JP7061833B2 - ハードコートフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコートフィルムに関し、更に詳しくは、液晶表示装置、プラズマ表示装置、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等のフラットパネルディスプレイ、タッチパネル等の表示装置部品、及び建築物、自動車、電車の窓ガラス等の保護フィルムとして使用することができるハードコート層を設けたハードコートフィルムに関する。
液晶表示装置(LCD)等のフラッドパネルディスプレイの表示面には、取り扱い時に傷が付いて視認性が低下しないように耐擦傷性を付与することが要求される。そのため、基材フィルムにハードコート層を設けたハードコートフィルムを利用して耐擦傷性を付与することが一般的に行われている。近年、表示画面上で表示を見ながら指やペン等でタッチすることでデータや指示を入力できるタッチパネルの普及により、光学的視認性の維持と耐擦傷性を有するハードコートフィルムに対する機能的要求は高まっている。
そのため、基材フィルムとして透明性、耐熱性、寸法安定性、低吸湿性、低複屈折性、及び光学的等方性に優れるシクロオレフィンフィルムは光学部材用途への利用が期待されており、このシクロオレフィンフィルム上にハードコート層を設けることが行われている。しかし、シクロオレフィンフィルムはアクリルフィルムやポリエステルフィルムと異なりフィルム表面に極性基の数が少ないため基材フィルムとハードコート層との密着性が劣る問題点があった。
そこで、従来、シクロオレフィンフィルムにハードコート層との易接着性を付与する方法が特許文献1、特許文献2等に開示されている。
特開2001-147304号公報 特開2006-110875号公報
従来、シクロオレフィンフィルムにハードコート層との易接着性を付与する方法として、特許文献1では、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等が開示されているが、これ等の方法ではシクロオレフィンフィルムとハードコート層との密着性は不十分であり特に経時的な密着不良が発生し易い問題点があった。
また、特許文献2では、シクロオレフィンフィルム上にオレフィン系樹脂からなるアンカーコート剤を塗設することが開示されている。このアンカーコート処理により、シクロオレフィンフィルムとハードコート層との密着性はある程度改善されるが、塗膜が柔軟で伸びのあるアンカーコート層と塗膜が硬く伸びのないハードコート層では、耐熱条件下(例えば、温度100℃の乾燥機に5分間保存)における双方の塗膜の収縮差により、ハードコート層表面にクラック(膜割れ、ヒビなど)が発生し易い問題点があった。
そこで、本発明は、シクロオレフィンフィルム等の極性基が少なく密着性に劣る基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであるが、通常条件下、及び耐湿熱条件下における経時密着性と耐久性に優れるハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、赤外分光スペクトルに特徴のある樹脂をハードコート層に用いることで、シクロオレフィンフィルム等の極性基が少なく密着性に劣る基材フィルムに対してもハードコート層との密着性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
第1の発明は、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとしたとき、ピーク面積比(A/B)×100が450%以上であることを特徴とするハードコートフィルムである。
第2の発明は、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとしたとき、ピーク高さ比(C/D)×100が100%以上であることを特徴とするハードコートフィルムである。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記電離放射線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含むことを特徴とするハードコートフィルムである。
第4の発明は、上記第1乃至第3のいずれかの発明において、前記基材フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とするハードコートフィルムである。
本発明によれば、上記構成により、シクロオレフィンフィルム等の極性基が少なく密着性に劣る基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであっても、アンカー層を介さず、通常条件下、及び耐湿熱条件下における経時密着性と耐久性に優れるハードコートフィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳述する。
本発明は、上記第1の発明にあるとおり、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとしたとき、ピーク面積比(A/B)×100が450%以上であることを特徴とするハードコートフィルムである。
また、本発明は、上記第2の発明にあるとおり、基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、前記ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとしたとき、ピーク高さ比(C/D)×100が100%以上であることを特徴とするハードコートフィルムである。
