JP5942980B2 - 芳香族ポリアミドの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、一般に芳香族ポリアミドは、分子内水素結合および芳香族基間でのスタッキングから、分子間の凝集力が大きく、有機溶媒に対する溶解性が著しく低いという問題や、反応中に不溶化する等の問題がある。
このポリマーの製造法としては、AB2手法またはA2+B3手法の2種類の方法が知られており、AとBは、モノマー中の官能基に相当する。
例えば、AB2ルートでは、1個の官能基Aと2個の官能基Bを有する3官能性モノマーが反応してハイパーブランチポリマーを与える。
一方、A2+B3ルートでは、2個の官能基Aを有するモノマーが、3個の官能基Bを有するモノマーと反応してハイパーブランチポリマーを与える。このルートにおいて、理想的な場合には、1個の官能基Aおよび2個の官能基Bのみを有する2つのモノマーの1:1付加物が生成し、この付加物が、さらに反応してハイパーブランチポリマーを与える。
しかしながら、これらの手法では、不溶化の制御が困難であり、反応に長時間を有するという問題がある。
また、後の比較例で示すように、少なくとも非特許文献2のような手法で得られたハイパーブランチ型芳香族ポリアミドも、有機溶媒に対する溶解性は不足している。
1. ベンゼントリカルボン酸トリハライドと、ジアミン化合物と、前記ベンゼントリカルボン酸またはその誘導体と反応し得る官能基を1つ有する、ベンゼントリカルボン酸トリハライド1当量に対し0.1〜5当量の一官能物質と、必要に応じて芳香族ジカルボン酸ジハライドとのみを反応させることを特徴とする、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を含み、ゲル浸透クロマトグラフィによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が1,000〜100,000である芳香族ポリアミドの製造方法、
2. ベンゼントリカルボン酸トリハライド1当量に対し、ジアミン化合物を0.01〜10当量反応させる1の芳香族ポリアミドの製造方法、
3. 前記Aが、前記式(2)、(5)、(6)、(7)、(11)、(13)および(26)で示される群から選ばれる少なくとも1種である1または2の芳香族ポリアミドの製造方法、
4. 前記Aが、下記式で示される群から選ばれる少なくとも1種である1または2の芳香族ポリアミドの製造方法、
6. 前記一官能性物質が、アニリン、フェノールまたはメタノールである5の芳香族ポリアミドの製造方法、
7. 前記一官能性物質が、アニリンである1の芳香族ポリアミドの製造方法
を提供する。
また、本発明の芳香族ポリアミドは、有機溶媒への溶解性に優れていることから、塗布方式を用いて容易に薄膜化することができ、その薄膜は、高耐熱性、高透明性、高屈折率という特性を有している。
このような特性を有する本発明の芳香族ポリアミドを用いて作製した膜は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、光半導体(LED)素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)などの電子デバイスを作製する際の一部材として好適に利用できる。
本発明に係る芳香族ポリアミドは、ベンゼントリカルボン酸またはその誘導体と、ジアミン化合物とを、ベンゼントリカルボン酸またはその誘導体と反応し得る官能基を1つ有する一官能物質の存在下で反応させて得られ、式(1)で表される繰り返し単位構造を含むものである。
ここで、アルキル基の炭素数としては特に限定されるものではないが、1〜20が好ましく、ポリアミドの耐熱性をより高めることを考慮すると、1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、その構造は、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2,−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、o−クロルフェニル基、m−クロルフェニル基、p−クロルフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−シアノフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
その具体例としては、ベンジル基、p−メチルフェニルメチル基、m−メチルフェニルメチル基、o−エチルフェニルメチル基、m−エチルフェニルメチル基、p−エチルフェニルメチル基、2−プロピルフェニルメチル基、4−イソプロピルフェニルメチル基、4−イソブチルフェニルメチル基、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。
また、式(1)におけるAは、式(2)〜(26)で示される少なくとも1種を表す。
上記炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルケニル基としては、ビニル基、アリル基(2−プロペニル基)、3−ブテニル基、4−ペンテニル基等が挙げられる。
炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられる。
なお、上記アルキル基、アルコキシ基としては上記と同様のものが挙げられる。
これらハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキレン基としては上記と同様のものが挙げられる。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である。
例えば、下記スキーム1に示されるように、繰り返し構造(28)を有する芳香族ポリアミドは、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリハライド(29)およびm−フェニレンジアミン(30)を、一官能性物質であるアニリン(31)の存在下、適当な有機溶媒中で反応させて得ることができる。
また、アニリン等の一官能性物質の仕込み量としては、特に限定されるものではないが、得られる芳香族ポリアミドの溶解性を向上させることを考慮すると、ベンゼントリカルボン酸またはその誘導体1当量に対し、0.01〜10当量が好ましく、0.1〜5当量がより好ましい。
また、各成分の配合順序は特に限定されるものではなく、全てを一括で混合しても、1成分ずつ順次仕込んで混合しても、いずれか2成分の混合物と残りの1成分とを混合してもよいが、ジアミン化合物と一官能性物質との混合物およびベンゼントリカルボン酸(誘導体)を混合する手法が好適である。
したがって、上記スキーム1の反応で得られた芳香族ポリアミドにおいても、ハイパーブランチ型の上記繰り返し構造(28)の他に、アニリンが反応した中間体が重合したリニア型の下記繰り返し構造(28′)も存在していると考えられるが、本明細書では、便宜的に繰り返し構造(28)のようなハイパーブランチ型の繰り返し構造を主構造として記載する。
中でもN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびそれらの混合溶媒が好ましく、特に、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好適である。
