JP2008529485A - 低いγ脱離活性を有する発現酵素を含む微生物 - Google Patents

低いγ脱離活性を有する発現酵素を含む微生物 Download PDF

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Abstract

本発明は、シスタチオニン−−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性の1つまたは幾つかを有し、かつ同時にγ−脱離活性が低い酵素が発現する微生物に関する。本発明はまた、シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性の1つまたは幾つかを有すると同時に、γ−エリミナーゼ活性が低く、アミノ酸、特にメチオニンの発酵生成に使用される組換え酵素に関する。

Description

発明の分野
本発明は、シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性の1つまたは幾つかを有し、かつ同時に低いγ−脱離活性を有する酵素が発現する微生物に関する。本発明はまた、シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性の1つまたは幾つかを有し、かつ同時に低いγ−脱離活性を有する、アミノ酸、特にメチオニンの発酵生成に使用される組換え酵素に関する。
従来技術
システイン、ホモシステイン、メチオニンまたはS−アデノシルメチオニンなどの硫黄含有化合物は、細胞代謝にとって重要であり、かつ食品または飼料添加物および医薬品として使用されるべく工業的に製造されている。特に、動物が合成することのできない必須アミノ酸であるメチオニンは、多くの身体機能において重要な役割を果たす。タンパク質生合成におけるその役割とは別に、メチオニンは、メチル基転移(transmethylation)ならびにセレニウムおよび亜鉛のバイオアベイラビリティに関与している。メチオニンはまた、アレルギーやリウマチ熱のような医学的疾患の治療薬として直接的に用いられている。しかしながら、製造されるメチオニンの大部分は動物用飼料に添加されている。
化学的には、D,L−メチオニンは通常、アクロレイン、メチルメルカプタンおよびシアン化水素から製造されている。しかしながら、ラセミ混合物は、例えば鶏飼料用添加物において、純粋なL−メチオニンほど良好には機能しない(Saunderson, C.L., (1985) British Journal of Nutrition 54, 621-633)。純粋なL−メチオニンは、ラセミ型メチオニンから、例えばN−アセチル−D,L−メチオニンのアシラーゼ処理によって製造することができるが、製造コストは劇的に増加する。環境問題に関連して純粋なL−メチオニンに対する需要が高まりつつあるため、メチオニンの微生物生成は魅力的である。
メチオニン生合成を行えるのは、微生物および植物のみである。L−メチオニン合成経路は、多くの微生物および植物においてよく知られている(図1)。大腸菌におけるメチオニンは、アミノ酸であるアスパラギン酸(aspartate)に由来するが、その合成には、システイン生合成およびC1代謝(N−メチルテトラヒドロフォレート)という更なる2つの経路の収束が必要である。アスパラギン酸は、一連の3つの反応によりホモセリンに変換される。続いて、ホモセリンはトレオニン/イソロイシンまたはメチオニン生合成経路に入ることができる。大腸菌において、メチオニン経路に入るには、ホモセリンをアシル化してスクシニル−ホモセリンとすることが必要である。この活性化工程により、続いてシステインによる濃縮が行われ、それによりチオエーテル含有シスタチオニンが生じ、これが加水分解されてホモシステインが得られる。B12依存性またはB12独立性メチル基転移のいずれかによって最終的なメチル転移が行われて、メチオニンが生じる。
大腸菌におけるメチオニン生合成は、MetJおよびMetRタンパク質を介してメチオニン生合成遺伝子を抑制および活性化することによって調節される。この転写調節に加え、メチオニン特異的経路への進入は、ホモセリントランススクシニラーゼをコードするmetA(EC 2.3.1.46)によって厳密に制御されている。MetJおよびMetRによるmetAの転写制御とは別に、当該酵素はまた、メチオニンおよびS−アデノシルメチオニン経路の主要な最終生成物によってフィードバック調節される(Lee, L.W. et al. (1966) Multimetabolite control of a biosynthetic pathway by sequential metabolites, JBC 241 (22), 5479-5780)。これら2つの生成物によるフィードバック阻害は相乗的であり、これは、低濃度の各代謝産物が単独では僅かに阻害性でしかないが、組み合わせると強い阻害作用を発揮することを意味している。
一方、大腸菌においては、ホモセリンが活性化されてスクシニル−ホモセリンとなり、次いでシスタチオニン−γ−シンターゼによってγ−シスタチオニンに変換されるが、グラム陽性細菌およびスピロヘータは、ホモセリンを活性化させてアセチル−ホモセリンとすると共に、アセチル−ホモセリンスルフヒドリラーゼ(グラム陽性細菌ではMetY、およびスピロヘータではMetZと呼ばれる)を用いてアセチル−ホモセリンをホモシステインに直接変換することによってHSからの硫黄を組み込むことができる。
真正細菌におけるメチオニン生合成とは対照的に、植物においては、メチオニン生合成とトレオニン/イソロイシン生合成との分岐点は、ホスホホモセリンのレベルにある。ホモセリンがリン酸化されてホスホホモセリンを生じ、これが反応して、酵素トレオニンシンターゼにより触媒されてトレオニンを生成するか、またはシスタチオニン−γ−シンターゼおよびホスホホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を有する植物酵素METBを用いてγ−シスタチオニンおよび/またはホモシステインを生成することができる。最近のデータは、同様の経路が古細菌でも機能することを示しているが(White, 2003, The biosynthesis of cysteine and homocysteine in Methanococcus jannaschii, Biochim Biophys Acta. 1624 (1-3):46-53)、対応する酵素はまだ特徴付けられていない。故に、植物およびおそらくは数種の古細菌において、メチオニン生成に関連する工程は、ホスホホモセリンからのγ−シスタチオニン合成にある。植物において、メチオニン生合成は、重要な2つの酵素、シスタチオニン−γ−シンターゼ(CGS)およびトレオニンシンターゼ(TS)の活性を通じて制御される。CGSは、細菌酵素には認められないN−末端調節領域を介して転写後調節される(Hacham et al. 2002 Plant Physiol. 128, 454-462)。TSは、S−アデノシルメチオニン(高メチオニン濃度をシグナリングするメチオニン誘導体)によってフィードバック活性化される。これらの調節機構はいずれも炭素の流れをメチオニンから離れてトレオニンに向かわせるが、原核生物においては機能的ではない。
異なるシスタチオニン−γ−シンターゼの発現は、特許文献WO93/17112(Genencor)に教示されている。当時、シスタチオニン−γ−シンターゼについての正確な知識はなく、植物からの配列は知られていなかった。特許文献JP2000−139471(Ajinomoto)では、大腸菌シスタチオニン−γ−シンターゼの過剰発現については記載されているが、異なる生物からのシスタチオニン−γ−シンターゼの使用は、いかなる生物におけるメチオニン生成についても評価されていない。
MetB酵素およびそれらの対応物であるMetY/MetZは、表1に記載される様々な異なる基質を受容することができる。これらの酵素は4つの異なる反応を触媒することができ、それらの反応は全て活性化ホモセリンを必要とする。活性化ホモセリンは、ホスホ−、アセチル−またはスクシニル−ホモセリンのいずれかであり得る。(i)システインと共に、シスタチオニン−γ−シンターゼはシスタチオニンを生成し、(ii)硫化水素と共に、スルフヒドリラーゼはホモシステインを合成し、(iii)メチルメルカプタンと共に、メチオニンシンターゼはメチオニンを生成し、(iiii)第二基質の不存在下で、γ−エリミナーゼは、基質がα−ケト酪酸、アンモニアおよび活性化基(アセテート、スクシネート、フォスフェート)に分解されるのを触媒する。酵素の中には2つ以上の反応を触媒できるものもあるが、触媒効率は様々である。例えば、大腸菌MetBは、基質としてシステインおよびスクシニルホモセリンを用いると最も高い触媒効率を有し、システインの不存在下では比較的高いγ−エリミナーゼ活性を有する(Aitken et al. 2003, Biochemistry 42, 11297-11306)。植物酵素は、同じく良好にシスタチオニンを生産するが、γ−エリミナーゼ活性が低い。実際、γ−エリミナーゼ活性に関するA. thalianaMETBのkcatは、大腸菌酵素のわずか1/1500である(Ravanel et al. 1998 Biochem. J. 331, 639-648)。γ−脱離活性が低い酵素の幾つかは、大腸菌に導入されたときに、高いメチオニン生成を与えるはずである。
Figure 2008529485
活性化ホモセリンの種類および好ましい反応は、異なる種または群からの酵素に関して示されている。詳細については、(Hacham et al. 2003, Mol. Biol. Evol. 20:1513-1520)を参照のこと。
発明の概要
