JP4403723B2 - 導電性ペースト、配線板の製造方法および配線板 - Google Patents
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Description
【従来の技術】
導電性ペーストは、プリント配線板やフレキシブルプリント基板の上にパターン塗布して回路や電極を形成したり、また、多層基板のスルーホールの穴埋めを行ったり、あるいは半導体素子やチップ部品をそれらの上に接合したりする際に使用される。近年、電子機器の小型化、高機能化に伴い、導電性ペーストの用途範囲は広がっているが、同時にその要求性能も高まっている。基本的な導電性能、使用上の作業性、接着(密着)強度特性、および耐久性等の諸性能の優れたものが望まれているが、これらの性能は概して相反することが多く、全ての性能のバランスのよいものが得られていないのが現状である。
ポリマー系熱硬化型導電性ペーストは、焼成型と異なり、その導電性能が金属粉の性状に負う部分が大きい。はんだペーストの場合とも異なり金属を溶融させる必要は無いので、バインダーにはフラックス能は要求されない。しかし、金属粉末は保存時の粒子凝集防止のために、脂肪酸等の固結防止剤でコーティングされている場合が多く、この表面処理が導電性能を阻害することが知られている。この対策として脂肪酸に親和性のある種々の有機添加剤成分を配合することが提案されているが、これら従来の添加剤成分では、物性、信頼性の低下等、他性能への悪影響は無視し得えない(Andrew J. Lovinger, Journal of Adhesion, 1979, vol.10, pp1-15(非特許文献1)等)。
【0002】
導電性ペーストを用いて作業する場合には、導電性ペーストの可使寿命が最重要な課題の1つである。はんだペーストのように強い活性剤をバインダー中に入れる必要は無いので、バインダーの作用によって金属粉が凝結することは無いが、ポリマー系熱硬化型導電性ペーストにおいては、より高速の硬化性が求められるので反応性の高い硬化系が望まれる。導電性ペーストとして使用する場合には、高速の硬化性を有し、常温時では可使寿命の長期化させることが要求されている。
この両立を図るためには、導電性ペーストの組成には、分散溶融型やマイクロカプセル型の潜在性硬化触媒が主に用いられている。いずれのタイプの潜在性硬化触媒も、常温では反応性基とは接触しないよう不均一化されていて、昇温時に始めて効果を発揮するように設計されている。
分散溶融型の場合には、共溶媒になる配合物による溶解や拡散で常温においても反応性樹脂成分との混触が起こりうる、また、マイクロカプセル型の場合には、使用条件下でのスキージング等の剪断による被覆破壊で、常温においても反応性樹脂成分との混触が起こりうるので、硬化反応が促進し導電性ペーストの保存安定性が失われてしまう問題が挙げられる。
【0003】
さらに、これらの潜在性硬化触媒の機能を設計通りに発現させるには、現実的には工夫が必要である。このような潜在性硬化触媒を使用した導電性ペーストの配合上の工夫としては、例えば、特開平5−314812号公報(特許文献1)において、ビスF型エポキシ樹脂をブタジエン−ニトリル共重合ゴム又は末端アミノ化のブタジエン−ニトリル共重合ゴムでアルキルエーテル化型に変性することによって、硬化剤に対する親和性を下げ、25℃における導電性ペーストの安定性が向上する技術が開示されている。
また特開平9−293413号公報(特許文献2)および特開平10−50143号公報(特許文献3)には、いずれもフェノール樹脂をアルキルエーテル化型にすることによって、アミン型硬化剤に対する親和性を下げ、それぞれ30℃および常温における導電性ペーストの安定性を向上させる技術が開示されている。
また、特開2001−64613号公報(特許文献4)においては、溶剤として特定のグリコールエーテルエステルを用いることにより、25℃における導電性ペーストの安定性を向上させる技術が開示されている。
さらに、特開2000−219811号公報(特許文献5)および特開2002−33018号公報(特許文献6)には、フェノール樹脂系の銅ペーストに、アルコキシ変成したシリコーン樹脂と含窒素キレート形成物質を組み合わせて配合することにより、23℃による導電性ペーストの保存安定性を改善させる技術が開示されている。
【0004】
また、特開平7−331125号公報(特許文献7)および特開平10−7884号公報(特許文献8)には、より高温における安定性を検討した例として、銀被覆銅粉合金を用いた熱硬化型導電性ペーストにおいて、マイクロカプセル型硬化剤の分量に対するバインダー樹脂の分量、フェノール樹脂の原料成分比率と分子量を限定することにより、40℃における保存安定性を向上させる技術が開示されている。しかし、40℃で導電性ペーストを静置し粒子沈降が起こるまでの日数のみで評価しているに過ぎず、樹脂成分の反応に起因する粘度上昇については触れられていない。
【0005】
以上のような開示された技術により、導電性ペーストの速硬化性と可使寿命の長期化が図れるように見えるが、速硬化性と長期の可使寿命を実使用においては未だ十分満足できる性能が得られていない。
例えば、一般に潜在性硬化触媒であっても、使用温度の上昇に伴って硬化反応の速度は加速度的に増加するものであり、導電性ペーストには、使用条件下での印刷、塗布、ディスペンス等の剪断応力による摩擦熱により、微視的には室温以上の温度履歴がかかるので、夏場等の高温で十分な安定性が得られていない。
実際に、特開2002−33018号公報(特許文献9)においては、同様のアルコキシアルコキシ基含有変性シリコーン樹脂の添加による改良で、40℃20日間の保存条件での安定性向上が記載されているが、700〜1200%もの粘度増加を生じている。
常温より夏場の温度領域での保存安定性と使用時の十分な硬化速度との両立と、優れた導電性能、これらの性能を併せ持つ熱硬化性導電性ペーストの開発が望まれているが十分満足できる性能が得られていないのが実情である。
【0006】
【非特許文献1】
Andrew J. Lovinger, Journal of Adhesion, 1979, vol.10, pp1-15
【特許文献1】
特開平5−314812号公報公報
【特許文献2】
特開平9−293413号公報
【特許文献3】
特開平10−50143号公報
【特許文献4】
特開2001−64613号公報
【特許文献5】
特開2000−219811号公報
【特許文献6】
特開2002−33018号公報
【特許文献7】
特開平7−331125号公報
【特許文献8】
特開平10−7884号公報
【特許文献9】
特開2002−33018号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような背景のもとで本発明はなされたものである。本発明の第1の目的は、優れた導電性能を確保した上で、可使寿命を延長させた導電性ペーストを提供することにある。本発明の第2の目的は、前記の導電性ペーストを用いたプリント配線板の製造方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、前記の導電性ペーストを用いたプリント配線板の製造方法により得られた配線板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、金属粉末(A)と、カルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)と、前記の樹脂と反応可能な硬化剤(C)とを含有する導電性ペーストであって、硬化剤が特定の潜在性カルボキシル基発生化合物(C)を用いると、優れた導電性能を有し、かつ、可使寿命も長大な導電性ペーストが得られる知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔7〕である。
〔1〕 金属粉末(A)、カルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)とを含有する導電性ペーストにおいて、硬化剤として、潜在性カルボキシル基発生化合物(C)を含有することを特徴とする導電性ペースト。
〔2〕カルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)がエポキシ基、オキセタン基、3,4−エポキシシクロへキシル基、および環員数5〜8の環状エーテル基からなる群より選択される1種又は2種以上の基を有する樹脂であり、潜在性カルボキシル基発生化合物(C)が、1分子中に少なくとも1個以上のカルボキシル基を有する酸化合物(c01)と1分子中に1個以上のビニル基を有するビニル(チオ)エーテル(c02)とを付加反応して得られる化合物である前記の〔1〕に記載の導電性ペースト。
【0009】
〔3〕 カルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)が固体エポキシ樹脂と反応性希釈剤の混合物からなる樹脂である前記の〔1〕又は〔2〕に記載の導電性ペースト。
〔4〕 潜在性カルボキシル基発生化合物(C)が、
(i)1分子中に少なくとも2個以上のカルボキシル基を有する酸化合物(c21)と1分子中に2個以上のビニル基を有するビニル(チオ)エーテル(c22)とを付加反応して得られる化合物(M)、もしくは、
(ii)1分子中に少なくとも2個以上のカルボキシル基を有する酸化合物の酸無水物(c31)と、1分子中に1個以上のビニル基と1個以上の水酸基を合わせ有するヒドロキシビニル(チオ)エーテル(c32)とを付加反応して得られる化合物(N)、
である前記の〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の導電性ペースト。
