JP5944323B2 - メチオニンの生産における誘導プロモーターの使用 - Google Patents

メチオニンの生産における誘導プロモーターの使用 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、発酵によるメチオニンの生産における誘導プロモーターの使用に関する。
発明の背景
システイン、ホモシステイン、メチオニンまたはS−アデノシルメチオニンなどの硫黄含有化合物は、細胞代謝にとって重要であり、食品または飼料添加物および医薬品として使用されるべく工業的に製造される。特に、動物が合成することのできない必須アミノ酸であるメチオニンは、多くの身体機能において重要な役割を果たす。タンパク質生合成におけるその役割とは別に、メチオニンは、メチル基転移ならびにセレニウムおよび亜鉛のバイオアベイラビリティに関与している。メチオニンはまた、アレルギーやリウマチ熱のような障害のための治療薬として直接用いられる。しかしながら、生産されるメチオニンの大部分は動物飼料に添加されている。
BSEおよび鳥インフルエンザの結果としての動物由来タンパク質の使用が減少するに伴い、純粋なメチオニンに対する需要が高まっている。化学的には、D,L−メチオニンは、通常、アクロレイン、メチルメルカプタンおよびシアン化水素から生産される。しかしながら、ラセミ混合物は、例えば鶏飼料用添加物において、純粋なL−メチオニンほど良好には機能しない(Saunderson, C.L., (1985) British Journal of Nutrition 54, 621-633)。純粋なL−メチオニンは、ラセミ型メチオニンから、例えばN−アセチル−D,L−メチオニンのアシラーゼ処理によって生産することができるが、生産コストは大幅に増加する。環境問題に関連して純粋なL−メチオニンに対する需要が高まりつつあることから、メチオニンの微生物生産は魅力的である。
バイオテクノロジーのプロセスにおける誘導プロモーターの使用は、化学的生合成の分野である。これらのプロモーターは通常、プロピオネート(WO2007005837)、亜鉛(WO2004020640)およびアラビノース(WO1998011231)、または温度(Microbial conversion of glycerol to 1,3-propanediol by an engineered strain of Escherichia coli. Tang X, Tan Y, Zhu H, Zhao K, Shen W. Appl Environ Microbiol. 2009 Mar; 75(6):1628-34))および光によりそれぞれ例示される化学的または物理的刺激に応答する。
メチオニン生産はいくつかの前駆体供給経路に頼っている。効果的なメチオニン生産はこれらの経路の緻密な調整を必要とする。メチオニン生産を最大とするには、プロセス中に特定の重要な酵素の発現を調整できることが有益となり得る。例えば、(i)ある酵素の発現は生産期でのみ必要であり、バイオマスの生成の際には必要なく、または逆の場合もある。また、静止期でのみ有益な酵素もある。従って、誘導プロモーターの使用は、工業レベルでメチオニンを生産する総収率を向上させる上で注目されるものであり得る。
しかしながら、メチオニン代謝経路の複雑性とメチオニン生産の向上のためのこれらの経路の緻密な調整のために、メチオニン生産に関与する遺伝子の発現を制御するための誘導プロモーターの使用は考慮および報告されたことがない。
本発明者らは今般、メチオニン生合成などの複雑な代謝経路に関与する遺伝子の遺伝子発現を調節するために使用される場合に誘導プロモーターが有益であることを見出した。
発明の簡単な説明
本発明は、発酵プロセスにおいてメチオニン、その前駆体または誘導体を生産するための方法であって、下記工程:
炭素源と硫黄源と窒素源とを含んでなる適当な培養培地中で改変微生物を培養する工程、および
該培養培地からメチオニンおよび/またはその誘導体を回収する工程
を含んでなり、
該改変微生物において、メチオニン生産に関与する少なくとも1つの遺伝子の発現が異種誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある方法に関する。
本発明はまた、メチオニン生産に関与する少なくとも1つの遺伝子の発現が異種誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある、メチオニン生産の向上のために改変された微生物に関する。
特定の一実施形態では、遺伝子thrA、cysEおよびmetAは異種誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある。
発明の詳細な説明
本発明は、発酵プロセスにおいてメチオニン、その前駆体または誘導体を生産するための方法であって、下記工程:
炭素源と硫黄源と窒素源とを含んでなる適当な培養培地中で改変微生物を培養する工程、および
該培養培地からメチオニンおよび/またはその誘導体を回収する工程
を含んでなり、
該改変微生物において、メチオニン生産に関与する少なくとも1つの遺伝子の発現が異種誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある方法に関する。
本発明によれば、「発酵プロセス」、「発酵」または「培養」とは、炭素源と硫黄源と窒素源とを含有する適当な増殖培地での細菌の増殖を表して互換的に用いられる。
「適当な培養培地」とは、微生物の培養および増殖に適当な培地である。このような培地は、微生物の発酵の分野で培養される微生物によって周知である。
「微生物」とは、細菌、酵母または真菌を表す。好適には、微生物は腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、バチルス科(Bacillaceae)、ストレプトミセス科(Streptomycetaceae)およびコリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)の中から選択される。より好適には、微生物は、エシェリキア属(Escherichia)、クレブシェラ属(Klebsiella)、パンテア属(Pantoea)、サルモネラ菌属(Salmonella)またはコリネバクテリウム属(Corynebacterium)の種である。いっそうより好適には、微生物は、大腸菌(Escherichia coli)またはコリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)種のいずれかである。
「改変微生物」とは、メチオニン生産を向上させるために改変された微生物であり、メチオニンの生産収率を向上させる目的で遺伝的に改変された微生物を表す。本発明によれば、「向上された」または「向上させる」とは、微生物により生産されるメチオニンの量、特にメチオニン収率(炭素源当たりに生産されるメチオニンの割合)が、対応する非改変微生物に比べて改変微生物で高いことを意味する。通常の改変としては、形質転換および組換えによる微生物への遺伝子欠失の導入、遺伝子置換、ならびに異種遺伝子の発現のためのベクターの導入を含む。
本発明の方法で用いられる改変微生物は、
メチオニン生産を向上させるために改変されていること、および
メチオニン生産に関与する少なくとも1つの遺伝子の発現が誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にあること
の双方の特徴を持つ。
「培養培地からメチオニンおよび/またはその誘導体を回収する」とは、メチオニン、およびおそらくはS−アシルメチオニンおよびN−アシルメチオニン化合物、例えばN−アセチルメチオニンおよびN−プロピオニルメチオニン、ならびに得られる他のあらゆる誘導体を回収する操作を表す。
「誘導プロモーター」とは、その活性が外部刺激に対して増強または低減され得るプロモーターを表す。刺激は、温度、光、化学物質などの、本来物理的または化学的なものであってよい。
標的遺伝子の誘導は、刺激の直接的または間接的伝達を介して得ることができる。
直接的伝達は、1つの標的遺伝子の発現が誘導プロモーターの制御下にある場合に達成される。
間接的伝達は、誘導プロモーターの制御下にあり、メチオニン生合成に関与する標的遺伝子の発現を駆動する特定のプロモーターを認識する異種RNAポリメラーゼを用いることにより達成され得る。この場合、誘導プロモーターは標的遺伝子のプロモーターには直接連結されていないが、標的遺伝子の前記プロモーターを転写するRNAポリメラーゼの発現を駆動する。
これらの異種RNAポリメラーゼは、例えば、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼまたは当業者に知られているその他のポリメラーゼである。
「間接的伝達」とは、その隣接する遺伝子の発現に対するある特定の遺伝子の誘導的発現の「極性効果(polar effect)」を意味する。「極性効果」は、該改変遺伝子の下流にある1以上の遺伝子の発現に対する、ある遺伝子の遺伝子改変の影響を表す。
本発明の特定の態様では、メチオニン生産に関与する特定の遺伝子の誘導は、その特定の遺伝子の下流にある遺伝子の誘導をもたらす。
「異種誘導プロモーターの制御下」とは、誘導プロモーターがその遺伝子の天然プロモーターではなく、それと作動可能なように連結されている遺伝子の発現レベルを少なくとも部分的に制御するように導入されたものであることを表す。誘導プロモーターの活性は、生物因子または非生物因子の有無によって誘導される。遺伝子の発現は、当業者に必要に応じてオン、オフが可能である。これらのプロモーターは化学的に調節(テトラサイクリン、ホルモンなどの存在下)されても、または物理的に調節(特に熱または光による)されてもよい。
本発明の特定の実施形態では、メチオニン生産に関与する少なくとも1つの遺伝子の発現は誘導プロモーターの直接的制御下にある。
本発明の第1の態様において、誘導プロモーターは物理的誘導プロモーター、特に、温度誘導プロモーターまたは光誘導プロモーターである。
プロモーターは有利には温度誘導プロモーター(好適には、λファージの改変レプレッサーにより調節される)、プロモーターPRまたはPRの誘導体、プロモーターPLまたはPLの誘導体(A genetic switch. Ptashne M. Blackwell Scientific, Cambridge, MA. 1986; A genetic switch: Phage lambda revisited. Ptashne M. Cold Spring Harbor Lab Press. Cold Spring Harbor, NY. 2004; The bacteriophages, Part II: Life of phages, 8. Gene regulatory circuitry of phage λ. Little J. 2nd edition 2004. Richard Calendar.ed. Oxford University Press)、および温度感受性Lacレプレッサーにより調節される改変lacプロモーターである。
レプレッサーは、プロモーター領域の特定の結合部位に結合し、それによりプロモーターに対するRNAポリメラーゼの接近を制限し、転写の開始または伸長を減じることによって、同族プロモーターからの発現を抑制する。有利には、該レプレッサーはλレプレッサー対立遺伝子cI857(On a thermosensitive repression system in the Escherichia coli lambda bacteriophage. Sussman R, Jacob F. C. R. Hebd. Seances Acad. Sci. 1962, 254, p1517)またはcI λレプレッサーの別の温度感受性対立遺伝子である。
本発明の特定の態様では、メチオニン生産のための改変微生物において、recAをコードする遺伝子が欠失されている。タンパク質RecAは、cIに対してプロテアーゼとして作用することが知られている。従って、RecAをコードする遺伝子の欠失は、λレプレッサーcIのタンパク質分解を排除する。
温度誘導プロモーターは有利にはプロモーターPRまたは誘導体、およびプロモーターPLまたは誘導体の間で選択することができる。
別の実施形態では、温度誘導プロモーターは温度感受性Lacレプレッサーにより調節される改変lacプロモーターである。
本発明の第2の態様において、誘導プロモーターは化学的に調節される。特に、プロモーター活性の誘導は炭素異化代謝産物の抑制の変化に結びつけられる。炭素異化代謝産物の抑制により活性化されるプロモーターは、低濃度のグルコースまたはグルコースの不在下で、アクチベーターCRPを介して正の調節を受ける。
有利には、誘導プロモーターは、炭素源または糖アルコールの存在により誘導される。炭素源または糖アルコールにより誘導されるプロモーターの例としては、それぞれアラビノースまたはラフィノースプロモーター、およびマンニトールプロモーターまたはグルシトールプロモーターが挙げられる。
本発明の特定の態様によれば、目的遺伝子の発現は「間接的伝達」を介して調節され、すなわち、メチオニン生産に関与する少なくとも1つの遺伝子は、その発現が誘導プロモーターの制御下にある異種RNAポリメラーゼにより転写される。
本発明の特定の実施形態では、異種RNAポリメラーゼはT7、T3ポリメラーゼから選択される。
本発明によれば、メチオニン生産またはその前駆体の生産に関与する少なくとも1つの遺伝子は、異種誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にあり、従前に説明したように、遺伝子は誘導プロモーターの直接的制御下にあるか、または遺伝子は誘導RNAポリメラーゼにより転写されるか、またはその組合せである。
微生物においてメチオニン生産に関与する遺伝子は当技術分野で公知であり、メチオニン特異的生合成経路に関与する遺伝子、ならびに前駆体供給経路に関与する遺伝子およびメチオニン消費経路に関与する遺伝子を含んでなる。
メチオニンの効率的生産には、メチオニン特異的経路およびいくつかの前駆体供給経路の至適化が必要である。メチオニン生産株は特許出願WO2005/111202、WO2007/077041、WO2009/043803およびWO2009/043372に記載されており、これらは引用することにより本願の一部とされる。
その阻害剤SAMおよびメチオニンに対するフィードバック感受性が低減されたホモセリンスクシニルトランスフェラーゼ対立遺伝子を過剰発現するメチオニン生産株が特許出願WO2005/111202に記載されている。この出願にはまた、これらの対立遺伝子と、特許出願JP2000/157267に示唆されているようなメチオニンレギュロンのダウンレギュレーションを担うメチオニンレプレッサーMetJ(GenBank1790373)の欠失との組合せも記載されている。さらに、アスパルトキナーゼ/ホモセリンデヒドロゲナーゼの過剰発現を伴う2つの改変の組合せも特許出願WO2005/111202に記載されている。
遺伝子cysE、metHおよびmetFの過剰発現は、WO2007/077041に示唆されている。
メチオニン生産を増大させるために、メチオニン生産に関与する下記遺伝子の少なくとも1つを誘導プロモーターの制御下に置くことができる。
a)硫黄同化に関与する遺伝子の発現は、有利には誘導プロモーターまたはRNAポリメラーゼの制御下に置くことができる。
遺伝子 受託番号 機能
cysK 1788754 システインシンターゼ
cysZ g1788753 cysK の上流のORF
cysN g1789108 ATPスルフリラーゼ
cysD g1789109 硫酸アデニリルトランスフェラーゼ
cysC g1789107 アデニリル硫酸キナーゼ
cysZ 1788753 硫酸輸送
sbp 1790351 周辺質硫酸結合タンパク質
b)補充反応は以下の遺伝子を発現させることにより増強することができる。
ppc 1790393 ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ
pps 1787994 ホスホエノールピルビン酸シンターゼ
pyc CAB13359 ピルビン酸カルボキシラーゼ
(例えば枯草菌(B. subtilis)由来)
c)酢酸消費反応は下記遺伝子を過剰発現させることにより増強することができる。
acs 1790505 アセチルCoAシンセターゼ
d)メチオニン生合成に直接関与する酵素:
metA 1790443 ホモセリンO-トランススクシニラーゼ
metB 1790375 シスタチオニンγ-シンターゼ
metC 1789383 シスタチオニンβ-リラーゼ
metE 2367304 5-メチルテトラヒドロプテロイルトリグルタミン酸
-ホモシステインS-メチルトランスフェラーゼ
metF 1790377 5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ
metH 1790450 B12依存性ホモシステイン-N5-
メチルテトラヒドロ葉酸トランスメチラーゼ
metK 1789311 メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ
metL 1790376 アスパルトキナーゼII/ホモセリンデヒドロゲナーゼII
e)アスパラギン酸代謝に関与する酵素:
asd 1789841 アスパラギン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ
aspC 1787159 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
lysC 1790455 アスパルトキナーゼIII
本発明の好ましい実施形態では、遺伝子thrAおよび/またはcysEの少なくとも1つの発現は、誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある。
酵素ThrAまたはその任意のホモログ(MetL、LysC)は、アスパラギン酸から、メチオニンの前駆体であるホモセリンへの変換反応を触媒する。酵素CysEはセリンのO−アセチル化を触媒してシステインの直接的前駆体であるO−アセチル−セリンを形成し、次に、メチオニン生合成の硫黄供与体として働く。
メチオニンの生産は、特許出願WO2004/076659(引用することにより本明細書の一部とされる)に記載されているように、優先的にまたは排他的にHSを用い、従って、O−スクシニル−ホモセリンからホモシステインを生成する変異型metB対立遺伝子を用いることによってさらに増強させることができる。
メチオニン生産のさらなる増強は、特許出願WO2009043803に記載されているように、遺伝子pykA、pykFおよび/またはpurUの発現を減弱することによっても得ることができる。これもまた、誘導プロモーターを直接的または間接的に用いることによって達成することができる。
本発明はまた、オペロンcysPUWAM、cysJIHおよびgcvTHP、ならびに遺伝子serA、serB、serC、lpdおよびglyAが過剰発現されるメチオニン生産株も記載する。これも同様に、誘導プロモーターを直接的または間接的に用いることによって達成することができる。
さらに、メチオニンを分解する経路における遺伝子(下記の一覧を参照)またはメチオニン生産経路を偏向する経路における遺伝子の発現も、誘導プロモーターを直接的または間接的に用いることによって減弱することができる。本明細書において減弱とは、その発現の低減、酵素の安定性の低下、その分解の増大および/または当業者に知られている他の方策などの手段によって酵素の細胞内活性を低減することを表す。これは誘導プロモーターの発現を低減すること、すなわち、誘導プロモーターを誘導する刺激を除去するか、または誘導RNAポリメラーゼの発現を低減することによって達成することができる。
遺伝子 Genbankエントリー 活性
ackA 1788633 酢酸キナーゼ
pta 1788635 ホスホトランスアセチラーゼ
aceE 1786304 ピルビン酸デヒドロゲナーゼE1
aceF 1786305 ピルビン酸デヒドロゲナーゼE2
lpd 1786307 ピルビン酸デヒドロゲナーゼE3
sucC 1786948 スクシニル-CoAシンセターゼ、βサブユニット
sucD 1786949 スクシニル-CoAシンセターゼ、αサブユニット
pck 1789807 ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ
maeB
poxB 1787096 ピルビン酸オキシダーゼ
ilvB 1790104 アセトヒドロキシ酸シンターゼI、大サブユニット
ilvN 1790103 アセトヒドロキシ酸シンターゼI、小サブユニット
ilvG 1790202 アセトヒドロキシ酸シンターゼII、大サブユニット
1790203
ilvM 1790204 アセトヒドロキシ酸シンターゼII、小サブユニット
ilvI 1786265 アセトヒドロキシ酸シンターゼIII、大サブユニット
ilvH 1786266 アセトヒドロキシ酸シンターゼIII、小サブユニット
aroF 1788953 DAHPシンセターゼ
aroG 1786969 DAHPシンセターゼ
aroH 1787996 DAHPシンセターゼ
thrB 1786184 ホモセリンキナーゼ
thrC 1786185 トレオニンシンターゼ
sdaA 1788116 セリンデアミナーゼ
sdaB 1789161 セリンデアミナーゼ
speD 1786311 S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ
speC 1789337 オルニチンデカルボキシラーゼ
astA 1788043 アルギニンスクシニルトランスフェラーゼ
dapA 1788823 ジヒドロ二ピコリン酸シンターゼ
mdh 1789632 リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
mqo 1788539 リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、FAD/NAD(P)-結合ドメイン
gltA 1786939 クエン酸シンターゼ
aceE 1786304 ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、E1
aceF 1786305 ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、E2
本発明の好ましい実施形態では、遺伝子:thrA、cysE、metAの少なくとも1つの発現が誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある。別の特定の実施形態では、遺伝子thrA、cysEおよびmetAが、誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある。本発明の好ましい実施形態では、thrA遺伝子の発現が誘導プロモーターの直接的制御下にあり、cysE遺伝子の発現がそのthrA遺伝子の誘導発現の「極性効果」下にある。本発明の別の好ましい実施形態では、thrA遺伝子の発現は誘導プロモーターの直接的制御下にあり、cysEおよびmetA遺伝子の発現がthrA遺伝子の誘導発現の「極性効果」下にある。
特定の実施形態では、3つの遺伝子thrA、cysEおよびmetAが、上記および実施例で開示される温度誘導プロモーターなどの、同じ誘導プロモーターの制御下にある。
本発明において、「thrA遺伝子」は、天然thrA遺伝子、またはWO2005/108561に記載されているものなど、トレオニンに対するフィードバック感受性が低減されたthrA対立遺伝子を意味する。本発明によれば、「metA遺伝子」は、天然metA遺伝子、またはWO2005/108561に記載されているものなど、メチオニンおよびS−アデノシルメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA変異型対立遺伝子を意味する。
誘導プロモーターにより制御される遺伝子は、染色体上のその天然の位置にあってもよいし、または天然でない位置に組み込まれてもよい。最適なメチオニン生産のために、誘導プロモーターにより制御される遺伝子を1回または数回組み込む必要がある場合がある。同様に、最適な発現のために、一コピーまたは数コピーの調節遺伝子が必要となる場合がある。レプレッサー遺伝子とプロモーターの種々の比率を用いて発現を緻密に調整することができる。
誘導プロモーターの制御下にある遺伝子は遺伝子座に組み込まれ、その改変がメチオニン生産に悪影響を与えないのが好適である。遺伝子を組み込み得る遺伝子座の例は下記の通りである。
Figure 0005944323
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本発明の記載において、遺伝子およびタンパク質は大腸菌における対応する遺伝子の名称を用いて識別される。しかしながら、特に断りのない限り、これらの名称の使用は本発明に従うより一般的な意味を有し、他の生物、より詳しくは微生物における対応する遺伝子およびタンパク質の総てを包含する。
当業者ならば、GenBankに示されている既知の遺伝子に関する参照番号を用いて他の生物、細菌株、酵母、真菌、哺乳類、植物などにおける等価な遺伝子を決定することができる。この常法は、有利には、他の微生物由来の遺伝子との配列アラインメントを行い、縮重プローブを設計して、他の生物における対応する遺伝子をクローニングすることにより決定することができるコンセンサス配列を使用して行われる。これらの分子生物学の常法は当業者によく知られており、例えば、Sambrook et al. (1989 Molecular Cloning: a Laboratory Manual. 2nd ed. Cold Spring Harbor Lab., Cold Spring Harbor, New York)に記載されている。
PFAM(アラインメントのタンパク質ファミリーデータベースおよび隠れマルコフモデル(protein families database of alignments and hidden Markov models);
(http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/)は、タンパク質配列アラインメントを多数集めたものである。各PFAMにより、多重アラインメントを視覚化し、タンパク質ドメインを調べ、生物間の分布を評価し、他のデータベースへのアクセスを確保し、既知のタンパク質構造を視覚化することができる。
主要な系統発生系を示す、完全に配列決定されたゲノムからのタンパク質配列を比較することにより、COG(タンパク質のオーソロガス群のクラスター(clusters of orthologous groups of proteins);http://www.ncbi.nlm.nih.gov/COG/)が得られる。各COGは、少なくとも3つの系から定義されるので、前に保存されたドメインを同定することができる。
相同配列およびそれらの相同性%を同定する手段は当業者によく知られており、特にBLASTプログラムが挙げられ、このプログラムは、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/から、このウェブサイトに示されているデフォルトパラメーターとともに利用することができる。次に、得られた配列を、例えばプログラムCLUSTALW(http://www.ebi.ac.uk/clustalw/)またはMULTALIN(http://bioinfo.genotoul.fr/multalin/multalin.html)を、これらのウェブサイトに示されているデフォルトパラメーターとともに用いて活用する(例えば、アラインする)ことができる。
発酵プロセスにおいてメチオニン、その前駆体または誘導体を生産するための方法は当業者によく知られている。プロセスを至適化するために、硫黄源、炭素源および窒素源の選択などの発酵プロセスの種々の因子を調整することができる。
本発明の好ましい態様では、培養培地に添加される、L−メチオニンの発酵生産に用いられる硫黄源は、硫酸塩、チオ硫酸塩、硫化水素、ジチオン酸塩、亜ジチオン酸塩、亜硫酸塩、メチルメルカプタン、二硫化ジメチルおよびその他のメチルキャップ亜硫酸塩または種々の供給源の組合せである。
より好適には、培養培地中の硫黄源は硫酸塩もしくはチオ硫酸塩、またはその混合物である。
本発明による「炭素源」とは、微生物の正常な増殖を助けるために当業者が使用可能ないずれの炭素源も表し、六炭糖(グルコース、ガラクトースまたはラクトースなど)、五炭糖、単糖類、二糖類(スクロース、セロビオースまたはマルトースなど)、オリゴ糖、糖蜜、デンプンまたはその誘導体、ヘミセルロース、グリセロールおよびそれらの組合せであり得る。特に好ましい炭素源はグルコースである。別の好ましい炭素源はスクロースである。
本発明の特定の実施形態では、炭素源は再生可能な供給原料に由来する。再生可能な供給原料は、短期のうちに、その目的生成物への変換を可能とするに十分な量で再生され得る、特定の工業プロセスに必要とされる原料と定義される。
窒素源とは、アンモニウム塩またはアンモニアガスのいずれかに相当する。
窒素源は、アンモニウムまたはアンモニアの形で供給される。
発酵は一般に、少なくとも1つの単純炭素源、および必要であれば代謝産物の生産のための補助基質を含有する、使用する微生物に適合された適当な培養培地の入った発酵槽で行われる。
当業者ならば、本発明による微生物に対する培養条件を定義することができる。特に、細菌は20℃〜55℃の間、好適には25℃〜40℃の間、より具体的には、C.グルタミクムでは約30℃、大腸菌では約37℃の温度で発酵される。
大腸菌に対する既知の培養培地の例として、その培養培地はM9培地(Anderson, 1946, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 32:120-128)、M63培地(Miller, 1992; A Short Course in Bacterial Genetics: A Laboratory Manual and Handbook for Escherichia coli and Related Bacteria, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)またはSchaefer et al. (1999, Anal. Biochem. 270: 88-96)により定義されているものなどの培地と同一または類似の組成であり得る。
C.グルタミクムに対する既知の培養培地の例として、その培養培地はBMCG培地(Liebl et al., 1989, Appl. Microbiol. Biotechnol. 32: 205-210)またはRiedel et al. (2001, J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 3: 573-583)により記載されているものなどの培地と同一または類似の組成であり得る。
本発明はまた、所望により最終産物の一部または全量(0〜100%)に留まっている発酵液および/またはバイオマスのメチオニン、その前駆体または誘導体を単離する工程を含んでなる、メチオニンの生産方法に関する。
本発明の特定の態様では、培養は、微生物を無機基質、特に、リン酸塩および/またはカリウムに対して制限する、または飢餓状態にするような条件で行われる。
生物が無機基質の制限を受けるとは、その微生物の増殖が、なお弱い増殖を許容しつつ、供給された無機化学物質の量により支配される条件を定義する。
無機基質に対して微生物を飢餓状態にするとは、その無機基質が存在しないために微生物の増殖が完全に停止する条件を定義する。
本発明はまた、上記のような改変の少なくとも1つを含んでなる微生物に関する。
実施例I:MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB(pCC1BAC−serA−serC)(pCL1920−TTadc−CI857−PλR (−35)−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11)株の構築
N−アセチルメチオニンの蓄積が低減されたメチオニン生産株は、特許出願WO2007077041およびWO2009043803(参照により本願の一部とされる)に記載されている。
1.MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB::Km株の構築
ホスホセリンホスファターゼのレベルを高めるため、構成型人工trcプロモーターSerBを、MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA株のserB遺伝子の上流に付加した。
この人工trcプロモーターを付加するために、Datsenko & Wanner (2000)により記載されている相同組換え戦略を用いた。この戦略は、カナマイシン耐性カセットだけでなく付加的DNA領域を、特にその染色体に挿入することを可能とする。この目的で、2つのオリゴヌクレオチドPtrc07−serBF(配列番号01)およびPtrc07−serBR(配列番号02)を用いた(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)。
Ptrc07−serBF(配列番号01)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・遺伝子serBの領域の4622816〜4622878の配列と相同な領域(大文字)
・T7ファージ由来のT7Te転写ターミネーター配列に関する領域(下線の大文字)(Harrington K.J., Laughlin R.B. and Liang S. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Apr 24;98(9):5019-24.)
・カナマイシン耐性カセットの増幅に関する領域(太字の大文字)(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000, PNAS, 97: 6640-6645に参照配列)
