JP7214824B1 - ハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、この課題を解決する方法として、ハードコートフィルムの基材フィルムに低吸湿性(低透湿性)かつ寸法安定性に優れるシクロオレフィンポリマーフィルムが用いられる。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
厚さ50μm以下のシクロオレフィンポリマー系フィルムの少なくとも片面に、無機微粒子を含有する紫外線硬化型樹脂からなる易接着層を介し、紫外線硬化型樹脂と紫外線吸収剤及び色素を含有するハードコート層が積層され、且つ下記条件(A)~(D)を満たすことを特徴とするハードコートフィルムである。
(A)前記易接着層の厚みが0.1~2.0μmの範囲である。
(B)前記ハードコート層の厚みが1.0~10.0μmの範囲である。
(C)前記ハードコートフィルムの、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。
(D)前記ハードコートフィルムに対し、温度63℃、相対湿度50%の環境下で、放射照度500W/m2とし、紫外線を100時間放射(耐光性試験)した後に、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。
前記ハードコートフィルムがさらに下記条件(E)を満たし、且つ下記式1により算出される各波長における光線低下率(%)が下記条件(F)~(P)を満たすことを特徴とする第1の発明に記載のハードコートフィルムである。
(E)b*値が7.0以下である。
式1)各波長における光線低下率(%)=(当該波長における前記シクロオレフィンポリマー系フィルム単体の透過率-当該波長における前記ハードコートフィルムの透過率)/当該波長における前記シクロオレフィンポリマー系フィルム単体の透過率
(F)350nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(G)360nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(H)370nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(I)380nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(J)390nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(K)400nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(L)410nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(M)420nm波長における光線低下率が75.0%以下である。
(N)430nm波長における光線低下率が30.0%以下である。
(O)440nm波長における光線低下率が7.0%以下である。
(P)450nm波長における光線低下率が2.0%以下である。
前記ハードコートフィルムに対し、温度63℃、相対湿度50%の環境下で、放射照度500W/m2とし、紫外線を100時間放射(耐光性試験)した後に、下記式2により算出される各波長における光線透過率の変化率(Δ%)の絶対値が下記条件(Q)~(AA)を満たすことを特徴とする第1又は第2の発明に記載のハードコートフィルムである。
式2)各波長における光線透過率の変化率(Δ%)=前記ハードコートフィルムの耐光性試験後の当該波長における透過率-前記ハードコートフィルムの耐光性試験前の当該波長における透過率
(Q)350nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(R)360nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(S)370nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(T)380nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(U)390nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
(V)400nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が10.0%以下である。
(W)410nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が30.0%以下である。
(X)420nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が30.0%以下である。
(Y)430nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が10.0%以下である。
(Z)440nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
(AA)450nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
前記紫外線吸収剤の最大吸収波長(λmax)が350nm~380nmの範囲であり、かつ前記色素の最大吸収波長(λmax)が395nm~415nmの範囲であることを特徴とする第1乃至第3の発明のいずれかに記載のハードコートフィルムである。
前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の併用からなることを特徴とする第1乃至第4の発明のいずれかに記載のハードコートフィルムである。
前記色素がシアニン色素であることを特徴とする第1乃至第5の発明のいずれかに記載のハードコートフィルムである。
また、本発明によれば、上記基材フィルム上に設ける易接着層の炭化水素系溶剤に対する耐溶剤性が良好であり、上記易接着層上に炭化水素系溶剤を含有するハードコート用塗料を直接塗工した場合も、良好な塗工外観を得ることができるハードコートフィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、有機ELディスプレイ表面の保護フィルムとして使用する場合、有機ELディスプレイの表示の色や輝度に悪影響を与えることなく、かつ有機ELディスプレイの発光素子の耐久性(耐光性)を向上させることができ、有機ELディスプレイの表示の劣化を抑制できるハードコートフィルムを提供することができる。
特に、薄膜のシクロオレフィンポリマー系フィルムを基材として用いる場合に本発明のハードコートフィルムは好適である。
なお、本明細書において、「○○~△△」とは、特に断りのない限り、「○○以上△△以下」を意味するものとする。