〔5〕 金属粉末(A)が、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)およびPd(パラジウム)からなる金属元素群から選ばれる1種の金属粉末、又は前記の金属元素2種以上の合金の金属粉末である前記の〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の導電性ペースト。
〔6〕 さらにジチオカルバミン酸基、ジスルフィド基、メルカプト基、およびチオウレア基からなる群より選択される基を有する硫黄化合物(D)の1種又は2種以上を含む、前記の〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の導電性ペースト。
【0010】
〔7〕 前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて、次の工程を行うプリント配線板の製造方法。
A工程;プリント配線板やフレキシブルプリント基板の上に前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストをパターン塗布し加熱処理して回路や電極を形成する工程(A)、
B工程;多層基板のスルーホールに前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストを充填し加熱処理して層間の電気的導通を得る工程(B)、
C工程;プリント基板上にディスペンス、スクリーン印刷ないしステンシル印刷で前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストを塗布した上に、半導体素子やチップ部品を搭載し加熱処理して接合する工程(C)。
【0011】
〔8〕 前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて、次の工程を行って得られたプリント配線板。
A工程;プリント配線板やフレキシブルプリント基板の上に前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストをパターン塗布し加熱処理して回路や電極を形成する工程(A)、
B工程;多層基板のスルーホールに前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストを充填し加熱処理して層間の電気的導通を得る工程(B)、
C工程;プリント基板上にディスペンス、スクリーン印刷ないしステンシル印刷で前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストを塗布した上に、半導体素子やチップ部品を搭載し加熱処理して接合する工程(C)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性ペーストは、金属粉末(A)、カルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)と、前記の樹脂と反応可能な硬化剤(C)とを含有する導電性ペーストであって、硬化剤が潜在性カルボキシル基発生化合物(C)であることを特徴とする。
前記の金属粉末(A)は、通常の導電性ペーストに用いられる高電気伝導度を有する金属粉末が原料として使用できる。前記の金属粉を構成する金属元素種としては、具体的には例えば、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、およびPd(パラジウム)が挙げられ、さらにそれらの合金が好ましく挙げられる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、前記の金属や合金よりも電気伝導度の低い金属元素種と、その合金を含有していても差し支えない。
合金としては、具体的には例えば、Ag−Pd、Au−Pd、Au−Pt、Pt−Pd、Ag−Ni、Au−Ag、Ag−Cu、Cu−Sn(錫)、Cu−Zn(亜鉛)等の合金が挙げられる。
異種の金属を表面に被覆した金属粉末、例えばAg被覆Cu、Sn被覆Cu等を用いても差し支えない。また、異種の金属からなる複数の金属粉末を混合して使用して差し支えない。特に、少量のPd粉末やZn粉末のAg粉末への添加は、必要に応じてマイグレーション防止や酸化防止の観点から好適に用いることができる。
【0013】
前記の金属粉末(A)としては、化学還元粉、アトマイズ粉、粉砕粉、電解粉等、各種の調製法によって製造された金属粉末を用いることができる。また、金属粉の形状は、鱗片状粉、粒状粉、球形粉、樹枝状粉、角状粉等の形状の金属粉末を単独で又は混合して用いることができる。電気的抵抗をさらに下げるためには、鱗片状粉、樹枝状粉の使用が好ましい。電気抵抗性能の極端な悪化を避けながら得られる導電性ペーストの粘度を減じるためには、球状粉末を一部配合することが好ましい。
前記の金属粉末(A)の粒径は、好ましくは0.2〜50μmであり、さらに好ましくは0.5〜20μmである。
前記の金属粉末(A)の市販品としては例えば、徳力化研(株)製のシルベストTCG−1(商品名)、福田金属箔粉工業(株)製のシルコートAgC−A(商品名)等のフレーク状銀粉、三井金属鉱業(株)製の1300YP(商品名)等のフレーク状銅粉、三井金属鉱業(株)製の2060SS(商品名)等の粒状ニッケル粉、大研化学工業(株)製のG−210(商品名)等の粒状金粉が挙げられる。
【0014】
前記のカルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)としては、カルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂であればよく、特に限定されない。具体的には例えば、カルボキシル基と反応可能な基としては、エポキシ基、オキセタン基、オキサゾリン基、オキサジン基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基、ケタール基等が好ましく挙げられる。これらの反応性官能基は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上の基が含まれていてもよい。
前記の反応性官能基としては、好ましくは、エポキシ基、オキセタン基、3,4−エポキシシクロへキシル基、および環員数5〜8の環状エーテル基が挙げられる。
【0015】
前記の(B)成分の化合物の具体例として、エポキシ基を有するものとして、次の(i)〜(viii)のエポキシ化合物が好適に用いることができる。
(i)芳香族グリジジルエーテル類。
芳香族グリジジルエーテル類は、分子中に芳香族基とグリジジルエーテル基を有していればよく、特に限定されない。芳香族グリジジルエーテル類としては、具体的には例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート828、834、1001、1004AF、1007、東都化成(株)製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン840、850、1050、2055等、以上商品名);ビスフェノールF型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート807、806、1750、YL983U、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン830、東都化成(株)製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等、以上商品名);ビスフェノールAD型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、三井化学工業(株)製のエポミックR710H等、商品名)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンEXA−1514、日本化薬(株)製のEBPS−200、旭電化工業(株)製のアデカレジンEPX−30等、以上商品名);フェノールノボラック型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート152、154、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンN−730、N−738、N−740、東都化成(株)製のエポトートYDPN−638等、以上商品名);クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート180S70、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン421L、430、東都化成(株)製のエポトートYDCN−701、YDCN−704等、以上商品名);ビフェノール型又はビキシレノール型のエポキシ樹脂又はそれらの混合物(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートYX4000H、YL6121H等、以上商品名);ナフタレン基含有エポキシ樹脂(市販品としては例えば、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンHP−4032、EXA−4750、EXA−4700、新日鐵化学(株)製のESN−190、ESN−360等、以上商品名);ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂(市販品としては例えば、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンHP−7200、HP−7200H、日本化薬(株)製のXD−1000−L、XD−1000−2L等、以上商品名);臭素化エポキシ樹脂(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートYL903、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン152、165、日本化薬(株)製のBREN−S、BREN−105、BREN−304、東都化成(株)製のエポトートYDB−400、YDB−500等、以上商品名);トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、日本化薬(株)製のEPPN−501H、EPPN−502H等、以上商品名)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−201等、商品名)等が挙げられる。
