の導電性、密着性に加え、該導電性ペーストで形成された導電層上にセル接続のための半田リボンを接合させるために、優れた耐熱性と半田濡れ性が必要となる。
これを実現するために、例えば特許文献1には、フレーク状の銀粉末と球状銀粉末を組み合わせ、加熱硬化性成分としてエポキシ樹脂と、特定の硬化剤と、ブロック化ポリイソシアネートを用いた導電性、密着性の優れた導電性ペーストが開示されている。
また、特許文献2には、フレーク状銀粉末と球状銀粉末を用い、樹脂として特定のエポキシ当量のビスフェノールA系エポキシ樹脂と特定のエポキシ当量、特定粘度のエポキシ樹脂を使用したペーストが開示されている。
特許文献3には特定のフタル酸系グリシジルエステル型エポキシ樹脂を用いた熱硬化型導電性ペーストが開示されている。
特許文献4には繊維素誘導体高分子とその他の樹脂を併用し、硬化剤としてイソシアネートを用いて、2種類の高分子をイソシアネートで架橋することにより屈曲性、導電性を両立させた導電性ペーストが開示されている。
一方、高分子材料の物性改善の手段として相互侵入型高分子網目(Inter Penetrating Polymer−Networks、以下「IPN」という)構造体の利用が知られている。IPN構造体とは、個別に架橋された2以上の高分子鎖が分子レベルで互いに絡み合った状態のものを指すが、性質の違った高分子鎖を絡み合った状態にすることにより、特異な、優れた物性が得られることが知られている。例えば特許文献5には、エポキシ樹脂にアクリル樹脂を組み合わせてIPN構造とすることにより柔軟性、応力緩和性を改善した非導電性のIPN型接着剤が開示されている。また特許文献6には、ラジカル重合性モノマーと高分子量バインダーポリマーを組み合わせた光重合性導電ペーストが開示されている。なお後者は塗布後光照射により部分的にIPN構造を形成してゲル化させ、現像後焼成されるものであり、形成された導電層中に樹脂は残存しない。
特許第3558593号公報 特開平2009−146584号公報 特許第4482873号公報 特許第4596107号公報 特許第3573109号公報 特許第3620861号公報
前記特許文献1〜3のペーストは導電性、接着性が共に優れ、スクリーン印刷も可能であるため、太陽電池の電極をはじめ各種回路、電極の形成に適している。しかし近年要求特性がますます厳しくなる中で、耐熱性、接着性、信頼性が十分満足いくものとはいえない。とりわけ太陽電池の電極用途にはこれら諸特性をさらに改善すること、特に高い導電性と耐熱性、接着性等を両立させることが要求されている。
特許文献4は、少なくとも2種類の高分子をイソシアネートで架橋した非IPN型網目構造体であり、屈曲性と機械強度を改善するものであるが、導電性や耐熱性は十分なものではない。
本発明の目的は、前述の問題を解決し、高い導電性と優れた印刷性、接着性、さらには耐熱性を両立し得る導電性ペーストを提供することにある。
上記問題を解決する本発明は、以下より構成される。
(1)第1の硬化性樹脂成分と、第2の硬化性樹脂成分と、導電性粉末とを含み、加熱硬化により前記第1の硬化性樹脂成分と前記第2の硬化性樹脂成分が相互侵入型高分子網目(IPN)構造を形成することを特徴とする熱硬化型導電性ペースト。
(2)加熱硬化の際、前記第2の硬化性樹脂成分が前記第1の硬化性樹脂成分の架橋温度より高い温度で架橋反応することを特徴とする、上記(1)に記載の熱硬化型導電性ペースト。
(3)前記第1の硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂とその硬化剤とを含むことを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の熱硬化型導電性ペースト。
(4)前記第2の硬化性樹脂成分がイソシアネートと架橋可能な官能基を有する熱可塑性高分子と、ブロックイソシアネートとを含むことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の熱硬化型導電性ペースト。
(5)前記導電性粉末が銀、銅、ニッケル、アルミニウム、金、白金から選択される金属の少なくとも1種を含むことを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の熱硬化型導電性ペースト。