以下、各構成について詳述する。
[基材フィルム]
まず、ハードコートフィルムの基材フィルムについて説明する。
本発明において、ハードコートフィルムの基材フィルムは特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニルのフィルムないしシート等を挙げることができる。その中でも透明性、耐熱性、寸法安定性、低吸湿性、低複屈折性、及び光学的等方性等に優れるシクロオレフィンフィルムを用いることができる。具体的には、シクロオレフィン類単位がポリマー骨格中に交互に又はランダムに重合し分子構造中に脂環構造を有するものであり、ノルボルネン系化合物、単環の環状オレフィン、環状共役ジエンおよびビニル脂環式炭化水素から選択される少なくとも一種の化合物を含んでなる(共)重合体であるシクロオレフィンコポリマーフィルム又はシクロオレフィンポリマーフィルムが対象となり何れかを適宜選択し使用される。
また、本発明において、上記基材フィルムの厚さは、ハードコートフィルムが使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性等の観点から、10μm~300μmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは20μm~200μmの範囲である。
本発明において、上記基材フィルムの耐熱性については、ハードコートフィルム用途に用いる場合には、試料に温度変化を与えた時にその熱変化を測定する熱重量測定(TG)法や示差走査熱量測定(DSC)法等で測定されるガラス転移温度が、120℃から170℃程度のフィルムの使用が好ましい。
本発明において、上記基材フィルムは、ハードコートフィルム用途に用いる場合には、紫外線による塗膜の劣化、密着不良を防止する目的で、基材フィルムを構成する樹脂と紫外線吸収剤を混練した樹脂をフィルム状に製膜、或いは基材フィルムの片面或いは両面に熱可塑性或いは熱硬化性樹脂と紫外線吸収剤とを混合した塗料を塗設したフィルムを使用してもよい。紫外線カット性については、分光光度計による380nm波長における透過率が10%以下であることが好ましい。更に好ましくは7%以下である。
[ハードコート層]
次に、上記ハードコート層について説明する。
本発明において、上記ハードコート層に含まれる樹脂としては、被膜を形成する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、特にハードコート層の表面硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、また、紫外線の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の表面硬度の調節が可能になるという点で、電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂は、紫外線(以下、「UV」と略記する。)や電子線(以下、「EB」と略記する。)を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば、特に限定されるものではないが、未硬化の状態で赤外分光スペクトルにおいて1350~1390cm-1及び715~745cm-1にピークを示す(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含むものであることが好ましい。上記のアクリル系樹脂を含有するハードコート層は、本発明のピーク面積比あるいはピーク高さ比の範囲を満たすように調製しやすく、好適である。
また、上記ハードコート層に含まれる樹脂としては、上述の電離放射線硬化型樹脂の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル、スチレン-アクリル、繊維素等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂を、ハードコート層の硬度、耐擦傷性を損なわない範囲内で配合してもよい。
また、上記ハードコート層に含まれる電離放射線硬化型樹脂の光重合開始剤としては、市販のIRGACURE 651やIRGACURE 184(いずれも商品名:BASF社製)などのアセトフェノン類、また、IRGACURE 500(商品名:BASF社製)などのベンゾフェノン類を使用でき特に制限されるものではないが、密着性をより向上させるためにジアシルパーオキサイド類などの有機過酸化物を用いることが好ましい。
本発明においては、上記ハードコート層に無機酸化物微粒子を含有させ、表面硬度(耐擦傷性)の更なる向上を図ることも可能である。この場合、無機酸化物微粒子の平均粒子径は5~50nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは平均粒子径10~20nmの範囲である。平均粒子径が5nm未満であると、十分な表面硬度を得ることが困難である。一方、平均粒子径が50nmを超えると、ハードコート層の光沢、透明性が低下し、可撓性も低下するおそれがある。
本発明において、上記無機酸化物微粒子としては、例えばアルミナやシリカなどを挙げることができる。これらの中でも、アルミニウムを主成分とするアルミナは高硬度を有するため、シリカよりも少ない添加量で効果を得られることから特に好適である。
本発明において、上記無機酸化物微粒子の含有量は、ハードコート層塗料組成物の固形分100重量部に対して0.1~10.0重量部であることが好ましい。無機酸化物微粒子の含有量が0.1重量部未満であると、表面硬度(耐擦傷性)の向上効果が得られ難い。一方、含有量が10.0重量部を超えると、ヘイズが上昇するため好ましくない。