本発明は、シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を有すると共に、低いγ−脱離活性を有する酵素が発現すると、メチオニン生成が向上されるという発見に基づいている。これら酵素の使用により、発酵ブロス内に堆積する、イソロイシンに変換され得るα−ケト酪酸の生成が低下する。従って、本発明は、シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を有すると共に、低いγ−エリミナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子を含んでなるDNA断片に関する。本発明はまた、メチオニン生成における、これら酵素の発現、特に過剰発現に関する。本発明は更に、上記酵素が発現する微生物、好ましくは腸内細菌、コリネフォルム細菌または酵母に関する。更に、本発明は、記載した特性を有する微生物を用いたメチオニン、その前駆体または誘導体の発酵生成方法についても記載している。
発明の具体的説明
メチオニンは、動物用食物および医薬用途において使用されている。多くの場合、特定の立体異性体、この場合には生物学的に活性なL体が好ましい種である。化学合成では分解しにくいラセミ混合物しか得られないので、発酵によってL−メチオニンを製造することは一般的に興味深い。従って、本発明の1つの目的は、遺伝子操作により株を最適化し、L−メチオニン、その前駆体または誘導体を多量に生成する発酵方法を改良することである。植物および微生物において、メチオニンの発酵生成には幾つかの酵素が必要である。大腸菌のシスタチオニン−γ−シンターゼ(配列番号1)は、メチオニン生合成に関与する重要な酵素の1つである。
>大腸菌|EG10582|MetB:386aa−シスタチオニンγ−シンターゼ:
MTRKQATIAV RSGLNDDEQY GCVVPPIHLS STYNFTGFNE PRAHDYSRRG
NPTRDVVQRA LAELEGGAGA VLTNTGMSAI HLVTTVFLKP GDLLVAPHDC
YGGSYRLFDS LAKRGCYRVL FVDQGDEQAL RAALAEKPKL VLVESPSNPL
LRVVDIAKIC HLAREVGAVS VVDNTFLSPA LQNPLALGAD LVLHSCTKYL
NGHSDVVAGV VIAKDPDVVT ELAWWANNIG VTGGAFDSYL LLRGLRTLVP
RMELAQRNAQ AIVKYLQTQP LVKKLYHPSL PENQGHEIAA RQQKGFGAML
SFELDGDEQT LRRFLGGLSL FTLAESLGGV ESLISHAATM THAGMAPEAR
AAAGISETLL RISTGIEDGE DLIADLENGF RAANKG
その主要なシスタチオニンγ−シンターゼ活性に加え、この酵素はスクシニル−ホモセリンγ−エリミナーゼという望ましくない副活性を有しており、これはスクシニル−ホモセリンをα−ケト酪酸、スクシネートおよびアンモニアに変換する。この活性は、少量のシステインしか存在しない場合には、特別に適切である。大腸菌では、この活性によりメチオニン生成が損なわれるが、この問題は、大腸菌酵素と比較してγ−エリミナーゼ活性が低下したシスタチオニン−γ−シンターゼを使用することにより回避することができる。
従って、本発明の目的は、シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼを有するとともに、γ−エリミナーゼ活性が低い1つまたは幾つかの酵素が発現する、アミノ酸を発酵生成するための微生物である。
本発明によれば、低いγ−エリミナーゼ活性とは、好ましくは天然の大腸菌酵素で観察される活性よりも低いγ−エリミナーゼ活性を意味する。更に、低いγ−エリミナーゼ活性を有する酵素は、特定のシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を有することが望ましい。前記活性は、天然の大腸菌酵素の活性よりも低くてもよい。
シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼを有すると共に、低いγ−エリミナーゼ活性を有する前記発現酵素は、同じ生物に存在する天然酵素とは異なるのが好ましい。該酵素は、同一種の変異遺伝子であっても、他の種の天然または変異遺伝子であってもよい。
本発明の好ましい実施態様によれば、微生物は、このような低いγ−エリミナーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子を導入するために形質転換される。
このような遺伝子は、当業者にとって利用可能な様々な手段によって導入すればよい:
−相同的組み換えにより天然遺伝子の組み換えを行って、前記遺伝子がコードする酵素に変異を導入することによりγ−エリミナーゼ活性を低下させ、酵素活性を保持する;
−γ−エリミナーゼ活性が低いことが知られている選択酵素をコードする外来遺伝子を微生物のゲノムに組み込む。前記外来遺伝子は、宿主微生物において機能的な調節因子の制御下にある;
−宿主微生物において機能的な調節因子の制御下で低いγ−エリミナーゼ活性を有することが知られている選択酵素をコードする外来遺伝子を含むプラスミドを導入する。
遺伝子を微生物のゲノムに組み込む際、有利には、該遺伝子を、天然遺伝子と置き替えるべく選択された遺伝子座に導入してもよい。
微生物を形質転換するのに使用する方法は当技術分野において周知であり、これには相同的組み換えが含まれる。
植物シスタチオニン−γ−シンターゼは、大腸菌酵素よりも低いγ−エリミナーゼ活性を有することが知られている(Ravanel et al. 1998, Biochem. J331, 639-648)。しかしながら、メチオニンの発酵生成の際に植物酵素を使用すると、天然の大腸菌酵素を使用する場合に比べて有利であることは全く示されていない。従って、本発明は、植物シスタチオニン−γ−シンターゼを使用することによって、メチオニンの発酵生成を増大することに関する。
植物酵素は基質としてホスホホモセリンを使用するが、一方で、大腸菌酵素はスクシニル−ホモセリン、およびある程度まではアセチル−ホモセリンを受容する。最近、古細菌におけるメチオニン生合成が、ホスホホモセリンを介して進行するであろうということが示された。今までのところ、その酵素は特徴付けられていない。従って、本発明はまた、メチオニンの発酵生成における、シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を有する古細菌酵素の使用に関する。
細菌内での植物シスタチオニン−γ−シンターゼの最も近い相同体が、光合成細菌Chloroflexusにおいて認められている。植物酵素と該酵素との合致は、大腸菌酵素と植物酵素との構造比較から決定された(Steegborn et al. 2001 J. Mol Biol 311, 789-801)ホスホ基の結合に必要なアミノ酸がChloroflexus酵素において保存されていることを証明している(図2)。
従って、Chloroflexus遺伝子の相同体、例えば、Chloroflexus aurantiacusからの遺伝子>gi|53798754|ref|ZP_00020132.2|COG0626を発現する微生物も本発明の目的である。
本発明の更なる目的は、次の位置におけるそれぞれのアミノ酸:107E、111Y、165K、および403S(図2のアラインメントを参照のこと)を保持した、シスタチオニン−γ−シンターゼ/ホスホホモセリンスルフヒドリラーゼを有する酵素である。この酵素は、基質としてのホスホホモセリンの使用を許容し、故に低いγ−脱離活性を示す。アミノ酸の位置は、Nicotiana tabacumの配列を参照することによって与えられる。同アミノ酸位置は、過度の実験を要することなく、単純な配列アラインメント(図2を参照)によって同定することができる。
トレオニンの生合成経路の一部として、ホスホホモセリンは大腸菌内で生成され、故にγ−シスタチオニンおよび/またはホモシステインに直接変換され得る。
植物および腸内細菌とは対照的に、グラム陽性細菌の中にはホモセリン活性化機構を使用するものもあり、この機構はアセチル基をホモセリン上に転移させてアセチル−ホモセリンを生成することに基づいている。その後、アセチル−ホモセリンは、アセチル−ホモセリンスルフヒドリラーゼMetYを用いたスルフヒドリル化によってホモシステインに変換されるか、またはシスタチオニン−γ−シンターゼを用いてγ−シスタチオニンに変換される。この反応は、特許文献WO2004024933およびEP1313871に記載されるように、コリネフォルム細菌内で発酵によりメチオニンを生成するのに使用されてきた。しかしながら、対応する遺伝子は大腸菌内においては全く試験されず、それらのγ−エリミナーゼ活性も測定されていない。
従って、本発明はまた、大腸菌酵素に対して、γ−エリミナーゼ活性は低いが、スルフヒドリラーゼ活性は同等か、または高いMetY酵素を大腸菌において使用することに関する。
本発明の別の実施態様によれば、天然または導入酵素のγ−エリミナーゼ活性の低下はまた、該酵素を最適化することによって、例えば、Sambrookらの文献(1989 Molecular cloning: a laboratory manual. 2nd Ed. Cold Spring Harbor Lab., Cold Spring Harbor, New York)に記載されるような指向進化または部位特異的突然変異誘発によって得られる。酵素はまた、NTGまたはEMSなどの突然変異誘発物質を使用するランダムな突然変異誘発を通じて、または特許出願PCT/FR04/00354に記載されるような生体内進化によって最適化することができる。最適化された酵素はまた、天然遺伝子に基づいていると共に、宿主生物に対して最適化されたコドン使用頻度およびGC含量を有する合成遺伝子であり得る。故に、γ−エリミナーゼ活性が低下した、またはシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性が増強された最適化酵素の使用は、本発明の目的である。