(6)第1の硬化性樹脂成分と、第2の硬化性樹脂成分と、導電性粉末とを含む熱硬化型導電性ペーストであって、前記第2の硬化性樹脂成分がイソシアネートと架橋可能な官能基を有する熱可塑性高分子と、前記第1の硬化性樹脂成分の架橋温度より高い温度でブロック剤を解離するブロックイソシアネートとを含むことを特徴とする熱硬化型導電性ペースト。
(7)上記(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の熱硬化型導電性ペーストを基板上に塗布し、加熱硬化を行うことによって得られた相互侵入型高分子網目(IPN)構造を有する導電層を有することを特徴とする電気デバイス。
(8)上記(1)乃至(6)いずれか一項に記載の熱硬化型導電性ペーストを基板上に塗布し、加熱硬化を行うことによって得られた相互侵入型高分子網目(IPN)構造を有する電極を有することを特徴とする太陽電池。
本発明の導電性ペーストは、熱硬化によって架橋された2種以上の高分子がIPN構造を形成することで、機械強度、高温時の粘弾性特性等が改善され、単独の高分子架橋体のみ、或いはそれらの単なる混合物では得られない優れた耐熱性、密着性、耐衝撃性といった特性を得ることができ、これにより、導電性を損なうことなく、信頼性の優れた電極や導体配線を形成することが可能になる。
本発明において、IPN構造とは、導電性ペーストに含有される少なくとも2種の樹脂成分が、熱硬化によりそれぞれ個別に架橋されて高分子鎖を形成し、かつ各高分子鎖同士が架橋することなく互いに絡み合っている状態の構造を言い、一方の樹脂成分のみが架橋して高分子鎖を形成し、そこに他方の成分が架橋しないまま侵入したいわゆるsemi−IPN構造は含まない。また例えば特許文献4のように、該2種以上の高分子がIPN構造とならず、架橋してブロック共重合体のような複合体になる場合は、本発明の効果は得られない。これは、必ずしも明確ではないが、IPN構造においては該2種以上の高分子鎖が絡んだ部分である程度の可動性を有しているのに対し、異種高分子鎖の間に化学結合が生じると自由な運動性が束縛されて、例えば応力破壊が起こりやすくなるものと考えられる。
なお、本発明においては、前記少なくとも2種の樹脂成分のそれぞれがほぼすべて架橋してIPN構造に寄与し、未架橋の樹脂成分がほとんど残らないことが好ましいが、硬化物の特性に悪影響のない範囲で、それぞれの樹脂の10重量%以下の未架橋物が残留していても差支えない。
本発明において、IPN構造を形成する第1の硬化性樹脂成分としては制限はなく、熱硬化性樹脂や架橋可能な熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体などが挙げられる。特にエポキシ樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アクリル樹脂などは設計の自由度が高く、また優れた導電性、接着性、耐熱性、安定性を得やすいため好ましく、中でもエポキシ樹脂が好ましく使用される。第1の硬化性樹脂成分には、通常樹脂に使用される硬化剤、架橋剤、硬化促進剤、硬化触媒等が含有されていてもよい。これら第1の硬化性樹脂成分は、単独あるいは複数種の樹脂を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂としては従来公知の様々なものが使用可能である。その代表例としては、ビスフェノールA型グリシジルエーテル系、ビスフェノールF型グリシジルエーテル系、オリゴエチレングリコール型グリシジルエーテル系、オリゴプロピレングリコール型グリシジルエーテル系、ビフェニル型グリシジルエーテル系、フタル酸グリシジルエステル系、水添フタル酸グリシジルエステル系、直鎖アルキルグリシジルエーテル系などの2官能性エポキシ化合物、ノボラックフェノールグリシジルエーテル系、ジグリセロールグリシジルエーテル系、ソルビトールグリシジルエーテル系、ペンタエリスリトールグリシジルエーテル系、トリメチロールプロパングリシジルエーテル系などの3官能性以上のエポキシ化合物が挙げられる。これらの化合物は単独でも複数種類を混合して使用してもよい。また、特に常温での粘度の低いものが良好な導電性を得る上で有用であり、特に25℃での粘度が5Pa・s 以下のものが好ましい。これらの観点から特に好ましいものとしては、フタル酸グリシジルエステル系、水添フタル酸グリシジルエステル系、オリゴエチレングリコール型グリシジルエーテル系、オリゴプロピレングリコール型グリシジルエーテル系が使用できる。