(A)前記易接着層の厚みが0.1~2.0μmの範囲である。
(B)前記ハードコート層の厚みが1.0~10.0μmの範囲である。
(C)前記ハードコートフィルムの、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。
(D)前記ハードコートフィルムに対し、温度63℃、相対湿度50%の環境下で、放射照度500W/m2とし、紫外線を100時間放射(耐光性試験)した後に、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。
以下、このハードコートフィルムの構成を詳しく説明する。
まず、上記ハードコートフィルムの基材フィルムについて説明する。
本発明において、ハードコートフィルムの基材フィルムとしては、透明性、耐熱性、寸法安定性、低吸湿性(低透湿性)、低複屈折性、及び光学的等方性等に優れるシクロオレフィンポリマー系フィルムを用いる。具体的には、シクロオレフィン類単位がポリマー骨格中に交互に又はランダムに重合し分子構造中に脂環構造を有するものであり、ノルボルネン系化合物、単環の環状オレフィン、環状共役ジエンおよびビニル脂環式炭化水素から選択される少なくとも一種の化合物を含んでなる共重合体であるシクロオレフィンコポリマーフィルム又はシクロオレフィンポリマーフィルムが対象となり何れかを適宜選択し使用できる。
次に、上記ハードコートフィルムの易接着層について説明する。
本発明のハードコートフィルムにおいては、上記易接着層は、無機微粒子を含有する紫外線硬化型樹脂からなる。
本発明において、上記易接着層に使用される樹脂は、紫外線硬化型樹脂であり、紫外線(以下、「UV」と略記する。)を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば、特に限定されるものではないが、例えば、基本的な骨格がアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体から成るアクリル系樹脂、イソシアネート基とヒドロキシ基を反応させたウレタン結合とアクリル基を有するウレタンアクリレート樹脂等を好ましく用いることができる。易接着層が3次元的な架橋構造を形成するためには、例えば分子内に複数個の(メタ)アクリロイルオキシ基等の官能基を有するUVにて硬化可能な多官能アクリレートからなるものが好ましい。分子内に複数個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するUV硬化可能な多官能アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等を挙げることができる。なお、多官能アクリレートは単独で使用するだけでなく、2種以上の複数を混合し使用してもよい。
ここで、上記の表面自由エネルギーとは、「表面の単位面積が持つ自由エネルギー」として定義され、易接着層表面が層内部(バルク)に比べて過剰に持つエネルギーのことである。固体の表面自由エネルギーが大きいほど、気体や微粒子は吸着されやすく、液体は濡れやすく、他の固体と付着しやすくなる。
本発明において、上記易接着層の表面自由エネルギーは、25mN/m以上であることが特に好ましい。
また、上記易接着層の表面自由エネルギーが大きすぎても、汚れが付着しやすくなり異物混入を招いたり、耐擦傷性が低下する問題が生じるので、表面自由エネルギーの上限値としては、40mN/m以下であることが好ましく、38mN/m以下であることがさらに好ましく、35mN/m以下がより好ましい。
上記易接着層表面の水の接触角は、協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM-701を用いて、易接着層表面に水(純水)を1μL滴下し、30秒後の接触角を測定することにより得られる。
本発明において、上記易接着層表面の水の接触角は、85度以下であることが特に好ましい。
なお、この水接触角が低すぎると、易接着層の耐擦傷性に劣る傾向があり、50度以上であることが望ましい。
次に、上記ハードコートフィルムのハードコート層について説明する。
本発明において、上記ハードコート層は、少なくとも紫外線硬化型樹脂と紫外線吸収剤及び色素を含有する。
本発明において、上記ハードコート層に含まれる樹脂としては、特にハードコート層の表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、また、紫外線の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の表面硬度の調節が可能になるという点で紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
本発明においては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等を用いることが好ましく、これらベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を併用することが特に好ましい。
本発明においては、例えば、上記色素がシアニン色素であることが好ましい。
本発明において、上記紫外線吸収剤の配合量は、ハードコート層の紫外線硬化型樹脂100質量部に対して1~30質量部であることが好ましい。紫外線吸収剤の配合量が1質量部未満であると、本発明の分光特性を十分に満たすことができない。一方、配合量が30質量部を超えると、黄色味の指標であるb*値が本発明の範囲を満たすことが困難であり、かつハードコート層の硬度や密着性が不足するため適さない。
また、上記色素の配合量は、ハードコート層の紫外線硬化型樹脂100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましい。紫外線吸収剤の配合量が0.1質量部未満であると、本発明の分光特性を十分に満たすことができない。一方、配合量が10質量部を超えると、黄色味の指標であるb*値が本発明の範囲を満たすことが困難であり、かつハードコート層の硬度や密着性が不足するため適さない。
本発明によれば、上記易接着層の炭化水素系溶剤に対する耐溶剤性が良好であるため、上記易接着層上に、トルエン等の炭化水素系溶剤を含有するハードコート用塗料を直接塗工した場合にも、良好な塗工外観を得ることができる。
(A)前記易接着層の厚みが0.1~2.0μmの範囲である。
(B)前記ハードコート層の厚みが1.0~10.0μmの範囲である。
(C)前記ハードコートフィルムの、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。
(D)前記ハードコートフィルムに対し、温度63℃、相対湿度50%の環境下で、放射照度500W/m2とし、紫外線を100時間放射(耐光性試験)した後に、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。