上記反応では、通常用いられる種々の塩基を用いることができる。
この塩基の具体例としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
塩基の添加量は、ベンゼントリカルボン酸またはその誘導体1当量に対して1〜100当量が好ましく、1〜10当量がより好ましい。なお、これらの塩基は水溶液にして用いてもよい。
反応終了後、生成物は再沈法等によって容易に精製できる。
また、ベンゼントリカルボン酸トリハライドを構成するハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
そのような物質としては、分子中に、アミノ基、水酸基、チオール(メルカプト)基、イソシアナート基、イソチオシアナート基等を有する物質が挙げられるが、本発明においては、アミノ基または水酸基を有する一官能性物質が好適である。
チオール基を有する一官能性物質の具体例としては、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール等の脂肪族モノチオール;チオフェノール等の芳香族モノチオール;ベンゼンメタンチオール等の芳香脂肪族モノチオールなどが挙げられる。
イソチオシアナート基を有する一官能性物質の具体例としては、イソチオシアン酸ブチル、イソチオシアン酸ドデシル等の脂肪族モノイソチオシアネート;イソチオシアン酸フェニル等の芳香族モノイソチオシアネート;イソチオシアン酸ベンジル等の芳香脂肪族モノイソチオシアネート;イソチオシアン酸シクロヘキシル等の脂環式モノイソチオシアネートなどが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸およびその誘導体としては、1,4−ベンゼンジカルボン酸ジハライド(テレフタロイルハライド)、1,3−ベンゼンジカルボン酸ジハライド(イソフタロイルハライド)、1,2−ベンゼンジカルボン酸ジハライド(フタロイルハライド)等が挙げられる。ここでハライドとしては、クロライド、ブロマイドが好ましい。
芳香族ジカルボン酸およびその誘導体の配合量としては、ハイパーブランチ構造が生成し得る限り特に限定されるものではないが、ベンゼントリカルボン酸およびその誘導体の総量1当量に対し、0.01〜0.5当量が好ましく、0.1〜0.4当量がより好ましい。
芳香族ポリアミドを溶解するのに用いる溶剤は、重合時に用いた溶媒と同じものでも別のものでもよい。
このような溶剤の具体例としては、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノーマルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルケトン、酢酸ノーマルプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ノーマルブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アリルアルコール、ノーマルプロパノール、2−メチル−2−ブタノール、イソブタノール、ノーマルブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N−シクロヘキシル−2−ピロリジノン等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でもポリマーの溶解性および保存安定性の観点から、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等が好適である。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製(旧(株)ジェムコ製))、商品名メガファックF171、F173、R−08、R−30(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、BYK−302、BYK−307、BYK−322、BYK−323、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−375、BYK−378(ビックケミー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
そのような化合物としては、メチロール基、メトキシメチル基などの架橋形成置換基を有するメラミン系化合物、置換尿素系化合物、エポキシ基またはオキセタン基などの架橋形成置換基を含有する化合物、ブロック化イソシアナートを含有する化合物、酸無水物を有する化合物等が挙げられるが、耐熱性や保存安定性の観点からエポキシ基またはオキセタン基を含有する化合物が好ましい。
なお、これらの化合物は、芳香族ポリアミドの末端処理に用いる場合は少なくとも1個の架橋形成置換基を有していればよく、芳香族ポリアミド同士の架橋処理に用いる場合は少なくとも2個の架橋形成置換基を有する必要がある。
なお、上記その他の成分は、芳香族ポリアミドと溶剤との混合と同時に添加しても、その後に添加してもよく、特に限定されない。
組成物の塗布方法は任意であり、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を採用できる。
焼成温度は、溶媒を蒸発させる目的では特に限定されないが、例えば40〜400℃で行うことができる。これらの場合、より高い均一製膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で2段階以上の温度変化をつけてもよい。
焼成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレートやオーブンを用いて、大気、窒素等の不活性ガス、真空中等の適切な雰囲気下で蒸発させればよい。
焼成温度および焼成時間は、目的とする電子デバイスのプロセス工程に適合した条件を選択すればよく、得られる膜の物性値が電子デバイスの要求特性に適合するような焼成条件を選択すればよい。
(1)GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)
装置:SHIMADZU社製 SCL−10Avp GPCに改造
カラム:Shodex K−804L+K−805L
カラム温度:60℃
溶媒: N−メチル−2−ピロリドン(1%LiCl添加)
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
(2)1H−NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:DMSO−d6
内部標準:テトラメチルシラン
(3)全光透過率,ヘイズ
装置:日本電色工業(株)製 NDH5000
(4)屈折率
装置:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製 多入射角分光エリプソメーターVASE
(5)示差熱天秤(TG−DTA)
装置:(株)リガク製 TG−8120
昇温速度:10℃/分
測定温度:20〜500℃
(6)Photo DSC
装置:NETZSCH製 DSC 204F1 Phoenix
昇温速度:30℃/分
測定温度:25〜300℃
(7)鉛筆硬度
装置:(株)安田精機製作所製 鉛筆硬度計No.553−M FILM HARDNESS TESTER BY MEANS OF PENCILS
測定法:JIS−K5600−5−4記載に従い、薄膜面に対して角度45°,荷重750gで鉛筆を7mmの距離を押し、欠陥による圧痕が生じるまで鉛筆の硬さを順次増して測定した。