第1の硬化性樹脂成分に配合される硬化剤、架橋剤は、第1の硬化性樹脂成分の架橋硬化時に第2の硬化性樹脂成分との間に実質的に架橋を生じないようなものであれば特に限定はなく、例えばエポキシ樹脂の場合はフッ化ホウ素などのルイス酸類、アミン類、イミダゾール類等のアニオン系硬化剤や、酸無水物などの重付加性硬化剤等が使用可能であり、また、これらの硬化剤に公知の硬化促進剤を併用してもよい。これらの硬化剤の中でもポットライフの視点から潜在硬化剤が有用であり、例えば三フッ化ホウ素エチルエーテル、三フッ化ホウ素フェノール、三フッ化ホウ素ピペリジン、酢酸三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミンなどのフッ化ホウ素系、ジアミノフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族アミン潜在硬化剤を挙げることができる。これらの中で、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン、芳香族アミンを好ましく使用することができる。フッ化ホウ素系潜在硬化剤を使用する場合、その望ましい添加量はエポキシ樹脂に対して1重量%から20重量%の範囲である。1重量%よりも少ない場合、硬化反応が不十分となり、また20重量%よりも多い場合、過剰な硬化剤によって、いずれも膜物性が低下する恐れがある。第1の硬化性樹脂成分においてエポキシ樹脂以外の樹脂、フッ化ホウ素系潜在硬化剤以外の硬化剤を使用する場合についても、樹脂に対する硬化剤の添加量は上記と同様であることが好ましい。
前記第1の硬化性樹脂成分と共にIPN構造を形成する他の硬化性樹脂成分(以下第2の硬化性樹脂成分という)としては、第1の硬化性樹脂成分とは独立に架橋して第1の硬化性樹脂成分の硬化物とIPN構造体を形成し得るものであれば制限はない。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体など第1の硬化性樹脂成分として例示された熱硬化性樹脂や、架橋可能な熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの中から導電性ペーストの硬化条件でその架橋体と第1の硬化性樹脂成分の架橋体との間に実質的に架橋を生じないようなものが選択される。また第1の硬化性樹脂成分について述べたように、通常樹脂に使用される硬化剤、架橋剤、硬化促進剤、硬化触媒等が含有されていてもよい。なお、第1の硬化性樹脂と異なる種類の樹脂を組み合わせることがIPN構造体の形成や得られる物性の観点で望ましい。これら第2の硬化性樹脂成分としては、複数種の樹脂を併用してもよい。
2種以上の高分子鎖同士が互いに架橋することなく絡み合ったIPN構造体を形成するためには、第2の硬化性樹脂成分の架橋剤として、第1の硬化性樹脂成分との間に架橋を生じさせないようなものを選択して配合し、同じ温度域でそれぞれを同時に架橋させてIPN構造体を得ることも可能であるが、好ましくは、第2の硬化性樹脂成分として、第1の硬化性樹脂成分と異なる温度で架橋するものを使用する。後者の方法では、例えば初めに第1の硬化性樹脂成分を架橋させた後、それより高い温度で第2の硬化性樹脂成分が架橋するように樹脂、架橋剤(硬化剤)が選択される。その場合、初めに架橋した樹脂成分の硬化物中に、他の硬化性樹脂成分と架橋し得る反応基が実質的に残留していないことが好ましい。これにより、第1の硬化性樹脂成分の架橋体と第2の硬化性樹脂成分の架橋体との間に実質的に架橋のない硬化物を得ることができる。この手法の場合、異種高分子同士が架橋反応を起こさず良好なIPN構造を形成するためには各架橋反応温度の差は10℃以上あることがより好ましい。さらには20℃以上であればより良好なIPN構造を形成することが可能であるため好ましい。
第2の硬化性樹脂成分としては、特に分子内にイソシアネート基と反応可能な官能基を持った熱可塑性高分子と、架橋剤としての多官能性イソシアネートの組合せが、導電性を損なうことなくより耐熱性、接着性の優れた導電層を形成し得るので好ましい。