また、上記ハードコート層には、塗工性の改善を目的にレベリング剤の使用が可能であり、たとえばフッ素系、アクリル系、シロキサン系、及びそれらの付加物或いは混合物などの公知のレベリング剤を使用可能である。配合量は、ハードコート層の樹脂の固形分100重量部に対し0.03重量部~3.0重量部の範囲での配合が可能である。また、タッチパネル用途等において、タッチパネル端末のカバーガラス(CG)、透明導電部材(TSP)、液晶モジュール(LCM)等との接着を目的に光学透明樹脂OCRを用いた対接着性が要求される場合には、表面自由エネルギーの高い(凡そ40mJ/cm2以上)アクリル系レベリング剤やフッ素系のレベリング剤の使用が好ましい。
上記ハードコート層に添加するその他の添加剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、表面張力調整剤、防汚剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて配合してもよい。
上記ハードコート層は、上述の電離放射線硬化型樹脂の他に、重合開始剤、その他の添加剤等を適当な溶媒に溶解、分散した塗料を上記基材フィルム上に塗工、乾燥して形成される。溶媒としては、配合される上記樹脂の溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘプタンなどの芳香族系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール系等のアルコール系溶剤等の公知の有機溶剤を単独或いは適宜数種類組み合わせて使用することもできる。
上記ハードコート層の塗工方法については、特に限定はないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、ファウンテンバー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の公知の塗工方式で塗設した後、通常50~120℃程度の温度で乾燥する。
上記ハードコート層の塗膜厚さは、特に制約されるわけではないが、例えば1.0μm~12.0μmの範囲であることが好適である。塗膜厚さが1.0μm未満では、必要な表面硬度が得られ難くなる。また、塗膜厚さが12.0μmを超えた場合は、カールが強く発生し製造工程などで取扱い性が低下するため好ましくない。なお、ハードコート層の塗膜厚さは、マイクロメーターで実測することにより測定可能である。
本発明においては、上記の電離放射線硬化型樹脂を含有するハードコート層用塗料を基材フィルムに塗工、乾燥後に、UVまたはEB照射することにより、光重合が起こりハード性に優れる塗膜(ハードコート層)を得ることができる。特に、JIS K5600-5-4に規定される鉛筆硬度がB~2Hを有するハードコート層であることが好ましい。
本発明のハードコートフィルムは、上記硬化後のハードコート層が赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとしたときの、ピーク面積比(A/B)×100が450%以上であることが重要であり、好ましくは500%以上である。ピーク面積比(A/B)の上限は1500%以下であることが好ましい。ピーク面積比が本発明の範囲を満たすハードコート層であれば、シクロオレフィンフィルムなどの極性基が少なくハードコート層が密着しにくい基材フィルムに対しても、良好な密着性と外観を得ることができる。
また上記ハードコート層は、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとしたときの、ピーク高さ比(C/D)×100が100%以上であることが好ましく、120%以上であることがさらに好ましい。ピーク高さ比(C/D)の上限は300%以下であることが好ましい。ピーク高さ比が上記の範囲を満たすハードコート層であれば、シクロオレフィンフィルムなどの極性基が少なくハードコート層が密着しにくい基材フィルムに対して、さらに良好な密着性と外観を得ることができる。
本発明のハードコート層が、上記ピーク面積比(A/B)または上記ピーク高さ比(C/D)であることで、本発明の効果を得ることができるのは以下の理由が推測される。
すなわちハードコート層の硬化後において、855~1325cm-1に現れる赤外分光スペクトルのピークは、エーテル基やエステル基の炭素‐酸素伸縮振動や、カルボニル基の炭素‐水素変角振動、及び無機微粒子であるシリカ骨格、酸化アルミニウム骨格など、様々な構造に由来している。また1650~1800cm-1に現れる赤外スペクトルのピークは、アクリロイル基の炭素‐炭素二重結合を現す。つまりアクリロイル基の存在割合に対し、一定割合以上の855~1325cm-1に現れる赤外分光スペクトルピークを示す構造が含まれていることで、アクリロイル基による基材に対するハードコート層の密着力と、ハードコート層が層内で硬化収縮することにより基材フィルムの界面と別方向に力が掛かり剥がれる剥離力とのバランスが保たれるため、極性基の少ないシクロオレフィンフィルムに対しても本発明の効果を得ることができると考えられる。
以上説明したように、本発明のハードコートフィルムは、赤外分光スペクトルに特徴のある樹脂をハードコート層に用いることで、シクロオレフィンフィルム等の極性基が少なく密着性に劣る基材フィルムに対してもハードコート層との優れた密着性を確保することができる。すなわち、本発明によれば、ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとしたとき、ピーク面積比(A/B)×100が450%以上であることにより、シクロオレフィンフィルム等の極性基が少なくハードコート層との密着性に劣る基材フィルムに対しても、アンカー層を介さず、通常条件下、及び耐湿熱条件下における経時密着性と耐久性に優れるハードコートフィルムを提供することができる。