【0016】
(ii)脂肪族グリジジルエーテル類。
脂肪族グリジジルエーテル類は、分子中に脂肪族基とグリジジルエーテル基を有していればよく、特に限定されない。具体的には例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、東都化成(株)製のサントートST−2004、ST−2007、ST−3000、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートYL6800、YL7040、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロンEXA−7015等、以上商品名);水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートYL6753等、商品名);各種芳香族グリシジルエーテル類の水添又は半水添エポキシ樹脂(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートYX8000、YX8034等、以上商品名);その他脂肪族カルボン酸のグリシジルエーテルとして、エチレングリコールールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−810、EX−811等、商品名)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−911等、商品名)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、エアープロダクツ社製のエポジール750等、商品名)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、エアープロダクツ社製のエポジール749、坂本薬品工業(株)製のSR−NPG、日本油脂(株)製のエピオールNPG−100等、以上商品名)、ジエチレングリコールールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−850、EX−851等、商品名)、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、新日本理化(株)製のリカレジンDME−100、エアープロダクツ社製のエポジール757等、以上商品名)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、坂本薬品工業(株)製のSR16HL等、商品名)、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−941、ダウケミカル社製のDER736等、以上商品名)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のヘロキシ107等、商品名)等が挙げられる。
【0017】
(iii)芳香族グリジジルエステル類。
芳香族グリジジルエステル類としては、分子中に芳香族基とグリジジルエステル基を有していればよく、特に限定されない。具体的には例えば、フタル酸ジグリシジル(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−721等、商品名)、テレフタル酸ジグリシジル(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−711等、以上商品名)等が挙げられる。
(iv)脂肪族グリジジルエステル類。
脂肪族グリジジルエステル類としては、分子中に脂肪族基とグリジジルエステル基を有していればよく、特に限定されない。脂肪族グリジジルエステル類としては、具体的には例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2,3−エポキシプロピル)エステル(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート191P、日本化薬(株)製のAK−601、三井化学(株)製のエポミックR540等、以上商品名)、ダイマー酸ジグリシジルエステル(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート871等、商品名)、3級カルボン酸グリシジルエステル(市販品としては例えば、東都化成(株)製のネオトートE、ネオトートS等、商品名)等が挙げられる。
【0018】
(v)脂環式エポキシ化合物。
脂環式エポキシ化合物としては、分子中に脂環式基とエポキシ基を有していればよく、特に限定されない。脂環式エポキシ化合物としては、具体的には例えば、1,2:8,9ジエポキシリモネン(市販品としては例えば、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド3000等、商品名)、(3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(市販品としては例えば、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021等、商品名)、ε−カプロラクトン変成3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(市販品としては例えば、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2081等、商品名)、3,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(市販品としては例えば、ダウケミカル社製のERL−4299、旭化成エポキシ(株)製のCY−177等、商品名)、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル3−)−スピロ[1,3−ジオン−5,3‘−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(市販品としては例えば、旭化成エポキシ(株)製のCY−175等、商品名)、ジシクロペンタジエンジオキサイド(市販品としては例えば、丸善石油化学工業(株)製のDCPD−DO等、商品名)等が挙げられる。
【0019】
(vi)グリジジルアミン類。
グリジジルアミン類としては、グリジジル基を有するアミン類であればよく、特に限定されない。グリジジルアミン類としては、具体的には例えば、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート630等、商品名)、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート604等、商品名)、アニリンジグリシジルエーテル(市販品としては例えば、日本化薬(株)製のGAN等、商品名)、N−(2−メチルフェニル)−N−(オキシラニルメチル)オキシランメタンアミン(市販品としては例えば、日本化薬(株)製のGOT等、商品名)、N−グリシジルフタルイミド(市販品としては例えば、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−731等、商品名)等が挙げられる。
【0020】
(vii)複素環式エポキシ化合物
複素環式エポキシ化合物としては、グリジジル基を有するアミン類であればよく、特に限定されない。複素環式エポキシ化合物としては、具体的には例えば、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(市販品としては例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートRXE15、日産化学工業(株)製のTEPIC、旭化成エポキシ(株)製のPT−810等、商品名)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0021】
(viii)その他のエポキシ基含有化合物
その他のエポキシ基含有化合物としては、前記以外のエポキシ基含有化合物でエポキ式を有していればよく、特に限定されない。その他のエポキシ基含有化合物としては、具体的には例えば、ブタジエンの単独重合体又は共重合体のエポキシ化物、(市販品としては例えば、新日本石油化学(株)製のポリブタジエンEシリーズ等、商品名);グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の単独重合体又は共重合体(市販品としては例えば、日本油脂(株)製のブレンマーCP−50S、CP−50M等、商品名)等が挙げられる。
なおここで「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよび/又はメタアクリレートを意味する。
【0022】
前記のエポキシ化合物のうち、分子内にエポキシ基を1個有するものを使用しても差し支えないが、導電性ペースト硬化物の機械的物性を良好に保つために、このようなエポキシ化合物は、エポキシ化合物全体100重量部に対して、好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜25重量部の範囲で使用することができる。