イソシアネート基と反応可能な官能基を持った熱可塑性高分子としては、水酸基、カルボキシル基やアミド基などを分子内に有した高分子でありポリビニルブチラール、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、メチルセルロース、エチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースなどの変性セルロース、(メタ)アクリル酸と種々の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと種々の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、(メタ)アクリルアミドと種々の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ノボラック型フェノール樹脂などが挙げられる。これらの高分子は単独であっても複数種を混合して用いても構わない。中でもエチルセルロースやポリビニルブチラール等が、成膜性や導電性の観点で好ましい。
イソシアネートとしては分子内に二つ以上のイソシアネート基を有するものが使用され、脂肪族系や芳香族系の様々なものが使用可能であるが、より高い耐熱性を与えるという観点で芳香族系が好ましい。具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などが代表的なものである。またイソシアネートとしては、ブロック剤によって特定温度までの反応性が抑制されたいわゆるブロックイソシアネートを用いることが好ましい。ブロックイソシアネートを用いると、ブロック剤が解離する温度を選択することにより第2の硬化性樹脂成分の架橋温度を制御することができる。例えば前述のとおり最適なIPN構造を形成するためには、第1の硬化性樹脂成分として使用された樹脂の架橋温度より高い温度で反応活性を示すブロックイソシアネートが好ましく使用される。
また、後述する理由から、本発明において優れた導電性を得るためには、最終的な硬化温度は150℃以上であることが好ましく、この観点から、第1の硬化性樹脂成分として低温で架橋する樹脂を使用する場合には、好ましくは150℃以上の温度でブロック剤が解離する高温タイプのブロックイソシアネートが、第2の硬化性樹脂成分での架橋剤として使用される。より好ましくは170℃以上の温度でブロック剤が解離する高温タイプのブロックイソシアネートが使用される。具体的にはアルコール類、フェノール類、ラクタム類、オキシム類などをブロック剤として使用したものが好ましい。
イソシアネートの好ましい添加量は、前記イソシアネートと該イソシアネート基と架橋可能な官能基を有する熱可塑性高分子に対して1重量%〜50重量%の範囲である。1重量%よりも少ないと架橋密度が低く目的の物性が得られない可能性があり、50重量%よりも多いと未反応のイソシアネートが物性を低下させる恐れが生じる。
IPN構造を形成する前記第1の硬化性樹脂成分と第2の硬化性樹脂成分の好ましい混合比は、硬化物としての重量比で1:50〜50:1の範囲から選択される。この範囲外ではIPN構造が形成されても目的の物性が得られなくなる恐れが生じる。また、これらの樹脂成分に加えて様々な目的で他の樹脂を配合することも可能である。
ここで一例として、エポキシ樹脂と、イソシアネートとポリビニルブチラール(PVB)を使ってIPN構造を形成するための手法を示す。第1の硬化性樹脂成分として一分子中に2以上のエポキシ基を有する多官能性エポキシ化合物と、120℃で活性を示す潜在硬化剤として三フッ化ホウ素モノエチルアミンを、さらに第二の硬化性樹脂成分としてPVBと、150℃より高い温度で反応活性を与えるブロックイソシアネート(架橋剤)とを混合した樹脂組成物を調製する。この組成物を基板に塗布して180〜200℃程度の温度で加熱硬化処理を行うと、昇温過程で以下のように反応が進行する。120℃の加熱によって潜在硬化剤が活性化し、重合、架橋によるエポキシ樹脂の硬化反応が進行し、150℃ではほぼ反応が終了する。一方でPVBはエポキシ樹脂やその硬化剤とは反応しないために、150℃では未架橋状態であり、そのため一方の高分子(エポキシ樹脂)のみが架橋したいわゆるsemi−IPN構造をとっている。さらに加熱を続けて150℃を超える温度になるとブロックイソシアネートのブロック剤が解離し、遊離したイソシアネートとPVBの水酸基とが反応し、PVBが架橋されると共にエポキシ樹脂架橋体とPVB架橋体が相互に絡み合ったIPN構造体が形成される。