Ptrc07−serBR(配列番号02)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・遺伝子serBの領域の4622939〜4622879の配列と相同な領域(大文字)
・trcプロモーター配列に関する領域(斜体の大文字)
・カナマイシン耐性カセットの増幅に関する領域(太字の大文字)(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000, PNAS, 97: 6640-6645に参照配列)
これらのオリゴヌクレオチドPtrc07−serBF(配列番号01)およびPtrc07−serBR(配列番号02)を用いて、プラスミドpKD4からカナマイシン耐性カセットを増幅した。得られたPCR産物を、次に、エレクトロポレーションによってMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA(pKD46)株に導入した(ここで、発現されるRedリコンビナーゼ酵素が相同組換えを可能とする)。次に、カナマイシン耐性形質転換体を選択し、耐性カセットの挿入を、下記に定義されるオリゴヌクレオチドserBF(配列番号03)およびserBR(配列番号04)を用いたPCR分析により確認した。その後、選択された形質転換体をDNA配列決定法により確認した。保持した株をMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB::Kmと呼称した。
serBF(配列番号03)
Figure 0005944323
(遺伝子serBの領域の4622747〜4622765の配列と相同)
serBR(配列番号04)
Figure 0005944323
(遺伝子serBの領域の4623006〜4622988の配列と相同)
2.MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB株の構築
次に、カナマイシン耐性カセットを除去した。カナマイシン耐性カセットのFRT部位に作用するリコンビナーゼFLPを有するpCP20プラスミドを、エレクトロポレーションによって組換え株MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB::Kmに導入した。42℃での一連の培養の後、カナマイシン耐性カセットが存在しないことを、従前に用いたものと同じオリゴヌクレオチドserBF(配列番号03)/serBR(配列番号04)を用いたPCR分析により確認した。保持した株をMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serBと呼称した。
3.MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB(pCC1BAC−serA−serC)株の構築
pCC1BAC−serA−serCベクターの構築はWO2009043803に記載されている。
pCC1BAC−serA−serCベクターを、エレクトロポレーションによってMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB株に導入し、MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB(pCC1BAC−serA−serC)株を得た。
4.MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB(pCC1BAC−serA−serC)(pCL1920−TTadc−CI857−PλR (−35)−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11)株の構築
pCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11プラスミドは、プラスミドpCL1920(Lerner & Inouye, 1990, NAR 18, 15 p 4631)、pME101−thrA1−cysEおよびpFC1(Mermet-Bouvier & Chauvat, 1994, Current Microbiology, vol. 28, pp 145-148)に由来する。
pME101−thrA1−cysEの構築はWO2007077041に記載されている。
プラスミドpCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11の構築のため、TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE領域およびPgapA−metA11領域をそれぞれオーバーラッピングPCRによって得た後、一緒にpCL1920ベクターにクローニングした。
まず、TTadc−CI857−PλR(−35)領域を、下記のオリゴヌクレオチドApaI−TTadc−CI857−F−1(配列番号05)およびPλR−thrA−R−2(配列番号06)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/およびhttp://www.genome.jp/dbget-bin/www_bfind?C.acetobutylicum上に参照配列)を用いることにより、pFC1ベクターからPCR増幅した。次に、thrA1−cysE領域を、オリゴヌクレオチドPλR−thrA−F−3(配列番号07)およびcysE−R−4(配列番号08)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)を用いて、pME101−thrA1−cysEプラスミドからPCR増幅した。
オリゴヌクレオチドPλR−thrA−R−2(配列番号06)およびPλR−thrA−F−3(配列番号07)は双方とも32bpの長いオーバーラッピング配列を有するように設計された。このオーバーラッピング配列のために、第三の工程では、TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE領域は、TTadc−CI857−PλR(−35)のPCR産物とthrA1−cysEのPCR産物を混合することにより、オリゴヌクレオチドApaI−TTadc−CI857−F−1(配列番号05)およびcysE−R−4(配列番号08)を用いてPCR増幅した。次に、このPCR産物をpSCB(Stratagene)にクローニングし、得られたベクターを配列決定により確認し、pSCB−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysEと呼称した。
ApaI−TTadc−CI857−F−1(配列番号05)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(小文字)
・ApaI部位を担持する領域(下線の大文字)
・TTadc転写ターミネーター配列(pSLO1メガプラスミドの179847〜179807と相同な、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)由来adc遺伝子の転写ターミネーター)に関する領域(大文字)
・λバクテリオファージ由来cI857遺伝子の3’末端と相同な領域(太字の大文字)
PλR−thrA−R−2(配列番号06)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・thrA遺伝子の5’末端(1塩基(太字斜体の大文字)を除く337〜348)と相同な領域(太字の大文字)
(−35)型P(−35コンセンサスを得るために−35ボックスがTTGACTからTTGACAへ改変されている変異型)を得るための1塩基(斜体の大文字)を除き、λバクテリオファージPプロモーターと相同な領域(大文字)
・PλR−thrA−F−3オリゴヌクレオチドとのオーバーラッピング領域(下線の大文字)
PλR−thrA−F−3(配列番号07)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・λバクテリオファージPプロモーターと相同な領域(大文字)
・thrA遺伝子の5’末端(1塩基(太字斜体の大文字)を除く337〜377)と相同な領域(太字の大文字)
・PλR−thrA−R−2オリゴヌクレオチドとのオーバーラッピング領域(下線の大文字)
cysE−R−4(配列番号08)
Figure 0005944323
(pME101−thrA1−cysEプラスミドのcysE下流領と相同)
これらのthrA1遺伝子およびcysE遺伝子を低コピーベクターに導入するため、pSCB−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysEベクターをBsrBIおよびBamHIで制限酵素処理し、TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE断片をベクターpCL1920のSmaI/BamHI部位にクローニングし、ベクターpCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysEを得た。
次に、PgapA−metA11領域を、オーバーラッピングPCRによりMG1655 metA11株から増幅した。まず、PgapAプロモーターを、オリゴヌクレオチドSmaI−PgapA−F(配列番号09)およびPgapA−metA11−R(配列番号10)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)を用いてPCR増幅した。次に、metA11遺伝子を、オリゴヌクレオチドPgapA−metA11−F(配列番号11)およびBamHI−metA11−R(配列番号12)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)を用いてPCR増幅した。PgapA−metA11−R(配列番号10)およびPgapA−metA11−F(配列番号11)は双方とも、それらの全配列がオーバーラップするように設計された。この特殊性のため、第三の工程では、PgapA−metA11領域は、metA11のPCR産物とPgapAのPCR産物を混合することにより、オリゴヌクレオチドSmaI−PgapA−F(配列番号09)およびBamHI−metA11−R(配列番号12)を用いてPCR増幅した。このPCR産物をSmaIおよびBamHIで制限酵素処理した後、ベクターpCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysEの平滑末端BamHI部位にクローニングするために、消化断片を平滑末端化した。得られたベクターを配列決定により確認し、pCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11と呼称した。
SmaI−PgapA−F(配列番号09)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(小文字)
・SmaI部位を担持する領域(下線の大文字)
・大腸菌(Escherichia coli)のPgapAプロモーター配列の1860639〜1860661と相同な領域(大文字)
PgapA−metA11−R(配列番号10)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・metA遺伝子の4212335〜4212303と相同な領域(太字の大文字)
・PgapAプロモーター配列の1860794〜1860761と相同な領域(大文字)
PgapA−metA11−F(配列番号11)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・metA遺伝子の4212335〜4212303と相同な領域(太字の大文字)
・PgapAプロモーター配列の1860794〜1860761と相同な領域(大文字)
BamHI−metA11−R(配列番号12)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(小文字)
・BamHI部位を担持する領域(下線の大文字)
・EcoRI部位を担持する領域(斜体の大文字)
・metA遺伝子配列の4213248〜4213218と相同な領域(太字の大文字)
最後に、ベクターpCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11を、エレクトロポレーションによってMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB(pCC1BAC−serA−serC)株に導入し、MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB(pCC1BAC−serA−serC)(pCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11)株を得た。
5.温度依存的メチオニン生産の評価
株1:MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA Ptrc07−serB(pCC1BAC−serA−serC)(pCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11)
生産株を小エルレンマイヤーフラスコで評価した。5.5mLの前培養物を混合培地(2.5g/Lグルコースおよび90%最小培地PC1を含む10%LB培地(Sigma25%))中で、30℃で21時間増殖させた。これを用いて、培地PC1においてOD600が0.2となるよう50mL培養物に植菌を行った。培養温度は30℃または37℃のいずれかとした。培養物のOD600が5〜7に達した際に、細胞外アミノ酸を、OPA/Fmoc誘導体化後にHPLCにより定量し、他の関連の代謝産物は、屈折率測定検出を用いたHPLC(有機酸およびグルコース)およびシリル化後のGC−MSを用いて分析した。各条件につき3反復を行った。
表1:最小培地の組成(PC1)
Figure 0005944323
表2:種々の培養条件下で株1によりバッチ培養で生産されたメチオニン収率(Ymet)(メチオニンg/グルコースgの%)。メチオニン/グルコース収率の定義については下記を参照。SDは、数回の反復に基づいて計算された収率の標準偏差を示す(N=反復回数)。
Figure 0005944323
細胞外メチオニン濃度は、OPA/FMOC誘導体化後にHPLCにより定量した。残留グルコース濃度は屈折率測定検出を用いたHPLCを用いて分析した。メチオニン収率は次のように表した。
Figure 0005944323
表2に示されるように、培養プロセス中の遺伝子thrAおよびcysEの発現の温度誘導は、メチオニンの生産量を増大させる。培養プロセス中の構成的発現で得られるメチオニン収率は低い。
表3は、誘導時にHDHおよびSATの活性が高まることを示す。thrAおよびcysEの構成的発現は非誘導条件と誘導条件の間のレベルのHDHおよびSAT活性をもたらし、低いメチオニン収率のある部分を説明する。タンパク質の細胞因子が構成的発現時にこれらの活性に影響及ぼし、これらの活性を低下させる可能性が最も高い。結論として、これらの結果は、thrAおよびcysEの誘導がメチオニン収率の引き上げに真に有益であることを示す。
表3:ホモセリンデヒドロゲナーゼ(HDH)活性およびセリンアセチルトランスフェラーゼ(SAT)活性を上記培養において測定し、mUI/mg DWで示した。標準偏差は数回の独立した培養に基づいて計算した(N=反復回数)。
Figure 0005944323
in vitroにおいて酵素活性を測定するために、大腸菌株を上記のように最小培地で培養した。
SAT活性の測定は、WO2007077041に記載されている。
in vitroにおいてHDH活性を測定するために、大腸菌細胞を冷20mMリン酸カリウムバッファー(pH7.2)に再懸濁させ、氷上で音波処理を施した(Branson sonifier、70W)。遠心分離の後、上清に含まれるタンパク質を定量した(Bradford, 1976)。10μLの抽出液(1.5μg/mLタンパク質)を、100mM Tris−HCl pH9、150mM KCl、1mM NADPおよび25mM L−ホモセリン中、30℃で10分間アッセイした。L−ホモセリンの存在下でのNADPの減少を340nmにて30分間、分光光度の測定により追跡する。
実施例II:MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA DmalS::TTadc−CI857 −PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07::Km(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA 1−SMC−cysE−PgapA−metA 11−T7TΦ)株の構築
N−アセチルメチオニン蓄積が低減されたメチオニン生産株は、特許出願WO2007077041およびWO2009043803(引用することにより本明細書の一部とされる)に記載されている。
