JP6020469B2 - トリアジン環含有重合体およびそれを含む膜形成用組成物 - Google Patents
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Description
例えば、シロキサンポリマーと、ジルコニアまたはチタニアなどを分散させた微粒子分散材料とを混合してなるハイブリッド材料を用いて屈折率を高める手法(特許文献1)が報告されている。
さらに、シロキサンポリマーの一部に高屈折率な縮合環状骨格を導入する手法(特許文献2)なども報告されている。
これまで炭素および窒素からなる耐熱性有機材料としては、芳香族ポリイミドや芳香族ポリアミドが主として用いられているが、これらの材料は直鎖構造を有しているため耐熱温度はそれほど高くない。
また、耐熱性を有する含窒素高分子材料としてトリアジン系縮合材料も報告されている(特許文献4)。
求められる具体的な特性としては、1)耐熱性、2)透明性、3)高屈折率、4)耐光性、5)高溶解性、6)低体積収縮率がある。特に光学材料においては、光による劣化が問題となるため、耐光性の向上が求められている。耐光性を高めるために紫外線吸収剤などの添加や安定ラジカルを有する官能基の導入による劣化防止などが検討されているが、高分子化合物そのものが高い耐光性を有している例は少ない。
しかしながら、当該ハイパーブランチポリマーからなる膜は、厚膜化し難い等のいくつかの問題点があり、厚膜が要求される光学材料として用いるにはさらなる改良が必要であった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、高透明性および高耐光性で、かつ、1000nm以上の厚みの膜を作製可能な、トリアジン環含有重合体、およびこれを含む膜形成用組成物を提供することを目的とする。
1. ハロゲン化シアヌルと、脂環構造を有するジアミン化合物との反応物であり、少なくとも1つの前記ジアミン化合物に由来する末端アミノ基を有し、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を含むことを特徴とするトリアジン環含有ハイパーブランチポリマー、
2. 前記Aが、式(2)〜(14)で示される群から選ばれる少なくとも1種を表す1のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマー、
3. 前記Aが、式(14)で示される2のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマー、
4. 前記R1およびR2が、共にメチレン基である3のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマー、
5. 1〜4のいずれかのトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーと架橋剤とを含む膜形成用組成物、
6. 前記架橋剤が、ブロック化イソシアネート基を一分子中2個以上有する化合物である5の膜形成用組成物、
7. 1〜4のいずれかのトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーを含む膜、
8. 5または6の膜形成用組成物から得られる膜、
9. 基材と、この基材上に形成された7または8の膜とを備える光学部材、
10. ハロゲン化シアヌルと、脂環構造を有するジアミン化合物とを、前記ジアミン化合物のアミノ基が過剰となるモル比で反応させ、少なくとも1つの前記ジアミン化合物に由来する末端アミノ基を有し、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を含むトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーを得ることを特徴とするトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法、
11. 前記ハロゲン化シアヌルと前記脂環構造を有するジアミン化合物とを、モル比でハロゲン化シアヌル:ジアミン化合物=1:2〜1:6で反応させる10のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法
を提供する。
本発明のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーを含む膜は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、光半導体(LED)素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)などの電子デバイスを作製する際の一部材として好適に利用できる。また、高屈折率が求められているレンズ用部材として好適に利用できる。
特に、高耐光性の厚膜を形成し得ることから光学材料分野への応用が期待できる。
本発明に係るトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーは、ハロゲン化シアヌルと、脂環構造を有するジアミン化合物とを、ジアミン化合物のアミノ基が過剰となるモル比で反応させて得られ、少なくとも1つのジアミン化合物に由来する末端アミノ基を有し、下記式(1)で表される繰り返し単位構造を含むものである。
本発明において、アルキル基の炭素数としては特に限定されるものではないが、1〜20が好ましく、ポリマーの耐熱性をより高めることを考慮すると、炭素数1〜10がより好ましく、1〜3がより一層好ましい。また、その構造は、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、o−クロルフェニル基、m−クロルフェニル基、p−クロルフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−シアノフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
