JP6747000B2 - ペースト状接着剤組成物、半導体装置、半導体装置の製造方法および放熱板の接着方法 - Google Patents
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Description
すなわち、ペースト状接着剤組成物中に含まれる金属粒子をシンタリングさせて接着剤層を作製する場合において、接着剤層に対して加熱と冷却とを繰り返すことによって、その一部が破断してしまう懸念があることがわかってきた。
また、ペースト状接着剤組成物を長期保管しておくと、比較的比重の高い銀粒子が沈降しやすく、組成物中における各成分の偏りが発生することがあった。
さらに、このような成分の偏りが発生することにより、上記のような接着剤層の破断の可能性が高まることも懸念される。
すなわち、本技術分野におけるペースト状接着剤組成物としては、このような接着剤層としてのヒートサイクル性をさらに向上させる材料が望まれていた。
ダイアタッチ層を形成するために用いられる、銀粒子を含むペースト状接着剤組成物であって、
前記ペースト状接着剤組成物は、熱処理により前記銀粒子がシンタリングを起こして粒子連結構造を形成するものであり、
前記銀粒子は、
シリコーン樹脂粒子の表面に銀が被覆された銀被覆樹脂粒子と、
前記銀被覆樹脂粒子とは以外の銀粉と、を含む、
ペースト状接着剤組成物が提供される。
基材と、
上述のペースト状接着剤組成物の熱処理体である接着剤層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、
を備える半導体装置が提供される。
上述のペースト状接着剤組成物を介して、基材上に半導体素子を搭載する工程と、
前記ペースト状接着剤組成物を加熱する工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
上述のペースト状接着剤組成物を介して、半導体装置に放熱板を接着する工程と、
前記ペースト状接着剤組成物を加熱する工程と、
を含む放熱板の接着方法が提供される。
本実施形態のペースト状接着剤組成物は、以下に示されるものである。
銀粒子を含むペースト状接着剤組成物であって、
前記ペースト状接着剤組成物は、熱処理により前記銀粒子がシンタリングを起こして粒子連結構造を形成するものであり、
前記銀粒子は、シリコーン樹脂粒子の表面に銀が被覆された銀被覆樹脂粒子を含む、ペースト状接着剤組成物。
本実施形態において、組成物中に含まれる銀粒子は、ペースト状接着剤組成物に対して熱処理することによりシンタリングを起こして粒子連結構造を形成する。すなわち、ペースト状接着剤組成物を加熱して得られる接着剤層において、銀粒子同士は互いに融着して存在することとなる。これにより、ペースト状接着剤組成物を加熱して得られる接着剤層について、その熱伝導性や導電性、基材や半導体素子、放熱板等への密着性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、特性を損なわない範囲で他の低応力改質剤をこのシリコーン樹脂粒子に添加しても構わない。併用できる他の低応力改質剤としては、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、液状オルガノポリシロキサン、液状ポリブタジエン等の液状合成ゴム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、銀粒子が銀被覆樹脂粒子を含むことにより、得られる接着剤層としての弾性を持たせることも可能となる。これにより、接着剤層としてのヒートサイクル性を向上させることができる。
なお、本実施形態のペースト状接着剤組成物は、銀粒子の他にも、たとえばシンタリングを促進する、あるいは低コスト化等の目的で金粒子や銅粒子等の、銀以外の金属成分を含む粒子を併用することが可能である。
また、本実施形態において、銀粒子の平均粒径(D50)、最大粒径、比重は、銀被覆樹脂粒子を含むすべての銀粒子成分の物性値として、評価することができる。
本実施形態のペースト状接着剤組成物は、通常、前述の銀粒子を分散させるモノマーあるいはバインダーとなりうる成分を含む。
ここで、本実施形態においては、たとえば、加熱により重合する化合物を、銀粒子を分散させる成分(分散媒)として含むことができる。
加熱により重合する化合物は、たとえばラジカル重合性二重結合を分子内に一つのみ有する化合物(α−1)、およびエポキシ基を分子内に一つのみ有する化合物(α−2)から選択される一種または二種以上を含むことができる。これにより、ペースト状接着剤組成物を熱処理した際に上記化合物を直鎖状に重合させることが可能となる。このため、シンタリングの均一性やディスペンス性のバランスを向上させることができる。上記に例示したもののうち、ペースト状接着剤組成物を用いて得られる接着剤層の体積抵抗率を低減する観点からは、上記化合物(α−1)を少なくとも含むことがより好ましい。
ペースト状接着剤組成物は、たとえば硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、加熱により重合する化合物の重合反応を促進させるものであればとくに限定されない。これにより、上記化合物の重合反応を促進させて、ペースト状接着剤組成物を用いて得られる機械特性の向上に寄与することができる。
