JP6511721B2 - ダイアタッチペースト、および半導体装置 - Google Patents
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Description
熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、
エラストマーと、
を含み、
前記エラストマーは、アクリル系エラストマーまたはポリブタジエン系エラストマーであって、フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂を含まない、ダイアタッチペーストであって、
当該ダイアタッチペーストについて、下記条件で測定されるシート硬化体の熱伝導率が20W/m・K以上であるダイアタッチペーストが提供される。
(条件)
・前記シート硬化体の厚み方向における熱伝導率を評価する。
・前記シート硬化体は、当該ダイアタッチペーストを基材上に塗布し、温度200℃で30分間加熱することにより作製する。前記シート硬化体の厚みは1mm以上2mm以下とする。
基材と、
上記ダイアタッチペーストを熱処理して得られるダイアタッチ層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、
を備える半導体装置が提供される。
本実施形態に係る半導体装置100は、基材30と、ダイアタッチペーストを熱処理して得られるダイアタッチ層10を介して基材30上に搭載された半導体素子20と、を備えている。当該ダイアタッチペーストは、熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、エラストマーと、を含んでいる。
ダイアタッチペーストは、金属粒子(A)と、エラストマー(B)と、を含んでいる。本実施形態に係るダイアタッチペーストは、たとえば半導体素子を他の構造体に接着するためのダイアタッチ層を形成するために用いられる。他の構造体としては、とくに限定されないが、たとえば配線基板またはリードフレーム等の基材や、他の半導体素子、放熱板、磁気シールド等が挙げられる。なお、前記構造体は、本発明のダイアタッチペーストが接触する部分に銀等の本発明のペーストとシンタリング時に接着を促進する塗膜を備えていることが好ましい。
ダイアタッチペーストに含まれる金属粒子(A)は、熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する。すなわち、ダイアタッチペーストを加熱して得られるダイアタッチ層10において、金属粒子(A)同士は互いに融着して存在することとなる。これにより、ダイアタッチペーストを加熱して得られるダイアタッチ層10について、その熱伝導性や、基材30や半導体素子20への密着性を向上させることができる。
金属粒子(A)が炭素を含有する場合の一例として、金属粒子(A)に炭素を含む滑剤を付着させる態様が挙げられる。このような滑剤としては、たとえば高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド、および高級脂肪酸エステルが挙げられる。滑剤の含有量は、金属粒子(A)全体に対してたとえば0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、炭素を焼結助剤として効果的に機能させつつ、熱伝導性の低下を抑制することが可能となる。
ダイアタッチペーストは、エラストマー(B)を含む。
エラストマー(B)は、たとえば有機バインダとして機能し、ダイアタッチペーストの塗布作業性を向上させる。また、バインダとしてエラストマー(B)を含むことにより、ダイアタッチペーストを加熱して金属粒子(A)にシンタリングを生じさせる際に、バインダによりシンタリングが妨げられることを抑制することができる。このため、金属粒子(A)の焼結性を向上させることができる。これにより、ダイアタッチペーストを加熱して得られるダイアタッチ層10について、その熱伝導性を向上させることができる。また、ダイアタッチ層10の導電性の向上に寄与することもできる。さらには、エラストマー(B)をバインダとして含むことにより、耐温度サイクル性の向上を図ることも可能である。したがって、熱伝導性と、導電性と、耐温度サイクル性と、のバランスに優れたダイアタッチ層の実現が可能となる。
また、アクリル系エラストマーが共重合体である場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体成分がモノマー成分として用いられていてもよい。このような単量体成分としては、官能基含有モノマーが好ましく用いられ、たとえばメタクリル酸、もしくはアクリル酸等のカルボキシル含有モノマー、またはアクリルニトリル等のシアノ基含有モノマーが挙げられる。
なお、アクリル系エラストマーの具体例としては、テイサンレジンSG−280(ナガセケムテックス(株)製)、およびARUFON UG−4035(東亞合成(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ダイアタッチペーストは、たとえば上述の成分以外の他の成分を含むことができる。他の成分としては、たとえばクエン酸やマロン酸等に例示される有機脂肪酸、脂肪族もしくは芳香族のアルコール、フェノール類、フェノール樹脂、およびアミンが挙げられる。ダイアタッチペーストは、これらのうちの一種または二種以上を含むことができる。
ダイアタッチペーストは、溶剤(D)を含むことができる。これにより、ダイアタッチペーストの流動性を向上させ、作業性の向上に寄与することができる。また、金属粒子(A)表面を活性化させることで、焼結性の向上を図ることもできる。