これらの反応過程は示差走査熱量測定(DSC)等における発熱・吸熱の挙動として把握することができる。また、前記semi−IPN構造とIPN構造の違いは、TMA(熱機械分析)測定でのTg(ガラス転移点)の変化や加熱時の粘弾性特性の違い、また硬化後の樹脂の溶媒抽出試験等から把握することができる。例えば、上記の例においてはsemi−IPN状態からIPN構造の形成に伴ってTgが上昇することと、硬化物を未架橋のPVBに対する良溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)に浸漬することにより抽出される物質を定量、定性分析すると、semi−IPN構造では架橋していないPVBが抽出されるのに対してIPN構造では架橋していないPVBが殆ど抽出されないことによってIPN構造体の形成が確認できる。
本発明の導電性ペーストにおいて、導電性粉末としては通常熱硬化型導電性ペーストに使用されるものであれば制限はないが、高い導電性を持つ銀、銅、ニッケル、アルミニウム、金、白金等の金属粉末やこれらの金属の少なくとも1種を含む混合粉末、合金粉末、複合粉末などの1種又は複数種組み合わせて使用可能である。特に導電性とコストの観点から銀粉末、銀被覆銅粉末、銅粉末が好ましく使用される。またこれらに加えて、基板や被接着物との接続性の向上のためにスズ、ビスマス、インジウム、鉛、半田などの低融点金属の粉末や、これらの金属を含む合金粉末、複合粉末を添加してもよい。
導電性粉末の形状は球状、多面形状、フレーク状、樹枝状、繊維状などの種々が使用可能であり、異なった形状や粒子径のものを混合して使用しても構わない。中でも球状粉末は高い充填性を持つために導電性が良いこと、また細線印刷性が優れることから好ましく使用される。また、導電性粉末の大きさは、球状粉末ではSEM分析の数平均粒径が0.01μm〜5μmの範囲のものが好ましく、導電性特性からはより好ましくは0.1μm〜2μmのものである。導電性を改善するためにこれらの粉末に前記したものと同様の導電性金属の超微粒子、例えば金属ナノ粒子を配合してもよい。
導電性粉末の表面には、ペースト中での分散性を改善するために従来から公知の吸着層や保護層が形成されていてもよい。このような分散性改善剤としては、例えば、有機カルボン酸類やその塩、有機アミン類やその塩、アミノアルコール類やその塩、親水基と疎水基を分子内に持ったいわゆる界面活性剤などが、単独であるいは混合して使用される。また、これらの材料は導電性粉末に対して0.01重量%〜2重量%の範囲で含まれることが分散性と導電性の観点から望ましい。
本発明の導電性ペーストにおいて、樹脂成分の量は、樹脂固形分と導電性粉末の重量比で、1:100〜20:100の範囲が好ましい。もし1:100の比よりも樹脂成分が少なくなると、硬化後の導電層の密着性や耐久性が低下する、一方で20:100の比より樹脂成分が多くなると導電性が低下する恐れがある。
なお優れた導電性を得るためには、導電性粉末の種類や物性に合わせて最適な樹脂設計を行うこと、特に架橋温度を選択することも重要である。本発明者等の検討によれば、導電性粉末として樹脂の硬化温度付近の低温で焼結を始めるようなものを用いた場合は、焼結を開始する温度領域で樹脂に分子運動がある程度許容されることが、導電性粉末の焼結促進、導電性の向上には有効である。従って本発明においては、前記2以上の硬化性樹脂成分のうち高温で架橋する方の架橋温度が導電性粉末の焼結開始温度以上であること、例えば銀粉末を用いた場合には150℃以上であることが好ましい。このようにして導電性粉末の焼結を阻害しないような温度プロファイルで架橋反応を段階的に進めることで、優れた導電性を得ることができる。
本発明の導電性ペーストには、塗布性や粘度調整等のために必要に応じて有機溶剤を含有させてもよい。この場合有機溶剤は、樹脂固形分と導電性粉末との総計に対して1重量%〜100重量%の範囲で添加される。有機溶剤としては制限はなく、例えばアルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、脂肪酸系溶剤、反応性希釈剤等が適宜選択される。特に沸点が100℃以上のものが好ましく使用され、例えばトルエン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、イソホロン、テルピネオール等様々な公知の有機溶剤が使用できる。