1.MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA 1−SMC−cysE−PgapA−metA 11−T7TΦ)株の構築
プラスミドpBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦは、プラスミドpBeloBAC11(New England BioLabs; Kim et al, 1996, Genomics, 34, 231-218)およびpCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11(上記)に由来する。
まず、thrA1−SMC−cysE領域(Multiple Clonage部位のためのSMC)を、下記のオリゴヌクレオチドSnaBI−thrA−SMC−cysE−F(配列番号13)およびcysE−R(配列番号14)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)を用いることにより、pCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11プラスミドからPCR増幅した。
SnaBI−thrA−SMC−cysE−F(配列番号13)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・thrA遺伝子の3’末端(2765〜2799)と相同であり(小文字)、SnaBI制限部位(斜体小文字)を担持する領域
・NheIおよびXhoI制限部位(斜体太字の文字)を担持するSMC領域に関する領域(太字の文字)
・cysE遺伝子の5’上流領域(3780796〜3780819)と相同な領域(大文字)
cysE−R(配列番号14)
Figure 0005944323
(cysE遺伝子の3780226〜3780243と相同)
PCR増幅した断片thrA1−SMC−cysEをSnaBIおよびStuIで制限酵素処理し、消化断片をプラスミドpCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−PgapA−metA11のSnaBI/StuI部位にクローニングした。得られたプラスミドを配列決定により確認し、pCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11と呼称した。
次に、PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ領域を、下記のオリゴヌクレオチドSfoI−PT7−RBST7−NdeI−thrA−F(配列番号15)およびmetA−T7TΦ−SfoI−R(配列番号16)(ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=genome&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=10461&window=7553&begin=21516上に参照配列)を用いることにより、pCL1920−TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE−SMC−PgapA−metA11プラスミドからPCR増幅した。このPCR産物をpSCBベクター(Stratagene)にクローニングした。得られたベクターを配列決定により確認し、pSCB−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦと呼称した。このPT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ領域をシングルコピーベクターpBeloBAC11に導入し、pSCB−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦをSfoIにより制限酵素処理し、PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ断片をベクターpBeloBAC11の平滑末端化NotI部位にクローニングし、プラスミドpBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦを得た。
SfoI−PT7−RBST7−NdeI−thrA−F(配列番号15)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・SfoI制限部位を担持する領域(斜体の大文字)
・T7バクテリオファージのT7p45(10A)遺伝子のプロモーター領域(22858〜22967)と相同な領域(小文字)
・thrA遺伝子(1塩基(太字下線の大文字)を除く337〜359)と相同な領域(太字の大文字)
metA−T7TΦ−SfoI−R(配列番号16)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・SfoI制限部位を担持する領域(斜体の大文字)
・T7バクテリオファージのT7p45(10A)遺伝子の転写ターミネーター領域(24111〜24218)と相同な領域(小文字)
・metA遺伝子(4213208〜4213232)と相同な領域(太字の大文字)
最後に、このプラスミドpBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦを、エレクトロポレーションによってMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA株に導入し、MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ)株を得た。
2.MG1655 metA 11 DmalS::TTadc−CI857 −PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07::Km(pKD46)株の構築
malS領域を欠失させてTTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07領域に置き換えるため、Datsenko & Wanner (2000)に記載されている相同組換え戦略を用いた。この戦略は、考慮する領域の大部分を欠失させるとともに、カナマイシン耐性カセットと付加的DNAを挿入することを可能とする。この目的で、下記のプラスミドpUC18−DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07::Kmを構築した。
このpUC18−DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07::KmプラスミドはプラスミドpUC18(Norrander et al., 1983, Gene 26,101-106)およびpUC18−DmalS::SMC::Km(上記)、pAR1219(Sigma)、ならびにpCR4BluntTOPO−TTadc−CI857−PλR(−35)−RBS01−SMC−TT07(Geneartにより合成、下記)に由来する。
2.1.プラスミドpUC18−DmalS::SMC::Kmの構築
プラスミドpUC18−DmalS::SMC::Kmの構築のために、malSの上流領域(upmalS)、多重クローニング部位(SMC)およびカナマイシンカセット(Km)をオーバーラッピングPCRによって得、malSの下流領域(downmalS)を増幅した後にクローニングした。
まず、upmalS領域を、下記のオリゴヌクレオチドHindIII−upmalS−F−1(配列番号17)およびupmalS−Km−R−2(配列番号18)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)を用いて、MG1655大腸菌ゲノムDNAからPCR増幅した。次に、Km−SMC領域を、オリゴヌクレオチドupmalS−Km−F−3(配列番号19)およびKm−SMC−R−4(配列番号20)を用いて、pKD4プラスミド(Datsenko & Wanner,2000)からPCR増幅した。オリゴヌクレオチドupmalS−Km−R−2(配列番号18)およびupmalS−Km−F−3(配列番号19)は双方とも45bpの長いオーバーラッピング配列を有するように設計された。このオーバーラッピング配列のために、第三の工程では、upmalS−Km−SMC領域は、upmalSのPCR産物とKm−SMCのPCR産物を混合することにより、オリゴヌクレオチドHindIII−upmalS−F−1(配列番号17)およびKm−SMC−R−4(配列番号20)を用いてPCR増幅した。その後、このPCR産物をpSCB(Stratagene)にクローニングし、得られたプラスミドを配列決定により確認し、pSCB−upmalS−Km−SMCと呼称した。
HindIII−upmalS−F−1(配列番号17)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(小文字)
・HindIII制限部位を担持する領域(斜体の大文字)
・malS遺伝子の上流領域(3734620〜3734641)と相同な領域(大文字)
upmalS−Km−R−2(配列番号18)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・カナマイシン耐性カセットの増幅に関する領域(小文字)(Datsenko & Wanner, 2000, PNAS, 97, 6640-6645に参照配列)
・malS遺伝子の上流領域(3735836〜3735860)と相同な領域(大文字)
upmalS−Km−F−3(配列番号19)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・malS遺伝子の上流領域(3735836〜3735860)と相同な領域(大文字)
・カナマイシン耐性カセットの増幅に関する領域(小文字)(Datsenko & Wanner, 2000, PNAS, 97, 6640-6645に参照配列)
Km−SMC−R−4(配列番号20)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(大文字)
・BamHI、XhoI、SacII、BstZ17I、ApaI制限部位を担持するSMCに関する領域(斜体の大文字)
・カナマイシン耐性カセットの増幅に関する領域(小文字)(Datsenko & Wanner, 2000, PNAS, 97, 6640-6645に参照配列)
次に、このpSCB−upmalS−Km−SMCプラスミドをBamHIおよびHindIIIで制限酵素処理し、upmalS−Km−SMC断片をベクターpUC18のBamHI/HindIII部位にクローニングし、ベクターpUC18−upmalS−Km−SMCを得た。
その後、downmalS領域を、下記のオリゴヌクレオチドdownmalS−F−1(配列番号21)およびdownmalS−R−2(配列番号22)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)を用い、MG1655大腸菌ゲノムDNAからPCR増幅した。その後、このPCR産物をpSCB(Stratagene)にクローニングし、得られたプラスミドを配列決定により確認し、pSCB−downmalSと呼称した。
downmalS−F−1(配列番号21)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(大文字)
・EcoRI制限部位を担持する領域(斜体の大文字)
・malS遺伝子の下流領域(3737020〜3737044)と相同な領域(小文字)
downmalS−R−2(配列番号22)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(大文字)
・EcoRI制限部位を担持する領域(斜体の大文字)
・malS遺伝子の下流領域(3738372〜3738398)と相同な領域(小文字)
次に、このpSCB−downmalSプラスミドをEcoRIにより制限酵素処理し、downmalS断片をベクターpUC18のEcoRI部位にクローニングし、ベクターpUC18−DmalS::SMC::Kmを得た。
2.2.プラスミドpUC18−DmalS::TTadc−CI857 −PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07::Kmの構築
プラスミドpUC18−DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07::Kmの構築のために、pCR4BluntTOPO−TTadc−CI857−PλR(−35)−RBS01−SMC−TT07(Geneartにより合成)中に存在するTTadc−CI857−PλR(−35)−RBS01−SMC−TT07領域(下記)をApaIおよびBamHIにより制限酵素処理し、断片をプラスミドpUC18−DmalS::SMC::KmのApaIおよびBamHI制限部位にサブクローニングし、プラスミドpUC18−DmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−RBS01−SMC−TT07::Kmを得た。次に、このPλR03−RBS01−T7RNApol−TT07領域を、下記のオリゴヌクレオチドAvrII−PλR03−RBS01−T7RNApol−F(配列番号24)およびT7RNApol−BstZ17I−TT07−BamHI−XhoI−R(配列番号25)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/およびhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=genome&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=10461&window=7553&begin=21516に参照配列)を用い、ベクターpAR1219(Sigma)から増幅した。次に、このPCR産物をAvrIIおよびBamHIにより制限酵素処理し、その断片を部分的にAvrIIおよびBamHIで制限酵素処理したpUC18−DmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−RBS01−SMC−TT07::Kmプラスミドにクローニングし、pUC18−DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Kmプラスミドを得、これをDNA配列決定法により確認した。
pCR4BluntTOPO−TTadc−CI857−PλR(−35)−RBS01−SMC−TT07(配列番号23)中に存在するTTadc−CI857−PλR(−35)−RBS01−SMC−TT07領域:
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・制限部位ApaI、PacI、AvrIIおよびBamHIを担持する領域(斜体の小文字)
・TTadc転写ターミネーター配列(pSLO1メガプラスミドの179847〜179807と相同な、クロストリジウム・アセトブチリクム由来adc遺伝子の転写ターミネーター)(TTadc)と相同な領域
・いくつかの制限部位を作出するまたは欠失させる目的でコドン使用変化(斜体の大文字)を担持するcI857遺伝子(CI857)と相同な領域(大文字)
(−35)型P(−35コンセンサスを得るために−35ボックスがTTGACTからTTGACAへ改変されている変異型)(PλR(−35))を得るための1塩基(斜体の大文字)を除き、λバクテリオファージPプロモーターと相同な領域(大文字)
・リボソーム結合部位(RBS01)に関する領域(下線太字の大文字)
・BstZ17I制限部位を担持する領域(SMC)(下線斜体の大文字)
・T7Te転写ターミネーター配列(Harrington et al., 2001, PNAS, 98(9), 5019-24)(TT07)に関する領域
AvrII−PλR03−RBS01−T7RNApol−F(配列番号24)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(小文字)
・AvrII制限部位を担持する領域(斜体の大文字)
・PλR03変異型Pプロモーターを得るための2塩基(斜体の太字の大文字)を除き、λバクテリオファージPプロモーターと相同な領域(太字の大文字)
・リボソーム結合部位(下線の大文字)
・バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼ遺伝子(T7p07遺伝子)の5’末端(3171〜3198)と相同な領域(太字の小文字)
T7RNApol−BstZ17I−TT07−BamHI−XhoI−R(配列番号25)
Figure 0005944323
この配列は以下の領域を有する。
・余分な塩基を含む領域(小文字)
・XhoIおよびBamHI制限部位を担持する領域(斜体の大文字)
・T7Te転写ターミネーター配列(Harrington et al., 2001, PNAS, 98(9), 5019-24)に関する領域(太字の大文字)