その具体例としては、ベンジル基、p−メチルフェニルメチル基、m−メチルフェニルメチル基、o−エチルフェニルメチル基、m−エチルフェニルメチル基、p−エチルフェニルメチル基、2−プロピルフェニルメチル基、4−イソプロピルフェニルメチル基、4−イソブチルフェニルメチル基、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。
このようなアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン基等が挙げられるが、得られるポリマーの屈折率をより高めるということを考慮すると、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基、具体的には、メチレン、エチレン基がより好ましく、メチレン基が最適である。
特に、上記式(14)のアルキレン基において、R1およびR2の双方が、メチレン基であるものが好適である。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である。
例えば、下記スキーム1に示されるように、ハイパーブランチポリマー(17)は、ハロゲン化シアヌル(15)およびノルボルナンジアミン(16)をノルボルナンジアミン(16)のアミノ基が、ハロゲン化シアヌル(15)のハロゲン原子に対して過剰となるモル比で、適当な有機溶媒中で反応させて得ることができる。
このようにアミン過剰の条件で反応させることにより、原料のジアミン由来のアミノ基を少なくとも1つの(トリアジン環)末端に有するハイパーブランチポリマー(17)が得られる。
中でもTHF、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドおよびそれらの混合溶媒が好ましい。
特に、リニア性を抑え、分岐度を高めるという点から、反応温度は60〜150℃が好ましく、80〜150℃が好ましく、80〜120℃が好ましい。
この場合、予め溶媒に溶かしておく成分および後から加える成分はどちらでもよいが、ジアミン(16)の加熱溶液中に、ハロゲン化シアヌル(15)を添加する手法が好ましい。
後から加える成分は、ニートで加えても、上述したような有機溶媒に溶かした溶液で加えてもよいが、操作の容易さや反応のコントロールのし易さなどを考慮すると、後者の手法が好適である。
また、添加は、滴下等によって徐々に加えても、全量一括して加えてもよい。
スキーム1において、加熱した状態で、両化合物を混合した後は、(段階的に温度を上げることなく)一段階で反応させた場合でも、ゲル化することなく、目的とするトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーを得ることができる。
この塩基の具体例としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
塩基の添加量は、ハロゲン化シアヌル(15)1当量に対して1〜100当量が好ましく、1〜10当量がより好ましい。なお、これらの塩基は水溶液にして用いてもよい。
得られるポリマーには、原料成分が残存していないことが好ましいが、本発明の効果を損なわなければ一部の原料が残存していてもよい。
いずれのスキームの方法においても、反応終了後、生成物は再沈法等によって容易に精製できる。
アルカノールアミンの具体例としては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−3−ブタノール、4−アミノ−1−ブタノール等が挙げられる。
この場合の処理温度は、60〜150℃が好ましく、80〜150℃が好ましく、80〜120℃が好ましい。
ポリマー溶解に用いられる溶剤は、重合時に用いた溶媒と同じものでも別のものでもよい。この溶剤は、重合体との相溶性を損なわなければ特に限定されず、1種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製(旧(株)ジェムコ製))、商品名メガファックF171、F173、F554、R−08、R−30(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、BYK−302、BYK−307、BYK−322、BYK−323、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−375、BYK−378(ビックケミー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
そのような化合物としては、メチロール基、メトキシメチル基などの架橋形成置換基を有するメラミン系化合物、置換尿素系化合物、エポキシ基またはオキセタン基などの架橋形成置換基を含有する化合物、イソシアナート基を有する化合物、ブロック化イソシアナート基を含有する化合物、酸無水物を有する化合物、(メタ)アクリル基を有する化合物、フェノプラスト化合物等が挙げられるが、耐熱性や保存安定性の観点からエポキシ基、ブロックイソシアネート基、(メタ)アクリル基を含有する化合物が好ましい。
また、ブロックイソシアネート基は、尿素結合で架橋し、カルボニル基を有するため屈折率が低下しないという点や、低温硬化性および厚膜形成という点から、好適である。
なお、これらの化合物は、ポリマーの末端処理に用いる場合は少なくとも1個の架橋形成置換基を有していればよく、ポリマー同士の架橋処理に用いる場合は少なくとも2個の架橋形成置換基を有する必要がある。