最適化酵素の特定例は、最適化されたシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ酵素、特に大腸菌MetB酵素であり、337位のアラニンが、異なる細菌属に由来する酵素および/または335位にアラニンを含む酵素において高度に保存されているプロリンに置換されている。別途記載しない限り、位置は、天然の大腸菌酵素を参照することにより与えられる。
本発明は更に、ヌクレオチド配列、DNAまたはRNA配列に関し、これらの配列は、先に定義された、本発明によるシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードする。
シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼは、有利には、PFAM参照番号PF01053ならびにCOG参照番号COG0626およびCOG2873に対応する酵素から選択される。
PFAM(アラインメントのタンパク質ファミリーデータベースおよび隠れマルコフモデル;http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/)は、タンパク質配列アラインメントを多数集めたものである。各PFAMにより、多重アラインメントを視覚化し(タンパク質ドメインを参照のこと)、生物間での分布を評価し、他のデータベースへのアクセスを獲得し、既知のタンパク構造を視覚化することができる。
COG(タンパク質のオーソロガス群のクラスタ;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/COG/)は、30個の主要な系統発生系を示す43個の完全に配列決定されたゲノムからのタンパク質配列を比較することによって得られる。各COGは少なくとも3つの系から画定されるので、太古の保存ドメインを同定することができる。
好ましい酵素は、Arabidopsis thalianaのシスタチオニン−γ−シンターゼ(受託番号 gi:1389725)、Methanosarcia barkeriの推定シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはスルフヒドリラーゼ(受託番号 gi:48839517)、Saccharomyces cerevisiaeのアセチル−ホモセリンスルフヒドリラーゼ(受託番号 YLR303W)、Chloroflexus aurantiacus由来の推定シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはスルフヒドリラーゼ(gi:53798753)、ならびに大腸菌に適合する合成遺伝子としてのCorynebacterium glutamicum由来のアセチル−ホモセリンスルフヒドリラーゼ(gi:41324877)である。これらの配列は、以下の代表的な配列と整合している:
>gi|8439541|gb|AAF74981.1|AF082891_1 シスタチオニン−γ−シンターゼ アイソフォーム1[Solanum tuberosum];
>gi|4959932|gb|AAD34548.1|AF141602_1 シスタチオニン−γ−シンターゼ前駆体[Glycine max];
>gi|2198853|gb|AAB61348.1|シスタチオニン−γ−シンターゼ[Zea mays];
>gi|4322948|gb|AAD16143.1|シスタチオニン−γ−シンターゼ前駆体[Nicotiana tabacum];
>gi|11602834|gb|AAG38873.1|AF076495_1 シスタチオニン−γ−シンターゼ[Oryza sativa];
>gi|305042|gb|AAB03071.1|シスタチオニン−γ−シンターゼ[大腸菌]。
シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を示すと共に、上述のアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性、好ましくは90%の相同性、より好ましくは95%の相同性を示すこれらの配列の相同配列も同じく本発明の目的である。
相同配列およびそれらの相同性(%)を同定する手段は当業者にとって周知であり、これには特にBLASTプログラム、および特にBLASTPプログラムが含まれ、このプログラムはウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/から、該サイト上に示されるデフォルトパラメータと共に使用することができる。
対応株に導入される際に、メチオニン生成にとっていずれの酵素が有益であるかを決定するために、γ−エリミナーゼ活性を酵素的に評価してもよい。例えば、活性化ホモセリンと、(i)その他の基質を用いないで、または基質として(ii)システインもしくは(iii)HSを用いた酵素テストにおいて、シスタチオニン−γ−シンターゼ、γ−エリミナーゼ活性およびスルフヒドリラーゼ活性を決定することができる。対応酵素活性を有するタンパク質抽出物を添加することによって反応を開始し、タンパク質沈殿およびシリル化試薬を用いた誘導体化の後、GC−MSによってホモシステインおよび/またはγ−シスタチオニンの形成をモニタリングする。
シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードする遺伝子(1つまたは複数)は、染色体内で、または染色体外でコードされてもよい。染色体内では、当業者に既知の組み換え法によって導入され得る1つまたは複数のコピーがゲノム上にあってもよい。染色体外では、遺伝子は、複製起点が異なり、それに伴って細胞内でのコピー数が異なる様々な種類のプラスミドに担持されていてもよい。それら遺伝子は、1個〜5個のコピーとして存在してもよく、厳密な複製を有する低コピー数のプラスミド(pSC101,RK2)、低コピー数のプラスミド(pACYC,pRSF1010)または高コピー数のプラスミド(pSK bluescript II)に相当する約20個または最大500個のコピーとして存在してもよい。
metB遺伝子は、誘導因子分子によって誘導される必要があるか、またはその必要がない、強度が異なるプロモータを用いて発現させてもよい。例としては、プロモータPtrc、Ptac、Plac、ラムダプロモータcIまたは当業者にとって既知である他のプロモータがある。
標的遺伝子の発現は、対応するメッセンジャーRNA(Carrier and Keasling (1998) Biotechnol. Prog. 15, 58-64)またはタンパク質(例えば、GSTタグ(Amersham Biosciences))を安定化または不安定化させる因子によって、促進または低減されてもよい。
本発明はまた、本発明によるシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはアシルホモセリンおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼをコードする1つまたは幾つかの対立遺伝子を含有する微生物に関する。
このような株は、ホスホホモセリン受容酵素のみを単独で使用することによって、α−ケト酪酸の生成量を低下させるか、またはアシルホモセリン受容酵素に加えてホスホホモセリン受容酵素を使用することによって、メチオニンへの流動を増加させるかのいずれかによって、メチオニンへ向かう流束を増加させることが可能なメチオニン代謝を有するという事実を特徴とする。
特に、本発明は、新規微生物を培養し、生成した硫黄含有化合物を単離することによって、L−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物を調製することに関する。
L−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物の生成の増加は、以下の遺伝子の発現レベルを低下させるか、またはそのうちの1つを欠失させることによって達成することができる。
Figure 2008529485
L−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物の生成の更なる増加は、以下の遺伝子の1つまたは幾つかを過剰発現させることによって達成することができる:Rhizobium etli由来のピルビン酸カルボキシラーゼ(pyc,U51439)、またはその相同体の1つ、好ましくはフィードバック感度が低下した、遺伝子thrAによってコードされるホモセリン合成酵素(ホモセリンデヒドロゲナーゼ/アスパルトキナーゼ、1786183)、metL(ホモセリンデヒドロゲナーゼ/アルパルトキナーゼ、g1790376)またはlysC(アスパルトキナーゼ、1790455)およびasd(アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、1789841)、またはこれらの組み合わせ。
L−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物の生成の更なる増加は、硫酸同化およびシステイン生成に関与する遺伝子を過剰発現させることによって可能である。硫黄含有化合物の量が増加すると、γ−エリミナーゼ活性が等しく低下する。これは、以下の遺伝子(以下参照)を過剰発現させることによって、またはCoyler and Kredich (1994 Mol Microbiol 13 797-805)に記載されるように、構成的cysB対立遺伝子の導入により経路の制御を解除することによって、および、その阻害剤L−システインに対する感度が低下した、セリンアセチルトランスフェラーゼをコードするcysE対立遺伝子を導入することによって(米国特許第6,218,168号(Denk & Bock 1987 J Gen Microbiol 133 515-25))達成することができる。以下の遺伝子を過剰発現させる必要がある。