・BstZ17I制限部位を担持する領域(下線斜体の大文字)
・バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼ遺伝子(T7p07遺伝子)の3’末端(5801〜5822)と相同な領域(太字の小文字)
2.3.malS領域の、TTadc−CI857 −PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07領域による置換
最後に、malS領域を欠失させてTTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07領域に置き換えるために、pUC18−DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::KmプラスミドをScaIおよびEcoRVにより制限酵素処理し、DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km断片を、エレクトロポレーション(electroportation)によってMG1655 metA11(pKD46)株に導入した(ここで、発現されるRedリコンビナーゼ酵素が相同組換えを可能とする)。次に、このカナマイシン耐性形質転換体を選択し、DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km断片の挿入を、オリゴヌクレオチドmalS−F(配列番号26)、Km−R(配列番号27)、T7RNApol−F(配列番号28)およびmalS−R(配列番号29)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/およびhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=genome&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=10461&window=7553&begin=1#protmap;およびDatsenko & Wanner, 2000, PNAS, 97, 6640-6645に参照配列)を用いたPCR分析により確認した。この株をMG1655 metA11 DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Kmと呼称した。
malS−F(配列番号26):
Figure 0005944323
(malS領域の3734280〜3734299と相同)
Km−R(配列番号27):
Figure 0005944323
(pKD4ベクターのカナマイシン耐性カセットと相同)
T7RNApol−F(配列番号28):
Figure 0005944323
(バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼ遺伝子(T7p07遺伝子)の5274〜5293と相同)
malS−R(配列番号29):
Figure 0005944323
(malS領域の3738453〜3738471と相同)
3.MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA DmalS::TTadc−CI857 −PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07::Km(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA 1−SMC−cysE−PgapA−metA 11−T7TΦ)株の構築
MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ)株において、malS領域を欠失させてTTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNAPol−TT07領域に置換するために、DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km構築物を、P1ファージ形質導入(下記参照)によってMG1655 metA11 DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km株からMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ)株に移入した。カナマイシンおよびクロラムフェニコール耐性形質転換体を選択し、DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km領域の挿入を、従前に記載されているオリゴヌクレオチドmalS−F(配列番号26)、Km−R(配列番号27)、T7RNApol−F(配列番号28)およびmalS−R(配列番号29)を用いたPCR分析により確認した。保持した株をMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ)と呼称した。
P1ファージ溶解液(phage lysate P1)の調製:
・カナマイシン(50μg/mL)、グルコース(0.2%)およびCaCl(5mM)を添加した10mLのLBの、MG1655 metA11 DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Kmの一晩培養物100μlを植菌する。
・振盪しながら30℃で1時間インキュベートする。
・MG1655株で調製されたP1ファージ溶解液100μL(約1.10ファージ/mL)を添加する。
・総ての細胞が溶解するまで30℃で3時間振盪する。
・200μLのクロロホルムを加え、ボルテックスにかける。
・4500gで10分間遠心分離して細胞残渣を除去する。
・上清を滅菌試験管に移し、200μLのクロロホルムを加える。
・溶解液を4℃で保存する。
形質導入
・LB培地中のMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ)株の一晩培養物5mLを1500gで10分間遠心分離する。
・2.5mLの10mM MgSO、5mM CaClに細胞ペレットを懸濁させる。
・対照試験管:100μLの細胞
100μLのP1ファージMG1655 metA11 DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km株
・供試試験管:100μLの細胞+100μLのP1ファージMG1655 metA11 DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km株
・振盪せずに30℃で30分間インキュベートする。
・各試験管に100μLの1Mクエン酸ナトリウムを加え、ボルテックスにかける。
・1mLのLBを加える。
・振盪しながら30℃で1時間インキュベートする。
・試験管を7000rpmで3分間遠心分離した後、カナマイシン(50μg/mL)を添加したLBディッシュ上に拡げる。
・30℃で一晩インキュベートする。
4.温度依存的メチオニン生産の評
株2:MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF DmetJ DpykF DpykA DpurU DyncA DmalS::TTadc−CI857−PλR03−RBS01−T7RNApol−TT07::Km(pBeloBAC11−PT7−RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ)株
前培養条件および培養条件は上記の実施例1に記載されている。スペクチノマイシンの代わりにカナマイシンを用いた。培養温度は30℃または34℃のいずれかとした。
表4:30℃および34℃で株2によりバッチ培養にて生産されたメチオニン収率(Ymet)(メチオニンg/グルコースgの%)。メチオニン/グルコース収率の厳密な定義については上記を参照。SDは、数回の反復に基づいて計算された収率の標準偏差を示す。
Figure 0005944323
thrAおよびcysEの誘導はメチオニンの生産量を高める。これはHDHおよびSATの2つの活性の分析により確認される。両活性とも34℃に変更した際に増強される。
表5:ホモセリンデヒドロゲナーゼ(HDH、thrA1)活性およびセリンアセチルトランスフェラーゼ(SAT、cysE)活性を上記培養において測定し、mUI/mgタンパク質で表した。標準偏差は数回の独立した培養に基づいて計算した(N=反復回数)。
Figure 0005944323
実施例III:下記の実施例IVおよびVで試験する温度誘導性株の構築
1.プロトコール
いくつかのプロトコールを用いてメチオニン生産株を構築したが、これらを下記の実施例に記載する。
プロトコール1:相同組換えによる染色体改変および組換え体の選択(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000)
特定の染色体遺伝子座における対立遺伝子置換または遺伝子破壊は、Datsenko. & Wanner (2000)により記載されているように相同組換えによって行った。Flp認識部位が隣接したクロラムフェニコール(Cm)耐性cat遺伝子、カナマイシン(Km)耐性kan遺伝子、ゲンタマイシン(Gt)耐性gm遺伝子またはテトラサイクリン(Tc)耐性tet遺伝子を、PCRにより、鋳型としてそれぞれpKD3またはpKD4、p34S−Gm(Dennis et Zyltra, AEM july 1998, p 2710-2715)またはpLOI2065(Underwood et al., Appl Environ Microbiol. 2002 December; 68(12): 6263-6272)プラスミドを用いることで増幅した。得られたPCR産物を用いて、λRed(γ、β、exo)リコンビナーゼを発現するプラスミドpKD46を担持するレシピエント大腸菌株を形質転換した。次に、抗生物質耐性形質転換体を選択し、突然変異遺伝子座の染色体構造を、表2に一覧化されている適当なプライマーを用いたPCR分析により確認した。
これらのcat、kan、gmおよびtc耐性遺伝子は、pCP20プラスミドを担持するクローンをLB上、37℃で培養した後、30℃で抗生物質耐性の欠如を調べたこと以外は、Datsenko. & Wanner (2000)に記載されているように、プラスミドpCP20を用いることにより除去した。次に、抗生物質感受性クローンを、表2に一覧化されているプライマーを用いたPCRにより確認した。
プロトコール2:P1ファージの形質導入
染色体改変をP1形質導入により、所与の大腸菌レシピエント株に移入した。このプロトコールは、(i)耐性関連の染色体改変を含むドナー株のファージ溶解液の調製と、(ii)このファージ溶解液によるレシピエント株の感染、の2工程から構成される。
ファージ溶解液の調製
・10mlのLB+Cm 30μg/mlまたはKm 50μg/mlまたはGt 10μg/mLまたはTet 10μg/mL+グルコース0.2%+CaCl 5mM中、目的の染色体改変を有するMG1655株の一晩培養物100μlを植菌する。
・振盪しながら37℃で30分間インキュベートする。
・ドナーMG1655株で調製されたP1ファージ溶解液100μl(約1×10ファージ/mL)を添加する。
・37℃で3時間、細胞が完全に溶解するまで振盪する。
・200μLのクロロホルムを加え、ボルテックスにかける。
・4500gで10分間遠心分離して細胞残渣を除去する。
・上清を滅菌試験管に移す。
・溶解液を4℃で保存する。
形質導入
・LB培地中で培養した大腸菌レシピエント株の一晩培養物5mlを1500gで10分間遠心分離する。
・2.5mlのMgSO 10mM、CaCl 5mMに細胞ペレットを懸濁させる。
・100mlの細胞に、染色体に改変を伴うMG1655株のP1ファージ100μl(供試試験管)および対照試験管としてP1ファージを含まない100μl細胞および細胞を含まない100μlのP1ファージを感染させる。
・振盪せずに30℃で30分間インキュベートする。
・各試験管に100μLの1Mクエン酸ナトリウムを加え、ボルテックスにかける。
・1mLのLBを加える。
・振盪しながら37℃で1時間インキュベートする。
・7000rpmで3分間遠心分離する。
・LB+Cm 30μg/mlまたはKm 50μg/mlまたはGt 10μg/mLまたはTet 10μg/mLに播種する。
・37℃で一晩インキュベートする。
その後、抗生物質耐性形質導入体を選択し、突然変異遺伝子座の染色体構造を、表2に一覧化されている適当なプライマーを用いたPCR分析により確認した。
表6:以下の実施例に見られる中間株および生産株の遺伝子型および対応番号の一覧
Figure 0005944323
1.株3:MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR (−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11の構築
メチオニン生産株3(表6)は特許出願EP10306164.4およびUS61/406249に記載されている。これらの出願は引用することにより本願の一部とされる。
2.株4:MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR (−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11::Cmの構築
特許出願EP10306164.4およびUS61/406249に記載されているΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cm染色体改変を、プロトコール2に従い、特許出願EP10306164.4およびUS61/406249に記載されているMG1655 metA11 pKD46 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cm株からのP1ファージ溶解液を用いて株3(表6)に形質導入した。
クロラムフェニコール耐性形質導入体を選択し、ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cm染色体改変の存在を、Ome1707−DwcaM_verif_F(配列番号30)およびOme1708−DwcaM_verif_R(配列番号31)(表7)を用いたPCRにより確認した。得られたMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cm株を株4(表1)と呼称した。
3.株5:MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR (−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11::Cm ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11::Tcの構築
3.1.プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcの構築
プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcは、上記のプラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::TcおよびpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔyjbI::TT02−SMC、下記のpMA−RQ−TTadc−CI0−PλR(−35)−RBS012、およびpLOI2065(Underwood et al., Appl Environ Microbiol. 2002 December; 68(12): 6263-6272)に由来する。
3.1.1.pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcの構築
プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcは、上記のpMA−RQ−TTadc−CI0−PλR(−35)−RBS012、pLOI2065(Underwood et al., Appl Environ Microbiol. 2002 December; 68(12): 6263-6272)、および特許出願EP10306164.4およびUS61/406249に記載されているpUC18−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cmに由来する。
プラスミドpMA−RQ−TTadc−CI 0−PλR (−35)−RBS01 2の構築
pMA−RQ−TTadc−CI0−PλR(−35)−RBS012は、GeneArt(http://www.geneart.com/)により合成されたプラスミドpMA−RQ−TTadc−CI1−PλR(−35)−RBS012およびpMA−RQ−TTadc−CI3−PλR(−35)−RBS012に由来する。TTadc−CI1−PλR(−35)−RBS012断片およびTTadc−CI3−PλR(−35)−RBS012断片をGeneArtからのプラスミドpMA−RQのSfiI部位にクローニングした。これらは下記の配列を含む。