前記のエポキシ化合物のうち、液状で常温における粘度が好ましくは2500mPa・s以下、さらに好ましくは250mPa・s以下のものは、反応性希釈剤として、溶剤の代わりに固体樹脂を溶解して系全体の粘度を下げるものとして使用することができる。このような反応性希釈剤としては、具体的に例えば、1,2:8,9ジエポキシリモネンや1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が好適に使用することができる。
前記のエポキシ化合物は、1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
また、前記の(B)成分の化合物の具体例として、例えば、オキセタン基を有するものとして、次の(i)〜(iii)のオキセタン化合物が好適に用いることができる。
(i)3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタン類、
具体的には例えば、3−エチル−3−メトキシメチルオキセタンや3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン等が挙げられ、これらの市販品としては例えば、宇部興産(株)製のEHO、東亜合成(株)製のアロンオキセタンOXT−101等、以上商品名)等が挙げられる。
(ii)ヒドロキシル化合物と(i)の3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタン類とのエーテル化物、
具体的には例えば、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、アリルアルコール、p−キシレングリコール、3−(トリエトキシシリル)プロパノール、又はフェノールノボラック樹脂等のヒドロキシル化合物と、3−エチル−3−メトキシメチルオキセタン等のオキセタン類をエーテル縮合した化合物等が挙げられ、これらの市販品としては例えば、宇部興産(株)製のキシリレンビスオキセタン、東亜合成(株)製のアロンオキセタンOXT−101、OXT−201、OXT−211、OXT−221、OXT−212、OXT−610、PNOX−1009等、以上商品名)等が挙げられる。
【0024】
(iii)カルボキシル化合物と(i)の3-アルキル-3-ヒドロキシメチルオキセタン類とのエステル化物
具体的には例えば、メタ(アクリル)酸、炭酸、アジピン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボキシル化合物と、3−エチル−3−メトキシメチルオキセタン等のオキセタン類をエステル化した化合物等が挙げられ、これらの市販品としては例えば、宇部興産(株)製のオキセタンメタクリレート、カーボネートビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンビスオキセタン等、以上商品名)等が挙げられる。
前記のオキセタン化合物は、1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
以上のカルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)は、単独又は、前記の反応可能な基の種類の異なるものを2種以上混合して使用することができる。具体的には例えば、エポキシ樹脂に、これより硬化速度の遅いオキセタン化合物を部分混合して使用して、硬化時間を調製することができる。
【0025】
前記の潜在性カルボキシル基発生化合物である硬化剤(C)は、
カルボン酸化合物とビニルエーテル化合物とを反応させて得た化合物(X)、無水カルボン酸化合物とヒドロキシビニルエーテル化合物とを反応させて得た化合物(Y)、および、
酸無水物と多価アルコールとの反応物をジビニルエーテル化合物で付加重合させた化合物(Z)、
からなる群より選択された少なくとも1種の化合物を含む。
化合物(X)としては、例えば、式(1)又は式(2)で示される化合物等が挙げられる。ここで、各式においては、全てのカルボキシル基がブロックされた形で表されているが、本発明の目的を損なわない限り、ブロックされていないカルボキシル基が一部残存していてもよい。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
式(1)中、xは1〜6の整数を示し、A1はカルボン酸残基から−(COO−)Xを除いた基を示し、Zlは式(3)又は(4)を示す。式(2)中、A2はカルボン酸残基から−(COO−)mを除いた基を示し、Y1およびY2は独立に酸素原子又はイオウ原子、R1は炭素数1〜50の有機基を示す。mは1〜6の整数、nは0〜5の整数を示す。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
但し、R2、R3、およびR4は独立に水素原子又は炭素数1〜50の有機基を示し、R5およびR6は独立に炭素数1〜50の有機基を示し、Y3は独立に酸素原子又はイオウ原子を示す。
前記化合物(X)の原料となるカルボン酸化合物としては、1価の脂肪族カルボン酸、2価以上の多価脂肪族カルボン酸、1価の芳香族カルボン酸、2価以上の多価芳香族カルボン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2,4−ジメチルグルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ジグリコール酸等のジカルボン酸、カプリル酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸等の脂肪酸、乳酸、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、グリセリン酸等のヒドロキシカルボン酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸;天然ロジン、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、部分変性ロジン等のロジン化合物が挙げられる。特に、イソフタル酸、トリメリット酸が、ペーストのレオロジーと硬化物の機械的物性の点から好ましい。
【0032】
前記化合物(X)の原料となるビニルエーテル化合物としては、脂肪族ビニルエーテル、脂肪族ビニルチオエーテル、環状ビニルエーテル又は環状ビニルチオエーテルが挙げられる。なお、これらをまとめて、ビニル(チオ)エーテルと記す場合もある。
前記の脂肪族ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物;ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル等のジビニルエーテル化合物;トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のトリビニルエーテル化合物;ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等のテトラビニルエーテル化合物等が挙げられる。また、脂肪族ビニルチオエーテルとしては、前記脂肪族ビニルエーテルの例示に対応するチオ化合物が挙げられる。
前記の環状ビニルエーテルとして、例えば、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウム等が挙げられる。また、環状ビニルチオエーテルとしては、前記環状ビニルエーテルの例示に対応するチオ化合物等が挙げられる。
これらの中でも、原料の入手性や得られる化合物(X)の分解開始温度の点から、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルが好ましい。ここで、ビニルエーテルとしては、式(5)、式(6)又は式(7)で示される構造の化合物が挙げられる。
【0033】
【化5】
【0034】
なおR2、R3、R4、R5およびY3は前記に同じ。
【0035】
【化6】
【0036】
なおR2、R3、R6およびY3は前記に同じ。
【0037】
【化7】
【0038】
ここで、R7は多官能ビニルエーテル化合物由来の残基を示し、Y4は酸素原子又はイオウ原子を示し、hは2〜6の整数を示す。
【0039】
本発明の導電性ペーストに用いる、前記原料のカルボン酸化合物およびビニルエーテル化合物の種類としては、特に限定されない。
前記化合物(X)を製造するために、カルボン酸化合物とビニルエーテル化合物とを反応させるには、例えば、反応温度30〜200℃、好ましくは50〜150℃、反応時間10分〜6時間、好ましくは20分〜5時間の条件で行うことができる。反応の終点は、例えば、反応系の酸価を測定し、酸価が5mgKOH/g以下になった時点が好ましく、従って、反応物の酸価は5mgKOH/g以下が好ましい。特に、化合物(X)のカルボキシル基の全てがブロックされるように反応を行うことが好ましいが、カルボキシル基の一部が残存していても本発明の目的が損なわれなければよい。
前記反応においては、反応促進のために酸触媒が使用できる。また、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用できる。
前記反応促進に用いる酸触媒としては、例えば、式(8)で示される酸性リン酸エステルが挙げられる。
【0040】
【化8】
【0041】
式(8)中、R8は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、rは1又は2である。
該酸性リン酸エステルとしては、例えば、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類、又はイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類のリン酸モノエステル類若しくはリン酸ジエステル類が挙げられる。酸触媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合せて使用できる。