Figure 2008529485
更に、C1(メチル)基の生成に関与する遺伝子は、以下の遺伝子を過剰発現させることによって増強されてもよい:
Figure 2008529485
更に、メチオニン生成に直接関与する遺伝子を過剰発現させてもよい:
Figure 2008529485
更に、メチオニンを分解する、またはメチオニン生成経路から逸脱する経路における遺伝子の発現を低減するか、または遺伝子を欠失させてもよい:
Figure 2008529485
アナプレロティック(補充)反応は、以下の遺伝子を発現させることによって促進してもよい:
Figure 2008529485
L−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物の生成の更なる増加は、JP2000157267−A/3(GenBank 1790373も参照)に示唆されたように、メチオニンレギュロンの下方調節を担うリプレッサータンパク質の遺伝子MetJを欠失させることによって達成される。
メチオニン生成は、変性metB対立遺伝子を使用することによって更に増大させてもよく、この変性metB対立遺伝子は、優先的または排他的にHSを使用することにより、特許出願PCT/FR04/00354(この内容は参照することにより本明細書の一部とされる)に記載されたように、O−スクシニル−ホモセリンからホモシステインを生成する。
好ましい用途において、生物は、大腸菌またはC. glutamicumまたはSaccharomyces cerevisiaeのいずれかである。
本発明はまた、設計された細菌株の発酵によって通常調製されるL−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物の生成方法に関する。
本発明によれば、「培養」および「発酵」との用語は、単純な炭素源を含有する適切な培養培地上での微生物の増殖を示すために、区別なく使用される。
本発明によれば、単純な炭素源は、微生物、特に細菌を通常的に増殖させるべく、当業者によって使用され得る炭素源である。特に、グルコース、ガラクトース、スクロース、ラクトースまたはモラスなどの吸収可能な糖、またはこれら糖の副産物であり得る。特に好ましい単純な炭素源はグルコースである。別の好ましい単純な炭素源はスクロースである。
当業者は、本発明による微生物のための培養条件を規定することができる。特に、細菌は、20℃〜55℃、好ましくは25℃〜40℃、より特定的にはC. glutamicumの場合には約30℃、および大腸菌の場合には約37℃の温度で発酵される。
発酵は、一般的には、使用する細菌に適合した既知の規定された組成の無機培養培地を備えた発酵槽において行われ、この無機培養培地は、少なくとも1種の単純な炭素源と、必要であれば代謝産物の生成に必要な補基質(co-substrate)とを含有する。
特に、大腸菌の場合の無機培養培地は、M9培地(Anderson, 1946, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 32: 120-128)、M63培地(Miller, 1992; A Short Course in Bacterial Genetics: A Laboratory Manual and Handbook for Escherichia coli and Related Bacteria, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)またはSchaeferらによって規定されるもののような培地(1999, Anal. Biochem. 270:88-96)と同一または同様の組成のものであり得る。
同様に、C. glutamicumの場合の無機培養培地は、BMCG培地(Liebl et al., 1989, Appl. Microbiol. Biotechnol. 32:205-210)またはRiedelら(2001, J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 3:573-583)によって記載されるもののような培地と同一または同様の組成のものであり得る。これらの培地を補充して、変異によって導入される栄養要求性を補うことができる。
発酵後、L−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物を回収し、必要であれば精製する。培養培地内で生成したメチオニンなどの化合物の回収および精製方法は、当業者に周知である。
L−メチオニン、その前駆体またはその誘導化合物の発酵による製造に使用される硫黄源は、硫酸塩、チオ硫酸塩、硫化水素、メチルメルカプタンのいずれであってもよい。
実施例1:メチオニン製造のための、低いγ−エリミナーゼ活性を有する植物ホスホホモセリン受容METBを単独で使用した株の構築
植物CGSのγ−エリミナーゼ活性が大腸菌酵素よりも低いことを検証するために、ArabidopsisMETB酵素および大腸菌酵素のγ−エリミナーゼ活性とCGS活性との比率を、粗抽出物において測定した。この目的のために大腸菌株を構築し、これらの株では、metB遺伝子の染色体コピーを欠失させ、大腸菌またはArabidopsisのCGSのいずれかをプラスミドから発現させた。metB欠失に付随して、metJ遺伝子も排除された(下記参照)。
野生型または異種アシルホモセリンまたはホスホホモセリン受容シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはスルフヒドリラーゼを担持する大腸菌ΔmetJB株を、5g/lのグルコースを含む最小培地内で培養し、その後の対数期に回収した。細胞を、冷リン酸カリウム緩衝液中に再懸濁し、氷上で超音波分解した(Bransonソニファイアー、70W)。遠心分離後、上澄みに含有されるタンパク質を定量した(Bradford, 1976)。
10μlの抽出物を、5mMのO−スクシニル−ホモセリンまたはO−アセチル−ホモセリン、および1.5mMの硫化ナトリウムまたはシステインとともに、30℃にて10分間インキュベートした。tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロアセトアミド(TBDMSTFA)による誘導体化の後、アセトンおよびホモシステインまたは酵素反応中に生成されたγ−シスタチオニンを用いてタンパク質を沈殿させ、GC−MSによって定量した。L−セリン[1−13C]を内部標準として添加した。あるいは、同プロトコルを用いて、システインの消失を測定した。
metBおよびmetJ遺伝子を不活性化するために、Datsenko & Wanner(2000)によって記載される相同組み換え法を用いた。この方法により、クロラムフェニコール耐性カセットを挿入することができたが、関与する遺伝子の大分部は欠失した。このため、以下のオリゴヌクレオチドを使用した。
DmetJR(配列番号2):tgacgtaggc ctgataagcg tagcgcatca ggcgattcca ctccgcgccg ctcttttttg ctttagtatt cccacgtctc TGTAGGCTGG AGCTGCTTCG。
このオリゴヌクレオチドは以下の領域を有する:
−遺伝子metJの配列(4125596−4125675)と相同な領域(下部ケース)(ウェブサイトhttp://genolist.pasteur.fr/Colibri/の参照配列);
−クロラムフェニコール耐性カセットの増幅用領域(上部ケース)(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L., 2000, PNAS, 97:6640-6645の参照配列)。
DmetJBF(配列番号3):tatgcagctg acgacctttc gcccctgcct gcgcaatcac actcattttt accccttgtt tgcagcccgg aagccatttt CAGGCACCAG AGTAAACATT。
このオリゴヌクレオチドは以下の領域を有する:
−遺伝子metBの配列(4127460−4127381)と相同な領域(下部ケース)およびmetLのプロモータと相同な領域(4126116−4126197);
−クロラムフェニコール耐性カセットの増幅用領域(上部ケース)。
オリゴヌクレオチドDmetJBRおよびDmetJBFを使用して、プラスミドpKD3からクロラムフェニコール耐性カセットを増幅した。次いで、得られたPCR産物をエレクトロポレーションによって株MG1655(pKD46)に導入した。この株では、相同組み換えを可能とするRed組み換え酵素が発現していた。クロラムフェニコール耐性形質転換体を選択し、以下に規定するオリゴヌクレオチドMetJRおよびMetJFを用いたPCR分析により耐性カセットの挿入を検証した。保持された株はMG1655(ΔmetJB::Cm)と命名した。
MetJR(配列番号4):ggtacagaaa ccagcaggct gaggatcagc(4125431〜4125460の配列と相同)。
MetLR(配列番号5):aaataacact tcacatcagc cagactactgc caccaaattt(4127500〜4157460の配列と相同)。
次いで、クロラムフェニコール耐性カセットを除去した。クロラムフェニコール耐性カセットのFRT部位で作用する組み換えFLPを担持するプラスミドpCP20を、エレクトロポレーションによって組み換え株に導入した。42℃での一連の培養後、以前に使用されたものと同じオリゴヌクレオチドを用いたPCR分析によって、クロラムフェニコール耐性カセットの消失を検証した。