溶剤(D)は、たとえばエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、α−ターピネオール、β−ターピネオール、へキシレングリコール、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、イゾパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはグリセリン等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3、5、5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)もしくはジイソブチルケトン(2、6−ジメチル−4−ヘプタノン)等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2−ジアセトキシエタン、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルもしくはリン酸トリペンチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2−ビス(2−ジエトキシ)エタンもしくは1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン等のエーテル類、酢酸2−(2ブトキシエトキシ)エタン等のエステルエーテル類、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコール類、トルエン、キシレン、n−パラフィン、イソパラフィン、ドデシルベンゼン、テレピン油、ケロシンもしくは軽油等の炭化水素類、アセトニトリルもしくはプロピオニトリル等のニトリル類、アセトアミドもしくはN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、低分子量の揮発性シリコンオイル、または揮発性有機変成シリコンオイルである。これらの中でも、エラストマー(B)に対する溶解性の向上、ダイアタッチペーストの乾燥の抑制、シンタリングを促進させる観点からは、プロピレングリコールモノブチルエーテル等に例示されるアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等に例示されるエステル類を用いることがとくに好ましい。
半導体装置100は、基材30と、ダイアタッチペーストを熱処理して得られるダイアタッチ層10を介して基材30上に搭載された半導体素子20と、を備えている。半導体素子20と基材30は、たとえばボンディングワイヤ40等を介して電気的に接続される。また、半導体素子20は、たとえば封止樹脂50により封止される。
本変形例に係る半導体装置100において、基材30は、たとえばインターポーザである。インターポーザである基材30のうち、半導体素子20が搭載される一面と反対側の他面には、たとえば複数の半田ボール52が形成される。この場合、半導体装置100は、半田ボール52を介して他の配線基板へ接続されることとなる。
まず、基材30上にダイアタッチペーストを塗布する。ダイアタッチペーストを塗布する方法としては、とくに限定されないが、たとえばディスペンシング、印刷法、およびインクジェット法が挙げられる。これにより、基材30上に塗布膜を形成する。
次に、上記塗布膜を介して、基材30上に半導体素子20を搭載する。
本実施形態においては、たとえばこのようにして半導体装置100が製造される。
本実施形態によれば、ダイアタッチペーストは、熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、エラストマーと、を含む。これにより、金属粒子のシンタリングが妨げられることを抑制しつつ、シンタリング後には優れた耐温度サイクル性を得ることが可能なダイアタッチペーストを実現することができる。このため、ダイアタッチペーストを用いて形成されるダイアタッチ層について、熱伝導性と耐温度サイクル性のバランスを向上させることができる。また、ダイアタッチ層の導電性を向上させることもできる。したがって、本実施形態によれば、熱伝導性、耐温度サイクル性、および導電性のバランスに優れたダイアタッチ層を得ることが可能な、ダイアタッチペーストを実現することが可能となる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、
エラストマーと、
を含むダイアタッチペースト。
2.
1.に記載のダイアタッチペーストにおいて、
前記エラストマーは、アクリル系エラストマーまたはポリブタジエン系エラストマーであるダイアタッチペースト。
3.
1.または2.に記載のダイアタッチペーストにおいて、
前記エラストマーの軟化点は、350℃以下であるダイアタッチペースト。
4.
1.〜3.いずれか一つに記載のダイアタッチペーストにおいて、
前記金属粒子は、AgまたはCuを主成分とするダイアタッチペースト。
5.
1.〜4.いずれか一つに記載のダイアタッチペーストにおいて、
前記ダイアタッチペーストを200℃の条件で加熱することにより前記金属粒子にシンタリングを生じさせて得られるシート硬化体は、シート厚み方向における熱伝導率が20W/m・K以上であるダイアタッチペースト。
6.
基材と、
1.〜5.いずれか一つに記載のダイアタッチペーストを熱処理して得られるダイアタッチ層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、
を備える半導体装置。
エラストマーとしてマレイン化1,2−ポリブタジエン(Ricobond1731、Cray Valley社製)を1重量部と、溶剤としてトリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル(BFTG、日本乳化剤社製)を5重量部、およびエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(関東化学社製)を4重量部と、金属粒子としてフレーク状の銀粒子(平均粒径3.0μm、滑剤量0.4質量%)を70重量部、および球状の銀粒子(平均粒径0.8μm、滑剤量0.3質量%)を20重量部と、を均一に混合して、ダイアタッチペーストを調整した。得られたダイアタッチペーストの25℃における粘度は、80Pa・sであった。なお、粘度は、E型粘度計3度コーンを使用して、25℃、2.5rpmの条件下において測定した。以下、各実施例および各比較例において同様である。
エラストマーとしてアクリル酸エステル共重合体(テイサンレジンSG−280、ナガセケムテックス(株)社製)を1重量部と、溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(関東化学社製)を2.3重量部、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチセノール20アセテート KHネオケム社製)6.7重量部と、金属粒子としてフレーク状の銀粒子(平均粒径3.0um、滑剤量0.4質量%)を70重量部、および球状の銀粒子(平均粒径0.8μm、滑剤量0.3質量%)を20重量部と、を均一に混合して、ダイアタッチペーストを調整した。得られたダイアタッチペーストの25℃における粘度は、76Pa・sであった。