さらに、本発明の導電性ペーストには、印刷性、電気特性、安定性や耐候性等の改善のために様々の添加剤を配合してもよい。例えば印刷性改善のためには、チクソ剤、界面活性剤や種々の熱可塑性高分子類などが、安定性と耐候性改善のためには酸化防止剤、紫外線吸収剤などが使用される。その他にも金属の酸化膜を除去するためのロジンやその誘導体に代表されるフラックス剤や多価カルボン酸を含めた有機カルボン酸、種々の色素、さらにはシリカ、酸化チタンなどの金属酸化物、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェンなどの炭素類等の無機粒子も適宜添加可能である。
さらには酸化銀、炭酸銀などの無機の銀化合物や炭素数1〜30の脂肪酸銀のような有機銀化合物を添加してもよい。これらの銀化合物が添加される場合、さらにこれらの銀化合物を還元するアルコール類、アミン類等の還元剤を添加してもよい。これらの銀化合物は加熱過程において銀粒子に還元転換され、導電性粉末との相乗効果によって導電性を改善し、また導電性の基板や電極上に塗布、硬化された場合や太陽電池の集電極等に適用された場合には接触抵抗を改善する効果がある。銀化合物の好ましい添加量は導電性粉末に対して0.1重量%〜10重量%の範囲、より好ましくは1重量%〜8重量%の範囲である。
次に本発明の導電性ペーストの作製方法を一例として示す。第1の硬化性樹脂成分と、第2の硬化性樹脂成分、導電性粉末、及び必要に応じて有機溶剤や添加剤を配合し、これをロールミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等の公知の分散装置にて均一に混合することでペーストを作製する。ペーストの粘度やレオロジー特性は、従来と同様に用途、塗布方法等目的に応じて適宜設定される。
本発明の導電性ペーストはディップ法、ディスペンス法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法、刷毛塗り、スピンコートなどの各種方法によって所望の基板上に必要なパターン形状で塗布され、その後、加熱硬化処理することで導電層が形成される。基板としてはアモルファスシリコン基板や結晶シリコン基板、樹脂、セラミック、ガラス、ガラスエポキシ、紙、化合物半導体などの種々のものが使用できる。
本発明の導電性ペーストは、例えば太陽電池用には、半導体性アモルファスシリコン基板や結晶シリコン基板上に電極配線として形成される。この他、プリント基板の回路配線、ジャンパー回路、スルーホール導体、電極、コンデンサやアクチュエータ等各種電子部品の電極等、様々な電気デバイスに応用することが可能な有用なものである。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例、比較例で使用したペースト材料は以下のとおりである。
エポキシ樹脂a:プリンテック社製EPOX−MK R508(フタル酸ジグリシジルエステル系、25℃粘度4.4Pa.s)
エポキシ樹脂b:プリンテック社製EPOX−MK R540(水素置換フタル酸ジグリシジルエステル系、25℃粘度0.4Pa.s)
エポキシ樹脂c:ナガセケムテックス社製デナコールEX−212(ヘキサンジオールジグリシジルエーテル系、25℃粘度0.02Pa.s)
エポキシ樹脂d:三菱化学社製JER−828(ビスフェノールAジグリシジルエーテル系、25℃粘度13.5Pa.s)
エチルセルロース:ダウケミカル社製エトセルの20wt%ブチルカルビトール溶液
ポリビニルブチラール:積水化学工業社製エスレックB BX−5
ノボラックフェノール樹脂:明和化成社製MEHC−7800H
レゾール型フェノール樹脂:群栄化学社製PL4222
多官能アクリレートモノマ:東亜合成社製M−309(トリメチロールトリアクリレート)
ブロックイソシアネートa:日本ポリウレタン社製ミリオネートMS50(MDI系、ブロック剤解離温度170℃)
ブロックイソシアネートb:日本ポリウレタン社製コロネートAP(TDI系、ブロック剤解離温度170℃)
ブロックイソシアネートc:日本ポリウレタン社製コロネート2512(MDI系、ブロック剤解離温度140℃)
エポキシ硬化剤:東京化成社製三フッ化ホウ素モノエチルアミン
アゾ系ラジカル重合開始剤:和光純薬製VAm−110(10時間半減期110℃)
球状銀粉末:SEM観察による数平均粒径が0.4μmの球状銀粒子