また、本発明のハードコートフィルムは、上記ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとしたとき、ピーク高さ比(C/D)×100が100%以上であることが、本発明による効果をさらに向上させる上で好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。併せて、比較例についても説明する。
なお、特に断りのない限り、以下に記載する「%」は「重量%」を表す。
[実施例1]
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物「TOMAX FA-3246」(固形分40%、日本化工塗料株式会社製)を主剤とし、イルガキュア184(光重合開始剤、BASF社製)を樹脂組成物の固形分に対し3重量部を、酢酸ブチルで紫外線硬化型樹脂の塗料中の固形分濃度が30%となるまで希釈し十分攪拌してハードコート層塗料を調製した。
シクロオレフィンフィルムとしてゼオノアフィルム「ZF14」(日本ゼオン株式会社製)の片面に、上記のハードコート層塗料を、バーコーターを用いて塗工し、80℃の乾燥炉で1分間熱風乾燥させ、塗膜厚み5.0μmの塗工層を形成した。これを、塗工面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用い、UV照射量250mJ/cm2にて硬化させてハードコート層を形成し、本実施例のハードコートフィルムを作製した。
[実施例2]
上記ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物「TOMAX FA-3246」(固形分40%、日本化工塗料株式会社製)とウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「アートレジン UN-904」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:10、根上工業株式会社製)を主剤として、TOMAX FA-3246とUN-904の固形分配合比率(重量部)が80/20となるように配合し、酢酸ブチルで紫外線硬化型樹脂の塗料中の固形分濃度が30%となるまで希釈し十分攪拌してハードコート層塗料を調製した。それ以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[実施例3]
実施例2のTOMAX FA-3246とUN-904の固形分配合比率(重量部)を50/50とした以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[実施例4]
実施例2のTOMAX FA-3246とUN-904の固形分配合比率(重量部)を30/70とした以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[実施例5]
実施例2のTOMAX FA-3246とUN-904の固形分配合比率(重量部)を20/80とした以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[比較例1]
実施例2のTOMAX FA-3246とUN-904の固形分配合比率(重量部)を10/90とした以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[比較例2]
実施例2のTOMAX FA-3246とUN-904の固形分配合比率(重量部)を5/95とした以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[比較例3]
実施例2のTOMAX FA-3246とUN-904の固形分配合比率(重量部)を0/100(つまりUN-904単独使用)とした以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[比較例4]
実施例1のハードコート層に用いた「TOMAX FA-3246」の代わりにウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「A-9550」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:6、新中村化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
[比較例5]
実施例1のハードコート層に用いた「TOMAX FA-3246」の代わりにウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂「Ebecryl 4858」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:2、ダイセル・オルネクス株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<評価方法>
得られた上記各実施例および各比較例のハードコートフィルムを下記の基準で評価した。その結果を纏めて表1に示した。
(1)ピーク面積比とピーク高さ比