pMA−RQ−TTadc−CI1−PλR(−35)−RBS012(配列番号32)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の小文字は、SfiIおよびAscI制限部位に相当する。
・太字の小文字は、逆配向のRBS012配列(TAAGGAGGTTATAA)およびPsiI制限部位に相当する。
・斜体の大文字は、λバクテリオファージPプロモーター(PλR(−35)(Mermet-Bouvier & Chauvat, 1994, Current Microbiology, vol. 28, pp 145-148))と相同である。
・大文字は、ヌクレオチドT67がC67に変化して1アミノ酸変異Tyr23Hisを生じている(Mermet-Bouvier & Chauvat, 1994, Current Microbiology, vol. 28, pp 145-148)、λバクテリオファージのレプレッサータンパク質cIの配列に相当する。この配列をcI1と呼称した。
・太字の大文字は、逆配向のTTadc転写ターミネーター配列(pSLO1メガプラスミドの179847〜179807と相同なクロストリジウム・アセトブチリクム由来adc遺伝子の転写ターミネーター)と相同である。
・下線の大文字は、ApaI、PacIおよびSfiIに相当する。
pMA−RQ−TTadc−CI3−PλR(−35)−RBS012(配列番号33)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の小文字は、SfiIおよびAscI制限部位に相当する。
・太字の小文字は、逆配向のRBS012配列(TAAGGAGGTTATAA)およびPsiI制限部位に相当する。
・斜体の大文字は、λバクテリオファージPプロモーター(PλR(−35)、(Mermet-Bouvier & Chauvat, 1994, Current Microbiology, vol. 28, pp 145-148))と相同である。
・大文字は、ヌクレオチド196−CTTGCG−201が196−GCGACA−201に変化して2アミノ酸変異Leu66AlaおよびAla67Thrを生じている(Mermet-Bouvier & Chauvat, 1994, Current Microbiology, vol. 28, pp 145-148)、λバクテリオファージのレプレッサータンパク質cIの配列に相当する。この配列をcI3と呼称した。
・太字の大文字は、逆配向のTTadc転写ターミネーター配列(pSLO1メガプラスミドの179847〜179807と相同なクロストリジウム・アセトブチリクム由来adc遺伝子の転写ターミネーター)と相同である。
・下線の大文字は、ApaI、PacIおよびSfiIに相当する。
pMA−RQ−TTadc−CI0−PλR(−35)−RBS012を構築するために、上記のpMA−RQ−TTadc−CI3−PλR(−35)−RBS012から精製したXmnI/NsiI断片NsiI−CI3−PλR(−35)−RBS012−XmnIを、上記のプラスミドpMA−RQ−TTadc−CI1−PλR(−35)−RBS012のXmnI部位とNsiI部位の間にクローニングし、cIタンパク質レプレッサーの野生型対立遺伝子を作出した。得られたプラスミドをDNA配列決定法により確認し、pMA−RQ−TTadc−CI0−PλR(−35)−RBS012と呼称した。
プラスミドpUC18−TTadc−CI 0−PλR (−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11::Cmの構築
pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cmプラスミドは、特許出願EP10306164.4およびUS61/406249に記載されているpUC18−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cm、および上記のpMA−RQ−TTadc−CI0−PλR(−35)−RBS012に由来する。
pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cmを構築するために、大腸菌DNAポリメラーゼIのラージ(クレノウ)断片により処理し、pMA−RQ−TTadc−CI0−PλR(−35)−RBS012から精製したApaII/PsiI断片TTadc−CI0−PλR(−35)を、プラスミドpUC18−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::CmのSfoI部位間にクローニングした。得られたプラスミドを制限酵素処理により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cmと呼称した。
最後に、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcを構築するために、FRT−Tc−FRT耐性カセットを、鋳型としてpLOI2065を用い、プライマーOme 1836−HindIII−K7−FRT−Tc−F(配列番号34)およびOme 1837−SmaI−BstZ17I−K7−FRT−Tc−R(配列番号35)を用いたPCRにより増幅した。
Ome1836−HindIII−K7−FRT−Tc−F(配列番号34)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字は、HindIII制限部位および余分な塩基に相当する。
・太字の大文字の配列は、プラスミドpKD4のFRT配列(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000, PNAS, 97: 6640-6645)に相当する。
・大文字の配列は、pLOI2065に位置するテトラサイクリン耐性遺伝子の配列(Underwood et al., Appl Environ Microbiol. 2002 December; 68(12): 6263-6272)と相同である。
Ome1837−SmaI−BstZ17I−K7−FRT−Tc−R(配列番号35)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字は、SmaIおよびBstZ17I制限部位および余分な塩基に相当する。
・太字の大文字の配列は、プラスミドpKD4のFRT配列(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000, PNAS, 97: 6640-6645)に相当する。
・大文字の配列は、pLOI2065に位置するテトラサイクリン耐性遺伝子の配列(Underwood et al., Appl Environ Microbiol. 2002 December; 68(12): 6263-6272)と相同である。
このFRT−Tc−FRT PCR産物をBstZ17IおよびHindIIIで消化し、大腸菌DNAポリメラーゼIのラージ(クレノウ)断片により処理した。次に、得られた断片を、大腸菌DNAポリメラーゼIのラージ(クレノウ)断片により処理したBstZ17IおよびPacIの間にクローニングした。選択されたプラスミドはpUC18プラスミドのamp耐性カセットと同配向でtc耐性カセットを有し、これをDNA配列決定法により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS012−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcと呼称した。
3.1.2.プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔyjbI::TT02−SMCの構築
ΔyjbI::TT02−MCS断片を構築するために、yjbIの上流領域(upyjbI)、TT02転写ターミネーター、多重クローニング部位(MCS)およびyjbIの下流領域(downyjbI)の間でオーバーラッピングPCRを行った。
まず、断片upyjbI−TT02−MCSを、プライマーOme 1852−SfoI−KpnI−DyjbI amont−F(配列番号36)およびOme 1853−SMC−TT02−DyjbI amont−R(配列番号37)を用い、PCRにより、大腸菌MG1655ゲノムDNAから増幅した。次に、TT02−MCS−downyjbI断片を、プライマーOme 1854−TT02−SMC−DyjbI aval−F(配列番号38)およびOme 1855−SfoI−KpnI−DyjbI aval−R(配列番号39)を用い、PCRにより、大腸菌MG1655ゲノムDNAから増幅した。プライマーOme 1853−SMC−TT02−DyjbI amont−R(配列番号37)およびOme 1854−TT02−SMC−DyjbI aval−F(配列番号38)は、36ヌクレオチド長の領域がオーバーラップするように設計されていた。最後に、upyjbI−TT02−MCS−downyjbI断片を、upyjbI−TT02−MCSアンプリコンとTT02−MCS−downyjbIアンプリコンを混合することにより、プライマーOme 1852−SfoI−KpnI−DyjbI amont−F(配列番号36)およびOme 1855−SfoI−KpnI−DyjbI aval−R(配列番号39)を用いて増幅した。得られた融合PCR産物をSfoIで消化し、大腸菌DNAポリメラーゼIのラージ(クレノウ)断片により処理した上記のプラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::CmのEcoRI部位間にクローニングした。得られたプラスミドをDNA配列決定法により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔyjbI::TT02−MCSと呼称した。
Ome 1852−SfoI−KpnI−DyjbI amont−F(配列番号36)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字は、SfoIおよびKpnI制限部位および余分な塩基に相当する。
・大文字の配列は、yjbI遺伝子の上流配列(4247987〜4248009、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome 1853−SMC−TT02−DyjbI amont−R(配列番号37)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字の配列は、BstZ17I制限部位および多重クローニング部位の開始部に関するものである。
・大文字の配列は、大腸菌rrnBの転写ターミネーターT(Orosz A, Boros I and Venetianer P. Eur. J. Biochem. 1991 Nov 1;201(3):653-9)に相当する。
・太字の大文字の配列は、yjbI遺伝子の下流配列(4248931〜4248980、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome 1854−TT02−SMC−DyjbI aval−F(配列番号38)
Figure 0005944323
この配列において
・大文字の配列は、大腸菌rrnBの転写ターミネーターT1(Orosz A, Boros I and Venetianer P. Eur. J. Biochem. 1991 Nov 1;201(3):653-9)に相当する。
・太字の大文字の配列は、多重クローニング部位:BstZ17I、HindIII、AvrII、ApaI、PacIを含む。
・下線の大文字の配列は、yjbI遺伝子の下流配列(4250286〜4250335、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome 1855−SfoI−KpnI−DyjbI aval−R(配列番号39)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字は、SfoIおよびKpnI制限部位および余分な塩基に相当する。
・大文字の配列は、yjbI遺伝子の上流配列(4251224〜4251249http://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
3.1.3.プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−DyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcの構築
pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−DyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcを構築するために、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcから精製したBstZ17I/SmaI断片PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcを、大腸菌DNAポリメラーゼIのラージ(クレノウ)断片により処理したプラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔyjbI::TT02−SMCのPacI/BstZ17I部位間にクローニングした。選択されたプラスミドはpUC18プラスミドのamp耐性カセットと同配向でtc耐性カセットを有し、これをDNA配列決定法により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−DyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcと呼称した。
3.2.MG1655 metA11 DyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc pKD46株の構築
yjbI遺伝子をTT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc領域で置換するために、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−DyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::TcをAhdIおよびKpnI制限酵素で消化し、残存する消化断片ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcを、プロトコール1に従い、MG1655 metA11 pKD46株に導入した。
テトラサイクリン耐性組換え体を選択し、ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc染色体改変の存在を、プライマーOme1856−DyjbI−verif1−F(配列番号40)、Ome1857−DyjbI−verif2−R(配列番号41)、Ome 1838−K7−FRT−Tc−seq−F(配列番号42)、およびOme1815−metA11−seq−F(配列番号43)(表7)を用いたPCRにより、また、DNA配列決定法により確認した。確認済みの選択株をMG1655 metA11 ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc(pKD46)と呼称した。
3.3.ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tcの株4への形質導入
ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc染色体改変を、プロトコール2に従い、上記のMG1655 metA11 pKD46 ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc株からのP1ファージ溶解液を用い、上記の株4(表6)に形質導入した。
テトラサイクリン耐性形質導入体を選択し、ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc染色体改変の存在を、Ome1856−DyjbI−verif1−F(配列番号40)、Ome1857−DyjbI−verif2−R(配列番号41)、Ome 1838−K7−FRT−Tc−seq−F(配列番号42)、およびOme1815−metA11−seq−F(配列番号43)(表2)を用いたPCRにより確認した。得られたMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cm DyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc株を株5(表6)と呼称した。