Arabidopsis thalianaからのホスホホモセリン受容METBを用いたメチオニン生成のために、以下の大腸菌株を構築した。大腸菌metBと共に、メチオニンレプレッサーmetJを上述のように欠失させた。次いで、スクシニル−ホモセリントランスフェラーゼをコードする遺伝子metAおよび/またはトレオニンシンターゼをコードする遺伝子thrCを欠失させた。この欠失方法は、metJBの欠失に関して例証されている。他の全ての遺伝子の欠失は、示されたオリゴヌクレオチドを用いた同一方法に基づくものであった。metAおよびthrC遺伝子欠失用オリゴヌクレオチドを以下に示す。括弧内の数字は、大腸菌染色体と相同な領域を示している。Dから始まるオリゴヌクレオチドは実際の欠失のために使用し、他のオリゴヌクレオチドは、構築物の検証またはそれぞれに示す特定の目的のために使用した。
metA遺伝子の欠失には、以下のオリゴヌクレオチドを使用した:
DmetAF(4211866−4211945;配列番号6):ttcgtgtgcc ggacgagcta cccgccgtca atttcttgcg tgaagaaaac gtctttgtga tgacaacttc tcgtgcgtct TGTAGGCTGG AGCTGCTTCG;
DmetAR(4212785−4212706;配列番号7):atccagcgtt ggattcatgt gccgtagatc gtatggcgtg atctggtaga cgtaatagtt gagccagttg gtaaacagta CATATGAATA TCCTCCTTAG;
MetAF(4211759−4211788;配列番号8):tcaccttcaa catgcaggct cgacattggc;
MetAR(4212857−4212828;配列番号9):ataaaaaagg cacccgaagg tgcctgaggt。
thrC遺伝子の欠失には、以下のオリゴヌクレオチドを使用した:
DthrCF(3740−3821;配列番号10):ctctacaatc tgaaagatca caacgagcag gtcagctttg cgcaagccgt aacccagggg ttgggcaaaa atcaggggcT GTAGGCTGGAG CTGCTTCG;
DthrCR(5012−4932;配列番号11):gattcatcat caatttacgca acgcagcaaa atcggcgggc agattatgtg aaagcaaggg taaatcagca cgttctgcCA TATGAATATC CTCCTTAG;
thrCF(3490−3511;配列番号12):cgctgaaccc taccgtgaac gg;
thrCR(5284−5260;配列番号13):gcgaccagaa ccagggaaag tgcg。
ホモセリンの生成を更に促進するために、トレオニンに対するフィードバック耐性が低下したthrA対立遺伝子を、プロモータPtrcを用いて、プラスミドpCL1920(Lerner & Inouye, 1990, NAR 18, 15 p 4631)から発現させた。プラスミドpME101−thrA1を構築するために、thrAを、以下のオリゴヌクレオチドを用いてゲノムDNAからPCR増幅した:
BspH1thrA(配列番号14):ttaTCATGAgagtgttgaagttcggcggtacatcagtggc;
Sma1thrA(配列番号15):ttaCCCGGGccgccgccccgagcacatcaaacccgacgc。
PCR増幅した断片を、制限酵素BspHIおよびSmaIを用いて切断し、ベクターpTRC99A(Stratagene)のNcoI/SmaI部位にクローニングした。低コピーベクターからの発現のため、プラスミドpME101を以下のように構築した。プラスミドpCL1920を、オリゴヌクレオチドPME101FおよびPME101RならびにlacI遺伝子を持つベクターpTRC99AからのBstZ17I−XmnI断片を用いてPCR増幅し、Ptrcプロモータを増幅したベクターに挿入した。結果生じたベクターおよびthrA遺伝子を持つベクターを、ApaIおよびSmaIによって制限処理し、thrA含有断片をベクターpME101にクローニングした。フィードバック阻害からThrAを解放するために、オリゴヌクレオチドThrAF F318SおよびThrAR F318Sを用いた部位特異的突然変異誘発(Stratagene)によって変異体F318Sを導入し、結果としてpSB1と呼ばれるベクターpME101−thrA1を生じた。
PME101F(配列番号16):Ccgacagtaagacgggtaagcctg;
PME101R(配列番号17):Agcttagtaaagccctcgctag;
ThrAF F318S(SmaI)(配列番号18):Ccaatctgaataacatggcaatg[tcc]agcgtttctggcccggg
ThrAR F318S(SmaI)(配列番号19):Cccgggccagaaacgct[gga]cattgccatgttattcagattgg。
生成したホモセリンの一部をホスホホモセリンに変換するために、thrB遺伝子をベクターpSB1にクローニングした。thrBを、オリゴヌクレオチドthrA’BFおよびthrA’BRを用いてPCR増幅した。
thrA’BF(配列番号20):tacga[tgtac a]tggccttaa tctggaaaac tggc;
thrA’BR(配列番号21):tcc[cccggg]T TAGTTTTCCA GTACTCGTGC GCCC。
PCR断片を、BsrG1およびSmaIで消化し、同じ制限酵素によって切断されたベクターpSB1にクローニングすることによって、プラスミドpSB2を得た。
次いで、Arabidopsis thalianaからの酵素METBを、オリゴヌクレオチドgapA−cgsAFおよびcgsARを用いて、市販のcDNAクローン(TAIR,http://arabidopsis.org/contact/)からPCR増幅した。オリゴヌクレオチドgapA−cgsAFは、METBのヌクレオチド1〜38(括弧内)と、GapAプロモータ領域に属する大腸菌のヌクレオチド1860761〜1960799(下線)からなるものであった。
gapA−cgsAF(配列番号22):ccttttattc actaacaaat agctggtgga atat[atgttg agctccatg ggagcctcac tgttcatgcc gg];
cgsAR(配列番号23):AATCGC[GGAT CC]GAATCCGG TCAGATGGCT TCGAGAGCTT GAAGAATGTC AGC。
同時に、大腸菌遺伝子GapAのGapAプロモータ領域を、オリゴヌクレオチドgapA−cgsARおよびGapAFを用いて増幅した。オリゴヌクレオチドgapA−cgsARは、MetB遺伝子の塩基1〜39およびGapAプロモータ領域に相当する大腸菌染色体からの塩基1860799〜1860761を有する。オリゴヌクレオチドGapAFは、大腸菌ゲノムの塩基1860639〜1860661に相当する。
gapA−cgsAR(配列番号24):ccggcatgaa cagtgaggct cccatcggag ctcaa[cat]at attccaccag ctatttgtta gtgaataaaag g
GapAF(配列番号25):acgt[cccggg] caagcccaaa ggaagagtga ggc。
次いで、オリゴヌクレオチドcgsARおよびGapAFを用いて両断片を融合し(Horton et al. 1989 Gene 77:61-68)、制限酵素BamHIおよびSmaIで切断し、ベクターpSB1およびpSB2の対応する制限部位にクローニングすることによって、ベクターpSB3(pME101thrA−metBAt)およびpSB4(pME101thrA−thrB−metBAt)のそれぞれを得た。
次いで、ベクターpSB3およびpSB4を、株ΔmetBJ ΔmetA ΔthrCに導入した。
実施例2:O−スクシニルホモセリンを介したメチオニン生成のための、低γ−エリミナーゼ活性を有する植物METBを単独で用いた株の構築
スクシニルホモセリンを介したメチオニン生成に植物METBを用いるべく、株ΔmetBJ metAを構築した。構築は、実施例1に記載した株から開始し、フィードバック耐性ホモセリントランススクシニラーゼ metA11(特許出願PCT IB2004/001901に記載)をゲノムに導入した。この目的のため、metA11対立遺伝子を、以下のオリゴヌクレオチドを用いて大腸菌染色体から増幅した。
MetArcF(4211786−4211883;配列番号26):ggcaaatttt ctggttatct tcagctatct ggatgtctaa acgtataagc gtatgtagtg aggtaatcag gttatgccga ttcgtgtgcc ggacgagc;
MetArcR(4212862−4212764;配列番号27):cggaaataaa aaaggcaccc gaaggtgcct gaggtaaggt gctgaatcgc ttaacgatcg actatcacag aagattaatc cagcgttgga ttcatgtgc。
プラスミドpKD46を、株MG1655 ΔmetA ΔthrCおよびMG1655 ΔmetAに導入し、metA11対立遺伝子を持つDNA断片で形質転換した。修飾したM9プレート上で、メチオニン自家栄養(prototrophy)についてクローンを選択した。その後、変異ΔmetBJを上述のように添加した。プラスミドpSB3およびpSB4を2つの株に導入した。
実施例3:低γ−エリミナーゼ活性を有する植物ホスホホモセリン受容METBを用いた株の構築および大腸菌MetBの併用
メチオニン合成を更に促進するべく、O−スクシニルホモセリンおよびホスホホモセリンを介して、同時にメチオニンを生成する株を構築した。この構築は、実施例1に記載した株ΔmetAおよびΔmetA ΔthrCから開始し、以下のオリゴヌクレオチドを用いて遺伝子metJを欠失させた。