赤外分光光度計を用いてハードコートフィルムのハードコート層表面に対するATR法により、赤外分光スペクトル(赤外吸収スペクトル)を測定した。赤外分光光度計はFT-IR Spectrometer Spectrum 100(パーキンエルマージャパン社製)を使用した。得られた横軸を波数(cm-1)とし、縦軸を吸光度としたスペクトルチャート上において、855~1325cm-1、1650~1800cm-1にそれぞれベースラインを引き、このベースラインとスペクトル曲線とで囲まれる面積をそれぞれA、及びBとし、その比(A/B)×100をピーク面積比とした。また、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをC、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとし、その比(C/D)×100をピーク高さ比とした。
(2)密着性
密着性は、JIS-K5600-5-6に準じて碁盤目剥離試験を行った。25℃、50%RH環境下で、ハードコートフィルムのハードコート層形成面に、カッターナイフを用いて、碁盤目状に1mm間隔で縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100マスの正方形の升目を刻み、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、60度方向に剥離し、ハードコート層の残存個数を4段階評価した。同じ箇所で5回、圧着・剥離を行った後に判定を行った。評価基準は下記の通りであり、◎と○評価品を密着性は合格と判定したが、△評価品も実用上可である。
評価基準
◎:100個 ○:99~95個 △:94~50個 ×:49~0個
(3)耐擦傷性
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、JIS-K5600-5-10に準じた試験方法にて、ハードコート層面を、スチールウール#0000を用い、荷重1kgをかけ10往復摩擦し、傷のつき具合を次の基準で評価した。○評価品を耐擦傷性は良好としたが、△評価品も製品として使用可能である。
評価基準
○:傷の発生なし。△:傷が少し発生する。×:傷が無数に発生する。
(4)鉛筆硬度
各実施例、比較例で作製したハードコートフィルムについて、JIS K5600-5-4に準じた試験法により鉛筆硬度を測定した。表面に傷の発生ない硬度を表記した。
(5)経時での外観
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムを、80℃、90%RHの環境下で、100時間放置した後、密着不良(膜剥れ等)やクラックの発生などの有無を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:試験前後で変化なく、外観に優れる。
△:ハードコートフィルム端部に膜剥がれが若干見受けられるが、全体的な外観は良好。
×:膜剥がれが全面的にみられ、外観不良。
Figure 0007061833000001
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例によれば、ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、上記ピーク面積比が450%以上であることにより、シクロオレフィンフィルム等の基材フィルムに対して、通常条件下、及び耐湿熱条件下における経時密着性と耐久性に優れるハードコートフィルムが得られた。また、上記ピーク高さ比が100%以上であることによっても、同様に、シクロオレフィンフィルム等の基材フィルムに対して、通常条件下、及び耐湿熱条件下における経時密着性と耐久性に優れるハードコートフィルムが得られた。
これに対し、ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、上記ピーク面積比が450%未満である、または上記ピーク高さ比が100%未満である比較例のハードコートフィルムにおいては、シクロオレフィンフィルム等の基材フィルムに対するハードコート層の密着性は改善されていない。
以上のことから、本発明による優れた効果は明らかである。

Claims (3)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、
    前記電離放射線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含み、
    前記ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れるピークの面積をAとし、1650~1800cm-1に現れるピークの面積をBとしたとき、ピーク面積比(A/B)×100が450%以上1500%以下であることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 基材フィルムの少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層は電離放射線硬化型樹脂を含有し、
    前記電離放射線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系樹脂を含み、
    前記ハードコート層の赤外分光スペクトル測定において、855~1325cm-1に現れる最も高いピークの高さをCとし、1650~1800cm-1に現れる最も高いピークの高さをDとしたとき、ピーク高さ比(C/D)×100が100%以上300%以下であることを特徴とするハードコートフィルム。
  3. 前記基材フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
JP2016071050A 2016-03-31 2016-03-31 ハードコートフィルム Active JP7061833B2 (ja)

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