前記反応系を均一にし反応を容易にする有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフサ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100又はソルベッソ#150(エクソン化学(株)製、商品名)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸メトキシブチル等のエステルおよびエーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチルブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。有機溶媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合せて使用できる。
【0042】
本発明の導電性ペーストにおいて、化合物(X)の配合割合は、組成物全体の100重量部に対して通常5〜95重量部、特に10〜90重量部が好ましい。5重量部未満では、ペーストの塗布性又は印刷性や硬化物の機械的物性が悪くなり、95重量部を超えると導電性が悪くなるので好ましくない。
前記化合物(Y)としては、式(9)で示される化合物が挙げられる。ここで、式(9)においては、全てのカルボキシル基がブロックされた形で表されているが、本発明の目的を損なわない限り、ブロックされていないカルボキシル基が一部残存していてもよい。また、ヒドロキシビニルエーテルの片方の基に反応した他のヒドロキシル基又はビニル基が残存していてもよい。
【0043】
【化9】
【0044】
式(9)中、R9は置換又は無置換の炭素数1〜50の2価の脂肪族基もしくは芳香族基、R10は炭素数1〜50の2価の炭化水素基又はグリコール残基、Y5は酸素原子又はイオウ原子を示し、sは1〜500の整数を示す。
前記化合物(Y)は、1分子あたりカルボキシル基2個以上有するカルボン酸の無水物である酸無水物と、1分子あたりビニルエーテル基1個および水酸基1個を有するヒドロキシビニルエーテル又は1分子あたりビニルチオエーテル基1個および水酸基1個を有するヒドロキシビニルチオエーテルからなるヒドロキシビニル(チオ)エーテル化合物とを反応させることにより得られる。
酸無水物としては、例えば、式(10)で示される化合物が挙げられ、ヒドロキシビニル(チオ)エーテル化合物としては、式(11)で示されるヒドロキシビニルエーテル又はヒドロキシビニルチオエーテルが挙げられる。
【0045】
【化10】
【0046】
【化11】
【0047】
式(10)および(11)の式中、R9、R10、Y5は前記式(9)と同じである。
式(10)で示される酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、ジグリコール酸無水物、グルタル酸無水物等が挙げられる。
式(11)で示されるヒドロキシビニルエーテルとしては、例えば、ヒドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシヘプチルビニルエーテル、ヒドロキシオクチルビニルエーテル、ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、3−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。また、式(11)で表されるヒドロキシビニルチオエーテルとしては、例えば、前記ヒドロキシビニルエーテルの例示に対応する化合物が挙げられる。
【0048】
化合物(Y)としては、無水コハク酸とヒドロキシビニルエーテルとから誘導される化合物が代表的に挙げられる。
本発明の導電性ペーストにおいて、化合物(Y)としては前記原料の酸無水物およびヒドロキシビニルエーテル化合物の種類は特に制限はない。好ましくは、入手性や取り扱い性等の点から、無水フタル酸−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヘキサヒドロ無水フタル酸−ヒドロキシエチルビニルエーテル、無水コハク酸−ジエチレングリコールモノビニルエーテルの組合せが挙げられる。
【0049】
前記酸無水物とヒドロキシビニルエーテル化合物とを反応させる際の反応比は、当量比が1:0.5〜5であればよい。反応温度は、通常、室温〜200℃の範囲であれば良く、好ましくは室温〜150℃である。反応時間は反応進行状況に応じて適宜選定でき、通常1〜100時間である。反応の終点は、例えば、反応系の酸価を測定し、酸価が20mgKOH/g以下になった時点が好ましい。従って、反応物の酸価は20mgKOH/g以下が好ましい。特に、化合物(Y)のカルボキシル基の全てがブロックされるように反応を行うことが好ましいが、末端等のカルボキシル基が残存していても本発明の目的が損なわれなければよい。また、反応促進のために前記の式(8)で示される酸性リン酸エステル等の酸触媒を用いることもできる。
前記の酸触媒の使用量は特に制限されないが、酸無水物とヒドロキシビニルエーテル化合物との合計量100重量部に対して通常0.01〜5重量部、特に0.1〜1重量部が好ましい。
反応には、反応系を均一にし反応を容易にする目的で前記の化合物(X)を製造する際に使用可能な有機溶媒等も使用できる。有機溶媒の使用量は特に限定されないが、酸無水物とヒドロキシビニルエーテル化合物との合計量100重量部に対して、通常5〜95重量部、好ましくは10〜90重量部、特に好ましくは20〜80重量部である。
【0050】
化合物(Y)の重量平均分子量(Mw)は、通常300〜100000、特に500〜50000が好ましい。Mwが300未満では、導電性ペーストに用いた場合、ペーストのレオロジー特性が低下し、100000を超えると曳糸性が顕著になるため好ましくない。
本発明の導電性ペーストにおいて、化合物(Y)を用いる場合の含有割合は特に限定されないが、組成物全体の100重量部に対して5〜95重量部、特に10〜90重量部が好ましい。
前記化合物(Z)としては、例えば、分子内に、カルボン酸がビニル基の不飽和基に付加したヘミアセタール基および、カルボン酸と水酸基とのエステル基を有する式(12)で示される化合物が挙げられる。ここで、式(12)においては、全てのカルボキシル基がブロックされた形で表されているが、本発明の目的を損なわない限り、ブロックされていないカルボキシル基が一部残存していてもよい。また反応末端基は、ジビニルエーテルの片方のビニル基が反応し、他方のビニル基が二重結合のまま残存していてもよい。
【0051】
【化12】
【0052】
式(12)中、R9、R11およびR12は独立に2価の有機残基、Y6は酸素原子又はイオウ原子を示し、tは1〜500の整数を示す。
化合物(Z)は、酸無水物と多価アルコールとの反応物(以下、変性カルボン酸化合物ということがある)をジビニルエーテル化合物で付加重合させた化合物である。
化合物(Z)のMwは、通常500〜500000、特に1000〜50000が好ましい。Mwが500未満では、導電性ペーストに用いた場合、ペーストのレオロジー特性が低下し、100000を超えると曳糸性が顕著になるため好ましくない。
化合物(Z)の原料となる酸無水物としては、例えば、前記式(10)で示される酸無水物が挙げられ、その例示としても前記の具体例が好ましく挙げられる。中でも、無水フタル酸、無水イソフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸が好ましく、特に無水イソフタル酸は、作業性、多価アルコールとの反応性および得られる化合物の溶剤に対する溶解性、他の樹脂に対する相溶性の点から好ましい。
化合物(Z)の原料となる多価アルコールとしては、式(13)で示される化合物等が挙げられる。
【0053】
【化13】
【0054】
式(13)中、R11は前記式(12)のR11と同じである。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールは入手性および反応性の点から好ましい。
化合物(Z)の原料となるジビニル(チオ)エーテル化合物としては、式(14)で示される化合物等が挙げられる。
【0055】
【化14】
【0056】
式(14)において、Y6およびR12は、式(12)のY6およびR12と同じである。
ジビニル(チオ)エーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4-ビスビニルオキシメチルシクロヘキセン、エチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびこれらに対応するジビニルチオエーテルが挙げられる。中でも、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテルは沸点および反応性の点から好ましい。
化合物(Z)の製造において、前記原料の組み合せとしては、酸無水物として、無水フタル酸、無水イソフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はこれらの混合物、多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール又はこれらの混合物、ジビニル(チオ)エーテルとして、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル又はこれらの混合物の組み合せが好ましい。
本発明の導電性ペーストにおいて、化合物(Z)としては前記原料の種類は、特に制限はない。
【0057】
前記化合物(Z)を調製するための変性カルボン酸化合物の製造は、例えば、酸無水物と多価アルコールとを、無溶媒又は適当な溶媒中で室温〜200℃において反応させることにより得ることができる。反応の終点は、例えば、得られる樹脂半酸価と全酸価を測定して反応率が98%以上となった時点が好ましい。