100塩基を有するDmetJF(配列番号28):caggcaccag agtaaacatt gtgttaatgg acgtcaatac atctggacat ctaaacttct ttgcgtatag attgagcaaa CATATGAATA TCCTCCTTAG;
100塩基を有するDmetJR(配列番号29):tgacgtaggc ctgataagcg tagcgcatca ggcgattcca ctccgcgccg ctcttttttg ctttagtatt cccacgtctc TGTAGGCTGG AGCTGCTTCG;
MetJR(配列番号30):ggtacagaaa ccagcaggct gaggatcagc(4125431〜4125460の配列と相同);
MetBR(配列番号31):ttcgtcgtca tttaacccgc tacgcactgc(4126305〜4126276の配列と相同)。
その後、フィードバック耐性ホモセリントランススクシニラーゼ metA11(特許出願 PCT IB2004/001901に記載)をゲノムに導入した。この目的のため、metA11対立遺伝子を、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、大腸菌染色体から増幅した。
MetArcF(4211786−4211883;配列番号32):ggcaaatttt ctggttatct tcagctatct ggatgtctaa acgtataagc gtatgtagtg aggtaatcag gttatgccga ttcgtgtgcc ggacgagc;
MetArcR(4212862−4212764;配列番号33):cggaaataaa aaaggcaccc gaaggtgcct gaggtaaggt gctgaatcgc ttaacgatcg actatcacag aagattaatc cagcgttgga ttcatgtgc。
プラスミドpKD46を、metA11対立遺伝子を持つDNA断片で形質転換した株MG1655 ΔmetJ ΔmetA ΔthrCおよびMG1655 ΔmetJ ΔmetAに導入した。修飾M9プレート(必要であれば、トレオニンを補充)上でメチオニン自家栄養についてクローンを選択した。
実施例1におけるmetBAtを用いたpSB3およびpSB4の構築と同様に、その適切なプロモータを有する大腸菌のmetB遺伝子を、オリゴヌクレオチドMetBFおよびMetBRで増幅し、PCR増幅産物を制限部位PstIおよびHindIIIにクローニングすることによって、ベクターpSB1およびpSB2にクローニングした。
MetBF(4125957−4125982)(配列番号34):ttagacagaa [ctgcag]cgcc gctccattca gccatgagatac;
MetBR(4127500−4127469)(配列番号35):cgtaacgccc [aagctt]aaat aacacttcac atcagccaga ctactgcc。
結果生じたベクターをpSB5(pME101thrA−metBEc)およびpSB6(pME101thrA−thrB−metBEc)と命名する。
次いで、プラスミドpSB3、pSB4、pSB5およびpSB6を、MG1655 ΔmetJ metA11 ΔthrCおよびMG1655 ΔmetJ metA11株に導入した。
実施例4:硫酸または硫化水素を硫黄源として用いたホスホホモセリンおよび/またはO−スクシニルホモセリンを介したメチオニン生成
実施例1〜3で構築した株のアミノ酸生成を、5g/lのMOPS、5g/lのグルコースおよびおそらくは2mMのトレオニンが補充された修飾M9培地(Anderson, 1946, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 32:120-128)を用いて、小エルレンマイヤーフラスコ培養において分析する。硫化水素を硫黄源として用いる場合、全ての硫酸含有塩を等モル量の塩化物含有塩に置き替える。硫化物を硫化アンモニウム(10mM)として供給する。必要であれば、100mg/lの濃度でスペクチノマイシンを添加する。一夜培養を行い、30mlの培養物を植菌してOD600を0.2とする。培養物のOD600が4.5〜5に達したら、1.25mlの50%グルコース溶液および0.75mlの2M MOPS(pH6.9)を添加し、培養物を1時間攪拌する。次いで、必要であれば、IPTGを添加する。
バッチ段階中に、細胞外代謝産物を分析する。OPA/Fmoc誘導体化後、HPLCによってアミノ酸を定量化し、シリル化後に、他の関連する代謝産物を、GC−MSを用いて分析する。
Figure 2008529485
γ−エリミナーゼ活性が低いA. thalianaからのMETBを使用するメチオニン生成により、γ−エリミナーゼ反応を介したイソロイシン生成は著しく減少するが、メチオニン生成は強く影響を受けない。これは、大腸菌経路を単独で使用し、γ−脱離を介して、かなりの量の副産物イソロイシンが生成される実験と対照的である。
実施例5:アセチル−ホモセリンおよびH Sを基質として受容する酵母MetB酵素を使用する、メチオニン生成株の構築および評価
酵母のγ−エリミナーゼ活性を生体内で試験し、そのメチオニン生成に関する潜在能力を評価するために、以下の株を構築した。Saccaromyces cerevisiaeのホモセリンアセチルトランスフェラーゼをコードするMET2遺伝子を、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、ゲノムDNAからPCRによって増幅した:
Ptac−metAlevF(配列番号36):tgctacagct ggagctgttg acaattaatc atcggctcgt ataatgtgtg gaaggaggac agaccatgtc gcatacttta aaatcgaaaa cgctccaaga gc;
Ptac−metAlevR(配列番号37):CGTACTGACG ACCGGGTCCT ACCAGTTGGT AACTTCTTCG GCCTCACC。
次いで、PCR断片を、ベクターpACYC184の制限部位PvuIIおよびDrdIにクローニングし、ベクターpSB7を得た。オリゴヌクレオチドPtac−metAlevFは、ベクターpACYC184から酵母MET2遺伝子の発現を引き起こすpTACプロモータを有する。
酵母アセチル−ホモセリンスルフヒドリラーゼ(MET17)を、オリゴヌクレオチドmetBlevおよびgapA−metBlevFを用いて増幅した。同時に、大腸菌gapAプロモータを、オリゴヌクレオチドgapA−metBlevRおよびGapAFを用いて増幅した。その後、MET17遺伝子を、オリゴヌクレオチドmetBlevおよびGapAFのみを用いて、融合PCRによりgapAプロモータに融合した(詳細については先の記載を参照)。
gapA−metBlevR(38−75:1860797−1860761;配列番号38):GGCCGGCGTG TAGTTGAACA GTATCGAAAT GAGATGGCAT ATATTCCACC AGCTATTTGT TAGTGAATAA AAGG;
gapA−metBlevF(1−38:1860761−1860797;(配列番号39)):ccttttattc actaacaaat agctggtgga atatatgcca tctcatttcg atactgttca actacacgcc ggcc;
metBlev(配列番号40):TAATCGC[GGAT CC]GCGTCATG GTTTTTGGCC AGCG;
GapAF(1860639−1860661;配列番号41):acgt[cccggg] caagcccaaa ggaagagtga ggc。
融合断片を、実施例1に記載したベクターpSB1のSmaIおよびBamHI部位にクローニングし、ベクターpSB8を得た。
ベクターpSB7およびpSB8の両方を株ΔmetJ ΔmetB ΔmetAに形質転換し、DmetBJ DmetC DmetA pSB7 pSB8を得た。この株は、遅延期を経た後に、0.21h−1の増殖速度で増殖した。プラスミドおよび変異を検証し、メチオニン量を定量した。
Figure 2008529485
表3は、メチオニン生成量が、酵母MET2およびMET17遺伝子の存在下では著しく増大することを示している。同時に、イソロイシン生成量は低下した。これは、MET17酵素のγ−エリミナーゼ活性が低いことで説明された(酵母アセチル−ホモセリンスルフヒドリラーゼのγ−エリミナーゼ活性を、実施例1に記載されるように生体内で測定した)。
実施例6:Methanosarcina barkeri由来の古細菌metBを発現するメチオニン生成株(株Fusaro)の構築および評価
植物と同様に、古細菌でも、メチオニン生合成はホスホホモセリンを介して進行すると考えられる。故に、植物酵素と同様、Methanosarcina由来のMetBも低いγ−エリミナーゼ活性を有するものと仮定する。そこで、オリゴヌクレオチドmetBmethanoおよびgapA−metBmethanoRを用いて、Methanosarcina metBをPCR増幅する。前述のように、次いで、プロモータを増幅するためにオリゴヌクレオチドgapA−metBmethanoFおよびGapAFを用い、かつ実際の融合のためにmetBmethanoおよびGapAFを用いて、大腸菌由来のgapAプロモータをmetB遺伝子に融合する。結果生じた断片をベクターpJB137の制限部位SmaIにクローニングし、プラスミドpSB9を得る。
MetBmethano(配列番号42):GTCCCCCGGG AATCTAGTCT AGATTAAATT ACTTCAAGG GCCTGTTTGA GG;
gapA−metBmethanoR(32−69:1860797−1860761)(配列番号43):cacattttgt tgcaaacttc acttctcttt ccatatattc caccagctat ttgttagtga ataaaagg;