架橋剤の具体例としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、酸無水物化合物の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸等の分子内に1個の酸無水物基を有するもの;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の分子内に2個の酸無水物基を有するもの等が挙げられる。
(メタ)アクリル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化グリセリントリメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリグリセリンモノエチレンオキサイドポリアクリレート、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
一分子中2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアネートや、これらの二量体、三量体、および、これらとジオール類、トリオール類、ジアミン類、またはトリアミン類との反応物などが挙げられる。
ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシヘキサノール、2−N,N−ジメチルアミノエタノール、2−エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;フェノール、o−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、o−、m−またはp−クレゾール等のフェノール類;ε−カプロラクタム等のラクタム類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール等のピラゾール類;ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類などが挙げられる。
メラミン系化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン CYMEL(登録商標)303、テトラブトキシメチルグリコールウリル 同1170、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン 同1123(以上、日本サイテックインダストリーズ(株)製)等のサイメルシリーズ、メチル化メラミン樹脂であるニカラック(登録商標)MW−30HM、同MW−390、同MW−100LM、同MX−750LM、メチル化尿素樹脂である同MX−270、同MX−280、同MX−290(以上、(株)三和ケミカル製)等のニカラックシリーズ等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、オキセタニル基を一分子中2個以上有し、そして熱硬化時の高温に曝されると、本発明のハイパーブランチポリマーとの間で付加反応により架橋反応が進行するものである。
オキセタン基を有する化合物としては、例えば、オキセタン基を含有するOXT−221、OX−SQ−H、OX−SC(以上、東亜合成(株)製)等が挙げられる。
フェノプラスト化合物としては、例えば、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール、2,4−ジヒドロキシメチル−6−メチルフェノール、ビス(2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヒドロキシメチルフェニル)プロパン、ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)ホルミルメタン、α,α−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ホルミルトルエン等が挙げられる。
フェノプラスト化合物は、市販品としても入手が可能であり、その具体例としては、26DMPC、46DMOC、DM−BIPC−F、DM−BIOC−F、TM−BIP−A、BISA−F、BI25X−DF、BI25X−TPA(以上、旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。
架橋剤を用いることで、架橋剤とハイパーブランチポリマーが有する反応性の末端アミノ基とが反応し、膜密度の向上、耐熱性の向上、熱緩和能力の向上などの効果を発現できる。
なお、上記その他の成分は、本発明の組成物を調製する際の任意の工程で添加することができる。
組成物の塗布方法は任意であり、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を採用できる。
焼成温度は、溶媒を蒸発させる目的では特に限定されず、例えば40〜400℃で行うことができるが、上述したブロックイソシアネート基を有する架橋剤を用いる場合、40〜200℃程度の低温加熱で十分である。これらの場合、より高い均一製膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で2段階以上の温度変化をつけてもよい。
焼成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレートやオーブンを用いて、大気、窒素等の不活性ガス、真空中等の適切な雰囲気下で蒸発させればよい。
焼成温度および焼成時間は、目的とする電子デバイスのプロセス工程に適合した条件を選択すればよく、得られる膜の物性値が電子デバイスの要求特性に適合するような焼成条件を選択すればよい。