エラストマーとしてアクリル酸系重合物(ARUFON UG−4035、東亞合成社製)を1重量部と、溶剤としてトリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル(BFTG、日本乳化剤社製)を5重量部、およびトリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル(関東化学社製)を4重量部と、金属粒子としてフレーク状の銀粒子(平均粒径3.0μm、滑剤量0.4質量%)を70重量部、および球状の銀粒子(平均粒径0.8um、滑剤量0.3質量%)を20重量部と、を均一に混合して、ダイアタッチペーストを調整した。得られたダイアタッチペーストの25℃における粘度は、83Pa・sであった。
エポキシ樹脂としてエポキシ樹脂A:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日本化薬社製、RE−303S)を0.5重量部、およびエポキシ樹脂B:m,p−クレジルグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製、CGE、エポキシ当量165)を0.3重量部と、硬化剤として硬化剤A:ビスフェノールF(大日本インキ化学工業社製、BPF、水酸基当量100)を0.1重量部、および硬化剤B:ジシアンジアミド(ADEKA社製、DDA)を0.05重量部と、硬化触媒として2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、キュアゾール2P4MHZ)を0.05重量部と、溶剤としてトリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル(BFTG、日本乳化剤社製)を5重量部、およびエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(関東化学社製)を4重量部と、金属粒子としてフレーク状の銀粒子(平均粒径3.0um、滑剤量0.4質量%)を70重量部、および球状の銀粒子(平均粒径0.8um、滑剤量0.3質量%)を20重量部と、を均一に混合して、ダイアタッチペーストを調整した。得られたダイアタッチペーストの25℃における粘度は、73Pa・sであった。
各実施例、および各比較例について、得られたダイアタッチペーストを基材上に塗布し、これを200℃、30分の条件下で加熱することにより金属粒子にシンタリングを生じさせ、基材上に厚さ1〜2mmのシート硬化体を形成した。次いで、基材からシート硬化体を剥離した後、シート硬化体の厚み方向における熱拡散係数λを測定した。熱拡散係数λの測定は、LFA447(NETZSCH社製)を用いたレーザーフラッシュ法により、25℃、サンプリングタイム2〜10μs、ショット数10、ショット間の間隔60秒の条件下にて行われた。さらに、DSC7020(元エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、現日立ハイテクサイエンス)を用いたDSC法(示差走査熱量測定法)により、シート硬化体の比熱Cpを測定した。また水中置換法によりシート硬化体の比重を測定した。得られた熱拡散係数λと比熱Cp、比重の値から、シート硬化体の厚み方向における熱伝導率を算出した。表1に結果を示す。
各実施例および各比較例について、次にようにしてダイシェア強度を測定した。
まず、1.5mm×1.5mmの裏面をAgめっきしたシリコンチップを、Agめっきした銅フレーム上に、上記で得られたダイアタッチペーストを介してマウントした。次いで、25℃から230℃まで昇温30分、230℃で60分の焼結条件によって、オーブン中にてダイアタッチペースト中の金属粒子を焼結させてダイアタッチ層を形成した。次いで、焼結後に自動接着力測定装置を用いて、260℃におけるダイアタッチ層と銅フレームとの間の熱時ダイシェア強度を測定した。表1に結果を示す。
各実施例および各比較例について、次にようにして耐温度サイクル性を評価した。
まず、3mm×3mm×0.350mmの裏面をAgめっきしたシリコンチップを、Agめっきした銅フレームに、上記で得られたダイアタッチペーストを介してマウントした。次いで、25℃から230℃まで昇温30分、230℃で60分の焼結条件によって、オーブン中にてダイアタッチペースト中の金属粒子を焼結させてダイアタッチ層を形成した。焼結後、−65℃から150℃の温度サイクルを1000サイクル行った。そして、温度サイクル試験後の、チップ(裏面)と銅フレームの間の剥離の様子を超音波探傷装置(透過型)にて測定した。このとき、剥離面積が、チップの投影面積全体の10%以下であったものを○とし、10%超過であったものを×とした。表1に結果を示す。
10 ダイアタッチ層
20 半導体素子
30 基材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止樹脂
52 半田ボール
Claims (5)
- 熱処理によりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する金属粒子と、
エラストマーと、
を含み、
前記エラストマーは、アクリル系エラストマーまたはポリブタジエン系エラストマーであって、フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂を含まない、ダイアタッチペーストであって、
当該ダイアタッチペーストについて、下記条件で測定されるシート硬化体の熱伝導率が20W/m・K以上であるダイアタッチペースト。
(条件)
・前記シート硬化体の厚み方向における熱伝導率を評価する。
・前記シート硬化体は、当該ダイアタッチペーストを基材上に塗布し、温度200℃で30分間加熱することにより作製する。前記シート硬化体の厚みは1mm以上2mm以下とする。 - 請求項1に記載のダイアタッチペーストにおいて、
前記エラストマーは、アクリル系エラストマーであるダイアタッチペースト。 - 請求項1または2に記載のダイアタッチペーストにおいて、
前記エラストマーの軟化点は、350℃以下であるダイアタッチペースト。 - 請求項1〜3いずれか一項に記載のダイアタッチペーストにおいて、
前記金属粒子は、AgまたはCuを主成分とするダイアタッチペースト。 - 基材と、
請求項1〜4いずれか一項に記載のダイアタッチペーストを熱処理して得られるダイアタッチ層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、
を備える半導体装置。
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