gapA−metBmethanoF(1−38:1860761−1860797)(配列番号44):ccttttattc actaacaaat agctggtgga atatatggaaa gagaagtgaa gtttgcaaca aaatgtg;
GapAF(1860639−1860661)(配列番号45):acgt[cccggg] caagcccaaa ggaagagtga ggc。
プラスミドpSB9を、株ΔmetJ metA11、ΔmetJ ΔmetA ΔmetBおよびΔmetJ ΔmetA ΔmetB ΔthrCに導入し、結果生じた株を実施例2に記載されるように発酵させる。大腸菌metB遺伝子を有するプラスミドpSB5を持つ株ΔmetJ metA11と比較すると、メチオニン生成が増大し、イソロイシン生成が低下する。これは、おそらくは、古細菌metB酵素のγ−エリミナーゼ活性が低いことに起因するものと考えられる。
実施例7:Chloroflexus aurantiacusのmetB遺伝子を発現する株の構築および評価
図2のアラインメントは、Chloroflexus aurantiacusのMetB酵素が、ホスホホモセリンを基質として認識するのに必要な幾つかのアミノ酸を所定の位置に有することを示している。故に、この酵素は、植物METBと同様に、大腸菌酵素と比較してより低いγ−エリミナーゼ活性を有しているものと仮定する。metB酵素の使用が、メチオニン生成において有益であるかどうかを解明するために、オリゴヌクレオチドmetBchloroおよびgapA−metBchloroRを用いてChloroflexus metBをPCR増幅する。上述のように、次いで、プロモータ増幅のためにオリゴヌクレオチドgapA−metBchloroFおよびGapAFを用い、かつ実際の融合のためにmetBchloroおよびGapAFを用いて、大腸菌由来のgapAプロモータをmetB遺伝子に融合する。結果生じた断片をべクターpACYC177(Biolabs)の制限部位BamHIおよびSmaIにクローニングし、ベクターpSB10を得る。
metBchloro(配列番号46):ACGT[GGATCC] GAATTCCTTA TTCGTCGGCA AGAGCCTGTT GC;
gapA−metBchloroR(33−70:1860797−1860761)(配列番号47):ggccgtacgg gtccggtaaa ctgatcgata gccatatatt ccaccagcta tttgttagtg aataaaagg;
gapA−metBchloroF(1−38:1860761−1860797)(配列番号48):ccttttattc actaacaaat agctggtgga atatatggct atcgatcagt ttaccggacc cgtacggcc;
GapAF(1860639−1860661)(配列番号49):acgt[cccggg] caagcccaaa ggaagagtga ggc。
メチオニン生合成における酵素を評価するために、プラスミドpSB10を株ΔmetJ metA11、ΔmetJ ΔmetA ΔmetBおよびΔmetJ ΔmetA ΔmetB ΔthrCに導入し、結果生じた株を実施例2に記載されるように発酵させる。大腸菌metB遺伝子を有するプラスミドpSB6を持つ株ΔmetJ metA11と比較すると、メチオニン生成が著しく増大する。
実施例8:酵母ホモセリンアセチルトランスフェラーゼおよびCorynebacterium glutamicum由来のアセチルホモセリンスルフヒドリラーゼmetYを発現する株の構築
C. glutamicumのγ−エリミナーゼ活性を生体内で試験し、そのメチオニン生成に関する潜在能力を評価するために、以下の株を構築する。
C. glutamicumアセチル−ホモセリンスルフヒドリラーゼ遺伝子metYのコドン使用頻度は大腸菌に適合しており、生体外で合成される。同時に、大腸菌のgapAプロモータを添加する。
次いで、融合断片を実施例1に記載されたベクターpSB1のSmaIおよびBamHI部位にクローニングし、ベクターpSB11を得る。
酵母ホモセリンアセチルトランスフェラーゼを担持するベクターpSB7およびpSB11の双方を、株MG1655 ΔmetJ metA11およびΔmetJ ΔmetB ΔmetAに形質転換し、メチオニン生成量を測定する。酵母ホモセリンアセチルトランスフェラーゼおよびコドン適合型コリネバクテリウム属アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼmetYの存在下では、硫黄源として硫化水素または硫酸を用いて増殖させると、メチオニン生成量が著しく増大することが分かる。同時に、イソロイシン生成量は著しく低下する。あるいは、コリネバクテリウム属由来のコドン適合型ホモセリントランスフェラーゼを、酵母酵素の代わりに使用してもよい。
実施例9:γ−脱離活性が低い大腸菌ホモセリンスクシニルトランスフェラーゼを発現する株の構築
イソロイシンがその標準的な生合成経路を介して生成されないことを確保するために、遺伝子ilvAおよび第2のトレオニンデアミナーゼを持つオペロンtdcABCDEFGを欠失させた。
上述の欠失方法および以下のオリゴヌクレオチドを用いて、ilvA遺伝子を欠失させた。
DilvAF(配列番号50):
GgctgactcgcaacccctgtccggtgctccggaaggtgccgaatatttaagagcagtgctgcgcgcgccggtttacgaggTGT AGGCTGGAGCTGCTTCG。
このオリゴヌクレオチドは、以下の領域を有する:
−遺伝子ilvAの配列(3952954−3953033)と相同な領域(下部ケース)(ウェブサイトhttp://genolist.pasteur.fr/Colibri/上の参照配列);
−クロラムフェニコール耐性カセットの増幅用領域(上部ケース)(Datsenko, K.A. & Wanner. B.L., 2000, PNAS, 97:6640-6645における参照配列)。
DilvAR(配列番号51):
cctgaacgccgggttattggtttcgtcgtggcaatcgtagcccagctcattcagccgggtttcgaaatccggttcatggCATAT GAATATCCTCCTTAG。
このオリゴヌクレオチドは、以下の領域を有する:
−遺伝子ilvAの配列(3954478−3954400)と相同な領域(下部ケース);
−クロラムフェニコール耐性カセットの増幅用領域(上部ケース)。
オリゴヌクレオチドDilvARおよびDilvAFを使用して、プラスミドpKD3由来のクロラムフェニコール耐性カセットを増幅した。次いで、得られたPCR産物をエレクトロポレーションによって株MG1655 ΔmetBJ metA11(pKD46)およびΔmetJ metA11(pKD46)に導入した。これらの株では、発現するRed組み換え酵素により相同的組み換えが可能となる。次いで、クロラムフェニコール耐性形質転換体を選択し、耐性カセットの挿入を、以下に規定するオリゴヌクレオチドilvARおよびilvAFを用いたPCR分析により検証した。結果生じた株は、ΔmetBJ metA11 ΔilvAであった。
ilvAR(3954693−3954670)(配列番号52):gccccgaaccggtgcgtaaccgcg;
ilvAF(3952775−3952795)(配列番号53):ggtaagcgatgccgaactggc。
IlvAに加えて、トレオニンデヒドラターゼ(TdcB)は、嫌気性または微好気性条件下でトレオニンのα−ケト酪酸への脱アミノ反応を触媒することが知られている。この酵素がα−ケト酪酸生成に寄与する可能性を取り除くために、株ΔmetBJ metA11 ΔilvAのゲノムから遺伝子を欠失させた。TdcBは、後述の4つのオリゴヌクレオチドを用いて、先の変異に関して上述したのと同様の方法で欠失させたオペロンtdcABCDEFGの一部である。DtdcGRおよびDtdcAFをカセットの増幅のために使用し、検証のためにtdcGRおよびtdcGFを使用した。
DtdcGR(3255915−3255993)(配列番号54):
gctgacagcaatgtcagccgcagaccactttaatggccagtcctccgcgtgatgtttcgcggtatttatcgttcatatcCATATGAATATCCTCCTTAG;
DtdcAF(3264726−3264648)(配列番号55):
GgtaattaacgtaggtcgttatgagcactattcttcttccgaaaacgcagcacctggtagtctttcaggaagtcattagTGTAGGCTGGAGCTGCTTCG;
tdcGR(3255616−3255640)(配列番号56):
gcgtctgcaatgacgcctttattcg;
tdcAF(3264922−3264899)(配列番号57):
Cgccataaaatatggttatccccg。
結果生じた株は、ΔmetBJ metA11 ΔilvA ΔtdcABCDEFGと命名した。
大腸菌シスタチオニン−γ−シンターゼ/スルフヒドリラーゼ(MetB)のγ−エリミナーゼ活性を低下させるために、基質システインの結合に関与する領域に変異を導入した。この目的のために、大腸菌metBを、オリゴヌクレオチドMetBFおよびMetBR(括弧内の数字は、大腸菌ゲノム上の位置に相当する)を用いてゲノムDNAからPCR増幅した。PCR断片をPstIおよびHindIIIによって制限し、pUC18の同じ制限部位にクローニングした。
MetBF(4125957−4125982)(配列番号58):ttagacagaa [ctgcag]cgcc gctccattca gccatgagat ac;
MetBR(4127500−4127469)(配列番号59):cgtaacgccc[a agctt]aaata acacttcaca tcagccagac tactgcc。