本発明の膜は、高耐熱性、高透明性、高屈折率、高溶解性、低体積収縮率および高耐光性を達成できるため、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、光半導体(LED)素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)などの電子デバイスを作製する際の一部材や、光学部材として好適に利用できる。
樹脂の具体例としては、特に限定されるものではない。熱可塑性樹脂としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)等のポリオレフィン系樹脂;環状オレフィン樹脂;PS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、MS(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;PMMA(ポリメチルメタクリレート)等の(メタ)アクリル樹脂;PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、PLA(ポリ乳酸)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニンなどが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その使用量は、上記ハイパーブランチポリマー100質量部に対して、1〜10,000質量部が好ましく、より好ましくは1〜1,000質量部である。
(メタ)アクリレート化合物の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(159頁、発行人:高薄一弘、発行所:(株)技術情報協会、1991年発行)に記載されている。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、BASF社製 商品名: イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、商品名:CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、商品名:ダロキュア 1116、1173、商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等が挙げられる。
重合に用いる溶剤は、上記膜形成用組成物で例示した溶剤と同様のものが挙げられる。
[1H−NMR]
装置:JEOL−ECX300(300MHz)
測定溶媒:DMSO−d6
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0ppm)
[13C−NMR]
装置:JEOL−ECA700(700MHz)
測定溶媒:DMSO−d6
基準物質:DMSO(δ39.5ppm)
測定温度:室温
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8320 GPC
カラム:Shodex KF−802.5+KF−803L
カラム温度:40℃
溶媒:20mMトリエチルアミン添加テトラヒドロフラン
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
[紫外線可視分光光度計]
装置:(株)島津製作所製 SHIMADSU UV−3600
[エリプソメーター]
装置:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製 多入射角分光エリプソメーターVASE
[示差熱天秤(TG−DTA)]
装置:(株)リガク製 TG−8120
昇温速度:15℃/分
測定温度:25℃−750℃
[耐光性試験]
装置:Q−Lab Corporation製 Q−Sun Xe−1
照度:0.55W/cm2 (@340nm)
ブラックパネル温度:80℃
[膜厚測定]
エリプソメーター
TNB−Cの1H−NMRスペクトルの測定結果を図1に、13C−NMRスペクトルの測定結果を図18に示す。得られたTNB−Cは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。また、13C−NMR測定により、特徴的なアミノプロパノール由来のシグナルが21ppm、48ppm、65ppmに観測されていないため、得られた化合物にはアミノプロパノールは導入されていないことがわかった。
TNB−CのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは5300、多分散度Mw/Mnは8.70であった。
実施例1で得られたTNB−C 0.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテル0.9gに溶解し、無色透明溶液を得た。得られた溶液をガラス基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒、800rpmで30秒間スピンコートし、100℃で1分、250℃で5分焼成して溶媒を除去し、被膜(厚み3517nm)を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は1.5997であった。
また、上記で得られた被膜の400〜800nmの透過率を測定した。結果を図2に示す。
実施例1で得られたTNB−C4.970mgを白金パンに加え、TG−DTAにより昇温速度15℃/minで測定を行ったところ、5%重量減少は433℃であった。その結果を図3に示す。
[実施例2]