ペースト状接着剤組成物は、たとえば重合禁止剤を含むことができる。重合禁止剤としては、ペースト状接着剤組成物に含まれる化合物の重合反応を抑える化合物が使用される。これにより、ペースト状接着剤組成物の保管特性をより向上させることができる。重合禁止剤は、とくに限定されないが、たとえばヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、およびモノ−tert−ブチルヒドロキノンに例示されるヒドロキノン類、ヒドロキノンモノメチルエーテル、およびジ−p−クレゾールに例示されるフェノール類、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、およびp−トルキノンに例示されるキノン類、ならびにナフテン酸銅に例示される銅塩から選択される一種または二種以上を含むことができる。
図1は、本実施形態に係る半導体装置100を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置100は、基材30と、ペースト状接着剤組成物の熱処理体であるダイアタッチ層10(接着剤層)を介して基材30上に搭載された半導体素子20と、を備えている。半導体素子20と基材30は、たとえばボンディングワイヤ40等を介して電気的に接続される。また、半導体素子20は、たとえば封止樹脂50により封止される。ダイアタッチ層10の膜厚は、とくに限定されないが、たとえば5μm以上100μm以下である。
本実施形態に係る半導体装置100の一例としては、たとえば一辺が5mm以上の辺を有する矩形状の大チップを、半導体素子20として用いたものを挙げることができる。
また、ペースト状接着剤組成物の塗布段階においては、このペースト状接着剤組成物が均一性の高いものであるため、結果、このダイアタッチ層10中の成分の偏りを抑制することができる。
これらの効果により、ダイアタッチ層10、ひいては、半導体装置100のヒートサイクル性を向上させることができる。
本変形例に係る半導体装置100において、基材30は、たとえばインターポーザである。インターポーザである基材30のうち、半導体素子20が搭載される一面と反対側の他面には、たとえば複数の半田ボール52が形成される。この場合、半導体装置100は、半田ボール52を介して他の配線基板へ接続されることとなる。
以下、半導体装置100の製造方法を詳細に説明する。
次いで、半導体素子20と基材30を、ボンディングワイヤ40を用いて電気的に接続する。次いで、半導体素子20を封止樹脂50により封止する。本実施形態においては、たとえばこのようにして半導体装置100を製造することができる。
放熱板の接着方法は、たとえば次のように行うことができる。まず、上述のペースト状接着剤組成物を介して、半導体装置に放熱板を接着する。次いで、ペースト状接着剤組成物を熱処理する。ペースト状接着剤組成物に対する熱処理は、たとえば上述の半導体装置100の製造方法におけるペースト状接着剤組成物を熱処理してダイアタッチ層10を形成する工程と同様にして行うことが可能である。これにより、ペースト状接着剤組成物中の銀粒子にシンタリングが生じ、銀粒子間には粒子連結構造が形成され、放熱板を接着する接着剤層が形成されることとなる。このようにして、放熱板を半導体装置に接着することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 銀粒子を含むペースト状接着剤組成物であって、
前記ペースト状接着剤組成物は、熱処理により前記銀粒子がシンタリングを起こして粒子連結構造を形成するものであり、
前記銀粒子は、シリコーン樹脂粒子の表面に銀が被覆された銀被覆樹脂粒子を含む、ペースト状接着剤組成物。
2. 1.に記載のペースト状接着剤組成物において、
さらに、加熱により重合する化合物を含む、ペースト状接着剤組成物。
3. 2.に記載のペースト状接着剤組成物において、
加熱により重合する前記化合物は、分子内に一つのみ(メタ)アクリル基を有する化合物を含む、ペースト状接着剤組成物。
4. 2.または3.に記載のペースト状接着剤組成物において、
加熱により重合する前記化合物は、エポキシ基を分子内に一つのみ有する化合物を含む、ペースト状接着剤組成物。
5. 1.ないし4.のいずれか一つに記載のペースト状接着剤組成物において、
前記銀粒子の含有量が、当該ペースト状接着剤組成物全体に対して、1重量%以上95重量%以下である、ペースト状接着剤組成物。
6. 1.ないし5.のいずれか一つに記載のペースト状接着剤組成物において、
前記銀粒子の平均粒径D 50 が、0.8μm以上20μm以下である、ペースト状接着剤組成物。
7. 1.ないし6.のいずれか一つに記載のペースト状接着剤組成物において、
前記銀被覆樹脂粒子の含有量が、前記銀粒子全体に対して、1重量%以上98重量%以下である、ペースト状接着剤組成物。
8. 基材と、
1.ないし7.のいずれか一つに記載のペースト状接着剤組成物の熱処理体である接着剤層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、
を備える半導体装置。
9. 1.ないし7.のいずれか一つに記載のペースト状接着剤組成物を介して、基材上に半導体素子を搭載する工程と、
前記ペースト状接着剤組成物を加熱する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
10. 1.ないし7.のいずれか一つに記載のペースト状接着剤組成物を介して、半導体装置に放熱板を接着する工程と、
前記ペースト状接着剤組成物を加熱する工程と、
を含む放熱板の接着方法。
各実施例および比較例について、ペースト状接着剤組成物を調製した。ペースト状接着剤組成物は、表1に示す配合に従い各成分を均一に混合することにより得られた。