TmPDA−AnのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12600、多分散度Mw/Mnは2.38であった。
TAS−AnのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8090、多分散度Mw/Mnは4.19であった。
TFdA−AnのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12900、多分散度Mw/Mnは1.87であった。
TmPDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2717、多分散度Mw/Mnは2.77であった。
TASのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは85551、多分散度Mw/Mnは38.81であった。
TFdAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12900、多分散度Mw/Mnは1.87であった。
HPODAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは14700、多分散度Mw/Mnは4.60であった。
HPDDMのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは14600、多分散度Mw/Mnは4.12であった。
HPEDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは7600、多分散度Mw/Mnは2.79であった。
HPDABAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11300、多分散度Mw/Mnは5.03であった。
HPDAFのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8600、多分散度Mw/Mnは4.29であった。
HPAMCのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2500であった。
HPOAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3000、多分散度Mw/Mnは2.40であった。
LPmDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは8800、多分散度Mw/Mnは2.09であった。
上記実施例1〜11および比較例1〜3で得られた各ポリマーについて、DSCによりガラス転移温度(Tg)を、TG−DTAにより5%重量減少温度(Td5%)を、それぞれ測定した。結果を表1に示す。
(1)有機溶媒
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
ジメチルスルホキシド(DMSO)
5質量%純水を含むテトラヒドロフラン(THF)
5質量%純水を含むシクロヘキサノン(CYH)
(2)評価基準
○:ポリマーは完全に溶解し、透明な溶液となる。
△:ポリマーは溶解するが、白色溶液となる。
×:ポリマーは完全に不溶、あるいは一部膨潤して溶け残る。
[実施例12〜22]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1〜11で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー0.2000gをそれぞれ加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.8000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニスを得た。
調製した各ポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて2000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、150℃のホットプレートで10分焼成し、トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの薄膜を得た。
得られた各薄膜について、HAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した。それら結果を表3に示す。
[実施例23〜27]
上記実施例12,15,16,18および19にて150℃で10分焼成した薄膜を、さらに300℃で10分焼成することで熱硬化させた薄膜を得た。焼成後の薄膜に関してHAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した結果を表4に示す。
また、300℃で焼成後の薄膜をDMAcに1分浸漬させた後、エアーで乾燥し、150℃のホットプレートで10分焼成した。残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定した。300℃焼成後の膜厚を初期膜厚(100%)とした場合の残膜率を併せて表4に示す。
HPpDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは12900、多分散度Mw/Mnは3.91であった。
HPDA5MGのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは19300、多分散度Mw/Mnは6.90であった。
[実施例30,31]
上記実施例28,29で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーを用い、上記実施例12〜22と同様に、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニスを調製し、薄膜を作製した。
得られた各薄膜について、HAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した。それらの結果を表5に示す。
[実施例32〜41]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1〜7,9,28および29で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー0.4000gをそれぞれ加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。
調製した各ポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、150℃のホットプレートで10分焼成し、トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの薄膜を得た。
得られた各薄膜について、プリズムカプラ(メトリコン(登録商標)モデル2010/Mプリズムカプラ、メトリコン社製)を用いて複屈折率を測定した。それらの結果を表6に示す。