TNB−C1.0g、Cymel303(MTアクアポリマー(株)製)0.2g、メガファックF−554(DIC(株)製)0.0005gをPGME4.80gおよびシクロヘキサノン0.17gに溶解させ、固形分濃度20質量%溶液(以下、TNB−CC2と略す)を調製した。
得られたTNB−CC2を用い、膜厚2000nm狙いでスピンコートし、100℃で2分焼成した後、150℃で10分焼成して被膜(以下、TNB−CC2Fと略す)を作製した。
TNB−C1.0g、Cymel303(MTアクアポリマー(株)製)0.3g、メガファックF−554(DIC(株)製)0.0005gをPGME5.20gおよびシクロヘキサノン0.19gに溶解させ、固形分濃度20質量%溶液(以下、TNB−CC3と略す)を調製した。
得られたTNB−CC3を用い、スピンコート法にて膜厚2000nm狙いでスピンコートし、100℃で2分焼成した後、150℃で10分焼成して被膜(以下、TNB−CC3Fと略す)を作製した。
TNB−C1.0g、Cymel303(MTアクアポリマー(株)製)0.4g、メガファックF−554(DIC(株)製)0.0005gをPGME5.60gとおよびシクロヘキサノン0.20gに溶解させ、固形分濃度20質量%溶液(以下、TNB−CC4と略す)を調製した。
得られたTNB−CC4を用い、膜厚2000nm狙いでスピンコートし、100℃で2分焼成した後、150℃で10分焼成して被膜(以下、TNB−CC4Fと略す)を作製した。
TNB−C1.0g、B−882N(三井化学(株)製)0.058g、メガファックF−554(DIC(株)製)0.0005gをPGME4.40gおよびシクロヘキサノン0.10gに溶解させ、固形分濃度20質量%溶液(以下、TNB−CB1と略す)を調製した。
得られたTNB−CB1を用い、膜厚2000nm狙いでスピンコートし、100℃で2分焼成した後、150℃で10分焼成して被膜(以下、TNB−CB1Fと略す)を作製した。
TNB−C1.0g、B−882N(三井化学(株)製)0.116g、メガファックF−554(DIC(株)製)0.0005gをPGME4.80gおよびシクロヘキサノン0.17gに溶解させ、固形分濃度20質量%溶液(以下、TNB−CB2と略す)を調製した。
得られたTNB−CB2を用い、膜厚2000nm狙いでスピンコートし、100℃で2分焼成した後、150℃で10分焼成して被膜(以下、TNB−CB2Fと略す)を作製した。
TNB−C1.0g、B−882N(三井化学(株)製)0.175g、メガファックF−554(DIC(株)製)0.0005gをPGME5.20gおよびシクロヘキサノン0.19gに溶解させ、固形分濃度20質量%溶液(以下、TNB−CB3と略す)を調製した。
得られたTNB−CB3を用い、膜厚2000nm狙いでスピンコートし、100℃で2分焼成した後、150℃で10分焼成して被膜(以下、TNB−CB3Fと略す)を作製した。
TNB−C1.0g、B−882N(三井化学(株)製)0.233g、メガファックF−554(DIC(株)製)0.0005gをPGME5.60gおよびシクロヘキサノン0.20gに溶解させ、固形分濃度20質量%溶液(以下、TNB−CB4と略す)を調製した。
得られたTNB−CB4を用い、膜厚2000nm狙いでスピンコートし、100℃で2分焼成した後、150℃で10分焼成して被膜(以下、TNB−CB4Fと略す)を作製した。
上記実施例2〜8で作製した被膜について、透過率、屈折率および膜厚を測定した。
実施例2〜8で得られた被膜の透過率を図4〜10にそれぞれ示し、屈折率および膜厚を表1に示す。
<溶剤耐性試験>
上記実施例2〜8で作製した被膜をPGMEに5分浸漬し、スプレードライによりPGMEを除去した後の膜厚を測定し、溶剤耐性を評価した。残膜率の結果を表1に併せて示す。
得られた硬化膜は、図4〜10に示されるように、可視光領域から近紫外領域までの透明性が高い。
また、ポリオレフィンやPMMA、シクロオレフィンポリマーは屈折率1.49〜1.55程度の屈折率であるが、表1に示されるように、脂環構造とトリアジン環からなるハイパーブランチポリマーは、それらに比べて高い屈折率を示すことがわかった。
上記実施例2〜8で作製した被膜について、240時間光照射して耐光性試験を行った。また、耐光性試験後の屈折率を測定した。
実施例2〜8で得られた被膜の耐光性試験後の透過率を図11〜17にそれぞれ示し、屈折率を表2に示す。
Claims (11)
- 前記Aが、式(14)で示される請求項2記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマー。
- 前記R1およびR2が、共にメチレン基である請求項3記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマー。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーと架橋剤とを含む膜形成用組成物。
- 前記架橋剤が、ブロック化イソシアネート基を一分子中2個以上有する化合物である請求項5記載の膜形成用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーを含む膜。
- 請求項5または6記載の膜形成用組成物から得られる膜。
- 基材と、この基材上に形成された請求項7または8記載の膜とを備える光学部材。
- 前記ハロゲン化シアヌルと前記脂環構造を有するジアミン化合物とを、モル比でハロゲン化シアヌル:ジアミン化合物=1:2〜1:6で反応させる請求項10記載のトリアジン環含有ハイパーブランチポリマーの製造方法。
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