また、本発明のハードコートフィルムは、上記条件(C)及び(D)を満たしている。これにより、シクロオレフィンポリマー系フィルムを基材として用い、このような極性基が少なく密着性に劣る基材に対しても当該基材フィルム上に設ける易接着層及びハードコート層との密着性(初期密着性及び耐光密着性)に優れたハードコートフィルムを得ることができる。なお、上記のJIS-K5600-5-6のクロスカット法による密着性試験および上記の耐光性試験のさらに詳細は、後述の実施例の記載において説明する。
(E)b*値が7.0以下である。
(F)350nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(G)360nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(H)370nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(I)380nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(J)390nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(K)400nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(L)410nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(M)420nm波長における光線低下率が75.0%以下である。
(N)430nm波長における光線低下率が30.0%以下である。
(O)440nm波長における光線低下率が7.0%以下である。
(P)450nm波長における光線低下率が2.0%以下である。
式1)各波長における光線低下率(%)=(当該波長における前記シクロオレフィンポリマー系フィルム単体の透過率-当該波長における前記ハードコートフィルムの透過率)/当該波長における前記シクロオレフィンポリマー系フィルム単体の透過率
なお、上記のb*値および各波長における光線透過率の具体的な測定方法については、後述の実施例の記載において説明する。
(Q)350nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(R)360nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(S)370nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(T)380nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(U)390nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
(V)400nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が10.0%以下である。
(W)410nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が30.0%以下である。
(X)420nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が30.0%以下である。
(Y)430nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が10.0%以下である。
(Z)440nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
(AA)450nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
式2)各波長における光線透過率の変化率(Δ%)=前記ハードコートフィルムの耐光性試験後の当該波長における透過率-前記ハードコートフィルムの耐光性試験前の当該波長における透過率
なお、下記の記載中、「部」は別途記載がない限り質量部を、「%」は別途記載がない限り質量%を表す。
[易接着層形成用塗工液の調製]
本発明のシリカ微粒子(平均粒子径100nm)を含有するアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料(ルクシディアCH-C-1623(商品名);DIC(株)製)100部を、メチルエチルケトン/1-メトキシ-2-プロパノール=50/50(重量部)にて希釈し、固形分濃度10%の易接着層形成用塗工液(以下、「易接着層用塗料」と呼ぶ。)を調製した。
本発明のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有するアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料(HFC-UVA-1(商品名);ハリマ化成(株)製。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の最大吸収波長;370nm)85部を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部、表面改質剤(フタージェント681;(株)ネオス製)を0.5部、本発明のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(Tinuvin477(商品名);BASFジャパン(株)製。最大吸収波長;356nm)10部、本発明のシアニン色素(NK-9994(商品名);(株)林原製。最大吸収波長;405nm)1.0部を配合し、トルエン/メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=15/35/50(重量部)にて希釈して、最終固形分濃度30%のハードコート層形成用塗工液(以下、「ハードコート用塗料」と呼ぶ。)を調製した。
シクロオレフィンポリマーフィルムとして厚さ26μmのゼオノアフィルムZD12(日本ゼオン(株)製)の片面に、上記の易接着層用塗料を、バーコーターを用いて塗工し、60℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ乾燥固化し、塗膜厚み0.2μmの易接着層塗膜を形成した。これを、塗工面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用い、UV照射量50mJ/cm2の紫外線照射により硬化させて易接着層を形成し、易接着層塗布フィルムを得た。