前記変性カルボン酸化合物と前記ジビニル(チオ)エーテル化合物とを反応させる際の反応比は、当量比で通常1.0:0.5〜5.0、好ましくは1.0:1.0〜4.0、特に好ましくは1.0:1.0〜3.0である。
【0058】
前記化合物(Z)を製造するために、前記変性カルボン酸化合物とジビニル(チオ)エーテル化合物との反応は、例えば、温度30〜200℃、好ましくは50〜150℃、反応時間10分〜6時間、好ましくは20分〜5時間の条件で行うことができる。反応の終点は、例えば、反応系の酸価を測定し、酸価が10mgKOH/g以下、特に5mgKOH/g以下になった時点が好ましい。従って、反応物の酸価は、10mgKOH/g以下、特に5mgKOH/g以下が好ましい。化合物(Z)のカルボキシル基の全てがブロックされるように反応を行うことが好ましいが、末端等のカルボキシル基が残存していても本発明の目的が損なわれなければよい。
これらの反応においては、反応促進のために酸触媒が使用できる。また、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用できる。このような酸触媒および有機溶媒は、前記の化合物(X)の説明において例示した化合物等が同様に挙げられる。溶媒は、導電性ペーストに配合する場合は、脱溶媒して使用してもよいが、生産性の点から、溶媒を使用しないか、導電性ペーストとして使用する条件の下で分解又は揮発する溶媒の使用が望ましい。このような溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトンが挙げられる。
前記酸触媒の使用量は特に制限されないが、前記変性カルボン酸化合物とジビニル(チオ)エーテル化合物との合計量100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、特に0.1〜1.0重量部が好ましい。また、前記有機溶媒の使用量は特に限定されないが、変性カルボン酸化合物とジビニル(チオ)エーテル化合物との合計量100重量部に対して、5〜95重量部、好ましくは20〜80重量部である。
【0059】
化合物(Z)を導電性ペーストに配合する際の配合割合は特に限定されないが、通常10〜100重量部、好ましくは50〜90重量部である。10重量部未満では配合した本来の効果が損なわれるので好ましくない。化合物(Z)は、例えば、ウレタン成分、ポリエステル成分が結合されていてもよい。
【0060】
本発明の導電性ペーストにおいて、化合物(A)としての化合物(X)〜(Z)は組み合せて配合することもできる。組み合せおよび配合割合は、その目的に応じて適宜選択できる。例えば、化合物(Y)に化合物(X)を組み合せて用いる場合、化合物(X)は、組成物全体の100重量部に対して好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部の割合で配合することができる。
【0061】
本発明の導電性ペーストにおいて用いる前記化合物(A)は、加熱、又は紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によりブロックされたカルボキシル基のブロックが分解し、反応性のカルボキシル基が生成する。例えば、化合物(Z)の場合、主鎖中のヘミアセタールエステル構造が分解し、対応する低分子量化合物が生成する。
該分解反応は、熱潜在性触媒又は光触媒により助長されるので、本発明の導電性ペーストには、これらを含有させることが好ましい。
熱潜在性触媒としては、例えば、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノおよびジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノおよびジエステル類等のプロトン酸;BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl3等のルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、オニウム化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。中でも、プロトン酸、ルイス酸をルイス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物、スルホン酸エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0062】
本発明の導電性ペースト中の前記の樹脂(B)と硬化剤(C)の配合比は、{硬化剤(C)のビニル基のモル当量/樹脂(B)の酸モル当量}の比で0.1〜10の比率が好ましい。この比率が0.1未満であると、前記の樹脂(B)と硬化剤(C)の作用分子の絶対数が少なく、導電性ペースト硬化物の十分な硬化物性が得られない。また、作用上モル比で過剰となる硬化剤(C)は溶剤として働き、その大部分が揮散するが、この比率が10を越える場合、硬化剤(C)の可塑化作用および硬化剤(C)自身の重合反応が硬化物の物性および導電性能へ悪影響を及ぼす場合があり、好ましくない。
【0063】
本発明の導電性ペーストにおいて、前記の金属粉末を含む樹脂(B)と硬化剤(C)とを加熱処理してペースト硬化物を形成させる。その際には、加熱処理条件下で、硬化速度を調整するために熱潜在性触媒を用いてもよい。その熱潜在性触媒としては、次の(i)〜(v)が挙げられる。
(i)ハロゲノモノカルボン酸、スルホン酸類、リン酸モノおよびジエステルなどをアンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン等の各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、
【0064】
(ii)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前記のルイス塩基で中和した化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズなどの金属ハロゲン化物;トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズなどの有機金属化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエチルアセトアセテートビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナート)アルミニウム、アセチルアセトナートビス(プロピオニルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジクロロビス(アセチルアセトナート)スズ、ジブチルビス(アセチルアセトナート)スズ、トリス(アセチルアセトナート)鉄、トリス(アセチルアセトナート)クロム、トリス(アセチルアセトナート)ロジウム、ビス(アセチルアセトナート)亜鉛、トリス(アセチルアセトナート)コバルトなどの金属キレート化合物;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛などの金属石鹸が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ホウ素、アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛及びジルコニウムのキレート化合物、金属石鹸、ハロゲン化物、
【0065】
(iii)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第1アルコール、第2アルコールとのエステル化合物、
(iv)第1アルコール類、第2アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物、
(v)アンモニウム化合物[R’3NR'']+X-、スルホニウム化合物[R’3SR'']+X-、オキソニウム化合物[R’3OR'']+X-(ここで、R’、R''はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ基を示す。)のオニウム化合物等。
【0066】
前記のこれら熱潜在性触媒化合物の添加量は、前記の樹脂(B)と硬化剤(C)の全体100重量部に対して0〜3重量部が好ましい。十分な加熱処理時間が許容され、硬化速度を上げる必要が無い場合は、前記の触媒化合物の配合量は、必要に応じて導電性ペースト硬化物の信頼性をさらに向上させるため、前記の樹脂(B)と硬化剤(C)の総量の0.2重量部以下にするのが好ましい。
【0067】
本発明の導電性ペーストには、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じてさらに添加物として、溶剤、チクソ性付与剤、キレート剤、カップリング剤、分散安定剤、レベリング剤、粘着性付与剤、顔料、消泡剤、腐食防止剤、難燃剤等の各種添加剤を用いることができる。
【0068】
本発明の導電性ペーストに用いる溶剤としては、特に限定されない。通常の汎用溶媒の中から適宜選択して使用することができる。溶媒としては、具体的には例えば、ドデカン、テトラデセン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、α−テルピネオール、ベンジルアルコール、2−ヘキシルデカノール等のアルコール;酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等のエステル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール誘導体;シクロヘキサノン、シクロヘキサノール等の脂環式炭化水素類;石油エーテル、ナフサ等の石油系溶剤が挙げられる。