フレーク状銀粉末:SEM観察による数平均粒子径(長軸と短軸の和の1/2の平均値)が2μmのフレーク状銀粉末
酸化銀:和光純薬工業社製酸化銀(I)
各実施例、比較例のペースト特性の評価は次のようにして行った。
[導電性の評価]
導電性ペーストをガラス基板上に 厚み15μm、0.6mm×60mmの長方形パターンにスクリーン印刷し、200℃で30分硬化処理を行って導体層を形成し、4端子法によって電気抵抗値を測定し、比抵抗を算出した。
[耐熱性(密着性)の評価]
導電性ペーストをガラス基板上に厚み10μm、2mm×2mmの正方形パターンにスクリーン印刷し、200℃で30分硬化処理を行った。得られた導体層を有する基板を200℃のホットプレート上に置き、導体層表面にナイフの刃を30°の角度であて、5Nの力で横方向に押して剥離の有無を調べた。パターンごと剥離したものを×、剥離しないものを○とした。
[IPN構造形成の有無の確認(溶媒抽出試験)]
導電性粉末を含まないペーストをフッ素樹脂フイルム上に塗布して200℃で30分硬化処理した。硬化後の試料を剥離し、その2.0gを粉砕し、テトラヒドロフラン(THF)50mlに24時間浸漬後、ろ過し、ろ液中のTHFをエバポレータで除去して残留物(抽出物)の量を測定した。抽出物があった場合は赤外吸収分光法(IR)で成分を分析した。抽出物が全く無いもの、或いは未架橋の樹脂成分が配合量の10重量%以下しか抽出されなかった場合はIPN構造を形成したと判断し、○とした。一方で未架橋の樹脂成分が10重量%を超えて抽出されたものは×とした。
実施例1
球状銀粉末100重量部、エポキシ樹脂a 3.7重量部、エポキシ硬化剤0.2重量部、エチルセルロース(熱可塑性高分子)0.7重量部、ブロックイソシアネートa 0.15重量部及び粘度調整用溶媒としてブチルカルビトールアセテート(BCA)5.5重量部を3本ロールミルによって混合、分散させて導電性ペーストを作製した。導電性ペーストのブルックフィールド粘度計での剪断速度4.0/sの粘度は25℃で200Pa・sであった。
このペーストをガラス基板上にスクリーン印刷し、200℃に設定した乾燥機中で30分間熱処理して加熱硬化を行い、導体パターンを形成した。熱処理中の樹脂の硬化過程をDSCによって評価したところ、エポキシ硬化剤とエポキシ樹脂の反応が140〜150℃に発熱ピークとなって現れ、その後に180℃〜190℃の範囲にブロックイソシアネートとエチルセルロースとの架橋反応による発熱ピークが観察された。この結果から、エポキシ樹脂の硬化・架橋反応とエチルセルロースのブロックイソシアネートによる架橋反応は30℃以上の温度の差異があることがわかった。また、溶媒抽出試験では抽出物が1重量%以下であり、IPN構造を形成しているものと判断される。
硬化後導体パターンの断面をSEM観察したところ、銀粒子が焼結して連続相を形成していた。導電性と耐熱性の評価を行ったところ比抵抗は4.5μΩ・cmであり、また優れた耐熱性を示した。
実施例2〜21
実施例1と同様な手法によって、表1−1、表1−2に示した組成の導電性ペーストを作製して評価し、同表に結果を示した。表1−1、表1−2から明らかなように、実施例で得られた導体層はいずれもIPN構造を形成しており、また優れた導電性と耐熱性を併せ持っている。
なお、実施例19は140℃でブロック剤が解離して反応するタイプのブロックイソシアネートを使用したものである。使用したエポキシ樹脂bはイソシアネートと反応しないのでIPN構造は形成されるが、エポキシ樹脂の硬化反応とほぼ同じ温度範囲でエチルセルロースの架橋反応が進行するために、反応系の粘度が上昇し、相対的に導電性が低下する結果を示した。
実施例20はエポキシ樹脂に代えて自己架橋型のレゾール型フェノール樹脂を用いたものである。DSC分析からはレゾール型フェノール樹脂は100℃で自己架橋しており、またブロックイソシアネートとエチルセルロースの反応は170℃以上で進行していることが観察された。溶媒抽出試験からIPN構造体の形成を確認した。
実施例21は第1の硬化性樹脂成分としてラジカル重合性の多官能アクリルレートモノマとアゾ系ラジカル重合開始剤を、また第2の硬化性樹脂成分としてポリビニルブチラールを用いた構成であり、DSC分析からは100℃でラジカル重合が起り、ブロックイソシアネートとポリビニルブチラールの反応は170℃以上で進行していることが観察された。溶媒抽出評価からIPN構造体の形成を確認した。