次に、この易接着層塗布フィルムの易接着層上に、上記のハードコート用塗料を、バーコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ、塗膜厚み4.5μmの塗工層を形成した。これを、塗工面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用い、UV照射量100mJ/cm2の紫外線照射により硬化させ、本実施例1のハードコートフィルムを作製した。
実施例1のシクロオレフィンポリマーフィルムを厚さ50μmのゼオノアフィルムZF16(日本ゼオン(株)製)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2のハードコートフィルムを作製した。
実施例1のシクロオレフィンポリマーフィルムを厚さ13μmのゼオノアフィルムZF12(日本ゼオン(株)製)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3のハードコートフィルムを作製した。
[易接着層用塗料の調製]
本発明のシリカ微粒子(平均粒子径100nm)を含有するアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料(ビームセットNOP-102(商品名);荒川化学工業(株)製)100部を、1-メトキシ-2-プロパノールにて希釈し、固形分濃度10%の易接着層用塗料を調製した。
上記組成からなる易接着層用塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のハードコートフィルムを作製した。
[ハードコート用塗料の調製]
アクリレート系紫外線硬化型樹脂(NKエステル A-9550(商品名);新中村化学工業(株)製)75部を主剤とし、本発明のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(Tinuvin970(商品名);BASFジャパン(株)製。最大吸収波長;378nm)10部、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部、表面改質剤(フタージェント681;(株)ネオス製)を0.5部、本発明のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(Tinuvin477(商品名);BASFジャパン(株)製)10部、本発明のシアニン色素(NK-9994(商品名);(株)林原製)1.0部を配合し、トルエン/メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=15/35/50(重量部)にて希釈して、最終固形分濃度30%のハードコート用塗料を調製した。
上記組成からなるハードコート用塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のハードコートフィルムを作製した。
[ハードコート用塗料の調製]
アクリレート系紫外線硬化型樹脂(NKエステル A-9550(商品名);新中村化学工業(株)製)74部を主剤とし、本発明のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(アデカスタブ LA-29(商品名);(株)ADEKA製。最大吸収波長;350nm)10部、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部、表面改質剤(フタージェント681;(株)ネオス製)を0.5部、本発明のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(Tinuvin477(商品名);BASFジャパン(株)製)10部、本発明のシアニン色素(NK-9994(商品名);(株)林原製)2.0部を配合し、トルエン/メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=15/35/50(重量部)にて希釈して、最終固形分濃度30%のハードコート用塗料を調製した。
上記組成からなるハードコート用塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のハードコートフィルムを作製した。
実施例1におけるハードコート用塗料中の本発明のシアニン色素(NK-9994(商品名);(株)林原製)を、本発明のシアニン色素(NK-10490(商品名);(株)林原製。最大吸収波長;405nm)に変更し、シクロオレフィンフィルムとして厚さ22μmのゼオノアフィルムZD12(日本ゼオン(株)製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のハードコートフィルムを作製した。
実施例1における易接着層の塗膜厚みを1.8μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8のハードコートフィルムを作製した。
実施例1におけるハードコート層の塗膜厚みを8.0μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のハードコートフィルムを作製した。
[ハードコート用塗料の調製]
アクリレート系紫外線硬化型樹脂(NKエステル A-9550(商品名);新中村化学工業(株)製)96部を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部、表面改質剤(フタージェント681;(株)ネオス製)0.5部を配合し、トルエン/メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=15/35/50(重量部)にて希釈して、最終固形分濃度30%のハードコート用塗料を調製した。
上記組成からなるハードコート用塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のハードコートフィルムを作製した。
[ハードコート用塗料の調製]
アクリレート系紫外線硬化型樹脂(NKエステル A-9550(商品名);新中村化学工業(株)製)75部を主剤とし、ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤(Uvinul 3050(商品名);BASFジャパン(株)製。最大吸収波長;345nm)10部、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部、表面改質剤(フタージェント681;(株)ネオス製)を0.5部、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(Tinuvin477(商品名);BASFジャパン(株)製)10部、シアニン色素(NK-9994(商品名);(株)林原製)1.0部を配合し、トルエン/メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=15/35/50(重量部)にて希釈して、最終固形分濃度30%のハードコート用塗料を調製した。