なお、表1に示す成分の詳細は以下のとおりである。また、表1中における各成分の配合割合は、ペースト状接着剤組成物全体に対する各成分の配合割合(重量部)を示している。
銀粒子1:銀粉(DOWAエレクトロニクス社製)、AG2−1C、球状、平均粒径(D50)1.7μm)
銀粒子2:銀粉(福田金属箔粉工業社製、AgC−271B、フレーク状、平均粒径(D50)2.4μm)
銀粒子3:銀被覆樹脂粒子(三菱マテリアル(株)製、φ2μm耐熱樹脂コア品、平均粒径(D50)2μm、球状、銀被覆量80重量%、比重4.37)
(分散媒)
分散媒1:1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成(株)製、CHDMMA、単官能アクリル)
分散媒2:フェノキシエチルメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステルPO、単官能アクリル)
分散媒3:メタ・パラ−クレジルグリシジルエーテル(阪本薬品工業(株)製、m、p−CGE、単官能エポキシ)
(硬化剤)
硬化剤1:ジクミルパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、パーカドックスBC、過酸化物)
硬化剤2:イミダゾール(四国化成工業(株)製、2PHZ−PW)
上記で得られたペースト状接着剤組成物について、以下の項目に基づき評価を行った。
実施例および比較例で得られたペースト状接着剤組成物について、25℃の条件で7日静置を行った。目視にてペースト状接着剤組成物を確認し、銀粒子の沈降が観察されないものを○、銀粒子の沈降が観察されたものを×とした。
各実施例および比較例について、次にようにして耐温度サイクル性を評価した。
まず、2mm×2mm×0.350mmの裏面をAgめっきしたシリコンチップを、Agめっきした銅フレームに、上記で得られたペースト状接着剤組成物を介してマウントした。次いで、25℃から230℃まで昇温30分、230℃で60分の焼結条件によって、オーブン中にてペースト状接着剤組成物中の銀粒子を焼結させて接着剤層を形成した。焼結後、−65℃から150℃の温度サイクルを1000サイクル行った。そして、温度サイクル試験後の、チップ(裏面)と銅フレームの間の剥離の様子を超音波探傷装置(透過型)にて測定した。このとき、剥離面積が、チップの投影面積全体の10%以下であったものを○とし、10%超過であったものを△とした。
10 ダイアタッチ層
20 半導体素子
30 基材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止樹脂
52 半田ボール
Claims (10)
- ダイアタッチ層を形成するために用いられる、銀粒子を含むペースト状接着剤組成物であって、
前記ペースト状接着剤組成物は、熱処理により前記銀粒子がシンタリングを起こして粒子連結構造を形成するものであり、
前記銀粒子は、
シリコーン樹脂粒子の表面に銀が被覆された銀被覆樹脂粒子と、
前記銀被覆樹脂粒子とは以外の銀粉と、を含む、
ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1に記載のペースト状接着剤組成物において、
さらに、加熱により重合する化合物を含む、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項2に記載のペースト状接着剤組成物において、
加熱により重合する前記化合物は、分子内に一つのみ(メタ)アクリル基を有する化合物を含む、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項2または3に記載のペースト状接着剤組成物において、
加熱により重合する前記化合物は、エポキシ基を分子内に一つのみ有する化合物を含む、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のペースト状接着剤組成物において、
前記銀粒子の含有量が、当該ペースト状接着剤組成物全体に対して、1重量%以上95重量%以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1ないし5のいずれか一項に記載のペースト状接着剤組成物において、
前記銀粒子の平均粒径D50が、0.8μm以上20μm以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載のペースト状接着剤組成物において、
前記銀被覆樹脂粒子の含有量が、前記銀粒子全体に対して、1重量%以上98重量%以下である、ペースト状接着剤組成物。 - 基材と、
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のペースト状接着剤組成物の熱処理体である接着剤層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、
を備える半導体装置。 - 請求項1ないし7のいずれか一項に記載のペースト状接着剤組成物を介して、基材上に半導体素子を搭載する工程と、
前記ペースト状接着剤組成物を加熱する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。 - 請求項1ないし7のいずれか一項に記載のペースト状接着剤組成物を介して、半導体装置に放熱板を接着する工程と、
前記ペースト状接着剤組成物を加熱する工程と、
を含む放熱板の接着方法。
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