4.株6:MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR (−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11::Cm ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11::Tc ΔmelB::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11::Gtの構築
4.1.プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtの構築
プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtは、下記のpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::GtおよびpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−MCS::Gtに由来する。
4.1.1.プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtの構築
プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtは、上記のpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−SMC::GtおよびpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cmに由来する。
pMA−ΔCP4−6::TT02−MCS::Gtの構築
プラスミドpMA−ΔCP4−6::TT02−MCS::Gtを構築するために、FRT−Gt−FRT耐性カセットを、鋳型としてp34S−Gmを用い、プライマーBstZ17I−FRT−Gt−F(配列番号44)およびHindIII−FRT−Gt−R(配列番号45)を用いたPCRにより増幅した。
BstZ17I−FRT−Gt−F(配列番号45)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字の配列は、SmaIおよびBstZ17I制限部位および余分な塩基に関するものである。
・太字の大文字の配列は、FRT配列(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000, PNAS, 97: 6640-6645)に相当する。
・大文字の配列は、p34S−Gmに位置するゲンタマイシン遺伝子の配列(Dennis et Zyltra, AEM July 1998, p 2710-2715)と相同である。
HindIII−FRT−Gt−R(配列番号45)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字の配列は、HindIII制限部位および余分な塩基に関するものである。
・太字の大文字の配列は、FRT配列(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000, PNAS, 97: 6640-6645)に相当する。
・大文字の配列は、p34S−Gmに位置するゲンタマイシン遺伝子の配列(Dennis et Zyltra, AEM July 1998, p 2710-2715)と相同である。
このFRT−Gt−FRT PCR産物をBstZ17IおよびHindIIIで消化し、特許出願EP10306164.4およびUS61/406249に記載されているpMA−ΔCP4−6::TT02−MCSのBstZ17I部位とHindIII部位の間にクローニングした。得られたプラスミドをDNA配列決定法により確認し、pMA−ΔCP4−6::TT02−MCS−Gtと呼称した。
pUC18−TTadc−CI 0−Pλ (−35)−ΔCP4−6::TT02−SMC::Gtの構築
pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−SMC::Gtを構築するために、上記のpMA−ΔCP4−6::TT02−MCS::Gtから精製したStuI/BsrBI断片ΔCP4−6::TT02−SMC::Gtを、大腸菌DNAポリメラーゼIのラージ(クレノウ)断片により処理したプラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::CmのEcoRI部位間にクローニングした。得られたプラスミドを配列決定により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−SMC::Gtと呼称した。
最終的なプラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtを構築するために、上記のpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cmから精製したApaI/BamHI断片TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11を、プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−SMC::GtのApaI/BamHI部位間にクローニングした。得られたプラスミドを配列決定により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtと呼称した。
4.1.2.プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−SMCの構築
ΔmelB::TT02−MCS断片を構築するために、melBの上流領域(upmelB)、TT02転写ターミネーター、多重クローニング部位(MCS)およびmelBの下流領域(downmelB)の間でオーバーラッピングPCRを行った。
まず、断片upmelB−TT02−MCSを、プライマーOme 1841−SfoI−KpnI−DmelB amont−F(配列番号46)およびOme 1842−SMC−TT02−DmelB amont−R(配列番号47)を用い、PCRにより、大腸菌MG1655ゲノムDNAから増幅した。次に、TT02−MCS−downmelB断片を、プライマーOme 1843−TT02−SMC−DmelB aval−F(配列番号48)およびOme 1844−SfoI−KpnI−DmelB aval−R(配列番号49)を用い、PCRにより、大腸菌MG1655ゲノムDNAから増幅した。プライマーOme 1842−SMC−TT02−DmelB amont−R(配列番号47)およびOme 1843−TT02−SMC−DmelB aval−F(配列番号48)は、36ヌクレオチド長の領域がオーバーラップするように設計された。最後に、upmelB−TT02−MCS−downmelB断片を、upmelB−TT02−MCSアンプリコンとTT02−MCS−downmelBアンプリコンを混合することにより、プライマーOme 1841−SfoI−KpnI−DmelB amont−F(配列番号46)およびOme 1844−SfoI−KpnI−DmelB aval−R(配列番号49)を用いて増幅した。得られた融合PCR産物をSfoIで消化し、大腸菌DNAポリメラーゼIのラージ(クレノウ)断片により処理した上記のプラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::CmのEcoRI部位間にクローニングした。得られたプラスミドをDNA配列決定法により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−MCSと呼称した。
Ome 1841−SfoI−KpnI−DmelB amont−F(配列番号46)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字は、SfoIおよびKpnI制限部位および余分な塩基に相当する。
・大文字の配列は、melB遺伝子の上流配列(4340489〜4340513、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome 1842(SMC−TT02−DmelB amont−R)(配列番号47)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字の配列は、BstZ17I制限部位および多重クローニング部位の開始部に関するものである。
・大文字の配列は、大腸菌rrnBの転写ターミネーターT1(Orosz A, Boros I and Venetianer P. Eur. J. Biochem. 1991 Nov 1;201(3):653-9)に相当する。
・太字の大文字の配列は、melB遺伝子の下流配列(4341377〜4341406、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome 1843(TT02−SMC−DmelB aval−F)(配列番号48)
Figure 0005944323
この配列において
・大文字の配列は、大腸菌rrnBの転写ターミネーターT1(Orosz A, Boros I and Venetianer P. Eur. J. Biochem. 1991 Nov 1;201(3):653-9)に相当する。
・太字の大文字の配列は、多重クローニング部位:BstZ17I、HindIII、AvrII、ApaI、BamHIを含む。
・下線の大文字の配列は、melB遺伝子の下流配列(4342793〜4342818、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome 1844(SfoI−KpnI−DmelB aval−R)(配列番号49)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字は、SfoIおよびKpnI制限部位および余分な塩基に相当する。
・大文字の配列は、melB遺伝子の上流配列(4343694〜4343719、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
4.1.3.プラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtの構築
pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtを構築するために、上記のpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtから精製したBstZ17I/BamHI断片PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtを、上記のプラスミドpUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−SMCのBstZ17I/BamHI部位間にクローニングした。得られたプラスミドを配列決定により確認し、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−DmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtと呼称した。
4.2.MG1655 metA11 DmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt pKD46株の構築
melB遺伝子をTT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt領域で置換するために、pUC18−TTadc−CI0−PλR(−35)−ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11:GtをAhdIおよびSphI制限酵素で消化し、残存する消化断片ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtを、プロトコール1に従ってMG1655 metA11 pKD46株に導入した。
ゲンタマイシン耐性組換え体を選択し、ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt染色体改変の存在を、プライマーOme 1845−DmelB−verif1−F(配列番号50)およびOme 1846−DmelB−verif2−R(配列番号51)(表7)を用いたPCRにより、また、DNA配列決定法により確認した。確認済みの選択株をMG1655 metA11 ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt(pKD46)と呼称した。
4.3.ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gtの、株5への形質導入
ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt染色体改変を、プロトコール2に従い、上記のMG1655 metA11 pKD46 ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt株からのP1ファージ溶解液を用い、上記の株5(表6)に形質導入した。
ゲンタマイシン耐性形質導入体を選択し、ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt染色体改変の存在を、Ome 1845−DmelB−verif1−F(配列番号50)およびOme 1846−DmelB−verif2−R(配列番号51)(表7)を用いたPCRにより確認した。得られたMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Cm ΔyjbI::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Tc ΔmelB::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapA−metA11::Gt株を株6と呼称した。
5.株8:MG1655 metA 11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF ΔmetJ ΔpykF ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR (−35)−thrA 1−cysE pBeloBAC11−PL1 1/RBS01 2−thrA 1−SMC−cysE−PgapA−metA 11−T7TΦの構築
5.1.MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF ΔmetJ ΔpykF ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE株の構築
特許出願WO2007/077041およびWO2009/043803に記載されているプロモーター染色体改変Ptrc−metH、PtrcF−cysPUWAM、PtrcF−cysJIH、Ptrc09−gcvTHPおよびPtrc36−ARNmst17−metF、ならびに特許出願WO2007/077041、WO2009/043803およびWO2005/111202に記載されている ΔmetJ、ΔpykF、ΔpurUおよびΔyncA遺伝子欠失を、プロトコール2に従い、WO2005/111202に記載されているように、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減されたホモセリンスクシニルトランスフェラーゼをコードするmetA11対立遺伝子を含む株に形質導入した。
株の構築中に各染色体改変または欠失に関連する耐性カセットはプロトコール1に従って除去されていた。
このΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE::Km染色体改変を、プロトコール2に従い、特許出願EP10306164.4およびUS61/406249に記載されているMG1655 metA11 pKD46 ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE::Km株からのP1ファージ溶解液を用いて、MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF ΔmetJ ΔpykF ΔpurU ΔyncA株に形質導入した。
カナマイシン耐性形質導入体を選択し、ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE::Km染色体改変の存在を、プライマーOme 0826−malS−F(配列番号52)およびOme 0827−malS−R(配列番号53)(表7)を用いたPCRにより確認した。得られた株は遺伝子型MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF ΔmetJ ΔpykF ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE::Kmを有する。