上記組成からなるハードコート用塗料を用いたこと、実施例1のシクロオレフィンフィルムを厚さ50μmのゼオノアフィルムZF16(日本ゼオン(株)製)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2のハードコートフィルムを作製した。
[ハードコート用塗料の調製]
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有するアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料(HFC-UVA-1(商品名);ハリマ化成(株)製。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の最大吸収波長;370nm)80部を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)3.5部、表面改質剤(フタージェント681;(株)ネオス製)を0.5部、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(Tinuvin477(商品名);BASFジャパン(株)製。最大吸収波長;356nm)10部、メロシアニン色素(FDB-009(商品名);山田化学工業(株)製。最大吸収波長;402nm)6部を配合し、トルエン/メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=15/35/50(重量部)にて希釈して、最終固形分濃度30%のハードコート用塗料を調製した。
上記組成からなるハードコート用塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のハードコートフィルムを作製した。
[易接着層用塗料の調製]
シリカ微粒子を含有しないアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料(ルクシディアEPS-1306(商品名);DIC(株)製)100部を、メチルエチルケトン/1-メトキシ-2-プロパノール=50/50(重量部)にて希釈し、固形分濃度10%の易接着層用塗料を調製した。
上記組成からなる易接着層用塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のハードコートフィルムを作製した。
[易接着層用塗料の調製]
熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂(サーフレンP-1000(商品名);三菱化学(株)製)100部を酢酸ブチルにて希釈し、固形分濃度10%の易接着層用塗料を調製した。
上記組成からなる易接着層用塗料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5のハードコートフィルムを作製した。
以上のようにして作製された実施例及び比較例の各ハードコートフィルムを次の項目について評価し、その結果を纏めて表1、表2及び表3に示した。
易接着層およびハードコート層の塗膜の形成厚みは、Thin-Film Analyzer F20(商品名)(FILMETRICS社製)を用いて測定した。
密着性は、JIS-K5600-5-6のクロスカット法に準じて碁盤目剥離試験により評価した。具体的には、実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムに対し、通常環境下、すなわち恒温恒湿環境下(25℃、50%RH)で、ハードコート層形成面に、カッターナイフを用いて、碁盤目状に1mm間隔で縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100マスの正方形の升目を刻み、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、180度方向に剥離し、ハードコート層の残存数を残存率(%)とした。
なお、易接着層の初期密着性は、易接着層塗布フィルムについて上記剥離試験を行った。
耐溶剤性は、実施例、比較例で使用したシクロオレフィンポリマーフィルム単体、または、実施例、比較例で作製した各易接着層塗布フィルムについて、表面にトルエンを直径10mm程度になるように滴下し、3分間経過後、ガーゼで拭き取り、薬品滴下面の外観を目視で評価した。○評価品を耐溶剤性は良好とした。
○:薬品滴下面の外観変化なし
×:薬品滴下面の外観変化あり
b*値は、実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計U-3310を用いて測定した。
ハードコートフィルムの各波長における光線透過率は、日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計U-3310を用いて測定した。測定は、波長範囲250nm~800nm、スキャンスピード600nm/minで測定し、各波長の光線透過率を検出した後に、下記式1に示す「各波長における光線低下率(%)」を算出した。なお、当該波長におけるシクロオレフィンポリマーフィルム単体の透過率が0.0%の場合は、各波長における光線低下率を100%とした。
式1)各波長における光線低下率(%)=(当該波長におけるシクロオレフィンポリマーフィルム単体の透過率-当該波長におけるハードコートフィルムの透過率)/(当該波長におけるシクロオレフィンポリマーフィルム単体の透過率)
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムに対し、紫外線カーボンフェードメーターによる促進耐光性試験(JIS B 7751:2007に準拠し、下記条件で実施)を実施した。
光源:紫外線カーボンアークランプ
温度:63℃
相対湿度:50%
放射照度:500W/m2
放射時間:100時間
降雨の周期及び時間:設定なし
耐光性試験後の密着性は、上記の密着性と同様の碁盤目試験法で実施し、ハードコート層の残存数を残存率(%)とした。
なお、易接着層の耐光性試験後の密着性は、易接着層上にハードコート層を設けた上記ハードコートフィルムの剥離試験によって、例えば易接着層のところで剥離が起こっている場合は易接着層の剥離と判断した。
耐光性試験後のハードコートフィルムの各波長における光線透過率の変化率は、上記の各波長における光線透過率と同様の分光光度計U-3310を用いて同様の条件で測定し、各波長の光線透過率を検出した後に、下記式2に示す「各波長における光線透過率の変化率(Δ%)」を算出した。なお、変化率がマイナスとなった場合は、絶対値として評価した。
式2)各波長における光線透過率の変化率(Δ%)=ハードコートフィルムの耐光性試験後の当該波長における透過率-ハードコートフィルムの耐光性試験前の当該波長における透過率