好ましくは、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0069】
前記の溶剤の使用量は、特に制限されないが、電気伝導度に影響を及ぼす塗布性の点から、前記の金属粉末(A)と樹脂(B)と硬化剤(C)を含む導電性ペーストの溶剤以外の合計100重量部に対して、50〜300重量部の溶剤の添加が好ましい。
【0070】
本発明の導電性ペーストには、さらに導電性を向上させるために、次の(i)〜(iv)の硫黄化合物(D)が好適に用いることができる。
(i)ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸基を有する化合物、
(ii)テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド等のジスルフィド基を有する化合物
(iii)ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトイミダゾリン、メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩等のメルカプト基を有する化合物、
(iv)N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジブチルチオ尿素、N,N’−ジラウリルチオ尿素等のチオウレアを有する化合物、
が挙げられる。
D成分の市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)製ノクセラーBZ−P(商品名)等のジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、川口化学工業(株)製のアクセルPP(商品名)等のペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、東京化成工業(株)製の1−ピロリジンジカルボジチオ酸アンモニウム、大内新興化学工業(株)製のノクセラーZTC(商品名)等のジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛が挙げられる。
【0071】
前記の硫黄化合物(D)は、1種単独で、又は、2種以上を混合して用いることができる。
前記の硫黄化合物(D)の配合量は、バインダー全体{金属粉末以外の導電性ペースト成分の総重量をいう}100重量部に対して、好ましくは0.1〜5.0重量部、さらに好ましくは0.5〜0.25重量部である。前記の硫黄化合物(D)の配合量が、0.1重量部未満の場合では導電性ペースト硬化物の導電性能に対する効果が発揮できず、5.0重量部を越えると導電性ペースト硬化物の機械的物性に悪影響を及ぼす。
【0072】
本導電性ペーストの製造は、一括ないし逐次で成分を投入して、羽根形撹拌機、デソルバー、ニーダー、擂潰機、ボールミル混和機、ロール分散機等を用いて、通常の方法で混合を行えばよい。混合の温度は、配合成分にもよるが、通常、結露や溶剤の揮散をさけるため、10〜30℃が好ましい。
【0073】
本発明の配線板の製造方法は、前記の前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて、次の工程の少なくとも1つを行う。
A工程;プリント配線板やフレキシブルプリント基板の上に請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ペーストをパターン塗布し加熱処理して回路や電極を形成する工程(A)、
B工程;多層基板のスルーホールに請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ペーストを充填し加熱処理して層間の電気的導通を得る工程(B)、
C工程;プリント基板上にディスペンス、スクリーン印刷ないしステンシル印刷で請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ペーストを塗布した上に、半導体素子やチップ部品を搭載し加熱処理して接合する工程(C)。
【0074】
本発明の導電性ペーストを適用する有機系基材としては、具体的に例えば、紙・フェノール樹脂銅張積層板(FR−1、FR−2、XXXpc、Xpc)、紙・エポキシ樹脂銅張積層板(FR−3)、紙・ポリエステル樹脂銅張積層板等の紙基材銅張積層板;ガラス布・エポキシ樹脂銅張積層板(FR−4、G−10)、耐熱ガラス布・エポキシ樹脂銅張積層板(FR−5、G−11)、ガラス布・ポリイミド系樹脂銅張積層板(GPY)、ガラス布・フッ素樹脂銅張積層板、多層用材料[プリプレグ/薄物](FR−4、FR−5、GPY)、内層回路入り多層銅張積層板(FR−4、FR−5、GPY)等のガラス基材銅張積層板;紙・ガラス布・エポキシ樹脂銅張積層板(CEM−1)、ガラス不織布・ガラス布・エポキシ樹脂銅張積層板(CEM−3)、ガラス不織布・ガラス布・ポリエステル樹脂銅張積層板(FR−6)、ガラスマット・ガラス布・ポリエステル樹脂銅張積層板等のコンポジット銅張積層板;ポリエステル・ベース銅張板、ポリイミド・ベース銅張板、ガラス・エポキシ・ベース銅張板、フレックスリジッド等のフレキシブル銅張板;ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の耐熱熱可塑性基板等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、無機系基材としては、具体的に例えば、メタル・ベース、メタル・コア、ホーロー等の金属系基板;アルミナ基板、窒化アルミニウム基板(AlN)、炭化ケイ素基板(SiC)、低温焼成基板等のセラミック系基板;ガラス基板等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明の導電性ペーストは、基板以外では、ITOあるいはIOガラス電極上の回路、接点、又はネサガラス電極の回路、接点などや、液晶パネル内部のガラス間の導電性接点、光導電素子のCdS部のリード線接着用、回路補修用、ポテンショメーターのリード線接着用、太陽電池用電極部として、導電性ガラス電極上に、また、タンタルコンデンサーの外部電極、アルミ電解コンデンサーの銅あるいはアルミ電極の接合部、太陽電池用電極接点部、回路部等の金属基材上に用いることができる。
【0076】
本発明の導電性ペーストは、前記の有機系および無機系の基材上に、メッシュスクリーン版、ステンシル版、ローラーコーター、ディスペンサー、ディッピング等の装置や方法を用いて、塗布、印刷、あるいは充填して用いることができる。本発明の導電性ペーストの加熱硬化条件は、樹脂が十分硬化する温度であり、熱による劣化が問題にならない範囲であれば特に制限はない。一般的な温度範囲としては、90℃〜250℃であるが、高温での加熱時間を短縮するため、あるいは使用する基材の急激な熱膨張を防止するため等の目的で、これより低い温度で予備加熱を行っても良い。
【0077】
本発明の導電性ペーストの使用方法は、導電性ペーストとして、本発明の導電性ペーストを用いる以外、各工程を公知の方法および条件で行うことができる。
【0078】
【実施例】
次に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
[測定方法]
1.<粘度> 硬化前のペースト粘度は、循環式恒温水浴を装備した(株)トキメック製E型粘度計ビスコニックEHDを用いて温度25℃で測定した。
2.<体積抵抗率> ペーストの体積抵抗率は、ガラス板上に粘着テープのガイドラインを用いて、1×5cmのペーストのラインを塗布形成し、150℃で30分間熱処理した後、三菱化学(株)製ロレスタGP MCP−T600型にASPプローブを接続し、JIS K7194「導電性プラスチックの4探針法による低抵抗試験方法」に準じて、4端子4探針法によって抵抗率の測定を行い、得られたバルク抵抗値を、マイクロメータによって測定した試料厚みで除し、体積抵抗率を得た。
体積抵抗率の高温耐性および高温高湿耐性は、初期性能に対する抵抗率の増加をもって判定を行った。
◎…優れた耐性を有する(初期性能に対して10%未満の抵抗率増加)
○…十分な耐性を有する(10%以上、20%未満)
△…実用上やや問題あり(20%以上、50%未満)
×…実用上問題あり(50%以上)
【0079】
3.<保存安定性> 硬化前のペーストの保存安定性は、ペーストを40℃の恒温に72時間保持し、初期粘度に対しての粘度値の増加の割合をもって判定した。
◎…優れた保存安定性を有する(初期粘度に対して50%未満の粘度増加)
○…十分な保存安定性を有する(50%以上、100%未満)
△…実用上やや問題あり(100%以上、200%未満)
×…実用上問題あり(200%以上)
4.<高温耐性> 150℃の恒温槽中に前述の体積抵抗率試験試料を設置し、500時間後の体積抵抗率の変化を測定した。
5.<高温高湿耐性> 121℃/97%RH/2.3atmに保ったPCT試験装置内に前述の前述の体積抵抗率試験試料を設置し、24時間後の体積抵抗率の変化を測定した。
【0080】
[合成例1]潜在性カルボキシル基発生化合物である硬化剤の合成
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えた1リットル四ツ口フラスコに、イソフタル酸(三菱ガス化学(株)製)249g、n−プロピルビニルエーテル(日本カーバイド化学工業(株)製)(NPVE)362gを仕込み、30分かけて常温から100℃まで昇温させた後、100℃で4時間反応させた。混合液の酸価が5以下であることを確認し、反応を停止させた。この後ロータリーエバポレータを用い、混合液から未反応のNPVEを留去し、粘度62mPa・secの無色清澄なn-プロピルビニルエーテルブロック化イソフタル酸(C−1)501gを得た(粗収率98.7%)。