次いで、大腸菌シスタチオニン−γ−シンターゼ/スルフヒドリラーゼに変異を導入すると、アミノ酸変異T335A/A337P、R49LおよびD45Vが生じた。
以下のオリゴヌクレオチド対を使用してStratageneのQuick changeTM部位特異的突然変異誘発KITに従って、部位特異的突然変異誘発により、各変異の導入を行った。制限部位(括弧内)を検証のために導入した。
metBT335A/A337PF(配列番号60):cgcgcttctg gtgccatgcc cggatgtg[cc atgg]ttgcgg cg;
metBT335A/A337PR(配列番号61):cgccgcaa[cc atgg]cacatc cgggcatggc accagaagcg cg;
metBR49LF(配列番号62):gaac[ctcgag]cgcatgattactcgcgt[ctg]ggcaacccaacgcgcg
metBR49LR(配列番号63):cgcgcgttgggttgcccagacgcgagtaatcatgcgctcgaggttc
metBD45VF(配列番号64):gaacctcgagcgcatgtactcgcgtcgcggcaacccaacgcgcgat
metBD45VR(配列番号65):atcgcgcgttgggttgccgcgacgcgagtacacatgcgctcgaggttc。
結果生じた改変metB配列を、配列決定により検証し、PstIおよびHindIIIで制限処理し、ベクターpSB1の同じ部位にクローニングした。結果生じたプラスミドを、株ΔmetBJ metA11 ΔilvA ΔtdcABCDEFGに形質転換した。上述のように、小エルレンマイヤーフラスコ培養において株を評価した。γ−脱離により生成するイソロイシン量は著しく低下したが、メチオニン合成は僅かに影響を受けただけであった。これは、低いγ−脱離活性および重要なシスタチオニン−γ−シンターゼ活性の保持と関連する。
Figure 2008529485
図1は、オキサロアセテートをトレオニン、イソロイシンおよびメチオニンに転換する代謝経路を示している。MetB相同体は、少なくとも3つの反応を触媒することができる:γ−シスタチオニンの合成、活性化ホモセリンのスルフヒドリル化またはγ−脱離。ホスホホモセリンを優先的に受容するMetB相同体は赤で示され、スクシニルホモセリンを受容する酵素は青で示され、アセチルホモセリン変換酵素(MetB/metZ)は緑で示されている。 図2は、植物および細菌種のシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアセチルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性を有する酵素のアラインメントを示している。灰色のボックスに示される残基により、該酵素はホスホホモセリン結合に特異的となる。高度に保存されたアミノ酸は赤で示され、保存された残基は青で示されている。

Claims (26)

  1. シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ活性の1つまたは幾つかを有し、かつ同時に低いγ−脱離活性を有する酵素が発現する、微生物。
  2. シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼが、大腸菌シスタチオニン−γ−シンターゼと比較して少なくとも2倍劣る、好ましくは少なくとも10倍劣るγ−脱離活性を有するものである、請求項1に記載の微生物。
  3. ホスホホモセリン受容シスタチオニン−γ−シンターゼ/ホスホホモセリンスルフヒドリラーゼが発現するものである、請求項1または2に記載の微生物。
  4. 前記シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼが、植物の、好ましくはArabidopsis thalianaのMETB遺伝子である、請求項3に記載の微生物。
  5. 前記シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはO−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼが、Saccharomyces cerevisiaeのMETB遺伝子である、請求項1または2に記載の微生物。
  6. 前記シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼが、古細菌、好ましくはMethanosarcina barkeri由来のものである、請求項1または2に記載の微生物。
  7. 前記シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼが、Chloroflexaceae、好ましくはChloroflexus aurantiacus由来のものである、請求項1または2に記載の微生物。
  8. 前記酵素が、次の位置におけるそれぞれのアミノ酸:107E、111Y、165K、および403Sの少なくとも2つを有するものである、請求項1または2に記載の微生物。
  9. 前記シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼが、グラム陽性細菌のmetYおよび/またはmetB遺伝子である、請求項1または2に記載の微生物。
  10. 天然または異種のシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ酵素が最適化され、結果としてγ−エリミナーゼ活性が低下することにより、イソロイシンを犠牲にしてメチオニン選択性が増強されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の微生物。
  11. 337位にプロリンを有する、最適化されたシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ酵素が発現するものである、請求項1に記載の微生物。
  12. 335位にアラニンを有する、最適化されたシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ酵素が発現するものである、請求項1に記載の微生物。
  13. 335位にアラニンを有し、かつ337位にプロリンを有する、最適化されたシスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼ酵素が発現するものである、請求項1に記載の微生物。
  14. 前記シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼをコードするポリヌクレオチドが過剰発現するものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の微生物。
  15. 前記シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはホスホホモセリンスルフヒドリラーゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼの触媒特性が向上したものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の微生物。
  16. 対応するアシルホモセリン受容シスタチオニン−γ−シンターゼおよび/またはアシルホモセリンスルフヒドリラーゼの使用を許容する異種ホモセリンアシルトランスフェラーゼが導入されたものである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の微生物。
  17. 幾つかの異なるハイブリッド経路が、ホモセリンからホモシステインおよび/またはシスタチオニンを能動的に生成しているものである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の微生物。
  18. 生成すべき所望のアミノ酸の生合成経路の更なる遺伝子が更に増強されたものである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の微生物。
  19. 前記所望のアミノ酸の生成を低下させる代謝経路が、少なくとも部分的に低減されたものである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の微生物。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の微生物を用いて、アミノ酸、特にメチオニン、その前駆体または誘導体を発酵により製造するための方法であって、
    a)所望のアミノ酸を生成する前記微生物を発酵させる工程と、
    b)前記細菌の細胞内または培地内の所望の生成物を濃縮する工程と、
    c)前記所望のアミノ酸/最終生成物の一部または全量(0〜100%)において任意に残存する発酵ブロスおよび/またはバイオマスの構成成分を単離する工程と
    を含んでなる、方法。
  21. 硫黄分子/化合物が、システインから任意の活性化ホモセリンに転移する、請求項20に記載の方法。
  22. 硫黄分子/化合物が、HSから任意の活性化ホモセリンに直接転移する、請求項20に記載の方法。
  23. 前記培地内の硫黄源が硫酸塩または誘導体である、請求項20に記載の方法。
  24. 前記培地内の硫黄源がチオ硫酸塩である、請求項20に記載の方法。
  25. 前記培地内の硫黄源がHSである、請求項20に記載の方法。
  26. 前記培地内の硫黄源がメチルメルカプタンである、請求項20に記載の方法。
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