Figure 2013149596
Figure 2013149596
比較例1〜8
実施例1と同様な手法によって、表2に示した組成の導電性ペーストを作製して評価し、表2に結果を示した。
比較例1は実施例1のペーストからエチルセルロースとその架橋剤(ブロックイソシアネート)を除いた組成であるが、耐熱性が不十分であった。比較例1と実施例1について銀粒子を含まない組成で熱機械分析(TMA)を行ったところ、Tg(ガラス転移温度)はいずれも90℃で差異はなかったが、200℃における粘弾性を測定すると、弾性率は実施例1の方が約20%低い値を示し、この弾性率の違いが加熱時の密着性(耐熱性)に寄与しているものと推定される。
比較例2、比較例6はそれぞれ実施例1および実施例5のペーストからエポキシ硬化剤を除いた組成であるが、エポキシ樹脂の硬化が起らず、耐熱性が悪かった。また、溶媒抽出試験においても未反応のエポキシ樹脂が添加量とほぼ同量で抽出され、IPN構造体を形成していなかった。
比較例3は実施例1のペーストからブロックイソシアネートを除いた組成であるが、やはり耐熱性が不十分であった。同様にTMAで熱物性を評価した結果、比較例3ではTgが60℃で、実施例1より低く、また、200℃における粘弾性を測定すると、弾性率が約20%低かった。THFによる溶媒抽出試験では未架橋のエチルセルロースが添加量の60重量%抽出されたことから、IPN構造ではなくsemi−IPN構造であることが推定される。
同様に比較例4、5、7、8はそれぞれ実施例14、5、11、18からブロックイソシアネートを除いた組成であるが、いずれもIPN構造を形成せず耐熱性が劣っている。
Figure 2013149596
以上の実施例、比較例から本発明が良好な導電性と耐熱性の両立において高い効果を示すことが明らかである。

Claims (8)

  1. 第1の硬化性樹脂成分と、第2の硬化性樹脂成分と、導電性粉末とを含み、加熱硬化により前記第1の硬化性樹脂成分と前記第2の硬化性樹脂成分が相互侵入型高分子網目(IPN)構造を形成することを特徴とする熱硬化型導電性ペースト。
  2. 加熱硬化の際、前記第2の硬化性樹脂成分が前記第1の硬化性樹脂成分の架橋温度より高い温度で架橋反応することを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化型導電性ペースト。
  3. 前記第1の硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂とその硬化剤とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱硬化型導電性ペースト。
  4. 前記第2の硬化性樹脂成分がイソシアネートと架橋可能な官能基を有する熱可塑性高分子と、ブロックイソシアネートとを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱硬化型導電性ペースト。
  5. 前記導電性粉末が銀、銅、ニッケル、アルミニウム、金、白金から選択される金属の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の熱硬化型導電性ペースト。
  6. 第1の硬化性樹脂成分と、第2の硬化性樹脂成分と、導電性粉末とを含む熱硬化型導電性ペーストであって、前記第2の硬化性樹脂成分がイソシアネートと架橋可能な官能基を有する熱可塑性高分子と、前記第1の硬化性樹脂成分の架橋温度より高い温度でブロック剤を解離するブロックイソシアネートとを含むことを特徴とする熱硬化型導電性ペースト。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱硬化型導電性ペーストを基板上に塗布し、加熱硬化を行うことによって得られた相互侵入型高分子網目(IPN)構造を有する導電層を有することを特徴とする電気デバイス。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱硬化型導電性ペーストを基板上に塗布し、加熱硬化を行うことによって得られた相互侵入型高分子網目(IPN)構造を有する電極を有することを特徴とする太陽電池。
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