なお、表1中の比較例4では、易接着層残存率、耐光性試験後残存率、ハードコート層残存率、耐光性試験後残存率は、いずれも0%となっているが、これは易接着層のところで剥離が起きていることを意味している。易接着層のところで剥離が起こると、その上のハードコート層も一緒に剥離されてしまう。
上述した各波長の透過率は、その目的から、いくつかのポリマーの劣化や色素の退色や変色等のダメージを与える350nm~400nmの波長、および近年の有機ELディスプレイの発光素子を保護に寄与する390nm~410nmの波長を 耐光試験後もその性能を維持することが必要となるが、本発明のハードコートフィルムは、350nm~400nmの波長、および390nm~410nmの波長における光線透過率の変化率を抑えることができるので、有機ELディスプレイの表示の劣化を抑制することができる。また、可視光領域の420nm~450nmの波長においても、耐光試験後もその性能を維持することが必要となるが、本発明のハードコートフィルムは、光線透過率の変化率を抑えることができ、有機ELディスプレイの表示の輝度を維持することができる。
Claims (3)
- 厚さ50μm以下のシクロオレフィンポリマー系フィルムの少なくとも片面に、無機微粒子を含有する紫外線硬化型樹脂からなる易接着層を介し、紫外線硬化型樹脂と紫外線吸収剤及び色素を含有するハードコート層が積層され、
前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の併用からなり、
前記色素がシアニン色素であり、
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤および前記ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤の併用からなる前記紫外線吸収剤の最大吸収波長(λmax)が350nm~380nmの範囲であり、かつ前記色素の最大吸収波長(λmax)が395nm~415nmの範囲であり、
且つ下記条件(A)~(D)を満たすことを特徴とするハードコートフィルム。
(A)前記易接着層の厚みが0.1~2.0μmの範囲である。
(B)前記ハードコート層の厚みが1.0~10.0μmの範囲である。
(C)前記ハードコートフィルムの、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。
(D)前記ハードコートフィルムに対し、温度63℃、相対湿度50%の環境下で、放射照度500W/m2とし、紫外線を100時間放射(耐光性試験)した後に、JIS-K5600-5-6のクロスカット法により測定される前記ハードコート層および前記易接着層の残存率がいずれも100%である。 - 前記ハードコートフィルムがさらに下記条件(E)を満たし、且つ下記式1により算出される各波長における光線低下率(%)が下記条件(F)~(P)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
(E)b*値が7.0以下である。
式1)各波長における光線低下率(%)=(当該波長における前記シクロオレフィンポリマー系フィルム単体の透過率-当該波長における前記ハードコートフィルムの透過率)/当該波長における前記シクロオレフィンポリマー系フィルム単体の透過率
(F)350nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(G)360nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(H)370nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(I)380nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(J)390nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(K)400nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(L)410nm波長における光線低下率が95.0%以上である。
(M)420nm波長における光線低下率が75.0%以下である。
(N)430nm波長における光線低下率が30.0%以下である。
(O)440nm波長における光線低下率が7.0%以下である。
(P)450nm波長における光線低下率が2.0%以下である。 - 前記ハードコートフィルムに対し、温度63℃、相対湿度50%の環境下で、放射照度500W/m2とし、紫外線を100時間放射(耐光性試験)した後に、下記式2により算出される各波長における光線透過率の変化率(Δ%)の絶対値が下記条件(Q)~(AA)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
式2)各波長における光線透過率の変化率(Δ%)=前記ハードコートフィルムの耐光性試験後の当該波長における透過率-前記ハードコートフィルムの耐光性試験前の当該波長における透過率
(Q)350nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(R)360nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(S)370nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(T)380nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が1.0%以下である。
(U)390nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
(V)400nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が10.0%以下である。
(W)410nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が30.0%以下である。
(X)420nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が30.0%以下である。
(Y)430nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が10.0%以下である。
(Z)440nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
(AA)450nm波長における光線透過率の変化率の絶対値が5.0%以下である。
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