【0081】
[合成例2−5]潜在性カルボキシル基発生化合物である硬化剤の合成
合成例1と同じ反応装置を用い、各々の目的物に合わせて仕込量、反応温度、反応時間の3点のみ変更した以外は合成例1と全く同じ操作を行い、種々のブロック化カルボン酸を得た。条件および結果を合成例1を含め表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例および比較例において用いた材料の略号および内容について次に示す。
<A;金属粉末>
<A−1成分>;
TCG−1;フレーク状銀粉(商品名:シルベストTCG−1、徳力化研(株)製、平均粒径1.9μm、タップ密度3.1g/cm3)、
<A−2成分>
AgC−A;フレーク状銀粉(商品名:シルコートAgC−A、福田金属箔粉工業(株)製、 平均粒径3.5μm、タップ密度3.3g/cm3)、
<A−3成分>
SFR−Ag;球状銀粉(商品名:SFR−Ag、日本アトマイズ加工(株)製、 平均粒径5.0μm、タップ密度4.8g/cm3)、
<A−4成分>
1300YP;フレーク状銅粉 (商品名:1300YP、三井金属鉱業(株)製、平均粒径5.7μm、タップ密度3.9g/cm3)、
<A−5成分>
2060SS
粒状ニッケル粉;(商品名:2060SS、三井金属鉱業(株)製、平均粒径0.70μm、タップ密度3.3g/cm3)、
【0084】
<B;成分>
<B−1成分>
HP−7200L;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名:エピクロンHP−7200L、大日本インキ化学工業(株)製、平均官能基数2.2)、
<B−2成分>
HP−7200H;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名:エピクロンHP−7200H、大日本インキ化学工業(株)製、平均官能基数3.0)、
<B−3成分>
NPG−100;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:エピオールNPG−100、日本油脂(株)製)、
<B−4成分>
Ep828EL;ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量190g/eq)、
<B−5成分>
Ep807;ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:エピコート807、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量170g/eq)、
<B−6成分>
YDCN−704;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:エポトートYDCN−704、東都化成(株)製、エポキシ当量206g/eq)、
<B−7成分>
OXT−121
キシリレンジオキセタン組成物;(商品名:アロンオキセタンOXT−121、東亜合成株(株)製、有効成分98.9%)、
<C;成分>
<C−1成分>
NP−IPA;n−プロピルビニルエーテルブロック化イソフタル酸(酸当量169.2)、
<C−2>
NB−TMA;n−ブチルビニルエーテルブロック化トリメリット酸(酸当量234.3)、
<C−3成分>
IP−PMA;i−プロピルビニルエーテルブロック化ピロメリット酸(酸当量149.6)、
<C−4成分>
NP−ADA;n−プロピルビニルエーテルブロック化ジメチルアダマンタンジカルボン酸 (酸当量212.3)、
<C−5成分>
BD−IPA;1,4−ブタンジオールジビニルエーテルブロック化イソフタル酸(酸当量154.2)
<C’成分>
<C’−1成分>
H4010;アルコキシ変成レゾール型フェノール樹脂 (商品名:ヒタノール4010、日立化成工業(株)製、ブトキシ化度95%、平均分子量2,500)、
<C’−2成分>
MH−700;4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物 (商品名:リカシッドMH−700、新日本理化(株)製、酸無水物当量165g/eq)、
<C’−3成分>
BR−82;熱可塑性アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−82、三菱レイヨン(株)製、Tg95℃、平均分子量15,000)、
<C’−4成分>
MY−24;ジシアンジアミド系潜在性硬化剤(商品名:アミキュアMY−24、味の素ファインテクノ(株)製、軟化温度120℃、粒径8.0μm)、
<D;成分>
<D−1成分>
ZnBDC;ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(商品名:ノクセラーBZ-P、大内新興化学工業(株)製、純度99%以上)、
<D−2成分>
PPDC;ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩(商品名:アクセルPP、川口化学工業(株)製、純度99%以上)、
【0085】
<溶剤>
H−MTeM;テトラエチレングリコールジメチルエーテル(商品名:ハイソルブMTeM、東邦化学工業(株)製)、
H−DM;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(商品名:ハイソルブDM、東邦化学工業(株)製)、
EGHE;エチレングリコールモノヘキシルエーテル(商品名:キョーワノールHX、協和発酵工業(株)製、純度99.0%以上)、
<その他成分>
LC−2;熱潜在性触媒(商品名:ノフキュア−LC−2、日本油脂(株)製、有効濃度60%)、
KBM−403;シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学工業(株)製)、
KR−TTS;チタンカップリング剤:イソプロピルトリステアロイルチタネート(商品名:プレンアクトKR−TTS、味の素ファインテクノ(株)製)
<チクソ剤>
カスターワックスA:ヒマシ硬化油(商品名:カスターワックスA、日本油脂(株)製)
【0086】
実施例1〜7
表2に配合量を示した各々の材料を加え合わせ、(株)シンキー製ペースト混練器ARV−200を用いて、17秒間を2サイクル自転公転混合し、導電性ペーストを得た。これら導電性ペーストに対して、前記の試験方法、評価方法で評価した。ただし、塗布又は印刷したペーストは、70℃で10分間予備乾燥した後、150℃で30分間の条件で加熱処理を行った。
【0087】
実施例8、9
表2に配合量を示した各々の材料を加え合わせ、井上製作所(株)製3本ロールミルC−4・3/4×10を用いて、冷却通水の室温条件下、ロール回転比1:1.5:2.5(前:中:後)で5パスのロール通しを行った後、(株)シンキー製ペースト混練器ARV−200を用いて、17秒間を2サイクル自転公転混合し、導電性ペーストを得た。これら導電性ペーストに対して、前記の試験方法、評価方法で評価した。ただし、塗布又は印刷したペーストは、70℃で10分間予備乾燥した後、150℃で30分間の条件で加熱処理を行った。
【0088】
比較例1〜4、および比較例5、6
前記の実施例1〜7、および実施例8、9に対応し、表3に配合量を示した各々の材料を用いて、比較例1〜4は実施例1〜7と同条件、比較例5、6は実施例8〜9と同条件において操作を行い、導電性ペーストを得た。
結果を表4、表5に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
金属粉末(A)、カルボキシル基と反応可能な基を有する樹脂(B)、および硬化剤としての潜在性カルボキシル基発生化合物(C)を含有する導電性ペーストにおいて、実施例1〜7ではAgを用いた導電性ペーストについて、実施例8〜9ではその他の金属を用いた導電性ペーストについて、比較例1〜4および比較例5〜6としての従来系の導電性ペーストの組成に対して、実使用条件を反映する40℃における非常に優良な保存安定性、非常に優れた導電性、および高温条件および高温高湿条件での信頼性が達成されていることが判る。また、この導電性ペーストにおいて、硫黄化合物(D)を添加しても、なお同等ないしさらに優良な性能を保持しうることも判る。
【0094】
【発明の効果】
本発明の導電性ペーストは、潜在性カルボキシル基発生化合物(C)を用いた硬化系を取ることにより、導電性ペーストの導電性能とその信頼性が優れ、かつ、可使寿命も良好となるので、回路・電極の形成、スルーホールの穴埋め、電子部品の接合、およびプリント配線板の作製に好適に使用できる。
Claims (3)
- 金属粉末(A)、エポキシ基またはオキセタン基を有する樹脂(B)と、
(i)1分子中に少なくとも2個以上のカルボキシル基を有する酸化合物(c21)と1分子中に2個以上のビニル基を有するビニル(チオ)エーテル(c22)とを付加反応して得られる化合物(M)、もしくは、
(ii)1分子中に少なくとも2個以上のカルボキシル基を有する酸化合物の酸無水物(c31)と1分子中に1個以上のビニル基と1個以上の水酸基を合わせ有するヒドロキシビニル(チオ)エーテル(c32)とを付加反応して得られる化合物(N)
である潜在性カルボキシル基発生化合物(C)
を含有する導電性ペースト - 金属粉末(A)が、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)およびPd(パラジウム)からなる金属元素群から選ばれる1種の金属元素からなる金属粉末、又は前記の金属元素2種以上の合金粉末である請求項1に記載の導電性ペースト。
- さらにジチオカルバミン酸基、ジスルフィド基、メルカプト基、およびチオウレア基からなる群より選択される基を有する硫黄化合物(D)の1種又は2種以上を含む請求項1または2に記載の導電性ペースト。
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