[実施例42〜45]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1,2,6および28で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマー0.4000gをそれぞれ加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。
調製した各ポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、150℃のホットプレートで10分焼成し、トリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーの薄膜を得た。
得られた各薄膜について、直径6mm、厚さ70nmのアルミニウムを蒸着し、LCRメーター(Agilent E4980AプレシジョンLCRメーター、Agilent Technologies社製)を用いて誘電率を測定した。それら結果を表7に示す。
[実施例46]
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An0.4000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。
調製したポリマーワニスを、石英基板上にスピンコーターを用いて1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、300℃のホットプレートで10分焼成し、熱硬化した薄膜を得た。さらに熱硬化した薄膜について、300〜350℃で30分焼成して耐熱性を検討した。焼成後の薄膜に関してHAZE値、全光透過率、および屈折率を測定した結果を表8に示す。また各温度での焼成後の膜厚を初期膜厚(100%)と比較した場合の残膜率を併せて表8に示す。
[実施例47]
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An0.4000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))1.6000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス1.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))0.293gを加え、その後架橋剤としてエポキシ基を含有する化合物EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)0.040g(ポリマーの固形分100質量部に対して20.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnEP1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnEP1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後2000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで20分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は293.8nmであった。
上記薄膜の膜厚293.8nmを初期膜厚とした。この薄膜を良溶媒の一つであるN,N−ジメチルアセトアミドに1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、高い溶剤耐性があることがわかった。
なお、溶剤耐性試験とは、本焼成後の被膜が溶剤への接触に対して、不溶化していることを示す試験である。溶剤耐性は被膜の上にレジストなどをリコートし、パターニングする後工程が加わった際に必要になる特性であり、溶剤耐性がない場合、リコートする際のレジスト溶剤に溶解してしまい、被膜とレジストとがミキシングされてしまって、本来の特性が発現しないことがある。
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.6907、633nmにおける屈折率は1.6836であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7近くあり、高い屈折率を有していることがわかった。
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnEP1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1000rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで20分焼成し、膜厚1μm程度の厚膜を得た。
得られた厚膜を220、240、260℃のホットプレートで1時間焼成し、この前後での透過率測定を行って耐熱性を評価した。結果を図17〜19に示す。
図19に示されるように、260℃の高温下で1時間焼成した際にも、可視領域(400〜800nm)での透過率が90%以上を維持しており、高い耐熱黄変性を持つことがわかった。
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An1.0000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))4.0000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス3.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))を0.7000g加え、その後、架橋剤としてアミノプラスト系架橋剤であるCymel303(日本サイテックインダストリーズ(株)製)を60質量%となるようPGMEで希釈した溶液0.300g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnCy1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnCy1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1500rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで5分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は691.1nmであった。
上記薄膜の膜厚691.1nmを初期膜厚とした。この薄膜をN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))に1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、150℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、加熱により薄膜が架橋されて高い溶剤耐性があることがわかった。
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.7105、633nmにおける屈折率は1.7032であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7以上と高い屈折率を有していることがわかった。