最後に、上記の株のカナマイシン耐性をプロトコール1に従って除去した。カナマイシン耐性カセットの欠如は、プライマーOme 0826−malS−F(配列番号52)およびOme 0827−malS−R(配列番号53)を用いることにより、PCRによって確認した。得られたMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF ΔmetJ ΔpykF ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE株を株7と呼称した。
5.1.1.MG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF ΔmetJ ΔpykF ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE pBeloBAC11−PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦ株の構築
pBeloBAC11−PL1 1/RBS01 2−thrA 1−SMC−cysE−PgapA−metA 11−T7TΦプラスミドの構築
プラスミドpBeloBAC11−PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦプラスミドは、本特許出願の実施例2に記載されているプラスミドpBeloBAC11−PT7/RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦに由来する。
プラスミドpBeloBAC11−PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦを構築するために、プラスミドpBeloBAC11−PT7/RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦを、プライマーOme 2012−SfoI−HpaI−AvrII−PL11/RBS012−thrA1−F(配列番号54)およびOme 0625−Ptrc−cysErec(配列番号55)を用いて増幅した。HpaI/NheIで消化したPL11/RBS012−thrA1断片を、本特許出願の実施例2に記載されているプラスミドpBeloBAC11−PT7/RBST7−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦのHpaI部位とNheI部位の間にクローニングした。得られたプラスミドをDNA配列決定法により確認し、pBeloBAC11−PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦと呼称した。
Ome 2012 SfoI−HpaI−AvrII−PL11/RBS012−thrA1−F(配列番号54)
Figure 0005944323
この配列において
・下線の大文字は、SfoI、HpaIおよびAvrII制限部位および余分な塩基に相当する。
・太字の大文字の配列は、λバクテリオファージPプロモーター(PL1 Giladi et al, FEMS Microbiol Rev. 1995 Aug;17(1-2):135-40)の短鎖型に相当し、−10ボックスにおける突然変異(Kincade & deHaseth, Gene. 1991 Jan 2;97(1):7-12に記載されているG−12T)を担持する。このプロモーターはPL11と呼ばれる。
・小文字:5つの塩基がPL11の転写開始部位とリボソーム結合部位RBS012の間に挿入されている。
・斜体の大文字は、RBS012配列に相当する。
・下線の大文字の配列は、thrA1遺伝子(337〜354、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome 0625 Ptrc−cysErec(配列番号55)
cysE遺伝子(3780360〜3780378、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な
Figure 0005944323
上記のpBeloBAC11−PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦをエレクトロポレーションによって株7(表6)に導入した。プラスミドpBeloBAC11−PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−T7TΦの存在を確認し、得られたMG1655 metA11 Ptrc−metH PtrcF−cysPUWAM PtrcF−cysJIH Ptrc09−gcvTHP Ptrc36−ARNmst17−metF ΔmetJ ΔpykF ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadc−CI857−PλR(−35)−thrA1−cysE pBeloBAC11−PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysE−PgapA−metA11−TT01株を株8と呼称した。
表7:上記の染色体改変のPCR確認のために用いたプライマー
Figure 0005944323
実施例IV:株3、4、5および6の温度依存的メチオニン生産の評価
生産株を小エルレンマイヤーフラスコで評価した。5.5mLの前培養物を混合培地(2.5g/Lグルコースおよび90%最小培地PC1を含む10%LB培地(Sigma25%))中で21時間増殖させた。これを用いて、培地PC1においてOD600が0.2となるよう50mL培養物に植菌を行った。必要であれば、ゲンタマイシンを10mg/L濃度、クロラムフェニコールを30mg/L濃度およびテトラサイクリンを5mg/L濃度で加えた。培養物のOD600が5〜7に達した際に、細胞外アミノ酸を、OPA/Fmoc誘導体化後にHPLCにより定量し、他の関連の代謝産物は、屈折率測定検出を用いたHPLC(有機酸およびグルコース)およびシリル化後のGC−MSを用いて分析した。
培養条件および前培養条件を下表に示す。前培養物は30℃または37℃のいずれかで増殖させた。培養物は30℃もしくは37℃、または37℃で2時間、その後、42℃で2時間、最後に37℃で残りの培養時間増殖させた。
表8:最小培地組成(PC1)
Figure 0005944323
表9:株3によりバッチ培養で生産されたメチオニン収率(Ymet)(メチオニンg/グルコースgの%)。メチオニン/グルコース収率の厳密な定義については下記を参照。SDは、数回の反復に基づいて計算された収率の標準偏差を示す(n=反復回数)。種々の培養条件を調べた。それらを表に示す。PCは前培養を、Cは培養を意味する。
Figure 0005944323
表9に示されるように、培養プロセス中の遺伝子thrA1およびcysEの発現の温度誘導は、メチオニンの生産量を増大させる。培養プロセス中の構成的発現で得られるメチオニン収率は低い。
最適なメチオニン生産のための最良の培養条件は、前培養物が30℃、その後の培養は37℃(2時間)、42℃(2時間)、37℃である。このような条件では、株3は9.2%の収率でメチオニンを生産した。
表10:株4、5および6によりバッチ培養で生産されたメチオニン収率(Ymet)(メチオニンg/グルコースgの%)。メチオニン/グルコース収率の厳密な定義については下記を参照。SDは、数回の反復に基づいて計算された収率の標準偏差を示す(n=反復回数)。前培養物は30℃で、培養物は37℃で2時間、42℃で2時間、および培養終了まで37℃で培養した。
Figure 0005944323
株4、5および6を総て、最適なメチオニン生産のための条件で培養した。表10に示されるように、培養プロセス中の遺伝子thrA1およびcysEの発現の温度誘導は、その生産を誘導プロモーターにより制御される遺伝子のコピー数に比例して増大させる。実際に、Pλプロモーターの制御下に7コピーのthrA1を有する株6(表6参照)は、株5(6コピーのthR1)および株4(5コピー)よりも高い収率でメチオニンを生産した。
正確にいうと、株5および6は37℃の一定温度では増殖できないことに注目すべきである。結論として、これらの結果は、温度誘導が生産により良いだけでなく、このような場合に不可欠であることを示す。
細胞外メチオニン濃度を、OPA/FMOC誘導体化後、HPLCにより定量した。残留グルコース濃度は、屈折率測定検出によるHPLCを用いて分析した。メチオニン収率は次のように表した。
Figure 0005944323
thrA1およびcysE遺伝子の発現の温度誘導をバリデートするために、粗抽出液において対応する酵素の活性を測定した。
in vitroで酵素活性を測定するために、大腸菌株を上記のように最小培地で培養し、対数増殖期の終了時に遠心分離によって回収した。ペレットをEDTAとともにプロテアーゼ阻害剤カクテルの錠剤を含む冷20mMリン酸カリウムバッファー(pH7.2)に再懸濁させた。次に、細胞を、Precellysシステム(Bertin Technologies)を用いたビーズ破砕(bead beating)により、6500rpmで30秒1回溶解させ、その後、12000g(4℃)で30分遠心分離を行った。上清を脱塩し、分析に用いた。タンパク質濃度を、Bradfordアッセイ試薬(Bradford, 1976)を用いて測定した。
in vitroでHDH活性(ホモセリンデヒドロゲナーゼ、thrA1によりコードされる)を測定するために、15μgの細胞粗抽出液を100mM Tris−HCl pH9、150mM KCl、1mM NADP+および25mM L−ホモセリン中でアッセイした。L−ホモセリンの存在下でのNADP+の減少を340nmにて30分間、分光光度の測定によりモニタリングする。
SAT活性(セリンアセチルトランスフェラーゼ、cysEによりコードされる)は、CoAとDTNBの反応によるTNBの吸光度を408nmで10分間測定することにより、25℃で分光光度の測定によりアッセイした。反応は、80mMリン酸カリウムpH7.5、2mMアセチル−coA、30mMセリンおよび0.1mM DTNB中、粗抽出液2μgで行った。
表11:ホモセリンデヒドロゲナーゼ(HDH、thrA1)およびセリンアセチルトランスフェラーゼ(SAT、cysE)活性を、種々の条件で増殖させた株3の培養物の粗抽出液で測定した。活性はmUI/mgタンパク質で示す。標準偏差は数回の独立した培養に基づいて計算した(N=反復回数)。
Figure 0005944323
表11は、誘導時にHDHおよびSAT活性が増強されることを示す。thrA1およびcysEの構成的発現は、非誘導条件と誘導条件の間のレベルのHDHおよびSAT活性をもたらし、低いメチオニン収率のある部分を説明する。結論として、これらの結果は、thrA1およびcysEの誘導がメチオニン収率の引き上げに真に有益であることを示す。
株4、5および6についても同様に、誘導時にHDHおよびSAT活性が増強される。活性は染色体上に組み込まれた遺伝子thrA1およびcysEのコピー数に比例して増強される(データは示されていない)。
実施例V:株8の温度依存的メチオニン生産の評価
株8を、実施例IVに記載されているように小エルレンマイヤーフラスコで評価した。これを株3と比較した。
表12:株8および3によりバッチ培養で生産されたメチオニン収率(Ymet)(メチオニンg/グルコースgの%)。メチオニン/グルコース収率の厳密な定義については下記を参照。SDは、数回の反復に基づいて計算された収率の標準偏差を示す(N=反復回数)。前培養物は30℃で、培養物は37℃で2時間、42℃で2時間、その後、培養終了まで37℃で培養した。
Figure 0005944323
表12に示されるように、誘導時のメチオニン生産は、構築物PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysEを有する株8でも、4コピーの構築物PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysEを有する株3と同様に良好である。
細胞外メチオニン濃度を、OPA/FMOC誘導体化後にHPLCにより定量した。残留グルコース濃度は、屈折率測定検出によるHPLCを用いて分析した。メチオニン収率は次のように表した。
Figure 0005944323
PL11誘導プロモーターにより制御されるthrA1およびcysE遺伝子の発現の温度誘導をバリデートするために、実施例IVに記載されているように粗抽出液において対応する酵素の活性を測定した。
表13:ホモセリンデヒドロゲナーゼ(HDH、thrA1)およびセリンアセチルトランスフェラーゼ(SAT、cysE)活性を上記培養において測定し、mUI/mgタンパク質で示した。標準偏差は数回の独立した培養に基づいて計算した(N=反復回数)。
Figure 0005944323
表13から分かるように、株8のHDHおよびSAT活性は株3の場合と同等であった。結果として、PL11/RBS012−thrA1−SMC−cysEからの誘導は、4コピーのPλR(−35)−RBS01−thrA1−cysEからの誘導と少なくとも等価である。
参照文献
Figure 0005944323

Claims (11)

  1. 発酵プロセスにおいてメチオニンを生産するための方法であって、下記工程:
    炭素源と硫黄源と窒素源とを含んでなる適当な培養培地中でエシェリキア属の種からの改変微生物を培養する工程、および
    該培養培地からメチオニンを回収する工程
    を含んでなり、
    該改変微生物において、メチオニン生産に関与する遺伝子thrAおよびcysEの発現が、物理的刺激により誘導される異種誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にあり、該誘導プロモーターが温度誘導プロモーターであり、
    該培養工程が温度誘導を行うことを含む、方法。
  2. メチオニン生産に関与する遺伝子thrAおよびcysEの発現が、異種誘導プロモーターの直接的制御下にある、請求項1に記載の方法。
  3. 温度誘導プロモーターが、λファージの改変レプレッサーにより調節されるプロモーター、プロモーターPRまたはPRの誘導体、プロモーターPLまたはPLの誘導体、および温度感受性Lacレプレッサーにより調節される改変lacプロモーターからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記λファージの改変レプレッサーが、λレプレッサー対立遺伝子cI857またはcI λレプレッサーの別の温度感受性対立遺伝子である、請求項3に記載の方法。
  5. 改変微生物において遺伝子recAが欠失している、請求項3または4に記載の方法。
  6. メチオニン生産に関与する少なくとも1つの遺伝子が、異種誘導プロモーターの間接的制御下にあり、該遺伝子が、その発現が誘導プロモーターの制御下にある異種RNAポリメラーゼにより転写される、請求項1に記載の方法。
  7. 異種RNAポリメラーゼが、T7およびT3ポリメラーゼからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記微生物が、その発現が異種プロモーターの直接的または間接的制御下にある少なくとも1つの遺伝子をさらに含んでなり、該遺伝子が、cysK、cysZ、cysN、cysD、cysC、sbp、ppc、pps、pyc、acs、metA、metB、metC、metE、metF、metH、metK、metL、asd、aspC、lysC、pykA、pykF、purU、オペロンcysPUWAM、cysJIHおよびgcvTHP、serA、serB、serC、lpd、glyA、ackA、pta、aceE、aceF、sucC、sucD、pck、maeB、poxB、ilvB、ilvN、ilvG、ilvM、ilvI、ilvH、aroF、aroG、aroH、thrB、thrC、sdaA、sdaB、speD、speC、astA、dapA、mdh、mqoおよびgltAからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 遺伝子thrAが、トレオニンに対するフィードバック感受性が低減されたthrA対立遺伝子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. さらに、遺伝子metAが異種誘導プロモーターの直接的または間接的制御下にある、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 遺伝子metAが、メチオニンおよびS−アデノシルメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA変異型対立遺伝子である、請求項10に記載の方法。
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