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An1.0000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))4.0000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス3.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))0.8200gを加え、その後、架橋剤としてフェノプラスト系架橋剤であるTM−BIP−A(旭有機材工業(株)製)0.1800g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnTM1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnTM1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1500rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、200℃のホットプレートで5分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は809.8nmであった。
得られた薄膜の膜厚809.8nmを初期膜厚とした。この薄膜をN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))に1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、150℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、加熱により薄膜が架橋されて高い溶剤耐性があることがわかった。
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.6935、633nmにおける屈折率は1.6867であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7近くあり、高い屈折率を有していることがわかった。
上記実施例48,49で作製したTmPDA−AnCy1およびTmPDA−AnTM1の薄膜の鉛筆硬度を測定した。また比較のため実施例23で作製したTmPDA−Anの薄膜に関しても同様に鉛筆硬度を測定した。得られた結果を表9に示す。
(1)熱硬化性組成物の調製
空気下、10mLサンプル瓶に、上記実施例1で得られたトリカルボニルベンゼン系高分岐ポリマーTmPDA−An1.0000gを加え、これに溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))4.0000gを加えてミックスローター(110rpm)を用い、室温にて完全に溶解して溶液が均一になるまで1時間撹拌した。撹拌後、ポリマーが完全に溶解した薄黄色透明溶液として固形分の総質量%が20質量%のポリマーワニスを得た。次いで、この20質量%ポリマーワニス3.0000gにN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))0.8800gを加え、その後、架橋剤としてビスフェノールM(東京化成工業(株)製)0.120g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して20.0質量部)を加えた。溶質が完全に溶解して溶液が均一になるまで撹拌し、固形分の総質量%が15質量%のポリマーワニス(以下、TmPDA−AnBP1と略す)を得た。
(2)被膜の作製
上記で得られたポリマーワニス(TmPDA−AnBP1)を、石英基板上にスピンコーターを用いて初め200rpm(5秒)、その後1500rpm(30秒)の条件でスピンコートし、大気下、300℃のホットプレートで10分焼成し、薄膜を得た。得られた薄膜の膜厚は722.9nmであった。
得られた薄膜の膜厚722.9nmを初期膜厚とした。この薄膜をN,N−ジメチルアセトアミドおよびシクロヘキサノンの混合溶媒(=DMAc/CYH=1/0.6(質量比))に1分完全に浸漬させた。次いで、エアーで乾燥後、150℃のホットプレートで1分焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。初期膜厚を100%とした際に、得られた薄膜の残膜率は100%であり、加熱により薄膜が架橋されて高い溶剤耐性があることがわかった。
上記で得られた薄膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.7121、633nmにおける屈折率は1.7042であった。このように、熱硬化性の架橋剤を添加した組成物から得られた薄膜においても、その屈折率は1.7以上と高い屈折率を有していることがわかった。
Claims (7)
- ベンゼントリカルボン酸トリハライドと、ジアミン化合物と、前記ベンゼントリカルボン酸またはその誘導体と反応し得る官能基を1つ有する、ベンゼントリカルボン酸トリハライド1当量に対し0.1〜5当量の一官能物質と、必要に応じて芳香族ジカルボン酸ジハライドとのみを反応させることを特徴とする、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を含み、ゲル浸透クロマトグラフィによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が1,000〜100,000である芳香族ポリアミドの製造方法。
W1およびW2は、互いに独立して、単結合、−(CR92R93)m−(R92およびR93は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基(ただし、これらは一緒になって環を形成していてもよい。)を表し、mは1〜10の整数を表す。)、O、S、SO、SO2、NR94、C=O、C(=O)O、OC(=O)、OC(=O)O、CONR95、NR96CO、NR97CONR98(R94〜R98は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキル基を表す。)を表し、
X1およびX2は、互いに独立して、単結合、炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基、または式(27)
Y1およびY2は、互いに独立して、単結合または炭素数1〜10の分岐構造を有していてもよいアルキレン基を表す。)
で示される基を表し、
nは1〜20の整数を表す。〕} - ベンゼントリカルボン酸トリハライド1当量に対し、ジアミン化合物を0.01〜10当量反応させる請求項1記載の芳香族ポリアミドの製造方法。
- 前記Aが、前記式(2)、(5)、(6)、(7)、(11)、(13)および(26)で示される群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の芳香族ポリアミドの製造方法。
- 前記一官能性物質が、アミノ基、水酸基、チオール基、イソシアナート基またはイソチオシアナート基を有する物質である請求項1〜4のいずれか1項記載の芳香族ポリアミドの製造方法。
- 前記一官能性物質が、アニリン、フェノールまたはメタノールである請求項5記載の芳香族ポリアミドの製造方法。
- 前記一官能性物質が、アニリンである請求項1記載の芳香族ポリアミドの製造方法。
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